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【降臨78日目】 所持金2億0945万0533円 「俺は所詮はミュータント。」

エンジュがあまりに乱暴に俺を抱くので、流石に何かあった事は察した。

どうせ好ましくないレベリングを行なったのだろう。

人間で経験値を稼ぐのは、なるべくやめた方がいいと思うんだけどな。



「ねぇリン。」



『んー?』



「リンにはずっと世話になってるから打ち明けとくわ。」



『…人間でレベリングしたって話?』



「え?

どうして分かったの!?」



『いや、人殺すのが1番コスパいいし。』



「ゴメン。」



『命は掛け替えの無い宝だ。

俺はこの世で最も大切な物だとさえ思っている。

だから程々にしとけよ。』



「言い訳になっちゃうかもだけど。

どうしても生かしておけない奴がいてさ。

前にも話したでしょ。

母親が連れ込んでた…」



『なんか言ってたな。

エンジュの母親の愛人だろ?

その人が暴れて家に居られなくなったんだったか?』



「うん。

昔からケーサツもジソーも何にもしてくれなかった。

アイツら本当に税金泥棒だわ。」



『頑張ってるお巡りさんも居るよ。』



「頑張ってあれなら、分割民営化するべきだね。」



レベルアップの効果だろうか。

木下にせよエンジュにせよ、会話のレスポンスが向上し、語彙が増えた気かする。

最初に会った頃のこの子は、《分割民営化》なんて単語がすんなり出るタイプではなかった。

このギミックは世間に知られない方がいいよな。

こんな事で能力が向上すると知ったら、人類は嬉々として同族殺しに勤しむようになるだろう。



「兎に角。

かなりレベルは上がったと思う。

樹理奈の予想じゃ、20レベルを越えててもおかしくないってさ。」



『ふむ。

おめでとう。

いや、祝福しちゃ駄目なのかな?』



「自分の女が犯罪したら、ちゃんと怒らなきゃ。」



『そうなの?

エンジュって俺の女なの?』



「セックスしてるし、一緒に暮らしてるし。

私じゃ駄目?」



『いや、別にいいんだけどさ。

このまま俺と一緒に居たら殺されるぞ?』



「それは分かってる。

覚悟の上だよ。

大人しくしとくから、今だけでも側に居させて欲しい。

リンと離れてもさあ。

アタシはレベルアップ方法もマスターしたし、赤ちゃん産まれてもシンママでもやってけると思うのよ。

ってか、いずれそうなると思う。

…お母さんもお祖母ちゃんもそうだったから。」



『ウチも片親だったから分かるけど。

シングル子育ては大変だぞ。』



「大変なのは理解してるから、ちゃんと怒ってよ。」



『怒る?』



「コロシの件だよ。

アイツ、地元の組の準構成員だから…

結構、騒動になると思う。」



『ああ、そっちね。

わかったわかった。

もうやめとけよ。』



「それでオシマイ?」



『エンジュがリスク最小限派だからな。

これから殺す気はないんだろ?』



「うん。

レベリングは少年法の範疇でしか頑張らない予定。

後は樹理奈と一緒にビリかな。」



『そうか。』



「以上、古河槐の反省会でした。」



『うむ。』



そういう話の流れで、刺殺関連のニュースを確認しようとした時だった。



  「ハイハイハーイ!

  私も私も!」



「繭子さん、居たんスね。」



  「ずっと居たじゃん!

  2人がいい雰囲気だったから!

  気を利かせて黙ってたんだよ!」



『じゃあ、俺とエンジュはそろそろ眠りますんで。

ちゃんと電気消しといて下さいね。』



  「待て待て待てーい!」



『え?』



「え?」



  「揃って不思議そうな顔すんな!

  次は私のターンだ!」



「繭子さん、昨日さんざんリンを使ったじゃないっスか。」



  「いや!

  シモの話ではなく!

  真面目な話!」



『はぁ。』



  「次は私が反省会するから!

  リン子はちゃんと許して!」



『いや。

許しを強いている時点で、それは反省ではないですよね。』



  「はーい、繭ちゃんのぉ♪

  反省タイム始まりまーす♪

  みんな拍手ー♥」



『…。』



  「はくしゅー!」



『まぁ、時間も時間ですので手短に。』



  「結論!

  リン子の不思議スキルで米国債Getだぜ!

  反省してるから許してぇ♥」



『…。』



  「許してくれるよね?

  謝ったんだからセーフだよね?

  私達、相棒にして肉棒だよね?」



『…。』



  「リン子。

  怒ってないよね?

  エンジュが許されたんだからさぁ。

  私もセーフだよね?」



『怒るわっ!』



  「ヒエッ。」



この女、絶対なんかやってると思ってたんだけどな。

まさか俺の自粛分野をピンポイントで突いてくるとは。



『…繭子さん。

こっちにも段取りがあるんですよ。

私が枠組みを作るより先にアメリカさんに倒れて貰っては計画が狂っちゃうんですよね。』



「ごめーん。」



やれやれ。

この女にも困ったものだ。

日米安保とかTPPとか、俺なりに潰す順番を考えていたのに。



「増えたと言っても1万ドル分だけだよ?」



『…。』



「何よー!

エンジュには甘い癖に!

私ばっかり怒るなよー!」



『…。』



「えー、人殺した方が悪くない?

私ばっかり怒るの不公平くない?」



…いや、基軸通貨を揺るがす方が遥かに重罪だろ。



『とりあえず。

説明を求めます。

簡潔に!』



「あっはい。

いやー、違うんですよリン子さん。

最強通貨トーナメントのリザーバーを決めるにあたって、少し遊びを入れようかな、と。

それで増えたら一番嬉しい通貨は何だ?

って脳内会議で議題に挙がってさ。

まあ、厳密には通貨とは言えないけど米国債って通貨的に扱われてる側面がある訳じゃない。

みんな欲しがってるし。

だからさー、《増えたら爆笑やろなー》の精神でダメ元でリン子の保管庫に入れといたのよ。

えへへ、出来心って奴♥

私利私欲じゃないよー、リン子への愛!


