【降臨71日目】 所持金7125万1303円 「一番の財産は命ですよ。」
異世界から帰還して70日が過ぎた。
転移から数えるともう半年。
御覧の通りの惨めな賞金首生活である。
己のあまりの不甲斐なさに思わず吹き出してしまう。
情けない奴だよな、俺。
さて、思考を整理しよう。
俺の目的は《格差解消》。
全ての人民が平等に生活出来る、平和で幸福な世界。
これを築き上げる事である。
俺の能力なら、その目標には届き得る。
【複利】
異世界から持ち帰った最強チート能力である。
これさえあれば、地球の格差を均質化し得るだけの富を一年掛からず築ける。
妄想ではない。
少なくとも俺には異世界を4カ月で平定した実績がある。
無論、異世界では寝たきりだったし、カネを出す以外には何の働きも出来なかった。
周囲に優秀な人材が集まっていたから成し遂げられた事はちゃんと自覚している。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
《ダン・ダグラス》
謹厳で無口なヤクザ者。
今思えば、俺はあの男に父性を感じていた。
父親を亡くした直後だった所為もあるのだろう。
感謝の念を込めて我が子には、ダンと命名した。
《カイン・D・グランツ》
ダグラスの雇い主。
元は敵同士だったらしい。
最初から俺を買ってくれていた。
最初期出資者への報恩を兼ねて四天王の座を与えた。
《ドナルド・キーン》
今振り返れば諸悪の根源。
俺を王国から引き抜く以外にも色々やっていたらしい。
この男の手引きで異世界経済の中心地・ソドムタウンに入れた。
地球に同名の作家がおり、書棚をみるたび懐かしくなる。
《フェルナン》
首長国の王子。
俺の所為で切腹させられる寸前だった。
異世界生活の最終盤をこの男が纏めてくれた。
殊勲賞物のスポークスマン。
《コリンズ母娘》
…宿屋の母娘。
最初は可愛い異世界ヒロインだと思ってたんだけどな…
常時キチゲ全開で怖かった。
でもまあ、あの2人が居なければ俺は途中で死んでいただろう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
他にもミュラー卿やらベーカー社長やらの有能組がアレコレ助けてくれたので、寝たきりにも関わらず目標を達成する事が出来た。
今思えば、チートなのは俺の能力ではなく、俺の周囲だったのだろう。
さて、地球。
異世界における最強チートのヒルダ・コリンズに先回りされ続けている。
恐ろしい事にあの女は西側諸国という巨大極まりない外堀を埋め終わっているにも関わらず、日々手を進め続けているのだ。
なのでヒルダに勝てるビジョンが微塵も思い浮かばない。
女は皆そうなのかも知れないが、奴は我を通す天才だ。
…俺は何もあの女を特に嫌っている訳ではない。
師にして母であると慕っている上に、女としても最高だと思う。
ただナチュラルに突出し過ぎていて、存在が俺の政治目標と相反するのだ。
あの女は、自身が産んだ子を地球王にしようと画策している。
俺の富とヒルダの才覚が合わされば、高い確率でそれは実現するだろう。
だが、俺の目標は世襲政権の撲滅である。
そこを擦り合わせる事は恐らく難しい。
子供に遺産を1円も渡さないと宣言するようなものだからである。
ヒルダは平然と暴力に訴える女なので、俺の安全を完全に確保した上で交渉に臨みたい。
ああ、暴力と言えば…
鷹見夜色なる狂人が入り込んでいる事で話がややこしくなっているよな。
先日もチラっとあの女の配信を見たが、やたらと視聴者数が多かった。
未だに俺は鷹見がよくわからない。
AV女優なのか?ヤクザなのか?
最近では松村先生共々アイドルを自称して、あり得ない視聴者数を集めている。
何が何だか分からないが、あの2人が異世界に飛ばなくて本当に良かったと思う。
(地球人の評判が悪くなっちゃうからね。)
いずれにせよ、敵勢力はこうも強大である。
にも関わらず、俺の周囲には…
「史奈でーす❤
ホスクラの売掛から逃げてまーす♪」
「絵麻でーす♪
旦那の貯金6000万円をFXで溶かしてぇ♥
親権剥奪されましたぁw」
「ジャンジャンバリバリー❤」
「風香でーす♪
托卵! ホス掛け! FX追証!
トリプルコンボでヤバいでーす❤」
こんな奴らしかいない。
辛うじて夜逃げ屋の児玉繭子が戦力になるくらいだろうか。
だが幸運もある。
江本昴流と合流出来た。
ようやくこれで逆転の芽が見えた。
そしてエドワードというジョーカーは最後まで伏せておく。
『うーーーん。』
俺は唸りながら懐具合を振り返る。
全財産6000万弱かぁ。
こんな少額じゃ何も出来ないな。
幾ら俺の【複利】が毎日2割カネを増やせるとは言え…
この程度の元本では無いのと同じである。
自分の情けなさに思わず溜息を吐く。
「ねえ、リン子ぉ❤」
『何ですか、史奈さん。』
「そんな難しい顔してないで、いい事しようよぉ♪」
『昨日してあげたでしょ。』
「もう一発w もう一発w」
『貴女と違って私は忙しいんですよ。』
「先っちょだけ♪ 先っちょだけ♪」
『おカネあげるから、そういう店にでも行けばいいでしょ。』
「やー!
