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【降臨93日目】 所持金17億1663万0283円 「他力本願こそが堕落への第一歩! 己が成し遂げずして誰が成し遂げるのだ!」

俺が勝手に羽黒衆と呼んでいる山伏集団がいる。

修験道の聖地である出羽三山を拠点にしているグループのことだ。

神聖教と修験道が同一視された為、彼らも政府から弾圧を受けている。

軽微な損害としては何故か山形県内の公共施設予約が出来なくなってしまった事が挙げられるし、深刻な問題として集会に乗り込んで来た山形県警によって20名以上の先達が拘束されてしまった。

逮捕状も何もなく、警官たちは口々に「これは人道上の保護である」とのみ連呼しながら手錠を掛けてきたそうだ。

面会・差入の申請は全て却下されてしまったとのこと。

これと同じ惨劇が日本全国で起こっている。

仕方がないので山伏たちは山に伏せることになった。



『江本。

修験道の皆さんは怒ってますの?』



「どうですかねー。

俺が金地金をばら撒きましたから。

羽黒衆に対しては誠意が伝わってると思いますよ。

ただ久我さん曰く、英彦山の連中はリン子お嬢様に相当怒ってるみたいです。

系列の宮司さんが何の説明もないまま、大分県警に拘束され続けてるらしいですからね。

取り調べでは神聖教との関連を執拗に追及されてるそうです。」



『あらあらまあまあ。

酷い話ですこと。

江本、何とかしてあげて。』



「うーん。

リン子お嬢様がヒルダさんの元に出頭したら、解決の方向に向かうと思うんですけど。

それは嫌なんですよね?」



『ワタクシがヒルダさんに捕まったら、岸田総理や内閣のメンバーが消されてしまいますわよ。』



「ふむ、それは素晴らしいですな。

一旦、虎ノ門に出頭しましょう。」



『トヨタも乗っとられますわよ。

ヒルダさんはトヨタ信者ですから。

《TOYOTA》の商標を《TOICHI》に変更すると、楽し気に語っておりましたもの。

あの方、以前から少し乱暴でワタクシも困っておりますの。』



「うーん。

メフメト2世がコンスタンティノープルを愛したようなものですな。」



『江本もそれは嫌でしょう?』



「俺はもう諦めてますけどね。

どのみち日本… というか地球はリン子お嬢様とヒルダさんに両端から占領されていくと思いますよ。

後はもうどこでお二人が出会うかの問題やないですか。」



『ヒルダさんは兎も角、ワタクシは占領なんて物騒な真似は致しませんわ。』



「いやー、現に我が国が魔王軍先遣隊の攻撃を受けてる訳ですからねえ。」



江本と2人で振り返ると、苫小牧の後背を占める樽前山の山麓が真っ赤に燃え盛っていた。

現時点で判明している死者は4名。

このペースだと二桁に到達するのはすぐだろう。



『レニー、あれだけ乱暴をしてはならないと言ったでしょう、メッ!』



「えー?

だってヒグマが有害だって言ったのは《りんこりん》じゃないっスかあ。

アタシの必殺レニーファイヤーが今日だけで20匹は殺したんだから褒めて下さいよぉ。」



『そういう事を言ってる訳じゃないの。

住民が4人も死んでるのですよ?』



「うーーん。

じゃ、まあ20ひく4で、アタシの手柄は12頭ってところで妥協しておきます。」



『コラっ!

勝手なことを言っていると男を当てがってあげませんよ!』



「えーーー!!??

そりゃあ困るっスよお!!!

チ●ポが無ければ寂しくて死んじゃうっス!!!」



『じゃあ、乱暴はおやめなさい。』



「暴れるのやめたら退屈で死んじゃうっス!」



『じゃあオチ●ポはお預けですわね。』



「…チ●ポぉ。」



レニーは兎に角、自分の武力を誇示したくて仕方ないらしい。

異世界でもポールに売り込んでいたのだが、問題解決の手段として武力ではなく話し合いを優先するポールにあしらわれていたらしい。

俺もポールに価値観が似ているので、レニーの武力を重用したいとは思わない。



『兎に角!