今ねー、世界中で債券のペーパーレス化が急速に完了してるのよ。

株にしろ国債にしろ、券面で見る事が本当に難しいの。

ですがっ!

ジャーン!

米国債・EEシリーズ25ドル貯蓄債券!

私はちゃんと肌身離さず持ってましたぁ!

これ、割とマジで最後の紙米国債じゃないかしら!

そしてェ!

紙の25ドル債が!

なーぜか、私の口座内で1万ドル分増えていたぁーーッ!

ヒャッハーッ♥

これは奇跡!

リン子ちゅきい!!!

愛してます!

だから許して!


はい、この話終わり!

しゅーりょー! しゅーりょー!」



もはやアホらしくて突っ込む気も起きない。

繭子も夫・児玉秀峰の前じゃ大人しいんだけどな。

こっちが地なんだろうな。


参ったなー。

俺の計算が完全に狂った。

いや、狂うのはFRBの計算か。

先に謝っておくぞ、スマン。

多分、ドル秩序は崩壊する。

参ったなー。

みんな、ゴメン。

もし世界経済が崩壊したら埋め合わせに基軸通貨を発行してやるから勘弁しとけよ。


名称?

ウェンでいいじゃん。

覚えやすいし。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



起床。

と言っても、もう昼過ぎだ。

すっかり不健全な生活リズムが身についてしまったな。

ただ、この別荘に住んでる連中が朝に起きれない駄目人間揃いなので、俺が昼に起きてもあまり浮かない。


部屋を見渡すと、13歳組が仲良くスマホを見ていた。

本来、コイツらも学校行かせるべきなんだけどな。

でもクラスに東横女子なんて居たら迷惑でしかないからな。

学校側としては絶対に来て欲しくないだろうな。



「リン、起きたー?」



『うん、寝坊ばっかりでゴメンな。

面白い動画でもあったか?』



「世界一笑えない動画が配信されてる。」



『ん?』



「見たら分かるよ。

マジで笑えない状況になっちゃってるから。」




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




【どうせなら】 沖縄に行きたかったニャ!  [雑談]


※この配信では「たぬきの葉っぱ」で匿名コメントができます




「ハァー(糞デカ溜息)!

ロケなら石垣島に行きたかったニャ。

それが茨城って。」



「初手からディスるなよぉ。

茨城は奈々のファン多いと思うぞ。

民度低いから。」



「奈々ちゃんとロケ地を同時にディスるニャ!」



「はい!

と言う訳で!」



「はいニャ!」



「本日は茨城ロケでーす。」



「いえーい!

ドンドンぱふぱふー♪」



「お。

乗って来たね。」



「なーんて言うかボケー!!!

なーにがリゾートロケだニャ!

茨城なんかじゃテンション上がらないニャ!」



「はーい、奈々が暴走する前に配信始めるぞー。

三橋、さっきのOPでヤバい部分は全カットで!」



  「奈々さんは今日も全部ヤバいです!」



「じゃあ、全身にモザイク掛けとけ。」



  「了解!」



「ニャガビーン!

汚物以下の扱いだニャ!」



「おう、始めるぞー。」



「ぶーぶー!」



「どうもー。

夜猫@の夜更かし担当!

相模の獅子ッ!!

ルナルナ@貫通済でーーす!!!

本日は茨城県土浦市にロケに来てまーす!

茨城さいこー!

ウ↑チ↓、一度来て見たかったんスよー♪」



「こニャニャちニャー♪

夜猫@の百合猫営業担当!

仰げば尊と恩師ッ!

奈々ちゃんでーーす!!!

ロケ地が茨城って知ってたらぁ♥

理由を付けてサボってたニャ♪」



「ほらー、ロケ地の悪口言うなー。

まーたTwitter凍結されるぞ。」



「あの凍結、何が原因なのか未だに分からないニャ。」



「んーっとね。

よっぴー曰く、AVか大麻か生徒への誹謗中傷か…

どれか、或いは全てが問題だったのではないかと。」



「えー、そんな曖昧なニャ分析じゃ反省出来ないニャ!」



「オマエ、どうせ反省しないじゃん。

ウ↑チ↓が言えた義理じゃないけどさぁ。

異世界転移した連中の悪口はもうやめとけって。」



「そういやお姉様、最近あの戒名動画には全然触れないニャ。

一時はこすりまくってたのに、どうしてニャ?」



「生活が安定して来たからだよ。

言わせんな恥ずかしい。」



「この1ミリも取り繕わない害悪系の鑑よ。」



「後、ダーリン様が嫌がるからな。

奈々と鉄オタが付き合ってる話も聞いたし。

自分からはもう蒸し返す気ねーよ。


よーし、奈々の凍結解除記念にコメント返し行っとくぞ。」



「あ、告知先にしとくニャ?」



「そうだな。

今日はラストに歌宣伝したいし、冒頭で告知やっとくか。

じゃあ奈々、頼むわ。」



「はいニャ!

えー、うおっほん(芝居がかった咳払い)。


トイチを捕まえて!

キミも大金持ちニャ!

賞金1億!

まだまだチャンスはキミにもあるニャ!

手足の骨折程度は許容内♥

トイチを見つけたらボコって、連れて来て欲しいニャ♪

確保に繋がった有力情報には500万払うニャ!


いやあ、流石はルナお姉様♥

大盤振る舞いだニャー!

あー、奈々ちゃんもトイチ狩りで稼ぎてーニャ!


三橋ィー、画像映せニャー♪」



  「了解、トイチ君の画像を投影します。」



「はい、皆さん!

よーくこの顔を覚えるニャ♪


トイチの特徴は!

猫背! チビ! アスペ! 

そして何より顔に3つの傷!

見つけ次第、即座に逮捕するニャ!


賞金1億円!!

トイチを捕まえてキミも大金持ちニャ!」



「毎回飛ばしてるよなー、オマエ。」



「お姉様は落ち着き過ぎだニャ。」



「まあまあ。

言っとくけど今回は弔問も兼ねてるからな。

あんまりはしゃぐなよ。」



「うーん。

組同士の揉め事だニャね?

