【顛末記28】 狩狼官
大将たる者には本営に自家の紋章が記された軍旗を掲げる義務がある。
当然であろう、最も責任の所在が問われるポジションなのだから。
ここで問題が生じる。
成り上がり者の集まりである統一政府には家紋を持たない将校が多数存在する点である。
例えば憲兵総監として世界に死と恐怖をばら撒いているノーラ・ウェインは孤児院出身である為に家紋を持たなかったし、ノーラと殺害数を競っているカロッゾ・コリンズも今や根無し草なので同様である。
そもそも世界の支配者たる摂政コレット・コリンズからして正式な家紋を持っていない。
(数年前までは宿屋の小娘に過ぎなかったからだ。)
なので、彼女は家業にちなんで朱塗りの巨大な胡桃のイミテーションを馬印に定めた。
この珍妙な馬印は当初こそ世間から密かな失笑を買っていたが、凄惨極まりない戦歴がすぐに覆してしまった。
胡桃の馬印と共に忠勇無双の親衛隊が攻め掛かる光景は圧巻の一語に尽き、世界人類の脳裏に深いトラウマを刻んだ。
自然、胡桃を食す習慣を人類は放棄した。
(俺も怖くて食べれなった。)
統一政府軍のスリートップがこの調子である所為なのか、摂政は総司令官に就任した俺に必要以上の格式を要求した。
魔王ダンの馬揃えまで日は迫っており、その体裁が整うか否かは政権の明日を占う要となっていた。
『なぁ、クレアよ。』
「何?
家紋旗は確かに授与したわよ。
早く受領印を頂戴。」
『いや、こうしてヴォルコフ家の家紋を授与された事は光栄なのだが…』
「はぁ?
文句ある訳?」
ヴォルコフ家の家紋は黒地に銀の双頭の狼。
狼神の兄妹婚から家祖が生まれた事に由来する。
今、授与された軍旗も一応双頭の狼ではあるのだが…
『傭兵旗か…』
旗の四辺には黒い縁取り。
これは軍旗の所有者が一門衆でも郎党でもなく、金銭契約にて陣借りを許された傭兵である事を意味する。
テオドラ・ヴォルコヴァに俺を許す気はないのだ。
「当然でしょ。
アナタは御義母様から絶縁されたのだから。
何?
一門旗や当主旗が貰えるとか妄想してた訳?」
『なぁ、テオドラ様は俺に何か仰られているか?』
「この傭兵旗が全てよ。
これ以上、何か補足する必要ある?」
『…いや、不肖の身を恥じるばかりだ。』
「安心しなさい。
馬揃えの時だけ、四辺を金染めして当主旗に偽装するから。」
『え!?
いや、それはマズいだろう!』
「あのねぇ。
状況、理解してる?
魔王ダンの継承に天下の趨勢が掛かってるの。
この数年で、この先数千年の世界のあり方が決まる。
そうよね?」
『ああ、少なくとも税制観や統治哲学には影響を与え続けるだろう。
コリンズ王朝が一過性で終わるか否かで全てがな。』
「体裁は必ず整えるわ。
個々の意志なんて知った事ではないの。
テオドラ御義母様も私やアナタも単なる歴史の一歯車。
そこだけは勘違いしないでね?」
『なぁクレア、1つ聞かせてくれ。
世界は何処に向かっている?』
「…。」
『…クレア。』
「韜晦は止めなさい。
世界の進路はアナタの望む方向に切られたのよ、ポール・ポールソン。」
『俺は…
何も望んじゃいない…』
「ずっとアナタを見ていた私だから分かるの。
全てアナタの望み通りなのよ。
よく考えなさい、意味を。」
いつもの事だが、一方的に捲し立てるとクレアはマントを翻して馬上の人となり、振り返りもせずに駆け出した。
背に翻るのは蛇の紋章。
我々の最愛の師であるドラン・ドラインの背に入っていた入れ墨をクレアは家紋兼世界銀行旗に定めた。
誰よりも権威を憎悪した男がこの光景を観れば笑うだろうか、呆れるだろうか…
まぁいい。
ドランさん、俺も近いうちにそちらに伺います。
それまではどうか、不肖の弟子共の愚行を笑ってお見守り下さい。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『なぁ、ゲコ君。
今、大丈夫か?』
「人に言い難い苦悩をボクにぶつけるの止めて貰えませんかね?