火魔法は禁止です!』



「ハア!?

こんな面白い技、禁止されて堪るかっス!」



どうやらレニーが火魔法を覚えたのは最近のことらしく、その凄惨なビジュアルが病みつきになっているそうだ。

火だるまになった敵が転げ回って苦しむ様が壮観とのこと。

いずれにせよ、この女が樽前山を炎上させたことで苫小牧が真っ赤に染まり都市機能に深刻な支障を来し始めている。

何せ我が国の山地には送電線が張り巡らされているのだから。



『毛内、様子は如何でした?』



「幸い、何人かの逃げ遅れを救出することが出来ましたが…

死者が3桁を越えてしまうかも知れませんなあ。

山の損害もかなりのものです。」



『後日、ワタクシが補償します。

概算で構わないので損害額を算出しておきなさい。』



「はっ!直ちに!

炊き出しボランティアを募集しているのですが、私も参加して宜しいでしょうか?」



『許可します。

ワタクシからも現場に何か寄贈させて下さいな。』



「はっ!

リン子様のお心遣いに皆が喜ぶことでしょう。」



レニーがボランティア現場に興味を持ちそうだったので、昨日臣従した竹内を当てがって黙らせる。

やれやれ、俺はまだ誰も殺すつもりがないと言うのに。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【リン子パーティー編成】



パーティー名 「エルデフリンダ」


遠市・コリンズ・リン子・厘  (お嬢様)

福田魁            (警護役)

毛内敏文           (狙撃兵)

寒河江尚元          (運転手)

江本昴流           (伝令兵)

石賀一博           (執事)  

レニー・アリルヴァルギャ   (補充兵)

