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【顛末記27】 財団理事長

かつてのソドムタウンにはジャック・ポールソンなる悪漢が居た。

暴力の権化のような男で、貧民窟から文字通り徒手空拳で這い上がった。

ジャックが子供から少年に差し掛かる頃、ソドムタウンでは富裕層向けの経済特区開発が始まっていたのだが、まさしく時流に乗った。

彼は悪徳不動産屋トッド・キーンの手先として自らが育ったスラムに情け容赦のない地上げを行ったのだ。


詳細は誰も教えてくれないが、数え切れない人命を奪ったとだけは聞いている。

ジャックはありとあらゆる罪を犯したが、治安局は逮捕どころか隠蔽を幇助すらした。

経済特区開発は国策の柱だったからだ。

当時の執行部は腐敗しきっており、カネの為なら何でもやった。

そして哀しい事に、未曾有の汚職政権は自由都市の最盛期を築いた。


賛否あれどジャックの蛮行の甲斐もあり、ソドムタウンは富裕区・貴族区という特権区域を産み出した。

世界中の貴族・資本家がこの両区に移住し、王国・帝国滅亡の遠因となった。

そして極めて皮肉な事に、ジャックの息子が半世紀後に参加した革命が富裕区と貴族区を焼き払い、その跡地が貧民に分配されるのだ。


最も腐敗した政権が史上最も豊かな国家を作り。

最も虐殺した政権が史上最も低負担な国家を築いた。

踏み躙れば踏み躙るほど民衆を益するのなら、民意とは何なのだろうか?


俺は唯一旧時代の名残を残す墓地に立ちながら、そんな事を考える。

いや、俺達の自由墓地が人民墓地などに改名されたと言うことは、名残すらないのだろう。


つまり結局何が言いたいかというと、ポールソン父子が半世紀掛けて故郷にもたらしたのは殺戮だけだったのだ。



「兄さん。

自分を責めるのはやめましょう。

それで救われた人が居る事も事実です。

貴族区や富裕区の存在は各国の共和主義者に希望を与えました。

御一新後に建てられた人民住宅は大好評です。

数だけで言えば、救われた者の方が遥かに多いのです。

それでいいではありませんか。」



『…かもな。』



最後に俺とロベールは墓碑に跪いて念入りに祈りを捧げる。

もう墓参りが出来るのもこれで最後だろう。

政治学的に最後の要排除対象が俺だからだ。

父さん、近いうちにそちらに参ります。



「…。」



ふと、遥か背後に人の気配が現れた。

空気の揺れがあまりに謙虚で篤実だったので、それが誰であるか問うまでも無かった。



『理事長、いつも墓碑を清めて下さっているのは貴方ですね。

申し訳ありません。

本来であれば長男の私に墓守の義務がありますのに。』



「昔の様にお呼び捨て下さい。」



『…もう、我々に昔はありません。』



「そうですか。

やはり、もうありませんか。」



沈痛な表情で深く一礼したのはハワード・ベーカー。

父の腹心であり、俺の傅役であり、(株)エナドリの二代目CEOであり、今では天下に名高い大魔王財団の理事長である。

いや、腹心というのは美化した言い方だな。

彼は長年薄給でこき使われてだけなのだから。

ベーカーは篤実な性格だったので父にいいように使われていた。

朝から晩まで酷使されていた。

父は酒に酔うと俺の前でベーカーの生真面目さを笑った。


「労働者はあれぐらいがいいんだ。

使う側のオマエは真似をしてはいかんぞ。」


薄給で使い続けている負い目も多少はあったのだろう。

ジャックは《課長》の肩書をベーカーに与えた。

酷薄な父にしては珍しいことだった。

それくらい労働者に冷酷な父だった。

彼は常に上だけを見ていた。


皮肉にも、ジャック・ポールソンが渇望した全てを使用人のハワード・ベーカーが手に入れた。

大魔王の富の大半はクレア・ドラインが管轄しているが、法人名義の債券や物資は(株)エナドリの代表であったベーカーが管轄している。

去り際の大魔王の命で全債権は放棄されたが、放棄の為の実務を担ったのがベーカーであり、その過程でいつの間にか世界経済の中枢にいた。


当然であろう。

大魔王は全世界の債券を無造作に買い占めた上に、自社の業務をベーカーに丸投げしていたのだから。

彼を中枢に据えねば、放棄作業そのものが不可能だったのだ。

その処理の過程でハワード・ベーカーは誠実さと勤勉さを遺憾無く発揮し、大魔王の後始末の範疇を越えて御一新後の経済に携わることとなった。


ジャック・ポールソンが一笑に付した美徳をコレット・コリンズは尊重した。

きっとそれこそが、この革命が成功してしまった理由なのだろう。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



遺言を託し合っておきたかったので、俺とベーカーはソドムタウンにある世界銀行の会議室を借りた。

(もはや俺達には私的な立ち話をする権利すら無い。)

ロベールも誘ったが、頑なに話に入ってくれなかった。

彼は自分が婿入りする以前のポールソン家の絆すらも愛してくれているのだ。


会議室の入り口にはドライン派の士官と摂政親衛隊の隊士が、直立不動の体勢で佇立している。

名目は護衛だったが、要は監視である。


彼女達は俺とベーカーの会話を一言一句聞き漏らさないように神経を研ぎ澄ませていた。

任務御苦労様である。



「総司令官職への御就任、おめでとうございます。

ますます坊っちゃんなどと呼べなくなりましたな。」



『いえ、まだ内示が出ただけです。

あいも変わらず坊っちゃんですよ。

理事長が送り迎えをして下さった時から何の進歩もありません。

大人になれないまま老いてしまいました。』



「所帯を持ったなら大人です。」



…所帯か。

持ったうちに入るのか?

