【降臨80日目】 所持金3億0036万0533円 「ウンコ以下の糞野郎です。」
我らが地球には「八十日間世界一周」なる名著が存在する。
作中の所要日数はタイトルの通り。
区切りのいい数字なので、俺も冒険の参考にさせて貰っている。
異世界でも80日という日数はかなり意識していた。
ヒルダから神聖教団の総抹殺と妊娠を告げられて、そのプレッシャーに耐え兼ねていた頃だ。
連邦・首長国の国境騒動が勃発した事を口実にコリンズ母娘から逃げ出した。
それが異世界の80日目だ。
一方、本日迎えた地球帰還からの80日目。
状況は最悪である。
まず、あの頃と違って全くカネがない。
ヒルダにパーティーを壊滅させられてからリカバリーに手間取っている。
警察とヤクザに指名手配されている。
そして今、全く孤立無援の状態で狂人に追い回されている。
深夜の海風と眉間の流血が容赦なく体力を削って来る。
「ニャガー!!! ニャガー!!!」
松村が鉄パイプを振り回しながら敷地内を超速度で走り回っている。
遠目にではあるが、警備員らしき人影が殴り倒されているのが見えた。
やべえ、あの糞猫、完全に狂ってやがる。
捕まったらノリで撲殺されかねんな。
で、この絶対絶命の状況から逃れる為、藁をも掴む思いで掛けたスマホ。
繋がってくれたのはいいんだけど…
この藁、頼りないんだよなぁ。
『ポールさん!?』
「リン君!?」
スマホ画面に映っているのは、異世界の子供部屋おじさんポール・ポールソン。
相変わらずの無精髭に目が隠れる位のボサボサ髪。
気のせいか別れた時よりやつれてないか?
『何で繋がってるんですか?』
「どうして繋がってるの?」
『分かりませんよ、そんな事。』
「分かる訳ないでしょ、そんなの。」
参ったなあ。
折角、誰かに助けて貰おうと思ったのに。
よりによって、このオッサンかぁ。
チェンジ出来ないかなあ。
『あのぉ、久々の再会早々に恐縮なんですけど。
…今、助けをですねぇ。』
「まあいい!!
地獄に仏だ!
リン君!! 助けてくれ!!
見れば分かると思うけど!!
死に掛けてるんだ!!!
助けて!!!」
『…あ、はい。』
画面に映っているポールはかなり憔悴しており、よく見れば左頭部から大量の出血をしている。
それに背後は砂漠?
何やってるんだ、この人。
「簡単に状況を報告する!!
2時間前くらいに、ラスボスっぽい奴を倒した!!」
『え?
ああ、お疲れ様です。
相変わらず陰徳を積まれておられるようで。』
「そしたら!!
冒険絵巻とかじゃお約束なんだけど!!
ラスボスが居た地底のダンジョンが崩れ始めたんだよ!!」
『それは奇遇ですねえ。
地球の絵巻物でも、こっちではラノベって呼称するんですけど。
ラノベでもラスボスを倒したら、大抵そのダンジョンは崩れますね。
そこから脱出してハッピーエンドっていうのがお約束ですかね。』
「何とか脱出には成功したんだけど、全然ハッピーにならないんだよ!
砂漠の奥地側に出ちゃったみたいで、砂嵐と熱波と流砂の激し…
うわああ通信機がぁ!!!」
画面の奥のポールが不意の砂嵐に転ばされ、通信機を転がしたらしい。
スクリーンには全てを焼き尽くす勢いで猛り狂っている灼熱の太陽が映っている。
いや、俺は凍死しそうなほど寒いんだけどな。
「あああ!!!!
通信機!!!
通信機イイイ!!!!」
数メートルほど離れた場所に通信機を落してしまいパニックになったポールが情けない悲鳴を上げながら走って来る。
参ったなぁ。
死に掛けてるからSOSを送ったのに、明らかに俺より絶体絶命の奴に繋がるんだもんなぁ。
今のポール、明らかにヤバい状況だもんな。
「ハアハア!!
た、助かった!!
ハアハア!!
俺の生命線!!
最後の命綱!!
これが無ければ本当に死ぬ!!」
『おつかーれっす。』
「あ、あのリン君。
再会早々なんだけど!!
何とか助けてくれないか!!
俺、30秒後くらいに死にそうなレベルでヤバイんだよお!!」
『いやあ、助けてあげたいのは山々なんですけど。
こっちも普通に死に掛けてて、ほら私も結構流血酷いでしょ?』
「あ、ゴメン。
映像機能は通ってるんだけど、そっちが暗い所為なのかな。
全然見えない。
リン君が喋るタイミングで少し眼光の揺れが見えるくらいかなあ。」
『ああ、こっち夜なんですよ。
異世界とは時差があるのかも知れませんね。』
「そっかあ。
お互い星の果てに住んでるからね。
時差くらいはあるか。」
『ポールさん、大丈夫ですか?
声が弱り切ってますよ?』
「弱りもするよ。
宇宙の起原系ラスボスを倒した後に、砂漠漂流だもん。」
『ポールさんも歳なんだから、そろそろ落ち着きましょうよ。』
「俺もそろそろ、エピローグのスローライフ描写に移りたいんだけどねえ。
なーんか人生思ったように行かないわ。」
『ああ、わかります。
隠棲したいと思う程、次の大冒険の幕が開きますよね。』
「それな。
流石に今回は疲れたわ。」
『見たところ、砂漠のど真ん中に居るみたいなんですけど。
大丈夫ですか?』
「うーーーん。
理論上、3日3晩歩き続ければマシな方の砂漠に辿り着ける筈なんだ。」
『今、居るところは。
マシじゃない砂漠?』
「うん。
砂漠って言っても色々あってさ。
岩場やオアシスに恵まれてるイージーな砂漠もあれば、今みたいに純粋に何もないナイトメアモードの砂漠もある。
画面越しじゃわからないかも知れないけど、起伏が凄いんだよコレ。」
『ああ、砂丘って奴ですね。
画面越しじゃ分かりにくいですけど。
砂が坂になってる様に見えます。』
「歩いてみると分かるけど、勾配キツイよ。
今、俺が昇ってる砂丘なんて傾斜30度はあるからね。
それを500メートルくらい登って位置確認→絶望。
次の砂丘に登って位置確認→絶望。
この繰り返し。」
『マジっすか!?
拷問じゃないですか!?』
「あ?
分かる? 分かってくれる?
この地獄の苦しみ。
俺も大概しぶとい人間なんだけどねえ。
今度という今度こそ駄目かも知れない。
ねえ?
水持ってない?」
『え?
水?
ここ海辺の工場なんですよ。
探せば水はあると思うんですけど。』
「その水をこっちに転送するスキルなんかは持ってないよね?」
『すみません。
私のスキルは例によってアレです。』
「何?
そっちでもおカネ出してるの?」
『ええ、例によって17時限定ですけど。』
「じゃあ、そっちでも大富豪でしょ。
もう故郷の領主くらいにはなれたんじゃない?
幾ら貯まった?」
『いやあ、それがお恥ずかしい話で2億チョイしか手元になくて、』
「うっそ?
君、10垓男じゃん。
幾らなんでも2億って事はないでしょ。」
『途中まで増やせてたんですけど。
女に盗られちゃって。
今は金欠でちょっと生活苦しいです。』
「やれやれ、リン君も相変わらずだねえ。
自己防衛はもっときちんとしなくちゃ駄目だよー。」
『そういうポールさんこそどうなんですか。
管財人にしてあげたのに、砂漠をウロウロしてるし。』
「あ、俺も家督ごと管財権を盗られちゃった。
今は帰る場所すらない。」
『ポールさぁん。
自分の事を棚に上げるのやめましょうよ。』
「ゴメンて。」
『で?
どうするんですか?』
「何が?」
『ナイトメア砂漠、抜けれそうですか?』
「いやあ、ちょっと難しいかな。
今ね?
さっきの砂丘を登り切ったんだけど。」
『おお!』
「眺望絶望。」
『そりゃあご愁傷様です。』
「水も食料も底を尽きかけてる。
ねえ、砂漠で水を手に入れる方法とか聞いたことない?」
『砂漠生活長いんでしょ?
ポールさんの方が詳しいと思いますけど。』
「俺達、普段はスキル頼みなんだよ。
身内に水系の達人が居るんだけどさあ。
普段は給水関係を全部任せてるのね。
チームで動いてる時はそれでいいんだけど。
今回みたいに孤立したら終わりだね。」
『ああ、なるほど。
パーティーから分断された状態なんですね。
何から何まで奇遇ですねえ。
私も絶賛孤立中なんですよ。』
「あ、思い出した。
リン君、前に言ってたでしょ。
地球には知識共有ネットワークが存在するって。
それで打開策を調べてくれない?」
『Googleの話ですか?』
「そう、それ!
地球人は全員Googleってスキルで全ての知識を共有してるって言ってたじゃない!
そのスキルで調べてみてよ!」
『あ、すみません。
大抵の地球人はそのスキルを使えるんですけど。
俺だけGoogle使えないんですよ。
いや、きょうび幼稚園児でも使いこなしてるんですけど。』
「駄目だよー、リン君。
皆が出来る事はちゃんと自分も修練しなくちゃ駄目。
歳を取った時にツブシが効かなくなるよー。
俺が言うんだから間違いないよー。」
『いやあ、説得力ありますねえ。
猛省します。』
「そっかあ、Google使えないかぁ。」
『すみません。
俺以外の全地球人類は大抵使えるスキルなんですけど。
気の利いた奴なら、こうやって話しながら打開策を検索してると思います。』
「そっかあ。
今日が俺の命日かぁ。」
『何か遺言あります?』
「俺、弟が3人居るんだけどさ。」
『あ、はい。』
「話す機会があれば伝えといて。
《最後まですまないねぇ》ってさ。」
『遺言まで謝り慣れてますね。』
「そりゃあ、迷惑の掛けっぱなしだもん。
ちなみにリン君の遺言聞いておこうか?」
『うーーん、遺言かぁ。
急に言われても困りますねぇ。
ああ、それじゃあ。
《税制は累進性の保持を最優先すること》
と皆に命じておいて下さい。』
「君らしいねえ。」
『国家は誰かの私物であってはならないんです。
そこに住まう国家人民の共有財なのですから。
私の座右の銘です。』
「あれ?
