【降臨106日目】 所持金102億4648万円 「うるさいですね!」
夜陰に紛れて佐田岬灯台を出発した俺達の車両だが、疲れ果てたアネモネが暗黒魔法を放棄した事で、走行を断念する羽目になった。
「大魔王様、これ以上は無理です。
MP切れ!
大麻が無いとアネモネちゃん、キーってなっちゃいます。」
『大麻の吸引は黙認しますけど、ちゃんと暗黒魔法で隠蔽して下さいね?
我が国では違法なんですぅ。』
「だーかーらー!
大麻を吸わなきゃ暗黒魔法は使えないって言ってるじゃないですか!
大麻が無いとイライラするんですっ!」
『えー、そんなの困りますぅ。
メンバーの大麻吸引がバレたら、私まで犯罪者みたいに見られちゃいますよぉ。』
「兎に角、無理なものは無理!
昨日海に飛び込んで疲れてるんですよ!
ちょっと休ませて貰います! (ドサッ)」
「ぐふッ!」
ヒステリックに叫ぶなりアネモネは福田を枕代わりにして寝転んでしまう。
『小牧さん、大麻って駄目ですよね?』
「ええ、今や大麻と言えば松村容疑者の代名詞ですから。
大麻関連の通報があった場合、即座に対松村戦の警戒シフトが組まれます。」
『まったく、少しは反省して下さいね。
先生の所為で世の中滅茶苦茶じゃないですか。』
「トイチ、オメー自分を棚に上げて奈々ちゃんばっかり悪者にしやがって!
トイチの被害総額に比べたら奈々ちゃん、ゆるふわニャンコちゃんだニャ!
ほら、このニュース見ろニャ!
オメーがやらかしたから、アメリカが滅び掛けてるニャ!
ニューヨークで行われていた貧困救済デモが暴動に発展。
全米でウォルマートが襲撃されまくってるニャ!」
『ウォルマートは典型的な独占資本なので潰れるのは良い事ですよ。
私が築く理想郷の為にも米人共にはもっと派手に暴れて貰わないと。』
「お、おう。
オメーって誰かを攻撃する時だけ本性が顕在化するよニャ。」
『他に何処が襲われてます?』
「あ、いや。
投資銀行とかデモ隊に囲まれて凄い事になってるニャガよ。
あー、これゴールドマン・サックスの本社映像…
うおっ! 警備員が発砲したニャ!!
これはやべーやつ!
やべーニャ! やべーニャ!
奈々ちゃんがパパ活おぢさんに作らせた闇名義投信どうなるニャ!?」
『へぇ、そうですか。
どこも大変ですねぇ♪』
「うっわ。
今コイツ凄く嬉しそうな顔で笑ったニャ!
オメー絶対狙ってやってるニャろ!」
『えー、私ぃ。
難しいことはわからないですぅ(笑)』
「うっわー。
トイチは昔からこういうところあるからニャ。
本来、地域社会が間引きするべきだった異常者。
自分を棚上げテロリスト!
オメーみたいな屑を粛清する為にも教育現場に昭和式体罰を復活させるべきだったニャ!!
あー、あの頃もっとガチで殴っておくべきだった。
パブリックエネミーは死刑にするべきニャ!
ねぇねぇ奈々ちゃんの闇名義投信どうなるニャ!?
弁償しろッ! このワルモノー!!」
『ちっ、うるさいですね。
大麻吸わせてあげますから、少し黙ってて下さい。』
「えっ!? おかわりもいいのか!?
って駄目駄目!
そんな甘言に惑わされないニャガよ!
大麻は大麻! カネはカネ!
奈々ちゃんはオメーの恩師として物事を曖昧にさせない心構えを身に着けさせる義務があるニャ!」
『はーい反省してまーす
(ちっ、るっせーな。)
じゃあ反省の印として先生には朝に3回・夜に4回大麻を吸わせてあげますぅ♪
「通るかっ、そんなモン!!
そんな口先の反省が通用する程世の中甘くねーニャガよ!
教師舐めんニャ!!」
『やれやれ、仕方ないですねぇ。
じゃあ、先生には日頃お世話になっている恩返しとして朝に4回・夜に3回大麻を吸わせてあげます。
これは大恩ある松村先生への特別サービスですから、クラスの皆には内緒ですよ♥ (ウインクパチ) 』
「え?