所帯? 誰と?

妹? 元嫁? 囚人? 逃亡姫?

わからない、俺は誰と所帯を持ったのだろう。



「旦那様が御存命であれば、さぞや喜ばれたことでしょう。」



『そうだと心が救われるのですが…

ベーカー理事長の御活躍を見れば驚きながらも喜ぶとは思いますが。』



「どうでしょう。旦那様は…」



言い掛けてベーカーは黙り込んだ。

そうだな、旧部下の栄達を喜ぶような人では無いだろう。

ジャック・ポールソンは大魔王の帰還後、まもなく死んだ。

元々かなり弱っていたが、例の経済テロの少し前から入院しており、恐らくは祖国の激変を知らされずに死んだ。

俺が大魔王と共に魔界や首長国に行っていた事も周囲は伝えなかったらしい。


母テオドラは最期までジャックに貞節を尽くし、その死を看取った瞬間に帝国女に戻った。

クレアやノーラと結託して自由都市の接収に一役買うと、何事も無かったような顔でエルデフリダと共謀してヴォルコフ領を奪還した。

彼女があれだけの数の旧臣を糾合済みだったことを俺ですら知らなかったのだから、世間が意表を突かれたのも仕方のないことだろう。

テオドラ姫は半世紀ぶりの凱旋を果たしたのだ。

母から絶縁された俺とポーラが砂漠に向かい、放ったらかしになったポールソン清掃会社の後始末をしたのが、このベーカーであるのだ。



『父が貴方達に辛く当たっていた事をずっと詫びたいと思ってました。』



「謝罪など不要です。

行き場のない我々にとって、寮付きで雇ってくれる職場は貴重でした。」



『それにしたって…

人件費を抑え過ぎですよ。

父は罪深いと思います。

そして、その恩恵をのうのうと享受していた私も…』



それに関してベーカーは穏やかな微笑を浮かべたまま何も言わない。

俺が分不相応に博士号まで取得出来たのも、フラフラと遊び歩けていたのも、ポールソン家が彼らから搾取していたからなのだ。



『ポール様が、キーン不動産から富裕区案件を取って下さるようになってから、我々の暮らしも随分楽になりました。

感謝こそすれ、恨みはありません。』



「…。」



貧民が高給を得る為には、金持ちの雑用を引き受けるしか無いという事実を改めて認識する。

そして根本から自らを救済する為には…

コリンズ夫妻が行ったような大規模テロしかないのだろう。

金持ちを殺す以外に貧民が救われる方法は存在しない。

世界はその事実を知ってしまった。

だから統一政府は支持される。


掃除夫上がりのハワード・ベーカーは革命の正義を体現する存在だ。

大衆はベーカーの貧民特有の体型や顔つきを見て、統一政府への支持を深める。

政治が貴族の独占物ではなくなった事を実感出来るからである。


あれほど俺を警戒しながらも、ベーカーを重用し続けるコレット・コリンズはやはり天性の政治家であると確信する。

贔屓目に見ても史上五指に入る統治センスと言えるし、手際良く俺を処刑台に送ったなら間違いなく歴史上最高の為政者としての評価を確立することだろう。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「スキルについてずっと考えてました。」



『スキル?』



摂政親衛隊から派遣されているペレス中尉とカスティヨン軍曹が無言で顔を合わせた。

監視側からして、あまり好ましい話題ではないのだろう。



「ええ、スキルとはそもそも何なのだろう?

大魔王様にお目に掛かってから、ずっとそう考えておりました。」



『いや…

何だと言われても。

骨格や知能のように、個々に紐づいた個性としか言いようがありません。

天の賜物としか…』



スキルは神が各々の資質に応じて授ける特別な恩寵。

我々人類は古来よりスキルの力を借りて文明を築き上げて来た。



「昔なら、その説明で良かったのだと思います。

現に私も両親や教師からそう教わりました。」



親衛隊の表情がやや険しくなる。

当然だろう。

統一政府は大魔王の強大極まりないスキルによって成立したのだから。

スキルへの疑念は体制批判に繋がりかねない。



「御存知の通り、旦那様のスキルは【決闘者ラストマンスタンディング】。

一対一の果し合いを強制する能力です。」



『あの人らしいですよね。

若い頃はスキルで恫喝して周囲の皆様を圧迫し続けたと聞いています。』



晩年こそ痩せ細っていたがかつての父は筋骨隆々の大男であり、凶相も相まって人々は目を合わせる事すら憚ったと言う。

そんな奴が決闘を強要するスキルまで持っていたら…怖くて誰も逆らえなかったことだろう。



「一方、私のスキルは【細心チェック】。

仕事の抜けや漏れを発見し易くなる能力です。

子供の頃は《如何にも小心者向けのスキルだ》と皆に笑われたものです。」



『いえいえ!

