【降臨72日目】 所持金8479万1303円 「俺だって嬉しかった。」
俺が潜伏している土浦のシェアハウスはボロい反面、部屋数が多い。
なので、本来はプライバシーが守られる筈なのだが、いつの間にか全員が俺を囲んで眠る様になった。
必然、夜は眠らせてくれない。
しかも女と言うのはお喋り好きな生き物なので、セックスが終わった後もペラペラと話し掛けて来る。
今、俺の布団に入っているのは親権剥奪の絵麻。
裁判所はいい仕事をしたと思う。
「ねぇ、リン子ぉ。」
『はい?』
「あの江本って子。
凄いイケメンじゃない。
何者?」
『彼は有名な高校球児ですよ。
怪我さえなければドラフトに掛かってたらしいですぅ。』
「え!?
マジ!?
どれどれ、カタカタターン!
『夜中にPC起ち上げるのやめましょうよ。』
「うわっ!
センバツで完投してる!!」
「キャーッ♥
超恰好いい♥」
「ジャンジャンバリバリー♥」
折角眠りかけていた史奈と瀬里奈が目を覚まし、画面の奥の江本の雄姿に黄色い歓声を投げる。
未だにネット上では江本や後藤の勇姿が残っており、両名共にイケメンなだけに女性ファンのコメントが増え続けていた。
「ねぇ、リン子ぉ。
江本君を紹介してよ、私達親友でしょ♪」
『えー、昴流クンは私のキープ枠なんですぅ♥』
「アンタはイケメン外人と付き合ってるでしょ!」
『エドさんとは同棲しているだけですぅ♥』
「アンタ、富の分配とか言ってる癖に
イケメンを独占するのやめなさいよ。」
『えへへ♪』
俺だって江本やエドワードに女をあてがう事は当然考えている。
ただ、あのランクのハイスペ男性に下らない女をアテンドするのは失礼にあたる。
なので、俺自身を提供するのが一番無難なのだ、ぶい♥
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
夜が遅いので、必然起床も昼前になる。
我ながら、この生産性の無い生活に愕然とする。
「いいじゃん!
ゆっくり起きれるって最高だよ!
アタシさぁ。
二度と子供の弁当とか嫌だし。」
『それ、お子さんの前で言っちゃ駄目ですよ?
傷付きますから。』
「もう言っちゃった(笑)」
『…親は選べないですねぇ。』
こんな風に朝寝して女共と雑談するだけで時計は12時を回ってしまう。
そう、複利発動まで5時間を切ってしまっているのだ。
流石にこの無為には耐えられないので、一つだけ仕事をする事に決めた。
『らんらら~♪』
「ジャンジャン?」
『瀬里奈さん駄目ですよ。
包丁を使ってる時は側に来ないで下さい。』
「バリバリ?」
『ええ、レモンを切ってます。
レモンの蜂蜜漬けを作ってるんですよ。』
「ジャー♪ ジャー♪」
『仕方ないですねぇ。
一口だけですよ。』
「バリモグ~♥」
『どうです?
サイズ的に食べやすい?』
「ジャー♥」
折角なのでついでにオーブンも使わせて貰う。
繭子に頼んで買って来て貰った素材でクッキーも焼くのだ。
「それをオトコに配って媚を売る訳?」
『繭子さんは人聞きが悪いですねぇ。』
「オトコでしょ?」
『そうなるでしょうねぇ。』
「そんな手口、どこで覚えたの?」
『母の教えですぅ。』
胡桃亭に泊まっていた頃は、ヒルダやコレットがどうしてあんなにマメに家事をするのか理解出来なかった。
あの甲斐甲斐しさが過剰サービスに見えたのだ。
だが、女のロールを始めた事で今なら母娘の行動の意味が分かる。
母娘の強さは単に知略とか膂力といった表層的な素養にのみ起因している訳では無かった。
神は細部に宿り、意味は全てに宿っている。
俺は彼女達から真摯に学ばなければならないのだ。
「ねえ、アンタに言われたから買って来たけどさぁ。
このラッピングは可愛過ぎない?
男の人から見たら狙っているように見えるんじゃない?」
『うーん。
男の人はそこまで考えてないと思いますよ?
貰って嬉しいかどうか?