流石にルナお姉様に責任は無いと思うニャ。

元々、対立してた組同士って話って聞いたニャ。」



「そうは言ってもなぁ。

ウ↑チ↓の懸けた賞金を巡って、あちこちで揉めてるからなぁ。

流石に知らん顔は出来んだろう。」



「先週、横浜に謝りに行ったばかりニャ。」



「横浜の件もなぁ。

ウ↑チ↓のダーリン様探索を手伝ってくれた結果の逮捕だからな。

最終責任はウ↑チ↓だよ。

これだけ暴対が厳しくなってる中で、結果として組同士の対立を煽ってる訳だからなぁ。

ウ↑チ↓には黙ってるけど、オヤジにも相当クレーム来てるみたいだしな。

これ以上、組には迷惑掛けられんよ。」



「で?

今日は茨城ニャ?」



「まあなあ。

ウ↑チ↓、両方の組と面識あるからな。」



「でも、その組員さんが刺された原因がトイチ絡みとは決まった訳じゃないニャ。」



「どうだろうなぁ。

でも業界じゃ、既にそういう事になってるからな。

ガサ入れ現場でのバッティング、茨城と福岡が一番酷いって聞いてるし。

まあ、遺族さんに香典贈って、親分さん達に詫び入れて土産渡して…

逮捕者…

出なけりゃいいんだけどなあ。」



「それにしても、これだけ全国の組が協力してくれてるのに、目撃情報1つないって…

アイツ、どこに逃げやがったニャ。」



「ウ↑チ↓は関西だと思うんだけどなぁ。

奈々は相変わらず関東郊外説?」



「トイチは顔に似合わず攻撃的な性格してるニャ。

潜伏するにしても、ド田舎や離島に隠れてるとは考えにくいニャ。

…高い確率で関東の郊外。

そこに隠れて、色々企んでるに違いないニャ。」



「ふーん。

関東のどこだと思う?」



「奴が潜伏するとすれば、東京に電車一本でこれる場所。

…つくばエクスプレス、埼京線、このどちらかと思うニャ。

奈々ちゃん、カネへの嗅覚には自信があるニャ。

クンクン!

うん、この茨城にはカネの匂いが漂ってるニャ。

トイチが居ても不思議じゃないニャ!」



「奈々の勘は結構当たるからな。」



「まぁ、折角の遠出ニャ。

用事が済んだら茨城土産を買って帰るニャ♪」



「東京にも義理が増えたからなぁ。

なあ、奈々。

茨城の名物って何?」



「…あんこう?」



「ああ、あの食べにくい魚な。

あんこう以外で!」



「うーーーん。

牛久大仏?」



「ああ、ウ↑チ↓は宗教全般苦手だからなぁ。」



「そんなお姉様が宗教屋のトイチに沼ってる不思議ニャ。」



「返す言葉もないな。

まあいいや。

リクエスト読むか。」



「ニャ。」



「それじゃあ、お便り担当の志倉。

こっち来い。

時間も押してるし、一問一答形式で頼むわ。」



  「みなさん、こんにちはー♥

  志倉でーす♪」



「またコイツ、エロい服を着て来たニャ。

もはや志倉はアタシコ欲に溺れてしまったニャ。」



  「えー、そんなのじゃないですよー♥

  最近、コーナー持たせて貰ったんで。

  小奇麗にしてるだけですよぉ♥」



「いや、明らかにオタク受けを狙った網タイツだニャ。

まあいいや、読めニャ。」



  「はい♥

  それでは最初のお便り《ゴミ人間》さん。


  ルナルナの公道バトル動画、北米8位。

  おめでとうございます!

  またアクションが見たいです!」



「ありがと♪

ただ、あの時の傷がまだ癒えてないんで、当面は治療を優先だな。」



「凹んだ心臓どうなったニャ?」



「右胸殴られた拍子に元通りに膨らんだわ。」



「凄いニャ人体♥」



  「次は《ハゲピカ校長》さんからの質問です。

  

  LGBT勢の粘着が続いてますが、どうしますか?」



「どうもこうもないなあ。

ウ↑チ↓、ああいう連中とは合わないからな。

これからも淡々とブロック&ミュートかな。」



「これ配信見てるだけじゃ分からないと思うけど。

ホモレズ系・外国語をNGワード設定しまくって、それでもこのコメント欄の荒れようだからニャ。」



「確かに酷いよな。

母語で長文投下する奴こそ垢バンして欲しいぜ。

でも、虹アイコンをNG指定したら、かなり画面がスッキリしたわ。

新規さんには分からないと思うけど、これでもかなりマシになったからなぁ。」



「NG設置するまでは、日本語コメントが埋もれて殆ど読めない時もあったニャ。」



  「次は《ヤッくんのパパ》さんからです。

  

  自分は妻帯者ですが、ルナルナ一筋です!

  好きなタイプを教えて下さい。

  後、志倉ちゃんも教えて。」



「いやあ、嫁さん大事にしろよー。

オトコのタイプね。

イケメンって答えたいところだけど。

現状追いかけてるのがダーリン様だからなぁ。

何言っても説得力ないんだよなあ。

志倉は?」



  「カッコいいホモの人です!」



「オマエ、そればっかりニャ。」



  「えへへ。

  ちなみに奈々さんは?」



「奈々ちゃんは強者が好きニャ。

暴力・カネ・権力・ガタイ!

それらの総合値で男を格付けしてるニャ!」



  「今のところの一番は?」



「うーーん。

ルナお姉様が当然断トツなんだけど…

男限定ならテツ君かニャあ。」



  「ああ、異世界行ってた人。

  今は海外出張多いんでしたっけ。」



「今もジャカルタ出張中。

連絡しても全然返してくれないニャ。」



  「絶対女ですね。」



「まあ、普通はそうだニャ。

あーあ、南国でリゾートデート。

連れてって欲しかったニャ。」



 「気を取り直して次の質問です。

  《過労死ニート》さん。

  

  アーティストとしての夜猫@の目標を教えて下さい。」



「うーーん。

奈々は何かある?」



「振り付けの無い曲を歌いたいニャ。」



「でも、オマエはさあ。

動きの可愛さで歌詞飛ばしを容認されてる状態じゃん。

エクスキューズとして振り付けには取り組んでおいた方がいいと思うぞ。」



「それニャ。」



  「ルナさんは何か目標ありますか?」



「うーーーん。

自作のラヴソングを歌いたいかな。」



「え? 