…迷惑なんで。」
『私がマジになり過ぎそうになった時、側に寄ってくれてありがとうな。
…感謝している。』
「…距離を置いてくれてる皆にも感謝したって下さいよ。」
『ああ、ロべールなんかは俺が考え事をしている時は気配まで押し殺してくれるからな。
アイツには足を向けて眠れん。』
「…旗貰えて良かったですやん。」
『結局、テオドラ様には親不孝ばかりだったよ。』
「1番の親不孝さえせんかったらセーフって事にしときましょ。」
『難しいよ。
あの人、昔から頑健だから…』
「いやいや、公王様が長生きする方向で孝行しましょうよ。」
『長生きは妹に任せるわ。
アイツ、テオドラ様に似て頑健だから。』
「ボクは公王様程のタフガイを見たことないんですけどね。
ぶっちゃけ無敵ですやん。」
『子供の頃、かなり虚弱でね。
心身共に発育が遅かったから、周りにアホ扱いされて育ったよ。
学校の教師には《オマエみたいな劣等生は何も成し遂げられない》って言われたよ。
クラスの皆の前でね。
…あれは、キツかったなぁ。』
「地球にも似たような事言われて笑いモンになっとるボンクラがおりましたわ。
ソイツが出世して大魔王なんて呼ばれてるなんて、まさかですけどね…」
『予想はしなかった?』
「権力持たせたらアカン奴やとは思ってましたよ。
警官とか教師だけにはなって欲しくなかったなぁ。
コンプレックスの捌け口を社会に求められたら、皆が迷惑するんで。」
『…なぁ。』
「はい?」
『私は権力を持たない方がいいかな?』
「もう、持ってますやん。」
『あ、いや。
総司令官就任と言っても馬揃えの為の人事だから。
区切りがついたら役職を返上することで…』
「…もう持ってますやん。」
『…。』
「公王様って悪い意味でボンボン気質ですよね。
いい歳して責任から逃げ続けるの恥ずかしないんですか?
摂政殿下、親衛隊の皆さん、四天王の方々、ハロルド皇帝陛下。
世代的には公王様のお子さんの世代ですよね?
皆、矢面に立っとる。
グダグタ逃げ回っとるの、アンタだけやで?」
『…。』
「道化やから厳しい事を言っとる訳やないんです。
ボクも含めて、皆がそれだけアンタに期待しとる。
チカラのあるモンには義務があるんや!
それだけは忘れんとって下さい。」
『…俺、何がしたいんだと思う?』
「子供の頃の作文にでも聞いて下さい。」
『…親の稼業を手伝いたいって書いてたな。』
「ボクとは真逆ですねー。」
『父親が地上げをシノギにしてるギャングだって知らなかったんだよ。』
「うっわぁ、見事に跡を継ぎましたね。
革命政権の司令官なんて、地上げ屋の最上位互換ですやん。」
『…性に合わないんだよ。
俺は父さんは嫌いではなかったけど、カタギの仕事に就いて平和に暮らして欲しかった。』
「いやいや、封建領主みたいなヤクザのアガリを生業にしといて、それは通らんでしょ?」
『うん、だから革命も君主も大嫌い。
私は日常が静かに続いて欲しいだけだから。』
「盗人猛々しいとはよう言うたもんや。
よっ、総司令官閣下!
よっ、最大版図君主!
よっ、大公爵!
よっ、公王陛下!」
『あまりイジメないでくれ。
自分でもこの矛盾は痛感している。』
「でも、まあええですやん。」
『?』
「公王様の望みは社会の安定。
奇跡も大事件も不要やから、日常がゆるふわと続いて欲しいんですよね?」
『棘があるなぁ。
まあ、否定する気もないが。』
「良かったですやん、やりたい事見つかって。
ポールソンさんの望みは世界を刺激の少ない日常系に持って行くこと。
じゃあ、ゲコ君の人生相談終わりって事で、ボクは後陣に戻ります。」
『え?
行っちゃうの?