好意が伝わるか否かが全てですね。
疲れてる時のお夜食とか、遠出の時のお弁当とか…
悪い気はしないものですよ。』
俺はただ、ヒルダやコレットからされて嬉しかった事を淡々と実践する。
無論、これが茶番で道化である事は百も承知である。
…だが。
《ピエロにすらなれない男には王になる資格が無い。》
我が師アッチソンが照れ笑いしながら教えてくれた世の法則に愚直に向き合うつもりだ。
今、出来る事をやらない男が明日何を成し遂げると言うのか。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
15時。
宅配のバンが門前に泊まる。
ここまでは打ち合わせ通り。
だが、運転席に居たのは江本ではなく、大柄な壮年男。
どこか見覚えがある。
『あのぉ。』
「稚児淵ではどうも。」
男は短く、そう告げる。
思い出した。
美作で俺達を襲撃した山伏だ。
この巨漢が淵に落とした光戦士を俺が救った動画は洒落にならないバズり方をしている。
(というか、俺の映っている動画は全てバズっている。)
「お変わりないようで。」
数秒経ってから、その言葉が皮肉と気付いた。
この巨漢は名を久我と言い、元は世界大会に出場するようなラグビー選手だった。
だが軟弱なラグビー界に愛想を尽かし、山伏として荒行を始めたとのこと。
美作の乱闘の後、紆余曲折を経て江本のバディとして活動しているようだ。
今回は相棒のメッセンジャーとして動いてくれている。
「江本の代理で私が動く事となった。
あの男が有名過ぎる事が理由だ。」
確かにエモやんは世間に対して面が割れすぎている。
何せ甲子園のヒーローにして、なんJのアイドルだからな。
首都圏への投入は最終局面まで控えるべきだろう。
『では、謝礼は久我さんにお支払いすればいいですか?』
「女から受ける施しはない。」
『うふふ、私の性自認は男ですよぉ♥』
「勝手に自認すればいい。
私は君を男子として認めない。
それだけの話だ。」
『くすくす。
はぁい、そういう事にしておきましょう♪』
「で?
私は何をすればいい?」
『じゃあ、その足で新橋駅に向かって下さい。』
「新橋?
山手線の?」
『ええ、夕方には弾き語りのお兄さんが出没します。
《純愛ボンバー》を歌っている人が居たら《三宅から宜しく言われてます》と告げて下さい。
高い確率で次のクエストに進めます。』
…俺が安宅なら必ずそうする。
「進めなければ?」
『お遍路でもクルクル回っておいて下さい。』
「新橋よりは楽なミッションだな。」
他にも何点か伝えてから見送った。
車の窓越しにレモンの蜂蜜漬けをくれてやると満更ではない反応が貰えた。
うん、そうなんだよ。
俺だって嬉しかった。
討伐に行く際、ヒルダがちょっとした軽食を持たせてくれた時なんかは、自分が1人前の男になれた気がして心の底から誇らしかった。
『繭子さん。
では、準備をして下さい。』
「あいよー。」
準備というのは、複利中に豚共を近づけない為の準備である。
これは大して難しくない。
「コラー、タダメシ喰らい共!
掃除の1つでも手伝わんか!」
単に家事の手伝いを繭子が呼び掛けるだけで良いのである。
ホウキを渡そうとした瞬間、豚共はヘラヘラと愛想笑いを浮かべながら、近所のパチンコ屋に逃げ込んでしまう。
微塵も褒める気は沸かないが、可愛気のある連中である。
「はい、人払い完了。」
『じゃあ、さっさと出しちゃいましょうか。
16時45分、頃合いですぅ。』
繭子が空のキャリーケースを広げる。
成る程、キャリーケースに分散して保管するのはクレバーだよな。
今みたいな金欠状態なら、鞄に詰めるくらいで十分だしな。
《1354万円の配当が支払われました。》
『…。』
思わず溜息が漏れる。
今日の分を合わせても1億円にすら満たない、か。
全然駄目だな。
この程度の金額では、ヒルダはおろか鷹見の組織にすら届かない。
俺のアドバンテージはカネしか無い筈なのに、金欠に苦しんでいる現状。
まるでお話にならない。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
7125万1303円
↓
8479万1303円
※配当1354万円を取得
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
俺はifの話が嫌いだが…
それでも、それでも。
もしも、英国大使館入り直前のベストメンバーが揃っていれば…
今頃は目標に向かって邁進出来ていた筈なのに。
そして、大西が殺された今、あの時のベストメンバーは2度と揃わない。
…次こそは上手くやらねば。
仲間を女共の魔の手から守らなければならない。
「アンタが淡々とし過ぎてるから、この奇跡に感動し切れなくて困るわ。」
『感動なんか不要ですよ。
1億にも満たないんじゃ何も出来ませんし。』
「でも、このペースなら明日には越えるでしよ?」
『多分、そうなるでしょうね。』
「アンタはバケモノだわ。
最強と言っても過言ではない。」
『過言ですぅ。』
流石にあの女を差し置いて最強を自称するほど恥知らずではない。
リビングでつけっ放しのTV、有識者会議では渋川薫子が何やら演説をしているし、チャンネルを切り替えたら正直婚活仲人の番宣が流れていた。
最強という言葉はヒルダの為にある。
ユーチューブ動画で検索してみても、正直婚活仲人を過剰に褒める物が多くうんざりする。
明らかに、かなりの広告費が投下されている痕跡があった。
頑張って検索して、批判的な動画を見つけたので口直しに視聴させて貰うことにした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【仮名文ちゃんねる】
No.9213 「正直婚活仲人」 WEB版 ゆっくり解説 ラノベ、なろう小説 - YouTube
この動画は一般の方に敬遠されがちな無料web小説を受け入れてもらう為のゆっくり解説動画です。
魔理沙
「おい霊夢。
新しい商売を思いついたから開業資金を出してくれよ。
2人で婚活ビジネスに参入しようぜ。」
霊夢
「何よ、魔理沙。
彼氏はおろか友達すらいないアンタに出来る訳ないじゃない。」
魔理沙
「ふざけんな!