リン子じゃなきゃ駄目なのぉ!」
『やれやれ。
私なんかの何がいいのやら。』
「稀少価値~❤」
『…そこは否定しませんけど。』
そうだよなあ。
価値は兎も角、稀少価値はあるよな、俺。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ハル婆の葬儀は14時スタート。
葬儀と云えば昼前に始まるイメージがあったが、火葬場や僧侶のスケジュールの関連で午前が押さえられなかったらしい。
聞くところによると高齢化の所為か葬式屋は大忙しだそうだ。
さて、人生で初めての喪服だ。
(神聖教の法衣は敢えてカウントしない。)
俺も戸籍上は20歳になってしまったからな。
こういう冠婚葬祭のマナーも学んでいかなければならないのだろう。
流石に女物の喪服を着る羽目になるとは思わなかったが…
「リン子可愛い~♪」
「後で喪服プレイしようぜー❤」
「ジャンジャンバリバリ―♪」
「次は和装の喪服を着せるから♪」
『あのねえ。
今日はお葬式なんです。
不謹慎ですよ、まったく。
遊び気分なら連れて行ってあげませんよ!』
「「「…はーい♪」」」
「…バーリ♪」
しばらく女共にオモチャにされながら喪服を着用。
鏡を見て溜息。
すっかり女である。
最近、自分が男であった事を徐々に思い出せなくなっている。
まずいな、性自認がここまで脆いものだとは知らなかった。
そりゃあLGBT勢力も強くなるわ。
「みんなー、車に乗りなさーい。」
「「「はーい。」」」
「バーリ。」
『はーい。』
繭子が回して来たハイエースに皆で乗り込む。
後部座席に乗った瞬間、皆に身体をまさぐられて気持ちが悪い。
『もぉ、ベタベタ触らないで下さいよ。
お喪服のラインが崩れちゃうでしょ!』
「そそるわぁ。」
「ゲヘヘヘ♪」
「バリバリー♪」
「ねえ、次はバニーガール着なよ。」
『やーですぅ。』
「運転中に騒ぐんじゃねーー!!!!」
そりゃあね。
自分は真面目に運転してるのに、後部座席でエロい事されたら腹も立つよね。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
繭子のハイエースに揺られて再び御岩山へ。
途中、大型のパチンコ屋を何件か見掛けるが、意外に女共が反応しない。
「だってアタシにはリン子が居るもーん♥
パチ屋よりホスクラよりリン子がいいもーん♥」
「バリバリー♥」
だそうだ。
まあ、パチンコ行かずに済むならそれでいいんじゃないか。
アホらしいので到着まで寝たフリをして過ごす。
コイツラの相手は疲れる。
『瀬里奈さん。
身体をペタペタ触らないで下さいね。』
「バーリー?」
『いや貴女、実は絶対正気ですよね?
100%日本語通じてますよね?』
「バリバリ―(笑)」
ふざけた女だ。
性欲と食欲しかないコイツラを最初は軽蔑していたのだが、生物としてはこれが正しいのかも知れないと最近は感じ始めている。
食欲と言えばであるが、葬儀まで時間があるので、予約していた水戸市内の有名寿司割烹で食事を取る。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
5971万4303円
↓
5938万4303円
※寿司割烹「水府」にて食事代33万円を支払い。
[内訳]
おまかせ懐石
55000円×6
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ムシャムシャガツガツ!
ぢゅきぃ♡ ぢゅきぃ♡ リン子ぢゅきぃ♡」
「バリバリ!!
グチャグチャ!
ばりばりーーー!!」
「むぼーーー!!!
むぼーーーー!!!
一生アンタに付いていくわ!!」
「げっぷう!
人のカネで喰う寿司うんめええ!!」
豚共が満足してくれて何よりである。
何かを食べさせれば大人しくなると思ったのだが、逆効果だったらしく《クツアンコウの梅肉握り》を頬張りながら大騒ぎしている。
オイオイ、今日は葬式だぞ?
喪服で爆笑するのやめろよな。
『皆さん!
今日はお葬式なんですよ!
故人を見送る厳粛な日です!
もっと慎みを持って下さい!』
「ギャハハww
リン子ってカマホモの分際でお坊さんみたいよねww」
『ジェンダーは関係ないでしょ!
今は社会常識の話をしています!』
「「「ギャハハハwww」」」」
…聖職者としての俺の使命は、きっとこういう愚民を啓蒙することなのだろうが、やはり難しい。
行きががり上役職には就いたが、こんな俺が大主教を名乗るのは烏滸がましいにも程があるな。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そして一時間後に葬儀会場到着。
「「「「「「ギャハハハハハッハッハ!!!」」」」」
ジジババ共が機嫌良く爆笑していた。
まあ、遺影のハルさんも満面の笑みだしな。
『この写真って…』
「人間パチンコの時の死に顔だよおww
あまりに嬉しそうに笑ってたから写メ撮ってやったww
まさか遺影になるなんてねえwww」
『皆さん!
葬儀の場で笑ってはなりません!
不謹慎でしょう!
故人に対してあまりに礼を失した行為ですよ!』
俺が一喝すると、流石に皆がやや申し訳なさそうにペコペコ頭を下げて来る。
見ると、ペコペコ組の中には坊主や遺族も居た。
きっとTPOを弁えて無いのは俺の方なのだろうが、職業柄言わなくてはならない事もあるからな。
俺が憮然としていると奥から坊主が近づいて来た。
「あの、貴女が噂のリン子さんでしょうか?」
『はい、リン子です。』
「実はですね。
人間パチンコを期待して、皆がおカネを大量に集めているのです。」
『え!?』
「1人頭200万くらいですね!」
『いやいや!
今日は葬儀ですよ!
貴僧、何を仰っておられるのですか!』
「いやいや、堅い話は無しにしましょう。
ふふふ、そう今日は葬儀です。
つまり、ここで獲得した資金は宗教行為であり非課税!
そう思いませんか?」
『え?
いや、本当に何を仰っているのですか?』
坊主と俺が押し問答しているとジジババが全員で肩を組んで俺を包囲して来る。
「非課税!」
「葬式パチンコ!」
「非課税!」
「宗教行為!」
「憲法で保障された非課税!」
「お刺身食べたいよおおお!!」
「非課税!」
「香典返しの一環!」
「宗教行為!」
「非課税!」
「令和の非課税スキーム!」
「非課税!」
「普段さんざん払ってるでしょおお!!!」
「非課税!!!」
見れば、喪主である長男さんも満面の笑みで非課税コールに参加している。
『いやいやいや、仮にも御仏前ですよ?』
「母さんだってパチンコしたいよなあ!!!
(遺影腹話術) うん信宏、アタシもパチンコで見送られたいよ。
ほら! 母もこの様に申しております!!」
『いやいやいやいや、貴方喪主でしょう。
もうちょっとこの、責任感をですねえ。』
「天国の母がボクに訴えてるんですよおお!!!
(遺影腹話術) 信宏大変だよ、あの世もインフレが進んでる!