私、他にも色々と吐き出したい事があるんだけど。』
「公王様ー。
ガキやないねんから、自分探しゴッコに尺取るの勘弁して下さいよ。
ボク、今夜の宿営地の塹壕掘る段取りありますから。」
ゲコは冷たく俺を一瞥すると、ラクダの速度を緩めてゴブリン師団に戻った。
アイツもすっかり馴染んだよなぁ。
まるで10年前からゴブリンやってるような顔してやがる。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
さて、頭を実務に戻す。
我がポールソン軍は今から森林地帯を抜ける。
かつての祖国・自由都市同盟が辺境州と呼んだ土地だ。
ここがまさしく政権の悩みのタネなのである。
自由都市を制した統一政府は貴族や富豪から没収した土地に人民住宅と人民農場を建てて万民に開放した。
これにより、辺境民は喜んで便利なコリンズタウン近郊に移住した。
そりゃあそうだろう。
広くて快適な人民住宅、実質無料で支給される人民農場。
文明的なコリンズタウン、進歩的な発明や労働者的娯楽にも溢れている。
移住しない訳がない。
結果、不便な土地は不毛の地となった。
元々、北部辺境州なんて流刑人が泣く泣く住まされる土地だからな。
そりゃあ、首都近郊に家や農地が貰えるなら、みんなそっちに行くだろう。
移住の自由を人民に与えると言う事は、過疎過密が加速する事を意味する。
便利で豊かな土地は過密化し、不便で貧しい土地は過疎化する。
結果、過密地でも過疎地でもそれに伴った社会問題が増加する。
以前も摂政と協議したのだが、過疎地の増大は政情不安に直結するので、何とか地方に旨味を与えなくてはならない。
そこで俺達はコリンズ大学の碩学を密かに集め、過疎地に予算回す方便をあれこれと考えた。
結果、狩狼官なる中世の職業を辞書から引っ張り出して行政機構に新たに組み込んだのだ。
こんな常識は今更言うまでもないが、過疎が進むと、モンスターが増える。
特にウルフ系が爆増する。
それらを森に住み込んで駆除し続ける者が必要なのだ。
当初はこんな過酷な職業に望んで就く者が居るとは思わなかったが、意外に枠はすんなり埋まった。
特にこの北部辺境州には腕利きの狩狼官が配置されたそうだ。
嘘か真か、この一帯から動くモノの気配が薄れているらしいのだ。
血の匂い無しに生きれない奴も世の中には多いのだろう。
帰路の俺の密かな使命は、狩狼官が機能しているか否かを確かめること。
幾ら大富豪の起こした政権と言っても予算は有限である。
無駄な出費は厳しく戒めなければならないからな。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
北部辺境州。
かつては帝国との国境地帯だった。
工作や小侵攻なら日常茶飯事だったので、自由都市同盟は罪人や貧民をこの地に留めた。
同じ自由都市人であっても《属州民》はソドムタウンに入る事を厳しく制限されていた。
住むのは、農奴、坑夫、牧童、杣人ばかりという貧困ぶりである。
(昔は地主層も存在したが、革命早々に根絶やしにされた。)
言ってしまえば、北部辺境州は被差別地帯だったのだ。
なので、統一政府が移住の自由を保証した時に、まず最初に住民から捨てられたのがこの地だったというのも自然な話である。
…すっかり荒れ果てたな。
街道のど真ん中だと言うのに木が生えている。
湿気の関係で、ここらの植物は異常に生育が早いのだ。
「放っといたら、すぐに密林だ。
多少の盗伐は寧ろ善行だろうよ。」
『アンタは口が減らないよな。
盗人猛々しいとは良く言ったモンだ。』
「公王様!?」
俺の独り言に驚いた近習達が慌てて振り返る。
『いや、済まない。
独り言だよ。
想い出の尽きない土地でね。』
安堵の表情で若武者達がフォーメーションを組み直した。
ゴブリンやダークエルフは積極的に元服直後の若者を俺に付けてくれるようになった。
スプ男達も、産まれた子をポールソン家に奉公に出すつもりでいる。
馬鹿げた話だ。
まだ少年の風貌ではないか。
こんな下らない世界に命を懸ける価値なんてねーよ。
「でも、オマエは懸けた。
懸け続けて勝ち取った。」
『黙れギリアム。
好きであんな騒動を起こした訳じゃない。』
畏友は静かな微笑で俺の嘘に耳を傾けている。
『俺はただ社会が平和であって欲しいだけだよ!』
畏友は許す様に優しく頷くと霧の様に消えた。
『ギリアムッ!!