とんでもないです。

ベーカー理事長が丁寧に現場に目配りして下さっていたからこそ、家業は成り立っておりました。』



「そう言って下さるのはポール様くらいのものですよ。

ですが、若い頃は【剣術】とか【格闘】とか、そういう武張った能力を持ってる連中が女受けも良くて。

私などは鼻で笑われる存在でした。

今でも、スキルの話をするのは怖いんです。

また昔みたいに笑いものになるのではないか、と。」



ベーカーが親衛隊を振り返るも気まずそうに目を逸らされてしまう。

まあ、そういうことだ。



「特に思想的な方向に話を進めたい訳ではないのです。

ただ、こういう分不相応な地位を得たことで卜部様や工藤様とお話しする機会に恵まれて、地球にはスキルの概念がないことを知りました。

でも口ぶりからして彼らは高度な文明を築いておられる。」



『きっと彼らは勤勉なのでしょう。』



口ではそう言ったものの、地球人が怠惰で浅薄な人種であることは俺達の共通認識になっている。

少ないサンプル数で断定するのは危険だが、それでも文明全体の傾向としてあまり物を突き詰めて考える習慣がないように感じた。

摂政の手前もあり口に出す者は居ないが、地球人はやや愚鈍な傾向があると皆が薄々感じ取っている。


そんな性根の連中がスキルも使わずに我々を上回る高度な文明を築いている。

何故?

それがベーカーの疑問。


ただ、統一政府が大魔王の奇跡を正当性の拠り所にしている以上、この話題は危険だ。

親衛隊もやや困惑した表情をしている。


分別は人並み以上に付く男だ。

この監視下で俺に対してスキルへの疑念を漏らすリスクが分からない筈もないが…

何が言いたい?


考えろ。

考えろ、俺。

この監視体制の下でベーカーがわざわざリスキーな話題を選んだ理由を。

政治状況を鑑みれば、俺とベーカーが再会する可能性はもう無いだろう。

となると、これは実質的な遺言だ。

この男がそんな重要な場面で無駄話をする訳がない。



「いやあ、子供の頃から馬鹿にされ続けていたので、地球の皆さんが羨ましいです。

大魔王様を筆頭にランクの高いスキルばかり貰えたのですから。

妬むしか出来ない凡人は哀しいものですなぁ。

私も何処かに転移してチートを貰いたかったですねぇ。

いゃあ、結局世の中なんてチートスキルが全てですよ。」



ベーカーは冗談めかして自らを叩頭しながら話を締めくくった。



「ポール様。

ご多忙の中、与太話に付き合わせてしまって申し訳ありません。」



穏やかな笑顔でベーカーは立ち上がり、俺の肩を抱いて退出を促した。



「それでは、また。

今度は何か美味いものでも食わせて下さい。」



彼は親衛隊に礼を述べてから、背中越しに手を振ってそのまま去って行った。

ペレス中尉とカスティヨン軍曹は少しだけ考え込んでいたが、すぐに我に返り俺に敬礼して建物に戻って行った。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



陣への帰路、ずっとベーカーの謎掛けの真意を考える。

そう、あれは意味のあるメッセージなのだ。


彼は口が裂けても馳走を強請るような男ではない。

それに非常に礼儀正しい性格なので、幾ら俺が相手でも背中越しに手を振るような非礼は絶対に働かない。

わざわざそういう不自然な挙動を行って見せたということは、それ自体が合図なのだ。



スキルと地球人。

ベーカーは俺に何を伝えようとした?



『なぁ、ゲコ君。』



「どもども公王様。

墓参りは無事に終わりましたか?」



『親不孝を再認識しただけだなぁ。

相手が親だから一応の孝心を向けているだけで、社会的には普通に悪い人だったからなぁ。』



「まあまあ、親は親ですやん。

孝行なさったらええですやん。

ボクはせーへんけど…」



『なぁ、ゲコ君。

地球人って全員チートなの?』



「え?」



『いや、資料を見る限り。

君や大魔王も含めて珍奇なスキルの持ち主が多いからさ。』



「うーん、ボクらもこつちの世界の人らのスキルをそこまで知ってる訳やないんで、比較は難しいんですけど…

教団の人は《レアの豊作》って喜んでました。」



『教団の連中はスキルが好きだったからなぁ。』



スキル文化もすっかり廃れた。

昔なら戦闘系スキルの錬磨に没頭してた連中が、今ではトルーパーの搭乗員試験に夢中だからな。

確かに若い奴らの言う通りスキルなんて野蛮な旧時代の遺物で、トルーパーこそが文明的な兵器なのかも知れんな。

文明を殺戮効率と定義すればの話だが。



「何で教団はあんなにスキルに執着してたんでしょうね?」



『職業柄、神という超常に祈り続けているからな。

人知の範疇外に意識が向きがちなんじゃないか?』



「アレは行き過ぎやと思うんですけどね。

その割にポンコツ打出小槌クンを取りこぼすし、結局彼らが何をしたかったのか分からずじまいでしたわ。」



『ははは、何ってアイツらは本気で神を…』



…神?