リン子さん! 人助けだと思ってパチンコぉおおお!!!」
『…。』
もはや正気の沙汰ではない。
カネと言うのはここまで人を狂わせるのだろうか。
心底うんざりしたが、聖職者たる身で啓蒙の責務から逃れる訳にはいかない。
俺は皆に、真面目に葬儀を終わらせない限りパチンコは開店しない旨の宣言をする。
喪主も坊主も唇を尖らせながら渋々読経焼香。
途中、俺の目を盗んでカネの話をしている婆共を見つけたので一喝。
「ハルさんが一番葬式とか不真面目な人だったんだよお。
いっつも数珠忘れてたし!」
ハル婆の幼馴染の婆さんが抗議する。
葬儀中に焼肉食べ放題の話をするような人だったらしい。
何となくわかる。
元々、この辺は信心深い土地ではあるのだが、このジジババ仲間(悪しき団塊世代)が昔からヤンチャばかりして、とうとう最長老になってしまったそうなのだ。
若い頃はまだ周囲が叱責してくれたらしいのだが、年長者が全員死んだことで無敵老害軍団になってしまったとのこと。
この老害共は出棺時もペチャクチャ話している。
酷い話だ。
まあ、楽しそうで何よりだけどな。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
5938万4303円
↓
5838万4303円
※房原波瑠へ100万円贈呈。
(棺内に設置)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ハル婆は若い頃色々やらかしたらしいので、このカネで閻魔の機嫌を取って貰う事にする。
流石の俺も地獄の弁護料金相場までは知らないが。
「あのお、リン子ちゃん。」
『はい?』
「真面目に葬式やったから…
パチンコ…」
『えー、真面目でしたかぁ?
ずっと私語をしてたじゃないですか。』
「故人を偲んでたんだよお。」
『…。』
「パチンコぉ…」
『今日くらいは自粛しませんか?』
「パチンコしないとお刺身食べられないよぉ。」
『やれやれ…
わかりました、臨時開店します。』
「いやっふーーーーーーッ!!!
みんなぁあああ!!!
人間パチンコはっじまっるよおおお!!!!」
オイオイ、嘘だろ?
ここ火葬場だぞ?
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
5838万4303円
↓
1億0734万4303円
※貸し玉料として4896万円を預かり。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『いやいやいや。
これだけね?
国や自治体がパチンコ規制を厳格化している中でね?
葬儀の場でこんな大金を費やすのは非常識でしょう。』
「…あの、非課税でいいんだよね?
住職を通しているから宗教行為だよね?」
『いやいや、パチンコは宗教行為ではないでしょう。』
「でも今はお葬式だよ?
宗教行為と言えるんじゃないかな?」
『葬儀中に賭け事とか…
まあいいや。
じゃあ、派手に供養しますか。』
派手な歓声が上がる。
だから、ここは火葬場なんだって。
『リン子のぉ♥
人間パチンコぉ♥
はっじまっるよぉおお♥』
「うっきゃあああ!!!」
「非課税! 非課税!」
「ジャンジャンバリバリ―!!!」
「人間!! 人間!!!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【人間パチンコ葬儀特別ルール】
・サイコロは1人1投で全員に振らせる。
・一番多かった出目+10%を元本と共に支払い。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ルールを聞いたジジババは絶叫してサイコロに群がる。
平均年齢70代と聞いていたが、異常な敏捷性である。
《2040万円の配当が支払われました。》
ジジババが猿の様にウキウキ言ってる間に、俺が纏った段ボールの中でカネが増える。
また嵩んで来たな。
もう人間パチンコも潮時か…
「「「「うっきゃあああああ!!!!」」」」」
ジジババ共の絶叫が火葬場中に響き渡る。
出目が多かったのは6。
老人共の表情を見る限り恐らくは何らかの細工を施したのだろうが、譴責は閻魔に任せる事にする。
『ジャンジャンバリバリーーーー♥
本日の出玉は16%でーーーーす♥』
「「「「うっきゃあああああ♪」」」」」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
1億0734万4303円
↓
1億2804万4303円
↓
7125万1303円
※配当2040万円を取得
※5679万4千円を出玉払い出し
4896万円(総貯玉)+783万4千円(払い出し率16%)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『皆さん。
おカネは確かに大事です。
ただ!
ただね?
一番の財産は命ですよ。
寿命!
いいですか?
我が国は未曽有の高齢化社会に突入しております。
これは寿命と言う掛け替えのない財産を皆さんが既に獲得している事を意味しております。
なので!
あまりおカネおカネと騒がずに!
残された寿命を1日1日大切に過ごす事を心掛けて下さい!』
坊主を差し置いて、他教団の俺が講話じみた事をするのは良くないのだがな。
それでも聖職者としての責務を果たすべきだと思った。
そう、寿命こそが一番の資産なんだよ。
皆はもっと自分が恵まれていると自覚しなければ。
「「「「ギャハハハハハ!!!」」」」
俺の話が伝わったのか伝わってないのか、ジジババ共は嬉しそうに爆笑している。
まあ、楽しそうで何よりなのかもな。
…じゃあな、ハル婆。
俺もすぐにそっちに行くから安らかに眠れ。
「「「「うっきゃあああああ♪」」」」」
「「「「非課税! 非課税!」」」」」
「お刺身ジャンジャンバリバリだよお!!!!」
「「「「うっきゃあああああ♪」」」」」
老人共の歓喜の咆哮を背に俺は火葬場前の駐車場に歩く。
そして繭子にアイコンタクトを送ってから、手筈通りに停車していた車両に乗り込んだ。
『江本さん。
お待たせしました。』
「いえ、あんなに楽しそうな葬式は初めて見ましたわ。」
『最初は好ましくないと思っていたのですが…
故人もあの方が喜ぶ気がします。』
江本は騒ぐ老人達を一瞥してから僅かに笑う。
「トイチさん。
光戦士君の居場所がわかりました。」
『え?
そうなの?』
「ピトケアン諸島です。」
『え?
ビト、何?』
「太平洋にある絶海の孤島です。」
『え? え? え?
どうして太平洋?』
「どうやらTPPが絡んでるらしいんです。」
『え? え? え?