そのフレーズどこかで聞いたな。
誰かの引用?
この暑さで思い出せないけど。
まあいいや。
お互いの遺言も交換出来たし。
後は窪みで体力温存モードに切り替えるわ。
奇跡的な天祐があれば、毒サソリの体液で喉を潤せるかもだけど。」
『いやいや、誰かGoogle使える奴に聞いてみますんで。
希望を捨てずに待っていて下さい。』
「ありがと。
接続水晶のエナジーが減って来てるから、一旦スリープモードにしとくわ。」
『最後まで諦めないで下さいね。』
「リン君もね。」
『はい!』
ポールは疲れ果てたのだろう。
砂丘の中腹の窪んだ箇所に入ると、砂を背もたれにして座り込んでしまった。
表情がやつれ切っている。
何せラスボス戦の直後らしいからな。
俺達は二言三言と軽口を交わしてから通信機を終えた。
全く、世界も異世界も大変だよな。
「ニャガガガガガぁーーー!!!!!」
奇声の上がった方角を見ると松村が鉄パイプを振り回しながらフェンスを破って走り去る所だった。
あそこに倒れているのは警備員?
見間違えかも知れないが、頭部から出血してぐったりとしている。
『…誰だよ、あんなキチガイに教員免許を交付した馬鹿は。』
松村が破ったフェンスから、工場の外へ出た瞬間である。
突然背後で物凄いアラーム?サイレン?が鳴った。
サーチライトの様な光が工場内を目まぐるしく走っている。
?
何だ?
松村が貴重品でも盗んだのか?
あの人、手癖悪いからなあ。
それにしても警備厳重な工場である。
余程、貴重な製品を作っているのだろう。
ひょっとすると純金とかダイヤモンドとか、そういう関係なのかもな。
あー、やだなー。
松村が何か損害を与えてた場合、俺に賠償請求が回って来る可能性あるんだよなあ。
胃が痛くなってきた。
海を沿って歩き工場から離れる。
海風に邪魔されて聞こえないが、非常アナウンスが緊迫した声で流れている。
オイオイ、ひょっとして軍需品か何かの工場だったのかもな。
ドローン兵器やら、航空部品やら、そういう防衛省の機密的な工場の可能性すらあるな。
ヤバい、怒られるくらいじゃすまなさそうだ。
やだなー、松村が殴り倒したのが自衛官だったらどうしよう。
俺も連帯責任とかありそうで困るんだよなあ。
『…大体、ここどこなんだよ?
確か、茨城はもう抜けてるんだよな。』
やはり人里から離れているのだろう。
周囲には灯りが見えない。
あまりの寒さに耐え兼ね、軒を借りるべく人工物を探していると、ふと闇に鳥居のシルエットが浮かんでいるのが見えた。
神社!?
地獄に仏とはよく言ったものだ。
神社があると言う事は、近隣に人家が存在する可能性が高い。
よし、日が昇るまで社殿の軒を借りよう。
『…。』
鳥居を潜って見てみると、非常に小さな神社である。
駐車場らしきスペースには、僅かにタイヤ痕が残っている。
…よし、誰かは来る環境だ。
決して廃社ではない。
俺は社殿に無音で柏手を打ってから、横手に回り軒の下にもたれ掛かろうとする。
思ったより風が防げて、良い場所だ。
『…流石に、勝手に軒を借りるのも申し訳ないな。』
リュックから万札を取り出した俺は社殿の木戸に挟み、もう一度深く拝礼をした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
2億4844万0533円
↓
2億4843万0533円
※波倉稲荷神社に1万円奉納
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『…。』
俺が溜息を吐き、社殿の壁にもたれようとした時だった。
「カネの臭いがするニャ―!!!!」
突然、木戸が開いて中から何者かが飛び出して来る!
『うおっ!』
いや、何者も何も…
こんなキチガイは地球と異世界を合わせてもコイツしかいない訳で。
「あーーーーー!!!!
さっきのメス堕ちトイチ!!!
んニャあああッ!!!
必殺キャットナックルッぅぅぅ!!!!」
『ぐわっ!』
不意を突かれた俺は逃げる事も隠れることも出来ず、松村に殴り倒されて地面に押し付けられる。
「ニャガーwww
ニャガーwww
コイツ、チュニドラより弱ぇwww」
『がはっ!!!』
「オラオラwww
ジタバタするんじゃニャーよ!!!
いよっしゃあ、トイチ捕まえたーーーwwww
ニャガーww ニャガーww
これで賞金1億は奈々ちゃんのものニャwww
オラぁ、手間取らせやがって!! (ドガッ!)」
『ぐはああ!!』
この女、あれだけ暴れ回ってどうしてこんなに機敏に動けるんだ?
ってか一切の躊躇なく生徒に暴力を振るうなんて異常極まりない。
昭和の体罰教師でももっと理性的だったと思うぞ。
「ニャガーww ニャガーww
手錠を持って来た甲斐があったニャwww
おらあ、手を出せwww
ガチャリンコ♪
ニャガーw ニャガーw
こうやってお互いを繋いでおけば逃げられる心配もないニャww」
クッソ、また手錠かよ。
まだヒルダ手錠の傷みも消えてないのに。
今度は松村に繋がれてしまった。
「おい、トイチ!
奈々ちゃんに今の感想聞かせてみろやww」
『…感想ですか?
濫発されてる教員免許に腹が立ちますね。
せめて精神鑑定くらいすればいいのに。
深刻な怠慢を犯している文科省の全職員を公職追放します。』
「ニャガーw ニャガーww
たまには意見が合うニャ!!
奈々ちゃんの教員免許を剥奪した文科省には地獄の鉄槌を食らわせてやるニャ!!」
…いや、オマエに交付した事が罪状なんだけどな。
「なあトイチ。
これカツラかニャ?」
『ええ、知人にウィッグを借りてます。』
「その割に取れないニャ。」
『さあ、付けっ放しだったから中で髪が絡まってるんじゃないですか?』
「ふーーーん。
まあいいニャ。
折角トイチを捕まえたんだから、まずはこの大手柄をルナお姉様に知らせるニャ♪
ぐふふ、これで賞金1億は奈々ちゃんのモノ❤
ニャハハハハハwwww
くーっ!
ぎ・も゛・ぢ・い゛~~~~~ッ♪」
松村は俺を地面に押し付けたまま、片手で器用にスマホを操作している。
脱出を試みようともがくが、その度に狂ったように殴打された。
いや、狂った《ように》な訳ないよな。
コイツ、あきらかに真性のキチガイだ。
まだ教室では人間の皮を被ってたが、それでも無断欠勤を繰り返したりホームルームで大麻肯定論を熱弁したり、片鱗を見せていたからな。
今回教員免許を剥奪された事で、本人なりに抑えていた本性が剥き出しになったのだろう。
教員資格の交付・更新には精神鑑定を義務付けるべきだよな。
「もしもし、奈々か?」
「ぁ♪ お姉様❤」
「連絡無視しやがって…
今、オマエ東京に戻ってるのか?」
「にゃはは♪
聞いて喜ぶニャ♪
いい子のいい子の奈々ちゃんがぁ❤
お姉様にサプライズプレゼントを用意したニャ❤」
「奈々のサプライズって斜め上だからなあ。
オマエに関しては事前申請にしてくれんか?」
「あー、酷いニャ!!
まるで奈々ちゃんがトラブルメーカーみたいな言い方ァッ!」
「あ、うん。
まあ、程ほどにな。」
「さて、お姉様♪
ここでクイズニャ♪
今夜のプレゼントは何だと思うニャ?」
「えーっと。
オマエ、茨城に残ったんだよな?
おい、ひょとして密漁してたんじゃないよな?
勘弁してくれよー。
茨城の密漁仕切ってる村瀬会長と組長はさあ。
部屋住み時代からのマブダチなんだよ。
会長のシノギを荒らす事だけはやめろよ」
「安心するニャ!
奈々ちゃんいい子だから、密猟の邪魔はなるべくしないニャ!」
「本当かー?
頼むぞー。」
「それではクイズの答えです。
クチドラムローム!!
ダラララララララララララララ!!」
「不安しかねーな。」
「ジャーン!!!」
「タメの長さがウザい。」
「ななな、なーんと!!!
お姉様へのプレゼントはトイチでーーす!!!」
「えッ!?」
「ニャハハハハハwwww
驚いた?
褒めて褒めて~❤」
「お、おう。
そこにダーリン様が居るのか?
え? 今どこ?
東京に戻ってる?」
「いや、現在地不明ニャんだけどさぁww
トイチを捕まえたのは奈々ちゃんだから♪
奈々ちゃんの手柄だから♪
こらっトイチ、頭上げろ、殺すぞ!(グイッ)」
「おい! 乱暴するな!」
「どう今のトイチww
笑えると思わニャい?
これで変装のつもりらしいニャww」
「あ、いや画面が暗くて何も見えん。
ダーリン様が居るなら、声を聞かせてくれ!」
「オラぁ、トイチ!
何か喋ってみろニャ (ドガッ!!)」
『ぐわあああッ!!』
「その声はダーリン様!!
おい奈々!! ダーリン様に乱暴するな!!!」
「はいはい。
こんな知恵遅れアデノイドのどこがいいのやら。
オラッ、トイチ!
何か喋れ!(ドカッ!)」
『ガフッ!!
…う、う。
た、鷹見か。』
「ダーリン様!!!
はい、貴方の夜色です!!
御怪我をされておられるのですか!?」
『血を出し過ぎたかも。
一応意識はある。
ちょっと寒いかな。』
「すぐにお迎えに上がります!!
今、どちらに!?」
『実は今居るのが海路から入った土地でな。
茨城から北上した事までは把握してるんだが…
どこだろ?
仙台には着いてない筈だが…
大きな工場の近く…』
「はーーーーい、ストップ!
おしゃべりタイムはおしまいニャ!!