4回吸ってもいいニャガか?
…。
うっひょー♪
トイチ太っ腹ぁ♥
奈々ちゃんトイチのこと、ちゅきちゅきだいちゅきー♪
愛してるぅー♪」
『これでも私はテロリストですかぁ↑?』
「いえっ!
トイチさんは正義の革命闘士様ですニャ!」
『うふふ、どうやら私の誠意が通じたみたいですね。』
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
現在時刻∶午前6時22分。
新車両を停車させて休憩中だったが、地元民が出現したので、慌てて山に逃げ込んだ。
ジャージ姿の老夫婦、手には竹箒を持っている。
掃除、こんな朝っぱらから?
老人の生活サイクルは理解不能だな。
皆で気配を殺して彼らが過ぎ去るのをを待つ。
警察に通報される事態だけは避けねばならないからな。
何せ今の俺達には見られて困るものが多すぎるからな。
麻薬・拳銃・札束。
所持品をチェックされただけでも即時拘束されるだろうし、同行者も不審者揃いである。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【大魔王パーティーメンバー表】
「ジョーンズ夫妻」
本人達は合法を強調しているが、ヨットで入国した外国人が山中を彷徨っていたら絶対に事件性を疑われるだろう。
「小牧晃」
ここに来るまでに公安調査庁や警察庁警備局と銃撃戦を繰り広げている。
裁判無しに射殺されても文句が言えない立場。
「福田魁」
マジモンの反社。
当然平原と並んで前科多数。
ここに来るまでに数え切れない違法行為を繰り返してくれた。
「アネモネ」
ダークエルフ。
ビジュアル面のファンタジー指数が既にヤバい。
地球上には存在しない筈の生物。
「レニー」
異世界の犯罪者。
少なくともあちら側では洒落にならない凶悪犯だったらしい。
地球到着早々に苫小牧を焼いた。
「松村奈々」
絶賛バズり中の指名手配犯。
今の所、褒める箇所が見当たらない。
いつ見ても悪事を働いている。
「藤原純友」
日本史上最大の叛逆事件「承平天慶の乱」の首謀者。
俺の左斜め後ろにプカプカ浮いている。
事件発生から1000年経過しているので、流石に討伐令は時効と信じたい。
「金本光戦士」
未成年者をこんな連中と一緒に連れ回している時点でどう考えてもアウト。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
冷静に考えれば怪しい同行者ばかりだな。
こんなの俺まで疑われてしまうじゃないか。
##な~にが《俺でも》よ。
1番怪しいのがアナタじゃない。##
『ちょっとエルデフリダさん、声を出さないで下さい。
見つかっちゃうでしょ。』
##ふふっ、その慌てぶりがまさしく逃亡者ね♪##
『逃げてないですぅ、雌伏ですぅ。
仲間さえ、仲間とさえ合流出来れば私の勝ちなんですぅ。』
純∶あー、我も討たれる直前にそんな事を考えとったわ。
将門君も最後は似たような発言してたらしいしな。
『あー、亡霊共がうるさいですぅ!
令和地球の問題は同時代地球人の私達が解決しますから、ゴチャゴチャ言うなですぅ!』
##えっと、アナタの存在こそが令和地球の問題だと思うけど。##
純∶此奴、世界超恐慌に対して一切罪の意識を持ってないと見える。
『キーキー! ギャオーン!』
純・エ∶しッ! 声が大きい!
『ムググッ!』
「…ボクこんな気持ち悪い1人芝居は初めて見たのだ。
これはもう兄ちゃんが健常者に戻るのは不可能かも知れないっすね。」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
現在時刻∶午前11時19分。
あれから近隣の老人が集まって一斉清掃(?)を始めた。
皆が談笑しているので地域行事の一環なのかも知れない。
山中から付近を偵察していたレニーも大麻切れで大の字になっており身動きが取れなくなっている。
「ハァハァ、りんこりん。
大麻オナシャス。
どうも大麻がないと集中力が出ないんスよ。
ハァハァ、おかしいな。
こんな倦怠感は生まれて初めてっス。
大麻、大麻さえあれば…」
『アネモネさんのMPが回復するまで待つですぅ。
こんな場所で通報されたら一発アウトですぅ。』
地図を見れば一目瞭然なのだが、今俺達が彷徨っている佐田岬半島は日本一細長い半島である。
故にその真ん中に居る俺達には逃げ場がない。
半島の根元までほぼ一本道なので捜査網を敷かれたらすぐに発見されてしまうだろう。
故に大麻臭を隠蔽する暗黒魔法を使いこなすアネモネのMP回復を待たなければならないのだ。
『くぅぅぅ!
