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【降臨74日目】 所持金1億0676万5803円 「…そろそろ魔王城欲しいな。」

さて、今夜も眠れない。

女共が俺を包囲する形で布団を敷いてるからだ。

(厳密には布団は敷きっぱなし、畳む殊勝さのある女はここには居ない。)

しかもコイツらと来たら、パチンコの話題で大爆笑しながら盛り上がっている。

猥談と博打の話しか出来ない連中と同室するのは心底辛い。

俺の理想は政治と経済の話題を聞きながら眠る事なのだが、それを最も得意とするのは某母娘なので、永遠に理想に留める事に思い直す。



  「それでさぁ!

  あの頃のミリオンゴットがさぁ!」



  「ジャグラーだけ打ってりゃ!

  毎日焼肉食べ放題に行けたのよ!」



  「ジャンジャンバリバリー♥」



  「あー、1パチでいいから打ちたいわあ。」



コイツら飽きもせずに同じ話題ばかりするよな。

で、流石にパターンが見えて来たのだが、豚共は賭博の話が一巡すると猥談に移行する。


ひたすら猥談と博打のループ。

男も女も底辺の思考は変わらないのだろう。



  「あー。

  一緒にパチ打てる彼氏が欲しいわ。」



  「わかる!

  ウチの旦那賭け事NGの人なのよ!

  パチ話出来なくて辛いのよね。」



  「バリバリー。」



  「ペアシートでイケメンと打ってさぁ。

  周りの雑魚メス共に見せつけたいわー。」



これが猥談移行のシグナル。

《一緒に博打出来る彼氏が欲しい》

という発言を誰かがすると、一気に男漁りモードに突入する。

ここまでパターンの単純な連中なら、FX会社にカモられるのも納得だ。



「ねぇ、リン子ぉ。」



『睡眠中でーす。』



「起きてるじゃーん。」



『寝てまーす。』



「意地悪しないでよー。

ねぇ、さっきも言ったけど、あのイケメンガイジン何者!?

インスタのエドさんとは別の人?」



『別人ですね。

孝史さんは単なる仕事仲間ですよ。』



「嘘!

明らかにアンタに夢中だったでしよ!」



『気に入られてるとは思います。

私はそういう目で見てませんけど。』



「じゃあ紹介してよー。」



『えー、紹介ですかぁ。』



「アンタばっかりイケメンを独占してズルいよ!

ねぇ、アタシ達親友でしょ!

イケメンは平等に分かちあおうよ!」



『参りましたねぇ。

孝史さん、ロンドンに奥様がおられますし。』



「へぇ、イギリス人なんだ。

英国紳士って響き、そそるわぁ♪

お仕事は何してるの?」



『証券会社の社長さんですぅ。

ロンドン資本が日本の証券会社を買収したんでぇ。

日本支社長として送り込まれて来たみたいですよ。』




黄ばんだ歓声が上がる。

男の俺には理解出来ないのだが、ロンドンから来たエリート金融マンという時点でそそるらしい。

まあ、孝史は長身だしオックスフォード卒だし、女にモテる要素は十分だよな。

問題はこの豚共が身の程を知らない点である。

…常識で考えてオマエらなんぞと釣り合う訳ないだろ。

そこから暫くメス豚共が《孝史or江本を紹介しろコール》を連呼して来たので、例によって眠れなかった。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




7時起床。

朝の5時くらいまで、豚共を宥めてた記憶があるので、2時間程度は眠れた計算になる。

ここ数日体調が良いのか、夜更かししても疲労感が無い。

きっと俺なりに環境に適応したのだろうな。


豚共は機嫌良さげに大の字で熟睡している。

知性と品性さえ放棄すれば、人間は幾らでも幸福になれるのだろう。

きっとコイツらは知恵の実を喰わなかった賢者なのだ。



俺が2階の窓から霞ヶ浦を眺めていると、エンジュが近寄って来る。

どうやら話し掛けるタイミングを伺っていたらしい。



「ねぇ、ガルパン。

アタシもリン子って呼んだ方がいい?」



『ガルパンって渾名は有名になったからな。

出来ればリン子で。

誰の耳があるか分からんからな。』



「あっそ。

じゃあ、リン子。

少しマジな話していい?」



『うん。』



「アタシは樹理奈の親友なのね?

半年位の付き合いだけど、一緒にヤバい橋も渡って来たの。」



『うん、知ってる。』



「で、あの子がアンタに惚れてるの知ってるから、逢わせてやりたいんだけどさ。」



『連絡取られると困るなぁ。』



木下はヒルダ派である。

エンジュが連絡を取れば、そのまま俺の居場所が知られてしまうだろう。



「リン子を捕まえようとしてるオバサンの話?」



…オバサンかぁ。

まあ、3人産んでるしな。

幾ら若い戸籍を捏造したところで、この年代のメスガキからすればヒルダなんて大BBAだよな。



『本人の前では年齢煽りするなよ。

少なくとも俺は庇う自信がない。』



「樹理奈、そのオバサンのグループからは抜けてるよ。」



『え?

そうなんだ。』



言われてみれば虎ノ門では木下を見かけなかった。



「あの子、団体行動苦手だし。

そもそもオバサンが嫌いだし。

ウザいから抜けたんだってさ。」



『うーん。

木下は学校にも行ってないし、ヒルダから色々学んだ方がいいと思うけどな。』



「だって、軍隊みたいでウザいって言ってたもん。」



『軍隊は貧者にとって最高の福祉だから、むしろ在籍しておくべきなんだがな…』



「なに?