そうだ、思い出した。

大魔王騒動の本命は神なのだ。


神聖教団が神の顕現を目指していたのは、一部では有名な話だ。

俺も昔、奴らが召喚したモンスターと戦ったことがある。

教団は神を呼び出す為に手当たり次第に様々なモンスターを召喚していた。

エルデフリダの祖父・ウラジミール7世の治世では莫大な資金援助を受けていたが、召喚に懐疑的なリコヴァ流が主流派となってからは、王国に寄生して召喚研究を続けた。

故に、大魔王達は王国に呼び出された訳だ…

そうか…

教団はモンスター召喚を極めた後、人間の召喚に成功した。

彼らがコリンズ母娘に殲滅されなければ、必ずや神の召喚に着手していただろう。


まったく、坊主共は金の亡者の癖に召喚関連だけは湯水のように…

待てよ、おかしい。

リアリストの集団にしては、予算の掛け方が過大過ぎやしないか。

…それこそまるで、神の実在を確信しているかのように。


分からない。

ベーカーは俺に何を伝えたかった?



  「私も何処かに転移して

  チートを貰いたかったですねぇ。」



最後の彼の呟き。

【転移】【チート】【スキル】【地球】

そうだよな。

どう考えても、《意識をそちらに振り向けよ》という忠言だよな。

ハワード・ベーカーは俺の【清掃(クリーンアップ)】を詳しく知る数少ない一人だ。

つまり俺がチート持ちである事を認識している。

スキルをもっと積極的に使え、ということだろうか。



『なぁ、ゲコ君。

何か飯でも奢ってやろうか?』



「えー、いりませんわ。

どうせゴブリン団子ですやん。」



『君はゴブリンなんだから喜んで食えよ。』



「いやいや、ボクの実家は菓子屋やって言ったやないですか。

倉敷のOEM案件を受けてた時期に死ぬほど残りモンを食わされたんですわ。

吉備団子なんて食い飽きてますよー。」



『キビ?』



隣で話を聞いていたレ・ガンが補足する。



「そこらに生えてる雑草だよ。

ほら、旦那も見たことがある筈だよ。

荒野に生い茂ってるアレ。

アレの粒。」



『どうして雑草なんか…』



言いかけて己を恥じる。

人間種に農地を奪われたから、ゴブリン種は雑草を主食にせざるを得なくなったのだ。



「小麦や稲より丈夫だから、地下でも栽培出来るんだよ。

栽培して団子にするのが女衆の役目。

私も嫁いだばかりの頃はお姑さんに叱られながら団子を作ったものさ。」



何事も無かったかのようにレ・ガンは続ける。

なるほど、地球人もゴブリン団子を食すのか。

彼らは吉備団子と呼ぶようだが。



『ゲコ君の世界ではご馳走なの?』



「どうでしょう。

犬とか猿に食わせる物ですからねぇ。」



『おいおい、社会的地位低いなー。

私にとってはご馳走なんだぞー。』



「あー、でも親父が岡山行った帰りは土産で買って来ますし、人間種も普通に食べますよ?」



『ふーん。

犬に食わせるものを土産にするのかい?』



「ええ、商工会で配ったらみんな喜んでましたし、失礼には当たらないポジションの菓子ですねぇ。」



ゲコがそう言った事でレ・ガンやスプ男もゴブリン団子談義に盛り上がり、互いの種族の食性について機嫌よく語り合った。

(嘘か真か地球人はまるでリザードの様に練り固めた昆布も食べるらしい。)

俺はにこやかに皆の話に頷きながらも、ベーカーの真意をずっと考え続けていた。

ハワード・ベーカーは無学ながらも地頭は良い。

あれは重要な助言だった筈なのだ。



「それで学校行事でチマキが配られた時に、喉に詰まらせたアホがトイチ君なんですわ。」



いつの間にか話題は大魔王の地球時代に移っていた。



「チマキで死にかけるの彼くらいのモンですよ。

それで世話係の岩田君も呆れて、ホンマに手間の掛かるやっちゃなーって…

ボクらの下の学年からチマキ貰えなくなったらしいですからね。

アイツ、ホンマに迷惑ばっかり掛けおるわ。」



冗談めかしているが、ゲコの言葉の端々に大魔王への軽侮が浮かぶ。

そう、世界が首を捻り続けた大魔王最大の謎。


【何故、大魔王パーティーには同胞である地球人が一人も居なかったのか?】


答えは極めてシンプル。

リン・コリンズは地球でのスクールカーストがとても低かったからだ。

(俺も極めて低かったので痛いほど理解出来る。)

だから、どんなチートスキルを持ったところで地球同胞は断じて彼を敬わなかったし、日頃からそんな扱いを受けていたから大魔王も級友を誘わなかったのだろう。


思えば、互いに冷淡だった。

大魔王は亡命に際して級友全員を見捨てたし、級友は彼が位人臣を極めても祝辞1枚寄越さなかった。

最も付き合いが深かった筈の荒木鉄男とも終始口論が絶えなかったしな。


  

  「いやあ、結局世の中なんて

  チートスキルが全てですよ。」



再度、ベーカーの呟きがフラッシュバックする。

本当に《チートスキルが全て》と思っていたのなら、わざわざそれを口に出す筈もない。

逆なのだ。

…あれは、《チートスキル以外に着目せよ》という趣旨の発言だったのではないだろうか?