意味不明なんですけど?』
話を整理すると、ブレグジットとウクライナ戦争で追い詰められた英国は乾坤一擲を賭けてTPP加盟に名乗り出ている。
無論、そもそもTPPが環太平洋パートナーシップの略称である以上、欧州国家の加盟を想定しておらず、我が国を含めた加盟国は割と冷淡だった。
だが、英国は太平洋に領土を保有している事を盾に食い下がって来たらしい。
その領土こそが人口47名のピトケアン諸島。
現在、英国の特使が同島の慰問に訪れているとのこと。
要は英国のパフォーマンスなのだ。
《我々も環太平洋に住む仲間だ!》
と加盟国に訴えているつもりらしい。
TPP加盟諸国内ではB級面白ニュース枠で、この慰問が報道されているとのこと。
ここに、金本七感と光戦士も同行している。
『聞けば聞くほど分からないのですが…
何故、あの2人が?』
「俺もよく分からんのですけど。
イギリス的には我が国に対してサービスしているつもりらしいんです。」
『サービス?』
「だから自国領に日本人を同行させる事により、友好PRしてるんですよ。」
『…友好なんですかね?』
「さあ。
でも、英国のマスコミが急に親日記事を量産し始めてますから、国策が親日に転換したんとちゃいます?
先週からBBCが《トモダチニッポン》って言うタイトルの特番を組んでますし。」
…取ってつけたような企画起ち上げやがって。
俺はガルパン報道の恨みは忘れてないからな!
「兎に角、経済的にかなりヤバいらしいんです。
ソロスにヤラれた時より深刻ならしいですよ。」
『へー(棒)。』
「ロンドンのインフレとか洒落になってないそうです。」
『大変ですねー(棒)。』
「相変わらずイギリスに辛辣ですね。」
…辛辣も何も。
資本主義の打倒を目標とする俺にとっては、英国こそが敵の総本山だからな。
正直、子供の頃から英米はずっと仮想敵だったのだ。
破綻してくれるならこんなに喜ばしい事はないし、《貧富の格差こそが社会を荒廃させる》という俺の持論を証明してくれる事になる。
うん、破綻してくれるなら本当に助かるな。
平等化政策の論陣を張り易くなる。
「で、以上を踏まえた上で良いニュースと悪いニュースがあります。」
『じゃあ、良い方から聞かせて下さい。』
「トイチさんの仲間でヒルダさんの監視下に無い人間がつくばに来てます。」
『おお!!!!』
「孝文・j・ゴールドバーグ氏です。」
『…アイツかあ。
仲間ではないんですけどねえ。』
…喜んで損した。
「嫌いなんですか?」
『まあ、我慢はしますけど。
あまり顔は合わせたくないなあ。』
「向こうは相当トイチさんに入れ込んでましたよ?」
『…それが迷惑なんですよねえ。』
…孝文かぁ。
アイツ、微妙に空気読めないし、微妙に役に立たないし、微妙に余計な事する奴だからな。
連絡の付く相手があの男しか居ない事で、如何に俺が追い詰められてるかを再認識させられたわ。
そっかあ。
孝文は英国籍だからな。
仮にヒルダが存在を認知していたとしても、手出しはしにくいのだろう。
アイツの方針って英米協調だからな。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
つくば市。
我が国最大の学術都市。
300に及ぶ研究機関を抱え、無数のテックベンチャーが起ち上げられている。
要は学者の街だ。
故にシティホテルが多い割に高級ホテルは一軒もない。
なので、孝文の宿も駅前のシティホテルだった。
ユニバーサルツインという仰々しい室名だが、普請は安い。
贅沢に慣れた孝文にはあまり好ましくない環境とも言えよう。
「猊下ァああああああ!!!!
…あああああ????」
俺が入室するなり、孝文は絶叫し困惑しフリーズした。
『どうも、御無沙汰しております。』
「あうあう…」
『もしもぉーし♥』
「はぅあ!!!!」
30分程掛けて、ゆっくりと孝文の混乱をほぐしてやる。
正直、疲れる。
「つ、つまり!
猊下は女性になった訳ですね!!」
『だから、全然違いますって。
指名手配中なので変装しているだけ。
私の性自認は100%男です。』
「でも本当は?」
『男だって言ってるじゃないですか、ぷんすか!』
「…可憐だ。」
『そういう目線で私を見るなら口を利いてあげませんよ!
いー、だ!』
「じゃあ可愛い仕草しないで下さいよ!!!」
『してないですぅー♪』
「…好きです!!
(ガバア!)」
『キャッ♥
もぉ、Hな事は禁止ですよ♥』
こんなアホらしいコントを小一時間繰り広げる。
本当、俺も時間をドブに捨ててるよな。
「こほん。
御安心下さい。
冷静になりました。」
『えらいえらい、なでなで♥』
「誘惑しないで下さいよ!!!!
耳元で可愛い声を出さないで下さい!!!」
『きゃはっ、ゴメンナサイ♥』
「それでは冷静になった私が結論から述べます。」
『あ、はい。』
「…すぅ。
猊下は神でえええええす!!!!!!!!
いや!!!!
今や女神ッ!!!!
と言うか、貴女をリリリリ…
リン子様と呼ばせて下さい!!!!!
貴女は私の女神だああああああ!!!!」
『冷静ェ…』
「失礼、取り乱しました。」
『いえ、男の人に大声出されると怖いのでやめて下さいね。』
「猛省します。
ですが、私の歓喜昂奮は致し方ないことなのです。」
『ハア。』
「何故なら、私はリン子様の奇跡を目の当たりにし続けているのですから。」
『?』
「ほら!!
あの神の恩寵ですよ!!
貴女こそが豊穣の女神だああ!!!!」
『はあ。』
俺はすっかり忘れていたのだが、英国人共から預かっていたポンド。
それが孝文の手の中で増殖し続けたらしい。
『へえ。』
「神の奇跡!
いや! 美しき女神の奇跡です!」
『もぉ、やだぁ♥
私なんか全然可愛くないですよぉ♥』
「リン子様!
貴女は最高の女性です!!