婚活ビジネスやってりゃカネにも彼氏にも困らないんだよ。
俺はなろうで見たんだ!」
霊夢
「なろう小説を読んでる暇があったら、外に出て働いたら?
両方困らなくなると思うわよ?」
魔理沙
「バカヤロウ!
働いたら負け判定されちまうだろうが!
そんな愚かな霊夢に、カネとオトコの両方をゲットする方法を教えてくれる最高のなろう小説を紹介するぜ!
タイトルは《正直婚活仲人》だぜ。」
霊夢
「タイトルが短いのはいいっすよね。」
射命丸
「あらすじ。
『千の見合い相手のうち真人間は3人しかない』という意味で、千三つといわれる婚活業界。
そんな業界に身を置く古林昼子は成婚の為なら嘘をいとわずに営業成績をあげてきた。
しかし、縁切り地蔵を破損してしまった呪いが原因で、嘘がつけない体質になってしまった。
わがままな高齢女性の要望、ヤリモクの資産家男性達、次々起こる婚活にまつわるトラブル、そしてライバル婚活会社としのぎを削る闘いに、嘘をつかない正直営業で立ち向かう昼子の姿を描いた皮肉喜劇。」
魔理沙
「どうだ霊夢、読みたくなって来ただろう。」
霊夢
「どこに需要あるのか、わからないっすね。」
魔理沙
「理解力の乏しい霊夢の為に俺が解説してやるぜ。
面白ポイントその1。
主人公のヒルコがガンガン金を儲けて行く!
男から成婚料300万円、女から200万円!
毎話500万円の儲け。
在庫も無しにガッポガポで貧乏読者もニッコニコ♪」
霊夢
「こういうボッタクリ業者が居るから、婚活を始める気が沸かないのよね〜。
日本の婚姻率が下がってるの絶対にコイツらの所為でしょ。」
魔理沙
「面白ポイントその2。
主人公は美人に描かれてるのに、ゲストキャラが総じて貧困ブス。
自己肯定感爆上がりで読者ウッキウキ♪」
霊夢
「婚活ビジネスの職員って絶対私達のこと見下してるわよね。
私、死んでもコイツらのサービスには金を落とさないわ。」
魔理沙
「面白ポイントその3。
昼子はオッサンとオバサンをくっつける天才だが、自分は10代の男の子と熱烈恋愛中。
この構造的優越感に読者の脳味噌ピンク化してテンション絶頂♪
ちなみに昼子の決め台詞は《お似合いですよ♪》
読者にとって至高の疑似マウント体験。」
霊夢
「こんな漫画読んでる女とは絶対友達になれないわ。」
魔理沙
「どうだ霊夢。
この恋愛欲とマウント欲の両方を摂取可能な名作、読んでみたくなっただろう!」
霊夢
「引きこもって、こんなのばっかり読んでるから彼氏も友達も出来ないってアンタのお母さん泣いてたわよ。
せめて仕事か家事かどっちかしなさい。
あれ停電?」
(画面真っ暗に反転、殴打音SE。)
魔理沙
「はい、霊夢は急用があって帰りました(怒)。
それでは今回はこれでおしまい。
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制作者の励みになりますので。
それとTwitterを始めましたので 興味のある人は解説欄のリンクをご利用下さい。
ご視聴ありがとうございました」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ゴリ押し国策闇漫画レビュー 「正直婚活仲人」
電子の海からこんにちは。
私、全般サイコパスと申す者。
数多のチャンネルBANを乗り越えて不死鳥の様に帰って参りました。
そこらのなろう漫画主人公より転生しとるぞ、私。
本日は「正直婚活仲人」をレビューします。
