【遠征日誌06】 人工衛星
決して地球人が鈍重な訳ではない。
彼らは彼らなりに【魔王軍】なる未知の脅威に対して必死に適応しようとしていたし、間断なく多彩な手を打っていた。
無策に見えるのは、単に俺がその全てを消滅させているからに過ぎない。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【ィオッゴ(遊牧ゴブリン)】
「公王様、少し宜しいですか?」
『ィオッゴ常務。
皆は元気でやっておりますか?』
「はい、公王様が色々と御心配りして下さるので…
砂漠よりも生活環境が遥かに良いと皆が感謝しております。
体調もかなり戻って参りました。」
『おお、それは良かった。』
「あ、いえ。
てっきり我々は着陣と同時に地球人との交戦が始まると思っておりましたので…
私も真っ先に斬り死にする覚悟でした。
本当に何もしなくて宜しいのですか?」
『…私が居る間は別に。』
「…つまり、公王様に万が一の事があれば?」
『ええ、私が気絶したりスキルを封印された場合ですね。
皆には頑張って貰わねばなりません。』
「承知しました!
ですが、そうならないように全力を尽くします!」
『いえ、遊牧ゴブリンの皆様には戦略的にもっと重要な任務に従事して貰いたいのです。』
「は?
戦略…
でありますか?」
『…ごにょごにょごにょ。』
「えーーーーーーーーッ!!!!!
いやいやいやいや!!!!
えーーーーーーーーーッ!!!
それ初耳なんですけど!!」
『ええ、摂政ほか数名しか知らない秘密作戦ですので。』
「そ、そんな事が可能なんですか?」
『まあ、私が何とかしますよ。
一応、軍事作戦ですし。』
「あ、いや。
まあ、公王様の命令であれば水火を厭わぬ覚悟でしたが…」
『ああ、勿論拒否権は認めますし。
本作戦への参加を辞退されても、ペナルティはありませんので御安心下さい。』
「え、いや…
やります!
やらせて下さい!!
部族の者が全員逃げても、私一人で完遂します!!」
『ィオッゴ常務には助けられてばかりです。
頭が上がりませんよ。
では、この件の続きは庵主様から指示を受けて下さい。』
「公王様は話の持って行き方が上手いなあ。
国士無双と称えられる筈です。」
別に俺だって、ただ塹壕でゴロゴロしている訳ではないのだ。
兵隊さんの一員として、打つべき手は全て打ってるよ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【リチャード・ムーア(義父)】
『お義父さんのお陰で兵士達を飢えさせずに済みました。』
「いや。
オマエがここまで補給を重視するとは思っていなかった。
俺も腕の振るい甲斐がある。」
『まさか全種族の共通食まで即興で考えて下さるとは…』
「まあ、多種族共存はポールソン公国の至上命題だからな。
本当は遠征前にレシピを完成させておきたかったのだが…
…大雑把な話で恐縮だが、皆で肩を並べて食えるに越した事はないだろう。」
御一新前、義父と俺は共に軍用糧食の改善を図っていた。
祖国の軍人が外地に派遣される際の生活環境があまりに劣悪なのを見かねたからである。
「まさか俺達が2人で遠征する羽目になるとはな。」
『お義父さんには迷惑ばかり掛けてしまいます。』
「いや…」
義父は目線で将校区画に目をやる。
『…。』
「…。」
まさに糧食改善のコンペで俺達を負かしたのがカロッゾであり、祖国を滅ぼしたのがノーラなのだ。
俺も義父もあの2人にどういう感情を持つべきなのか、まだ整理が付かない。
「お2人にこれを届けても構わないか?」
『ええ、彼女達ならこの趣旨を理解してくれると思います。』
暗黒団子。
ダークエルフの主食である暗黒タロイモと、遊牧ゴブリンの主食であるゴブリン団子のハイブリット。
人間・ゴブリン・エルフ・オークが揃って食す事が可能な奇跡の糧食である。
義父リチャード以外の誰にこの偉業を成し遂げる事が出来たであろうか。
『…地球人に食べさせても構わないですか?』
「ん?
そういう作戦?」
『作戦というより分析ですね。
種族性なり民族性って、ちょっとした事で垣間見れると思いませんか?