都市部にさえ、都市部にさえ潜り込めれば!
私は無敵の大魔王なのにぃ!』
##もう諦めたら?
アナタ、器じゃないのよ。##
『うるさいですね!
まだ!
まだ私は本気を出してないだけですぅ!』
##で、出たー。
駄目男特有の《まだ本気じゃない》発言。
こんな所でポールの口癖を聞けるなんて驚きだわぁ。##
『だだだ駄目男ちゃうわッ!!』
そんな口論をしているうちにアネモネが提案。
「ねぇ大魔王様。
アネモネちゃん熱く主張しますけど…
セックスしたらMPは瞬時に回復しますよ。」
『はぁ?
アナタふざけてるんですかぁ↑?
今真面目な場面なんですけどぉ↑』
「いやいや、真面目な話ですよ。
女は好きな人と幸せなキスをすると全力全開になれるんです。」
『そんな非科学的な。』
「大魔王様には好きな人いないんですか?」
『…皆好きですよ。』
「おっ、じゃあ私に!」
『エドさんとか後藤さんとか///』
「いや、それ絶対男の人の顔を思い浮かべてますよね!?
今は衆道の話ではなく!」
『え?』
「不思議そうな顔をしないで下さい!
そこは摂政殿下の名前を挙げましょうよ。
エチケットとして!」
コレットかぁ…
もう逢うこともないだろうから言わせて貰うが、あの時は別の宿に泊まれば良かったなぁ。
『…ええ、まぁ。』
「うわっ、露骨に不満気な顔!
殿下の前でそんな態度取らないで下さいね!
私達まで巻き添えで処刑されちゃいますから!」
コリンズ母娘は息を吐くように人を殺すからな…
一緒に居て心が休まらないんだよなぁ。
「じゃあ、摂政殿下が1番と言う前提で、次に好みの女って誰ですか?」
『うーん、じゃあ絵麻さんとか早口眼鏡さん辺りで。』
「えー、フーカさんですか!?
いや! それはマズいですよ!
あんな《糞ブスキョドりキモ陰キャ》と同列判定されちゃったら、摂政殿下が発狂しちゃいます!
せめて美人な人を挙げて下さい!
いや、その人は確実に惨殺されますけど!」
あー、女には分からんのだろうな。
男女で価値基準が異なるってどうして理解出来ないかな…
ドナルド・キーンが居ればなぁ、理路整然と南風賈の価値を面白おかしく解説してくれるのだがなぁ。
あー、でもそうなったらエルデフリダが発狂するか…
##そりゃするわよ!##
『うわっ、人のモノローグに入って来ないで下さいよ。』
##仕方ないでしょ!
今や文字通り一心同体なのだから!##
『キモいから早く出て行ってくれません?』
##ワタクシも試行錯誤してるのよ!
でも、アナタの魂と混ざり合い始めてるの!
出られないのよ!##
『うわ、キッショ。』
##こっちのセリフ!
ワタクシの本体だって死にかけてるのだからね!##
『へー、大変ですねぇ。
その時はお線香でも炊いてあげますぅ、キャハッ♪
じゃあ本体さんが死んでくれたら、私もこの生活から解放される訳ですね?
早く死んでくれないかなー♪
くすくす、せいせいします♪』
##え?
普通にアナタの肉体を頂くけど?##
『ちょっ!?
えっ!?
ちょっ!?
聞いてないですよ!!』
##あら、言わなかった?
ワタクシとアナタじゃ基礎魔力量が懸絶してるもの。今は本体の生命維持にリソースの大半を注ぎ込んでるけど、本体が死んだら自動的に全リソースがこのボディに流れ込むから。
アナタの薄っぺらい自我なんて瞬時に押し潰されて消滅するわよ。##
『ちょちょちよちょ!!