それじゃあお姉様♪
約束は忘れてないニャね?」
「ん? 約束?」
「またまたーww
惚けっちゃってwww」
「? ?」
「トイチを捕まえたら賞金1億円❤
キャンペーンの真っ最中だニャン♪」
「ああ、なんだ賞金の話か。」
「うへへへへwww
毎度アリニャーーーwwww」
「いや、オマエには払えないぞ?」
「ニャ?」
「各組への嘆願状にも記載しただろう。
ウ↑チ↓が自力でダーリン様を保護した場合。
逮捕者や負傷者へのケアに全額費やすって。」
「ニャ…?
捕まえたのは奈々ちゃんであってお姉様じゃないニャ!!!
カネ寄越せニャ!!!」
「いやいや、オマエはウ↑チ↓の女じゃん。」
「ニャガーッシュ!!!!
いい加減な事言うニャ!!!
だーれがそんな世迷言!!!」
「いや、オマエのSNSのプロフ欄とか。」
「はあ!?
えすえぬえすぅ↑?
ザケンニャ!!
そんな筈…
(ポチポチ)
そんな筈…
(ポチポチ)」
「…。」
「うっわああああ!!!!
アカウント名が既に!!
《松村奈々@鷹見夜色と熱愛中》
って記載されとるニャ―!!!
しかもトップ画像にデカデカと!!!
お姉様とのキスシーンが使われてるニャーーー!!!」
「まあ、そんな訳でさ。
奈々はウ↑チ↓の女として認識されてるんだよ。
そんなオマエに賞金払っちゃったら…
皆を見せ金でタダ働きさせたみたいだろ?
だから、払いたくても払えないんだよ。」
「ぎにゃあああああああ!!!!
ヤダヤダヤダヤダヤダ!!!!
奈々ちゃん1億!!!
奈々ちゃん1億!!!
あのカネ、奈々ちゃんのおお!!!!!!
カネ寄越せカネ寄越せ!
頂戴頂戴頂戴頂戴頂戴ッ!!!!!
カネチョーー!! カネチョーー!!」
「今は手元にカネないんだけどさ。
少し待ってくれれば、寸志を払うから。
それで機嫌直してくれよ。」
「ぎにゃあああああああああああん!!!!
にゃーーーーーーーん!!!
にゃーーーーーーーん!!!
うそつきーーー!!!
ばかーーーーー!!!!!
ボイネコおおおおッ!!!!!」
「奈々、あのな。
社会というものはだな。」
「社会科教師に社会語ってんじゃねええ!!!!!」
松村は鷹見と決裂したらしく、一方的に電話を切ってしまった。
そして無理やり俺を引き起こして激しく殴打する。
『ごはあああ!!!』
「やい、トイチ!!!
テメーの所為で奈々ちゃんの1億がパーになったニャ!!!
ハアハア!!!
むかつくニャ―!!!!
ドイツもコイツも奈々ちゃんを馬鹿にしやがって!!
腹いせにテメーを拷問処刑してやるニャ!!!」
『…う、う、う。
ガハッ! ガハッ!』
「いや、待てよ!
確かヒルダもコイツに賞金掛けてたニャ!
アイツは映画化もするからたんまりカネをくれる筈ニャ♪」
松村は俺の売り先をヒルダに変更したらしく、上機嫌でスマホを操作してる。
「やっべw
ブロックしたまま放置してたニャww
失敗失敗ww
じゃ、早速コールするニャww」
今は深夜でコールすること自体迷惑だと思うのだが、この駄猫にそこまでの配慮があるとは思えない。
「もしもーし、大BBA❤
お久しぶりニャ♪
ずっ友の奈々ちゃんニャ♪」
「あら中BBAさん、ご無沙汰ね。
何か御用?
私、貴女と違って忙しいのだけど。」
「にゃっはっはーw
奈々ちゃんにそんなクチ利いていいのかニャ?
今、オメーが欲しいものを奈々ちゃんは入手済みだニャ。」
「あら、プルトニウムを手に入れてくれたの?」
「え?」
「え?」
「いや、プルトではなく!
他にオメーが欲しがってるものがあるニャ!!」
「?
…もしかしてリンがそこに!?」
「ニャハハwww
御名答♪
鷹見の奴がケチンボだから、オメーに売ってやる事にしたニャ!
さあ、幾らくれるニャ!!!
最低落札価格は1億円からだニャ!!!!」
「リン、聞こえますか!」
『う、う…
一応な。』
「嗚呼、やっと逢えた。
貴方の声を聞くこの瞬間を…」
「ちょっと待てニャーーーー!!!!」
「何です、騒々しい。」
「カネが先ニャ!!!
コイツを捕まえたのは奈々ちゃんニャ!!!
賞金寄越せニャ!!!!
カネチョー!! カネチョー!!」
「払いますよ。」
「え?
ホントニャ?」
「ええ、警察庁にもポスターを貼らせましたが。
情報500万に加えて保護に1億を掛けてます。
この金額はルナと合議して決めた額です。」
「いやああったあああ!!!
いっちおっくえーん♪
いっちおっくえーん♪」
「ではリンを連れて来てくれ次第。
ルナの口座に1億振り込みますね。」
「え?」
「え?」
「ちょっと待つニャーー!!!!
捕まえたのは奈々ちゃんなのに!!
どうして鷹見の口座に振り込むんだニャ!!」
「いえ、あの者は当家の側室ですので。
正室の私には論功行賞の義務があります。」
「そーゆー話じゃないニャ!!!!
それは鷹見とテメーの問題ニャ!!!
奈々ちゃんには関係ないニャ!!!!」
「?
貴女はルナの愛人でしょう?
私から頭越しに賞罰を下せる訳がありません。
家中の秩序が乱れます。」
「ばっきゃろーーー!!!!
いつ奈々ちゃんが鷹見の愛人になったニャ!!!」
「あ、いえ。
貴女のSNSに。」
「んな訳ねーだろおお!!!!!!
ぶっ飛ばすぞテメエ!!!
どこの世界にTwitterのプロフ欄に!!!
(ポチポチ)
そんな性癖を全世界に晒す馬鹿が!!!
(ポチポチ)
居る訳がァ!!!
(ポチポチ)」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【松村奈々@鷹見夜色と熱愛中】
鷹見夜色のガチ愛人♪
身も心もルナルナに捧げてるニャ❤
夜猫@の振り付け覚えれない方♪
推しマは[絵文字:肉球]
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ニャガンボーーーーーン(号泣)!!!!
誰がこんなプロフ欄にしたニャーーー!!!!
って奈々ちゃん自身ニャーーーー!!!!」
「流石に、幾ら相手が側室とは言え…
閨の中にまで干渉は出来ませんからね。
賞金はルナに支払います。
後は鷹見家中で分配なさって下さい。」
「ニャガーーーーーーーッ!!!!」
発狂した松村が電話を切ってしまう。
この女も随分悪化したよなあ。
と思いながら学校生活を振り返るが、語尾以外はこんなノリだった気もする。
うん、悪いのはこんな屑に教員免許を与えた文科省だな。
「あー、ムカつく!
2人共ブロック着拒の刑に処すニャ!」
『まあまあ。
友達は大事にしましょうよ。』
「ば~~~~~っかじゃニャぇの!?
友達ィ?
そんなもんは1円の得にもならないニャ!」
『ヒルダも鷹見も同性の視点で見れば面白味のある連中だと思いますけどね。』
「うるせえケツ穴野郎!
テメーに女の何が分かるニャ!」
『まあ確かにここ数日で表層をなぞっただけですけどね。
それでも女社会の楽しさや難しさは垣間見たつもりです。』
「…なあトイチ。」
『はい?』
「オマエにも竿はあるんだよニャ?(ゴクリ)」
『キャッ! 身体を触らないで下さい!』
「ウェヒヒ!
恩師には生徒を搾取する権利があるニャ!
主に性的な意味で!」
『そんなもの!
ある訳ないでしょ!』
「オメーはニュース見たことねーのか!
毎日1件は教師が生徒を犯して懲戒免職されてるニャ!」
『ぐぬぬ!
言われてみれば!』
「しかも日本の校長は平均1.2回以上の売春を行っている!
そんなデータが警察庁の調べで判明してるニャ!
つまり生徒なんて恩師様にとっては性的搾取対象に過ぎないニャ!
Q.E.D. 証明終了ニャ!!!」
『ぐぬぬ、文科省め!
跡形もなく消し去ってくれるわ!』
そんな下らない茶番を繰り広げていると空が白み始めていた。
最初、朝日が射したのかと思ったが、どうやら異なるようだ。
朝日はあんな轟音を立てない。
「おい、トイチ。
何でヘリがあんなに飛んでるニャ?」
『さあ、大きな事故でもあったんじゃないですか?
それにしても変な形のヘリコプターですね。』
「奈々ちゃんああいうのに疎いんニャけど。
あれ、オスプレイじゃね?」
『ああ、左翼系のニュースでよく出てきますね。
じゃあ、あれ米軍ですか?
いや、自衛隊にも納入されてたんでしたったけ?』
「さあ。
奈々ちゃんミリオタじゃねーから分かんニャい。」
『それにしても5機で旋回してますね。
ずっと地上をサーチライトで照らしているし。
何してるんだろ?』
「さあ。
凶悪犯でも探してるんじゃニャーか?
銀行強盗とか。」
『強盗で米軍って動くものなんですか?』
「じゃあテロリストが重要施設で暴れたとか。」
『ああ、それなら支援要請出すかも知れませんね。』
「あー、やだやだ物騒な世の中だニャ。
おい、トイチ喉が渇いたニャ。
オマエ、何か買って来い。」
『え?
この辺、何もありませんでしたよ?』
「はーっ、つっかえ。
大体、ここはどこニャ?」
『神社ですよ。
表に由来書いてあったでしょ。』
「あー、そういう話駄目。
奈々ちゃん、寺とか神社とかそういう辛気臭い場所が大嫌いだニャ。」
『まあ、先生が参拝しても罰が当たるだけですからね。』
「ニャンだとー!」
『あ!
