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【降臨75日目】 所持金1億2489万5803円 「こんな大人になっちゃ駄目だぞ?」

深夜。


女共がポリポリと菓子を齧りながら会議。

議題は俺の使用権について。

人の都合などお構いなく、女共は勝手に話を進めていく。

最後に木下がBBA連中にカネを配って、俺とのセックス権を購入して話が纏まった。

(細かい事は言いたくないが、そのカネは昨夕に俺がやったカネだぞ!)

対象こそ俺だが、女同士の会議なので俺には発言権が無いらしい。



「ジャンジャンバリバリー♥」



『瀬里奈さん、耳を舐めるのやめて下さいね。

臭いが残っちゃうんで。』



「バリー♥ バリー♥ バリー♥」



『絶対あなた理性残ってますよね?』



「ジャンジャン♥」



俺がパチンコキチガイの瀬里奈に抱かれている間、女共は盃を交わしながらペチャクチャと盛り上がっている。

どうやら明日の昼食をどこで取るかで燥いでいるらしい。

そのメシ代を払うのはどうせ俺だが、それで女共が仲良くしてくれるなら安い物である。



『はーい、瀬里奈さん。

そのまま寝ちゃ駄目ですよ。

まだメイク落としてないですよね?

お肌のケアしてから、ちゃんとお布団に入って眠りましょうね。』



「むにゃバリー。」



『ちょっとみんな。

瀬里奈さんを運んであげて。』



  「世話の掛かるBBAねえ。」



「ジャジャジャぁ。」



  「ほらっ、自分で歩け!」



「バリぃ。」



風香曰く、俺は極上の男らしい。

彼女の論拠はシンプル。

甲斐性こそが男の価値だから。

その極論には釈然としないのだが、子持ち主婦に力説されると黙らざるを得ない。

俺は甲斐性の乏しい父に育てられた。

だからこそ、生活力=男の価値という論調には到底頷けないのだが、女達全員が強く賛同しているのを見ると、やはりそれが真理なのだと思い知らされる。

現に母親も父さんと俺を捨てて逃げた訳だしな。

…認めざるを得ないか。



「リン子は実際凄いよ。

これだけのメンバー喰わせてるんだから。

アタシ、史奈、絵麻、瀬里奈さん、繭子さん、エンジュちゃんに、ジュリナちゃん。

7人養える男って中々のモンさ。」



『そんなモンですかねえ。』



「そうよぉ。

しかも下のお口も満足させて貰ってるしね。

ギャハハハ。」



品性の欠片もない発言だが概ね正鵠は射ているのだろう。

他の女共が真顔でフンフン頷いているからだ。



『甲斐性ねぇ。』



「なぁに?

不満なの?」



『このおカネも湧いてるだけですからねえ。

自分の実力とは言い切れませんし。』



「そんな事言ったら、世の親ガチャ当選者達は無価値になっちゃうよ?」



『うーーん。

私自身が、そういう親ガチャ勢を軽蔑してましたからねぇ。』



「安心しな。

リン子はカネ持ってるだけじゃない。

使い方が面白い。

粋!」



『…粋ですか?』



「人間パチンコとか爆笑したわ。

アレでアタシはアンタに惚れたね。

旦那への未練も無くなった。

だからカネは返さない。」



『ご実家が可哀想ですからおカネは返しましょうよ。

溜まったら私が出してあげますから。』



「ほら、そこよ。

リン子ってカネを人の為にばっかり使おうとするでしょ?

自覚してないかもだけど、そこは恰好いいよ。

アンタ、カネの使い方は完全にオス。

チ●ポの使い方はもっとオスだけどな、ギャハハハwww」



カネを褒められれば褒められるほど傷付く。

無力だった父。

息子にちょっとした菓子や玩具すらも買い与えてやれなかった父。

自分が豊かになればなるほど、父が味わった苦衷や屈辱を実感させられて辛い。


高潔な人だった。

温厚で正義感の強い人だった。

俺なんかより遥かに立派な父が、ただ貧しいという理由で皆から侮蔑されていたのが悔しい。


何が甲斐性だよ。

何が複利だよ。

こんなの、ただの不正じゃないか。

汗水垂らして真面目に働いていた父さんの方が遥かに価値があるよ。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



深夜3時30分。

いや、早朝なのかも知れない。

ベト付いた身体を洗っていると木下が風呂場に入って来る。



「お疲れー。」



『どういたしまして。』



「でもリン、全然疲れてないでしょ?

アンタそんなにタフだった?」



『jet程でもないけど俺も苦労したからな。

そりゃあ多少はね。』



「jetも同じこと言ってた。

《俺なんかよりリンの方が遥かに大変だ。》

ってさ。」



『アイツらしいな。』



瀬里奈に汚された耳を洗っていると木下が背中を流してくれる。

悪い気はしない。



「ねえ、リン。」



『んー?』



「色々ありがとね。」



『大したことしてないよ。』



「私にとっては大してたの。」



『そうか。』



「ヒルダ・コリンズや鷹見夜色にとってもね。」



『…かもな。』



…下らねぇ。

カネ持ってる奴がそんなに偉いかね。

俺は納得出来ないな。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



特に眠気は無かったので、シャワーの後に木下と霞ヶ浦を散歩。

地元民のエンジュが揶揄する通り、確かに臭気は強い。

臭いの質は鳥取で滞在した湖山池に近いかも知れない。



「ねえ、異世界どうだった?」



『…民度が高かった。

想い出補正ではないと思う。』



「へえ、それはいい事だね。

アタシ、民度最低地域で育ったから。」



『俺の住んでたトコもだよ。

下らない連中ばっかりだった。


なのに異世界の連中は中世みたいな社会に住んでる癖に結構理性的で…

なんか地球人であることが気恥ずかしかったなあ。』



「それさぁ。

リンの応対が良かったからだよ。」



『え?』



「だから。

リンは話が通じそうなタイプだから。

異世界の連中が紳士的に応対してたってこと。」



『…まさか。』



「ヒルダはそう言ってたよ。」



『何?

ヒルダと異世界の話をしてたの?』



「当たり前でしょ。

情報交換位はするよ。

お互い生き残って行かなきゃだし。」



『そりゃあそうだな。』



「ヒルダはスキルや小遣いをくれたから、アタシも知ってる限りの地球の話をしたよ。

パパ活の話とかホスクラの仕組みとか福祉関係とか、そんな話しか出来なかったけど。

それはそれで役に立ったみたい。」



『へえ、俺はそういう生々しい話はしなかったな。』



「女同士だからじゃない?