俺は遠征の合間に変化球を投げてみるんです。
反応を見ながら微調整する為に。』
「オマエ程の男が考える事だからな…
きっと有効なのだろう。
好きにしろ。」
『ありがとうございます。』
「どうだ?」
『はい?』
「オマエの目から見て地球人はどうだ?」
『ここだけの話ですが。
全般的に下位互換的ではあるな、と。』
「おい!
やめよう、この話は。
不敬罪に問われ兼ねない。」
『申し訳ありません、口が過ぎました。』
確かにな。
魔王ダンの実父である大魔王が地球人である以上、口は慎むべきである。
迂闊な地球批判は誣告に繋がりかねないからな。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【エミリー・ポー (重犯罪者)】
「ねぇ!
ポールさん!」
『囚人番号02番。
速やかに営倉に戻るように。』
「遠征って聞いたから暴れられると思ったのに!
全然戦闘始まらないじゃない!
エミリーちゃん退屈ですぞ!」
『あのなぁ、エミリー。
兵隊さんの仕事の大半は移動と待機だ。』
「移動もしてないじゃない!
ずっと塹壕に閉じこもっちゃってさ!
真面目に戦争しようよ!」
『俺達の任務は大魔王の保護だ。
一応、地球の占領許可は得ているが、それも作戦遂行に必要な場合に限っての話だからな。』
「じゃあ占領しちゃおうよ!」
『遠征前に摂政と意見を擦り合わせたのだが…
征服する価値があるか否かが問題でな…
土地に使い道はあるかも知れんが、住んでる連中はなぁ…』
「じゃあ、それこそ私の出番じゃない!
風魔法・極で地球人を皆殺しにして、地球を私達で頂いちゃおうよ!」
『だーかーらー。
そういう事したら、大魔王が怒るだろ。
下手をすれば、摂政は離縁。
魔王様も廃嫡されかねんぞ。』
「別にいいじゃない。
ポールさんもあの女のことは嫌いでしょ?」
『いや、政治と好き嫌いは分けて考えるべきだよ。
摂政は間違いなく史上最高の為政者。
是非とも、ハロルド陛下と共に長期政権を運営して欲しい。』
「ぶー。
何で嫌いな相手の肩を持つの?
分かんない!」
歳を取るとなぁ。
自分の好悪で物事を判断出来なくなるよな。
そりゃあ確かに摂政にも四天王にも恨み骨髄だよ?
でも、為政者としての傑出した功績は認めるべきであろう。
革命前期、彼女達は洒落にならない規模での大虐殺・大粛清を敢行した。
当然万民が彼女達を憎んだが、グレードリセットの恩恵が波及し始めた今、歓迎ムードがヘイトを上回り始めつつある。
俺も密かに計算してみたのだが、最初に膿を出した事が思いのほか社会を益している。
「大魔王の御理念てす。」
唸る俺を見る度にコレット・コリンズは言う。
そうなのだ、社会の活性化というのは実に簡単で、富の占有者を抹殺すれば即日効力を発揮し続けるものなのだ。
地主や貴族、そして資本家。
彼らは処刑台の上で自己の有用性を必死に力説していたが、殺してみるとやはり人民は潤った。
経済学者として断じて認めるべきではないのだろうが、地主殺しに勝る経済対策などある筈もないのだ。
摂政と四天王が数え切れない占有者を族滅したことにより、人民は途方もない恩恵を受けている。
また、彼女達が革命の果実をテクノロジーに惜しみなく再投資する姿勢も素晴らしい。
今までの貴族女達がドレスやら宝石やら舞踏会やらの下らない浪費に向けていたのを、コレット・コリンズは新発明の懸賞金や市民博覧会の支援に費やしているのだ。
支持側に回らざるを得ないではないか、例え奴らが友と祖国の仇であろうとも。
『まぁ、ざっくり説明するとこういう事だ。』
「じゃあエミリーちゃんも支持してくれますかな?」
コイツは何を言ってるのだ?
