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【遠征日誌04】 有害図書

イデハラと話した感想だが、概ね事前のプロファイリング通りの地球人。

また、出征前にゲコが提供してくれた情報にも殆ど誤謬や虚言はなく、咎めるべき点は見当たらなかった。



「えっ!

異世界っすか?」



『はい、まあ、端的に言えばそうなりますね。』



「おおおっ!

てっきりロシアが攻めて来たのかと!

いやあ、異世界の方なら大歓迎ですよ!」



『一応我々は侵略軍なので、タテマエだけでも嫌がって下さいよ。』



「うーん、でも異世界って言ったら皆喜ぶと思いますよ。」



『ええ、まあ。

仰ることはよく分かります。』



地球人も【異世界】という単語に食い付きが良い事は知っていた。

大魔王とも何度かそういう話をした事もある。

現実は苦しいしね、仕方ないよね。



「いやー、ポールソンさんにお目に掛かれたのは光栄なんですけど…

いやはや、どうせなら…」



『ああ、女性が来れば良かったですよね。』



「いえいえいえ!

そのような事は!

…あ、いや。

異世界ヒロインには、ちょっと…

以前から憧れがありまして…

いやぁ、お恥ずかしい、たはは…」



『いえいえ。

私も男ですから共感出来ます。

異郷の女性って独特の魅力がありますよね。』



俺が賛同したことで機嫌が良くなったのか、イデハラは本棚から卑猥な表紙の絵巻物を俺に手渡し熱く語り始める。

あー、所詮人間のやる事って、どごに行っても同じだなぁ。

俺の著書と表紙構図まで一緒じゃねーか。

(主人公らしき少年が美少女に囲まれている)



「あ、あの!

ポールソンさん!」



『あ、はい。』



「恥を忍んでお願いがあります!」



『えっと、我が軍の女性を紹介すれば良いのですか?』



「えーっ!!

ど、ど、ど、どうして分かったんですかーッ!

はっ!?

もしかして読心スキルッ!?」



『あ、いや。

この話の流れで逆に分からない方がおかしいと言いましょうか、何と申しましょうか。』



「僕は異世界ヒロインに会えたら死んでもいいと思ってます!!」



『えー、何も死ぬことはないでしょう。』



「いやいや、僕は無職ですし童貞ですし散々親不孝をして来ましたし…」



『あー、耳が痛いですなー。』



「でもッ!!

こんな僕でも異世界ヒロインには気に入って貰えるかも知れないッ!

だって地球と異世界では価値観が違うからッ!

ポールソンさんの世界の女性から見れば僕は魅力的に映るかも知れないッ!」



『えー、どうでしょう。

女性の価値観って、そんなに変わるものですかねぇ?

ちなみに私の祖国ではイケメンでスポーツマンの金持ちがモテてました。』



ドナルド・キーン。

アイツ、本当にムカつくよな。



「ぐぬぬ!」



『逆にブサイクや陰キャやオタクや貧乏人は相手にすらされません。』



「うぐわぁぁ!!

地球のみならず異世界まで!!

この世に神も仏も無いのかぁー!!」



『あ、じゃあ仏は消さない様に善処します。』



ブッティストの概念はゲコに聞いて履修済。

でも俺が神を消してなくてもイデハラはモテなかった気がするぞ、知らんけど。



「ちなみに、ポールソンさんの陣中にはどんなヒロインがおられるんですか?」



『え?

どんな、と仰っしゃいますと?』



「実は恥ずかしながら、僕は昔から愚鈍で周囲の笑いものになってたんですよ。」



『あ、私もなのでお気になさらずに。』



「あ、ポールソンさんも陰キャサイドの方だったんですね!

どうりで親近感が湧くと思いました!」



…地味に失礼だなコイツ。



「あ、話を続けますね。

それで愚鈍な私は、その反動で勇ましい女軍人・女戦士系のキャラへの憧れがありまして…

だから地球でも推しの配信者は女ヤクザなんですけど…

もしもポールソンさんの陣中にそのような方が居られましたら、挨拶だけでもさせて頂けましたらと…」



『えー。

いやいや、居るには居るのですが…』



「おっ!?

女性の軍人さんが居られるのですか!?

うおー! うおー!

しょ、紹介して頂くことは…」



『いやー、紹介ですかぁ…

やめておいた方がいいですよ。』



「え?

やっぱり僕なんかじゃ駄目ですか?」



『いやいや、イデハラさんには問題が無いのですが…

ちょっと勇まし過ぎるというか何というか…』



「おー!

勇ましき女戦士!

最高じゃないですか!

とんな人!?