至高の女神です!」
『えへへ、大袈裟なんだからぁ♥』
孝文の報告によるとポンド増殖の過程は以下の通り。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【孝文のポンド観察日誌】
『初日』 (大使館パーティーの日)
165万ポンド
『2日目』 (ヒルダに軟禁される)
165万ポンド
↓
1億6665万ポンド
↓
1億6500万ポンド
↓
1億9140万ポンド
※バーゼル卿が1億6500万ポンドを納金、元本の随時返却を拒否。
※前利息として日利1%の165万ポンドを支払い。
※2640万ポンドの利息(16%)が出現し、孝文脳破壊。
『3日目』 (ヒルダと1日中セックス)
1億9140万ポンド
↓
5億2140万ポンド
↓
5億1975万ポンド
↓
6億8475万ポンド
↓
6億8310万ポンド
↓
7億9240万ポンド
※ウッドランド卿が3億3000万ポンドを納金、元本の返却を拒否。
※前利息として日利0.5%の165万ポンドを支払い。
※同卿に煽られたバーゼル卿が激高して受取利息を0.5%に引き下げ。
※バーゼル卿が1億6500万ポンドを増資
※日利0.5%の165万ポンドを支払い。
※1億0930万ポンドの利息(16%)が出現
『4日目』 (居酒屋胡桃亭)
7億9240万ポンド
↓
8億6240万ポンド
↓
8億6075万ポンド
↓
8億5875万ポンド
↓
9億9615万ポンド
※こっそりやって来たウッドランド卿が7000万ポンドを増資
※スキル法則を理解した孝文が利息支払を18時に制定。
※バーゼル卿に日利0.5%の165万ポンドを支払い。
※ウッドランド卿に日利0.5%の200万ポンドを支払い。
※ウッドランド卿に金額マウントを取られたバーゼル卿が発狂。
※バーゼル卿、キリスト教の棄教を宣言し神聖教に入信。
※1億3740万ポンドの利息(16%)が出現
『5日目』 (岸田総理暗殺計画阻止)
9億9615万ポンド
↓
11億5554万ポンド
↓
13億5554万ポンド
↓
13億5454万ポンド
↓
13億5254万ポンド
↓
13億5089万ポンド
↓
15億2089万ポンド
※1億5939万ポンドの利息(16%)が出現
※バーゼル・ウッドランド両氏の幼馴染であるハワード伯爵婦人がアポ無し来訪。
※ハワード伯爵夫人2億ポンドを預金、夫と息子への口止めを強要。
※ハワード伯爵夫人に前利息として日利1%の100万ポンドを支払い。
※ウッドランド卿に日利0.5%の200万ポンドを支払い。
※バーゼル卿に日利0.5%の165万ポンドを支払い。
※バーゼル卿、ウッドランド・ハワード両卿の眼前で1億7000万ポンドの増資。
※ハワード伯爵夫人の前で恥をかかされたウッドランド卿、バーゼル卿に決闘申込。
『6日目』 (レインボーブリッジの死闘)
15億2089万ポンド
↓
17億6424万ポンド
↓
17億6224万ポンド
↓
17億5974万ポンド
↓
17億5874万ポンド
※2億4335万ポンドの利息(16%)が出現
※ウッドランド卿に日利0.5%の200万ポンドを支払い。
※バーゼル卿に日利0.5%の250万ポンドを支払い。
※ハワード伯爵夫人に日利1%の100万ポンドを支払い。
※決闘種目が真剣フェンシングに決定。
『7日目』 (エドワード王と再会)
17億5874万ポンド
↓
20億5773万ポンド
↓
20億5573万ポンド
↓
20億5323万ポンド
↓
20億5223万ポンド
※2億9899万ポンドの利息(17%)が出現
※孝文、日利の上昇に気付き再度脳破壊。
※ウッドランド卿に日利0.5%の200万ポンドを支払い。
※バーゼル卿に日利0.5%の250万ポンドを支払い。
※ハワード伯爵夫人に日利1%の100万ポンドを支払い。
※在英オルガリヒの巨魁イワン・イワノフ会長プライベートジェットで来日。
※バーゼル・ウッドランド両名の絶交宣言をBBCが大袈裟に報道。
※同宣言が原因で英国貴族院内のウクライナ支援部会が空中分解。
『8日目』 (女性化開始)
20億5223万ポンド
↓
24億0111万ポンド
↓
34億0111万ポンド
↓
33億9111万ポンド
↓
33億8911万ポンド
↓
33億8661万ポンド
↓
33億8561万ポンド
※3億4888万ポンドの利息(17%)が出現
※イワノフ会長ダーティーマネーの10億ポンドを預金
※イワノフ会長に前利息として日利1%の1000万ポンドを支払い。
※イワノフ会長脳破壊、親日派に転向。
※ウッドランド卿に日利0.5%の200万ポンドを支払い。
※バーゼル卿に日利0.5%の250万ポンドを支払い。
※ハワード伯爵夫人に日利1%の100万ポンドを支払い。
※英国勢、決闘会場として巌流島を山口県からレンタル。
『9日目』 (スナック朱美勤務)
33億8561万ポンド
↓
39億6117万ポンド
↓
39億5117万ポンド
↓
39億4917万ポンド
↓
39億4667万ポンド
↓
39億4567万ポンド
※5億7556万ポンドの利息(17%)が出現
※イワノフ会長に日利1%の1000万ポンドを支払い。
※イワノフ会長の盟友のコズイレフ氏(対日最強硬派)来日。
※ウッドランド卿に日利0.5%の200万ポンドを支払い。
※バーゼル卿に日利0.5%の250万ポンドを支払い。
※ハワード伯爵夫人に日利1%の100万ポンドを支払い。
※バーゼル・ウッドランド両卿が決闘同意書に調印。
※英国国家にてウクライナ支援特別追加予算案が逆転否決。
『10日目』 (巨鮫討伐)
39億4567万ポンド
↓
45億8242万ポンド
↓
50億8242万ポンド
↓
50億7742万ポンド
↓
50億7742万ポンド
↓
50億6742万ポンド
↓
50億6542万ポンド
↓
50億6292万ポンド
↓
50億6192万ポンド
100億ルーブル
※6億3675万ポンドの利息(18%)が出現
※孝文、日利の上昇に気付き再々度脳破壊。
※コズイレフ氏、5億ポンド+100億ルーブルの預金を強要
※コズイレフ氏に前利息として日利1%の500万ポンドを支払い。
※コズイレフ氏、1億ルーブルの受け取りを拒否、ドルでの受け取りを希望。