聞けっ!!
俺は!! 俺は!!』
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
古参兵が俺の護衛任務に就いていた若武者達を厳しく叱責している。
理不尽な話だ。
俺が一人でパニックになって、勝手に落馬しただけなのに。
残念ながら命に別条はないそうだ。
ただ、全身が焼けるように痛い。
総大将としての俺が成すべきアクションは、叱責されている若武者達を弁護し、皆の忠勤を労うことなのだが…
情けない事に、激痛が災いして声が出ない。
身振りで場を収めようとするも、指すらまともに動かない。
数分後、旗奉行のニック・ストラウドが皆の間を駆け回って話を収めた。
「馬鹿野郎が…」
背中で言い捨ててから、ニックは設営指揮に戻った。
今ではコイツくらいのものか…
叱責してくれる人も随分減ったなぁ。
『あーあー。』
愚かにも落馬騒動が収まってから声帯が回復する。
深夜の医療ゲルにて唇を噛みながら1人己の不明を恥じる。
明日、皆に正式に謝罪しよう。
大将たる者が兵の仕事を増やすなど言語道断であるからだ。
『なぁ、やっぱり俺は器じゃねーよ。』
「そうか?
オマエとの旅は楽しかったけどな。」
亡き友の笑顔があまりに眩しく、思わず目を閉じてしまう。
『いや、楽しい楽しくないは関係ないだろう。
結局、ギリアム死んじゃったしさ。』
「バーカ。
人間なんていつかはくたばるモンだろが。
いつまで気にしてるんだ?
所詮、雑兵一匹の生き死にだろうがよ。」
『…何であの時俺が死ななかったんだろうな。』
俺がずっと思っていた疑問。
自分が生きているのが不思議で仕方ない。
そんな資格ある訳ないのに。
「教えてあげましょうか?」
不意に響いたギリアムではない声に驚いた俺が目を開けると…
俺の首筋には白い手が突き付けられていた。
『君は何時でも俺を殺すよな。』
シモーヌ・ギア。
我が畏友ギリアム・ギアの妹にして、俺の妻。
俺と同じく俺が許せないとのこと。
「仕事です…」
『仕事?』
「狩狼官。」
『ああ、かなりの腕利きが任命されたと聞いたが…
シモーヌだったのか。
「…。」
『もう少し、楽な暮らしをしないか?
俺の宮殿、《ひんやりとした岩場》に招待させて欲しい。
シモーヌは団体行動苦手だろうけど、エミリーやレニーみたいな社会性ゼロの屑ばっかりだから、シモーヌでも溶け込めるよ。』
ガシッ。
いきなり、口を掴まれる。
おとなしい風貌の癖して、相変わらず凄い握力だ。
『むごー! むごー!』
バキッ!
バキッ!
ドゴッ!
バキッ!
バキッ!
ドカッ!
ドゴッ!
ガンッ!
バキッ!
ゴッ!
ゴッ!
ゴッ!
ゴッ!
ゴッ!
ゴッ!
ゴッ!
ゴッ!
ゴッ!
ゴッ!
ゴッ!
ゴッ!
ガンッ!
ドゴッ!
ドゴッ!
ドゴッ!
バキッ!
バキッ!
バキッ!
ゴッ!ゴッ!ゴッ!ゴッ!ゴッ!ゴッ!ゴッ!
ズドゴォッ!
無表情で俺を殴り続けたシモーヌは退屈そうに天井を眺めた。
『あ、あが、あう…』
ガシッ!
再び口を塞がれる。
恐怖のあまり失禁してから、まだ漏らしていなかった事実に愕然とする。
シモーヌは1ミリも表情を変えずにゆっくりと右拳を高く振り上げ…
どぐちゃ!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
俺が意識不明から回復したのが8日後。
顔面複雑骨折からの回復には11ヶ月以上掛かるらしい。
「正室のシモーヌ・ギアである!!
聞けィ、有象無象共ッ!!
大殿の子は今日この日、私が孕んだッ!!
我が子ギリアムこそがポールソン家の嫡子であるッ!