リン子はそのオバサンのトコに帰るの?」



『俺が帰ると岸田総理が殺されちゃうからなぁ。

捕まる訳には行かないんだよ。』



これはマジ。

あの女は、俺を入閣させた上で岸田総理を暗殺する予定だからな。

殺した後は禅譲の遺言を捏造して、遠市厘に首相職を継承させる。

それがあの女の書いているシナリオ。

既に入閣へのルートは渋川薫子を用いて確保済みなので絵空事ではない。

そして当然、西側諸国への根回しもある程度は進めているだろう。

ヒルダ・コリンズは【最低でも】ここまではやる。



普通ならそんな雑な手法は世論が許さないだろうが、ウクライナ戦争中の今なら西側社会が歓迎してしまう可能性がある。

遠市内閣の成立=日本の西側参戦を意味するからだ。

少なくとも中露はそう解釈する。

行き詰っているNATOにとって最高の展開であろう。

なので西側は遠市内閣の誕生に高い確率で賛成する。

(それ位、彼らもウクライナ戦争の長期化に頭を抱えている。)


そしてそのまま形振り構わず日本を対露戦に引きずり込むだろう。

(ヒルダが北方領土の奪還を宣言していたので、もう大筋の裏合意がなされている可能性はある。)

要するに、俺がヒルダに逮捕されると高い確率で第二次日露戦争が始まるのだ。


あの封建女と違って、俺は暴力で未来を切り拓く事には反対。

だから身柄を押さえられる訳には行かない。



「要するに、そのオバサンに捕まりたくないのね?」



『うん。

俺が捕まったら第三次世界大戦が勃発する。』



「なにそれ。

馬鹿みたい。」



『だよな。

心底馬鹿げてると思う。』



馬鹿げている。

今の世界構造で戦争を起こしても、死ぬのは労働者だけで、資本家はそこから利益を得てしまう。

なので、先に構造を引っ繰り返しておかなければならない。




「じゃあ、樹理奈にはリン子の事内緒にするように言っておくわ。

それなら連絡取っていいでしょ?」



…参ったなぁ。

俺に言わせれば木下なんて、あからさまにヒルダ鷹見予備軍なんだけどなぁ。

アイツ絶対ロクな大人にならんだろ。



『ここの家主は繭子さんだ。

判断はあの人に委ねよう。

繭子さんが賛成なら俺は従う。』



「受け身なことばっかり言ってるからメス化すんのよ。」



…仕方ないだろ。

俺が本気を出したら世界が滅ぶんだから。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




  「ラムしゃぶウェーイ!!」



  「うひょおお!!!」



  「ジャンジャンバリバリー!!」



  「大ジョッキおかわりー!」




繭子に相談しようと居間に戻るなり豚共に包囲され飯を強請られたのでランチにする。

つくばの割烹がラムしゃぶを宣伝していたので皆で舌鼓を打つ。

あんこう鍋も勧められたが、俺は細かい骨が嫌いなので小鉢だけ頂く。




  「リン子! アン肝寿司食べな!

  精力増進って書いてるよ!」


  

  「チ●ポの提灯止まるんじゃねえぞ!」



  「バリバリバリー!!!」



  「アタシもアン肝たべるぅぅぅーーッ!」




『あのぉ。

ダイエットはいつ始めるんですかぁ?』



  「明日からぁ!!!」



  「明後日からぁ!!!」



  「ジャリジャリぃ!!!」

 


  「始めるかボケぇ!!!」




幸せそうで何よりである。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


9075万1303円

  ↓

9063万5803円


※匠・銀峰にて食事代11万5500円を支払い。



[内訳]


極・銀峰 絢爛コース[120分飲み放題]


16500円×7名=11万5500円


◆極薄厳選ラム肉(1人前200g)

◆季節のお野菜10種盛り合わせ

◆本日のお魚料理

◆厳選蝦夷鹿肉しゃぶしゃぶ

◆伊勢海老のしゃぶしゃぶ

◆アン肝寿司

◆絶品あんこう昆布

◆あんこうヒレ酒蒸し

◆〆のラーメン

◆本日のデザート盛り合わせ

(常陸メロンのシャインスプラッシュ)



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




ハウスに帰るなり、豚共は用便を済ませて眠り込む。

俺も来世は豚舎に生を受けたいものである。



「リン子。

アンタ、食が細い方だと思ってたのに…

結構食べるねぇ。」



『そうですかぁ?

普通に食べてるだけですけどねぇ。』



「結構結構ww

男は胃袋と玉袋さえ頑丈ならそれでいいのさwww」



『繭子さぁん。

未成年の前で下ネタやめて下さいよぉ。』



言いながら俺はエンジュを振り返る。

黙って頷いたので木下の話題を出す。




【木下樹理奈】



俺が東横で逢った家出少女。

13歳と聞いて驚いた事を覚えている。

黙っていれば都内のOLさんか何かにしか見えなかったからだ。

ヒルダはこの少女を気に入っており側に置きたがっていたが、本人にとっては苦痛でしかなかったようだ。

そりゃあね。

俺が木下でも同室がヒルダ(大BBA)・松村(中BBA)・鷹見(小BBA)とか絶望的悪夢だわ。

虎ノ門でもそこそこ優遇されていたようだが、人間関係に馴染めず虎ノ門を出奔したらしい。

現在は出奔の際にくすねたカネで各地を転々としているとのこと。




「ねえ、樹理奈はダチなんだ。

何とかしてやりたいんだよ。」



『うーん。』



参ったな。

これ木下経由でヒルダに居場所を割られるパターンだぞ。



「ハッキリしろよ! 男だろ!

…と言いたいトコだけど

今のアンタはツッコミ待ちっぽいからやめとく。」



『えへへですぅ♪』



「その媚び声イラつくからヤメロ! (ボカッ)」



『んにゃぴっ。』



「…なんで樹理奈はこんな奴に惚れたかな。

いや、計算でそのキャラ作ってるんだとしたら…

こんなバケモンには誰も勝てないんだろうけどさ。」



『えへへですぅ。』

 


「ねえ、繭子さん。

どうする?