どんな人!?」



『食いつきますねー。

えっと、1人は我が軍の軍監なんですけど…

現在四天王職を務めており…』



「四天王ッッッ!!!!」



『わ、ビックリした。

いきなり大声出さないで下さいよ。』



「うおー! うおー!」



『イデハラさん、冷静に冷静に。』



「女性の四天王なんて、ラノベ的には頂点ヒロインですよー!!」



『あ、弊政権の四天王は全員女性です。』



「うおー! うおー!

異世界最高じゃないっすかー!!」



『んー、そうかなー?

ちなみに四天王はもう1人従軍しておりまして、厳密には私の後任者です。

軍人としては史上最強の呼び声も高い方です。』



「うおー! うおー!

最強ヒロイン来たーッ!!

ち、ちなみにお幾つくらいの方ですか?」



いやいや。

問題はその最強ヒロインの矛先が君達地球人に向いている事なんだけどな。

トルーパーごと部隊も持ち込む気満々だし。

ま、いっか。



『え? 年齢?

確かカロッゾ卿は大魔王と同年だった筈だから…

お二人共、20歳前後だったかと…』



「うおー! うおー!

強くて若いッ!!

しゅごいッ!! しゅごいのーッ!!

僕はずっと待っていた!!!

30歳の時も40歳の時も50歳の時もッ!!

異世界ヒロインが押し掛け居候する神展開キボンヌ!!

それ何てエロゲッ!!」



…いやいや、逆にさぁ。

その年頃の小娘が要職に就いて威張り散らしてる異常性に違和感を感じてくれよ。

どう考えてもヤバいじゃん。



「ポ、ポ、ポ、ポールソンさん!」



『あ、はい。』



「ぼ、僕はそのお二人に会ってみたい!!」



『えー、それはやめた方が…』



「会えるなら死んでもいい!」



『あ、いや。

会ったら確実に殺されるとは思いますけど。』



「死んでも後悔しませんから!」



『いやぁ、絶対後悔すると思いますよ。』



「後悔なんてする訳ないでしょ!

賭けてもいいです!!

もしも異世界ヒロインを好きになれなければ!

母親の遺産残金8万円をあげます!」



円かぁ…

大魔王もゲコも1ウェン1円のレートで換算してたからなぁ。

そういう貨幣価値なんだろうなぁ。

てかコイツ、働きもしてないのに8万ウェンも払っちゃったら生活どうするんだろう?



『いやあ、あの2人だけはやめた方がいいですよ。

正直、私は顔も見たくないですし。』



イデハラが出してくれた缶ビールを啜りながら呟く。

レベルは低いが飲めなくもないな。



  「へー。

  ボクの事をそんな風に思ってたんだ。」



聞き慣れた声…

取調室での悪夢がフラッシュバックする。



『う、うわぁあ!!

ウ、ウェイン卿ッ!?

ど、ど、どうしてここに!』



  「そりゃあボクはキミの忠実な妻だもの。

  帰りがあまりにも遅すぎたら心配もするよ。

  夫が原住民に捕まったのなら

  命を賭けてでも助け出すさ。」



『あ、あ、あ、あ…』



「ポ、ポールソンさん。

このお方が今まさに話題に上がってたいた?」



『あ、あ、あ、あ…

ど、どうぞご紹介します。』



「あ、いや。

思ってたのと違うので8万円あげますぅ…」



イデハラが待ち望んだ異世界ヒロインは軍靴のままでズカズカと入り込んで来る。



「でも、残念だよ。

ポールソン、オマエ…

ボクの事をそんな風に思ってたんだな。

顔も見たくないか?

なあ、オイ。

(首元ガシイッ!)」



『ひっ!

ち、違うんですウェイン卿!』



「まあまあ、そんなに怯えることもないじゃないか。

話の続きは取調室でしようか。」



『う、うわああああ!!』



俺がノーラ・ウェインを恐ろしいと感じるのは、彼女が権力を得て暴慢になった訳ではなく、徒手空拳の頃からローティンの身でありながら大人を支配していた点である。

仮に御一新が無かったとしても、彼女は(悪い意味で)何者かに成っていたことだろう。



「おい、原住民。」



「え、あ…?」



「オマエだ! オマエ!!」



「あ、は、はい!」



「オマエ、我が軍の総大将を拉致するなんていい度胸じゃないか。

楽に死ねると思うなよ?」



「ひ、ひいいいい!!

ら、拉致とかじゃないですうう!!!

ポ、ポールソンさんが訪ねて下さったので、歓待しておりましたぁ!!」



「続きは本営でゆっくり聞くわ。

オラ来い。

(首元ガシイッ!)」



「う、うわああああ!!!!