踏み込んだ話を出来たのは。」



『まあなぁ。

俺は女の口からシモの話は聞きたくない派かな。』



「あ、ヒルダはそれも言ってた。

リンは潔癖症だから扱いに苦労したって。

困り果ててたよ?」



『…あの女でも困る事とかあるんだな。

ちなみに、俺は潔癖症ではない。』



「嘘。

女のやる事にゴチャゴチャ文句ばっかり付ける癖に。

女子は全員言ってるよ?

リンは変わり者だからしんどいって。」



『えー。

マジかー。

俺、皆からそんな風に思われてるの?

自分では平凡だ思うんだけどなぁ。』



「平凡な奴はメス化しねーよ。」



『そこを突かれると反論しにくいんだよなあ。』



2人で笑いながら霞ヶ浦の淵を覗く。

聞いていた通りゴミが多い。

ペットボトルとか洗剤のボトルやら。



「レベル、上げないの?

事態を打開したいんでしょ?」



『俺が本気出すと世界が滅んじゃうからさ。

意識してセーブしてる。』



「へぇ。

なら仕方ないね。」



『うん、仕方ない。

俺は一生株式や不動産を持てないし、銀行口座も作れない。』



「世界なんて幾らでも滅ぼしてくれていいのに。」



『俺は改善したいだけであって滅ぼしたい訳じゃない。』



「改善?

どんな風に良くしてくれるの?」



『…税率を下げたり。』



「あははは。

やっぱりリンは名君だわw

ヒルダも褒めてたよー。」



『それはどうも。』



いつの間にか朝日が強く差して霞ヶ浦を照らしている。

魚がウジャウジャと湖面で踊っていた。



『結構、魚多いんだな。』



「水が汚いからじゃない?」



『…。』



「水清くして魚棲まず。」



『難しい言葉知ってるな。』



「だって今のアタシ、知力が740ポイントあるんだよ?

クイズ番組とか聞き流しているだけで内容暗記しちゃう。」



『ちゃんとした本を読めよ。』



「やだよ、本とかオタク臭くてキショい。」



『文明否定やめろし。』



「読んだ方がいいかな?」



『勿体ないよ。

知力が700越えてたら、異世界じゃ大学教授になれるんだから。』



「えー、何か陰キャっぽくてヤダ。」



『最高学府否定すんなし。』



実際、木下の全パラメーター700超えって脅威なんだよな。

本人がその気になれば普通にキーエンス勤務が務まるレベルでヤバい。

問題はこの子のこれまでの人生が東横キッズって事なんだよな。

東横的な方向性でしか急上昇した能力を活かす気がない。

絶対ロクな大人にならんよな。



「さて、リンに借りを返しておきますか。

その為に連れて来た訳だし。」



『?

いや、何も貸してないけど。』



「東横の時から、ずっと守ってくれてたでしょ。

昨日もメシ食わせてくれたし。

そういう諸々のお礼。

レベリングの情報提供しとくわ。」



そう言うなり、木下は拳を天に突き上げた。



「ステータスオープン!」



そして空中に画面を展開。

相変わらず凶暴な数値だ。



「経験値欄を見てみて。」



『うん。

現在の経験値は198万8089ポイント。

次のレベルまで2万7957ポイントって書いてる。

…どうやって上げたの? 

人間殺した?』




いや、そもそもとして。

俺と必要経験値が違わないか?

異世界と地球で必要経験値が違う?

それとも個人差?




「ちょっとちょっと、人殺しみたいに言わないでよ。

アタシ穏健派だよ?

まだ4人しか殺してないから。」



『そうか。

疑ってすまない。

女子がレベリングって…

あんまり賛成出来ないからさ。』



「あのねえ。

そういうのって男女差別だよ。

ダンジョコヨーキカイキントーホーって知ってる?

仕事に性別は関係ないの。

これからの時代は、女だって戦わなきゃいけないし、殺さなきゃいけないの。

今は令和なんだよ?

リンもアップデートしなきゃ!」



『ご、ごめん。

そっか、今はもう令和だもんな。』



「兎に角。

今から私のレベリング見せるから。

参考にして。

ちゃんとステータス画面見ててね?」



『あ、うん。』



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【名前】


木下樹理奈



【職業】


浮浪児



【ステータス】


《LV》  32


《HP》  975/990

《MP》  734/755


《腕力》 780

《速度》 842

《器用》 751

《魔力》 777

《知性》 812

《精神》 996

《幸運》 750


《経験》 198万8089ポイント。


次のレベルまで残り2万7957ポイント。 



【スキル】


「スキル閲覧」


※閲覧 消費MP1

※縮小 消費MP10

※固定 消費MP20

※投影 消費MP100



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




そう言うと、木下は背負っていたリュックから機械のようなものを取り出す。



『え? 何これ?』



「ああ、リンは免許持ってないんだったか。

これはね車のバッテリー。

こっちはトランス、ああ変圧器のことね。

小さいけど海外製だからエグい性能してる。

表の入手ルート無いから苦労したわ。」



『へえ。』



「じゃ、始めるね。

あ、そこは危ないから下がってて。」



『あ、はい。』



ビリビリビリビリビリビリ!!!!!!!!



『なあ、樹理奈。』



「んー?」



『電気で漁業しちゃ駄目って聞いたことあるんだけど。』



「リンは馬鹿ねぇ。

アタシは殺すだけ。

漁師さん達の仕事を盗る気はないから安心して。」



『そっかー。』



「そんな事より、経験値欄をちゃんと見てなさい。

特に次のレベルまでが重要だから。」



『あ、はい。』



俺は木下のステータス欄を凝視。



《次のレベルまで2万7957ポイント》



ビリビリビリビリビリビリ!!!!!!!!



《次のレベルまで2万7937ポイント》



『あッ!!!』



「数字変わり始めたー?」



『あ、うん。

20ポイントほど…』



《次のレベルまで2万7812ポイント》



『あ!

ゴメン、また数字変わった!』



「ああ、一々報告しなくていいから。

要はこういうやり方で経験値も稼げるよって言いたかっただけ。

じゃあフルパワーにするね。」



『え?

ふる?』



ッビリビリビリビリビリビリぃーーーー!!!!!!!!



『キャッ!』



「大丈夫?

こういうの苦手だったら下がってていいからね。」



《次のレベルまで2万5107ポイント》



『ねえ、おまわりさん来たらどうしよう?』



「んー?

オマワリは経験値高そうだから助かるわー。」



《次のレベルまで2万3950ポイント》




『…警察に友達多いから殺さないで欲しい。』



「んー?