確か手水がありましたよ。
口を濯ぐ水だから、ギリ飲めるかも。』
「えー、奈々ちゃんロイヤルミルクティが飲みたい。
あ、これ下ネタじゃニャいからね?」
『我慢して下さいよ。
ここがどこかさえ分からないんだから。
世の中には砂漠の真ん中で死に掛けて、水の入手方法を電話で聞いて来る人も居るんですよ。』
「いや、流石にそんなボンクラは居ないニャ。」
『居るんですぅー。
あ、先生。
砂漠の真ん中で水を入手する方法って知ってます?』
「Googleに聞けや。」
『私のスマホ、Googleに繋がらないんですよ。』
「え? マジ?
オマエって脳味噌のみならず、スマホまで不良品だニャ。」
『ちょっと先生調べてくれません?』
「たっく面倒くせえニャぁ。
あ、電池切れニャ。」
『えー、ポールさん死んじゃうかも。』
「砂漠なんかに行く奴が悪いニャ。」
『駄目なりに頑張ってる人なんですよ。』
「オメー、だめんずに引っかかるタイプだニャ。」
結局、文句を言ってた癖に松村は手水をガブガブ飲んだ。
その間、改めて神社を散策。
波倉稲荷。
由緒を刻んだ石碑に目を近づけて読んでみる。
ヘリのサーチライトがありがたい。
「おーい、トイチ。
何を読んでるニャ?」
『どうやらこの辺は江戸時代には天領だったようです。』
「ほーん。
それで、ここはどこニャ?」
『いや、それはわからないんですけど。
元々、米どころだったらしいですね。』
「いや、だからここは何県の何市だニャ?」
『うーん、それはわからないんですけど。
明治維新の時にここから離れた場所に駅が出来たらしいですね。
それで、陸の孤島になっちゃったみたいです。』
「ふーん。
それでここは何県ニャ?」
『いや、それは分からないんですけど。
文化が駅中心に発展した事への恨み節が書かれてますね。』
「あっそ。
オメー、授業でも注意した気がするけど。
もっと要点を的確に拾う技術を身に着けろニャ。」
『この先はちょっと角度的に見えにくいんですけど。
農地基本法がどうたらこうたらって書いてますね。』
「ふーーん。
まあ、要するにこの辺は田園地帯ってことだニャ。」
『駅が遠いみたいで憂鬱ですけど、タクシー拾えたら拾いましょう。』
「おう、街に着いたら焼肉食わせろニャー。」
『え?』
「え?」
『何で私が先生と食事しなきゃいけないんですか?』
「は?
ばっかオメエ。
恩師への恩返しするのは生徒の義務ニャ。
オメーが一番手が掛かったんだから、一番尽くせニャ。」
『えー、私ってそんなに手が掛かりましたか?』
「オメーが週刊文春を使って小峠ハメた時に、後始末で走り回らされたニャ。」
『あー、そんな事もありましたねー。』
「他人事みたいに言うニャ!
どれだけ奈々ちゃんのプライベート時間が削られたか!
大麻を吸う暇もなかったニャ!」
『まあまあ。
もう終わった事じゃないですか。』
「授業も一番理解度の遅いオメーに合わせてたし。
後で埋め合わせしろニャ!」
『はいはい。』
「あ、ここは笑う場面ニャぞ。
埋め合わせとチ〇ポで埋めるを掛けたギャグだニャw
ぷぷーーww
ウィットに富んだオトニャの女の小粋なトークww
ぷぷーーーww」
『自分の下ネタで笑うおんなのひとって…』
「まあ兎に角。
でんちゃかタクシーで東京行くニャ!」
『すみません。
山形に顔を出す約束してるんですよ。』
「はァあああああ↑あ↓あ↑ッ!?
やぁ↑ま↑↑が↓たぁ~↑ッ!?
奈々ちゃん田舎が大嫌いニャんだけどぉ↑?」
『住んでる方に失礼でしょ。』
「はっ!
どーせ山形人も山形なんて嫌いに決まってるニャ。
最上義光も同意する筈だニャ。」
『人によるでしょうね。
じゃあ、タクシー代あげますんで。
勝手に東京でもどこでも行って下さい。』
「あーあ。
折角頑張ったのに賞金もうやむやにされるし。
ロクなことない夜だったニャ。」
『いや、私は貴女に殺されかけたんですけどね。』
「オメーなんか死んでも誰も困らないニャ。」
『先生が死んだら誰かが困るんですか?』
「撮影スケジュールが狂うからAV会社の人が困るニャ。」
『なるほどー。』
松村と2人で神社を出て人里を探した。
手錠に繋がれたままなので歩きにくい。
少しでも遅れるとゲシゲシ蹴られるので地味に辛い。
ちなみにリュックの総重量は25㌔。
更には80日前まで車椅子生活だった。
ポールよりマシな状況だが、十分に地獄である。
起伏が激しく辛いが、坂道を登った上から眺めると、なるほど海沿いの寒村だな。
海辺にはさっきの巨大な工場。
サイレンは止まらないし、その工場に向かってパトカーや自衛隊車両が走っていく。
余程、大切な施設なのだろう。
「おい、トイチ。
あれ線路だニャ。」
『あー、確かに見えますね。
じゃあ、あそこに沿って歩けばいずれ駅に着くでしょう。』
「ばーか。
こんな糞田舎は駅同士の間隔が広いニャ。
歩いてるうちに足が潰れちゃうニャ。」
お互い疲れてるので、のんびり歩く。
駄目元で手錠を外してくれるよう頼むが断られる。
どうやら俺の売り先を思案しているようだった。
アホみたいに長時間歩いて線路に辿り着き、そこから周囲を見渡しながら、何とか駅に到着。
何時間歩いたか分からない。
1つ判明した事は、このキチガイを手懐けている鷹見の偉大さである。
教壇に立っていた時は、もう少しマシな人間に見えたが…
世の中には生粋の屑も居るんだな、と改めて思った。
「ようやく着いたニャ。」
『先生が手錠外してくれたら、こんなに苦労しなかったんですけどね。』
「外したらオメー、逃げる気ニャ?」
『…うっかりはぐれちゃうかもですね。』
「語るに落ちたニャ。
テメーを換金するまでは逃がさないニャ!
あ、公衆トイレあるー。」
『あ、本当ですね。
流石にトイレの時くらいは…』
「はァ?
ウンコもシッコも常に一緒ニャ!」
『えー、正気ですかぁ?』
「アホ。
奈々ちゃん常に本気だニャ!」
松村と一緒に女子個室でトイレ。
信じ難い事に事後に拭かされる。
『えー、まさかここまでやらされるなんて…』
「アホ。
これが風俗だったら、10万は徴収するオプションだニャ!」
『正気の沙汰ではありませんね。』
思い出したくもないが、松村と一緒に大小便を済ませて。
少しスッキリ。
この世の地獄である。
「それにしてもパトカー多いニャぁ。
誰かよっぽど酷い事件を起こしたに違いないニャ!」
『ええ、犯人は記憶力まで酷い奴なんでしょう。』
「おうトイチー。
始発6時だってさ。」
『へえ…
後、20分ですか。
もう疲れたし、それに乗りましょう。』
ふむふむ。
この竜田駅というのは、水戸と仙台の中間あたりに位置する駅なのだな。
田舎の駅だというのに、黒スーツの役人(?)で溢れかえっていて盛況である。
どうやら役人が待ち合わせに使っているらしく、皆が必死の形相でスマホに怒鳴っている。
「こんな糞田舎にどうしてこんなに人が居るニャ?」
『さあ、通勤ラッシュか何かなんでしょ。』
「ふむ。
トイチにしては慧眼ニャ。
褒美として今期の成績は1から2に上げといてやるニャ。」
『10段階評価ですか?』
「んー?
1000段階評価の2だニャ。
後、998頑張れニャ―。」
『励むとしましょう。』
竜田駅は田舎だけあってロータリーが無駄に巨大であり、そこに役人が乗り捨てて行ったタクシーが数台たむろしていた。
よし、カネも重いしタクシーで山形まで行くか。
『じゃあ、先生。』
「ニャ?」
『先程申し上げた通り、私は山形に向かいます。』
「うむ。」
『運転手さん。
仙台ナンバーですけど、戻られるんですか?
ああ、良かった。
じゃあ、謝礼は弾みますので山形駅まで向かって貰えますか?
はい、宜しくお願いします。』
「おい運転手。
宜しくニャ。」
『え?』
「ニャ?」
『何で先生が乗るんですか?』
「ん?
オメーの知能は間抜けニャ?
さっき宣言した通りニャ。
オメーは奈々ちゃんの戦利品だニャ。
手放す訳ないニャ!」
『えー、先生田舎が嫌いって仰ってたじゃないですか。
おカネあげるから、別のタクシーで東京帰って下さいよ。
鷹見にもフォローしておきますから。
ほら、手錠外して下さい。』
「逃げないって約束したら外してやるニャ。
後、恩師に無限の敬意を払えニャ。」
『敬意って十分顔を立ててあげてるじゃないですか。』
「その態度!
《貴女は教師だから形式的に頭を下げてあげてるんです》
って態度!
オメーのそういう所が前から気に入らなかったニャ!
(ボカボカ!)」
『痛い痛い!』
「まあいいや。
手錠は一旦外してやるけど勘違いするニャよ?
あくまでタクシーに乗ってる間だけだからニャ?」
『ええ、その条件を呑みますから外して下さい。』
「たっく。
コイツ、昔から返事だけは殊勝なんだよニャー。
えっと鍵、鍵 (ゴソゴソ)。」
『先生、早くして下さいね。
あ、運転手さん。
前金です、お確かめ下さい。』
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
2億4843万0533円
↓
2億4833万0533円
※(株)ずんだ交通にタクシー代として10万円を支払い。
常磐自動車道経由で山形市へ
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「あっれー?
鍵、鍵? (ゴソゴソゴソ)
おっかしーニャ―。」
『あー、これ無くしたパターンですわ。
地球のラノベでも異世界の絵巻物でも100回は見た展開ですわ。』
「バカヤロー。
聖職者たる奈々ちゃんがそんな初歩的な…」
『どうしたんですか?』
「やっべ、多分どっかで落としたわ。
何故かポケットに亀裂が入ってたニャ。」
『太ったんじゃないですか?』
「太ってなーーーい!!!!」
『うわ、びっくりした。
耳元で大声出さないで下さいよ。』
「太ってない太ってない太ってない!!!