内容としては婚活ビジネス漫画ですね。
なろうでは珍しく完全現代劇です。
最近スマホ広告で頻繁に表示されていたので御存知の方も多いと主思います。
中国企業のピン抜きゲームの広告よりも表示されているのは同作位のものでしょう。
ピンだけ抜かせろぉ。
では基本的なデータから。
なろう第一話が発表されたのが2022年8月31日。
書籍版の発売日は2022年12月1日。
漫画版の発売日は2023年2月15日。
そして今月にはもう映画化CMが流れ始めるという…
人気作と言えばそれまでなのですが、驚異のスピード漫画化です。
最近はクレジットを小さめに表記していた電通も前面に出ているようですし、何やら大いなる力の作用を感じますね。
電通、KAD0KAWA、リクルート。
我が国を代表する錚々たる大企業がスポンサードしている作品です。
これは脈絡のない独り言ですが、東京五輪の汚職疑惑は厳格に捜査を進めて欲しいですね。
ではあらすじから。
古林昼子は日本一の凄腕婚活コンサル。
その天才的な話術で成婚の為なら嘘をいとわずに営業成績をあげてきた。
プライベートでも10代の恋人・凛太クンに溺愛されて順風満帆だった。
しかし、ある日昼子は不注意から縁切り地蔵を破損してしまい、その呪いが原因で、嘘がつけない体質になってしまった。
得意の話術を封印されて苦戦する昼子だったが、嘘をつかない正直営業を編み出し再び婚活界の頂点に挑戦する。
オロロロロロロ!!
失礼、あまりのおぞましさに嘔吐してしまいました。
本作は詐欺師を主役にした作品です。
卑劣でマウント思考の主人公が善男善女をだまくらかして、高額な成婚料をひたすら巻き上げ続けるお話です。
まあカネの使い方は個人の自由ですので私は細かい事を言いませんが、結婚が成立したら男性側300万・女性側から200万円を徴収って、これボッタクリじゃないですか?
私は婚活業界に疎いのですが、これが一般的な婚活業界の相場感なのでしょうか?
詳しい人、コメント欄で教えて頂ければ幸いです。
尚、この動画の制作中にざっくり業界各社の公式サイトを調べた所、もっとボッタクル婚活会社も存在するそうですね。
ちなみにこんな詐欺業界に血税をバラ撒いている極めて愚かな国があるそうです。
ハハハのハ。
暗い……あまりにも…
失礼、話が逸れました。
それくらい、読み進めていく過程で闇が垣間見える作品なのです。
売り方も内容も共に漆黒の闇。
始皇帝陛下、悪書を発見致しました。
恐らく原作・作画共に女性だと推測しますが、同性に対しての目線が異常に意地が悪いんですね。
毎話毎話、主人公は婚活相談に来た女性を執拗にチェックします。
まず第1話。
主人公はゲストキャラである野田アツ子さん(39)を2ページを費やして容姿チェックを行います。
モノローグはありません。
ただゴミでもみるような目線で、アツ子さん(39)の襟の皺、靴の汚れ、化粧の乱れなどをジーっと観察します。
アツ子さん(39)は内気な事務職女性なので、もうこの時点で泣きそうな顔になってます。
女性特有の陰湿な粗探し。
本作ではこれを善意のチェック&アドバイスと称してます。
嘘やぞ、ブスを肴にして優越感に浸ってるだけやぞ。
酷いのは第7話の「羊水カウントダウン」。
ゲストキャラの堀江マキ子さん(42)の外見を何と8ページを費やし徹底的に描写します。
8ページですよ、8ページ。
それも台詞一切なしの8ページ。
ジョルノがチョコラータに放った無駄無駄ラッシュでも7ページですからね?
