【降臨112日目】 所持品 梅干2袋 『時間は資本(オレ)の味方である。』
俺の名は遠市厘。
宇宙最強の大魔王だ。
ビックマウスじゃない。
ちゃんと実績がある。
何せ4か月で異世界征服をした程だからな。
残念ながら、地球ではまだ何の実績もない。
だが、後9日残ってる。
男なら出来得る限りの爪痕を残すべき場面なのではないだろうか?
よーし、頑張るぞい♪
「…おい、トイチ。」
『何ですか?先生。』
「オメー、四国脱出の為のとっておきの秘策があるって言ったよニャあ?」
『言ったかもですねぇ。』
「こんニャくだらねえ方法は作戦とは言わねえニャガよ!」
『大声出さないで下さいよお。
見つかっちゃうでしょ。』
「ぐにゅにゅ。
テメー、後で覚えろよ。」
大阪を目指す俺達3人は埴渕所有の出荷用トラックに乗って阿南を出発した。
荷台に満載された泥だらけのレンコン。
俺達はそこに潜り込んでいた。
橋かフェリーかの2択。
淡路島はヒルダの腹心にして国家公安委員長・宇崎紘子の地盤なので、鳴門大橋ルートだけはどうしても選ぶ気になれなかった。
消去法でフェリー。
早朝2時45分の出発。
本当なら乗りたくなかった。
最近のフェリーは管轄の水上警察職員が必ず乗り込む決まりになっているらしいからな。
船は見つかった時の逃げ場がないから怖いのだ。
たまに松村が騒ぎ掛ける他は何とか3人で気配を殺してレンコンと一体化する。
自分がレンコンだと言い聞かせる。
『レンコンレンコン♪
リン子はレンコンですぅ♪』
「レンコンレンコン♪
ボクはレンコンなのだ♪」
「レンコンレンコ…
キッショ! やってられっか!!
奈々ちゃんは迎合しないニャガよ!」
たまに足音が荷台のすぐ横を通る。
無線を使いながら歩いているので、或いは警官かも知れなかった。
また、この日は波が非常に高かったので、揺れとの戦いにもなった。
俺と光戦士は固く手を握り合い無事の渡海を祈り続けていた。
「あれ?
奈々ちゃんの手は誰が握るニャ?」
「大丈夫だよ。
リン兄ちゃんにはボクが付いてるのだ。
(キュッ)」
『うふふ。
頼もしいですぅ。
(キュッ)』
「あれ?
チ●ポが2本もあるのに計算合わないニャガよ?
ねぇねぇ、奈々ちゃんの手は誰が握るの?」
埴淵から事前に聞いていたが、やはり紀伊水道は波が高い。
何度か大きく船体が傾いたので、恐怖のあまり思わず光戦士と抱き合う。
「…あの、奈々ちゃん女子ニャんですけど?
ねぇねぇ、ヒロインイベントは?
いつ割り当てられるニャ?」
途中、荷台の真横で警官が無線を使い始める。
レンコンに埋まっているのでハッキリとは聞こえないが、徳島県警と和歌山県警が合同でフェリーを監視しているらしい。
無線通話の際、【カンクウ】というキーワードが頻出する。
恐らくは関西国際空港の略称。
俺達はこの後、和歌山港から北上し大阪市内に入る予定なのだが…
その時に関西国際空港の横を通る算段なのだ。
少し嫌な予感がする。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
不意に荷台が大きく揺れた。
巨大な金属音…
港に着いたのだ。
幌越しにも赤色灯の回転が見えたので身体が強張る。
手筈通り埴渕は一切荷台に近づかない。
下船後すぐに船から遠ざかり、休憩せずに大阪市内に突入する取り決めになっている。
坊門翁にさえ合流出来れば俺の勝ちなのだ。
後は西国勢を再編成して、水面下で地盤を固める。
俺は坊門達の庇護下で統制に専念し、実務は優秀なコアメンバーに一任する。
この形こそが俺の必勝パターン。
『くすっ♪』
思わず笑みがこぼれる。
無理もない、上手く行けば今日の昼前には勝利が確定するのだから。
今の俺の日利が3割を突破したと聞いたら、坊門や斑鳩はどんな反応をするだろうか?
