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【転移62日目】 所持金2兆1342億9170万ウェン 「 とうとう今日の天気すら知る術が無くなった。」

この世界における2大大国が王国と帝国。

領域国家としてのツートップである。

双方、広大な領土と膨大な人口に支えられた軍事力を背景に覇権国として君臨していた。

自由都市や首長国といった新興国がマニュファクチュアを発達させて世界経済の中心に躍り出るまでは。


新しい経済に適応出来なかった両覇権国は重債務国に転落し、単独で自国予算を編成する能力を喪失した。

即ち王国は神聖教団の軍門に屈し、帝国は今まさに頭を垂れて自由都市の軍門を敲いている。



『俺!?』



「はい、リンです。」



…当然か。

これまでも派手にカネをバラまいてきたし。

昨日投入した1兆ウェンが広まり始めれば、まあ凄いことになるだろう。



『いや、カネは出したけどさ。

もう出し終わったんだから、皇帝? その人が俺と会う意味なくない?』



「せめて一言挨拶したい、と。」




『…ヒルダ、どうすればいい?』




「絶対安静中の設定を守りましょう。

大体、首長国の見舞を謝絶しているのに、帝国だけを招き入れてしまえば。

リンに帝国派のレッテルが張られてしまいます。」




まあ、事実身内しか入れてない訳だしな。

大国の皇帝というのがどんな人物なのか興味はあったが、面会は断念する。

ラノベとかゲームじゃよく見かけるんだが…

どんな人物なんだろう?

一生に1回は生皇帝を見てみたいよな。




『要するにだ。

王国は教団から借り入れを行わないと国家運営が出来ない。

帝国は自由都市が国債を買ってくれないと国家運営が出来ない。


この解釈で合ってる?』




「はい。

概ねその理解で間違いありません。」




『王国や帝国は膨大な軍事力を持ってるじゃないか。

踏み倒せばいいと思うんだけど?』




「そうやって過去にデフォルトを連発した結果、現在の自業自得的な経済状況に陥っているのです。」




『なるほど。

だから、王国は不利な条件でしか教団からカネを貸して貰えないし

帝国債は皇帝が直々にセールスに来ても中々売れない、と。』




「あまりに債券が売れないので、皇帝も半分パニックになっているそうですよ。

娘を自由都市の有力経済人に嫁がせようとしているみたいですし。


まだ裏が取れていない情報なのですが、その娘は首長国の王子に嫁がせたかったようなのです。

ただ家出騒ぎが起こって縁談が破談になったとか。」




『ああ、それで浮いた姫様が自由都市に回ってきたんだ。

いやー、偉い人は大変だよねー。』




「あなたですよ?」




『ん?』




「ですから、リンが狙われているのです。」




『え?

何の話?』




「首長国に嫁がせる予定の息女ですよ。」




『いや、俺はもうコレットが居るし。』




「ええ。

なので先方は側室でどうか?

と申し出てます。」




『いやいやいや!

お姫様とか王子様とか…

そういう縁談に俺が割って入れる訳ないだろ?』




「リン。

貴方は資本家様なのですよ?

今更、王だの公だのに遜る必要はないでしょう?」




『いやいやいや。

向こうは軍事力を持っている。

俺は丸腰の障害者だ。

カネなんて軍隊を使って奪ってしまえばいいだけじゃないか?』




「王国も帝国もそういう手段を過去に際限なく繰り返して来ました。

その挙句が国家予算すら自力で組めないこの惨状なのです。

大体、リンから財産を奪うという事は、自由都市と連邦の両国に宣戦布告することと同意ですよ?

地政学的に首長国もリン側に着くでしょう。

この3か国連合と渡り合える国家など、この世界に存在しません。

大体、そんな余力がないから皇帝自らが必死に国債のセールスに来たのでしょう。」



そう言えば、魔王も必死で戦時国債の購入を呼び掛けていたな…

カネが無ければ、王侯ですらあの体たらくだ。

確かに、無限のキャッシュを持っている上に国家という負債を持っていない俺は垂涎の対象であろう。




ヒルダはアレコレ理由を付けているが、皇帝を門前払いした理由がそれらしい。

何でもあちこちで「コリンズ殿であれば是非娘を任せたい」と勝手に吹聴している、とのこと。


この言に怒り狂ったコレットとヒルダが、帝国から送られて来る俺への全メッセージを握りつぶしていたそうだ。

いきなり皇帝が来たわけではなく、その前段階で無数の門前払いがあったらしい。



正妻とその母に向かって、側室を持ちかけたら…

そりゃあ、敵視されるだろう。



どうりで、誰も帝国の話題に触れないのだと思った。

みんなこの母娘の顔色を窺っているのだ。

俺がこの邸宅に勤務していたとしても、絶対に帝国の話題には触れない。

ヒルダが怖いからだ。



面識のない相手にこんな事を言いたくないが…

国債が売れないのは、元首が余程の粗忽者だからだ。



==========================



空気を読まないのはこの男くらいのものだろう。

皇帝の娘の美貌を母娘の前で絶賛している。

多分悪気はない。



「リン君、そんな事も知らないの?