主人公はジョルノ・ジョバーナを越える殺意で堀江マキ子さん(42)の肌や髪や姿勢や服のブランドやネックレスを無駄無駄とチェックするのです。
凄く意地の悪い目線でマキ子さん(42)を月・水・金するんですね。
私、このシーンで完全に心が折れました。
読み直し始めるまでに2日のインターバルを要しましたから。
女性の女性に対する悪意って、男が一番見たくないものなんですね。
主人公はひたすら顧客を見下してます。
あ、割と男性客には寛容ですよ。
但し、かなり大雑把に描写されてますが。
腹や生え際や歯の汚れは精密無比に描写されるのですが、何故か男性顧客の顔だけが無地です。
無地の顔に「医者」とか「百姓」とかテキストが書き込まれてるんです。
ここら辺は、男性の顔が描けないのではなく、一種の【思想】を感じますね。
更には男性側の額には年収、女性の額には年齢が全コマに渡って書き込まれているという徹底ぶり。
まあ、婚活業界がそんな業界だと言われればそれまでなのですが。
あまり正直要素は関係ないです。
そもそも主人公が嘘に罪悪感を持たないタイプの敏腕営業ですから。
光通信とかに入社したら出世しとったんとちゃうかな、知らんけど。
第一話冒頭では顧客相手にモノローグでボロカス言っていたのを、面と向かってボロカス言うようになります。
「ハゲ」とか「羊水」とか絶対に言っちゃいけいないキーワードもガンガン出します。
この主人公、そのうち刺されるんじゃないですかね。
まあ嘘が吐けないとは言え、詐欺師特有の口の巧さは健在ですので、詐術の限りを駆使してオッサンとオバサンをくっつけて回ります。
ビジネス漫画としては秀逸ですよ。
特にクロージングで悩んでいる営業マンは一度目を通しておくべきだと思います。
どうやって契約書に判子を押させるか?
ここへのアプローチが理詰めで解説されていますので。
マルチ商法従事者の聖書となり得ますね、これは。
死ねばいいのに。
もうね、この作品が見ていられないのがね。
結ばれたカップルが誰一人幸せそうに見えないんですよ。
そりゃあそうですよね。
50過ぎの花婿や50過ぎの花嫁を押し付けられた上、数百万円の成婚料を徴収されるのです。
私が客なら憤死しますよ。
そしてここからがこの作品の真に陰湿な点なのですが、主人公の昼子には凛太クンという10代のボーイフレンドが居ます。
家庭の事情で高校を中退してウーバーの配達を頑張ってる健気なオトコノコです。
もうね、彼が主人公にベタ惚れしてるんですよ。
必死に主人公の気を惹こうとして来る。
凛太クンは結構モテるんですけど、昼子にしか興味ないんですね。
そして毎回、若者特有の強引なアプローチで主人公に求愛します。
第8話の「ボクは医者だぞ!」の回では、凛太クンがお祭りの射的で取った指輪を真摯な表情で昼子の指に嵌めるんですね。
見つめ合う昼子と凛太クンの頬を大輪の花火が染めます。
美しい、あまりに美しいシーン。
で、次のページ。
行き遅れコミュ症医者の石田と敗残六本木女子の植田リュー香(37)が安い婚活パーティーで互いに不本意な愛想笑いを浮かべながら同じ花火に照らされるんです。
勿論、石田とリュー香(37)は不本意妥協カップリングなので、花火が上がった瞬間にお互いに距離を取るんですね。
この辺りの描写は秀逸です。
恋愛感情のない相手と花火鑑賞なんか拷問でしかないですから。
そしてまた場面転換し、若さ故のガムシャラな情熱で昼子を抱きしめる凛太クン。
勿論、昼子は若い燕にウッキウキです。
この残酷極まりない対比構造。
言っておきますが全話がこの調子ですからね。
要するにこれってまんさんに向けたマウント成分補給装置なんですよ。
自分以外の女は全員ブスで泣く泣くオッサンの嫁に。
自分はブスから巻き上げたカネで未成年と熱愛。
もうね、私再認識しました。
マウントを取るのにわざわざ聖女やら公爵令嬢に転生する必要はないんだなって。
異世界モノと違って映画化・ドラマ化が容易ですので、遺憾ながらこのジャンルは今後隆盛を極める事でしょう。
少なくとも電通やフジや東映が欲している原作はこちらです。
話を戻しますね。
大事な事なので繰り返しますが、陰湿極まりない事に、本作では絶望の成婚シーンの直後に必ず凛太クンの求愛シーンを描写してるんですね。
自分の顧客には《相手の年齢なんか関係ないですよ》を連呼する主人公が若い燕との恋愛を満喫し、あまつさえ顧客との会話中に昨夜の情事を反芻し胸中マウントを取る姿勢。
吐き気を催す邪悪とはこの事です。
もうね、私は日頃男性向けのなろう作品を批判する事が多いのですが、本作のおぞましさに比較すれば可愛いものですよ。
やれ奴隷ハーレムとか、やれ撫でポヒロインとか、やれ無人格オナホとか…
所詮男の妄想なんて単純で幼稚な範囲に収まるんですね。
さて、ここからが真の闇なのですが。