大魔王への過大評価を戒めさせたかったのか?

そう、確かにリン・コリンズはスキル性能こそ突出していたが、彼個人は天下を統一するほどの器量ではない。


…いや、違うな。

それは暗黙の公知事項だ。

彼はそれを言いたかった訳ではない。

もっと本質的な忠告だったのではないか?


理由は明白。

ベーカーは俺が【清掃(クリーンアップ】の理不尽な効力に悩んでいることを知る数少ない1人だからである。

俺の内面をかなり知ってくれている存在なのだ。


わからない。

まるでわからないが…

スキルや地球にもっと着目すべきであるとの警鐘と解釈しても的外れではないだろう。



「公王様。

公王様!」



ゲコに身体を乱暴に揺すられて我に返る。

どうやら思索に没頭し過ぎたらしい。



『ああ、すまん。』



「しっかりして下さいよぉ。

明日の朝イチから帝都に向けて行軍ですよ。

アレコレとノルマが課せられてるんでしょ?」



『そうだな。

幾つかの自治体で講演をするように命じられている。』



統一政府の経済政策って俺の論文がベースになってるからな。

世間に対して説明義務があるんだよな。

特にこれから通過する山林地帯…

かつては北部地方州と呼ばれた地域は開発が遅れているので、誰かが慰撫する必要があるのだ。

やはり色々と因縁のある俺が訪問するべきなのだろう。

本当は帝都経由で帰りたいのだが…

まぁ、社会的地位と比例して無くなるのが、本来の自由だからな。

愚痴は言うまい。



『なぁ、ゲコ君。』



「今度は何ですか?」



『どうして大魔王にチートが宿ったんだと思う?』



「うーん、ボクの解釈は違いますね。」



『?』



「転移した全員がチート的な異能を持ってました。

無論、スキルを隠してる奴もおりましたけど…

それでも全員が物語の主人公になれる異能者でした。」



『え?

君も?』



「エロ同人の竿役になる自信はあります。」



『若いなー。』



2人でしばしクスクス笑う。



「結局トイチ君はねぇ。

最初から悪魔やったんですわ。

一番チカラ持たせたらアカン奴ですやん、アイツ。

そんな奴にチートが備わってしまった。

そらぁ天下獲りおるでしょ。

ただそれだけの話なんとちゃいます?」



『そうか?

悪魔ではないと思うぞ。

私は彼への好感度、結構高いけどな。

ドナルドの奴やグランツ氏も絶賛してたし…

故人だけど、フェルナン王子にケネス・グリーブも《理想の主君》と評していた。』



「それなんですよ。」



『?』



「アイツはアルファオスに取り入る天才なんです。」



『え?

取り入るって…』



「言葉の通りなんです。

ボクも最近まで気付けなかったんですけど…

カネ云々はアイツの本質では無いんです。

数あるチートの一形態ですよ、あんなもん。」



『いやいや!

資産に利息が付き続けるんだよ。

無敵じゃないか。』



「そんなん所詮、カネ増やすだけですやん。

包丁で刺されたら、そこまでのB級能力ですやん。

ラノベのバトロワジャンルやったら、必死で札束抱えて真っ先に死ぬポジションですよ、アイツ。」



『あ、いや。

彼は体格的にも恵まれてないし、自由都市に着いた時は障碍も負っていたから…

皆で生命を賭けて守ろうって話になって…

グランツやグリーブも意欲に燃えてて…』



「カネの為ですか?」



『それは違う!

彼らは本物の男だよ!

カネなんかの為に動く訳がない!

確かに口では資産運用を謳っていたが、本心から大魔王を案じて時には自腹を切ってまでその覇業を支えていた!』



「…つまり、それがアイツの恐ろしさなんです。

今、改めて確信しました。

1流の男を籠絡する天才なんですよ、アイツは。

現にウチのクラスで剣聖称号まで授けられた猛者が居たんですけど、平原の奴も地球に居る頃からトイチ贔屓でしたからね。」



『籠絡って人聞きが悪いなぁ。

不敬罪だぞ、それ。

アルファオス特効?

無い無い。

根拠が無いよ、そんなバカげた話。

俺はギークだから分かるけど、アルファの連中は籠絡なんてされないよ。』



「…ギークねぇ。」



『兎に角、誰が何と言おうと俺はリン君の味方だから。』



「…アンタ程の人がそこまで入れ込んでるのが何よりの証拠や。(ボソッ)」



結局、判明したのは地球人の大魔王軽視だけだった。

ベーカーはこれを伝えたかったのだろうか?