不服のある者は剣で聞くぞッ!」
全裸で堂々と俺のゲルから出たシモーヌは、股から流れる赤い血を誇らしげに指差しながら高々と宣言した。
(絶対俺の血だよな。)
そして俺の駱駝を我が物顔で乗りこなすと陣中を走り回り大音声で5度宣言を繰り返した。
そして水と食糧を奪うと、颯爽と駆け去ってしまったとのこと。
今が原始時代なら烈女の鑑としてシモーヌを主役にした神話が作られたことだろう。
…もう令和なので頼むからアップデートして欲しい。
幾ら妻とは言え、夜這い女にボコられたというのは、対外的にあまりに体裁が悪いので軍駱調練の為に行軍を停止した事にする。
(実際、各種族が去勢や蹄鉄打ちを行ってくれたので嘘ではない。)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
取り敢えず、目が覚めたので摂政への報告書を執筆。
《北部辺境州の狩狼官は極めて優秀。
もう少し対話を尊重してくれると吉。》
後日宮殿に届いた返書。
《当該、狩狼官から申請あり。
【双頭狼の首を譲れ】と。》
摂政は当該狩狼官を気に入っており、その要望を是非とも叶えてやりたかったらしいが、かつて自由都市に敷かれていた動物保護法に基づき承認を断念したとのこと。
俺の名はポール・ポールソン。
42歳バツイチ、母から絶縁済。
何もかも思い通りに行かない人生なのに、それすら他人に理解されない。
【異世界紳士録】
「ポール・ポールソン」
コリンズ王朝建国の元勲。
大公爵・公王・総司令官
永劫砂漠0万石を所領とするポールソン大公国の国主。
「クレア・ヴォルコヴァ・ドライン」
四天王・世界銀行総裁。
ヴォルコフ家の家督継承者。
亡夫の仇である統一政府に財務長官として仕えている。
「ポーラ・ポールソン」
ポールソン大公国の大公妃(自称)。
古式に則り部族全体の妻となる事を宣言した。
「レニー・アリルヴァルギャ」
住所不定無職の放浪山民。
乱闘罪・傷害致死罪・威力業務妨害罪など複数の罪状で起訴され懲役25年の判決を受けた。
永劫砂漠に収監中。
「エミリー・ポー」
住所不定無職、ソドムタウンスラムの出身。
殺人罪で起訴されていたが、謎忖度でいつの間にか罪状が傷害致死にすり替わっていた。
永劫砂漠に自主移送(?)されて来た。
「カロッゾ・コリンズ」
四天王・軍務長官。
旧首長国・旧帝国平定の大功労者。
「ジミー・ブラウン」
ポールソン大公国宰相。
自由都市屈指のタフネゴシエーターとして知られ、魔王ダン主催の天下会議では永劫砂漠の不輸不入権を勝ち取った。
「テオドラ・フォン・ロブスキー」
ポルポル族初代酋長夫人。
帝国の名門貴族ロブスキー伯爵家(西アズレスク39万石)に長女として生まれる。
恵まれた幼少期を送るが、政争に敗れた父と共に自由都市に亡命した。
「ノーラ・ウェイン」
四天王・憲兵総監。
自由都市併合における多大な功績を称えられ四天王の座を与えられた。
先々月、レジスタンス狩りの功績を評されフライハイト66万石を加増された。
「ドナルド・キーン」
前四天王。
コリンズ王朝建国に多大な功績を挙げる。
大魔王の地球帰還を見届けた後に失踪。
「ハロルド・キーン」
帝国皇帝。
先帝アレクセイ戦没後に空位であった帝位を魔王ダンの推挙によって継承した。
自らを最終皇帝と位置づけ、帝国を共和制に移行させる事を公約としている。
「エルデフリダ・アチェコフ・チェルネンコ」
四天王筆頭・統一政府の相談役最高顧問。
前四天王ドナルド・キーンの配偶者にして現帝国皇帝ハロルド・キーンの生母。
表舞台に立つことは無いが革命後に発生した各地の紛争や虐殺事件の解決に大きく寄与しており、人類史上最も多くの人命を救済していることを統計官僚だけが把握している。
「リチャード・ムーア」
侍講・食糧安全会議アドバイザー。
御一新前のコリンズタウンでポール・ポールソンの異世界食材研究や召喚反対キャンペーンに協力していた。