太ってなーーーーーーーい!!!」
『まあいいじゃないですか。
人間、加齢と共に体型も変化するものですし。
あ、私は男の人にスタイル褒められますけど❤』
「ケツ穴野郎の分際でマウント取るニャーーー!!!!!」
結局。
手錠は外れないようなので、そのままタクシーの後部座席に座る。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ぐーすかぴー♪ にゃーすかぴー♪」
糞猫は暴れ飽きたのか隣で気持ち良さそうにイビキをかいている。
俺は不幸だが、幸せそうで何よりである。
「お姉さんたちは、御姉妹?」
『担任の先生ですぅ❤』
「ぐーすかぴー♪ にゃーすかぴー♪」
「担任? あっ…(察し)
失礼しました!」
『いえいえ。
こんな朝から乗せて頂いてありがとうございますぅ❤』
「ぐーすかぴー♪ にゃーすかぴー♪」
「女の子同士で旅行ですか?」
『ええ、船に乗ったり。
神社とか見たり。』
「ぐーすかぴー♪ にゃーすかぴー♪」
「ああ、女性はそういうの好きですよねえ。
でも、気を付けて下さいよ。
丁度、非常事態宣言が出たところですから。
さっさとこんな所を離れましょう。」
『非常事態?
まあ、怖いですぅ❤』
「うーんムニャニャ♪
大麻合法化ぁ 感度三千倍ぃ
ムニャニャ♪」
「はっはっは。
ご安心下さい。
こう見えて学生時代は空手部の主将だったんですよ。
露助共が襲って来ても、返り討ちにしてやりますよ!」
『ああん❤
カッコいい、頼もしいですぅ❤』
「スピー♪ スピ―♪」
「はっはっは。
美しい御婦人をお守りするのは男として当然の義務ですよ。」
『あらぁ、お上手なんだからぁ❤』
「スピー♪ スピ―♪
もう食べられないニャ♪」
「はっはっは。
大船に乗ったつもりで居て下さい。」
運転手がラジオを聞かせてくれたのだが、本日未明に原発が謎の武装集団の襲撃を受けたらしいのだ。
警備員の証言によると襲撃者は日本語ではない奇声を挙げて原発に攻撃を仕掛けたとのこと。
(警備員7名が重軽傷、うち1人が意識不明の重体。)
外国勢力による攻撃と断定した政府は緊急事態宣言を発令。
ラジオからは岸田総理の演説が流れている。
《国民は軽挙妄動を慎み、慎重に事態の推移を注視せよ》
とのこと。
外国勢力。
言ってしまえばロシアである。
少なくとも世論は最初から、そう決めつけていた。
断定の根拠は当然ある。
数日前にロシア軍高官が自国マスメディアのインタビューで言及していたのだ。
高官は日本への核使用の可能性を聞かれた際に、冗談混じりに以下の様に答えたとのこと。
《わざわざミサイルなど使うまでも無い。
日本には無防備な原発があるじゃないか。
福島第一であんな醜態を晒しているみたいだし。
次は福島第二だなw
私が指揮官なら一個分隊で制圧可能だね。
日本の国家機能なんていつでも簡単に停止可能だ。》
いつものビッグマウスだが、軍事関係者の間ではかなり危機感が共有されていたらしく、政府は内々に警備シフトを組み直しつつあった。
その矢先に本日未明の襲撃。
まだロシア側の声明はないが、我が国の政府もロシアの威力偵察と内々には断定している気配である。
「やれやれ、物騒な世の中だニャ―。」
『あ、先生起きてたんですね。』
「原発を襲うなど卑怯千万だニャ。
ロシアは許せんニャ。」
『…先生でも一応国家観らしきものは持ってるんですね。』
「社会科教師(怒)!」
『はいはい。
で、これからどうします?』
「まずは腹ごしらえだニャ!
なんか食わせろニャ!」
『やれやれ。
運転手さん。
途中でどこか食べれる場所で停めて下さい。』
「高速降りましょうか?
ただ、まだ7時ですし空いてる店は少ないです。
多分、山形に着く方が早いです。」
この会話の直後、俺達は鳥の海サービスエリアなる場所でトイレ休憩。
どうやら、ここが行程の半分らしい。
山形まで食料が無いと知った松村は幸せそうな顔(本当にムカつく)で二度寝。
『あ、運転手さん。』
「はい?」
『今、友達が砂漠で遭難してるんですけどぉ。
砂漠で水を補給する方法ってご存知ないですかぁ?』
「え?
遭難?
この時期多いんですよねぇ。
オーバーツーリズムの弊害ですよねぇ。
えっと、場所は?」
『サハラ砂漠的に大きな砂漠です。』
「うーーん。
観光業への補助は構わないんですけど。
旅行者諸兄には節度を持って欲しいですなあ。
この前もカナダ人が白川湖の水没林に無理に入って怪我をしましてね。
もう大変でしたよ。」
『本人にも厳しく申し伝えておきますぅ。』
「えーっと。
じゃあ検索しますね。
あ、お姉さん充電器使います?
タイプC?」
『すみません。
人生初スマホで使い方よくわかってないんですよぉ。』
「ああ、それは失礼。
どれどれ、ああこの充電口はタイプCですね。
ポピュラーな型ですから、割とどこでも充電出来ますよ。」
『そうなんですね。
良かったぁ❤』
「どれどれ。
《砂漠で水を手に入れる方法》と。
いやあ、最近目が遠くなってイカンですわ。
歳は取りたくないですねえ。」
『あ、私も砂漠に電話してみますね。』
「ええ、お願いします。
うーん、どれどれ。」
何故かスマホの電源を入れた瞬間にポールと繋がる。
?
おかしい。
何でいきなり繋がる?
スマホってそういうものなのだろうか?
「…あ、あ、り、リン君。」
『ポールさん!
大丈夫ですか!?』
「…油断した。
ウォーキングサボテンの群れに襲われて…
ハアハア。」
『え?
戦闘!?
怪我は?』
「いや、何とか倒したんだけど。
触媒…
もう殆ど残ってない。
MPも尽きた…
ヤバい…
マジでヤバい…」
見れば画面の端に巨大な緑の物体が数体横たわっている。
あれがウォーキングサボテンなのだろうか?
しかしこのオッサンも顔に似合わず結構武闘派だよな。
『しっかり!
気を確かに!』
「あ、あ、あ。
本格的に駄目かも。
リン君が女の子に見えて来た。」
『ワンチャン、私の正体が女って可能性もありますよ?』
「そんな訳ないでしょ。
一緒に風呂とか入ったじゃん。」
『えー。
ひょっとすると地球で女に変わったのかもですよぉ❤』
「その展開、何度か絵巻物で読んだわぁ。
連れ添った仲間と再会したら女体化してたパターン。」
『その場合、どうなるんですか?』
「うーーん。
そういうキャラって結構人気出るからね。
レギュラーヒロインに昇格する事多いよ。
俺も連載持ってた時期はさあ。
《TSでもいいからヒロイン増やせ》って
出版社から散々言われたからね。」
『えー、元男って気持ち悪くないですかぁ?』
「いやー、どうだろ。
実際問題、絵巻物の人気投票でもそういうキャラは上位を獲りがちだからね。
子供の頃は抵抗あったけど、免疫出来ちゃったかな。
俺も自分の作品で普通に元男ヒロイン登場させてたし。」
「お2人とも、宜しいですか?」
「リン君。
後ろのオジサンは?」
「はじめまして。
ずんだ交通の運転部所属、寒河江と申します。」
「ああ、リン君の運転手さん。
こちらはポールソンと申します。」
「日本語お上手ですね。」
「?
あ、ありがとうございます。」
「砂漠で困っておられると聞きまして。
GoogleとChatGPTで調べたのです。
水を手に入れる方法。」
「おお、地獄に仏です。
寒河江さん、貴方は救世主です。」
「そちらも切羽詰まっているようですので
読み上げて行きますね。」
「ああ、助かります。」
「まず使用ツールはChatGPTの有料版。
質問は
【砂漠で水を入手する方法を教えて下さい】
です。」
「はい。」
「じゃあ、回答出しますね。
このまま読み上げます。」
「助かります。」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【砂漠で水を入手する方法を教えて下さい】
質問者:寒河江尚元
使用ツール:ChatGPT
砂漠で水を入手する方法にはいくつかの実用的な手段があります。
以下にいくつか挙げますが、状況によって適切な方法を選択してください。
1. 朝露を集める
砂漠の夜は気温が下がるため、朝には植物や岩に露がつくことがあります。
プラスチックシートや布を広げて露を吸収させ、絞って水を得ることができます。
2. 地中の湿気を利用する(太陽蒸留法)
手順:
地面を掘り、穴を作る。
穴の中央に容器を置く。
穴の上を透明なプラスチックシートで覆い、中央を石などで重くして斜めにする。
太陽の熱で蒸発した水分がシートに凝縮し、容器に滴り落ちます。
3. 植物から水を得る
植物(特にサボテンや多肉植物)は水分を含んでいます。
大きな葉を持つ植物を見つけて切り取り、下に容器を置き、水分を抽出します。
注意:一部のサボテンの液体は有毒なので、飲む前に確認してください。
4. 乾燥河川や地形を探す
ワジ(乾燥した川床)や低地は地下に水がある可能性があります。
掘ることで湿った土や水を見つけることができます。
5. 鳥や動物の動きを観察する
動物や鳥は水場の近くに集まる傾向があります。
特に早朝や夕方に飛ぶ鳥を追うことで水源を発見できる可能性があります。
6. 緊急装備を活用
市販の水フィルターや濾過ストローがある場合、汚れた水でも安全に飲むことができます。
水を吸収する化学シート(吸水ポリマーなど)も役立ちます。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「えっとサボテンの水を飲む方法を掘り下げて教えて貰えますか?」
「了解。
うーん、どれどれ。
あ! サボテンって大半が飲めないみたいです。
ウチワサボテンとバレルサボテンだけ飲めるとのこと。」
「ウォーキングサボテンではどうでしょうか?」
「えーっと。
2億5千万年前にそういう生き物が居たらしいですね。
雲南省の地層で発見されたそうです。」
「ここに死骸があるんですけど。
飲めると思います?」
「えー、何それ。
こっちの画面表示とは全然違いますねえ。
世界には色々な生物が居ますなぁ。
それ、紫の斑点あって気持ち悪いですし…
止めた方がいいですって。」
「ええ、変な臭いするので、最後の手段かなと。」
「むしろね?