アタシは樹理奈をコイツに会わせたい。

それで《こんな奴絶対やめろ》って言ってやるの。

友達だから。」



  「エンジュも分かってるだろうけど…

  リン子はヤバい女×2に狙われてるの。

  リスク要因は1%でも増やしたくないんだけど。」



「シネウンコはよく知ってる。

多分、アイツの性格なら最終的にリン子を殺すと思う。」



『え? 

私殺されちゃうんですかぁ?』



「だって喋り方とかイラつくし。

普通殺すでしょ?」



『ぴえん。』



「で?

ヒルダってオバサンはシネウンコよりヤバいんスか?」



  「話を総合する限り、最終的に岸田総理を殺すつもりっぽい。」



「へー、セージカ殺してくれんなら、いいオバサンじゃないっすか。

決めた。

そのオバサンに引き渡しましょう。

賞金も貰えるんですよね?」



『売らないでくださぁい。』



「あっそ。

じゃあ選びな。

今からアタシ。

オバサン、シネウンコ、樹理奈の誰かに連絡するから。

相手はアンタが選んでいいよ。」



『もうそれ木下さん以外に選択肢ないじゃないですかぁ。』



「えー、アタシはセージカの処刑ショーを見たいなぁ。

2000円以内だったら見物料払うよー。」



  「ねえ、エンジュ。

  その樹理奈って子。

  連絡することに何かメリットある訳?

  私も地元の組関係全部敵に回すリスク負ってるんだけど?」



「うーん。

メリットっすかぁ。


本人に言えば勝手に提示してくると思いますよ。

少なくともアタシなんかよりよっぽど義理堅い奴なんで。」



  「義理ねぇ。」



「それに、ガルパンが昔約束したみたいじゃない。」



『約束?』



「一緒に住んでやるって言ったんでしょ。

あの子結構期待してたよ?

アンタも男なら約そ…


ひょっとしてオマエ。

責任逃れでその恰好してんのか! (ドカッ)」



『んにゃぴっ。』



「繭子さーん。

ひょっとしてコイツ、マジモンのド外道じゃないっすか?」



  「人類史クラスの極悪人よ。

  エンジュも気を付けなさい。」



『えへへですぅ。』



「なーんで樹理奈はこんな奴に惚れたかなぁ。

いやアタシもだけどさ。」



  「アンタらの年頃ってさあ。

  本能的にワルに惹かれるものだからねぇ。

  いきなりこのレベルの絶対悪に逢っちゃったら仕方ないよ。

  犬に噛まれたと思って諦めな。」



「ようやく脱ホス出来たと思ったら…

まあいいや。

一旦、樹理奈に連絡取ります。

この場所は避けて…

近所に呼び出しましょうか?」



  「じゃあ、つくば駅で。

  車内で逢わせてあげる。

  その後は成り行きで。

  念を押しとくけど、私達は逃亡者。

  今回の件は何のメリットも無いんだからね。」



「りょーかい。

あの子、多分アタシの言う事なら聞いてくれると思うんで。

何とか大人しくさせます。」



『お願いしますよぉ。

穏便に収めて下さいねぇ。』



「ダイジョーブダイジョーブ。

ああ見えて大人しい子だから。」




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




嘘だった。


つくば駅の裏手で再会した木下は俺の顔を見るなり殴りかかって来た。

2分ほどフルボコにされた。

痛かった。

エンジュは明らかに頃合いを見てから止めに入り、無造作に俺をハイエースに収容した。



「エンジュー、色々ごめんねー。」



「気にしないで、こっちこそ連絡遅れてごめんねー。」



痙攣する俺の真横で2人が熱く抱擁を交わしていた。

例え同類同士だとしても、似た年代の友達が居るのは良い事である。



「初めまして。

木下樹理奈と申します。

古河がいつも世話になっております。」



「あらぁ、聞いていたより礼儀正しい子じゃない。」



「ははは。

やだ、もー♪

聞いてたって何をですかーw」



木下が眼球だけを動かして俺を睨みつける。

オマエ、顔付きまでヒルダに似て来たな。

誰だよこんな奴呼んだのは。



「遠市君が変わっていて驚いたでしょう。」



「いえいえ、きっと事情があると思いますので。」



「「あはははは。」」



「本題に入るわね。」



「はい、お願いします。」



「私、夜逃げ屋なの。

困ってる人を逃がしてあげるのが仕事。

こう見えて腕利きなのよ。

旦那以外に負けたことないから。」



「ええ。」



「こうして貴女と逢うのはリスクでしかないの。

一度のミスが破滅に繋がる世界だからね。


貴女、ヒルダ・コリンズ氏と繋がりあるんでしょ?