ポールソンの愛人メアリの父親。
「ヴィクトリア・V・ディケンス」
神聖教団大主教代行・筆頭異端審問官。
幼少時に故郷が国境紛争の舞台となり、戦災孤児として神聖教団に保護された。
統一政府樹立にあたって大量に発生した刑死者遺族の処遇を巡って政府当局と対立するも、粘り強い協議によって人道支援プログラムを制定することに成功した。
「オーギュスティーヌ・ポールソン」
最後の首長国王・アンリ9世の異母妹。
経済学者として国際物流ルールの制定に大いに貢献した。
祖国滅亡後は地下に潜伏し姉妹の仇を狙っている。
「ナナリー・ストラウド」
魔王ダンの乳母衆の1人。
実弟のニック・ストラウドはポールソン大公国にて旗奉行を務めている。
娘のキキに尚侍の官職が与えられるなど破格の厚遇を受けている。
「ソーニャ・レジエフ・リコヴァ・チェルネンコ」
帝国軍第四軍団長。
帝国皇帝家であるチェルネンコ家リコヴァ流の嫡女として生を受ける。
政争に敗れた父・オレグと共に自由都市に亡命、短期間ながら市民生活を送った。
御一新後、オレグが粛清されるも統一政府中枢との面識もあり連座を免れた。
リコヴァ遺臣団の保護と引き換えに第四軍団長に就任した。
「アレクセイ・チェルネンコ(故人)」
チェルネンコ朝の実質的な最終皇帝。
母親の身分が非常に低かったことから、即位直前まで一介の尉官として各地を転戦していた。
アチェコフ・リコヴァ間の相互牽制の賜物として中継ぎ即位する。
支持基盤を持たないことから宮廷内の統制に苦しみ続けるが、戦争家としては極めて優秀であり指揮を執った全ての戦場において完全勝利を成し遂げた。
御一新の直前、内乱鎮圧中に戦死したとされるが、その詳細は統一政府によって厳重に秘匿されている。
「卜部・アルフォンス・優紀」
御菓子司。
大魔王と共に異世界に召喚された地球人。
召喚に際し、超々広範囲細菌攻撃スキルである【連鎖】を入手するが、暴発への危惧から自ら削除を申請し認められる。
王都の製菓企業アルフォンス雑貨店に入り婿することで王国戸籍を取得した。
カロッゾ・コリンズの推挙により文化庁に嘱託入庁、旧王国の宮廷料理を記録し保存する使命を授けられている。
「ケイン・D・グランツ」
四天王カイン・D・グランツの長男。
父親の逐電が準叛逆行為と見做された為、政治犯子弟専用のゲルに収容されていた。
リベラル傾向の強いグランツ家の家風に反して、政治姿勢は強固な王党派。
「ジム・チャップマン」
候王。
領土返納後はコリンズタウンに移住、下士官時代に発案した移動式養鶏舎の普及に尽力する。
次男ビルが従軍を強く希望した為、摂政裁決でポールソン公国への仕官が許された。
「ビル・チャップマン」
准尉→少尉。
魔王軍侵攻までは父ジムの麾下でハノーバー伯爵領の制圧作戦に従事していた。
現在はポールソン大公国軍で伝令将校として勤務している。
「ケネス・グリーブ(故人)」
元王国軍中佐。
前線攪乱を主任務とする特殊部隊《戦術急襲連隊》にて隊長職を務めていた。
コリンズ朝の建国に多大な貢献をするも、コリンズ母娘の和解に奔走し続けたことが災いし切腹に処された。
「偽グランツ/偽ィオッゴ/ゲコ」
正体不明の道化(厳密には性犯罪者)
大魔王と共に異世界に召喚された地球人。
【剽窃】なる変身能力を駆使して単身魔王軍の陣中に潜入し、摂政コレット・コリンズとの和平交渉を敢行。
王国内での戦闘不拡大と民間人保護を勝ち取った。
魔界のゴブリン種ンゲッコの猶子となった。
「ンキゥル・マキンバ」
公爵(王国における爵位は伯爵)。
元は遊牧民居留地の住民として部族の雑用に携わっていたが、命を救われた縁からコリンズ家に臣従。
王国内で一貫して統一政府への服従を呼びかけ続けた為、周辺諸侯から攻撃を受けるも粘り強く耐え抜いた。
御一新前からの忠勤を評価され、旧連邦アウグスブルグ領を与えられた。
「ヴィルヘルミナ・ケスラー」
摂政親衛隊中尉。