地面に穴を掘る手法の方が確実じゃないですか?
見たところ、そっちはもうすぐ夜ですよね?
今、着ておられるマントの素材なら…
穴さえ掘れれば、水は入手可能ですよ。」
「なるほど。
サボテンを食べるよりは…
良さそうですね。
駄目元でやってみます。」
ポールと寒河江はスマホで熱心に情報伝達。
無知者の俺はニコニコ黙って様子を見守っていたが、走行中のパトカーが前方に見えたのでスマホを受け取った。
最近は運転中通話も厳しいらしいしな。
『ポールさん、行けそうですか?』
「まあ、やらなきゃ死ぬからね。
こんなキモいサボテン飲みたくないし。」
『穴、掘れます?
スコップとかないでしょ?』
「…不本意だけどスキルを使う。
あんまり濫発したくなんだけどね。」
『背に腹は代えられませんよね。』
「そーゆーこと。
あー、やだなー。
無触媒でスキル使うと、本当に命削るんだよなぁ。
MPも殆ど回復してないし。」
『私が応援します❤』
「もー、お気楽なんだから。
生き残れたら何かご褒美頂戴よ。
結構、これってキツいんだよ。」
『じゃあHなご褒美してあげます❤』
「えー、本当ぉ。
取ってつけた事ばっかり言うんだから。
それさっき元男ヒロインの話をしたからでしょ。」
『うふふふ❤
少しは励みになりましたかぁ?』
「まあね。
リラックスは出来た。
じゃあ、掘りますか。」
『がーんばれ❤
がーんばれ❤』
「やれやれ。
ヒロイン(?)の声援もあるし。
大博打と行きますか。
セット!」
懐かしいな。
ポールのスキル発動ポーズ。
異世界かあ。
もう行く事はないだろうが。
俺の黄金時代だったよな。
「清掃!!」
相変わらず桁外れの異能である。
一瞬閃光が走ったかと思うと、画面の向こうでゴロゴロ人間が転げ落ちる音がする。
「ぐ、ぐわああああああああ!!!!」
『ポールさん!!』
「さっきラスボスを消した時の感覚から戻すの忘れてたあ!!!
落ちるッ! 落ちるッ!
うわあああああ!!!!」
『何やってるんすかぁッ!!!!!!』
ホント、このオッサン何をやってるんだろうな。
俺も人のことを言えないが、ポールって自分で自分を追い込む天才だよな。
5分ほど、ポールの転がる様を見守る。
寒河江はこちら以上に、パトカーと並走してしまった事を気にしてるようだ。
そりゃあね。
どこかの国で遭難してるガイジンよりも、身近なオマワリさんの方がよっぽど重要だよね。
「ぐはああ!!!!
ハアハア!!
ガホッ! ケホッ!」
『御無事ですか!?』
「ガハッ!
ガハッ!
ふーーーー。
大丈夫、外傷はほぼ無し。
斜めに砂を掘ったからね。
滑り降りた形になる。」
『砂漠の地下?
ダンジョンに戻ったってことですか?』
「うーーーん。
ああ、これ多分ダンジョン同士を結ぶメイン通路だわ。」
『へー。』
「よし。
地下水脈が生きてる!
MPの回復を待ってから俺のスキルで浄化すれば
水は飲める!」
『おお!』
「ありがと。
これで一安心。
この深度なら、合流ポイントまで何とか行けると思う。」
『ああ、良かったぁ。
もー、ポールさんは心配ばっかりかけるんだから。』
「ゴメンって。」
『じゃあ、問題は解決ということでいいですね?
一旦切りますよ?』
「うん。
これで一件落ち…」
『ん?』
「…。」
『ポールさん?』
「…リン君。
少しヤバい事になったかも。」
『今度は何です?』
「…今気づいた。
この紋様、間違いない。
ここが伝説の黄金郷だったんだ。
あ!
原初の氏族ってそういう事か!?」
『あの、話が全然見えないんですけど。』
「ほら、絵巻物の定番じゃない!
黄金郷伝説!」
『いえ、私地球人なんで。
そういう基礎教養ないんですよ。』
「あ、ゴメンゴメン。
要するに黄金郷って言うのは
《最初に発見した者に支配権が与えられる》
っていう言い伝えがある神話上の都市なんだ。」
『へえ、良かったじゃないですか。』
「いや、良くない。」
『?』
「こんな神話級の大発見をした事が明るみになったら…
政治的にマズい…
摂政に殺される。」
『?
そんなに大発見なんですか?』
「考古学的にも政治的にも洒落にならない価値がある。
今の俺ねぇ。
最初にステータスの概念を言語化した人と同じくらいの大発見しちゃってる。」
『マジっすか?
ああ、それ政治的にヤバいですね。
過度に功績が集中すると粛清対象になる的な。』
「それなんよ。
…どうしよう。
見なかった事にしようかな。」
『そんな大発見を隠蔽したら絶対に野心を疑われるでしょ。』
「…いやぁ、どうしよ。
正直に報告するしかないか。
あー、多分理由を付けて切腹させられるなあ。」
『政治って怖いですね。』
「ホントホント。
あーあ、ソドムタウンが懐かしいなあ。」
そんな会話を交わした後、ポールの通信機の接続水晶のエナジーを回復させる為に通信を終了。
あのオッサンも悪い意味で主人公補正入ってるよな。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
2億4833万0533円
↓
2億4823万0533円
※(株)ずんだ交通従業員・寒河江尚元にチップとして10万円を支払い。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『福田さん。
山形蔵王インターを降りました。』
「この電話番号は?」
『タクシーの運転手さんのスマホを借りてます。』
「了解。
平チャンから貰うたスマホは壊れたままか?」
『変なオジサンにしか繋がらないんですぅ。』
「ふーん。
男色ば批判するつもりはなかばってん…
程ほどにな。」
『そんなのじゃないですぅ。』
「じゃあ、途中で拾うわ。
山形県庁ん駐車場に向かえ。
俺が着くまでは車から出なすな。」
福田魁は流石に反社だけあって待ち合わせも一捻りしている。
寒河江は詮索することなく、県庁に入った。
山形県庁の駐車場は無駄に広くて驚く。
まあ、田舎だし土地が余っているのだろう。
30分ほど待っていると、不意にタクシーの窓がコツコツ叩かれた。
俺を下ろすと、福田と寒河江がヒソヒソと話し、互いに一礼だけして別れた。
寒河江の車両を皆で見送る。
「ふわぁ!
良く寝たニャ。」
「トイチ。
女連れとはいいご身分だな。」
「何ニャ、このオッサン?」
『先生。
こちらは私の友人の福田社長です。』
「へえ、円光もほどほどにニャ。」
『いや! 違いますから!』
「待て、トイチ。
その女も連れて行くのか?」
「行くニャ♪」
「オマエなあ。」
『すみません。
何せこの手錠なんで。
この人、鍵無くしちゃったみたいなんですよ。』
「ニャハハww
奈々ちゃんの手錠ニャ♪」
「それ、何とか外せないのか?」
「チェーンソーで斬れば解決ニャ!」
『あれって鉄も切れるんですか?
この手錠の鎖、結構太いですよ?』
「ん?
斬り落とすのはオマエの腕ニャ。」
『え?』
「え?」
「ニャ?」
その後、福田のBMWに乗り込みアジトまで送って貰う。
車内で少し仮眠を取りたかったのだが、福田と松村の口論を仲裁しているうちにアジトについてしまった。
『上山市?』
「山形のベッドタウンだな。
で、俺のダチがここに部屋持ってるんだ。
東北で遊ぶ時のパーティールーム。
まあぶっちゃけヤリ部屋だな。
とりあえず、しばらくここに住め。」
『へえ。
って大きい!?
何ですか、ここ!?』
車から降りた俺は、寒村に聳え立っている巨大な建築物に驚く。
「日本一有名なタワマンだ。」
『え、まさか?
我が国には無数のタワマンがあるんですよ。
流石に1番は言い過ぎでしょ。』
「山形で41階建てだぞ?
一回聞いたら忘れられんだろ?」
『確かに。』
「じゃあ、部屋に入るぞ。
潜伏なんだから、なるべく目立つなよ。」
「了解だニャ!」
「目立つなよ?」
「わかったニャ―!!!!
奈々ちゃん宇宙一素直な17歳♪
ニャンニャカニャンニャカ!
ニャニャンがニャンニャン❤」
「…やかましいわ。 (ボカッ!)」
「ぐえーニャ!!!!」
この2人、相性悪いよなあ。
嫌われ者の乱暴者同士の組み合わせだからな。
『え!?
福田さん行っちゃうんですか!?』
「オマエと違うて忙しかばい。
食料は既に舎弟に運び込ませてある。
体勢ば整ゆるまで数日潜伏しとけ。
俺は一度神奈川に戻る。」
『えー、この人と2人きりはちょっと。』
「奈々ちゃんだってオマエなんか嫌だニャ!
この知恵遅れアデノイドのアスペ陰キャ!
バスケの授業で指3本突き指するやーつ!」
『2本だけですよ。
荒木の1本と合わせて3本っていう話が独り歩きしただけです。』
「どんくさww」
「じゃあトイチ。
俺はもう行くぞ。
明日ん朝に横浜でアポがあるったい。
いっちょん準備も出来とらんし。」
『あ、スミマセン。
それじゃあ、しばらくおとなしくしてます。』
「俺ん予備携帯ば預けとく。
平チャンの保釈関係でオマエに連絡するかも知れん。
そんつもりでおってくれ。」
早口で設備の説明をすると福田は上着を羽織って、さっさと出発してしまった。
そりゃあ、そうだ。
この人も事業者だからな。
多忙な中、船まで出してくれたことに感謝するべきだろう。
福田の性格なら、この借りは平原を助ける事で返すべきではあるのだろう。
でも平原の逮捕理由が酒に酔っての喧嘩だからなあ。
あんな凶獣は収監しておいた方が世の為ではあるんだけどな。
「ニャガー!!