本作はAmazonレビューが異常に高いです。
そのスコア星4.7。
これは中国製のステマゴミ家電でも叩き出すのが困難な驚異的ハイアベレージです。
最初このスコアを見た私は《KADOKAWAさん、やってしまいましたなぁw》とウキウキでステマ工作を精査し始めたのですが…
驚きましたね。
無限にスクロールされる膨大な星5長文レビュー。
勿論、多少のステマ工作もあるのでしょうが、それ以上に本作を拍手喝采しながら読んでいる読者の息吹を感じました。
昼子に感情移入した まんさん達が熱く自分語りしてるんですね。
恐らくこの一体感は毎話冒頭で昼子が《私の顔面偏差値は50を切ってるかも知れない》と語る事に起因しているのでしょう。
ブスにブス煽りを楽しませる為の狡猾なギミック…
いやいや失敬、今の発言は忘れて下さい。
ちなみに言うまでもなく昼子は有能美人として作画されています。
本作の読者たちはきっと昼子くらいには若く、昼子くらいには美しいのでしょう。
知らんけど。
Amazonレビューでは、まんさん達が昼子に自己投影して女性顧客とハゲを酷評し、少年との恋愛を大絶賛しております。
ああ、こういう構造の売り方なんだな、と。
これ性別を逆にしても絶対に男性に売れないと思うんです。
男の方がもうちょっと客観性ありますからね。
それでは総評をします。
闇。
メディア業界の闇、そしてまんさんの闇。
最後に絵ですが、上っ手いですね。
女性誌では結構有名な人らしいですが、少年誌でも普通に通用すると思います。
美大出身と言うだけあって、デッサン能力が卓絶してます。
惜しむらくは、その画力が婚活相談者の粗探し場面に反映され過ぎている点です。
あの、一応念を押しておきますがハゲも人間ですから。
髪が薄いというだけでクリーチャーか何かの様に描写するのは止めた方が良いと思いますよ。
もう少し、その手心というか…
その画力を人間への慈しみに向けてくれれば応援出来たと思います。
それでは今回レビューしました作品、「正直婚活仲人」
まんさんの本音を知りたい人は是非読んでみては如何でしょうか?
以上です。
ほな、また…
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『ふふふ。』
ステマ動画の洪水の中で何とか見つけた批判動画。
世界がヒルダに制圧されたような不快感を抱えていた最中だったので少し安心する。
あの女が批判されてて気分爽快になったので、繭子の許可を取っていいねボタンを押しておいた。
しばらくネットサーフィンを楽しんでいたが、女共がパチンコ屋から帰って来たので終了。
昼に焼いたクッキーの検証作業に戻る。
「ねえ聞いてよリン子ぉ!
またパチンコ銀行に高額預金しちまったよお!!」
『風香さん。
そのおカネは旦那さんに返しましょうよ。
姑さんからも訴訟されてるんでしょ?』
「勝ったら返すつもりだったよぉ!!」
『10万勝ったら幾ら返す気だったんですか?』
「え? そりゃあ、アンタ。
まあ2000円くらいは返してやってもいいねえ。」
『風香さんは旦那さんの貯金、幾ら盗んだんでしたっけ?』
「えー、盗んだとか人聞き悪いわねぇ。
ちょーっと9000万ほど借りただけよ。
FXで儲けたら旨い物でも食わせてやるつもりだったんだから。」
「ジャンジャンww」
『え? 何ですか瀬里奈さん?』
「バリバリ―ww」
『え? 自分は6000万しか旦那さんから盗んでないから、風香さんより節婦だって?
物は言いようですねぇ~。』
「ジャンバリ~♥」
『ああ駄目ですよ。
このクッキーは頑張ってる男の人の為に焼いたものですぅ。』
「えー、ケチケチすんなよぉw
アタシらが味見してやんよ♪」
「女の友情、女の友情♪」
『ああ、もう。
こんな時間にお菓子食べたら、また太りますよ。
絵麻さんはダイエット中でしょ!』
「明日から頑張るーww」
「バリバリーw」
豚共め。
一々、こっちの段取りを潰しやがって。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そんな風にワチャワチャやっていると、繭子が新顔を連れて来た。
まだ若い娘である。
聞けば、同じ土浦市内で有名なDQN家庭があって、そこの旦那(元暴力団員)が内縁の妻に暴力を振るい警察沙汰になったらしい。
今入って来たのは、その連れ子。
まだ中学に上がったばかりだと言う。
夜逃げ屋の繭子は、近隣の保護司とも密接な関係があり、たまに問題家庭の少女を保護するらしい。
「ほら、槐。
しばらく一緒に住む仲間だ。
ロクな奴は居ないけど、形式的に仲良くしな。」
繭子に促された少女が室内に入ってカバンを置く。
「古河槐です。」
そう言って俺達を見回す表情は、そこまで暗くない。
割とあっけらかんとしている。
様子を見るに、こういう事態に慣れているのだろう。
「どもー。」
「13歳?
