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【転移60日目】 所持金2兆8542億9190万ウェン 「自由と健康と女と故郷への切符以外は何でも買える。」

俺は寝たきりなので、よくわからないのだが。

今、自由都市に怪しげなカネが飛び交っているらしい。

俺は防音の効いた部屋で寝ているので実感がないのだが

悪い意味でのバブルが発生している。

カイン・キーン両名にはちゃんと工作費を渡した筈なのに、彼らも自腹を切り始めた。

もはや狂騒状態である。



部屋から出して貰えないので本当に分からない。

ヒルダとコレットが24時間体制で俺を監視しているのだ。

リハビリ中に転倒したのが余程マズかったらしい。



もうチーム全員が俺の安全第一モードに入っている。

グリーブの副官のバズに挨拶されて初めて気づいたのだが、この邸宅の内外に護衛チームが詰めだしたらしい。

ヒルダの献言でメンバー全員にエナドリ(旧名エリクサー)を常備させ、ガチな戦闘に備えているとのこと。


同じくヒルダが独断で工業区に娼婦師団の精鋭(売春以外の仕事が出来そうな者)を集結させており、朝に百人隊長のバルバラ・ゲルケが挨拶に来た。

巨体と忠犬のような性格を見込まれてヒルダにスカウトされた百姓女だ。

年齢は40過ぎと聞くが、血色良く身のこなしもキレキレである。



『あんな女を手元に置いてどうするんだ?』



と聞くと。



「次はこの街で戦争をなさるのでしょう?」



と不思議そうな顔をされた。

そうか、ヒルダが言うならそうなのかもな。




==========================




来客は全部、ヒルダとコレットが応対している。

一応、重傷というタテマエなので俺は奥で寝たまま。

女性客が無条件で門前払いされる辺りに、母娘の可愛げを感じたのでクスリとする。



クーパー会長がお見舞いに来てくれたので、例外的に入って貰う。



「港湾区から仕掛け始めたんだって?」



第一声がそれである。



『あ、はい。

みんな、貧乏で大変だなーって思って。』



「いい着眼点だと思いますよ。


着地点は考えておられますか?」



『いやー。

とりあえず収入が少ない人でも生きて行ける世の中になればいいなー。

なんて昔から考えてまして…


いや違うな。

収入の少ない俺でも生きて行ける世の中を待ち望んでました。』



「君の配っているクスリ。

あれいいね。

港湾区から出勤している連中に尋ねてみたんだけど。

劇的に人生設計が変わったそうです。

障害を持ってたり、親の介護をしていた者は特にね。」



『BARのマスターは真面目に働いてますか?』



「いや不真面目。」



『ははは。』



「でも陽気で話しやすい人物だから

人だかりが絶えない。

今や完全に港湾区の中心だよ。」



『教団の人、怒ってます?』



「怒ってない訳ないでしょう?

自分達の敷地の真正面で、自分たちのより豪華な炊き出しを始められたんだから。

しかも寄付とか勧誘とか…  この先もしないんだよね?」



『ええ、特に何かに誘いたい訳ではないので。』



「昨日、とうとう教団が炊き出しを中止した話は聞きましたか?」



『え!?

そうなんですか?