『ふふっ♪』
彼らの驚く顔を想像して笑いが漏れる。
わざと聖徳太子の札を増やして困らせてみようかな(笑)
「おーい、トイチ。
オマエ、この状況で何で笑ってるニャガか?」
『勝利確定ですぅ♪』
「フラグ立てんなし。」
ふっ、駄猫め。
この俺の華麗な勝利ビジョンが見えないらしい。
散々偉そうな事を言ってる癖に愚かな女だ。
まぁ、仕方ないか。
灯台下暗しという格言もあるしな。
この偉大さを認識するには、松村はあまりに俺に近すぎる。
ガタン。
トラックが大きく揺れて止まる。
十数秒後、埴渕が荷台に顔だけ覗かせてくる。
「リン子ちゃん。
大阪への道、検問やってるみたい。」
『ふぇ?
検問なら今までもやってたじゃないですか?』
「いや…
車両個々を隅々まで検査してるって…
トラック連中が言ってた。」
『…何でこんな田舎道で?』
「どうも関空に中国共産党の幹部が来るらしいんだ。
ほら、言っただろ?
香港と上海の証券市場を閉めて、実質上のデフォルトをしたって。」
『ああ、大変みたいですね。
真面目に共産主義を実践しないバチが当たったんでしょう。』
「あの警備具合だと、ひょっとしたら習近平が来るかもってさ。」
『へー。
東京に着陸すればいいのに。』
「いや、彼ら公式訪問の色合いを消したい場合は関空を使うよ。
メンツ文化って奴?」
『なるほど。』
参ったなー。
全車個別チェックか…
真面目な警官なら荷台も覗くだろうな。
「安心しろトイチ。
恩師様が付いてるからには、もう安心だニャ!」
この屑が絶対何かやらかして見つかるオチだよな。
絶妙のタイミングでクシャミしそう、まるで3流洋画のように。
「へーックションッ。
おやおや、誰かが奈々ちゃんの噂をしてるようだニャ♥」
『埴渕さん、念の為迂回ルートを採ります。
お手数ですが…』
「分かった。
根来からの大阪入りを目指そう。」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
朝7時。
根来越えを図るも警備が厳重で断念。
河内・和泉への抜け道が全て封鎖されているとのこと。
和歌山県警はそうでもないのだが、大阪府警の士気が結構高い。
そう言えば水岡警部も言ってたな。
警察の指揮系統は都道府県単位だから、県本部長の性格や判断で同じ命令に対する反応も大きく変わると。
仮に習近平クラスの訪日が決まったのなら、大阪府警には最大級の警備命令が下るだろう。
隣県の和歌山県警にも警戒指示は下るだろうが、大阪府警程の緊張感は強いられないと予想する。
「で?