オリジナル挑戦?」



「まあ、そんな大したものじゃないよ。

ダーリン様に個人的に歌いだけ♥」



「乙女ニャw」



  「乙女ですね♪」



「アイツ絶対女と居るからさあ。

捕まえたら、この怒りをぶつけなきゃだろ。

その時、泣き叫ぶダーリン様を眺めながら歌う曲が必要なんだよ。」



「…え?」



  「それはラヴとは別の何かですね。」



「遠市厘は絶対に生かしたまま連れて来いよ。

賞金受け取った奴は、その後の事は詮索するな。

以上。」



「あ、察し。」



  「それでは次のリクエスト♪

  好きなかき氷のシロップは何ですか?」



「ブルーハワイだニャ!」



「うーん、何だろ。

意識した事ないなあ。

あー、でも喰うならイチゴかな。

ピンク系ってかき氷って感じがする。

志倉は?」



  「私、かき氷って食べた事ないんですよ。」



「え? 

マジ?」



  「親がそういうの異常に嫌う人だったんで。」



「ああ、前に言ってたな。」



  「子供の頃は食べてみたいって思ってたんですけど。」



「じゃあ、次の祭りの挨拶回り。

オマエも来い。

喰わせてやるよ。」



  「あはは、実はですね。

  人生初かき氷は素敵な男の人とのデートでって決めてるんです。」

  


「おお、そりゃ済まなかったな。

じゃあ、氷のついでに男も支給するわ。

後で好みのタイプだけ教えて。」



  「カッコいいホモの人です!」



「りょうかーい。」



「謎の福利厚生システムだニャ。」  



  「えっと、そろそろ歌告知しますか?」



「だな。

じゃあ、奈々。

頼むわ。」



「はいニャ!

えー、みなさん。

次の新曲の制作状況について。

声優の四方山みかん様verと同時リリースになるニャ。

作詞作曲を担当されておられる蒼き流星ボトムズ様曰く、両方のMVが完成次第、リリース日を決定するとのことニャ。」



  「曲の内容が知りたいってコメント増えてます。」



「ヒント、和風ニャ!」



「結構、レコーディングで苦労したわあ。

ああいう曲調って、ウ↑チ↓普段聞かないからな。」



「ああ思い出したニャ。

2人の呼吸が合わなかったから、MVの撮影も滅茶苦茶時間掛かったニャ。

まさか日を跨ぐとは。」



「音楽初めてから、あの日が一番辛かった。

結局、ウ↑チ↓の所為でリリース日が遅れちまったからな。

まあ、今度から苦手なメロディの曲はなるべく断らせて。

配信しながら歌と振り付け覚えほど器用にはなれないわ。

それ考えるとアイドルの人達って凄いよな。」



「いや、お姉様は配信と音楽活動に加えてたまに戦闘シーンもあるから。」



「ん?

殴り合いは別に苦痛じゃないかな。

レインボーブリッジで大BBAと殺し合ってた時は楽しかったし。」



「あの動画が現在インドでバズりまくってるそうだニャ。」



「え?

マジ?」



「その所為で来日したインド人が全員レインボーブリッジで違法停車して社会問題になってるニャ。」



「うわあ。

オーバーツーリズムってホントに害悪だよな。」



「害悪の大元が他人事みたいな顔で語ってるニャ…」



  「あ!

  丁度、在日インド人の《パテルさん》からのリクエスト来ました!


  またレインボーブリッジの死闘が見たいそうです。」



「…いや、見世物じゃねーし。」



  「それとパテルさんがですね。

  大阪心斎橋でグジャラート料理店を経営されているそうです。

  是非、遊びに来て欲しいと。」



「じゃあ関西の案件がある時に顔出すって返事しといて。」



  「了解です。

  あ、そろそろ時間です!」



「オッケー。

じゃあ、話逸れちゃったけど。

まあ、ちゃんと新曲の準備もしてるから安心してくれって話だ。

バトルに関しては会敵必殺だから、予告は出来ない。」



  「残り30秒。」



「じゃあ、最後にトイチ狩りの告知で締めくくるニャ♪


トイチを捕まえて!

キミも大金持ちニャ!

賞金1億!

まだまだチャンスはキミにもあるニャ!

手足の骨折程度は許容内♥

トイチを見つけたらボコって、連れて来て欲しいニャ♪

確保に繋がった有力情報には500万払うニャ!

いやー、こんな儲け話は最初で最後だニャ♪


トイチー♪ トイチー♪

アデノイド知恵遅れのトイチー♪

トイチをとっ捕まえてキミも大金持ちニャー♥


ニャーーーハッハッハwww

ニャガーーーーーーッwwwwww

ニャガーーーーーーッwwwwww」




【この配信は終了しました】



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「同接11万だってさ。

シネウンコの奴も出世したよねえ。」



『なあ、何で鷹見ってあんなに人気あるの?』



「リンをウォッチしたい人達が多いからね。

でもリンはSNSやってない訳じゃない?

だから鷹見夜色を監視してるんだよ。

ほらホモ団体とかレズ団体とか。」



『ああ、俺レズの人達から殺害予告されてるの思い出したわ。』



「世界中のホモやレズがリンのヒントを求めてあの女のチャンネルを24時間チェックしてるからね。

その時点で基礎再生数が洒落にならないんだよ。

だから、突発的に配信始めても全世界で上位表示される。」



『おいおい、待てよ。

流石に24時間は大袈裟だろ。

みんな夜は寝てる筈だ。』



「あのねえ、リンは本当に何も分かってないな。

地球は丸いんだよ!