いいよ。

リンが言うなら軽くボコる位で許してあげる。」



《次のレベルまで2万3125ポイント》



『魚、プカプカ浮いてるね。』



「当たり前じゃん。

魚の口には浮袋って言うのがあるんだよ。

釣りとかしたことない?」



《次のレベルまで2万1182ポイント》




『教えて貰ったけど、難しくて諦めた。

あ、でもお刺身なら作れるようになったよ。』



「へえ、マジ?

じゃあ今日食べさせてよ。

台所借りてさあ。」



《次のレベルまで2万0477ポイント》



『平目しか捌いたことないけど。』



「えー、平目って白身の魚でしょ?

アレっておいしいの?」



《次のレベルまで1万9991ポイント》



『俺の好物なんだけど、エンガワって部分は美味しいよ。

珍味、酒の肴として愛されてる。』



「へえ、ちょっと興味あるわ。」



《次のレベルまで1万8750ポイント》



『あ、1万台に突入。』



「うーん。

思ってたよりペース遅いな。」



《次のレベルまで1万6628ポイント》



『樹理奈のレベリング、逆にペース早すぎない?』



「そう?

リンがトロいんだよ。

異世界ではちゃんとレベリングした?」



《次のレベルまで1万3111ポイント》



『あ、うん。

ウサギを殺したりカメを殺したり。』



「昔話かよww

そんなので経験値貰える訳?」



《次のレベルまで1万2550ポイント》



『ウサギには角が付いてたし、カメは車くらい大きかったんだよ。』



「はははw

他には何か殺した?」



《次のレベルまで1万2250ポイント》



『うーん。

後はせいぜい女騎士くらいだったかな。』



「おっ、経験値高そうじゃん。」



《次のレベルまで9910ポイント》



『確か90万だったかな。

1人だけだったけど、その時はレベル上がった気がする。』



「あー、単独はあんまり意味ないなあ。

殺生はこうやって纏めて殺すのが一番コスパ良いから。

まあ、今度女騎士見つけたらキル譲ってよ。」



《次のレベルまで8288ポイント》



『あっ!

1万切った!』



「うん、多分大物を絶命させたんだろうね。

私の経験上、有害外来種とか天然記念物は経験値高い。

後、毒性の強い生き物は結構旨味があるかな。」



『樹理奈は凄いな。』



《次のレベルまで7750ポイント》



「いやー、どうかな。

まだまだ効率悪いわ。

それにレベルだけ上がってパラメーターが増えてもさぁ。

アタシが自分自身を使いこなせなきゃ意味ないし。」



『でも、パラメーターが増えたら勉強とか運動とか得意になるだろ?』



《次のレベルまで6122ポイント》



「うーーん。

物覚えは滅茶苦茶良くなるよ。

初めてチャレンジしたことでも簡単にこなせるようになる。

この前、落ちてたサッカーボールでリフティングってやってみたけど…

いきなり100回出来たからね。」



『え、凄い!

俺、子供の頃サッカーやってたけど、10回続くかどうかだったぞ?』



《次のレベルまで4991ポイント》



「そこはもうちょっと頑張ろうよ。

後、パズルとかそういうのを一瞬で解けるようになった。

ああいうの苦手だったんだけど。」



『レベルアップ効果あるじゃないか。』



《次のレベルまで1290ポイント》



「うーーーーん。

どうだろ?

鷹見夜色を殺せなきゃ意味ないしね。

最終的にはヒルダもかな。

レベルが上がって見る目が養われたのかもだけど。

最近やっとアイツラのヤバさが本当の意味で理解出来るようになった。

まだまだ入り口だね。」



『…争いごとは良くないよ。』



《次のレベルまで29万9950ポイント》



「リンにチ●ポが一本しか生えてないのが悪いんじゃね?


あ、ゴメン。

レベル上がったわ。

一旦電気止めるね。」



『あ、うん。』




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【名前】


木下樹理奈



【職業】


浮浪児



【ステータス】


《LV》  33


《HP》  990→1050 (60up)

《MP》  734→800 (66up)


《腕力》 780→805 (25up)

《速度》 842→881 (39up)

《器用》 751→789 (38up)

《魔力》 777→792 (15up)

《知性》 812→831 (19up)

《精神》 996→1101 (105up)

《幸運》 750→767 (17up)


《経験》 201万6096ポイント。


次のレベルまで残り299万9950ポイント。 



【スキル】


「ステータスチェック」


※閲覧 消費MP1

(以下は派生スキル)


※縮小 消費MP10

※固定 消費MP20

※投影 消費MP100



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「うーん。

次のレベルまで300万かぁ。

予想はしてたけどどんどん上がりにくくなるなぁ。

でもHPが1000を超えた安心感は悪くないなぁ。

2ケタにまで減ったら焦るからさ。

後、精神上がり過ぎw

この項目何の役に立つんだよw

あー、腕力に全振りしてぇww」



『メンタル安定するんじゃない?』



《次のレベルまで299万9850ポイント》



「するのかなぁ。

ねぇ、異世界ではステータス見れてたでしょ?

リンはどの数値が高いの?」



『向こうでは精神が突出してるって言われた。』



《次のレベルまで299万9845ポイント》



「あ、ちょっと嬉しいかも♥」



『え?』



《次のレベルまで299万9844ポイント》



「アタシ達♥

お揃いだね♥」



『…あ、うん。』



《次のレベルまで299万9834ポイント》



何かコイツと同類って嫌だな。

少し自信が無くなって来た。



「リンのレベリング手伝ってあげるよ。

次のレベルまでどれくらいか、大体の計算は出来てる?」



『断言は出来ないけど…

1000万前後は必要だと思う。

前はちゃんと計算してたんだけど、最近放置してる。』



「えー、1000万?

まだレベル20って言ってなかった?

…てかレベルはわかるんだね。」



『レベルしか分からない。』



「…あっそ。

ヒルダは上昇率は個人差激しいって言ってたからそんなものか。」



『…俺、向上心乏しいのかも。』



「昨日は言い過ぎたのかもね。

あんまり気にしないでいいよ。

リンはきっと大器晩成型なんだよ。」



『晩成出来るのかな、俺。』



「出来るか出来ないかじゃないよ。

するかしないか。

男なんだから、もっとしっかりしなよ。」



『…うん。』



「とりあえず女騎士を10匹捕まえて来てやるから、纏めて殺しなさい。

まずは確実に次のレベルに進む事を考えよう。」



『…色々気を遣わせてゴメンな。』



「ねえ、リンの性自認は?」



『おとこー。』



「性欲の対象は?」



『おんなー。』



「よーし、大丈夫大丈夫。

アンタは男だ。

ホモとかキモいし、男に欲情なんて絶対しないよね?」



『…。』



「いや! そこで止まるなよ!」



『性自認は男だと思うんだけど…』



「トーンダウンしとる!!!」



『男だと思うんですぅ。』



「ああ世話の焼ける奴だな!!!