※ルーブル配当の話は一旦保留に。
※イワノフ会長に日利1%の1000万ポンドを支払い。
※ウッドランド卿に日利0.5%の200万ポンドを支払い。
※バーゼル卿に日利0.5%の250万ポンドを支払い。
※ハワード伯爵夫人に日利1%の100万ポンドを支払い。
『11日目』 (電気を増やせる事を発見)
50億6192万ポンド
↓
59億7307万ポンド
↓
59億6307万ポンド
↓
59億5807万ポンド
↓
59億5607万ポンド
↓
59億5357万ポンド
↓
59億5257万ポンド
※第三次巌流島決闘開催、ダークウェブ上で大人気。
※ウッドランド卿死亡享年79、バーゼル卿(78歳)意識不明重体。
※9億1115万ポンドの利息(18%)が出現
※ルーブルが勝手に増える。
※孝文、コズイレフ氏にルーブル返却を打診するも拒否される。
※イワノフ会長に日利1%の1000万ポンドを支払い。
※コズイレフ氏に日利1%の500万ポンドを支払い。
※ウッドランド卿遺族に日利0.5%の200万ポンドを支払い。
※バーゼル家令嬢カミーラに日利0.5%の250万ポンドを支払い。
※ハワード伯爵夫人に日利1%の100万ポンドを支払い。
※英国華人協会の重鎮リチャード・ツォン氏が極秘来日。
100億ルーブル
↓
118億ルーブル
『12日目』 (土浦へ逐電)
59億5257万ポンド
↓
64億5257万ポンド
↓
76億1404万ポンド
↓
76億0404万ポンド
↓
75億9904万ポンド
↓
75億9704万ポンド
↓
75億9455万ポンド
↓
75億9355万ポンド
↓
75億9105万ポンド
※カミーラとハワード夫人が結託してツォン氏の出資に難癖を付ける。
※リチャード・ツォン氏、キリスト教を棄教し神聖教に入信、日利0.5%を容認。
※リチャード・ツォン氏5億ポンド+5億ユーロを預金。
※11億6147万ポンドの利息(18%)が出現。
※9000万ユーロの利息(18%)が出現。
※ルーブルが勝手に増える。
※コズイレフ氏にルーブル買取を打診、あまりに虫の良いレートを提案してきた為拒絶。
※コズイレフ氏親日親英宣言。
※イワノフ会長に日利1%の1000万ポンドを支払い。
※コズイレフ氏に日利1%の500万ポンドを支払い。
※ウッドランド卿遺族に日利0.5%の200万ポンドを支払い。
※バーゼル家令嬢カミーラに日利0.5%の250万ポンドを支払い。
※ハワード伯爵夫人に日利1%の100万ポンドを支払い。
※ツォン氏に日利0.5%の250万ポンドを支払い。
※ツォン氏に日利0.5%の250万ユーロを支払い。
※ウッドランド卿遺族、遺産争いの合間に東京観光を堪能。
5億ユーロ
↓
5億9000万ユーロ
↓
5億8750万ユーロ
118億ルーブル
↓
139億2400万ルーブル
↓
164億3032万ルーブル
『14日目』 (人間パチンコ開業)
75億9105万ポンド
↓
89億5744万ポンド
↓
89億4744万ポンド
↓
89億4244万ポンド
↓
89億4044万ポンド
↓
89億3794万ポンド
↓
89億3694万ポンド
↓
89億3444万ポンド
※13億6639万ポンドの利息(18%)が出現。
※1億0575万ユーロの利息(18%)が出現。
※ルーブルが勝手に増える。
※コズイレフ氏、ルーブルの投げ売りを打診開始。
※ロシア政府、英国政府にイワノフ会長の身柄引き渡しを要求。
※イワノフ会長に日利1%の1000万ポンドを支払い。
※コズイレフ氏に日利1%の500万ポンドを支払い。
※ウッドランド卿遺族に日利0.5%の200万ポンドを支払い。
※バーゼル家令嬢カミーラに日利0.5%の250万ポンドを支払い。
※ハワード伯爵夫人に日利1%の100万ポンドを支払い。
※ツォン氏に日利0.5%の250万ポンドを支払い。
※ツォン氏に日利0.5%の250万ユーロを支払い。
※リチャード・ツォン氏、親日路線への転向を宣言。
※ウッドランド卿遺族、銀座鮨樂にて日本食を堪能。
5億8750万ユーロ
↓
6億9325万ユーロ
↓
6億9075万ユーロ
164億3032万ルーブル
↓
193億8778万ルーブル
『15日目』 (江本と再会)
89億3444万ポンド
↓
105億4264万ポンド
↓
105億3264万ポンド
↓
105億2764万ポンド
↓
105億2564万ポンド
↓
105億2314万ポンド
↓
105億2214万ポンド
↓
105億1964万ポンド
※16億0820万ポンドの利息(19%)が出現。
※孝文、100億ポンド突破+日利上昇に脳焼却。
※1億3125万ユーロの利息(19%)が出現。
※ルーブルが勝手に増える。
※ウラジミール・プーチン大統領、親日発言を行ったコズイレフ氏を名指しで批判。
※イワノフ会長に日利1%の1000万ポンドを支払い。
※コズイレフ氏に日利1%の500万ポンドを支払い。
※ウッドランド卿遺族に日利0.5%の200万ポンドを支払い。
※バーゼル家令嬢カミーラに日利0.5%の250万ポンドを支払い。
※ハワード伯爵夫人に日利1%の100万ポンドを支払い。
※ツォン氏に日利0.5%の250万ポンドを支払い。
※ツォン氏に日利0.5%の250万ユーロを支払い。
※ウッドランド卿遺族、浅草周遊ツアーを挙行し満面の笑みでインスタ投稿。
6億9075万ユーロ
↓
8億2200万ユーロ
↓
8億1950万ユーロ
193億8778万ルーブル
↓
230億7146万ルーブル
『16日目』 (昨日)
105億1964万ポンド
↓
125億1798万ポンド
↓
125億0798万ポンド
↓
125億0298万ポンド
↓
125億0098万ポンド
↓
124億9848万ポンド
↓
124億9748万ポンド
↓
124億9498万ポンド
※19億9834万ポンドの利息(19%)が出現。
※1億5571万ユーロの利息(19%)が出現。
※ルーブルが勝手に増える。
※イワノフ会長に日利1%の1000万ポンドを支払い。
※コズイレフ氏に日利1%の500万ポンドを支払い。
※ウッドランド卿遺族に日利0.5%の200万ポンドを支払い。
※バーゼル家令嬢カミーラに日利0.5%の250万ポンドを支払い。