あ、悪霊が私の身体を乗っ取ろうと企んでますぅ!!
だ、誰か助けてぇっ!!
あばばばばばばばば!!』
##コイツ、保身に関してだけは必死ね(笑)##
『この泥棒!!
人殺しっ!!
早く何とかしなさいよ!』
##はぁ?
人殺しぃ?
四天王合計してもアナタのキルレシオの足元にも及ばないんだけど?##
『(キョトン)
ふぇ?
私、人なんてあんまり殺してないですぅ。』
##ハァ(クソデカ溜息)
…世界超恐慌。
この数日だけで、どれだけの人命が失われたと思ってるの?
ほら、見なさい!
モルガン・スタンレー銀行がチャプターイレブンを申請してる!
壊滅中のニューヨークダウにトドメの一撃ね。##
『えー?
それ、私の所為ですかぁ?
行き過ぎた資本主義の歪みがたまたまこのタイミングで露呈しただけだと思いますけど。
困るんですよねぇ、一々責任転嫁されるの。
濡れ衣もいいところですぅ。』
##うっわ、この期に及んで…
やっぱりアナタって最低の屑ね。
あー、こんな肉体早く殺処分したいわー。
自傷ソウルクラッシュ!!
ぐはぁ!!##
『ぶべぇ!!
ちょ!
いきなり自分を殴らないで下さいよ!』
##国際社会の怒りを代弁しただけよ。
少しは反省なさい。
大体、アナタはねぇ…##
『ちっ、うるさいですね。』
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
午後15時。
アネモネのMPが回復したので、大麻パーティーを開始する。
「大魔王様、わかってます!?
アネモネちゃん、すっごく高度な暗黒魔法使ってるんでからね?
隠形術と並行して、これだけの大麻臭を消すのって想像を絶する高度技術なんですよ!」
『はぁ。
まぁ、大麻の臭いが漏れないのは良いことなんじゃないですか。』
「あー!!
その反応は絶対わかってない!
これ!
ダークエルフ史3万年の集大成ですからね!?
スキルランクSSS級の偉業なんですよ!」
『はぁ、それはどうも。』
参ったな。
俺、他に暗黒魔法なんて見たことないからな。
確かに、大麻の消臭と同時に軽トラを隠形させると言うのは便利ではあるのだが…
そもそも、大麻を吸わなければ良いだけの話ではないだろうか?
「ニャガーッ♪ ニャガー♪
やっぱり奈々ちゃんの品種改良したスペシャル大麻は極上ニャガねぇ♪
トイチ!!
よくぞ再現してくれた!
褒めてやるニャ♥」
「うーん、この芳醇な香り。
オヒョヒョヒョ♥
チカラが湧いて来たっすー!
もう、りんこりんの大麻無しじゃ生きられないっスよ!」
「ふう、ダークエルフこそが麻薬の第一人種族と自負していましたが、流石大魔王様。
この大麻の純度は極上ですよ。
はぁー、脳に直接流れ込むチルチルダウナーエクスタシー。
恍惚の一語に尽きますねぇ。」
『じゃあ、アネモネさんはこのまま暗黒魔法で車両を隠蔽。
レニーさんは右手の小山に登って周辺哨戒。』
「「拒否しまーす♪」」
『ちょ!
アナタ達!
大魔王命令ですよ!
ちゃんと言う事を聞きなさーい、ぷんすこ!』
「「こんな上物吸ったら労働意欲湧きませーん。
しばらくトリップしてまーす♪」」
『くっ!
この役立たず共めですぅ!』
レニモネは折り重なってぼんやり空中を眺めながらヘラヘラ笑っている。
こんな様子じゃしばらく帰って来ないな。
「ぐっ!」
『福田さん!
まだ痛みますか?』
「心配せんでよか。
この程度の傷は負傷のうちに入らんばい。」
福田は強がるが顔中から脂汗を流している。
折れた肋が内臓に刺さっているらしく、俺の目を盗んで頻繁に吐血していた。
『薬さえ、薬さえあれば!』
「ニャッハッハ!