遅っれってる~♪


結構有名な話だよ?

皇帝には娘が3人居てさあ。


清楚な長女と可憐な三女!

この2人はあまりの美貌に《帝国の双珠》と称えられているんだ!」



ポールが余計なことばかり言うので、さっきからコレットが極めて不機嫌である。

日頃は幼い顔つきをしているのだが、同性に憎悪を向ける瞬間のみは女の顔をする。

あー、ヒルダの面影あるなぁ。



皇帝は双珠を一際溺愛し、婚礼の際は号泣して見送ったそうだ。

で、真ん中が余ってるので、貰い手を探して皆に泣きついているとのこと。

人の親になるって大変だなぁ。




「で、皇帝はカネが欲しいから真ん中をリン君に嫁がせようとしてるんでしょ?」



『話を総合するとそうらしいですね。』



「よーし、俺も負けないよー!」



『?』



「いや?

ハーレム勝負するんでしょ?

どっちがより巨大なハーレムを築けるか!」



その勝負に乗った瞬間に、背後の2人に殺されそうな気もするんですが?




「あー、でもリン君って養子だったかあ。

じゃあ、妾はコレットちゃんに選んで貰わなきゃだね♪」




…頼む、これ以上地雷を撒くのは止めてくれ。




《4800億ウェンの配当が支払われました。》





==========================



【所持金】


1兆6542億9180万ウェン

   ↓

2兆1342億9180万ウェン  

   ↓

2兆1342億9170万ウェン 



※4800億ウェンの配当を受け取り。

※ポール・ポールソン個人に10万ウェンの小遣いを支給




【試供品在庫】


エナドリ 3000ℓ

  ↓

エナドリ 3870ℓ

  ↓

エナドリ 3370ℓ

  ↓

エナドリ 3350ℓ



※870ℓの試供品在庫を補充

※ポールソン営業部長に500ℓを支給

※入浴剤としてコリンズ邸内で20ℓを自家消費




【ポールソンハーレム】



レニーちゃん(飲食店勤務)      

メアリちゃん(家事手伝い)  ← 体験入居中



==========================



今日も家から出なかったので、世界情勢は未だ不明。

帝国関連のイベントが軒並み中止され、神聖教団で行われている司教選挙の日程が延びたとは聞いた。

俺と因縁のある、フェリペ・フェルナンデスとロメオ・バルトロの両上級司祭も確実に予備選を勝ち上がっているそうだ。


皆は「コリンズ社長には世界中の全情報が集まってますよ。」と力説するが…


嘘つけ!

オマエら、帝国からのメッセージを全部握りつぶしてたじゃないか!



残念ながらカネ持ってから、どんどん手に入る情報の鮮度が落ちている。


あー、トイレの窓の装甲パネルの隙間も早速補修されてるなー。


とうとう今日の天気すら知る術が無くなった。



【名前】


リン・コリンズ




【職業】


(株)エナドリ 創業オーナー

駐自由都市同盟 連邦大使 (辞任申請中)

連邦政府財政顧問




【称号】


ファウンダーズ・クラウン・エグゼクティブ・プラチナム・ダイアモンド・アンバサダー信徒




【ステータス】


《LV》  29


《HP》  (3/4)

《MP》  (5/5)


《腕力》 1

《速度》 2

《器用》 2

《魔力》 2

《知性》 4

《精神》 7

《幸運》 1


《経験》 16億9774万1812ポイント 


次のレベルまで残り15億5979万6680ポイント 




【スキル】


「複利」


※日利29%  

 下10桁切上




【所持金】


2兆1342億9170万ウェン  


※バベル銀行の10億ウェン預入証書保有

※国際産業道路98号線交通債100億ウェン分を保有

※第11次魔族領戦時国債200億ウェン分を保有

※第4次帝国インフラ債550億ウェン分を保有

※帝国総合プランテーション債230億ウェン分を保有




【試供品在庫】


エナドリ 3350ℓ

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― 新着の感想 ―
日光浴は希望してもバチ当たらんと思うな というか異世界の照明事情って、どうなってんだろ?
[良い点] hpが3に回復してる!めでたい!
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