日本が深夜の時に真昼の国がいっぱいあるの!

だから海外に知名度のある鷹見夜色は他の日本人に比べて圧倒的に有利なの。

国際的に見たら、あの女ってヒカキンよりも有名だからね!」



『世も末だな。』



木下にAVランキングを見せて貰うが、2023年度アダルトビデオ女優の8位に鷹見が14位に松村先生が入っていた。

これは新人女優にしてはかなりの偉業らしい。

で、そのAVのギャラが俺への賞金に充てられ、鷹見のヤクザ人脈がフル稼働してトイチ狩りに勤しんでいる、と。

糞みたいな構図だな。



「リン、ゴメン。

まさかアタシが殺した所為で鷹見夜色が出て来るとは思わなかった。」



『…いや、仕方ないさ。

元々、茨城県のヤクザ同士で俺の捜査権を巡って揉めてたらしいしな。

そっか、鷹見はフットワーク軽いよなぁ。』



参ったなあ。

茨城に引き籠っていれば1ヶ月位は時間を稼げると思ってたが。

これ、鷹見が死んだチンピラからエンジュに辿り着く可能性が高いな。

少なくとも東横で鷹見とエンジュは何度か会話しているらしいし、ホスト遊びを巡って軽く揉めた事もあるそうだ。

一瞬でも視界に入ればエンジュを思い出すだろうし、多分そこから俺が連想される。

奴が東京に帰るまでおとなしくしとくか。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




俺が憂鬱な気分でソファーに持たれていると豚共がノソノソ起きて来る。

どうやら腹が減ったらしい。



  「ふわあ、リン子おはよう!」



  「ねえ、アタシ寿司が喰いたーい!」



  「ジャンジャンバリバリー♥」



  「今日も爽やかな朝だねえ。」



『あの、もう14時過ぎてますけど。』



  「明るいから朝だよー。」



  「寿司―! 寿司ー! 寿司ー!」



  「パチー! パチ―! パチー!」



  「リン子ぉ、腹減ったァ!」



『わかった。

わかりましたから、まずは顔を洗って来て下さい。

女子なんだからメイクもしっかりしなきゃですよ!』



  「「「…はーい。」」」



  「…ばーり。」



4頭だけでもこんなに苦労するのだから。俺に畜産業は無理そうである。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



万が一、鷹見一派と出くわすと怖いので外出はしない事にする。

俺もアイツもアブク銭を持ってるからなぁ。

茨城県内で高い店に入ってバッティングという可能性も考えられる。

お互いに大所帯だからな。

大人数で入れる店って、自然に決まって来るんだよな。



『じゃあ絵麻さん。

今日は出前で。』



  「えー、出前ー!?」



『板前出張サービスを要請しました。

今日、来て頂く荒川哲男さんですが。

銀座・寿司善で15年勤務された後、水戸市内の高級寿司割烹を経営されておられます。

本日は網走沖で獲れたキンキを持参して下さります。

一緒に仕入れた利尻ウニの七変化小鉢も出してくれるとのこと。』



  「おおおお!!!!」



『最近インバウンドで海外の超富裕層が東京に長期滞在して、関東近郊で遊ぶのが流行ってるんですよ。

荒川さんも国内よりも海外の食通に有名なタイプですね。

先月、中東の王族が日本で懇親会を開いたそうなのですが、その時も呼ばれて腕を振るっております。』



  「うおーーー!!  

  うおーーー!!!」



『私は余った分を後で食べますので、皆さんで楽しんでおいて下さい。』



  「リン子ぉぉおおお!!!

  リン子ぉぉおおお!!!

  アタシ、アンタの為なら何でもするよお!!!」



『はいはい。

期待せずに待っております。』




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


1億7575万0533円

  ↓

1億7475万0533円



※割烹・水戸嵐に飲食費として100万円を支払い。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「リン子ぉ。

アンタの分も持って来たよ。」



『ああ、ども。

配当出しながらつまませて貰います。』



繭子と2人で壁にもたれかかって、配当前の銭勘定を済ませる。

階下では皆の嬌声が上がってるので、職人を呼んだのは正解だったようだ。

後は鷹見一派が一刻も早く消え去る事を願うのみである。



「はい、【雲丹の松前漬け】。

中国の富裕層の間で大流行してるんだってさ。

はい、あーん。」



『モグモグ。

ああ、言うだけあって結構イケますね。』



「はい、次は【アン肝VSフォアグラの陸海食べ比べ双子軍艦鮨】」



『へえ。

こういう遊びのある趣向は面白いですね。』



「アンコウって見た目がグロいからさ。

こういうワンクッションを置かないと、海外セレブが箸に手を付けてくれないのよ。」



『あ、なるほど。

こうやって並べる事でフォアグラと同格の食材である事をPRするんですね。』



「はい、こっちは【アカムツの炙り握り】。

いやあ、これは絶品よ。」



『もぐもぐ。

あ、旨い!

これは小細工無しでイケますね!

醤油なくても旨いかも!』



「でしょー。

絵麻がアホみたいな顔で食べてたわ。」



『幸せですね、あの人。』



「あ、そろそろ17時だよ。」



『じゃ、収納態勢に入りますか。』



「ラジャー。

後、40秒。」



『はーい。』



繭子と軽口を叩き合いながらも鷹見派のSNSからは目を離さない。

画面の中ではニャガニャガと不快音が響いているので警戒は解けない。

ふむ、どうやら明日の昼には都内に戻るらしいな。

良かった、どうやら奴らとは鉢合わせずに済みそうだ。



《3670万円の配当が支払われました。》



「うおーー!!!