竹内遊馬           (徴募兵) ←new



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「リン子お嬢様。

レニーちゃん1人でこの損害です。

魔王軍の本隊が来たら普通に日本滅びてまいますよ。」



江本が眉をしかめる。



『本当、魔王軍にも困ったものだわぁ。』



「いや、総大将はリン子お嬢様なんですけどね。

猛省して下さいね?」



『本当ねぇ。

今度、ポールに厳しく言っておくわ。』



「現時点でヒルダさんよりもリン子お嬢様の方が脅威度は高いので、そこは修正しておいて下さい。」



『ゴメンね江本。

前向きに善処しておくわ。』



昨夜も皆で思案したが、レニーの使い道が戦闘以外に思いつかない。

その上、制御不能なのだから始末に負えない。

ポールが本隊にレニーやエミリーを連れて行かなかったのも、結局はそういうことだろう。



昼になり、キャンプサイトも停電となる。

避難して来た数世帯に俺から食料と義援金を贈呈。

やたらと感謝されるが、原因はこちらにあるので心苦しい。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


15億1031万0283円

  ↓

15億0131万0283円



※避難してきた9世帯に臨時義援金として計900万円を贈呈。

被害総額が判明次第、補償措置を取ることを公約。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



焼きだされた人々の為に豚汁を作る話になったので、肉を供出し女房衆と共にニンジンの皮剥きを手伝った。

1人怖いオバサンがいて、俺の香水の匂いがキツいことを責められる。

仕方ないじゃないか、中々好みのパフィーㇺが見つからないのだから。

男の人からはクロエのアブソリュ ドゥ パルファムの評判が良いのだが、イマイチ子供っぽい匂いなので気に入ってない。

この手のファッションアドバイスはエルデフリダが最高で、コリンズ母娘も日頃喧嘩しながらもファッションコーディネートだけは全て従っていた。

女子からの人望を集めていたのにも納得出来る。

ああ、クッソ。

あの時、エルデフリダのファッション講座、俺も聞いておけば良かった。


小一時間ほど、バタバタして男衆に豚汁とおにぎりを振舞う。

青森や北海道では甘納豆おにぎりという物を食すらしく、本当にこんなものを食べるのか半信半疑で握ったが男の人はみんな喜んでくれた。

そうしているうちに、寒河江が購入したキャンピングカーを運転して戻って来たので、車内に衣装を運び込んで小休止。



「ねえねえ、《りんこりん》。」



『あら、男遊びはもう満足したの?』



「したー♪

スッキリしたっスー♪」



『そう、良かったわね。』



「スッキリしたら腹減ったっス♪」



買い込んでいたチョコレートとブランデーを好きなだけ飲み食いさせると、ウトウトした目になり俺に甘えてくる。

だが、撫でようとすると手を払われる。

操縦の難しい猛獣である。



『ねえ、レニー。』



「何スかー?」



『貴女、いつ向こうに帰るの?』



「そりゃあ、ポールさんの安全を確保出来たらっスよ。」



『あの人、まだ生きてるのかしら?』



「殺しても死なない人っスからね、大怪我くらいはしてるとは思いますけど心臓は一応動いてるんじゃないっスか?」



『ワタクシ、あの人の安全を一刻も早く確保したいですわ。』



「おお!

流石は《りんこりん》!!

部下思いの大魔王っス!!」



いや、オマエに早く帰れと言っとるんだが、話の通じない奴だな。



「アタシ感動したっス!!

心を入れ替えたっス!!」



『あら、そうなの(棒)。』



「そうっス!!

これからはおとなしくしてやるっス!!」



その後、2時間くらいはおとなしく居眠りしていたので、この女も全くの嘘つきではないのかも知れない。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



さて、本題。

俺の目的は天下万民に平等に10億円ずつ配り、公平で格差のない社会を作ること。

総額に幾ら必要かはわからないが、この俺の能力さえあれば資金準備は容易い。

問題は配布実務。

具体的にどうやって配ればいいのか見当もつかない。

そもそも俺はガイジンが嫌いなので、直接関わりたいとも思わない。

なので俺の意を汲み具体案を出し配布作戦を実行する手足が必要となる。

能力的にはヒルダ・コリンズが最適なのだが、あの女はやり過ぎるからな。

西国行脚で集めた仲間を再集結させて使いたい。

その為には手配網をかい潜って本州に突入しなければならないのだ。



「リン子お嬢様、これと同型の車両をもう1台購入する手続きが午後には完了します。

また、明日には竹内君の名義で小型のキャンピングカーを購入します。

運転には期待出来ませんが、彼が普通免許を持っていてくれたのは幸いでしたな。

本州には手筈通り計3台でキャラバンを組んで向かいましょう。」



『うむ、寒河江の忠勤見事です。』



「ありがとうございます。

但し懸念が2点。」



『ええ。』



「1点目は手配網が手薄な港をまだ確認出来ていないこと。

これは羽黒衆の偵察次第です。」



『待つしかありませんわね。』



「2点目はあの山火事。

これ以上、同じことをされたら困ります。」



『はい、ワタクシの不徳の致すところです。』



「私はリン子様の責任ではないと知っていますが、世間はそうは見做しますまい。」



『一刻でも早くアレを処分する方法を考えませんとね。』



…処分しなければならないヒロインが多過ぎるな。

誰かマシなのは居ないのかね。

いや!

その【誰か】という考えが甘えなのだ!

他力本願こそが堕落への第一歩!

己が成し遂げずして誰が成し遂げるのだ!

居ないなら自分がそうあらねばならない。

人類救済は大魔王たる俺が成し遂げなければならないし、そのヒロインもまた俺でなくてはならない。

正義とは犠牲である。

俺は全てを捧げてこの世界に正義を執行しなくてはならない!