お困りのようニャガねぇ♪」
『何ですか、先生。
アナタと違って私忙しいんですけど。』
「オイオイオイオイオイ(笑)
折角助け舟を出してやろうと思ったのに(笑)
冷たい反応に傷つくニャガよ(笑)」
『助けてくれるなら、どこかで痛み止めを調達して来て下さいよ。』
「痛み止めぇ?
ニャーーーーーハハハハハハッ♪
全く、オメーは相変わらず愚鈍な生徒ニャガ(笑)
痛み止めなら、ここに山程あるニャ♪」
『え?
まさか、大麻を痛み止めに!?』
「できらぁ!」
『大麻で福田さんを治療するって言うんですか?』
「え!?
大麻で治療を!?
できらぁ!!」
松村は敏捷に軽トラから飛び降りると路上のタンポポを猛スピードで摘み始めた。
『え? え? え?
何故タンポポ!?』
「バッキャロー!
刺身に乗せるしか脳の無いシロートは黙ぁーっとれニャ!!
タンポポって言うのはなー!
漢方でも用いられる立派な薬草ニャんだよー!」
『お、お刺身に乗せる以外の使い道があったとは…』
「今授けようッ!!
松村流奥義ッ!!
はい、手早くタンポポ刻んでー。
ニャーガニャガニャガニャガッ!!
ジョーンズ夫妻のラム酒と口内撹拌…
ニャガニャガクチャクチャ♪
ニャガニャガクチャクチャ♪
そして大麻85%の比率で調合し、手動遠心分離グルグルパンチ!!
練れば練るほどぉ…
パーパッパパー♪ (口頭BGM)
これがッ!!
人類の叡智の集大成ッ!!
ドーピングタンポポだニャーーッ!!」
松村が満面の笑みでベトベトした物体を差し出して来る。
唾液の臭いがここまで漂って来て気持ち悪い。
「おう、トイチにも授けてやるニャ♪
ほら、遠慮するな噛め噛め♡」
『え?
嫌ですよ、気持ち悪い。』
「ば、バカヤロー!
人類は古来こうやってサバイバルして来たニャ!
恩師様謹製のドーピングタンポポは、HPMP全回復! 状態異常全回復!! 全ステータスにスペシャルバフが乗るんだニャ!!」
『…キッショ。
先生って変な性病持ってそう。』
「せせせッ性病ちゃうわー!!
…多分」
いい歳してニャガニャガ言ってる時点で少なくとも精神は深刻な疾患だと思うのだが…
俺は訝しむものの、純友が《理には適っている》とコメントする。
曰く、海賊衆は行動範囲が広い分、各地の民間療法を知っており、平安時代に似たような療法が九州や新羅で行われていたとのこと。
福田がこれほど重篤な以上、多少のリスクには目を瞑って投与すべきだとも純友は付け加える。
『福田さん、あまり気は進みませんが。
ドーピングタンポポですぅ。』
「…頂く。」
福田はしばらく咀嚼していたが、やがてゆっくりと息を吐いて、うたた寝を始めた。
心なしか汗が引いたように見える。
「ニャガーハッハッハ!
見たかっ!!
これぞ松村流奥義!!
ドーピングタンポポッ!!
奈々ちゃん印の極上大麻は無敵の万能薬ニャ!!」
松村は薬効を証明出来たのが嬉しいのか上機嫌でピョンピョン飛び跳ねている。
「ピョーン、ニャガ♪
ピョーン、ニャガ♪」
…うぜぇ。
この女、すぐ調子に乗るから嫌なんだよな。
「おう、トイチ!
金本弟!
オメーらも噛め噛め!」
「え?
いや、ボクは未成年だし。
そもそも大麻は違法なのだ。」
「ニャハハハ!
最近のガキは融通が利かないニャガねぇ。
これは医療!!
医療目的だから奈々ちゃん的には合法なのっ!」
『いや、先生と違ってボクは人間だから日本国の法律を遵守する義務があるのだ。』
「ニャガーッシュ!!
人を畜生みたいに言いおってからに!
大麻は合法! 大麻は安全!!」
「いや、そんなガンギマリの眼で言われたら逆に怖いのだ。」
「ハーッ(クソデカため息)!!