ご、誤解ですうううう!!!!!

誤解なんですううう!!!!!

痛いッ!!! 痛いッ!!!

ポールソンさん助けてえええええ!!!!」



『ウェ、ウェイン卿…

ゴホッ、ゴホッ!

本当なんです、ここに居るイデハラ氏に作戦協力を依頼していたんです。

快く応じて下さって、地球の風習を色々教えてくれていたんですよお!!

それで帰りが遅くなってしまったんです!!』



「本当かぁ?

ポールソンはすぐに罪人を擁護するからなあ。

(片腕ヘッドロックギシギシ)」



「ぐっわあああああああ!!!!

た、助けてええええ!!!!!!!

痛いッ! 頭がァッ!

あーーーー!!! あーーー!!!!!」



*外征先なので温厚に振舞ってますが、憲兵本部の取調室ではもっと酷い事をします。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「じゃあ、ポールソン。

スマートホンの確保は完了という事で構わないな?」



『あ、はい。』



「よーし、これで我が軍も地球で通信活動が出来るようになったな。

順調順調。」



「あ、あのぉ…」



「ん? 

何だ原住民。」



「スマホには指紋ロックや本人確認があるんで、本体だけ持っていてもあまり意味はないかもです。」



「ん?

操作するのはオマエなんだから別に構わないだろう。」



「え?」



「このままオマエは本営に連行する。」



「え? え? え?」



「あ、そうだ。

作戦が完了したらオマエをハンティングトロフィーにして地球人サンプルとして憲兵本部の資料室に飾ってやるよ。

ああ大丈夫大丈夫心配ない。

オーラロードを渡る時はボクのトルーパーに乗せてやるから。」



「え? え? え?」



「おい原住民。

この家は当然ボクが接収するが、何か地球の制圧に役に立ちそうな資材はあるか?」



「え?

接収?」



「何かこの土地の情報入手に繋がるものが好ましいな。

セオリーだと書籍だな。」



「え?

しょ、書籍と申しましても。

先程、ポールソンさんにお渡ししたものくらいしか…」



「ほう、早速の献上とは殊勝である。

よし、褒美としてオマエは一番最後に殺してやるからな。」



「あ、ありがとうございます(?)」



*外征先なので温厚に振舞ってますが、普段の治安維持活動はこんな物ではありません。



「ポールソンが持ってるものが書籍なのか?

随分と古風な形式だな。

おい、ソレを見せてくれよ。」



『あ、はい。』



「何だー?

随分卑猥なイラストだな?

おい原住民、これは何の書籍だ?」



「あ、これはライトノベルと申しまして…」



「ライトノベルー?

何だそれは?」



「あ、はい。

地球では僕のような落ちこぼれの不満の矛先を社会に向けさせない工夫がありまして。

それがライトノベルを始めとした【弱者男性コンテンツ】です。」



「ほう、不満の矛先をコントロールする技術か!

うむ、良いぞ。

本国で活用出来るかも知れん。

おい、詳しく話せ。」



「あ、はい!

これは僕のような弱者男性に向けた趣旨なんです。」



「ふむふむ。」



「えっと、僕みたいに勉強も運動も出来ない上に職歴も無い不細工オッサンはモテないじゃないですか?」



「うむ。

一般論では無価値とされているな。」



「はい。

なので、僕達が普通に生活をしていても女性との接点はゼロです。」



「女は無価値な男を避けるからマイナスなのでは?」



「あの、地球人は繊細なので…

もう少しその…

手心と言いますか…」



「善処する。」



「それでですね。

まあ、物語の中で読者の分身を活躍させるんですよ。

何か飛び抜けた異能を身に着けて、喧嘩には楽勝で女性にはモテモテになると!

ラノベを読むと心の痛みが柔らぐんです!」



「それは現実から逃避しているだけなのでは?」



「ええ、そうですよ(怒)!

現実逃避ツールです(怒)!」



「ふーん。

よく分からんが、ふーん。

じゃあ、ポールソンには不要だな。

何故なら傍にはボクが永遠に居るからね♪」



  『え?』



「喜べポールソン。

オマエの現実はボクだけだ。」



  『こ、光栄です(血涙)。』



「ふーん、どれどれ。

寄越せ。

(取り上げ)」



  『あ!』



「おい原住民。

この書籍はどんな内容なんだ?

この文字みたいなのが書籍題名なのか?」



「あ、はい!」



「読み上げろ。」



「あ、はい。

【異世界で孤児院を開いたけど、なぜか誰一人巣立とうとしない件】

略してマサツグ様です。」



「ふーん。

内容は?」



「あ、陰キャが異世界に行ったら何故か孤児院の経営を任されて、孤児達(全員ロリ娘)から惚れられてハーレムを構築するという趣旨です。」



「…。


ふーん。

おい、ポールソン。

この原住民にボクの事を説明してやれよ。

可能な限り忌憚なくな。」



『え?