こうして車を見られるだけでも怖いのよ。

さっきナンバーをチラ見してたよね?」



「土浦899。

く 20-54。」



「聞いていた以上に優秀ねえ。

追う側の才能あるわぁ。」



「恐縮です。」



「感動の再会も贈呈してあげたし、これで満足してくれない?」



「感動したいのは山々なのですが…

人生でベスト2に入る憎悪が湧いてますよ、今。」



「あらぁ、1番は?」



「母親と母親が連れて来たオトコ関係ですかね。」



「あらあら、余計な事を言ってゴメンナサイね。」



「いえいえ、先日ケジメを付けたのでお気遣い不要です。」



「じゃあ遠市君にもケジメ付けとく?」



「いいですねぇ。

チェーンソーを残しておけば良かったです。」



「「あっはっはっはっはwwww」」



「児玉さん。」



「はーい?」



「じゃあ面白い情報を提供しますよ。

それで迷惑料にさせて下さい。」



「OK。

じゃあ、ウチに来なさい。

今夜の宿はまだ取ってない?」



「あ、いや。

夜はずっとファミレスっすね。

寝たい時だけパパ活アプリで泊めてくれるオッサン探してます。」



「エンジュと相部屋になるけど、布団は用意出来るわ。」



「あざす。

気持ちはありがたいんですけど。

せめてどんな情報か確認取って下さいよ。」



「必要ないわ。

つまらない奴の情報って全部無価値だし。

面白い子との会話って、それだけで無限の価値があるし。」



「ははは、ハードル上げるの上手いっすね。

一応最初に断っておきます。

ヒルダ・コリンズから聞いた話の中でも、機密に該当すると思われる情報は話しません。」



「そう。」



「すみません。」



「…ねえ貴女。

私が死んだらこのシノギ継いでくれない?

不動産とカネも付けるよ。」



「ははは。

追っかける方が性に合ってるかな。」



「残念w」



「「あははははははwww」」




激痛に痙攣する俺を無視して繭子と木下は談笑し、そのまま土浦のセーフハウスに向かってしまった。

オマエらが楽しそうで何よりだ。

俺は微塵もそう感じないけどな。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「じゃあ樹理奈。

後はお2人でごゆっくり。」



「気を遣わせちゃってごめんねー。

明日、何か埋め合わせさせて。」



エンジュは爽やかに手を振って襖を閉める。

誰も俺の意見など1ミリも汲み取ってくれなかった。



「ねえ。」



『あ、はい。』



「今のアンタ。

何て呼べばいい訳?」



『リン子って呼ばれてますぅ。』



「その喋り方やめろ!!

殺すぞぉぉ!!! (ドガガガガアア!!!)」



『ぐぼえええ!!!』



「…ハアハア。

アタシなりに色々なパターン想定してたのね?

相当入念にシミュレートしてたの。

でも流石にアンタにだけは勝てないわ。」



『…あのなあ。

成り行きでこうなったんだよ。

俺だって好きでこんな格好している訳じゃない。』



「ちなみに今の性自認は?」



『男の子に決まってるじゃないですかぁ。』



「うっわ。

グレーゾーン越えとる。」



『俺の自我は不動だから安心してくれ(キリッ)。』



「ケツ振りながらキメ顔すんなや!


…まあ、いいや。

取り敢えず近況報告させて。」



『あ、はい。』



木下が語る所によると、虎ノ門ではかなり優遇されていたらしい。

幹部候補生的な待遇で渋川薫子や望月桐江のレクチャーも受けたとのこと。

短期間ながら徹底した英才教育で木下は覚醒した。

完全に覚醒した木下は、自分が世界に対して憎悪以外の何の感情も持たない事を再確認した。

それぞれに理念を持つ胡桃倶楽部の面々にはこの上ない敬意を持ち、それ故に袂を分かったとのこと。

ちなみに佐々木は《貧困家庭への住宅支援》や《公教育の無償化法案》に強い関心を持ち、その推進の為に奔走しているらしい。



「じゃあ次。

リンの番。」



『俺かぁ。

大した変化はないんだが。』



「キャミをヒラヒラさせながら言われてもねえ。」



『四国やら山陰に顔を出してたな。』



「あの動画見たよ。

山伏バトル、世界規模バズりおめでとう。」



『いや、俺に1円も入らないのが癪なんだが。』



「後、トランプ動画もバズってた!」



『ああライジングカードな。』



「あれってAI?

迫力凄かったんだけど!」



『まあ、そんな所だ。

視覚トリックの一種だな。』



異世界最強の戦士が編み出した奇襲技だからな。

そりゃあ迫力もあるだろう。



「でさあ。

その直後にヒルダとシネウンコに戦わせてたじゃん。

アレは酷いと思うなぁ。

アンタ、女を何だと思ってんの?

そこまでしてバズりたい訳?」



『違うよぉ。

アレは無理矢理連れ回されてんだよ。』



「嘘!

すっごく機嫌良さそうに女を殴り合わせて笑ってたじゃない。

このサイコパス!」



『アレは笑顔強制メイクと自動御手振装置の仕業なんだよお。』



「見え透いた言い訳すんな!

ドラえもんでもそこまでせんわ!」



『ヒルダの奴はするんだよぉ。』



当たり前だが、笑顔強制メイクは最後まで信じて貰えなかった。

どうやら俺こと遠市厘は《再生数稼ぎの為に女同士を走行中の車両の上で喧嘩させる最低野郎》として全世界から軽蔑されているらしい。

木下にバズっている動画を見せて貰ったが、心底酷い絵面であった。

顔中から血を流して苦悶の表情を浮かべる2人の後ろで俺がニコニコとカメラに向かって手を振っている。

古代ローマの剣闘士試合でも、ここまで下種な観客はそうそう居ないだろう。



「じゃあ、本題に入るね。」



『えー、【レインボーブリッジの死闘】が本題じゃないの?』



「アタシは立ち会ってないから。」



『確かに。』



「えーっと、どこから説明すればいいかな。


…まあいいや。

実物を見せた方が話が早いかな。」



『え?』



「ステータスオープン!」



布団から立ち上がった木下は無造作に宙に手をかざした。



『えっ?』




…信じられない。

そこに浮かんでいたのは、俺が異世界で散々見て来た…



『ステータス画面?』



「あんまり驚かないね。

やっぱりリンが異世界帰りって本当だったんだね。」



『あ、いや。

驚いてるよ。

どうしてスキルなんか持ってるの?』



「ヒルダに貰った。」



『…。』



マジかよ。

考え得る限り最悪の展開だな。

アイツ、他者にスキルを授ける手段まで保有してるのかよ。


…いや、冷静に考えれば不思議でもないか。

そもそも異世界はスキル文明だった。

加えてアイツの前夫のケビン氏は冒険者だ。

スキルに対する知見は俺なんかとは比べ物になる筈もない。


参ったな。

計算が完全に狂った。

ただでさえ傑物揃いのヒルダ派がスキルまで保有している。

無敵の異能集団が官邸に深く食い込んでいるという悪夢。

可愛気がないにも程があるだろ。



「虎ノ門で大まかな事は聞いたよ。

アンタ、向こうじゃ相当出世したんだって?」



『まあ、分不相応な待遇は受けていたと思う。』



「一番偉い人になったんでしょ?」



『え?