帰って一発ヤルぞ!!」



『えー、でもぉ。

木下さんとセックスするのは児童福祉法に抵触するっていうかぁ。』



「キソクだのホーリツだの言ってるからメス化するんだよ。

女なんて性欲処理の道具!

アンタも男ならそれくらいの意識を持ちなさい!

普通の男は全員そう思ってるよ!」



『えー、私はそういう目で見られたくないって言うかぁ。』



「コイツの性自認滅茶苦茶揺らいどる!!!」



結局、セックスはしなかったが男としての誇りを保つ約束をさせられる。

後、平目の刺身を御馳走する事になった。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


1億0676万5803円

  ↓

1億0674万5803円



※鮮魚店・三十三館にて食材2万円分を購入



[内訳]


常磐ヒラメ2.9㌔ (座布団) 11000円を10000円に美人割引で購入

常磐ヒラメ2.7㌔ (座布団) 11000円を10000円に美人割引で購入



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「はーい。

リンが魚屋の大将に媚びまくって仕入れた平目でーす。

皆さん、味わって食べましょう。」



  「そんなに媚びてたの?」



「例によってケツ振りながら喋ってました。」



  「うっわ、居るよねそういう女。」



「コイツはボディタッチ積極派です。」



  「バリバリー。」



「ええ、わかります。

そういう店で働く適性はあると思います。」



  「カネ無くなったら、風俗に売ろうぜ。」



「いいですね。

知り合いが池袋でピンサロ経営してるんで、ソイツに売りますわ。」



女共が盛り上がっている横で、平目を捌いていく。

本当はエドワードに食わせてやりたいのだが、何の因果か豚の餌である。

まあ、練習台には丁度いいだろう。



地酒の智仁武勇(ちちんぷいぷい)と平目の刺身を堪能。

調理はあれだけ苦労したのに、女共は一瞬で食べ尽くしてしまう。

俺の好物のエンガワも一切れすら残っていなかった。

まあ、コイツラが幸せそうで何よりだが。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



さて、腹も膨れたのでハイエースに乗って皆で水戸市内へ。

俺だって遊んでばかりじゃいられないからな。

多少は頑張らなきゃなのだ。


豚共は邪魔なので小銭を渡してパチンコ屋に放流。

樹理奈とエンジュは繭子に引率され不動産の不正取得手法の研修。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


1億0674万5803円

  ↓

1億0574万5803円



※同居人に軍資金として100万円を支給



[狙い台]


福永史奈     PAわんわんパラダイスV/SanThree

野上絵麻     P北斗の拳9 闘神/サミー

桂川風香     P大工の源さん 超韋駄天/三洋

久能木瀬里奈   P真・北斗無双 第3章 ジャギの逆襲/サミー



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



で、俺はというと。

東征神社の水戸出張所?のような事務所に居る。

水戸市内在住の有力氏子が寄進したテナントとのこと。

同神社を創建したのが修験者だけあって、都市部の山伏のセミナー等に使われているらしい。


明文化はされてないが女人禁制。

なのに今日俺が着ているキャミソールはやや挑発的だ。



『皆さん御無沙汰しておりましたぁ。』



ここに集まっている面子には見覚えがある。

そう、稚児淵で俺を襲撃した山伏達である。

どうやら久我と江本の呼び掛けにより、西国から参集してくれたらしい。



「色々あったようですな。」



俺を冷淡な眼で見下しながら語り掛けて来るのは美作修験のリーダー。

あの時は後藤に首を折られる寸前だった。



『人生色々です、ぶぃ♥』



「こちらも色々あってな。

早速本題に入ろう。


我々への弾圧を直ちに停止させて欲しい。」



『弾圧ですかぁ?』



「久我から概要は聞いていると思うが、各所の宿坊に司法当局が乗り込んで来た。

それもかなり威圧的な姿勢でだ。

また集会の許可が突然取り消される事例が相次いでいる。

どうやら上からの圧力らしい。」



…ヒルダだろうなあ。

アイツ、息を吐くように宗教弾圧するからな。



『私ぃ、身に覚えがないですぅ。』



「拘束された同胞達は神聖教団との関係性を厳しく追及されている。

どうやら当局は神聖教団と我々が結託していると信じているらしいな。」



『あの動画がバズってますからねぇ。』



「こちらとしても各種資料を提出して貴教団と無関係である事を主張しているのだがね。

それが却って怪しく見えるらしい。」



『それはそれは御愁傷様ですぅ。』



俺が拉致された直後、飯田や寺之庄は事態打開の為に神聖教団の組織化を開始しようとしたらしい。

(現に信者も多い。)