相変わらずバケモノ性能ねアンタ。

マジモンのチートだわ。

遂に2億到達よ!」



『言っても、この金額じゃ何も出来ないですけどね。』




繭子は喜ぶが、数億円という単位ではパーティーの再編成には到底役に立たない。

ヒルダ派や鷹見派から仲間全員を守りながら表舞台に返り咲くには…

最低1兆欲しい。

そして何より胡桃倶楽部の息が掛かってない省庁を味方に付けておきたい。

政治の世界において数億が端数である事は、俺だって十分理解しているからな。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


1億7475万0533円

  ↓

2億1145万0533円

  ↓

2億0945万0533円


※配当3670万円を取得

※児玉繭子に雑費として200万円を支給。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「ちょっとリン子ぉ!!!

今日も米国債増えてるぅ!!!!

あびゃあああ!!!!

私、最高にハッピーだよおお!!!」



…いや、これFRBにとっちゃ悪夢だろ。

勝手に米国債増やしてる事がバレたら、確実に俺は米軍の特殊部隊に殺されるだろうな。

いや、楽に殺してくれるほど甘い相手ではないか。



「きゃああああああ!!!!

全通貨が2回戦突破したああ!!!!

全勝よおおお!!!!

ディナル! ディナル! ディナール!!!」



『おかしいなあ。

所有権は私に無いんですけどね。

どうして増えちゃってるんでしょう。』



「あるよ所有権、アンタに!

だって私!

リン子の女だもん!!」



『えー。

いや、その理屈はおかしいでしょ。

民法上の財産権の定義から著しく逸脱してるような。』



「おかしくないよ!

だって! 

現にリン子のスキルが私の口座に作用してるじゃん!

これってアンタが私を所有物と認めてくれた証拠じゃん!」



うーーーん。

反論したいのだが、スキルが作用している以上弁解が難しいよな。

いや、本音で言うとさ。



正直、児玉繭子と孝文・j・Gと江本昴流に関しては、内心では自分の手勢として計算してしまっている。

本人たちがまるで家来であるかのような言動をとるので、俺の自意識が引き摺られてしまっているのだ。

現状、孝文と繭子には外貨を、江本には金地金を無造作に預けている。

信頼して大金を預けているとも言えるが、実態は責任と面倒を押し付けているだけである。

人をモノ扱いするのは好ましくないが、今の俺は彼らをそういう目で見てしまっているのだろう。

きっとそれが彼らの手元にまで俺のスキルが波及してしまっている原因なんだよなあ。


すまんなヒルダ。

木更津のカネは1円たりとも増えなかったが…

まあ夫婦の財布のケジメとでも解釈しておいてくれ。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




豚共を相手に大活躍をした水戸嵐は2時間の責務を果たし帰って行った。

念の為、俺は顔を出さない。



  「ぶへええ、喰った喰った。」



『絵麻さぁん。

ダイエットはいつ始めるんですか。』



  「今だよ!」



『え?

今?』



  「セックスダイエット!」



『は?』



  「アタシの超頭脳が導き出したんだよ!

  セックスをすれば汗を掻く!

  即ちセックスにはダイエット効果があるゥ!!!」



…いや、それだと肥満体の娼婦が存在することの説明がつかなくないか?

ぶっちゃけ肥痩は遺伝だろ?




  「チンチンバリバリーー!!!!」




『瀬里奈さん、食べ終わったらちゃんと歯を磨かなきゃ駄目ですよ。』




  「チーン?」



『いや、貴女年長者でしょう。

若い子の模範になって下さいよ。

子育て経験、有意義に活かして下さい!』



  「バリぃ。」



その後、風香が腹を出して寝てたのでタオルケットを掛けてやる。

コイツラ本当に幸せそうだよな。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



日付が変わる前に軽く建物内を掃除。

予想通り飲み残しのビール缶がそこら辺に放置されていた。

もはや怒る気も沸かない。

アイツら絶対13歳組に悪影響与えてるよな。



『樹理奈はあんな大人になっちゃ駄目だぞ。』



「そう?

アタシは嫌いじゃないよ。

あの人達、一緒に居て楽しいし。

東横の薄汚いBBAと同じくらい慕ってる。」



…その感情は軽侮だぞ、間違いなく。



「リン。」



『ん?』



「メシ食わせてくれてありがとね。」



『たまの贅沢だよ。

気にしなくていい。』



「東横の頃からずっと皆の面倒見てるじゃん。」



『それは…

たまたまスキルを身に着けたからだよ。』



「アタシは…

凄いスキルを手に入れたけど…

他人の為に使ってやる気は一切沸かない。」



『樹理奈はまだ若いんだし、まだそこに気を遣わなくていいよ。』



木下樹理奈もまたチートを手に入れた一人だ。

地球上で自己のステータスを閲覧可能なのは彼女しか居ないし、その活用方法も既に発見済みである。

異世界人のヒルダコリンズですら成し得ないステータス閲覧。

今後の木下の人生にとってどれだけ大きなアドバンテージになるのか計り知れない。



「ねえ、アタシの精神ってリンと一緒で高いんでしょ?」



『うん。

異世界の学者がな?

精神が1000ポイントを超えてるのは英雄の資質って言ってた。

鋼鉄の意志だの天下平定に相応しいだの言われたよ。』



「アタシは鋼鉄の意志で自分の為だけに能力使うわ。」



『それでいいと思うぞ。

俺は樹理奈が楽しく過ごしてくれるだけで嬉しいしな。』



「正直に言うとレベルなんてどうでも良くてさ。

リンと一緒に居るだけで楽しいんだ。

きっと、ヒルダや鷹見夜色も同じだと思う。」



木下の決意に満ちた目を見ていると、何となくその将来が見えてしまう。

間違いない。

この女はカタギの道には絶対に入らない。



「あー!

今、失礼な事を考えてたでしよ!

アタシわかるんだからね!」



『いやぁ、鷹見ルートだなって思ってさ。』



「認めたくないけど、近い人生は歩むかもね。」



『あれだけはヤメとけって。

ヤクザなんて終わりは哀しいもんだぞ。』



「アタシらもさあ、好きでこんな人生歩んでる訳じゃねーよ。

消去法。

アタシもエンジュも鷹見夜色も消去法でこうなった。

文句があるなら児童虐待するような親に言ってくれない?」



『俺は恵まれてたから口を出す資格ないのかもな。

父親がさ、男手一つで育ててくれたから。

立派な人だったよ。』



「あのさぁ、他人事みたいに言ってるけどさぁ。

そこまで分かってるなら自分がいい父親になれや。」



『…はい。』



「ヒルダから全部聞いてるよ。

異世界でも女房子供捨てて来たんだって?