アタシと歳近いねぇ。」
「ジャンジャンバリバリ~。」
「よろしくー。」
豚共はクッキーをボリボリ頬張りながら少女に形式的な挨拶をする。
「ほら、新入り喰いな。
アタシからの歓迎の印だ。」
風香が食べかけのクッキーを少女に押し付ける。
家ではヤクザが暴れるわ、避難先でオバサンに絡まれるわ、この少女も災難である。
ともあれ、もう夜なので少女に寝具を用意しなければならない。
豚共が役に立たないので、俺が少女を案内しながら空き部屋に布団を運び込んだ。
『えっとぉ。
当面はこのお部屋を使って下さい。
蚊が多いのでぇ、絶対に窓は開けないで下さいね。』
「あの…」
『はぁい?』
少女は俺の顔を見つめ続けている。
「違ったらスミマセン。
…アンタ、ガルパンだよね?
東横でアタシと樹理奈の世話をしてくれた。」
『…。』
「アタシ!
エンジュだよ。
jetの友達の!」
はっきり思い出した。
木下といつも一緒に居た少女だ。
俺は心の中で【茨城】と呼んでいた。
…そっか、ここ茨城県だもんな。
東横に入り浸るような家庭環境の女なら、駆け込み寺に保護されるケースもあり得るだろう。
ある意味、この女との再会も不自然ではないか。
『ああ、覚えている。』
「やっぱりガルパンだ!
あの時はお礼も言えなかったけど。
色々面倒見てくれてありがとう。
みんなもガルパンには感謝してたよ。
樹理奈やシネウンコがあんな風になったのは意外だったけど。」
『俺も人生が激動過ぎて驚いてるよ。』
「あれから、ガルパンのおかげで色々変わったんだよ。
売掛なくなった子も居るし、ちゃんと結婚した人も居る。」
『へえ、良かったなあ。』
「大人の人で真面目に東横の事を考えてくれたのがjetとガルパンくらいだったからさ。
ずっとお礼が言いたかったんだ。
ありがとう。
私、凄く嬉しかった。」
『別に礼なんかいいよ。』
これもきっと運命なのだろう。
東京帰還作戦を練っているタイミングで東横仲間と再会した。
そっか、あの広場に集まってた奴らも仲間だよな。
どうして意識しなかったんだろう。
あそこは俺の宝物だったのに。
取り戻さなきゃだよな、東横は。
年齢や境遇の近い人間が結構多くて。
jetのツレだと言う事を差し引いても、みんなフランクに接してくれて…
『俺だって嬉しかった。』
参ったな。
無力な俺なのに、戦う理由だけが増えて行く。
ヒルダよ、鷹見よ。
近く俺は東京に帰るよ。
【名前】
遠市・コリンズ・リン子・厘
【職業】
ホステス
パチンコ台
神聖教団 大主教
東横キッズ
詐欺師
【称号】
淫売
賞金首
【ステータス】 (地球上にステータス閲覧手段無し)
《LV》 19
《HP》 ふぇぇ
《MP》 ですぅ
《力》 メスガキ
《速度》 小走り不可
《器用》 ライジング・カード!