これだからZ世代は!!
リスク面ばかりに着目しおってからに!
見とけよーー!!
奈々ちゃんが今から大麻の安全性を証明してやるニャ!!」
「いや、国際保健機関の調べで既に結論が出てると思うんすけど…」
「それではお集まりの皆さん!!
ただいまから松村奈々スペシャルライブを行いますニャ!!」
「え? え? え?
猫先生、頭大丈夫なのだ?」
「はいッ!
レコーディング直前のトラブルで未発表の名曲ッ!
《うるさいですね!》
を歌唱するニャガよー♥」
「トラブルも何もアンタが凶悪事件を起こして指名手配されただけなのだ…」
「作詞、蒼き流星ボトムズ様!
作曲、イル様!
ココナちゃんのファーストアルバムをカバーさせて頂きました!
それでは、ミュージックスタート!!」
*バックグランドで下記URLリンクを再生推奨!!
https://sp.nicovideo.jp/watch/sm38741471?redirected=1
「激しさとは!
うるささとは!
それが何でも終わらせるです!」
「え? え? え?
大麻ってこうも脳を蝕むものなのだ?」
「ちっちゃな頃からちっちゃくて!
気づいたら身長止まってた!
カオスの様なサジェスト汚染!
拙者∶むう、遊郭か。(満面のドヤ顔)」
「え? え? え?
ボクは今何を聞かされてるのだ?」
「でも原作にない!
そんなセリフない!
困ってますこれはワイさんの所為!
宛もなくただコピペするなんJ!」
「え? え? え?
ひょっとして一昔前のネットミーム替え歌?
そういう寒いのは、同世代だけでやってくれないっすかね?」
「うるさいですね!
部屋での練習は当然の義務!
他店舗の動向はシビックでチェック!
湯上がりの太腿をどさくさにハーフ!
お仕事だから当然のサービスです!」
「取り敢えず、Adoさんとチノちゃんに謝っておけなのだ。」
「はぁ?
うるさいうるさいさいですね!
アパマン本能寺メタノール!
風評被害なんJのワイさんのせいですよね!」
「え? え? え?
教員免許の取得過程に精神鑑定は含まれてないのだ!?」
「もう船降りろ!
ワイさんもう来ないで下さい!
(手拍子強要の仕草)」
「いやー、リアクションを強要するのは止めて貰えませんかね?
ボクは付き合ってあげてる側なんで。」
「うるさいうるさいさいですね!
お手々が柔らかいので問題はナシ!!」
「問題ありすぎて草も生えないっすよ。」
「ふーーー。 (やりきった笑顔)。
センキューッ!!」
「( ゜д゜)なのだ。」
「どうニャガ、金本弟!
大麻の安全性が良く分かったニャガ?」
「…ボクは今日、ニッポンの林則徐になろうと決意したのだ。
駄目薬物! 駄目絶対!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そんな茶番を繰り返しているうちに、16時55分となる。
「オヒョヒョヒョ!
りんこりん!
お楽しみタイムっスよ!」
「ウェヒヒヒ♪
大魔王様♥
アネモネちゃん、17時前に忠義がMAX化します!」
コイツら、さっきまで俺が何言っても無視した癖に…
3匹は17時が近づくとすり寄って来て、払い出しが終わると離れて行く。
腹立たしいが、そういう動物だと思って接するしかない。
『はいはい。
無敵の大魔王様が富の再分配をしますよ。』
「「「いやっフーーーーッ♪
Yes!! Yes!! Yes!!」」」
コイツラ、カネが湧く時だけ元気だな。
《配当金23億6458万円が支払われました。》
『参りましたねぇ。
また資産額が100億を突破しちゃいました。
重くて軽トラが動かないですぅ。』
##アナタって利殖だけは最強よね。##
『そこ、外野が口を挟むなですぅ。』
純∶しかし改めて…
日利3割は法外だなぁ。
『うふふ、純友さんも私の偉大さが分かって来たようですねぇ。』
純∶いや、これだけの異能を持ちながら、佐田岬から出ることすら出来ないオマエの不甲斐なさに呆れてるのだが…
『え?』
純∶え?