世話になってるから、指摘しないでおこうと思ったけどさ。

そこは普通に最低だと思うよ。

アンタ全然お父さんから学んでないじゃん。」



『返す言葉もないな。』



「まあ、養育費払おうとする姿勢は偉いけど。

世の中、慰謝料養育費を踏み倒す屑男が多過ぎだから。」



『偉くないよ。

スキル由来のカネだし。』



「女からすれば出所なんて興味ないかな。

男なんて獲物さえ持って帰ってくれればそれでいい。

その獲物がスキルで獲ったものでも、盗んだものでもいい。

女にとっては、食わせてくれるかどうか。

だから、リンは偉い。」



『ありがと。

死ぬ前に派手に配るわ。』



「あのさぁ。

父親が早世した家庭は概ね不幸になるよー。」



『そんな事ないだろ。』



「リンはお父さんが40代で死んでどう思った?」



『…辛かった。

せめて一つ位は孝行させて欲しかった。』



「もう答え出てるじゃん。

自分が嫌だったことを人にするんじゃねーよ。」



『…。』



「一応、教えといてあげるけど。

エンジュと瀬里奈さんは確実にリンの子供を妊娠してるよ。」



『え?

まだ会って数日だぞ?』



「あのねぇ。

ヤル事ヤッたら赤ちゃんは出来るものなの。

ガキじゃねーんだから、学習しろや。」



『うん。』



「もう一つ付け加えておくと…

女は養育能力の高い男が相手だと妊娠し易い。

アタシも含めて、リンなら何とかしてくれるって信頼感でセックスしてる。

だから、全員妊娠すると思うよ。

ってか既に全員孕んでるんじゃないかな?」



『俺のどこが安心なんだ?』



「面倒くさがりなところ。

アンタ、ぶっちゃけ女とコミュニケーション取るの面倒だからカネ渡してるでしょ。」



『うん。

ここだけの話、カネあげるから黙ってて欲しい。』



「サイテー。」



『ゴメンって。』



「でも、女としても楽でいいけどね。

養育能力ない癖に愛とか恋とかほざいてる男よりは余っ程立派だわ。」



『カネ払うから大人しくしててくれないかなぁ。』



「それ無理。

リンはさぁ、ツッコミどころ多すぎだから。

ついつい目が行っちゃうのよ。」



『んー?

俺にツッコミどころとかあるかな?』



「いや、メス化した癖に何言ってんだか。

少なくともケツ穴に一個ツッコミどころが増えたじゃん。」



『ああ、自分の姿を今思い出したよ。

俺、前はそんな恰好してたかな?』



「うっわ。

性自認が完全に崩れてるよコイツ。

こういう面白指数の高さがさあ、女を沼らせるんだろうねえ。

だってリンと一緒だと楽しいもん。

二度と日常に戻れないよ。」



『それはそれは。

…まあ、俺も樹理奈達と居れて楽しいよ。』



「嘘。

すぐにどこかに行っちゃう癖に。」



『嘘じゃないよ。

ただ、男が真面目に仕事をしようとすれば楽しさは邪魔なんだ。』



「変な奴ら。」



『まったくだ。』




樹理奈は空中に浮かべたステータス画面と手元のメモを素早く見比べながら、何やら思案を巡らせている。

お互い、人生変わっちゃったよなあ。

エンジュやjetも相当変わったけどさ。

やっぱり分不相応のスキルを身に付けちゃった俺達にしか分からない事は確かにあるよな。


樹理奈はふと立ち上がると、飛んでいた蚊を打ち殺した。

画面を一瞥してから、俺に隠れて得意気に笑う。

その歪んだ口端を見れば、俺が世間にどう映っているか嫌でも理解出来た。

俺は所詮はミュータント。

その立ち位置だけは絶対に忘れてはならない。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



史奈がリビングのシアターでアニメ映画を見始めたので、皆で缶ビールを持って上映会。

ただ、近年の風潮なのか相当ポリコレ色が濃厚だったので、いつの間にか誰も見なくなり雑談会となった。


皆で顔が小さく見える自撮りの練習をしていると、繭子が俺に耳打ちする。

福田魁が明日大洗に入港するとのこと。


さあ、少しは戦局を動かせるかな。

【名前】


遠市・コリンズ・リン子・厘



【職業】


ホステス

パチンコ台


神聖教団 大主教

東横キッズ

詐欺師



【称号】


淫売

賞金首



【ステータス】 (地球上にステータス閲覧手段無し)


《LV》 21

《HP》 ぶぃ♥

《MP》 ぞいっ♪

《力》  メスガキ

《速度》 小走り不可

《器用》 ライジング・カード!

《魔力》 悪の王器

《知性》 奸佞邪智

《精神》 絶対悪

《幸運》 的盧


《経験》 1382万4212


本日取得  0

本日利息 239万9244


次のレベルまでの必要経験値714万7298



※レベル22到達まで合計2097万1510ポイント必要

※キョンの経験値を1と断定

※イノシシの経験値を40と断定

※うり坊(イノシシの幼獣)の経験値を成獣並みと断定

※クジラの経験値を13000と断定

※経験値計算は全て仮説




【スキル】


「複利」 


※日利21%

下4桁切り上げ 




【所持金】


2億0945万0533円



27万BTC  (下4桁切り上げ)

  ↓

33万BTC

  



10万XRP (下4桁切り上げ)

 ↓

13万XRP



10万SOL (下4桁切り上げ)

 ↓

13万SOL



※ユーロ・ポンド・ルーブル・バーツ・ペソ・ドルも保有。

※ユーロ・ポンド・ルーブル・ドルの保管権を孝文・j・Gに付与。

※仮想通貨の運用権を孝文・j・Gに付与。

※タイバーツとフィリピンペソの保管権を児玉繭子に付与。




【残り寿命】



18万6500日 (下4桁切り上げ)