※ハワード伯爵夫人に日利1%の100万ポンドを支払い。
※ツォン氏に日利0.5%の250万ポンドを支払い。
※ツォン氏に日利0.5%の250万ユーロを支払い。
※ウッドランド卿遺族、東京ディズニーランドで豪遊。
8億1950万ユーロ
↓
9億7521万ユーロ
↓
9億7271万ユーロ
230億7146万ルーブル
↓
274億5504万ルーブル
『17日目』 (本日)
124億9498万ポンド
↓
148億6903万ポンド
↓
148億5903万ポンド
↓
148億5403万ポンド
↓
148億5203万ポンド
↓
148億4953万ポンド
↓
148億4853万ポンド
↓
148億4603万ポンド
※23億7405万ポンドの利息(19%)が出現。
※1億8482万ユーロの利息(19%)が出現。
※ルーブルが勝手に増える。
※イワノフ会長に日利1%の1000万ポンドを支払い。
※コズイレフ氏に日利1%の500万ポンドを支払い。
※ウッドランド卿遺族に日利0.5%の200万ポンドを支払い。
※バーゼル家令嬢カミーラに日利0.5%の250万ポンドを支払い。
※ハワード伯爵夫人に日利1%の100万ポンドを支払い。
※ツォン氏に日利0.5%の250万ポンドを支払い。
※ツォン氏に日利0.5%の250万ユーロを支払い。
※ウッドランド卿遺族、両国国技館で相撲見物。
9億7271万ユーロ
↓
11億5753万ユーロ
↓
11億5503万ユーロ
274億5504万ルーブル
↓
326億6750万ルーブル
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「こういう流れなんですよお!!!」
『はあ。』
「リン子様は奇跡の女神なんですよおお!!!」
『はぁ。』
「しかも可愛い!!」
『うふふ♥
それほどでもないですぅ♥
…孝文さんも頑張ってるみたいなのでぇ♪
ちょっと御褒美考えちゃいます。
孝文さんはちゃんと利息とか受け取ってますかぁ?』
「いえいえ!
女神の御業から勝手に恩恵を受け取って良いのか判断が付かず。
半分パニックになっておりました。
まずはご指示を仰ぎたいです!」
『じゃあ、頑張ってくれたご褒美にchu♪』
「あッ!!!」
『感謝の気持ちですぅ♪
奥さんには内緒ですよ?』
「あ! いや!
あ、ああ、あああ、あああ…」
『でもまあ、現実問題としておカネが無いと身動き取れないでしょう?
なのでぇ、幾らかポンドを引き取ってくれると嬉しいです。』
「ああ、いや。
これだけ増えてしまうと本国にも持ち込みようがありません。
私はプライベートジェットも持っておりませんし…
こう見えても金融人の端くれですので、出所が不透明なキャッシュをロンドンに持ち帰れないんですよ。」
『あ、じゃあ仮想通貨あげます。』
「え?
リン子様は仮想通貨も持たれているのですか?」
『えっとぉ。
貰い物なので、よく分からないんですけどぉ。
ウォレット…
って言うんですか?
はい、手書きメモ。』
「え?
ウォレットごと頂けるんですか?」
『だって、よく分かりませんし。』
「こういう時は、ウォレット間で送金するのが一般的なので…」
PC画面を開いた孝文が硬直する。
『ん?
孝文さん?』
「…あ、あ、あ、あ。」
『孝文さぁん、どうしましたぁ?
もしもぉし♥』
孝文は痙攣しながらアウアウと呻き続けていた。
参ったなあ。
コイツ、有能ぶってる癖にフリーズ頻度高いんだよな。
俺、早く帰りたいんだけどな。
『孝ふ…』
「Aaaaah!!!!
Oh my God!!!!
Oh my God!!!!
No!!!!
Rinko is my only goddess!!!!
Denial of Yahweh!
Denial of Yahweh!
Only the Holy Religion is the true teaching!!!!
Everything else is a heretical religion!!!!」
『あ、壊れた。』
こうして英語で転げまわってる孝文を見ていると、コイツの母語はやはり英語であるのだと認識する。
あ、コイツ床で失禁しやがった。
ホテル側に怒られるぞ…。
「ハアハア!
し、失礼しました。
取り乱してしましました。」
『…いえ。』
「結論から言います!
リン子様! 貴女こそが神です!」
『あのお、戒律で個人崇拝が禁止されてますので、勝手に神格化するのはやめて貰えますか?』
「失礼。
ですが貴女を表現する言葉が他に思いつかない。
…リン子様に比べれば、セム系の神など全てがまやかしに過ぎません!」
『何かを褒める為に何かを貶めるような話の持って行き方はやめましょうよ。』
「そうですね。
こういう一神教的な比較論は日本では嫌われますね。
…兎に角!
貴女は凄い!」
『はあ。』
「何より可愛い!」
『えへへ♥』
「…さて、話を戻しますね。
結論としてこのウォレットは受け取れません。
高額過ぎるからです。
7万BTCって…
もはや世界の覇者でしょう!」
さっきから神だの覇者だの大袈裟な男だ。
外人と言うのは何でもオーバーに表現するからな。
コイツの発言は話半分に聞かなければならない。
『はあ。
そうですか。
でも、他にもあるんで遠慮しなくてもいいですよ?
りっぷる?も持ってますし。』
他のウォレットも見せてやる度に孝文が転げ回って話が止まる。
やれやれ困った芸風である。
結局、イーサとかいう通貨を5万全額くれてやることにした。
孝文は号泣しながら俺を拝んで辞退しようとするが、こっちも小便漏らし野郎の部屋にいつまでもいたくないので、強引に押し付けて話をまとめる。
尚もゴチャゴチャ食い下がって来るので、少しだけエロいサービスをして黙らせてから退室した。
無駄に体力を使って疲れたので、土浦に帰るとシャワーだけ浴びてさっさと寝た。
相も変わらず実りの無い一日だった。
【名前】
遠市・コリンズ・リン子・厘
【職業】
ホステス
パチンコ台
神聖教団 大主教
東横キッズ
詐欺師
【称号】
淫売
賞金首
【ステータス】 (地球上にステータス閲覧手段無し)
《LV》 19
《HP》 ふぇぇ
《MP》 ですぅ
《力》 メスガキ
《速度》 小走り不可
《器用》 ライジング・カード!