あ、あ。

こちらのノーラ・ウェイン卿は先程説明した通り、我々の本国では大変重要なポジションに就いておられまして。』



「おいポールソン。

そういうのはいいから。

包み隠さずボクの全てを語れ。

どうせオマエ、裏ではボクの悪口言ってるんだろ?」



『あ、いや!!

い、い、い、言ってないですよぉ!!』



「分かった分かった。

言ってない事にしてやるから、ボクが何者かを原住民に教えてやれ。

可能な限り詳しくな。」



『あ、はい。


…イデハラさん、こちらのノーラ・ウェイン四天王はですね。

弊政権では憲兵総監を務めております。』



「け、憲兵(ゴクリ)」



「警察権やら裁判権やらがウェイン卿に集中しており、この世の大半の人間を逮捕して拷問して処刑する権限を有しています。

要はフリーハンドの秘密警察のトップです。」



「ひ、秘密警察(ゴクリ)」



「無論、警察権云々は革命政権の地盤が固まってからの話であり、御一新と呼ばれる世界平定戦争では軍人として各地を転戦して絶大な戦果を挙げてます。

ちなみに私の祖国の自由都市同盟や連邦という国家を滅ぼしたのが彼女です。」



「く、国を亡ぼす(ゴクリ)」



「ちなみに革命に便乗したから権力を得た訳ではなく、御一新以前から彼女は私の祖国で隠然たる影響力を持っていました。

まだローティーンでしたが、冒険屋なる少女グループを結成して冒険者ギルドへの侵食を成功させつつありました。

御一新に前後して、何故かギルドの幹部達が連続して不審死を遂げ、いつの間にかウェイン卿が理事長に就任していました。

その後すぐに冒険者ギルドや治安局は憲兵部に吸収されたので、もはや真相を知る術はありません。」



「ふ、不審死(ゴクリ)」



「おいおいポールソン。

一番大事な事を忘れているぞー。

ボクの出生についてもちゃんと教えてやれよー。」



『…じ、実はですね。

ウェイン卿は幼少時に戦火に見舞われる不幸があり…

天涯孤独の身なのです…

物心ついた時には、孤児院に在籍しておられたようでして…』



「こ!!!?????」



「なあ原住民。

この書籍のタイトルなんだったっけ?

もう一度読み上げてみろよ。」



「え? いや!

え? え? え?」



「んー?

どうしたー?

また痛い目に遭いたくなかったら早く読み上げろよー。」



「あ、は、はい!

そ、その書籍のた、タイトルは…

【異世界で孤児院を開いたけど、なぜか誰一人巣立とうとしない件】

です、はい。」



「へー。

ボクは孤児院にはいい思い出がないなあ。

宗教団体が経営している孤児院だったんだけどさ…

女の孤児には坊主やスポンサー企業の代表が、当然の権利みたいな顔してセクハラしてくるのね?

いやあ、あれは子供心に辛かったねえ。

キモいオッサン共がさぁ。

相手が孤児なら何をしていいと思って、ありとあらゆる強制猥褻を繰り広げてくるのね。

酷いと思わんか?」



「あ、はい。

あってはならない暴挙だと思います!」



「そうかそうか原住民は理解してくれたか。

ボクは嬉しいよ。」



「い、いえ!!

立場を悪用して少女に性的加害を行うなんて卑怯千万ですよ!

まったく、酷い奴もいるもんですね!」



「うんうん、オマエとは気が合いそうで何よりだ。

ところで原住民、その書籍の内容ってどんなのだったか?」



「え?」



「正直に言え。

嘘を吐いたら2週間拷問してから殺す。」



「は、はわわ。」



「どうした?

早く言えよ。

ボクは欠点だらけの女だが、特に短気さは部下達からいつも諫められているくらいだぞ。」



「は、はい!!

内容解説します!!」



「ん。」



「異世界へ召喚されたクラス底辺高校生が、寂れた孤児院の経営を任される話です!!

孤児達は全員美少女です!!

16歳設定の主人公から見て幼い少女達なので、ローティーン前後の年齢だと思われます!!」



「はっはっは。

原住民はこういう話が好きなんだw」



「あ、いえ!!

間違えて購入しました!!

けしからん内容ですので、処分しようと思っていた所です!!!」



「ふむ、なるほど。

じゃあ、この棚に並んでる他の書籍は健全な内容なんだな?