『いやいや。
私、結構頑張ってると思うんですけどねぇ。
異世界を4ヶ月で征服したし、百日で地球の資本家に裁きの鉄槌を加えましたし。』
純∶いや、その鉄槌は無辜の民に下っていると思うが…
『もーー!!
純友さんは、すぐに否定から入る!!
たまには褒めて下さいよぉ!!』
純∶うーん。
まぁ、褒める点が見つかれば褒めるが…
その後も純友は冷ややかな目で俺を見下しながら首を捻っていた。
失礼な男だ。
我、複利ぞ!!
「いや、でも猊下は凄いですよ。」
『小牧さーん♥』
「軽トラ、今日も無造作に1台増えてました。
車検証は当然猊下の名義ですし、ナンバーも新規の物が割り振られております。」
『ふっふーん♪
純友さん、聞きましたぁ↑?
これが大魔王の実力なんですけどぉ↑w w』
純∶いや、自動車の確保は我の発案だし…
っていうかオマエ、それだけ毎日スキルを使ってる癖に、こんな初歩的な手も思いつかなかったの?
無能過ぎて戦慄するのだが…
『むむむ無能ちゃうわっ!!』
さて、軽トラが2台に増えた。
本来なら喜ぶところだが、今はそうはいかない。
運転員がいないからだ。
「か、構わん。
俺が運転す…
グゥッ!!」
「駄目なのだ、福田さん!
その体調で運転なんて出来る訳ないのだ!」
「ハァハァ!
み、みんなスマン。
不甲斐ない姿を見せてしまった!」
ドーピングタンポポで回復したとは言え、福田が要絶対安静であることには変わりない。
どうする…
誰か運転出来る者が居れば…
「おうトイチ困ってるみたいニャガね (ニヤニヤ)
ひょっとして運転手を探しているニャ? (ニヤニヤ)」
1人頼りになる存在を忘れてニャいか? (ニヤニヤ)
いやぁ懐かしいニャあ、課外時間にトイチに愛車を触らせてやったこと。 (ニヤニヤ)」
『単位で脅されて私的な雑用させられただけですけどね。』
…思い出した。
折角の昼休みなのに、渡辺君と一緒にこの女に呼び出されて大麻カーの掃除をさせられたわ。
「ニャンニャニャーン♪
恩師様、降臨♥
奈々ちゃんが運転してやるニャガよ♪ (ニヤニヤ)
さぁ、トイチ。(ニヤニヤ)
もう何も怖くないニャ♥(ニヤニヤ)
そのKeyを献上するニャ♪(ニヤニヤ)」
『なるほど、カネを積んで逃げるつもり、と。』
「ギッ、ギクゥーーー!!
どうしてバレ…
いや、違う!!
奈々ちゃんは可愛い生徒を想って!!
敢えて苦難の役目を引き受けたニャ!!
見てっ、トイチ!!
奈々ちゃんの無垢な瞳を!! (ドロドロドロ)
トラストミーッ!!」
『うわぁ、港区で売春してそうな腐った瞳。
ゲロ以下の臭いがプンプンしますぅ…』
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『はい、と言う訳で!
この車両は陸運局から正式な所有者と認められた!
私こと遠市厘が運転する事になりました!』
「Booboo!!
引っ込めニャ、この無免許野郎!!」
『はい、外野は黙ってて下さいねー。
どうせ地球の統治権は近いうちに私の物になりますから。
前倒しで自動車運転を許可しただけでーす♪』
「佐田岬で足止め食ってる癖に生意気な奴ニャガ。
大体、オメーみたいな《鈍臭ギリ健アスペ低運動性IQ野郎》に運転が出来る訳ないニャ。
オメー、体育の授業の度に突き指してただろ!」
『ふっふっふー。
そこは抜かりありません。
完璧なドライビングテクニックを御覧に入れましょう。』
「コイツがドヤ顔してる時はロクでも無いことを考えてる時だニャ。」
『な、なんとー!!
この車両は純友さんに運転をお願いしまーす♥』
純∶え? 我?
まだ内燃機関の構造も半分位しか理解出来てないのだけど?
『まあまあ。
私なんか1ミリも理解してませんから。』
純∶いやいや、この時代の基幹産業だろ?