ニャガー!!」
凶獣と言えば、こっちのキチガイを誰か殺処分してくれないかな。
「ニャニャン!!!
ニャニャニャーーー!!!!」
『先生、年齢相応に落ち着いて下さい。』
「じゅうニャニャ歳!!」
『は?』
「松村奈々ちゃんはじゅうニャニャ歳♪
だからワチャワチャするのも仕事のうちー♡」
戸籍を捏造したヒルダと言い、女って年齢詐称が大好きだよな。
「おうトイチ!
腹減ったぁ!!
メシ用意しろ!
それと風呂沸かしとけ。
あ! 先にウンコするからケツ拭け!」
『私、先生の介護士じゃないんですけどね。』
「恩師と言えば親同然!
生徒と言えばその奴隷!
ゴチャゴチャ言わずに恩師孝行しろニャ!」
『ほら、福田さんが乾パンを用意してくれましたよ。
これを食べましょう。』
「アフォー!!!!
避難訓練じゃあるまいし、こんなもん食えるかー!」
『ああ、もう散らかさないで。』
「おいトイチ!
恩師命令だニャ!
オメー、焼きそばパン買って来い!」
『福田さんから不用意に外出するなって言われたばかりでしょ。』
「るせーーー!!!
奈々ちゃんは焼きそばパンが喰いたい気分なんだよー!!
ダッシュで買って来い!!
30秒以内!!」
『もう無茶ばかり言うんだから。』
「痛!
コラ、いきなりひっぱるニャ!」
『あ、手錠してたの忘れてた。』
「ぐぬぬ!
トイチをパシらせる為には、奈々ちゃんも動く必要があるニャか。
つっかえねーニャ、コイツ。」
『じゃあ、食料調達して来ますから手錠外して下さいよ。』
「むむむ。
駄目ニャ!
オマエ逃げるつもりニャ!」
『どうしろと。』
「とりあえず風呂でも浴びながら考えるニャ!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
遊興に使っている部屋だけあって、風呂場もエロティックに改装されている。
シャンプーのブランドなどから、何となく来ている女の属性も想像がついた。
「ニャー♪
このお風呂カネが掛かってて好きー♡
トイチー、洗いっこしよーぜー♪」
『はいはい。
お背中流しますよ。』
「良きにはからえニャ♪」
さっきまで発狂していた糞猫だが、カネの掛かった風呂場を見た瞬間に上機嫌になった。
改めてこのキチガイを手懐けている鷹見に畏敬の念を抱く。
「ニャンニャンニャニャーン❤」
『あの、先生。
少しマジな話いいですか?』
「何だニャ?」
『先生って、人間だった頃はもう少し知能が高くなかったですか?』
「コラ―!
トイチ!!
恩師を畜生扱いするとは何事ニャ―!
奈々ちゃんは正真正銘人間だニャ!」
『いやあ、言葉も幼児程度に退化してますし。
シャンプーしても、この猫耳取れませんし。』
「はあ?
猫耳が外れない?
そんな訳ないニャ。
これは通販で買ったパーティグッズだニャ。
外れない訳ないニャ。」
『いや、さっきから外そうと思ってるんですけど。
全然外れないんで。』
「やれやれ。
相変わらず使えねー奴だニャ。
男ならぐいっといけニャ!」
『あ、じゃあ引っ張りますね?
えい!』
「痛ッーーーーー!!
耳を引っ張るニャ!! (ボカ)」
『やっぱり耳じゃないですか。
もう貴女、人間やめてるでしょ?』
「ザケンニャ―!
これは単なるキャラ付け!
語尾にニャを付けた方が動画の再生数が上がるから!
猫語で喋ってるだけニャ!!」
『…現代社会が生み出した哀しき承認欲求モンスターよ。
ねえ先生。
今はカメラも回ってませんし、普通に喋って貰えませんかね?
先生がそんなのじゃ真面目な話も出来ないですよ。』
「うむ。
確かに真面目も大切だニャ。
よし、今から奈々ちゃん人間っぽく喋るニャ!」
『あ、はい。
お願いします。』
「まあね、奈々ちゃんも社会人ニャから。
on/offの切り替えは結構しっかりしてるニャ。」
『ええ、はい。』
「オメーみたいニャ小娘にはわからんだろうが。
奈々ちゃんこう見えてTPOを弁えてる方ニャ。」
『…。』
「ほーら、人間ぽく喋れてるニャ?」
『え?』
「ニャ?」
『いや、その、ははは。』
「…おかしいニャ。
人間だった頃にどうやって喋ってたか思い出せないニャ。」
『おいたわしや先生。』
2人でワチャワチャしながら身体を洗い合うのだが、俺のウィッグも松村の猫耳も外れなかった。
この季節の湿気で地髪と絡んでしまったのだろうと見当をつけ、近く2人で美容院に行くことに決める。
「なあ、トイチ。」
『なんですかー?』
「退屈だから、何か面白いことしろニャ。」
『先生を差し置いて面白ムーブは難しいですねえ。』
「オメーの身体に飽きたから外に遊びに行こうぜー。」
『外の景色見て下さいよ。
見渡す限りの田園ですよ。』
「食い物屋の看板が見えるニャ。
【熱烈中華 〇武】
【だるまやラーメン上山店】
【Cafe koi koi】
あー、腹減った。」
『え?
どこ?
見えませんよ?』
「くっくっく♪
人間如きには視認出来まいニャ♪」
『うっわ。
種族自認歪んでるし。』
「あー今の無し今の無し!
口が滑っただけニャ!
奈々ちゃんはネコだニャ!
タチだけど猫だニャ!」
『ぷぷっw
完全に猫化しちゃいましたねw』
「うるせー!!
オメーだって性自認壊れてるじゃねーか!」
『ざーんねーんでした。
私は自分が女だってちゃーんと理解してますから♪
どこかの誰かさんとは違うんですぅ♪』
「アレ?
コイツって女?男?
…まあいいニャ。」
恩師が外出をねだるが却下。
逃亡者の身としては、余計な騒ぎを起こしたくない。
備え付けの大画面TVを点けるが、どのチャンネルも原発襲撃事件ばかりを報道している。
『大体、今日は色々あって疲れたんですよ。』
「ん?
何かあったニャ?」
『いや、ポールさんが砂漠で遭難しましたし。
変な遺跡見つけちゃったし、大変だったんですからね。』
「ポールって誰だニャ?
ガイジン?」
『私のオキニです。』
「え?
カッコいい人?
カッコいい人?」
『うふふ。
二枚目半ってところかな。
あ、ポールさんは私のなんで。
先生には関係ないですぅ❤』
「ニャニャー!!
気になるニャ!!
写真見せて写真見せて!」
『あらあらうふふ♪』
「*マウンコやめろや!!」
*いい男との性関係自慢の意。
TV画面の中では米軍の偉い人が必死に事態解説?弁明?をしている。
どうやら東日本大震災を機に被災原発の監視防衛義務を米軍が負う秘密協定が結ばれていたらしい。
その秘密をバイデン大統領が「この秘密協定は!」とペラペラ話し始めて側近達が顔面蒼白になってる。
ワイプの中でコメンテーター同士が口論を始めた。
最初はメディア側の演出かと思ったが、結構ガチっぽい。
どうやら、今回の原発襲撃事件は我が国にとっての一大転換点に繋がる重大事件だったようだ。
先程、岸田総理とバイデン大統領がホットラインで極秘会談を行った旨をバイデン大統領が饒舌に話している。
多分、極秘会談の内容をペラペラ話すのは外交儀礼に反している。
『ねえ、先生。』
「なんだニャ?」
『この手錠、外してくれませんかね?』
「美人教師と手錠プレイなんて、裏風俗なら100万は取られるオプションだニャ。
せいぜい楽しんどけニャ。」
『正直、苦痛なんですけどね。』
「ハア!?
可愛い奈々ちゃんと居れて幸せだろうニャ!」
『…ははは。』
「おい、テメー!
その乾いた笑いは何ニャ!」
『可愛い可愛いって、それ先生の自称ですよね?』
「はあ!?」
『ぶっちゃけ私の方が可愛いですから❤』
「ちょっと待て、このケツ穴野郎!!
オメーなんて単に若いだけだニャ!!」
『男の人は皆さん、私が一番だって言ってくれますしぃ♪
先生って自己肯定感が高いだけなんじゃないですかぁ?』
「バカヤロー!
バカヤロー!
テメーのは膣モテだニャ!!
ノーカン! ノーカン!」
『うふふふ。
嫉妬は見苦しいですよ?』
「ニャガーーーー!!!
ニャガーーー!!」
一通り騒いで腹が減ったので、2人で寝転んで乾パンを貪る。
内心、俺も外の空気を吸いたかったのだが、近くの店まで相当な距離があり、疲れた心身で外出するのは億劫だった。
「おいトイチ。
この際だからハッキリ言っておくニャ。」
『はい?』
「奈々ちゃんは初めて会った時からテメーが気に入らなかったニャ。」
『ああ、それは感じました。』
「低スぺの分際で必死に空回りしてるとか、内心反吐が出るくらいキモかったニャ。」
『内心も何も面と向かってそれに近い事言われましたよ、あの頃。
教師が生徒に話すんだから、もう少し言葉選んで欲しかったです。』
「バーカ。
キモいもんはキモいんだよ。
ったく、和田はこんな奴のどこが良かったんだか。
奈々ちゃんが受け持った生徒の中でオメーがダントツ最下位。
オメー以下の存在なんて生まれてこの方、見た事ないニャ。
奈々ちゃんのオメーに対する本当の気持ち教えてやるよ。
ウンコ以下の糞野郎。
最初に会った時からずっとそう思ってた。
それがオメーだニャ。」
『はいはい。
自分でも日々痛感しておりますよ。』
言われなくてもわかってるよ。
俺はカネしか取り柄がない男だし、この女の生徒だった頃はカネすらなかった。
評価されないのがデフォルトだったからな。
…ん?