《魔力》 悪の王器
《知性》 悪魔/ド低能/自分の名前は言えます。
《精神》 吐き気を催す邪悪
《幸運》 的盧
《経験》 3902382
本日取得 0
本日利息 623070
次のレベルまでの必要経験値1340488
※レベル20到達まで合計5242870ポイント必要
※キョンの経験値を1と断定
※イノシシの経験値を40と断定
※うり坊(イノシシの幼獣)の経験値を成獣並みと断定
※クジラの経験値を13000と断定
※経験値計算は全て仮説
【スキル】
「複利」
※日利19%
下4桁切り上げ
【所持金】
7125万1303円
6万BTC (下4桁切り上げ)
↓
8万BTC
4万ETH (下4桁切り上げ)
↓
5万ETH
↓
0ETH
※孝文・j・Gに恩賞としてウォレットごと授与。
1万XRP (下4桁切り上げ)
↓
2万XRP
1万SOL (下4桁切り上げ)
↓
2万SOL
【残り寿命】
36500日 (下4桁切り上げ)
↓
46500日
【所持品】
女の子セット
Maison Margiela ショルダーバッグ 白
【約束】
古屋正興 「異世界に飛ばして欲しい。」
飯田清麿 「結婚式へ出席して欲しい。」
〇 「同年代の友達を作って欲しい。」
『100倍デーの開催!』
× 「一般回線で異世界の話をするな。」
『世襲政権の誕生阻止。』
〇後藤響 「今度居酒屋に付き合って下さい(但しワリカン)」
「大阪を滅ぼさないで下さい!!!」
「空飛ぶ車を運転します!」
江本昴流 「後藤響を護って下さい。」
『遠市王朝の建国阻止。』
×弓長真姫 「二度と女性を殴らないこと!」
× 「女性を大切にして!」
〇寺之庄煕規 「今度都内でメシでも行きましょう。」
×森芙美香 「我ら三人、生まれ(拒否)」
×中矢遼介 「ホストになったら遼介派に加入してよ。」
「今度、焼肉でも行こうぜ!」
〇藤田勇作 『日当3万円。』
〇堀田源 「トイレコインの使い方を皆に教えておいて。」
〇山田典弘 「一緒にイケてる動画を撮ろう。」
〇 「お土産を郵送してくれ。」
「月刊東京の編集長に就任する。」
楢崎龍虎 「いつかまた、上で会おう!」
×警視庁有志一同 「オマエだけは絶対に逃さん!」
「オマエだけは絶対に守る!」
×国連人権委員会 「全ての女性が安全で健(以下略)」
〇安宅一冬 「浅草寺周辺を一緒に散策しましょう。」
水岡一郎 「タックスヘイブンの利用・移住をしないこと。」
×平原猛人 「殺す。」
「鹿児島旅行に一緒に行く。」
「一緒にかすうどんを食べる」
車坂聖夜Mk-II 「世界中の皆が笑顔で暮らせる、優しい世界を築く」
×今井透 「原油価格の引き下げたのんます。」
「小麦価格の引き下げをお願いします」
〇荒木鉄男 「伊藤教諭の墓参りに行く。」
鈴木翔 「配信に出演して。」
×遠藤恭平 「ハーレム製造装置を下さい。」
〇 『子ども食堂を起ち上げます。』
「紙幣焼却によりインフレを阻止する。」
〇田名部淳 「全財産を預けさせて下さい!」
「共に地獄に堕ちましょう。」
三橋真也 「実は配信者になりたいので相談に乗って下さい。」
〇DJ斬馬 『音楽を絡めたイベントを開催する際、日当10万で雇用します。』
金本宇宙 「異世界に飛ばして欲しい。」
金本聖衣 「同上。」
金本七感 「17歳メインヒロインなので旦那との復縁を手伝って。」
〇天空院翔真 「ポンジ勝負で再戦しろ!」
「再戦するまで勝手に死ぬな。」
〇小牧某 「我が国の防諜機関への予算配分をお願いします。」
阿閉圭祐 「日本国の赤化防止を希望します。」
〇坊門万太郎 「天空院写真集を献納します!」
宋鳳国 「全人類救済計画に協力します!」
堀内信彦 『和牛盗難事件を解決します。』
〇内閣国際連絡局 『予算1000億円の確保します』
毛内敏文 『青森に行きます!』
神聖LB血盟団 「我々の意志を尊重する者が必ずや遠市厘を抹殺するだろう。」
〇大西竜志 「知り得る限り全ての犯罪者情報の提供。」
『貴方の遺族に篤く報います。』
坂東信弘 「四国内でのイベント協力」
国重辰馬 「四国内でのイベント協力」
涌嶋武彦 「畜産業界の総力を挙げて遠市派議員を衆議院に最低10名押し込みます!」
斑鳩太郎 『処刑免除を保証します。』
志倉しぃ 「カッコいいホモの人を紹介して下さい。」
〇孝文・j・G 「英国大使館パーティーにて利息支払い」
「永遠の忠誠と信仰を(以下略)」
〇グランツ(英) 「perape-ra!!!!!!!!」
E・ギャロ 「農政助言」
「王都で星を見る。」
福永史奈 「出産すれば1億円支給」
野上絵麻 「以下同文」
桂川風香 「以下同文」
久能木瀬里奈 「ジャンジャンバリバリ!!」
児玉繭子 「ウチの旦那に色目を使うな。」
金本光戦士 「どんな危機からも必ず救い絶対に守る。」
〇木下樹理奈 「一緒に住ませて」
×松村奈々 「二度と靴は舐めないにゃ♥」
〇 「仲間を売るから私は許して♥」
◎鷹見夜色 「ウ↑チ↓を護って。」
〇 「カノジョさんに挨拶させて。」
〇 「責任をもって養ってくれるんスよね?」
×ヒルダ・コリンズ 「芋羊羹…。」
「王国の酒…。」
「表参道のスイーツ…。」
× 「ポン酢で寿司を喰いに行く。」
土佐の局 「生まれた子が男子であればリイチ。
女子であればリコと命名する。」