もっと真面目に学べよ。
「オイオイオイオイ、トイチー。
チ●ポのハメ過ぎでとうとうケツマンが脳味噌まで開通しちゃったニャガかぁ?
亡霊に運転させるとか滅茶苦茶だニャ。」
『いやいや、冷静に判断して下さいよ。
まず、先生には荷台に乗って貰います。
さぁ、乗って。』
「ニャガ。」
『そして私が運転席に…』
「待て待て待て待てぇ!!
オメーの運転なんて信用出来る筈ねーだろ!
幾ら佳人薄命とは言え、限度があるニャガ!」
『そこで解決策を提示します。
私のボディの操縦権を純友さんに全面貸与します。』
「お、おう。」
『さぁ、先生!
私と純友さん!
どっちの運転に命を委ねたいですか!?』
「え?
そ、そりゃあ純友に決まってるニャ。
銀行と読み方一緒で縁起もいいし。
ちなみに奈々ちゃんの偽名口座(孤独死老人の口座を乗っ取った)を凍結した三井住友グループは皆殺しにするニャガ!」
『そういう訳で純友さん。
お願いしますぅ。』
純∶…どういう訳だよ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ブツブツ言いながらも藤原純友は見事なドライビングテクニックで佐田岬を根元に進んで行く。
まぁ、この人はマジモンの海賊王だからな。
軽トラの運転位は何とかするだろう。
その後、紆余曲折あって佐田岬の根元に近い豊之浦に到着。
無事に潜伏夜営用の山も見つかった。
『あーはっはっは!!
これが大魔王のチカラですぅ、ぶいっ!!』
「せめて佐田岬を脱出してからイキれニャ…」
画面には群衆に襲撃されるプルデンシャル生命やドイツ銀行の様子が映っている。
とうとう火炎瓶がデモ隊の標準装備になったようで、世界中の各ビジネス街が派手に燃え盛っていた。
(日本は割と平穏。)
よしよし、順調順調。
地球に帰って来た甲斐があったと言うものだ。
腐り切った資本主義は報いを受け、正義の世が到来するのだ!!
【名前】
遠市・コリンズ・エルデフリダ・リン子・厘
【ステータス】
※全基礎パラメーターに1.75倍のバフが掛かっているが、元数値が低すぎて効果を体感出来ず。
《LV》 30
《HP》 ドーピングタンポポにて回復
《MP》 ドーピングタンポポにて回復
《力》 最弱 (1.75倍)
《速度》 鈍臭ギリ健アスペ低運動性IQ野郎
《器用》 どんくさ (1.75倍)
《魔力》 微弱 (1.75倍)
《知性》 ド低能 (1.75倍)
《精神》 病 (1.75倍)
《幸運》 金運宇宙最強/女難の相 (1.75倍)
《経験》 70億4502万0647
本日取得 0
本日利息 16億2577万3996
次のレベルまでの必要経験値36億9239万7593
※レベル31到達まで合計ポイント107億3741万8240
【スキル】
「複利」
※日利30%
下4桁切り上げ
【所持金】
所持金102億4648万円
1億4109万BTC (下4桁切り上げ)
↓
1億8342万BTC
6017万XRP (下4桁切り上げ)
↓
7823万XRP
6017万SOL (下4桁切り上げ)
↓
7823万SOL
☆保有大麻3㌔
☆保有軽トラ2台
【残り寿命】
7683万8500日 (下4桁切り上げ)
↓
1億9989万8500日
【約束】
コレット・コリンズ 「ヒルダ討伐を邪魔しない。」
ヒルダ・コリンズ 「コレット討伐を邪魔しない」
× ハロルド・キーン 「義絶届にサインしておくように。」
× ドナルド・キーン 「離婚届にサインしておくように。」
クレア・V・ドライン 「所領監査に応じる」
金本光戦士 「王朝存続の暁にはヒルダを連れて異世界に帰還すること」
ウラジミール7世 「全時空永遠帝国の建国を託す!!」
レニー・A 「四天王権限でエミリー共々減刑申請する。」
上甲小夜 「離島支援の為の補正予算を獲得する。」
松村奈々 「大麻解禁法案への不干渉。」
〇ポール・ポールソン 「君のことはボクがずっと守ってあげりゅ!」