『あ、いや。
そう言う話は刑期が終わってから…』
「遥か先じゃねーか!」
『うわっ、びっくりした。
まあ、27年のんびり牢屋バカンスを楽しんでくれ。』
「あのさぁ。
地球人一匹殺すごとに刑期1ヶ月短縮とか、そういう措置が当然あるものと期待してたんだよ。」
『…未開人じゃあるまいし。
大体、そんな制度作っちゃったら狂暴な受刑囚から順に社会に解き放たれてしまうじゃないか。』
12ヶ月×刑期27年=324人。
エミリーなら30分も掛からずに釈放を勝ち取ってしまうだろう。
俺はスイッチが入った時のエミリー・ポーを何度も見てきたからな。
幾ら遠征地とは言え、こんな狂獣を野放しにするべきではないと、よく理解している。
「ぐぬぬ、マジレスしおってからに。
あーあ、どーしてこんな人を好きになっちゃったんだろ。」
『ゴメンなー。』
「いーえ、惚れた女が悪いのよ。
…でもポールさんカッコいい事するのは、もう禁止ね?」
『え?
俺はいつでもカッコ悪いよ。』
「そうね、概ねダサい。」
『(ショボン)』
「でも、たまに唐突に凄くカッコ良くなるの!
そういう事されると女子は脳が沸騰しちゃうんだよ!
落差に脳が焼かれちゃうの!
だから、これ以上カッコいい事しちゃ嫌よ。」
相変わらず何を言っているか分からない女だ。
やはり厳格に刑を執行し続けなくてはならないな。
俺はエミリーを営倉に戻すと、暗黒団子の食レポを命じて区画を後にした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【レ・ガン(相談役)】
『やあ、庵主様。
月が綺麗ですね。』
「やあ、旦那。
こっちの月も悪くは無い。
…仕事はいいのかい?」
『もう全て済ませました。
後は地球人が決める事です。』
「相変わらず恐ろしい男だよ。」
『そうでしょうか。
私に言わせれば、貴女が1番恐ろしいのですけどね。』
「…。」
レ・ガンは何も言わずに静かに微笑んでいる。
ここら辺は年の功なのだろう。
余計な発言をしない。
『庵主様の御提言通り、人工衛星も全て消しておきました。
地球側は通信・連絡手段の大半を喪失しました。
これにより、出征前に危惧していた敵ミサイル攻撃の精密性を大きく削ぐことに成功しました。』
「なら、白兵戦で攻めて来るんじゃないか?」
『それらしき気配のある部隊は全て消しました。』
「勇ましいことだね。」
『消したと言っても2000にも満たない数ですよ。』
「遠征にしては平和的なものだね。
魔界が王国に攻められた時に数え切れない同胞が殺された事を思えば、ピクニックみたいなものだ。
まさか、その先頭に立っていた地球人の祖国に反撃する日が来るとは思いもよらなかったが…」
『溜飲が下がりましたか?』
「…誰かの死を喜ぶには歳を取りすぎた。」
『貴女は元々優しいのです。』
「どうだろう。
姑には逆の事を指摘されてたけどねぇ。」
その後、小一時間結婚生活トークで盛り上がる。
何せ互いに愚痴ばかりなのだから当然だろう。
「大魔王はいつ頃回収出来そうなんだい?」
『地球人もすぐには引き渡しに応じないでしょう。
だから私もこうやって、少しずつ攻めている訳です。』
「まあ、金の卵を産むニワトリを渡す馬鹿は居ないだろうねぇ。」
『理屈ではそうなのでしょうが、我々はリン・コリンズに王座を捧げた。
地球人は未だ役職を与えていないのみならず、まるで賞金首か何かの様に追い回している。
どちらが大魔王の臣下に相応しいかは極めて明白です。』
「旦那は役人に向いてるよ。」
失笑しながらレ・ガンは地球の月に目をやった。
実を言うと地球の風景は苦手だ。
偏見が俺にそう思わせているのかもだが、総じて地球は色合いが不気味であり見ているだけで気が滅入る。
…流石に思ってても言えないよなぁ。
愚痴る総大将なんて兵士からすれば最低の存在なのだから。
【ゲコ (?)】
「…通信だけは潰して欲しくなかったです。」
『怒ってるかい?』
「自分自身に対してね。」
『そっか。
でも、この方が人死は減るよ。
それは理解してくれてるんだろ?』
「分かるから腹立つんですわ。」
『人工衛星って明確な偵察兵器だから…
私も任務だし、ゴメンね。』
「…どうして公王様はそんなに謝りはるんですか?」
『自分より強い相手には下手に出るタイプなんだよ、私は。』
「誰にかて頭下げてはりますやん。」
『人様はみな我より優れている師父だからね。』
「…ホンマは逆を思ってる癖に。」
『ははは、棘があるなー。』
「そりゃあね。
祖国がガリガリ削られてる様を見せられたら、頭おかしなりますよ。
しかも、今こうやって侵略者の親玉とお茶しとる。」
『私を倒す方法は見つかったかい?』
「いやー、どれだけ考えても2ルートしかありませんでした。
ちょっと公王様のこと舐めとったかも知れません。」
『その殺気を摂政に向けれた度胸は凄いよ。
親衛隊もいっぱい居たんだろ?』
「摂政にも同じこと言われましたわ。
嬉しそうに笑ってはりました。」
『若いねー。
羨ましいよ。』
「公王様。」
『んー?』
「約束を守って下さっている事には感謝してます。」
『分かってるよ。
これからも日本には最小限の被害って話だろ?』
「ボクも約束は守ります。」
『キミさぁ。
絵巻物の主人公になったら?