「取り敢えず、食料と男性を供給しつつ、次の異世界通信で帰還を指示して下さい。

ポールソン氏の救援と並行して実現出来れば吉ですな。」



『わかりました。

空いている時はワタクシが監視に付きます。』



何故大魔王たる俺が3等兵にリソースを割かなければならないのかは謎だが、怠れば次の被害が発生することが確実なので、レニーのベッドで添い寝をして過ごす事にした。



「うーん、ムニャムニャ。

下のお口ももう食べられないっス。」



幸せそうな寝顔に怒りが込み上げる。

異世界よ、犯罪者はちゃんと死刑にしておいてくれ。

取り敢えず、ありったけの菩薩心を振り絞ってナデナデポンポン。



「《りんこりん》にもようやく、レニーちゃんの良さが伝わったみたいっスね。

オヒョヒョヒョヒョ♪」



『ある種の可愛気はあると思いますわよ。

貴女、ポールが好きなタイプだし。』



「えー、そうかなー。

アタシ、あの人から大事にされてる実感全然ないんスけどねー。」



『貴女はおもしれー女枠ですから、そういう方向性では愛されてると思いますわよ。』



「えー、そんな枠いらねーから、いい女枠に入りたいっス。」



こういう図々しさをポールに気に入っているのだろうな。

ちなみに俺もこの子が好きだ。



「ところで《りんこりん》。」



『?』



「外からジロジロ見られてますけど、追っ払いましょうか?」



言いながらレニーはログハウス内で穴が空いてない方の壁を指す。



『壁の向こうで人が見てますの?』



「男が3人。

戦闘員の気配じゃないっス。

夜這いかな、オヒョヒョ♪」



俺が戸外まで出てみると、さっき炊き出しで豚汁をよそってやった男達だった。

LINE交換を求められたので、近くにいた毛内翁と代わりに交換させる。



「イケメンだったっスかー?」



『ふつー。』



「あははは、そりゃ残念w」



『貴女、壁越しの目線が見えますの?』



「まさか、気配を感じただけっスよ。

アタシ、山の中の集落で暮していたんで。」



聞けば、レニーは成人するまで自由都市と帝国に跨る山脈を駆け回って育ったらしい。

長らく自分を自由都市人だと思っていたが、最近になって国際法的には準帝国人だったことが判明したとのこと。

ごく稀に人里に降り、労役に従事して現金収入を得たり、福祉の一環として初等教育らしきものを受けることもあったと語る。

それくらい人里から切り離されて育ったので、文明生活の常識が欠落している反面、人間が本来持つ動物性が濃厚に残っているだろう。



「結構、みんなジロジロ見てますよ?」



『レニーが可愛らしいからよ。』



「へへへ、あざす。

でも、上から見られるのは感じ悪いっスね?」



『上?』



レニーは黙って屋根に空いた穴を指さす。



「さっき、直上を飛行しながら監視している奴がいました。

最初、ワイバーンの高高度飛行かと思ったんスけど、よく見ると金属体でした。」



なるほど、その言葉が本当なら偵察飛行だな。

我が国の航空機なら良いのだが、アメリカ或いはロシアか。

齟齬を来さない為にレニーに航空機や衛星の概念を説明してやる。

未知の領域であるにも関わらず、瞬時に制空権や爆撃戦術まで自力で考え至ったので、戦闘IQに関してのみは超一流なのだろう。



「落としましょうか?」



『味方機だったら困るわ。

そこまで安い買い物じゃないのよ?』



「でも殺気と敵意がこもってましたよ?」



『じゃあ、アメリカかロシアでしょうね。』



「敵国っスか?」



『今は違うから撃っちゃ駄目よ?』



「了解っス。

始まったら教えて下さい。」



『加減を覚えたらね。』



「あはは、それじゃお役に立てないかもっス。」



2人で笑い合う。

それで少し打ち解けたので、好みの男性のタイプなどを話して時間を潰した。



『あ、レニー。

そろそろ恩寵の儀が始まるけど、貴女も御覧になる?』



「なるッスー♪

ミスリルザクザク、オヒョヒョヒョ♪」



『ごめんなさいね。

地球にはミスリルがないから、今のワタクシは紙しか出せないのよ。』



「はぁ!? 紙ぃ?