だが合法の宗教活動であるにも関わらず、行政の電撃介入により集会が実質上禁止されてしまったとのこと。

その為、神聖教団は地下活動に移行し秘密宗教として信仰を守っている状態らしい。

ヒルダ・コリンズはこの地下宗教に俺が潜伏していると見当を付けて更なる弾圧を続けている。

修験道はそのついでに巻き添え被弾している。


ヒルダの勘は的外れではない。

現に俺は久我や烏天狗仮面と結託しているし、信徒の中には神聖教を修験道の一派だと思い込んでる連中も少なくない。

なので俺の捜索先として修験道に目を付けたのは慧眼としか言いようがない。



「奥方の差し金なのだろう?」



『多分。』



「では事態の解決を貴方にお願いせざるを得ない。

そういう事だ。」



『年内には天下統一しちゃってると思うんでぇ。

その時に安堵状を発行します。

それまで頑張って耐えて下さい。』



「耐えるのには慣れているさ。

じゃあ、年内には何とかしてくれよ。

こっちは明らかな不当逮捕の被害も出ているんだからな。」



『1つお願いなんですけどぉ。』



「何だ?」



『神聖教徒が逃げ込んで来たら匿ってあげてくれませんか?』



「既にそうしている。」



『…。』



「…。」




『…教団代表として深く感謝致します。』



「我々が伝えたいのはそれだけだ。

幾つかの秘密宿坊を提供する。

薩長共の弾圧を凌いだ我々の最後の砦だ。

それで早急に態勢を立て直してくれ。」



『早期の事態収拾を約束します。』



俺なんかに協力しちゃったら、ますます弾圧されちゃうよな、この人達。

まあ、どのみち一連托生か。

山伏達が出て行き、江本と久我だけが残った。



「代表のさっきの発言。

意図はわかるか?」



『いえ。』



「我々は政府や奥方ではなく、アンタに従うということだ。」



『…光栄ですね。』



「…。」



『安心して下さい。

悪いようにはしません。

現日本政府にもブレーキを掛ける事を約束します。』



「ああ、期待している。」



久我は江本と俺の顔を見比べてから。

「席を外そうか?」

と言った。



『私は久我さんを身内だと思っております。』



「私はそう考えた事はないな。」



『同意を必要とするなら、それは好意や信頼ではないでしょう。』



俺がそう答えると、久我は部屋の隅のソファーに黙って腰を下ろした。

ここからが江本の報告タイム。



「ではトイチさん。

安宅さんの件について報告しますね。」



『ええ、お願いします。』



「結論から言います。

安宅さんと鳩野さんが連絡用に使用しているゲームは…

《あつまれ どうぶつの森》だと見当を付けました。」



『?』



「ああトイチさんはゲームに疎いんでしたね。

任天堂社がリリースしている大ヒット作なんです。

安宅鳩野組の過去の発信を洗ってみたんですけど、ゼルダとかマリオとか…

基本的に任天堂文化圏で遊んでるんですね。

そういうコンビが連絡に使うなら必然的にそうなるかな、と。」



『任天堂はわかります。

でも、そんなメジャーなゲームを連絡に使うって危険ではないですか?』



「…これには特別な意味があります。

コロナ前の話なんですが、中国で《あつまれ どうぶつの森》が販売禁止になった事件がありました。」



『ん?

有害なゲームなんですか?』



「かなり自由度が高い上にSNS的な使い方が可能なゲームなんです。

そこで共産党政府の批判や、活動家同士の交流が行われたらしくて、突如販売禁止となりました。」



『なるほど。』



「安宅さんは、その出来事を御自身のブログで解説されておられます。

また経済誌のインタビューでその話題に触れた事もあります。

そういう経緯があったので、俺は《安宅さんが連絡に使うとしたら同ゲームである可能性が高い》という仮説を立てました。

というより、ミュージシャンに伝言を頼んだ以上、こっちが推理可能な場所で待ってると思うんです。

なので、あつ森。」



『…それ、アタリだと思います。

彼は理念を大切にする人なので。』



「じゃーん。

そこで俺が買ったNintendo Switchです!

これを今から開封して安宅さん探しをしてみたいんですけど。」



『勿論、却下。

それって個人情報と紐づけられるゲームですよね?』



「確かにオンラインプレイにはPayPalかクレカが必要です。

駄目ですか?」



『江本さんなんか一番マークされてるでしょうからねえ。

ヒルダは貴方の電話番号記憶してますし。

仮にゲーム内に潜行させるとしても、ヒルダ一派に捕捉されてる人間には任せられません。

なので久我さんも駄目。

元々、そのゲームをやっていた人間で、こちらとの接点が表に出てない人間。』



「そんな知り合いが居るんですか?」



『私も探しておきますので、江本さんは周辺調査をお願いします。

貴方が仮説を立てた以上、恐らくそのゲーム内に安宅・鳩野の両名が高確率で居るでしょうから。』



俺が安宅なら、まず連絡ルートの開設に全てのリソースを注ぐ。

彼と鳩野が東大コンビである以上、かなり慎重で、かつ俺でも辿り着ける場所で待つ事だろう。

俺は同ゲームを全く知らないのだが、江本が推理したのであれば、それは間違いない事なのだ。

問題は軽率な接触方法を取らないこと。



『江本さん。

私、ゲームって殆どやった事がないんです。

switchも存在は知ってて欲しいとは思ってましたが諦めてました。

なので私には探せません。

ですが安宅さんの性格・能力なら、私の無力を織り込んだ上で見つける方法を用意している筈です。

その点を踏まえて策を練って下さい。』



「…承知しました。

俺は少し舞い上がってたようです。

じっくりと考えます。」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



その後、事務所を出て久我のトラックに移動。

2人が運転席に座り、俺は後部の荷台に入る。

荷台の中には新品の毛布が敷き詰められ、久我なりに気を遣ってくれている事が伺えた。

気遣いついでのつもりなのか、中には孝文もチョコンと座っている。



  「早く荷台に入ってくれ。」



車内無線のような物で久我に促されたので、荷台に入った。



『久我さん、聞こえてますかぁ?』



  「少しノイズが掛かっているが会話は可能だ。

  どうする?

  内緒話がしたいなら無線を切っておこうか?」



『久我さんなら、何を聞かれても大丈夫ですぅ。』



  「そうか。

  では児玉繭子が迎えに来るまでの間。

  荷台でG(ゴールドバーグ)氏と歓談しておいてくれ。」



『何から何まですみません。』



  「礼なら江本に言え。

  全てこの男が描いた絵だ。」



『わぁ♥

江本さんにHなご褒美いっぱいあげます♪

って伝えておいて下さい。』



  「スマンが女人禁制だ。」



『私の性自認ゎぁ。』



  「それは私が判断する。

  前にも言ったが君を男だとは認めていない。」



『ふふふ、残念ですぅ。』



  「だが、政治家としての君は支持している。

  家畜泥棒への対処やホスト規制。

  いずれも素晴らしい成果だ。」



『…恐縮ですぅ。』



言いたい事だけ言って久我は黙ってしまう。

無線に話しかけても返事をくれないので、孝文に構ってやる事にした。



『安心して下さい。

孝文さんも頑張ってくれてるのでぇ。

Hな御褒美いっぱいしてあげますね。』



「あ、リン子様。

いや、本当に恐縮です。

…いいんですか?」



『奥様には内緒ですよ♥


それ位は働いてくれてるでしょう。

仮想通貨もお任せしてしまってますし。』



「仮想通貨に関しては…

寧ろこちらが貰い過ぎていて…

とんでもない事になってます。

あの、やはり書面で正式な報告書か何かを…」



『私、お尋ねものなんでぇ。

書面はNGですぅ。』



「あ、ですよね。

…いや、分かってはいるのですが。

額が額だけに。

私の裁量で預かり続けて良いものなのか。」



『多過ぎるなら焼いて下さい。

そこも含めて孝文さんに運用は任せてます。』



「あ、はい。」



『そんな事より。

私の指示。

ちゃんと守ってくれましたかぁ?』



「あ、あの。

銀座で買い物をするミッションですよね?」



『ええ、見た感じ全然変わってませんよね?

言いつけを守ってくれない人には私おこです、ぷんすこ♥』



「あ、いや!

違うんです!

ちゃんと銀座には行きました!

それで銀座三越とかGINZA SIXとか回って…

回ったんですけど。」



『?