奈々ちゃんがあれだけ嫌がってる田舎に行くと?」
『この吉野川に沿って北上。
奈良を迂回しての大阪入りを狙います。』
「オマエなー。
2度と吉野川には近づかないって約束したニャろ!」
『えー(笑)
確かに吉野川(阿波)下りはしないって言いましたけど、吉野川(大和)上りをしないとは一言も言ってないですぅ♪』
「その口か! その口か! (ボカボカ!)」
『ぴえん!』
松村の気持ちはよく分る。
俺だって早く都市部に辿り着きたいし、仲間と合流したい。
都市部でなら売春を利用した募兵も可能だ。
もうコツは掴んだ。
立ちんぼさえさせてくれれば、俺は一切の痕跡を残す事なく幕僚団を編成出来る。
だが反面。
戦術的な最適解はこちらなのだ。
僻地から僻地を転々と潜伏。
江本という飛び道具の発動を待つ。
時間が資本の味方である以上、戦いは長期化すればするほど好都合となる。
勝利は確定した。
もう俺の優位は絶対に揺るがない。
後は、どう勝つかだけなのだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
突如の停車。
昼飯にはまだ早い。
「九度山だけど見ていく?」
観光名所位は見せてやろうという埴渕の配慮。
とりたて興味はなかったが、レンコン漬けに気が狂いそうだったので、近くの高級バンガローを借りて貰う。
埴渕の本州入りの名目は食品加工業者へのレンコン営業。
航路の関係で和歌山市内には徳島ナンバーが多少は走っているらしいのだが、紀ノ川を遡れば遡るほど不自然感は増す。
「四国は本当に不況でして、こうやって近畿各地の加工品メーカーさんに営業を掛けてるんですよー。
レンコン買ってくれそうな会社をご存知でしたら、紹介して下さい。」
そんな口上で掃除係と談笑していた。
俺達はシャワーを浴びてレンコン臭を落とす。
増渕曰く、レンコンは正月需要頼み過ぎて営業が難しいらしい。
プリキュアの真似をしながら、レンコン需要の拡大を約束してやる。
「なぁトイチ。
そんなに信者と合流したいのニャら、もうここに呼び出しちまえよ。」
光戦士と2人で松村の背中を流している時の会話である。
さしもの凶悪殺人犯もレンコン漬けには辟易しているらしい。
『うーん、九度山にですかぁ。』
考えるまでもなく却下。
九度山は敗将・真田昌幸が没した流刑地である。
ここが本拠地と皆に認識される事には大きな不都合が伴う。
俺がここで死んだ場合に女共(特にヒルダと児玉繭子)が俺との子を幸村になぞらえて好き勝手をし始める可能性が高いからだ。
それだけは避けたい。
「まぁ、こんな糞田舎は奈々ちゃんも嫌だけどニャ。」
うーん、俺も関係者が増えたからな。
滞在地そのものにまでメッセージ性を帯びるようになった。
迂闊な場所に滞在出来ないんだよな。
例えば、あのまま日振島に居座れば俺が武装蜂起路線に移行したと皆が考えただろうし、九度山を拠点に据えれば子の代での挙兵を連想させてしまうだろう。
八甲田山なら軍国主義路線を想起させたかも知れないし、ニセコであれば国際化・富裕層優遇に舵を切ったと解釈されたに違いない。
当然、いずれも微妙に俺の本意ではない。
それなら、今のように手勢も持たず拠点さえ定めない生活こそが最大のメッセージたり得るだろう。
「トイチー。
またキチガイの顔になってるニャガよ。」
『考え事をしてただけですぅ。』
「オメーはロクな事を考えねーからな。
おとなしくしてるのが世の中の為だぞー。」
『でもニュースとか見たら、つい社会や世界の事を考えちゃいません?』
「いや、今の報道の9割がオメーのナカモト騒動が原因の事件ばっかりだからニャ。」
『残りの1割は?』
「奈々ちゃんを犯罪者扱いする卑劣な俗悪番組ニャ!」
『そっすかー。』
この女とワンセットにされてるみたいで少し傷付く。
バンガローに設置されてるTVを点けると確かに仮想通貨暴落に端を発した世界超恐慌関連の報道ばかり。
箸休めに松村容疑者の悪行の数々が映される。
「高校の頃から変な人でした。
ホームルームで突然大麻合法化の話ですよ。
力説し始めたんでドン引きしました。」
「いつかやらかすんだろうな、と思ってました。
家族も《やっぱりねぇ。》って…」
「死刑には反対だったけど。
やっぱり必要なのかもねえ。」
「撮影現場でも指示を守ってくれなかったですね。
他の女優さんにウザ絡みする事が多かったですし。」
「まだ愛媛にいるかもしれないんでしょ?
怖いわー。
早く逮捕して欲しいです。」
インタビューが切り替わる度に松村は《印象操作ッ!》とニャガニャガ騒ぐのだが、実物は更に酷いので何とも言えない。
「オイッ、トイチッ!」
『あ、はい。』
「オメーは大恩ある大恩師様が悪意ある誹謗中傷を受けてるのを見て何とも思わねーのニャガか!」
『え?