滅茶苦茶パワーダウンしてるじゃないっスか!」



『そうなのよ。

あの頃の兆分の一の力も無いわね。』



「あちゃー。

それで地球の制圧に手間取ってるんスね。」



そんな話をしていると皆がキャリーケースを持ってやって来る。

意外にもレニーがキャリーケースに強い関心を持ち、異世界での導入許可を求めて来た。

なるほど、この女なりに考えてはいる。



『今日はレニーにも立ち合わせます。』



俺がそう宣言しても、皆は表情でしか難色を示さなかった。

どれだけ問題があっても、ジョーカーの使い道は早めに模索しておくべきだからな。



《3億7533万円の配当が支払われました。》



「おお、相変わらず壮観っスね。」



言葉とは裏腹にレニーの声色には軽い失望が含まれている。

そりゃあね、この子は人間や街がコインの洪水に圧し潰される現場を目撃してるからね。

紙切れがパサパサ落ちる様子を見た所で感激はしないよね。



『皆にはこの紙を俸禄として支払ってるのですが…』



「ふーん。

地球では、これがコインの代わりなんスね。

わざわざ破れやすい紙を使うって事は、取引が盛んなのかな?」



『貴女にも俸禄を払いましょうか?』



「うーん、軍規で2重所属が禁止されてますからね。」



『意外とキッチリしてますのね。』



「でもアタシは貰いまーす♪」



『うふふ、そんなことだろうと思った。』



「えへへっス。」



『では、今日の俸禄は1人1千万円!

ソドムタウンの通貨価値に直すと約1千万ウェンほど!』



「おお!

スッゲ!!

やっぱり《りんこりん》凄くないっスか!?」



『但し、レニーは山火事を起こしたので1万円のみとし、残額は被害補償と復興予算とします。』



「えー、じゃあ1000万は明日からじゃないと貰えないんっスか?」



『仮に被害額が100億だとしたら、えっとえっと1000日は掛かりますわね。

貴女はそれくらいの事をしたのです、猛省なさい。』



「とほほ、火魔法はこりごりっスよ。」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


15億0131万0283円

  ↓

18億7664万0283円

  ↓

18億0664万0283円

  ↓

18億0664万0283円

  ↓

18億1663万0283円

  ↓

17億1663万0283円



※配当3億7533万円を取得

※臣下に日当として計7000万円ずつを支給

※レニー・アリルヴァルギャの日当から999万円を天引き

※苫小牧市に義援金として1億円を匿名寄付


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



文句を言いながらもレニーは万札をヒラヒラさせながら管理棟へ走って行き、食堂や売店で散財して満足して帰って来た。



「いやー、カツカレーと天麩羅うどんとミートパスタと味噌ラーメンとクリームシチューとアサリご飯と出汁巻きサンドとあんみつパフェとクリームソーダは最高でした!」



『貴女、欲望への充足に迷いがないわね。』



「いやあ、このイチマンエンサツって最高っスね!」



『燃えやすいから気を付けなさい。

焦げただけでもレジを通らなくなるから大切になさいね。』



「え!?

マジっスか!?

火魔法使ったらアタシが損するじゃないっスか!!」



『…え、ええ、そうね。。

貴女って見事に自分の損得しか考えないわね。』



「じゃあ火魔法使うのやめたっス!!」



『あ、うん。

それは良い心掛けね。』



「それにしても、げーっぷ♪

ぶっへー、腹六分で心地良いっス。

じゃあ、次は下のお口も満足させて貰おうかな。

《りんこりん》タケウチはどこっスか?」



『仕事よ。』



「じゃあエモトで我慢してやるっス。」



『仕事、あの子が1番忙しいの。』



「えー、じゃあフクダを試してみたいっス!」



『被災者の炊き出しに向かったわ。』



「はぁ!?