そうだな、陣中の慰みにオマエに朗読でもさせてみるか。」



「あ、いえ!!

これら全てがけしからん書籍です!!!

纏めて廃棄する目的で回収作業を行っておりました!!」



「はっはっは。

殊勝だなオマエは。」



「あ、ありがとうございます!」



「ボクに逮捕された自称ジャーナリスト達は全員そう言って命乞いをしたけどね。」



「(ゴクリ)」



「安心しろ、この土地はまだ魔王様の土地ではない。

従って如何なる法律でもオマエが罰せられることはない。」



「ホッ。」



「逆に言えば、オマエを守る法律も存在しない。」



「え?」



「安心しろ、ボクはオマエがとても気に入った。」



「え?え?え?」



「ポール・ポールソン。

ニック・ストラウド。

そして原住民、オマエだ。」



「え?え?え?」



「とても気に入った。 (ニッコリ)」



「え? え? え?」



「おいポールソン。

コイツはボクの戦利品な。

殺すまではボクの部屋で飼うことにするよ。

カロッゾの奴と2人きりだと気が滅入るから。」



『あ、はい。』



「よーしスマートフォンも回収したし、塹壕に戻るか。

おいポールソン。

原住民の代わりに有害図書の廃棄、ちゃんとしておけよ。」



『あ、はい。

清掃(クリーンアップ)

あ、終わりました。』



「ん、ご苦労。

それじゃあ2人共、帰るぞ。」



『「あ、はい。」』



イデハラの家屋の接収証明なのか、ノーラは門前にあった国旗掲揚台に憲兵旗を掲揚していた。

どうやらイデハラの自室を地球での在所に定めたらしい。

上機嫌で歩くノーラの後ろをトボトボと俺達は歩く。



「ポールソンさん。」



『あ、はい。』



「約束の8万円をお支払いしますので、何とか解放して貰えませんか?」



『え、あ、いや。

私とウェイン卿は指揮系統が全然違うので…』



「でも奥様なんですよね?」



『彼女は公私を峻別する人なんですよ。

ちな、地球に来るまではウェイン卿に逮捕されて拷問されてました。

ほら、指がグニャグニャに曲がってるでしょ?』



「う、うわ!!

本当だ!!!」



『尋問と称して10本全部折られました。』



「はわわわわ…」



『普段は切り落としているそうなので、案外手心を加えて貰ったのかも知れません。』



「ひ、ひえええええええ…」



『大丈夫、イデハラさんはウェイン卿に気に入られてる方だと思いますので。』



「き、気に入られるとどうなるのですか?」



『私や義弟のニックは彼女のお気に入り枠に入っているので、普通は殺されるような尋問でも…

指を折られたり工業用ハンマーで膝の皿を砕かれる程度で許して貰えます。』



「そ、それは一思いに殺して貰えないだけなのでは?」



『ノーコメント。』



「う、ううう。」



『イデハラさん。』



「はい?」



『異世界ヒロインの感想をどうぞ。』



「…富士は遠くにありて思ふもの。

有害図書の中だけの存在であって欲しかったですねぇ。」



『ああ、それは同感です。』



  「おい2人共!

  もっと早く歩かんか!!」



『「は、はいいい!!!」』



俺は全くそうは思わないのだが、どうやら大魔王奪還作戦は極めて順調に進捗しているらしい。

【魔王軍遠征部隊】



『ポール・ポールソン』 


大魔王救出作戦総責任者/魔王軍総司令官・公王。

ポールソン大公国の元首として永劫砂漠0万石を支配している。

万物を消滅させる異能に加えて、アイテムボックス∞を隠し持っている。



『ノーラ・ウェイン』


軍監/四天王・憲兵総監。

ポールソン及び後任者のカロッゾの監視が主任務。

レジスタンス掃討の功績が認められ、旧連邦首都フライハイト66万石が所領として与えられた。



『カロッゾ・コリンズ』


地球クリーン作戦総責任者/四天王・前軍務長官。

本領は自らが大虐殺の上に征服した南ジェリコ81万石。

旧名カロリーヌ。



『レ・ガン』


元四天王・ポールソン大公国相談役。

市井のゴブリン女性であったが、親族が魔王職に就任したことを切っ掛けに駐ソドムタウン全権に任命された。

魔界の権益保護の為、統一政府に様々な協力を行っている。



『出原信之』


地球人。

捕虜兼現地徴用兵。

塹壕内ではノーラ・ウェイン、カロッゾ・コリンズの2名の将校部屋にて生活する事を強いられている。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



魔王軍創設譚については別巻にて。

https://ncode.syosetu.com/n1559ik/

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