いずれにせよ、彼のお陰で地球人の大魔王観がより鮮明になった。

大魔王関連で地球人の助力を得ることは難しいだろうな。


まぁ、いい。

明日は早朝に発たねばならない。

思索はまた今度だ。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



俺はレ・ガンが発見したイエローベアの巣穴に間借りして身体を休める。

ジミーは《ゲルで寝ろ》と煩いが、熊の巣穴の方が暖かくて居心地がいいんだよ。

ゲコも最近はすっかりゴブリン生活が板に付いてきて、熊の巣穴拡張を手伝うようになったしな。

飛び散った土を俺がスキルで消し去るとベアー達は上機嫌になる。

そりゃあね、住処が広く清潔になるのなら皆喜んでくれるさ。


スプ男がリンゴを採って来てイエローベアの親子に贈呈し、肩を抱き合って談笑を始める。

(完全ではないものの、オークとベアはそこそこ意思疎通可能。)

俺も子熊と並んでリンゴを貪る。



『御婦人。

スキルに拠らない異能など存在するのでしょうか?』



レ・ガンが瓢箪酒を勧めてくれた際にそう尋ねる。



「あるだろうさ、幾らでも。」



『いえ、異能と言ってもそんじょそこらの芸達者ではなく。

理不尽極まりないレベルの異能のことです。

しかもステータス表に記載されない形の。

私は、流石にそういう物は実在しないと思うのですが…

ゲコ君があると言い張っておりまして。』



「ふーーん、なるほどねえ。

あ、旦那。

甘瓜を採って来たから、奥の子熊ちゃん達と分けてお食べ。」



『お、いいですね。

丁度、小腹がすいていたのです。


やあ、君達。

こちらの御婦人からの贈答だ。

皮を剥いてあげるから、一緒に食べよう。』



俺は甘瓜の皮を毟ると、果肉だけを幼い子熊達に食わせてやる。

母熊が恐縮したように頭を下げたので俺は言う。



『いえいえ。

宿を借りている身なのですから、これくらいはさせて下さいよ。』



幼熊は腹を減らしてたようなので、残りの甘瓜も剥いてやることにした。



「旦那。」



『はーい?』



「スキル欄に載らない異能の正体を教えてやろう。」



『え?

あ、はい。

是非。』



「魂の傾斜。

これはスキルの様な後天物とは違って天性の資質だ。

天も神も関係ない。

だからステータス欄には載らない。」



『??』



「本物は本物であるが故に最強なのさ。

スキルだのチートだのは大した問題じゃぁない。」



レ・ガンはたまに意味ありげな物言いをする。

それはゴブリン女性特有のものなのか、と尋ねようとするも幼熊に強請られたので、皮むきの続きに没頭する。



「自覚がないから周囲もその異常性が異能の域に到達している事に気付けない。

だから本物と対峙させられる側は常に後手を踏まされる。

そんな怪物がチートスキルまで備えてしまったら…

世界にとっての脅威以外の何物でもないだろうね。」



俺はレ・ガンの呟きを聞きながら、幼熊達と共にイエローベアの腹を枕にして身体を休めた。



『要するに、異常者はその精神性だけでスキル並みの脅威だから、チートスキルまで身に着けたら警戒しろって話ですよね?』



「何だい、わかってるじゃないか。」



『それくらいは理解してますよ。

異常者共には手を焼かされてきましたからね。

確かにあの変人共が特異なスキルまで備えてるのは社会にとって不利益しかないですよね。

はいはい、一人の常識人としてちゃんと対処しますよ。』



「え? 常識人?」



『ベーカー理事長のメッセージはしかと受け取りました。

俺も大人ですからね。

異常者達には頑張って対処していきます。』



「え? いや、自覚ぅ…」



あー、なるほどね。

ベーカーが言いたかったのは、そういう事か。

確かに狂人が尖ったスキルを持っちゃうと社会へのダメージ大きいよな。

分かる分かる。

俺やベーカーもあのキチガイ共には苦労させられたからな。

我が父ジャックを筆頭にキーン夫妻なんかもそうだよな。

わかるわかる。

アイツラには手を焼かされたからね。

(エルデフリダに至っては神代の召喚魔法を使えると言い張っていたが、本当だったらとんでもない事になるよな。

あの女の誇大妄想にも困ったものだ。)