それは、まだでした。』



「続けても、貴方のBARと比較されるだけですからね。

中止せざるを得なくなったんでしょう。」



『我ながら品のないやり口だと思います。』



「君を表立って批判する人はいませんよ。

回り回って教団批判になってしまいますからね。


あ、私も参加することにしました。

身体が治ったら見物に来て下さい。」




キーンによると、クーパー建設株式会社は港湾区で放置されていた廃団地群の再生プロジェクトを開始するとのこと。

キーンが無造作に買収した用地に、クーパー会長が無造作に新たな団地を建て続けて行く。

そして住処に困っている労働者を無造作に入居させていく。

資金のショートは心配がない。

俺が幾らでも出資するのだから。


同時にドルト・エヴァーソン会長が自社製品のレーションを無償で港湾区のbarに提供し始めてくれている。

勿論これは支援物資として貧民に配られる。


俺には出馬の予定がないので、何をどれだけ配っても選挙違反には問われない。

ただ配付を続けているだけなので、公正取引法にも抵触しない。



何らの政治的・宗教的主張もしていない。

そもそもマスターのポールにそんな知能がない。




==========================




『なあ、コレット。

俺、君に出逢ってから。

今日で丁度2か月だわ。


ヒルダも色々ありがとうな。』




「もうそんなになるんだね。

リンがあっという間に偉くなっちゃったから実感が沸かないよ。」




偉いか否かはともかく、カネは溜まった。

手元に2兆ウェン以上の資金がある。




中小領主の年間歳入を越える金額が毎日入って来る。

このまま死ななければ俺の勝ちだ。

問題は死に掛けている点なんだけどさ。

まあいいや、マーティンのリハビリ、結構理論的で効果ありそうだしね。




『なあコレット。

もしも2兆ウェン持ってたら…』




《6300億ウェンの配当が支払われました。》




『…もしも3兆ウェン持ってたら何をする?』




==========================



【所持金】


2兆2242億9190万ウェン

  ↓

2兆8542億9190万ウェン



※6300億ウェンの配当を受け取り。



==========================




「うーーん。

リンとのんびりしたいかな。」




『ヒルダは?』




「リンとのんびりする為の具体的な行動を取ります。」




怖えーよ。





==========================




手持ち資金が1兆を越えた時点で、カネを数える気力が失せた。

意識はしていなかったが、俺のゲームクリア設定金額は1兆ウェンだったらしい。

この世界の経済規模を完璧に掴めた訳ではないのだが、キャッシュのみの個人資産は世界一だろう。


仮に、俺を上回る資産家が居たとしても数日あれば追い抜いてしまう筈だ。

正直、飽きた。


リハビリを終えたら、母娘とのんびりと(具体的な行動までは取らないけど)しながら、帰る方法を皆に探して貰おう。

ぶっちゃけ、1兆あったら大抵の情報は手に入るし、1兆あったら情報源ごと買えばいいだけなので。

1兆あれば何でも買えるのだ。


うん。

健康と女と故郷への切符以外は何でも買える。




夜、寝る前。

便所から少しだけ外が見えた。

(ヒルダが家屋用防御装甲を外付けしてしまったので、殆ど塞がれている。)

そこでようやく、雨が降っていた事を知れた。



コレットが便所の扉を開けて俺を監視している。

そして窓の隙間を目ざとく見つけて忌々しそうな表情をした。

あー、これ明日から天気がわからなくなるな。



1兆あっても自由は手に入らんか…

うん。

自由と健康と女と故郷への切符以外は何でも買える。



2か月前は討伐クエストへの参加を咎められるくらいで済んだのだが。

カネも女も檻だよな。

【名前】


リン・コリンズ




【職業】


(株)エナドリ 創業オーナー

駐自由都市同盟 連邦大使 (辞任申請中)

連邦政府財政顧問




【称号】


ファウンダーズ・クラウン・エグゼクティブ・プラチナム・ダイアモンド・アンバサダー信徒




【ステータス】


《LV》  28


《HP》  (2/4)

《MP》  (5/5)


《腕力》 1

《速度》 2

《器用》 2

《魔力》 2

《知性》 4

《精神》 7

《幸運》 1


《経験》 10億2818万6659ポイント


次のレベルまで残り6億0387万2153ポイント 




【スキル】


「複利」


※日利28%  

 下10桁切上




【所持金】


2兆8542億9190万ウェン



※バベル銀行の10億ウェン預入証書保有

※国際産業道路98号線交通債100億ウェン分を保有

※第11次魔族領戦時国債200億ウェン分を保有

※第4次帝国インフラ債550億ウェン分を保有

※帝国総合プランテーション債230億ウェン分を保有




【試供品在庫】


エナドリ 2688ℓ

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― 新着の感想 ―
「具体的」って描写が追加されるだけで剣呑になるのすこw
[一言] この調子でやったら、間違いなく世界規模でのインフレが起きます。金の増える速度に世界の富が増える速度が追いつきません。ミスリルを魔法で消費するのはいい方策です。
[一言] 回復術師揃えて保険業すれば教団ぶちころがせそうだけどな
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