じゃあ《りんこりん》しか残ってないじゃないっスか?

仕方ねえなぁ。

このケツ穴寵童財布野郎で我慢してやるっス。」



『え?

ワタクシは嫌よ?』



「まあまあ、減るもんじゃあるまいし。」



「ちょ! やめなさい!」



そんな茶番を繰り広げているうちに、羽黒衆からの報告が上がって来る。

大洗はあれからも鷹見系のヤクザが入り浸っているらしいので絶対に駄目。

東京港・名古屋港は警備が増強され臨検が厳格化している。

ロシアによる原発襲撃の余波とのこと。


比較的マシなのが敦賀港。

敦賀… 福井県か…

一躍時の人となっている渋川薫子の地元である。

気が進まない。

福井だけは避けるよう皆に通達を出したくらいなのだ。



「ヒロノリさんも言ってはりましたやん。

福井県は嶺北と嶺南に二分されとって、渋川さんは嶺北の人やって。

敦賀は嶺南です。

油断は出来ませんけど、勢力圏内ではないと思います。」



『…わかりました。

どこであろうとリスクは伴います。

敦賀港到着後、出来るだけすぐに他県に出るルートを探って下さい。

ワタクシ、渋川さんが恐ろしいの。』



「滋賀一択ですね。

次善の策としては北陸道を西進して舞鶴に抜けるか…」



『わかりました。

皆とルートの選定に移って下さい。

再起さえ叶えば多少の遠回りは厭いません!』



口ではそう言ったものの、俺が速度を重視している事は仲間に徹底している。

このスキルを獲得した時、時間は味方であると誤解していた。

複利で資産が増えるのであれば、寝て暮らしてカネが増えるのを待てば良い、と。

実に愚かだった。

資産が数割ずつ増えたからなんだと言うのだ。

コリンズ母娘や鷹見の神速の前では稚戯にも等しい。

巧遅という選択肢は圧倒的才能格差によって潰されているからな。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



夜中、竹内が面会を申し出たので応える。



『どう? 北の暮らしは快適かしら?』



「あ、いや。

はい。

…その、何もしてない俺がこんな大金貰っちゃって。

怖くなったというか。」



『ああ、そのこと。

いいんじゃなくって?

富豪の子はただ恵まれて生まれてきたというだけで、幸運を甘受しているのですし。』



「…え、いや、まあ。

それはそうですけど。」



『なあに?

仰りたいことがあるならハッキリ仰りなさい。』



「お、俺も何か役に立たせて貰えませんか?

何もしてないのに、給料だけ貰うのはおかしいと思うんです。」



『レニーと遊んでくれたじゃない。』



「あ、いや。

俺は男ですし、女の子とセックスさせて貰って一方的におカネを貰うというのは…」



『竹内の名義で車を買えました。

これは我が軍にとってのメリットです。

オマエは十分役に立ってます。』



「あ、いえ、ありがとうございます。

ただ、自分は何もしんどい思いをしてないので。

福田さん達は結構マメに動き回っておられて、自己嫌悪というか…」



『竹内の想いはわかりました。

無力感や焦燥感はワタクシも理解出来ます。』



「…すみません。」



『では、任務を与えます。』



「あ、はい!」



『今から表に行って、キャンプ客や避難民と雑談してきなさい。』



「え?」



『そこでの会話をワタクシに聞かせること。

出来るわね?』



「はい!