楽しくなかったですかぁ?』



「どうしても自分の為に散財するという気分になれなくて…」



『不器用ですねぇ孝文さんは。』



「あ!

でも何も買わなかった訳じゃないんです!」



『?』



「そ、その深い意味はないのですけど。

以前、リン子様がDiorの話をされてたのを思い出して…」



孝文は赤面しながら小さな箱を差し出す。



『?』



「そ、その気持ち悪いと感じたら捨てて下さい。

自分でも勢いで買ってしまった物なのです。」



『わぁ、指輪ですねぇ。

可愛い♪』



「お気に召さないのでしたら…」



『えー、いいじゃないですか。

孝文さんからのプレゼントというのが嬉しいです。』



「あ、そうですか。

いやあ、良かった。」



『今度は御自身の為に散財しなくちゃ駄目ですよ?』



「は、はい!

それは勿論。」



『じゃあ、付けて下さい。』



「え?」



『だって私、指輪なんて付けた事ありませんし。』



「…は、はい!

失礼します!」



『うふふ。

くすぐったいですw』



「す、すみません。」



『えー、指輪って左手の薬指に付けるものじゃないんですかぁ?』



「え!?

あ、いや!」



『くすくす。

いいですよ、右手で我慢してあげます♪』



「あ、いえ、はい、いえ。」




こういう茶番を演じながらも、仕事はきっちり済ませている孝文には好感が持てる。

勿論、俺も姿勢を正して報告を聞く。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【孝文のポンド報告】



19日目  (一昨日)


254億0705万ポンド

  ↓

253億8405万ポンド



※日利発動後、会食。

※出資者に配当として計2300万ポンドを支払い。

※出資者ツォン氏に日利0.5%の250万ユーロを支払い。

※孝文、出資者にファンド終了を打診、案の定総発狂。

※ウッドランド卿遺族、奈良の大仏拝観ツアーを急遽中止。

※出資者一同、リンとの面会を希望。



16億4639万ユーロ

  ↓

16億4389万ユーロ




466億4920万ルーブル

  ↓

559億7904万ルーブル





20日目  (昨日)



253億8405万ポンド

  ↓

304億6086万ポンド

  ↓

304億3786万ポンド



※50億7681万ポンドの利息(20%)が出現。

※3億2878万ユーロの利息(20%)が出現。

※ルーブルが勝手に増える。

※モスクワ高裁、コズイレフ氏に有罪判決(公金横領罪・国家機密漏洩罪)

※出資者に配当として計2300万ポンドを支払い。

※出資者ツォン氏に日利0.5%の250万ユーロを支払い。

※出資者達、遠市厘への面会を要求。

※ウッドランド卿遺族、緊急事態につき宴会場所を都内に変更



16億4389万ユーロ

  ↓

19億7267万ユーロ

  ↓

19億7017万ユーロ



559億7904万ルーブル

  ↓

671億7485万ルーブル




【預金者一覧】 (金額は預金額)



カミーラ・バーゼル (自称リンの恋人)

5億ポンド



ウッドランド伯爵家 (家長の喪にも服さず日本で遊興三昧)

4億ポンド



マーガレット・ハワード伯爵夫人 (凄く意地悪なことで有名らしい。)

1億ポンド



イワン・イワノフ (在英オルガリヒ)

10億ポンド



レフ・コズイレフ (在英オルガリヒ)

5億ポンド

100億ルーブル



リチャード・ツォン (英国華人協会の重鎮)

5億ポンド

5億ユーロ



【総預金元本】


30億ポンド

5億ユーロ

100億ルーブル



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「ファンドを終了したいと言ったら泣きつかれました。

リン子様との面会を要求されています。」



『でしょうね。

…突っぱねて下さいと言ったじゃないですかぁ。』



「リン子様の足元にも及びませんが、相手は私に比べて全員大物なんですよ。

全員でしつこく食い下がられたもので。」



『はあ。

私も逃亡中ですしねぇ。』



もっとも、俺が彼らでも形振り構わず食い下がっただろう。

毎日、カネが1%ずつ増える快感に脳を焼かれぬ者など居る筈がないからである。



「多少条件が下がっても構わないのでファンドを継続して頂けまいか、と。」



『じゃあ、せめて週利にしませんか?

毎日面会させられるのは孝文さんも大変でしょう?

日利は終了。

週利10%で構わない人だけ継続。

但し、週利は例によって先払いします。

利息だけ受け取って元本を引き上げて下さっても可。』



「その条件でも皆様継続されると思います。

御親族を紹介したがってる方もおられますし。」



『じゃあ、その線で進めておいて下さい。

私はポンドもユーロも仮想通貨も良く分からないので。』



これは本当。

そもそも欧州人達はポンド・ユーロと当たり前の様に会話に混ぜて来るが、日本と異世界以外を知らない俺からすれば円換算で話して貰わなくては実感がない。

1ポンドって何円くらいの価値があるのだろうか?

馴染みがないので見当も付かない。



「…それと、ここからが本題なのですが。」



『あ、はい。』



「私からリン子様に寄進をさせて頂けませんでしょうか?」



『さっき指輪くれたじゃないですか。』



「それは男としての私からの贈与です。

これは臣下としての私の進言です。」



『はぁ。』



「ここに1ドルがあります。」



『へえ、これがドルですか。

あ、本当にフリーメーソンの図柄が入ってる。

ピラミッドに目玉w』



「申し訳御座いません。

出来ればフリーメーソンには気付かない体でお願いします。

私事ですが、父方の先祖も関わっている問題でして。

あまり触れられたくないというか。」



『ええ、いいですよ。

孝文さんのお願いならスルーしてあげます。』



「感謝します。

それで、この1ドル札を寄進させて頂くというのは可能でしょうか?」



『えー、こんな目玉のお札なんか気持ち悪くて持てないですぅ。』



「…一応基軸通貨というか。」



『今はそうみたいですね。』



「え!?」



『うふふ。』



「…リン子様?」



『じゃあ、これも孝文さんに預けておきます。

増えた分はお小遣いという事で。』



「あ、いや!

流石にそちらも受け取ってしまう訳には。」



『あはは、真面目ですねぇ。

分かりました。

いつか受け取ってあげます。』



「責任を持って保管しておきます!」



『まあまあ、そんなに真剣になる必要もありませんよ。

孝文さんは身内枠ですから♥』



「ありがとうございます!」



そんな会話をしているうちに、繭子達が戻って来た旨を久我の無線が伝える。

17時も近いので今日はハイエース内での射出になりそうだ。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




『繭子さん。

不動産セミナーは順調でしたか?』



「うん、あの子ら2人共地頭がいいわ。

趣旨をすぐに理解してくれた。」



『2人は?』



「服を買いに行った。」



『今度、みんなでお買い物に行きましょう。』



「リン子、アンタの性自認は?」



『勿論オトコノコですぅ。』



「その指輪は?」



『あそこに立たせている孝文さんがくれました。』



「嬉しかった?」



『はいっ♥』



「あっそ。

男としては兎も角、逃亡者としてのアンタは中々のものよ。」



『恐縮ですぅ♥

ところでもうすぐ17時なんですけどぉ。

えっとぉ…』



「何?