た、大恩っすか?』
「普段、散々面倒見てやってるんだから恩返ししろニャ!」
『お、恩返しときましたか。』
参ったな。
この女には迷惑しか掛けられてないのだが…
え? 恩?
あるかなー?
いやー、身に覚えがないのだが。
「もっと松村流の正統伝承者としての自覚を持てニャ!」
『いやぁ、ははは。』
困ったな。
後継指名なんてされたら、この女が捕まった時に共犯扱いされるんじゃなかろうか?
コイツ早く死んでくれねーかな。
「トイチー。
オマエ、ちゃんと練習してるニャガか?」
『え?
れ、練習ですか?』
「たりめーだニャ!
大麻道は1日にして成らず!
ちょっと伝承者に選ばれたからって胡座をかいてるんじゃねーぞ!」
『す、すみません。』
「ったく、これだからZ世代は…
オラ、見ててやるからやってみろニャ!」
『え? え?え?』
「ドーピングタンポポだニャ!
光戦士、オメーもやれ!」
「えー、ボクもなのだ?」
「いいかー。
男なら手に職付けとかなきゃ駄目だぞー。
スキルのない奴はAIの発達で淘汰されるんだからニャ!」
この女、たまに教育者スイッチが入るから迷惑なんだよな。
殴られたくないので光戦士と2人で記憶の糸を辿りながらドーピングタンポポの生成を始める。
『えっと、大麻がないと実践出来ないと思うんですけど。』
「そこのレンコンを割ってみろニャ。」
『え? レンコンをですか?
わっ! 中に大麻が入ってますぅ!』
レンコンの中には大量の特濃ドーピングタンポポ。
いつの間に!?
「Lesson2 警察に悟られるニャ。」
「えっと、大麻をお口でクチュクチュするんだったのだ?」
『ええ、そんな流れでしたね。』
『「…クチュクチュクチュ。」』
「バカニャロウ!
効力を発揮するのは奈々ちゃんの唾液だけニャガ!」
「属人性強過ぎて草。」
『ははは、先生の唾でしか作れないなら私達には無理ですね。
じゃあ松村流は解散ということで…』
「アフォー!
諦めたらそこで大麻終了ニャガよ!」
すしざんまいのポーズを取りながら、目を閉じて口を尖らせる松村。
ひょっとしてキスで唾液を受け取れという意味なのだろうか?
「…。」
『…。』
キショかったので光戦士と顔を合わせて時間が流れるのを待つ。
「ほっほほふぇんか (とっととせんか)!」
力づくで唾液を流し込まれる。
…臭い上に粘性が高く気持ち悪い。
「もごーもごー!」
『もごーもごー!』
「ぷはぁ。
Lesson4 身体で払え。」
「おえっなのだ。」
『おえっですぅ。』
今、人生でトップスリーに入るくらい無駄な時間を過ごしてるよな俺。
『「…松村流大麻術究極奥義(棒)」』
『「一秒の16分の1の速度。
即ち、刹那の超振動でタンポポを刻みます(棒)」』
うろ覚えで口上を述べていく。
『でーすですですですですッ!』
「のーだのだのだのだのだッ!」
『はい、今回のアルコールは紀州の地酒・紀伊国屋文左衛門ですぅ。』
「ボクは未成年だから、この工程には参加しないのだ。」
『犬歯で舌を切ってぇ♪
術者の血を混ぜるのがキモですぅ♥』
「リン兄ちゃん!
口内温度を55度まで上昇させてチート菌(何それ?)の発酵を促すのだ!」
『そしてレンコン半個を皮ごと噛み砕いてグチュグチュグチュ♥』
「レンコンは全ての部位が漢方薬の素材として用いられるほどの完全食材なのだぁ!」
『これぞ松村流における秘中の秘ッ!!!