そんな仕事で良ければ!」



今の俺の境遇では《そんな仕事》すら出来ないケースが多々あるからな。

こうやってカネを払って代行させなくてはならないのだ。

レニーが即効性の性病を保有していない事を実証しただけでも、竹内は十分に役に立っている。

俺は正直に【どうせ死ぬなら俺の役に立って死ね】と伝えた。

喜んでこそくれなかったが、機嫌良く笑ってくれたのは幸いだった。

【名前】


大魔王りんこりん

(俗名) 遠市・コリンズ・リン子・厘



【職業】


お嬢様


便所紙

ホステス

パチンコ台

神聖教団 大主教

東横キッズ

詐欺師



【称号】


淫売

賞金首



【ステータス】 (地球上にステータス閲覧手段無し)


《LV》 25

《HP》 減るもんじゃありましたわ。

《MP》 炊き出しの人間関係に疲れましたわ

《力》  深窓の令嬢

《速度》 神出鬼没

《器用》 変幻自在(♀限定)

《魔力》 悪の王器

《知性》 脳味噌エルデフリダ

《精神》 絶対悪

《幸運》 天佑


《経験》 3億0077万1198


本日取得  0

本日利息 6015万4240


次のレベルまでの必要経験値3477万3112


※レベル26到達まで合計3億3554万4310ポイント必要

※キョンの経験値を1と断定

※イノシシの経験値を40と断定

※うり坊(イノシシの幼獣)の経験値を成獣並みと断定

※クジラの経験値を13000と断定

※経験値計算は全て仮説




【スキル】


「複利」 


※日利25%

下4桁切り上げ 




【所持金】


17億1663万0283円



605万BTC  (下4桁切り上げ)

  ↓

757万BTC



257万XRP (下4桁切り上げ)

 ↓

322万XRP



257万SOL (下4桁切り上げ)

 ↓

322万SOL



※ユーロ・ポンド・ルーブル・バーツ・ペソ・ドルも保有。

※ユーロ・ポンド・ルーブル・ドルの保管権を孝文・j・Gに付与。

※仮想通貨の運用権を孝文・j・Gに付与。

※米国債・タイバーツ・フィリピンペソの保管権を児玉繭子に付与。



【残り寿命】


427万8500日 (下4桁切り上げ)