あの男に見せたいの?」



『踏み絵のフォーマットも形になって来たのでぇ。

孝文さんで実験しようかな、と♪』



「その踏み絵、私も踏む訳?」



『まさかぁ。

繭子さんは私の身内枠ですよぉ。』



「…あっそ。

騙されておいてあげるわ。

いいよ、車に乗って貰いな。」



そんな遣り取りがあって、ハイエースに孝文を乗せる。

そして2人で挨拶と報告をさせ合う。



『じゃあ、お2人共。

そろそろ例の時間なので、準備をお願いします。』



「「了解。」」



3人でハイエースの後部座席へ移動。

互いの表情を伺いながら17時を待つ。



《2115万円の配当が支払われました。》



孝文も繭子も目を見開いたまま何も言わない。

まあ、何回見てもリアクションに困る現象ではあるよな。



『お2人共、ここ笑う所ですよぉ。

あはっ♪』



「し、失礼しました!

あのリン子様!」



『はーい?』



「い、1万ドルがここに落ちていて。」



『だからぁ。

それ孝文さんのお小遣いだって言ってるじゃないですか。』



「あ、いや。」



『じゃあ、さっき1ドルくれたから、その利息です。』



「いやいやいや!

1ドルが1万ドルになるとか!

どんな奇跡ですか!

流石に受け取れませんよ!」



『人類史なんてインフレの歴史なんですから、気にしない気にしない。

この話終わりですよー。

はい、ちゅんちゅん♥』



「…はい。

では引き続き保管の義務を負わせて頂きます。」



『ふふふ。

頼りにしてますよ、孝文さん。

貴方以外に頼れる人も居ないんですぅ♥』



「…恐縮です。」



その後、孝文はノートPCを確認。

仮想通貨Ethereumの増額を改めて報告される。

画面見せられてもなぁ。

そもそも俺はアルファベットと数字とITのアレルギーなんだって。

小麦粉アレルギーの奴にグラコロ食わす位に酷い事してるぞオマエ。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】



1億0574万5803円

  ↓

1億2689万5803円

  ↓

1億2589万5803円

  ↓

1億2489万5803円



※配当2115万円を取得

※児玉繭子に御祝儀として100万円を支給。

※ついでに孝文・j・Gに100万円+1万ドルを支給。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



ハイエースから出ると久我と江本が豚共に囲まれていた。

黄ばんだ歓声がキャーキャー聞こえる所を見ると、好ましい餌だったのだろう。

俺の後から孝文が降車すると、更に鳴き声が高くなる。



  「ねえ、リン子。

  その人が例の孝文さん?

  紹介しなさいよ、アタシ達親友でしょ!」



  「ねえ、アナタが孝文さん?

  アタシ絵麻17歳処女♪

  今から2人でトゥギャザーしましょうよ♥」



  「オレノナヲイッテミロー! 

  オレノナヲイッテミロー!」



  「ちょっとリン子ぉ。

  呼んで! 呼んで!

  早くセッティングしなさいよ!」



当たり前だが孝文も江本も久我も暇じゃないので、華麗にスルー。

特に孝文は六本木で出資者と会食する予定が入ってるからね。

豚を食べる暇はないよね。

3人は俺だけにアイコンタクトをするとさっさと帰ってしまった。

江本には安宅との連絡方法を引き続き探って貰わねばならないし、孝文には英国勢との話を纏めて貰わなくてはならない。

そして、ルーブルの処分も考えなきゃである。

日本国内で大量のルーブル札を持ってたら、間違いなくロシアの工作員と断定されてしまうからね。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



帰りの車内で囲んで豚共に文句を言われる。



「ちょっとリン子!

どうして男共を引き留めてくれなかったの!

どう考えても宅飲みウェーイな場面でしょ!」



「ああ、期待して梯子を外された!

今夜は熱いサタデナイトなテンションだったのに!」



「アニヨリスグレタオトウトナドソンザイシネー!

アニヨリスグレタオトウトナドソンザイシネー!」



「リン子ぉ。

アンタばっかり男を独占するのズルいよ!

それもあんな極上のオスばっかり!

1人くらいお裾分けしてよ!」



アホらしいので返事を返さず黙っていると、豚共が媚びて来る。

分かり易いな、コイツら。



『はいはい。

わかったわかった。

要するにたまには男遊びしたいんですよね?』



  「ヤリたーいww」



  「それなw」



  「オレハウソガダイキレエナンダ!

  オレハウソガダイキレエナンダ!」



  「たまにはリン子以外のチ●ポも欲しいよねw」

  


  「「「「ギャハハハハwww」」」」



コイツラ本当に教育に悪いなあ。

エンジュや木下も聞き耳立ててるし。



『樹理奈、エンジュ、こんな大人になっちゃ駄目だぞ?』



「えー、でも瀬里奈さん達って凄く楽しそう。」



  「ホザクナイマノオレハムカシノオレデハナイゾー!

  ホザクナイマノオレハムカシノオレデハナイゾー!」



「ウチらもこういう大人になりたいよね。」



『…世も末だな。』



  「フヌケタカーアニジャタチワー!

  フヌケタカーアニジャタチワー!」



結局、女共は相当しつこく、今度宅飲み会に男を呼ぶことを約束させられてしまう。

それまでの繋ぎも兼ねて、その晩は豚共を抱いてやってから寝た。

俺の目を盗んで風香が13歳組に良からぬ知恵を付けていたので、女同士の厳重な隔離を誓いながら眠った。


例によって何の実りも無い一日だった。

【名前】


遠市・コリンズ・リン子・厘



【職業】


ホステス

パチンコ台


神聖教団 大主教

東横キッズ

詐欺師



【称号】


淫売

賞金首



【ステータス】 (地球上にステータス閲覧手段無し)


《LV》 20

《HP》 ふぇぇ

《MP》 ですぅ

《力》  メスガキ

《速度》 小走り不可

《器用》 ライジング・カード!