カネ?
あ、ヤバ。
忘れてた。
カネが出る…
え?
今、何時だ?
時計時計。
あ!
ヤバい…
16時57分!?
ヤバい!
カネを出しまう!
このキチガイの前で大金が出てしまう!!
『あ、あの先生。』
「ん?
何だニャ?」
『わ、私、ちょっと用事を思い出しまして。
隣の部屋で作業をしたいんですけど。
手錠、外して貰うことは出来ないですか?』
「ハア!?
さては、そうやって逃げるつもりだニャ?
ばーーーーーかww
オメーは奈々ちゃんの金蔓なんだよwww
ぜーったい外してやんねーーーーニャww
今、オメーの身柄を高く買ってくれそうな相手を考えてるとこだから黙ってろニャw
あ、いい事思いついた♪
このまま鷹見とヒルダがカネを出さないんなら、オメーをソープに沈めるニャ❤
名案名案♪
生徒を風俗に売って喰う焼肉食べ放題は最高に旨いニャwww
おいトイチ!
そんなに手錠外して欲しいなら今日中に1000万持って来い!
耳を揃えて奈々ちゃんに上納したら2秒くらいは自由をくれてやるニャww」
渡辺君とよく話してたことなんだけどさ。
なーーんでヘイトキャラの台詞って無駄に長いかね。
おかげでスキルの発動時間が来ちゃったじゃないか。
《5213万円の配当が支払われました。》
『あちゃー。』
やっべ。
俺の全身から日本銀行券が噴き出した。
うっわ。
松村が凄く怖い顔でカネを凝視してる。
前から思ってたけど、この人ちょっとおかしいんだよな。
「…。 (ジーーーーッ)」
『先生、これには深い事情があってですね。』
「…。 (ジーーーーッ)」
『いえ、私も好きでこんな芸当をやってる訳ではないのですが。』
「…。 (ジーーーーッ)」
松村は氷の様な目で噴き出す紙幣を凝視し続けている。
あ、ヤバい。
俺、多分この女にこの場で殺される。
逃げたいのは山々なのだが、鉄製の手錠はガッチリと俺達を固く繋いでいる。
『先生にも正式に事情説明をしようと思っていたところなんですよ。』
「…。 (ジーーーーッ)」
『せ、先生?』
「…トイチ君。」
『あ、はい。』
「…。」
『…はい?』
松村が照準を札束から俺に移した。
ヤバいっ! 殺される!
「好きッ!!!」
『は?』
「私!
ずっとトイチ君が好きだった!」
『え? え?』
「でも教師という立場があったから!
想いをずっと秘めていたの!!」
『あ、いや。
出来ればこれからも…』
「トイチ君!
私、貴方をずっと好きだった!
こんなに愛してるのに!
どうして私の本当の気持ちに気づいてくれないの!!」
…いやいや、ウンコ以下の糞野郎ですから。
【名前】
遠市・コリンズ・リン子・厘
【職業】
ホステス
パチンコ台
神聖教団 大主教
東横キッズ
詐欺師
【称号】
淫売
賞金首
【ステータス】 (地球上にステータス閲覧手段無し)
《LV》 21
《HP》 ぐぇぇ…
《MP》 ぞいっ♪
《力》 メスガキ
《速度》 神出鬼没
《器用》 ライジング・カード!
《魔力》 悪の王器
《知性》 奸佞邪智
《精神》 絶対悪
《幸運》 的盧
《経験》 2024万0029
本日取得 0
本日利息 351万2732
次のレベルまでの必要経験値73万1481
※レベル22到達まで合計2097万1510ポイント必要
※キョンの経験値を1と断定
※イノシシの経験値を40と断定
※うり坊(イノシシの幼獣)の経験値を成獣並みと断定
※クジラの経験値を13000と断定
※経験値計算は全て仮説
【スキル】
「複利」
※日利21%
下4桁切り上げ
【所持金】
3億0036万0533円
40万BTC (下4桁切り上げ)
↓
49万BTC
16万XRP (下4桁切り上げ)
↓
20万XRP
16万SOL (下4桁切り上げ)
↓
20万SOL
※ユーロ・ポンド・ルーブル・バーツ・ペソ・ドルも保有。
※ユーロ・ポンド・ルーブル・ドルの保管権を孝文・j・Gに付与。
※仮想通貨の運用権を孝文・j・Gに付与。
※米国債・タイバーツ・フィリピンペソの保管権を児玉繭子に付与。
【残り寿命】
27万6500日 (下4桁切り上げ)
↓
33万6500日
【所持品】
Maison Margiela ショルダーバッグ 白
Archi Diorリング ホワイトゴールド×ダイヤモンド
ティファニー ビクトリア グラジュエイテッド ネックレス
【約束】
古屋正興 「異世界に飛ばして欲しい。」
飯田清麿 「結婚式へ出席して欲しい。」
〇 「同年代の友達を作って欲しい。」
『100倍デーの開催!』
× 「一般回線で異世界の話をするな。」
『世襲政権の誕生阻止。』
〇後藤響 「今度居酒屋に付き合って下さい(但しワリカン)」
「大阪を滅ぼさないで下さい!!!」
「空飛ぶ車を運転します!」
江本昴流 「後藤響を護って下さい。」
『遠市王朝の建国阻止。』
×弓長真姫 「二度と女性を殴らないこと!」
× 「女性を大切にして!」
〇寺之庄煕規 「今度都内でメシでも行きましょう。」
×森芙美香 「我ら三人、生まれ(拒否)」
×中矢遼介 「ホストになったら遼介派に加入してよ。」
「今度、焼肉でも行こうぜ!」
〇藤田勇作 『日当3万円。』
〇堀田源 「トイレコインの使い方を皆に教えておいて。」
〇山田典弘 「一緒にイケてる動画を撮ろう。」
〇 「お土産を郵送してくれ。」
「月刊東京の編集長に就任する。」
楢崎龍虎 「いつかまた、上で会おう!」
×警視庁有志一同 「オマエだけは絶対に逃さん!」
「オマエだけは絶対に守る!」
×国連人権委員会 「全ての女性が安全で健(以下略)」
〇安宅一冬 「浅草寺周辺を一緒に散策しましょう。」
水岡一郎 「タックスヘイブンの利用・移住をしないこと。」
×平原猛人 「殺す。」
「鹿児島旅行に一緒に行く。」
「一緒にかすうどんを食べる」
車坂聖夜Mk-II 「世界中の皆が笑顔で暮らせる、優しい世界を築く」
×今井透 「原油価格の引き下げたのんます。」
「小麦価格の引き下げをお願いします」
〇荒木鉄男 「伊藤教諭の墓参りに行く。」
鈴木翔 「配信に出演して。」
×遠藤恭平 「ハーレム製造装置を下さい。」
〇 『子ども食堂を起ち上げます。』
「紙幣焼却によりインフレを阻止する。」
〇田名部淳 「全財産を預けさせて下さい!」
「共に地獄に堕ちましょう。」
三橋真也 「実は配信者になりたいので相談に乗って下さい。」
〇DJ斬馬 『音楽を絡めたイベントを開催する際、日当10万で雇用します。』
金本宇宙 「異世界に飛ばして欲しい。」
金本聖衣 「同上。」
金本七感 「17歳メインヒロインなので旦那との復縁を手伝って。」
〇天空院翔真 「ポンジ勝負で再戦しろ!」
「再戦するまで勝手に死ぬな。」
〇小牧某 「我が国の防諜機関への予算配分をお願いします。」
阿閉圭祐 「日本国の赤化防止を希望します。」
〇坊門万太郎 「天空院写真集を献納します!」
宋鳳国 「全人類救済計画に協力します!」
堀内信彦 『和牛盗難事件を解決します。』
〇内閣国際連絡局 『予算1000億円の確保します』
毛内敏文 『青森に行きます!』
神聖LB血盟団 「我々の意志を尊重する者が必ずや遠市厘を抹殺するだろう。」
〇大西竜志 「知り得る限り全ての犯罪者情報の提供。」
『貴方の遺族に篤く報います。』
坂東信弘 「四国内でのイベント協力」
国重辰馬 「四国内でのイベント協力」
涌嶋武彦 「畜産業界の総力を挙げて遠市派議員を衆議院に最低10名押し込みます!」
斑鳩太郎 『処刑免除を保証します。』
志倉しぃ 「カッコいいホモの人を紹介して下さい。」
〇孝文・j・G 「英国大使館パーティーにて利息支払い」
「永遠の忠誠と信仰を(以下略)」
〇グランツ(英) 「perape-ra!!!!!!!!」
E・ギャロ 「農政助言」
「王都で星を見る。」
福永史奈 「出産すれば1億円支給」
野上絵麻 「以下同文」
桂川風香 「以下同文」
久能木瀬里奈 「ジャンジャンバリバリ!!」
児玉繭子 「ウチの旦那に色目を使うな。」
「アメリカ経済を破綻させないように努力する。」
古河槐 「jetの救済をお願い。」
カミーラ・B 「perape-ra♪」
故バーゼル卿 「perape-ra!」
〇有村拓我 「福田魁との連絡を取る。」
福田魁 「男らしゅうせー!」
金本光戦士 「どんな危機からも必ず救い絶対に守る。」
古河槐 「シンママで産む」
◎木下樹理奈 「一緒に住ませて」
×松村奈々 「二度と靴は舐めないにゃ♥」
〇 「仲間を売るから私は許して♥」
◎鷹見夜色 「ウ↑チ↓を護って。」
〇 「カノジョさんに挨拶させて。」
〇 「責任をもって養ってくれるんスよね?」
×ヒルダ・コリンズ 「芋羊羹…。」
「王国の酒…。」
「表参道のスイーツ…。」
× 「ポン酢で寿司を喰いに行く。」
土佐の局 「生まれた子が男子であればリイチ。
女子であればリコと命名する。」