まあ、偉いとか偉くないとか…

仕事にそういう感覚を持ち込むのは好きじゃないかな。』



「誤魔化しても無駄だよ。

アレだけ地球人を馬鹿にしてるヒルダが、リンにだけは心酔してたからね。

よっぽどヤバい事をしたんだろうなとは思った。」



『ヒルダは…

俺のこと、何か言ってた?』



「最強。

そう断言していた。」



『…強弱なんて主観の賜物だからなあ。

たまたま恵まれただけだよ。』



「凄いスキル持ってるんでしょ?」



『うん、スキルは凄い。』



「ヒルダからの伝言を伝えるね。」



『伝言?』



「うん、あの人は先にアタシがリンを発見する事態も想定してたから。」



『そうか。』



…何もかもあの女の掌の上だな。



「この世で最も価値のある男を見つけたのだから、執着して当たり前。」



『…。』



「繰り返すね。

《この世で最も価値のある男を見つけたのだから、執着して当たり前。》

確かに伝えたよ?」



『ああ、承った。』



「これ、伝言の体を取ったアタシへの警告だから。」



『そうなの?』



「そうよー。

直訳したら、《ちょっかい出したら殺す》って意味ね。」



『まあ実際、アイツは向こうで普通に殺しまくってたからな。

警告して貰えただけ気に入られてるんだろ。』



「みたいねー。

《実の娘と同じ扱いをしてあげる》

っていつも言われてたから。


ねえ、ヒルダと娘さんはどんな関係だったの?

あの女が子育てしてる絵面が想像出来ないんだけど。」



『互いに軍隊を率いて内戦してた。

市街戦で無関係な市民をガンガン巻き添えにして殺し合ってた。

酷いだろ?』



「ああ、それは想像付くわ。

内戦の原因は?」



『聞いてくれよ。

アイツら俺を取り合ってたんだよ。』



「酷いのはテメーだ! (ドガッ)」



『ぐわっ!』



「自分の女くらい、自分で黙らせろや!(ボガッ)」



『ぐへっ!』



「でも、今の会話で全部理解したわ。

ヒルダはマジで異世界人。

アンタはガチの異常者。」



『えー、俺って異常かなぁ?』



「自覚すらねーのかよ。」




しばらく2人で布団に寝転がり、宙に浮かんだステータス画面を眺める。

フォーマットは俺が瞼の裏で見て来たものと全く同じである。

…懐かしい。

ああ、そうだ。

ステータス画面は本当に体調管理に便利だったんだ。

アレが見えないのは辛いよなぁ。



「アタシの能力は見ての通り。

自分のステータスを確認出来る。

ヒルダの愚痴をずっと聞かされてたから、この能力を手に入れたんだと思う。」



『愚痴?』



「異世界の奴らってステータス画面を普通に見れるんでしょ?

地球では見えないから体調管理が難しい、ってヒルダがいつも愚痴ってた。」



『ああ、俺も聞かされたわ。

確かに、今まで見えてたHPが見えなくなるのは怖いよな。』



「最初は下らねぇ能力って思ったんだけどさ。

かなり便利だよね、コレ。」



『わかる。

俺ももう一回使いたいもん。

なあ樹理奈。』



「んー?」



『オマエのレベル…

34?』



「見ればわかるでしょ。」



『いや、高過ぎないか?』



…しかも全てのパラメーターが700を越えている。

これトップアスリート&本職研究者並の数値じゃないか?




「そりゃあレベル上げ頑張ったもん。」



『いや、頑張ったって…

イノシシでも経験値40だぞ?』



「うん、そうだね。」



『いや、異世界で武器屋の店主に教わったんだけど。

ボア系… イノシシは40でシカは20が相場だって。

それで地球でもそうだったから…

34レベルなんて、どうやって。』



「どうやっても何も。

リンは地球で何人くらい殺したの?」



『え?

いや、地球では誰も殺してない。

法律にも殺人は駄目だって書いてるし。』



「…あのさあ。

アンタ本気で生きてないんだよ。

だからアタシ如きのレベルで驚いている。


一応念を押しておくけど。

今のアタシじゃ鷹見夜色には絶対に勝てない。

ボディスペックはそれなりに近づけたと思うけど、覚悟の重さが違い過ぎる。」



『…。』




ヤバいな。

木下は鷹見を殺す気でいる。

何でオマエラってバトル漫画のノリなんだよ。

ここ日本だぞ?




「ねえ、リンは動物何種類くらい殺した?」



『えっと地球では、キョン・シカ・イノシシ・クジラかな。』



「え!?

それだけ?」



『あ、うん。』



「今、レベル幾つ?」



『20。』



「低っ!」



『え?

低いの?』



「あのさあ。

アンタ、向上心無さすぎ。

もっと真剣に人生に向き合いなよ。」



『ゴメン。』



「ねえ。

レベルは上げたかったの?」



『うん。

30くらいまで上がれば楽かなって思ってた。』



「アタシはかなり緻密に経験値測定したよ?