んんんーーーーーーペッ♪』
「Lesson3 大麻を信じろニャ!!!」
『にゃーがにゃがにゃがにゃがにゃんにゃんにゃん♪
にゃーがにゃがにゃがにゃがにゃんにゃんにゃん♪
特濃ドーピングタンポポ88%の比率で調合し、手動遠心分離グルグルパンチですぅ♪
(へにょへにょへにょ)』
「もっと腹から声を出せニャーーーッ!!!!!!!」
『ほおお♪
こう見えてホーンラビットを討伐した事もあるんですぅ!!!
えいっ! えいっ! やっ! とう!』
「拳に命を乗せろニャー!!!!」
『にゃーがにゃがにゃがにゃがにゃんにゃんにゃん♪
にゃーがにゃがにゃがにゃがにゃんにゃんにゃん♪
にゃんにゃこにゃんにゃん♪
にゃがにゃーんにゃん♥
練れば練るほどぉ…
パーパッパパー♪ (口頭BGM)
これがッ!!
人類の叡智の集大成ッ!!
新たなる摂理の創造神!!
天丼ドーピングタンポポですぅーーーッ!!』
「Lesson6 天丼こそ笑いの王道ッ!!」
ふと掌を見ると、何やらキモい物体が完成してた。
これまで以上に松村の口臭が倍増していて、思わずえずく。
絶対この女、変な病気持ってるよな。
「ふっ、それでこそ奈々ちゃんが見込んだ伝承者よ。
オマエラぁ、これからも精進しろニャガよ。」
『…あ、はい。』
「…なのだ。」
「それ。
HP・MP全快、全状況異常回復、欠損治癒、最終攻撃ダメージに300%補正、全ステータスに5倍バフが掛かるから。
ちゃんと服用しておけニャガよー。」
『「はーい。
お外で大切に飲んで来まーす。」』
「うむ、良い心掛けニャガ!!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
バンガローの外に出て、自動販売機で不二家ネクターピーチを買う。
「はー、あのBBA本当にウザいのだ。
(大麻を川にポイッ)」
『ホントホント、早く死刑になって欲しいですぅ。
(大麻を川にポイッ)』
「あ、兄ちゃん。
埴淵さんからおカネを預かってるのだ。」
『え、どうして?』
「いやいや、休業補償するべきっすよ。
丁度、レンコンの収穫期らしいし。」
『あー、それは悪いことをしましたねえ。』
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
0円
↓
50万円
※協力者・埴淵徹から50万円を預かり。
【所持品】
梅干し(崩れ梅)1㌔
※金本光戦士が無人販売所にて購入
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「今日の実験は梅干しなのだ♪」
『光戦士君は梅干し苦手だったでしょ?』
「あのキショBBAの唾液に比べれば、よっぽどマシっすよ。」
2人で笑い合いながら梅干しを齧る。
「ゴメンね。
ボクがおカネ持ちなら、もっとリン兄ちゃんを助けてあげれたのに。
梅干しなんか…」
『光戦士君がくれたのなら。
それは私にとって最高の宝物ですよ。』
「もうすぐ17時なのだ。」
『すっかり日没が早くなりましたねぇ。』
地球に帰還したのは晩夏だった。
もうこんなに寒くなって来たのに、俺はまだ何も成し遂げていない。
「リン兄ちゃんは…
1人の時が一番強いんでしょ。
ゴメンね、お荷物になってて。」
『光戦士君なら、大歓迎ですよ。
お荷物だと思ったこともないです。』
《16万円の配当が支払われました。》
今日の俺には色々予定があった。
本州に辿り着いてからの構想は山ほどあるのだ。
だが、松村の茶番の所為ですっかり日が暮れてしまった。
『…。』
「…。」
光戦士と2人で風に散った紙幣を拾い集める。
こんな物が補償になるかは不明だが、ガソリン代の足しくらいにはなるだろう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
50万円
↓
66万円
↓
0円
※協力者・埴淵徹に元本50万円+利息16万円を支払い
【所持品】
梅干し(崩れ梅)1㌔
梅干し特級1㌔
天丼ドーピングタンポポ1㌔
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