連邦の娼館で娼婦の子として生まれ、幼少の頃から客を取らされて育った。
コリンズ家の進軍に感銘を受け、楼主一家を惨殺して合流、以降は各地を転戦する。
蟄居処分中のケネス・グリーブを危険視し主君を説得、処罰を切腹に切り替えさせ介錯までを務めた。
「ベルガン・スプ男・ゴドイ」
魔界のオーク種。
父親が魔王城の修繕業に携わっていたので、惰性で魔王城付近に住み付いている。
大魔王コリンズの恩寵の儀を補助したことで魔界における有名人となった。
その為、異性に全く縁が無かったのだが相当モテるようになった。
以上の経緯から熱狂的なコリンズ王朝の支持者である。
「ヴォッヴォヴィ0912・オヴォ―」
魔界のリザード種。
陸上のみで生活しているという、種族の中では少数派。
その生活スタイルから他の魔族との会合に種族を代表して出席する機会が多い。
大した人物ではないのだが陸上リザードの中では一番の年長者なので、リザード種全体の代表のような扱いを受ける事が多い。
本人は忘れているが連邦港湾において大魔王コリンズの拉致を発案したのが彼である。
「レ・ガン」
元四天王。
魔王ギーガーの母(厳密には縁戚)
ギーガーの魔王就任に伴いソドムタウンにおける魔王権力の代行者となった。
在任時は対魔族感情の緩和と情報収集に尽力、魔王ギーガーの自由都市来訪を実現した。
「ジェームス・ギャロ」
ギャロ領領主。
現在行方不明中のエドワード王の叔父にあたる人物。
早くからエドワードと距離を置き、実質的な国内鎖国を行っていた。
能書家・雄弁家として知られる。
「ジョン・ブルース」
公王。
王国の有力貴族であったブルース公爵家が主家に独立戦争を挑み誕生したのが公国であり、ジョンは6代目にあたる。
武勇の誉れ高く王国・魔界に対して激しい攻撃を行う反面、綿密な婚姻政策で周辺の王国諸侯を切り崩していた。
「クュ07」
コボルト種の医官。
大魔王の侍医であったクュの孫娘。
紆余曲折あってコレット・コリンズの護衛兼愛人となった。
以前からポール・ポールソンの人格と能力を絶賛しており、即時抹殺を強く主張している。
「ニック・ストラウド」
ポール・ポールソンの義弟。
大公国建国後は旗奉行として軍事面から諸種族の取り纏めに奔走している。
エスピノザ男爵叛乱事件の鎮圧に大功あり南ジブラルタル13万石の領有を許された。
実姉ナナリーが魔王ダンの乳母に就任しその娘キキに尚侍の官職が与えられたことで、全世界からの嫉妬と羨望を集めている。
「ハワード・ベーカー」
大魔王財団理事長。
元は清掃会社の職員だったが、コリンズ家のソドムタウン入り直後に臣従。
大魔王パーティーの一員として、キーン・グランツと共にリン・コリンズを支えた。
主に(株)エナドリの代表取締役としてビジネス界から大魔王の覇業に貢献した事で知られる。
大魔王の経済テロの後始末に誠意をもって奔走したことで、世論からの信頼を勝ち取った。
「テオドラ・ヴォルコヴァ」
ヴォルコフ家前当主。
幼少時に実家が政争に敗れ族滅の憂き目に遭い、単身自由都市への亡命を余儀なくされた。
その後、紆余曲折あって清掃事業者ポールソンの妻となり一男一女を設ける。
統一政府の樹立と同時に旧臣を率いて帝国に電撃帰還、混乱に乗じて旧領を奪還した。
家督を財務長官クレア・ドラインに譲ってからは、領内で亡夫の菩提を弔う日々を送っている。
「シモーヌ・ギア」
大量殺人事件容疑者。
冒険者兼林業ヤクザとして高名だったギリアム・ギアが戦死後、その敵対勢力が尽く家族ごと失踪する事件が発生。
自由都市同盟治安局は妹のシモーヌを容疑者として捜査するも統一政府による国土接収で有耶無耶になった。
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異世界事情については別巻にて。
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