ああ、地球人はライトノベルって呼ぶんだっけ。』
「なってあげますから、ヒロイン支給して下さいよ。」
『じゃあ、ウェイン卿あげる。』
「チェンジ。」
『カロッゾ卿の方が好みだった?』
「チェンジ。」
『エミリーと《あの人》もプレゼント。』
「チェンジ×2」
『これがポーカーだったら、どうするんだよ(笑)
分かった、私にとっての最高の宝であるポーラを譲ろう。』
「えっと、恩着せがましく不要物を押し付けるのやめてくれませんかね。」
バレたかー。
『でも、キミに対する損失補填は近いうちに庵主様から伝えられると思うよ。
それも摂政の承認印付きでね。』
「それは、日本の国益にとってプラスですか?マイナスですか?」
『日本人にとっては悪い話ではないと思うな。』
「薄々オチが見えて来ましたわ。」
態度こそ皮肉屋だが、トルーパーに搭乗しての監視を怠る様子は一切ない。
前回の休憩から40時間が経過しようとしているが、集中力を持続し続けているのは秀逸の1言に尽きる。
何だかんだで接近を試みる地球側の部隊を早期に発見して報告してくれているしな。
消滅させた福島県警のうち51人はゲコが位置捕捉してくれたものだ。
SATの布陣位置を予め予想して進言してくれた事も非常にありがたい。
この男だけは、何としても帷幕に留めなくてはならない。
つまり、日本側の犠牲は最小限に収める必要があるということ。
大魔王と違ってゲコには生まれ育った社会への忠誠心がある。
その点を履き違えてしまうと、いずれ足元を掬われる羽目になるだろう。
【出原信之 (捕虜)】
『イデハラさん、御無事ですか?』
「あ、いえ。
最近はウェイン様も僅かに温厚に。」
「おいおい、ポールソン!
イデハラはボクのだぞ!!」
『うわっ!』
「ひっ!!」
「幾ら夫婦とは言え、プライベートは尊重し合おうよ。
いや、ポールソンに私的空間なんて許す気は無いけどさ。」
『あ、はい。』
「(プルプルプル)」
「ほらー、イデハラ~♪
おいで~♪
もう殴らないって約束するから♪」
『ゴクリ。』
「は、はい。 (ビクビク)」
「んー♥
イデハライデハライデハラー♥
あははははははは!!!」
イデハラも災難だよなあ。
でも、ここまで気に入られてるって事は生存確率がかなり上がったという事だよな。
下手をすりゃあ、この男は最後の地球人になるかもな。
「で、ポールソン。
何か用?
イデハラはボクを強く抱きしめておくように。」
「あ、はい。」
『えっと、地球側への最終通告草案を練ったので皆さんと共有しようかと。』
「おお!
やっとやる気を出してくれたか!!
それで、キミはどのような通告をするんだい?」
『あ、いえ。
別に大した事は…
単に進軍ルートを予告するだけの話なので。』
「え?
事前予告!?
何で?」
『分かりやすいでしょう?