松村が晩酌を始めていたので、グラスに梅干しを放り込んでやる。
頭をワシャワシャと撫でられたので、悪い選択では無かったのだろう。
その後、光戦士と埴淵の洗車を手伝ってから汗を流す。
そのまま寝るつもりだったのに、松村に酌を強いられる。
やれやれ。
俺は世界の改善の為だけにリソースを注ぎたいのに。
どうして皆が邪魔をするのだろう。
おかげで今日も大した戦果を挙げられなかったよ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【米債務上限停止法案否決】
本日午後、米国連邦議会上院は連邦債務の上限を停止する「財政責任法案」を反対63、賛成36で否決した。
同法案は、先月末日に下院で逆転可決し、上院に送られていた。
米国債などが債務不履行に陥るとされる6月5日を念頭に、民主・共和両党の指導部が今週中の採決を目指していた。
多くの両党議員が反対に回り、タイムリミットを待たずにスピード否決となった。
これを受け米国債の利払い日は従来の2023年11月15日から85日延長されることとなる。
法案の否決を受け米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は記者団に以下のように述べた。
「これは一時的な債務の再編であって、デフォルトの定義には該当しない。
今回、債務規律が遵守された事により米国の財政は健全化に向けて大きく前進することが約束された。
市場は短期的な調整局面を迎えるかも知れないが、長期的に見れば世界経済全体に対しては大きくプラスに作用するだろう。」
11日間続落しているダウ平均だったが、今回の米国デフォルトが既に織り込み済みだったこともあり本日の下落は530ドル30セント安に留まった。
なお、10年物国債利回り(長期金利)は前日の19%から27%まで急上昇した。
【名前】
遠市・コリンズ・エルデフリダ・リン子・厘
【職業】
立ちんぼ
【ステータス】
※全基礎パラメーターに1.75倍のバフが掛かっているが、元数値が低すぎて効果を体感出来ず。
《LV》 32
《HP》 全快
《MP》 全快
《力》 最弱 (1.75倍)
《速度》 鈍臭ギリ健アスペ低運動性IQ野郎
《器用》 エンスト (1.75倍)
《魔力》 微弱 (1.75倍)
《知性》 ド低能 (1.75倍)
《精神》 病 (1.75倍)
《幸運》 金運宇宙最強/女難の相 (1.75倍)
《経験》 353億3107万0227
本日取得 0
本日利息 85億6510万7934
次のレベルまでの必要経験値76億1860万2723
※レベル33到達まで必要合計ポイント429億4967万2950
【スキル】
「複利」
※日利32%
下4桁切り上げ
【所持金】
所持金0万円
7億0762万BTC (下4桁切り上げ)
↓
9億3406万BTC
3億0294万(下4桁切り上げ)
↓
3億9989万XRP
3億0294万SOL (下4桁切り上げ)
↓
3億9989万SOL
【所持品】
梅干2袋
天丼ドーピングタンポポ1㌔
【残り寿命】
7億7118万8500日 (下4桁切り上げ)
↓
10億1797万8500日
【約束/エルデフリダ】
コレット・コリンズ 「ヒルダ討伐を邪魔しない。」
ヒルダ・コリンズ 「コレット討伐を邪魔しない」
× ハロルド・キーン 「義絶届にサインしておくように。」
× ドナルド・キーン 「離婚届にサインしておくように。」
クレア・V・ドライン 「所領監査に応じる」
金本光戦士 「王朝存続の暁にはヒルダを連れて異世界に帰還すること」
ウラジミール7世 「全時空永遠帝国の建国を託す!!」
レニー・A 「四天王権限でエミリー共々減刑申請する。」
〇ポール・ポールソン 「君のことはボクがずっと守ってあげりゅ!」
【約束/リン子】
上甲小夜 「離島支援の為の補正予算を獲得する。」
松村奈々 「大麻解禁法案への不干渉。」
萩森一誠 「明日のナージャの続編制作に出資する。」
増渕徹 「レンコン需要の拡大。」