《魔力》 悪の王器
《知性》 悪魔/ド低能/自分の名前は言えます。
《精神》 吐き気を催す邪悪
《幸運》 的盧
《経験》 4643835
本日取得 0
本日利息 741453
次のレベルまでの必要経験値599035
※レベル20到達まで合計5242870ポイント必要
※キョンの経験値を1と断定
※イノシシの経験値を40と断定
※うり坊(イノシシの幼獣)の経験値を成獣並みと断定
※クジラの経験値を13000と断定
※経験値計算は全て仮説
【スキル】
「複利」
※日利19%
下4桁切り上げ
【所持金】
8479万1303円
8万BTC (下4桁切り上げ)
↓
10万BTC
2万XRP (下4桁切り上げ)
↓
3万XRP
2万SOL (下4桁切り上げ)
↓
3万SOL
【残り寿命】
46500日 (下4桁切り上げ)
↓
56500日
【所持品】
女の子セット
Maison Margiela ショルダーバッグ 白
【約束】
古屋正興 「異世界に飛ばして欲しい。」
飯田清麿 「結婚式へ出席して欲しい。」
〇 「同年代の友達を作って欲しい。」
『100倍デーの開催!』
× 「一般回線で異世界の話をするな。」
『世襲政権の誕生阻止。』
〇後藤響 「今度居酒屋に付き合って下さい(但しワリカン)」
「大阪を滅ぼさないで下さい!!!」
「空飛ぶ車を運転します!」
江本昴流 「後藤響を護って下さい。」
『遠市王朝の建国阻止。』
×弓長真姫 「二度と女性を殴らないこと!」
× 「女性を大切にして!」
〇寺之庄煕規 「今度都内でメシでも行きましょう。」
×森芙美香 「我ら三人、生まれ(拒否)」
×中矢遼介 「ホストになったら遼介派に加入してよ。」
「今度、焼肉でも行こうぜ!」
〇藤田勇作 『日当3万円。』
〇堀田源 「トイレコインの使い方を皆に教えておいて。」
〇山田典弘 「一緒にイケてる動画を撮ろう。」
〇 「お土産を郵送してくれ。」
「月刊東京の編集長に就任する。」
楢崎龍虎 「いつかまた、上で会おう!」
×警視庁有志一同 「オマエだけは絶対に逃さん!」
「オマエだけは絶対に守る!」
×国連人権委員会 「全ての女性が安全で健(以下略)」
〇安宅一冬 「浅草寺周辺を一緒に散策しましょう。」
水岡一郎 「タックスヘイブンの利用・移住をしないこと。」
×平原猛人 「殺す。」
「鹿児島旅行に一緒に行く。」
「一緒にかすうどんを食べる」
車坂聖夜Mk-II 「世界中の皆が笑顔で暮らせる、優しい世界を築く」
×今井透 「原油価格の引き下げたのんます。」
「小麦価格の引き下げをお願いします」
〇荒木鉄男 「伊藤教諭の墓参りに行く。」
鈴木翔 「配信に出演して。」
×遠藤恭平 「ハーレム製造装置を下さい。」
〇 『子ども食堂を起ち上げます。』
「紙幣焼却によりインフレを阻止する。」
〇田名部淳 「全財産を預けさせて下さい!」
「共に地獄に堕ちましょう。」
三橋真也 「実は配信者になりたいので相談に乗って下さい。」
〇DJ斬馬 『音楽を絡めたイベントを開催する際、日当10万で雇用します。』
金本宇宙 「異世界に飛ばして欲しい。」
金本聖衣 「同上。」
金本七感 「17歳メインヒロインなので旦那との復縁を手伝って。」
〇天空院翔真 「ポンジ勝負で再戦しろ!」
「再戦するまで勝手に死ぬな。」
〇小牧某 「我が国の防諜機関への予算配分をお願いします。」
阿閉圭祐 「日本国の赤化防止を希望します。」
〇坊門万太郎 「天空院写真集を献納します!」
宋鳳国 「全人類救済計画に協力します!」
堀内信彦 『和牛盗難事件を解決します。』
〇内閣国際連絡局 『予算1000億円の確保します』
毛内敏文 『青森に行きます!』
神聖LB血盟団 「我々の意志を尊重する者が必ずや遠市厘を抹殺するだろう。」
〇大西竜志 「知り得る限り全ての犯罪者情報の提供。」
『貴方の遺族に篤く報います。』
坂東信弘 「四国内でのイベント協力」
国重辰馬 「四国内でのイベント協力」
涌嶋武彦 「畜産業界の総力を挙げて遠市派議員を衆議院に最低10名押し込みます!」
斑鳩太郎 『処刑免除を保証します。』
志倉しぃ 「カッコいいホモの人を紹介して下さい。」
〇孝文・j・G 「英国大使館パーティーにて利息支払い」
「永遠の忠誠と信仰を(以下略)」
〇グランツ(英) 「perape-ra!!!!!!!!」
E・ギャロ 「農政助言」
「王都で星を見る。」
福永史奈 「出産すれば1億円支給」
野上絵麻 「以下同文」
桂川風香 「以下同文」
久能木瀬里奈 「ジャンジャンバリバリ!!」
児玉繭子 「ウチの旦那に色目を使うな。」
金本光戦士 「どんな危機からも必ず救い絶対に守る。」
〇木下樹理奈 「一緒に住ませて」
×松村奈々 「二度と靴は舐めないにゃ♥」
〇 「仲間を売るから私は許して♥」
◎鷹見夜色 「ウ↑チ↓を護って。」
〇 「カノジョさんに挨拶させて。」
〇 「責任をもって養ってくれるんスよね?」
×ヒルダ・コリンズ 「芋羊羹…。」
「王国の酒…。」
「表参道のスイーツ…。」
× 「ポン酢で寿司を喰いに行く。」
土佐の局 「生まれた子が男子であればリイチ。
女子であればリコと命名する。」