《魔力》 悪の王器

《知性》 悪魔/ド低能/自分の名前は言えます。

《精神》 絶対悪

《幸運》 的盧


《経験》 7957677


本日取得 0

本日利息 1326280


次のレベルまでの必要経験値2528073



※レベル21到達まで合計10485750ポイント必要

※キョンの経験値を1と断定

※イノシシの経験値を40と断定

※うり坊(イノシシの幼獣)の経験値を成獣並みと断定

※クジラの経験値を13000と断定

※経験値計算は全て仮説




【スキル】


「複利」 


※日利20%

下4桁切り上げ 




【所持金】


1億2489万5803円



15万BTC  (下4桁切り上げ)

  ↓

18万BTC

  



5万XRP (下4桁切り上げ)

 ↓

6万XRP



5万SOL (下4桁切り上げ)

 ↓

6万SOL



※外貨は全額孝文・j・Gに預託。




【残り寿命】


9万6500日 (下4桁切り上げ)

  ↓

11万6500日




【所持品】


女の子セット

Maison Margiela ショルダーバッグ 白

Archi Diorリング ホワイトゴールド×ダイヤモンド




【約束】


 古屋正興     「異世界に飛ばして欲しい。」

 飯田清麿     「結婚式へ出席して欲しい。」

〇         「同年代の友達を作って欲しい。」

          『100倍デーの開催!』

×         「一般回線で異世界の話をするな。」

          『世襲政権の誕生阻止。』

〇後藤響      「今度居酒屋に付き合って下さい(但しワリカン)」

          「大阪を滅ぼさないで下さい!!!」

          「空飛ぶ車を運転します!」

 江本昴流     「後藤響を護って下さい。」

          『遠市王朝の建国阻止。』

×弓長真姫     「二度と女性を殴らないこと!」

×         「女性を大切にして!」   

〇寺之庄煕規    「今度都内でメシでも行きましょう。」

×森芙美香     「我ら三人、生まれ(拒否)」

×中矢遼介     「ホストになったら遼介派に加入してよ。」

          「今度、焼肉でも行こうぜ!」

〇藤田勇作     『日当3万円。』

〇堀田源      「トイレコインの使い方を皆に教えておいて。」

〇山田典弘     「一緒にイケてる動画を撮ろう。」

〇         「お土産を郵送してくれ。」

          「月刊東京の編集長に就任する。」

 楢崎龍虎     「いつかまた、上で会おう!」

×警視庁有志一同  「オマエだけは絶対に逃さん!」

          「オマエだけは絶対に守る!」

×国連人権委員会  「全ての女性が安全で健(以下略)」

〇安宅一冬     「浅草寺周辺を一緒に散策しましょう。」

 水岡一郎     「タックスヘイブンの利用・移住をしないこと。」

×平原猛人     「殺す。」

          「鹿児島旅行に一緒に行く。」

          「一緒にかすうどんを食べる」

 車坂聖夜Mk-II   「世界中の皆が笑顔で暮らせる、優しい世界を築く」

×今井透      「原油価格の引き下げたのんます。」

          「小麦価格の引き下げをお願いします」

〇荒木鉄男     「伊藤教諭の墓参りに行く。」

 鈴木翔      「配信に出演して。」 

×遠藤恭平     「ハーレム製造装置を下さい。」

〇         『子ども食堂を起ち上げます。』

          「紙幣焼却によりインフレを阻止する。」

〇田名部淳     「全財産を預けさせて下さい!」

          「共に地獄に堕ちましょう。」

 三橋真也     「実は配信者になりたいので相談に乗って下さい。」 

〇DJ斬馬      『音楽を絡めたイベントを開催する際、日当10万で雇用します。』

 金本宇宙     「異世界に飛ばして欲しい。」

 金本聖衣     「同上。」

 金本七感     「17歳メインヒロインなので旦那との復縁を手伝って。」

〇天空院翔真    「ポンジ勝負で再戦しろ!」

          「再戦するまで勝手に死ぬな。」

〇小牧某      「我が国の防諜機関への予算配分をお願いします。」

 阿閉圭祐     「日本国の赤化防止を希望します。」

〇坊門万太郎    「天空院写真集を献納します!」

 宋鳳国      「全人類救済計画に協力します!」

 堀内信彦     『和牛盗難事件を解決します。』

〇内閣国際連絡局  『予算1000億円の確保します』

 毛内敏文     『青森に行きます!』

 神聖LB血盟団   「我々の意志を尊重する者が必ずや遠市厘を抹殺するだろう。」

〇大西竜志     「知り得る限り全ての犯罪者情報の提供。」

          『貴方の遺族に篤く報います。』

 坂東信弘     「四国内でのイベント協力」

 国重辰馬     「四国内でのイベント協力」

 涌嶋武彦     「畜産業界の総力を挙げて遠市派議員を衆議院に最低10名押し込みます!」

 斑鳩太郎     『処刑免除を保証します。』

 志倉しぃ     「カッコいいホモの人を紹介して下さい。」

〇孝文・j・G   「英国大使館パーティーにて利息支払い」

          「永遠の忠誠と信仰を(以下略)」

〇グランツ(英)  「perape-ra!!!!!!!!」

 E・ギャロ     「農政助言」

          「王都で星を見る。」

 福永史奈     「出産すれば1億円支給」

 野上絵麻     「以下同文」

 桂川風香     「以下同文」

 久能木瀬里奈   「ジャンジャンバリバリ!!」

 児玉繭子     「ウチの旦那に色目を使うな。」

 古河槐      「jetの救済をお願い。」

 カミーラ・B   「perape-ra♪」

 故バーゼル卿   「perape-ra!」




 金本光戦士    「どんな危機からも必ず救い絶対に守る。」



◎木下樹理奈    「一緒に住ませて」



×松村奈々     「二度と靴は舐めないにゃ♥」

〇         「仲間を売るから私は許して♥」



◎鷹見夜色     「ウ↑チ↓を護って。」

〇         「カノジョさんに挨拶させて。」

〇         「責任をもって養ってくれるんスよね?」



×ヒルダ・コリンズ 「芋羊羹…。」

          「王国の酒…。」

          「表参道のスイーツ…。」 

×         「ポン酢で寿司を喰いに行く。」



 土佐の局     「生まれた子が男子であればリイチ。

          女子であればリコと命名する。」

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― 新着の感想 ―
ドルきたー! …あとは超キャッシュレス社会な人民元 タカフミ氏を使えば…いける? 当局に封鎖されませんかねぇ… ハニトラがお家芸なのに大丈夫か? あーめっちゃ楽しみ!
円、ポンド、ユーロ、ルーブルに続いてドルの破壊も開始かぁ ほんと魔王だな それにしても、言ってること思ってることとやってることやろうとしてることが出鱈目だな。 大丈夫…ではないな
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