いやー、確かにそうだわ。

チートや刃物を持ったキチガイなんて早急に駆除すべきだよな、わかるわかる。

いやー、流石はベーカーだ。

最後に実に有意義な警告をしてくれた。


うん、そうだな。

俺も常識人の1人として、チート持ちキチガイの取り締まりには全力を尽くそう。


そんな決意を胸に全ての雑音を【清掃(クリーンアップ)】してから、母熊の腕の中で幼熊達を抱きしめて俺は眠りについた。

【異世界紳士録】



「ポール・ポールソン」


コリンズ王朝建国の元勲。

大公爵。

永劫砂漠0万石を所領とするポールソン大公国の国主。



「クレア・ヴォルコヴァ・ドライン」


四天王・世界銀行総裁。

ヴォルコフ家の家督継承者。

亡夫の仇である統一政府に財務長官として仕えている。



「ポーラ・ポールソン」


ポールソン大公国の大公妃(自称)。

古式に則り部族全体の妻となる事を宣言した。



「レニー・アリルヴァルギャ」


住所不定無職の放浪山民。

乱闘罪・傷害致死罪・威力業務妨害罪など複数の罪状で起訴され懲役25年の判決を受けた。

永劫砂漠に収監中。



「エミリー・ポー」


住所不定無職、ソドムタウンスラムの出身。

殺人罪で起訴されていたが、謎忖度でいつの間にか罪状が傷害致死にすり替わっていた。

永劫砂漠に自主移送(?)されて来た。



「カロッゾ・コリンズ」


四天王・軍務長官。

旧首長国・旧帝国平定の大功労者。



「ジミー・ブラウン」


ポールソン大公国宰相。

自由都市屈指のタフネゴシエーターとして知られ、魔王ダン主催の天下会議では永劫砂漠の不輸不入権を勝ち取った。



「テオドラ・フォン・ロブスキー」


ポルポル族初代酋長夫人。

帝国の名門貴族ロブスキー伯爵家(西アズレスク39万石)に長女として生まれる。

恵まれた幼少期を送るが、政争に敗れた父と共に自由都市に亡命した。



「ノーラ・ウェイン」


四天王・憲兵総監。

自由都市併合における多大な功績を称えられ四天王の座を与えられた。

先々月、レジスタンス狩りの功績を評されフライハイト66万石を加増された。



「ドナルド・キーン」


前四天王。

コリンズ王朝建国に多大な功績を挙げる。

大魔王の地球帰還を見届けた後に失踪。



「ハロルド・キーン」


帝国皇帝。

先帝アレクセイ戦没後に空位であった帝位を魔王ダンの推挙によって継承した。

自らを最終皇帝と位置づけ、帝国を共和制に移行させる事を公約としている。



「エルデフリダ・アチェコフ・チェルネンコ」


四天王筆頭・統一政府の相談役最高顧問。

前四天王ドナルド・キーンの配偶者にして現帝国皇帝ハロルド・キーンの生母。

表舞台に立つことは無いが革命後に発生した各地の紛争や虐殺事件の解決に大きく寄与しており、人類史上最も多くの人命を救済していることを統計官僚だけが把握している。



「リチャード・ムーア」


侍講・食糧安全会議アドバイザー。

御一新前のコリンズタウンでポール・ポールソンの異世界食材研究や召喚反対キャンペーンに協力していた。

ポールソンの愛人メアリの父親。



「ヴィクトリア・V・ディケンス」


神聖教団大主教代行・筆頭異端審問官。

幼少時に故郷が国境紛争の舞台となり、戦災孤児として神聖教団に保護された。

統一政府樹立にあたって大量に発生した刑死者遺族の処遇を巡って政府当局と対立するも、粘り強い協議によって人道支援プログラムを制定することに成功した。



「オーギュスティーヌ・ポールソン」


最後の首長国王・アンリ9世の異母妹。

経済学者として国際物流ルールの制定に大いに貢献した。

祖国滅亡後は地下に潜伏し姉妹の仇を狙っている。



「ナナリー・ストラウド」


魔王ダンの乳母衆の1人。

実弟のニック・ストラウドはポールソン大公国にて旗奉行を務めている。

娘のキキに尚侍の官職が与えられるなど破格の厚遇を受けている。



「ソーニャ・レジエフ・リコヴァ・チェルネンコ」


帝国軍第四軍団長。

帝国皇帝家であるチェルネンコ家リコヴァ流の嫡女として生を受ける。

政争に敗れた父・オレグと共に自由都市に亡命、短期間ながら市民生活を送った。

御一新後、オレグが粛清されるも統一政府中枢との面識もあり連座を免れた。

リコヴァ遺臣団の保護と引き換えに第四軍団長に就任した。



「アレクセイ・チェルネンコ(故人)」


チェルネンコ朝の実質的な最終皇帝。

母親の身分が非常に低かったことから、即位直前まで一介の尉官として各地を転戦していた。

アチェコフ・リコヴァ間の相互牽制の賜物として中継ぎ即位する。

支持基盤を持たないことから宮廷内の統制に苦しみ続けるが、戦争家としては極めて優秀であり指揮を執った全ての戦場において完全勝利を成し遂げた。

御一新の直前、内乱鎮圧中に戦死したとされるが、その詳細は統一政府によって厳重に秘匿されている。



「卜部・アルフォンス・優紀」


御菓子司。

大魔王と共に異世界に召喚された地球人。

召喚に際し、超々広範囲細菌攻撃スキルである【連鎖】を入手するが、暴発への危惧から自ら削除を申請し認められる。

王都の製菓企業アルフォンス雑貨店に入り婿することで王国戸籍を取得した。

カロッゾ・コリンズの推挙により文化庁に嘱託入庁、旧王国の宮廷料理を記録し保存する使命を授けられている。



「ケイン・D・グランツ」


四天王カイン・D・グランツの長男。

父親の逐電が準叛逆行為と見做された為、政治犯子弟専用のゲルに収容されていた。

リベラル傾向の強いグランツ家の家風に反して、政治姿勢は強固な王党派。



「ジム・チャップマン」


候王。

領土返納後はコリンズタウンに移住、下士官時代に発案した移動式養鶏舎の普及に尽力する。

次男ビルが従軍を強く希望した為、摂政裁決でポールソン公国への仕官が許された。



「ビル・チャップマン」


准尉→少尉。

魔王軍侵攻までは父ジムの麾下でハノーバー伯爵領の制圧作戦に従事していた。

現在はポールソン大公国軍で伝令将校として勤務している。



「ケネス・グリーブ(故人)」


元王国軍中佐。

前線攪乱を主任務とする特殊部隊《戦術急襲連隊》にて隊長職を務めていた。

コリンズ朝の建国に多大な貢献をするも、コリンズ母娘の和解に奔走し続けたことが災いし切腹に処された。



「偽グランツ/偽ィオッゴ/ゲコ」


正体不明の道化(厳密には性犯罪者)