  ↓

535万8500日 




【所持品】


Maison Margiela ショルダーバッグ 白

Archi Diorリング ホワイトゴールド×ダイヤモンド

ティファニー ビクトリア  グラジュエイテッド ネックレス

カルティエ Juste un Clou ブレスレット



【約束】


〇古屋正興     「異世界に飛ばして欲しい。」

 飯田清麿     「結婚式へ出席して欲しい。」

〇         「同年代の友達を作って欲しい。」

          『100倍デーの開催!』

×         「一般回線で異世界の話をするな。」

          『世襲政権の誕生阻止。』

〇後藤響      「今度居酒屋に付き合って下さい(但しワリカン)」

          「大阪を滅ぼさないで下さい!!!」

          「空飛ぶ車を運転します!」

 江本昴流     「後藤響を護って下さい。」

          『遠市王朝の建国阻止。』

×弓長真姫     「二度と女性を殴らないこと!」

×         「女性を大切にして!」   

〇寺之庄煕規    「今度都内でメシでも行きましょう。」

×森芙美香     「我ら三人、生まれ(拒否)」

×中矢遼介     「ホストになったら遼介派に加入してよ。」

          「今度、焼肉でも行こうぜ!」

〇藤田勇作     『日当3万円。』

〇堀田源      「トイレコインの使い方を皆に教えておいて。」

〇山田典弘     「一緒にイケてる動画を撮ろう。」

〇         「お土産を郵送してくれ。」

          「月刊東京の編集長に就任する。」

 楢崎龍虎     「いつかまた、上で会おう!」

×警視庁有志一同  「オマエだけは絶対に逃さん!」

          「オマエだけは絶対に守る!」

×国連人権委員会  「全ての女性が安全で健(以下略)」

〇安宅一冬     「浅草寺周辺を一緒に散策しましょう。」

 水岡一郎     「タックスヘイブンの利用・移住をしないこと。」

×平原猛人     「殺す。」

          「鹿児島旅行に一緒に行く。」

          「一緒にかすうどんを食べる」

 車坂聖夜Mk-II   「世界中の皆が笑顔で暮らせる、優しい世界を築く」

×今井透      「原油価格の引き下げたのんます。」

          「小麦価格の引き下げをお願いします」

〇荒木鉄男     「伊藤教諭の墓参りに行く。」

 鈴木翔      「配信に出演して。」 

×遠藤恭平     「ハーレム製造装置を下さい。」

〇         『子ども食堂を起ち上げます。』

          「紙幣焼却によりインフレを阻止する。」

〇田名部淳     「全財産を預けさせて下さい!」

          「共に地獄に堕ちましょう。」

 三橋真也     「実は配信者になりたいので相談に乗って下さい。」 

〇DJ斬馬      『音楽を絡めたイベントを開催する際、日当10万で雇用します。』

 金本宇宙     「異世界に飛ばして欲しい。」

 金本聖衣     「同上。」

 金本七感     「17歳メインヒロインなので旦那との復縁を手伝って。」

〇天空院翔真    「ポンジ勝負で再戦しろ!」

          「再戦するまで勝手に死ぬな。」

〇小牧某      「我が国の防諜機関への予算配分をお願いします。」

 阿閉圭祐     「日本国の赤化防止を希望します。」

〇坊門万太郎    「天空院写真集を献納します!」

 宋鳳国      「全人類救済計画に協力します!」

 堀内信彦     『和牛盗難事件を解決します。』

〇内閣国際連絡局  『予算1000億円の確保します』

〇毛内敏文     『青森に行きます!』

 神聖LB血盟団   「我々の意志を尊重する者が必ずや遠市厘を抹殺するだろう。」

 Top Girls     「招待ホモ枠の仲間として色々便宜を図ってあげマース♥」

〇大西竜志     「知り得る限り全ての犯罪者情報の提供。」

          『貴方の遺族に篤く報います。』

 坂東信弘     「四国内でのイベント協力」

 国重辰馬     「四国内でのイベント協力」

 涌嶋武彦     「畜産業界の総力を挙げて遠市派議員を衆議院に最低10名押し込みます!」

 斑鳩太郎     『処刑免除を保証します。』

 志倉しぃ     「カッコいいホモの人を紹介して下さい。」

〇孝文・j・G   「英国大使館パーティーにて利息支払い」

          「永遠の忠誠と信仰を(以下略)」

〇グランツ(英)  「perape-ra!!!!!!!!」

 E・ギャロ     「農政助言」

          「王都で星を見る。」

 福永史奈     「出産すれば1億円支給」

 野上絵麻     「以下同文」

 桂川風香     「以下同文」

 久能木瀬里奈   「ジャンジャンバリバリ!!」

 児玉繭子     「ウチの旦那に色目を使うな。」

          「アメリカ経済を破綻させないように努力する。」

 古河槐      「jetの救済をお願い。」

 カミーラ・B   「perape-ra♪」

 故バーゼル卿   「perape-ra!」

〇有村拓我     「福田魁との連絡を取る。」

×福田魁      「男らしゅうせー!」 

竹内遊馬     『異世界に飛ばしてあげますわ♪』




 金本光戦士    「どんな危機からも必ず救い絶対に守る。」



 古河槐      「シンママで産む」



◎木下樹理奈    「一緒に住ませて」



×松村奈々     「二度と靴は舐めないにゃ♥」

〇         「仲間を売るから私は許して♥」

×         「ウンコは便器の中にするニャ♪」

          「未来永劫ずっと一緒♥

          ずっとずっとずっとずーーと×∞

          厘を守ってあげるね♥」



◎鷹見夜色     「ウ↑チ↓を護って。」

〇         「カノジョさんに挨拶させて。」

〇         「責任をもって養ってくれるんスよね?」



×ヒルダ・コリンズ 「芋羊羹…。」

          「王国の酒…。」

          「表参道のスイーツ…。」 

×         「ポン酢で寿司を喰いに行く。」



 土佐の局     「生まれた子が男子であればリイチ。

          女子であればリコと命名する。」


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