  ↓

22万6500日




【所持品】


Maison Margiela ショルダーバッグ 白

Archi Diorリング ホワイトゴールド×ダイヤモンド

ティファニー ビクトリア  グラジュエイテッド ネックレス





【約束】


 古屋正興     「異世界に飛ばして欲しい。」

 飯田清麿     「結婚式へ出席して欲しい。」

〇         「同年代の友達を作って欲しい。」

          『100倍デーの開催!』

×         「一般回線で異世界の話をするな。」

          『世襲政権の誕生阻止。』

〇後藤響      「今度居酒屋に付き合って下さい(但しワリカン)」

          「大阪を滅ぼさないで下さい!!!」

          「空飛ぶ車を運転します!」

 江本昴流     「後藤響を護って下さい。」

          『遠市王朝の建国阻止。』

×弓長真姫     「二度と女性を殴らないこと!」

×         「女性を大切にして!」   

〇寺之庄煕規    「今度都内でメシでも行きましょう。」

×森芙美香     「我ら三人、生まれ(拒否)」

×中矢遼介     「ホストになったら遼介派に加入してよ。」

          「今度、焼肉でも行こうぜ!」

〇藤田勇作     『日当3万円。』

〇堀田源      「トイレコインの使い方を皆に教えておいて。」

〇山田典弘     「一緒にイケてる動画を撮ろう。」

〇         「お土産を郵送してくれ。」

          「月刊東京の編集長に就任する。」

 楢崎龍虎     「いつかまた、上で会おう!」

×警視庁有志一同  「オマエだけは絶対に逃さん!」

          「オマエだけは絶対に守る!」

×国連人権委員会  「全ての女性が安全で健(以下略)」

〇安宅一冬     「浅草寺周辺を一緒に散策しましょう。」

 水岡一郎     「タックスヘイブンの利用・移住をしないこと。」

×平原猛人     「殺す。」

          「鹿児島旅行に一緒に行く。」

          「一緒にかすうどんを食べる」

 車坂聖夜Mk-II   「世界中の皆が笑顔で暮らせる、優しい世界を築く」

×今井透      「原油価格の引き下げたのんます。」

          「小麦価格の引き下げをお願いします」

〇荒木鉄男     「伊藤教諭の墓参りに行く。」

 鈴木翔      「配信に出演して。」 

×遠藤恭平     「ハーレム製造装置を下さい。」

〇         『子ども食堂を起ち上げます。』

          「紙幣焼却によりインフレを阻止する。」

〇田名部淳     「全財産を預けさせて下さい!」

          「共に地獄に堕ちましょう。」

 三橋真也     「実は配信者になりたいので相談に乗って下さい。」 

〇DJ斬馬      『音楽を絡めたイベントを開催する際、日当10万で雇用します。』

 金本宇宙     「異世界に飛ばして欲しい。」

 金本聖衣     「同上。」

 金本七感     「17歳メインヒロインなので旦那との復縁を手伝って。」

〇天空院翔真    「ポンジ勝負で再戦しろ!」

          「再戦するまで勝手に死ぬな。」

〇小牧某      「我が国の防諜機関への予算配分をお願いします。」

 阿閉圭祐     「日本国の赤化防止を希望します。」

〇坊門万太郎    「天空院写真集を献納します!」

 宋鳳国      「全人類救済計画に協力します!」

 堀内信彦     『和牛盗難事件を解決します。』

〇内閣国際連絡局  『予算1000億円の確保します』

 毛内敏文     『青森に行きます!』

 神聖LB血盟団   「我々の意志を尊重する者が必ずや遠市厘を抹殺するだろう。」

〇大西竜志     「知り得る限り全ての犯罪者情報の提供。」

          『貴方の遺族に篤く報います。』

 坂東信弘     「四国内でのイベント協力」

 国重辰馬     「四国内でのイベント協力」

 涌嶋武彦     「畜産業界の総力を挙げて遠市派議員を衆議院に最低10名押し込みます!」

 斑鳩太郎     『処刑免除を保証します。』

 志倉しぃ     「カッコいいホモの人を紹介して下さい。」

〇孝文・j・G   「英国大使館パーティーにて利息支払い」

          「永遠の忠誠と信仰を(以下略)」

〇グランツ(英)  「perape-ra!!!!!!!!」

 E・ギャロ     「農政助言」

          「王都で星を見る。」

 福永史奈     「出産すれば1億円支給」

 野上絵麻     「以下同文」

 桂川風香     「以下同文」

 久能木瀬里奈   「ジャンジャンバリバリ!!」

 児玉繭子     「ウチの旦那に色目を使うな。」

 古河槐      「jetの救済をお願い。」

 カミーラ・B   「perape-ra♪」

 故バーゼル卿   「perape-ra!」

 有村拓我     「福田魁との連絡を取る。」





 金本光戦士    「どんな危機からも必ず救い絶対に守る。」



 古河槐      「シンママで産む」



◎木下樹理奈    「一緒に住ませて」



×松村奈々     「二度と靴は舐めないにゃ♥」

〇         「仲間を売るから私は許して♥」



◎鷹見夜色     「ウ↑チ↓を護って。」

〇         「カノジョさんに挨拶させて。」

〇         「責任をもって養ってくれるんスよね?」



×ヒルダ・コリンズ 「芋羊羹…。」

          「王国の酒…。」

          「表参道のスイーツ…。」 

×         「ポン酢で寿司を喰いに行く。」



 土佐の局     「生まれた子が男子であればリイチ。

          女子であればリコと命名する。」

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― 新着の感想 ―
>「チンチンバリバリーー!!!!」 クッソwww こんなんでwww
各種仮想通貨のトークンExplorerではどう増えてるんだろう?Minted(鋳造)表記されるのかな?
痩肥は腸内細菌のやせ菌とデブ菌の割合で 決まるので他人の便をケツ穴にツッコむと 変わるらしい
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