ありとあらゆる生物を殺して上がり幅を研究した。」



『凄いな。』



「凄くないよ。

ごくごく平凡な向上心。

リンにはそれが全く感じられないの。

殺せば強くなるって判明したのなら、普通は手当たり次第に殺し続けるよね?

どうしてそれを怠るかな?

アンタ、向上心乏し過ぎ。」



『ゴメン。』



「謝ること無いよ。

逆に言えば、舐めプで勝てるって事だからね。

少なくともヒルダは《リンに勝てる者はこの世のどこにも存在しない》って断言していた。」



『アイツは大袈裟なんだよ。』



「大袈裟じゃないよ。

あの女は常に物事を定量化して緻密に計算してる。

そんなのアタシよりリンの方が知ってるでしょ。」



『まあな。

ヒルダはいつでも的確だ。』



「じゃあ、リンに限ってはレベル20で十分なんだよ。

アタシは凡人だから明日からも殺し続けるけど。」



『殺生はよくないよ。』



「じゃあビーガンにでもなれば?

ガイジン受けするよー?」



『肉は食べたいかな。

昼もラムを食べたし。』



「あっそ。

じゃあアタシが殺した肉をパクパク食べてなさい。」



『…。』



「ゴメンね。

思わずキツく当たっちゃうくらい好きってこと。」




そう言うと木下は俺に優しくキスをした。




「見える?

凄い速度でMPが回復してるでしょ?」



『うん。

一気に満タンになった。』



「女はね?

本当に好きな人と結ばれれば、幾らでも頑張れる生き物なの。」



『ひょっとして男女でステータス法則違うんじゃないか?』



「はぁ?

馬鹿ね。

そんなの当たり前じゃない。」



まあ、そりゃあそうだろうな。

どう考えても男女では脳構造に違いがあり過ぎる。

ステータスみたいな内的な要素が同法則で運用されていると考える方が愚かだろう。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




しばらく木下の腕の中でステータス談義。

如何に自分が不注意だったかを思い知らされる。

俺と同じくマイナス環境に産まれたこの少女は、獲得した蜘蛛の糸を固く握り締めて一切の油断が無かった。

或いは木下樹理奈ならこの地獄から這い上がってしまうかも知れなかった。




「どう?

情報提供は役に立った?」



『ああ、完璧だ。』



「繭子さんにはどこまで話せばいい?」



『あの人にはスキルの存在を明かしている。

エンジュには明かしてない。』



「ヤッた癖に?」



『セックスする度に秘密を漏らす男とか信用出来んだろう。』



「国会はそんな奴ばっかりだよ。」



『だろうな。

明らかに機密が海外に流出し過ぎている。』



「安心して。

浄化するってヒルダが言ってたから。」



『アイツの浄化、範囲が広すぎるんだよな。』



「話を戻すね。

じゃあ、繭子さんにはステータス画面を見せるわ。

エンジュに話すかどうかは、あの人の指示を仰ぐ。」



『それが無難だな。』




さて、17時が近づいて来た。



『俺が先に繭子さんに相談して来ていいか?

スキル関係の話。』



「いいよ、ここで待ってるわ。」



『じゃあ、すぐに戻るから。』



「あのさあ。」



『ん?』



「指摘しようか迷ったんだけど。

その時計の見方やめなよ。」



『え?』



「まるで《17時になったら自動的にスキルが発動する》とでも言ってるみたいよ?」



『ッ!?』



「頭の悪いアタシでも分かっちゃった位だから。

リンはもうちょっと注意深く生きなさい。」



『…はい。』



何だ?

俺ってそんなに顔に出てるのか?




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




繭子と別棟のガレージに入る。



「まあアンタ鈍臭いし。

挙動読まれるのは仕方ないよ。

樹理奈が鋭いのもあるから、あまり気に病んじゃ駄目よ。」



『どうします?

アイツのスキル見ます?』



「…ここに連れて来な。

同時発動で行こう。」



『え?

私のスキルも見せちゃうんですか?』



「どうせすぐに見破られる。

先に誠意見せておいた方がいいと思うけど。

わかってると思うけど、あの子は鷹見夜色の同種よ?

アンタから機嫌は取っておくべきだと思うけどね。」



『なんか機嫌を取る相手がどんどん増えている気がするんですけど。』



「知らなかったー?

そういう馬鹿な状況に陥らない為に一夫一妻制が存在するのよー。」



『勉強になります。』




大の字に寝転んでいた木下をガレージに呼び、3人で17時を待つ。




「じゃあ、樹理奈。

17時に貴女の能力を見せて頂戴。」



「了解でーす。」



「私も貴女に手の内を1つ見せるわ。」



「え?

そこまで気を遣って頂かなくても。」



「合法的に不動産を確保する裏技。

手順を踏めば未成年でも可能。」



「え?」



「10年くらい前に完成させた技なんだけどさ。

宅建法の推移を観察している限り、まだ対策はされてないみたいね。」



「いいんすか?