予告ルートを遮った者が敵。』
「いや、キミ程の男が言うのなら、それが最も理に適っているのだろうが。」
『常磐自動車道の上り追い越し車線を使って南下。
水戸街道の取手に布陣します。』
「ミトカイドー、イバラギ?」
『ええ。
大魔王の身柄は、この双葉郡か取手市で受け取ります。
取手での布陣は7日間のみ。』
「…なるほど。」
『今からカロッゾ卿に話を通しに行きますが…』
「分かった、同席しよう。
行くぞ、イデハラ。」
俺はイデハラと2人きりで話をしたいのだが、ノーラとカロッゾがずーっと抱き締めている為に密談が出来ない。
哀れっぽい目で救いを求められるが、ゴメンな。
絵巻物知識を活かして何とか生き延びてくれ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【ジミー・ブラウン】
「通告も何も、地球側は通信手段を消されて大パニックでゴザルぞ。」
『だろうな。
誰がどう見ても地球文明って空中文明だし。
それを全部消されたら辛いだろう。』
「イデハラ氏が提供してくれたスマートフォン。
…全く繋がりません。」
『まあ、通信網の破壊は遠征の基本だし…
俺じゃなくても、何らかの手段で潰すだろう。』
「では、どうやって通告しますか?」
『んー?
塹壕から出て、そこらに居る連中に拡散をお願いするかな。』
「呼吸の外し方が上手いですなー。」
『ジミー。』
「はい。」
『ラジオ・TVのマスメディアはオマエに任せる。』
「了解。
後ほどインフラの占領案を提出するでゴザル。」
『ああ、オマエの立てる作戦が一番信用出来る。』
「…。」
『ジミー?』
「…結局、こうなりましたな。」
『地球での作戦のことか?』
「いえ。
かつて侍従長が必死で遠ざけようとしていた道をポール殿が進んでおります。」
『…俺はただ酔生夢死だけを願っていたものだが。
人生というのは上手く行かないものだ。』
俺もジミーもほんの数年前までは、カフェでモンスター模型を組みながらダラダラと寝転んで暮らしていた。
あの頃の俺達に今の状況を伝えたとしても信じてはくれないだろう。
「ソドムタウンは消滅したよ。」
「連邦も首長国も滅びたよ。」
「王国も帝国も幼年学校生に奪われたよ。」
「皆トルーパーに夢中だよ。」
「世界は魔王が支配してるよ。」
「税制は二公八民がデフォルトだよ。」
「魔界も含めた全世界が鉄道で繋がるよ。」
「売買春は禁止されたよ。」
「昼でも星が光ってるよ。」
「全ての人民が大魔王を崇拝しているよ。」
「ポールソンなる奸臣が政権を壟断しているよ。」
…悪夢としか言いようがないな。
しかも覚める気配がまるでない。
もはや何も分からない。
今の俺は■○▲が望まなかった俺なのだろうか?
或いは…
■○▲が秘かに望み続けたから、俺はこんな茶番を演じているのではないだろうか?
【魔王軍遠征部隊】
『ポール・ポールソン』
大魔王救出作戦総責任者/魔王軍総司令官・公王。
ポールソン大公国の元首として永劫砂漠0万石を支配している。
万物を消滅させる異能に加えて、アイテムボックス∞を隠し持っている。
『ノーラ・ウェイン』
軍監/四天王・憲兵総監。
ポールソン及び後任者のカロッゾの監視が主任務。
レジスタンス掃討の功績が認められ、旧連邦首都フライハイト66万石が所領として与えられた。
『カロッゾ・コリンズ』
地球クリーン作戦総責任者/四天王・前軍務長官。
本領は自らが大虐殺の上に征服した南ジェリコ81万石。
旧名カロリーヌ。
『レ・ガン』
元四天王・ポールソン大公国相談役。
市井のゴブリン女性であったが、親族が魔王職に就任したことを切っ掛けに駐ソドムタウン全権に任命された。
魔界の権益保護の為、統一政府に様々な協力を行っている。
『出原信之』
地球人。
捕虜兼現地徴用兵。
塹壕内ではノーラ・ウェイン、カロッゾ・コリンズの2名の将校部屋にて生活する事を強いられている。
『ジミー・ブラウン』
大魔王救出作戦副将/ポールソン大公国宰相。
ポール・ポールソンの無名時代から扈従し続けてきた腹心。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
魔王軍創設譚については別巻にて。
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