大魔王と共に異世界に召喚された地球人。

剽窃(パクり)】なる変身能力を駆使して単身魔王軍の陣中に潜入し、摂政コレット・コリンズとの和平交渉を敢行。

王国内での戦闘不拡大と民間人保護を勝ち取った。

魔界のゴブリン種ンゲッコの猶子となった。



「ンキゥル・マキンバ」


公爵(王国における爵位は伯爵)。

元は遊牧民居留地の住民として部族の雑用に携わっていたが、命を救われた縁からコリンズ家に臣従。

王国内で一貫して統一政府への服従を呼びかけ続けた為、周辺諸侯から攻撃を受けるも粘り強く耐え抜いた。

御一新前からの忠勤を評価され、旧連邦アウグスブルグ領を与えられた。



「ヴィルヘルミナ・ケスラー」


摂政親衛隊中尉。

連邦の娼館で娼婦の子として生まれ、幼少の頃から客を取らされて育った。

コリンズ家の進軍に感銘を受け、楼主一家を惨殺して合流、以降は各地を転戦する。

蟄居処分中のケネス・グリーブを危険視し主君を説得、処罰を切腹に切り替えさせ介錯までを務めた。



「ベルガン・スプ男・ゴドイ」


魔界のオーク種。

父親が魔王城の修繕業に携わっていたので、惰性で魔王城付近に住み付いている。

大魔王コリンズの恩寵の儀を補助したことで魔界における有名人となった。

その為、異性に全く縁が無かったのだが相当モテるようになった。

以上の経緯から熱狂的なコリンズ王朝の支持者である。



「ヴォッヴォヴィ0912・オヴォ―」


魔界のリザード種。

陸上のみ生活しているという、種族の中では少数派。

その生活スタイルから他の魔族との会合に種族を代表して出席する機会が多い。

大した人物ではないのだが陸上リザードの中では一番の年長者なので、リザード種全体の代表のような扱いを受ける事が多い。

本人は忘れているが連邦港湾において大魔王コリンズの拉致を発案したのが彼である。



「レ・ガン」


元四天王。

魔王ギーガーの母(厳密には縁戚)

ギーガーの魔王就任に伴いソドムタウンにおける魔王権力の代行者となった。

在任時は対魔族感情の緩和と情報収集に尽力、魔王ギーガーの自由都市来訪を実現した。



「ジェームス・ギャロ」


ギャロ領領主。

現在行方不明中のエドワード王の叔父にあたる人物。

早くからエドワードと距離を置き、実質的な国内鎖国を行っていた。

能書家・雄弁家として知られる。



「ジョン・ブルース」


公王。

王国の有力貴族であったブルース公爵家が主家に独立戦争を挑み誕生したのが公国であり、ジョンは6代目にあたる。

武勇の誉れ高く王国・魔界に対して激しい攻撃を行う反面、綿密な婚姻政策で周辺の王国諸侯を切り崩していた。



「クュ07」


コボルト種の医官。

大魔王の侍医であったクュの孫娘。

紆余曲折あってコレット・コリンズの護衛兼愛人となった。

以前からポール・ポールソンの人格と能力を絶賛しており、即時抹殺を強く主張している。



「ニック・ストラウド」


ポール・ポールソンの義弟。

大公国建国後は旗奉行として軍事面から諸種族の取り纏めに奔走している。

エスピノザ男爵叛乱事件の鎮圧に大功あり南ジブラルタル13万石の領有を許された。

実姉ナナリーが魔王ダンの乳母に就任しその娘キキに尚侍の官職が与えられたことで、全世界からの嫉妬と羨望を集めている。



「ハワード・ベーカー」


大魔王財団理事長。

元は清掃会社の職員だったが、コリンズ家のソドムタウン入り直後に臣従。

大魔王パーティーの一員として、キーン・グランツと共にリン・コリンズを支えた。

主に(株)エナドリの代表取締役としてビジネス界から大魔王の覇業に貢献した事で知られる。

大魔王の経済テロの後始末に誠意をもって奔走したことで、世論からの信頼を勝ち取った。



「テオドラ・ヴォルコヴァ」


ヴォルコフ家前当主。

幼少時に実家が政争に敗れ族滅の憂き目に遭い、単身自由都市への亡命を余儀なくされた。

その後、紆余曲折あって清掃事業者ポールソンの妻となり一男一女を設ける。

統一政府の樹立と同時に旧臣を率いて帝国に電撃帰還、混乱に乗じて旧領を奪還した。

家督を財務長官クレア・ドラインに譲ってからは、領内で亡夫の菩提を弔う日々を送っている。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



異世界事情については別巻にて。

https://ncode.syosetu.com/n1559ik/

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