それマジモンの奥義でしょ?」



「精々数千万円レベルの小技だけど…

今の樹理奈にとっては最も価値がある。

値崩れする前に活用しておきたいじゃない?」



「ありがとうございます。

御言葉に甘えます。」



「じゃ、明日フィールドワークを兼ねて水戸市内を歩きながら説明するわ。」



「はい、勉強させて頂きます!」




反社が知恵を与え合って肥大化する現場を目の当たりにして戦慄する。

こうやって不良の世界って構築されていくのか。

ロクでもねえな。



「じゃあ、17時も近づいて来たんで。

アタシから自己開示します。

繭子さん、もう少し下がって下さい。」



「OK。」



「ガレージの壁に映しますんで、発動の瞬間を見ていて下さいね。

後、今のアタシは手元に何も持ってない事もチェックして下さい。」



「了解。

確認完了よ。」



「ステータスオープン!」



「うわっ!」



「驚かせちゃってスンマセン。

これがアタシの能力です。

繭子さんがゲームとかやる人なら話早いんですけど。

自分の能力を数値化して把握する能力なんです。」



「いや、子供の頃はゲームボーイやってたわよ。

魔界塔士とかウィザードリィとか。

若い子に言っても分からないと思うけど。」



「レベルとかパラメーターとか分かります?」



「うん。

私らの世代が一番詳しいから気遣い不要。」



「話が早くて助かります。

要は自分のパラメーターをリアルタイムで把握可能なんです。

消費MPが10なんで、最初の頃は1日1回しか見れなかったんですけど。」



「へえ、今550あるじゃない。」



「ええ、なので今は閲覧に殆ど制限はありません。

寝ると回復しますしね。

ちなみに本を読むと凄いスピードでMPが減りますw」



「何?

勉強嫌いな人?」



「活字が駄目なんですよ。

自分でも克服しなきゃとは思ってるんですけど。」



「最初は耳学問から入りなさい。

貴女、学習能力自体はある方だと思うの。

だって知力740って書いてるじゃんww

それがどれだけ高いのか知らんけどさww」



「ははは。

知力の初期値220でしたからね。

理論上3倍以上賢くなってる筈なんですけど。」



「実感はない?」



「いえ、記憶力が抜群に良くなりましたね。

電話番号とかメアドとか意識すれば、ほぼ完璧に暗記出来ます。

勿論、記憶力=知性とは思わないんですけど、昔の私はそんな事とてもじゃないけど出来なかったので…

確実に上昇はしてると思います。」



「このシノギの後継者になってよw」



「えー、アタシら初対面じゃないっすかw」



「「あははははははwww」」



2人は余程ウマが合うのか肩を叩き合って爆笑している。

雰囲気的に俺の存在は忘れられてるっぽい。



《1813万円の配当が支払われました。》



カネが落ちる音で2人が振り向く。



「え? 何?

リンまだ居たんだ。」



「これがリン子の能力よ。

毎日カネが貰えるの。」



  『えへへ、ですぅ。』



「へー。

いかにもリンらしいっちゃらしい能力だね。」



「ひたすら毎日カネが増えてくって神能力よ。

ねえ、リン子。

今日は幾らー?」



  『1800万円強ですぅ。』



「すっげw」



「さっき言ってた不動産獲得の裏技あるじゃない。

それで入手可能な大抵の中古戸建よりさあ。

リン子が一日で出しちゃう金額の方が高いのよ。

金銭感覚マジでバグるわww」



「もうコイツが最強でいいっすわw」




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


9063万5803円

  ↓

1億0876万5803円

  ↓

1億0776万5803円

  ↓

1億0676万5803円



※配当1813万円を取得


※児玉繭子に御祝儀として100万円を支給。

※ついでに木下樹理奈にも100万円を支給。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「ねえ、リン。」



『ん?』



「何でアタシも貰えるの?」



『繭子さんだけに渡したら不公平感あるだろ?』



「いや、そうだけどさ。

じゃ、ここにエンジュが居たらどうしてたの?」



『そりゃあ、同額を渡すよ。』



「あのオバサン達も?」



『公平でありたいからな。』



「そんなのおカネが幾らあっても足りなくない?」



『大丈夫大丈夫。

地球の人口なんて100億もいないし。

俺がいっぱいカネを貯めれば、皆に配れるだろ。』



「…ヒルダの言ってた意味がやっと理解出来たわ。」



『?』



「アンタこれからどうするの?」



『普通に仲間を集め直して、普通にカネを貯め直して、全部配ってオシマイ。』



「まあ、途中で殺されない限りアンタなら出来ちゃうんだろうね。

うん、マジで最強だわ。」



『スキルが凄いだけだよ。』



「違うね。

それだけの男に女は惚れない。」



『あっそ。』



結局、木下もシェアハウスに居つく事に正式決定。

俺は内心反対なのだが、繭子の物件なので意見が出来ない。




…そろそろ魔王城欲しいな。

【名前】


遠市・コリンズ・リン子・厘



【職業】


ホステス

パチンコ台


神聖教団 大主教

東横キッズ

詐欺師



【称号】


淫売

賞金首



【ステータス】 (地球上にステータス閲覧手段無し)


《LV》 20

《HP》 ふぇぇ

《MP》 ですぅ

《力》  メスガキ

《速度》 小走り不可

《器用》 ライジング・カード!

《魔力》 悪の王器

《知性》 悪魔/ド低能/自分の名前は言えます。

《精神》 絶対悪

《幸運》 的盧


《経験》 6631397


本日取得 0

本日利息 1105233



次のレベルまでの必要経験値3854353



※レベル21到達まで合計10485750ポイント必要

※キョンの経験値を1と断定

※イノシシの経験値を40と断定

※うり坊(イノシシの幼獣)の経験値を成獣並みと断定

※クジラの経験値を13000と断定

※経験値計算は全て仮説




【スキル】


「複利」 


※日利20%

下4桁切り上げ 




【所持金】


1億0676万5803円



12万BTC  (下4桁切り上げ)

  ↓

15万BTC

  




4万XRP (下4桁切り上げ)

 ↓

5万XRP



4万SOL (下4桁切り上げ)

 ↓

5万SOL




【残り寿命】


76500日 (下4桁切り上げ)

 ↓

96500日




【所持品】


女の子セット

Maison Margiela ショルダーバッグ 白




【約束】


 古屋正興     「異世界に飛ばして欲しい。」

 飯田清麿     「結婚式へ出席して欲しい。」

〇         「同年代の友達を作って欲しい。」

          『100倍デーの開催!』

×         「一般回線で異世界の話をするな。」

          『世襲政権の誕生阻止。』

〇後藤響      「今度居酒屋に付き合って下さい(但しワリカン)」

          「大阪を滅ぼさないで下さい!!!」

          「空飛ぶ車を運転します!」

 江本昴流     「後藤響を護って下さい。」

          『遠市王朝の建国阻止。』

×弓長真姫     「二度と女性を殴らないこと!」

×         「女性を大切にして!」   

〇寺之庄煕規    「今度都内でメシでも行きましょう。」

×森芙美香     「我ら三人、生まれ(拒否)」

×中矢遼介     「ホストになったら遼介派に加入してよ。」

          「今度、焼肉でも行こうぜ!」

〇藤田勇作     『日当3万円。』

〇堀田源      「トイレコインの使い方を皆に教えておいて。」

〇山田典弘     「一緒にイケてる動画を撮ろう。」

〇         「お土産を郵送してくれ。」

          「月刊東京の編集長に就任する。」

 楢崎龍虎     「いつかまた、上で会おう!」

×警視庁有志一同  「オマエだけは絶対に逃さん!」

          「オマエだけは絶対に守る!」

×国連人権委員会  「全ての女性が安全で健(以下略)」

〇安宅一冬     「浅草寺周辺を一緒に散策しましょう。」

 水岡一郎     「タックスヘイブンの利用・移住をしないこと。」

×平原猛人     「殺す。」

          「鹿児島旅行に一緒に行く。」

          「一緒にかすうどんを食べる」

 車坂聖夜Mk-II   「世界中の皆が笑顔で暮らせる、優しい世界を築く」

×今井透      「原油価格の引き下げたのんます。」

          「小麦価格の引き下げをお願いします」

〇荒木鉄男     「伊藤教諭の墓参りに行く。」

 鈴木翔      「配信に出演して。」 

×遠藤恭平     「ハーレム製造装置を下さい。」

〇         『子ども食堂を起ち上げます。』

          「紙幣焼却によりインフレを阻止する。」

〇田名部淳     「全財産を預けさせて下さい!」

          「共に地獄に堕ちましょう。」

 三橋真也     「実は配信者になりたいので相談に乗って下さい。」 

〇DJ斬馬      『音楽を絡めたイベントを開催する際、日当10万で雇用します。』

 金本宇宙     「異世界に飛ばして欲しい。」

 金本聖衣     「同上。」

 金本七感     「17歳メインヒロインなので旦那との復縁を手伝って。」

〇天空院翔真    「ポンジ勝負で再戦しろ!」

          「再戦するまで勝手に死ぬな。」

〇小牧某      「我が国の防諜機関への予算配分をお願いします。」

 阿閉圭祐     「日本国の赤化防止を希望します。」

〇坊門万太郎    「天空院写真集を献納します!」

 宋鳳国      「全人類救済計画に協力します!」

 堀内信彦     『和牛盗難事件を解決します。』

〇内閣国際連絡局  『予算1000億円の確保します』

 毛内敏文     『青森に行きます!』

 神聖LB血盟団   「我々の意志を尊重する者が必ずや遠市厘を抹殺するだろう。」

〇大西竜志     「知り得る限り全ての犯罪者情報の提供。」

          『貴方の遺族に篤く報います。』

 坂東信弘     「四国内でのイベント協力」

 国重辰馬     「四国内でのイベント協力」

 涌嶋武彦     「畜産業界の総力を挙げて遠市派議員を衆議院に最低10名押し込みます!」

 斑鳩太郎     『処刑免除を保証します。』

 志倉しぃ     「カッコいいホモの人を紹介して下さい。」

〇孝文・j・G   「英国大使館パーティーにて利息支払い」

          「永遠の忠誠と信仰を(以下略)」

〇グランツ(英)  「perape-ra!!!!!!!!」

 E・ギャロ     「農政助言」

          「王都で星を見る。」

 福永史奈     「出産すれば1億円支給」

 野上絵麻     「以下同文」

 桂川風香     「以下同文」

 久能木瀬里奈   「ジャンジャンバリバリ!!」

 児玉繭子     「ウチの旦那に色目を使うな。」

 古河槐      「jetの救済をお願い。」

 カミーラ・B   「perape-ra♪」

 故バーゼル卿   「perape-ra!」






 金本光戦士    「どんな危機からも必ず救い絶対に守る。」



◎木下樹理奈    「一緒に住ませて」



×松村奈々     「二度と靴は舐めないにゃ♥」

〇         「仲間を売るから私は許して♥」



◎鷹見夜色     「ウ↑チ↓を護って。」

〇         「カノジョさんに挨拶させて。」

〇         「責任をもって養ってくれるんスよね?」



×ヒルダ・コリンズ 「芋羊羹…。」

          「王国の酒…。」

          「表参道のスイーツ…。」 

×         「ポン酢で寿司を喰いに行く。」



 土佐の局     「生まれた子が男子であればリイチ。

          女子であればリコと命名する。」

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― 新着の感想 ―
「躊躇いなく正着を選べる程度の能力」の面目躍如ですかね 寿命もそうだけおd、ステもおもろい事になってそう。 1人エリクサー化してても不思議なさげw
以前ポールソンがレベルを上げるには人間を相手にするのが一番効率が高い!一体どれだけ殺したんだ!とドナルドのレベルを詰問してましたが、その話が今回のに関連するとなると、神待ちアプリで出会った宿泊先のパパ…
この世界線はまだ岸田政権なのだものなぁ。 ビットコイン先生がほんとにやばいことになっとるなぁ。 そしてとんでもないことになる寿命さん。外傷とかじゃない限り死ねないのではなかろうか。 つか女性人…
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