【降臨42日目】 所持金107億9486万3000円 「コイツ人間の心がないのかな?」
まるでゲームやアニメの光景だった。
直上から撮影された戦車の長い車列に次々に火花が走り、一瞬画面が猛煙に包まれる。
テロップ内で沈痛そうな表情を浮かべていたレポーター(東欧系の顔立ちに見える)が短く唇を噛み締めてから淡々と何事かを語り始める。
俺が一通り参考動画に目を通すのを待ってからモニターの向こうの飯田が口を開いた。
「リン君、別添で申し訳ないけど翻訳テキストを送った。」
『ありがとうございます。
えっと、破壊された戦車はウクライナ側ですか?』
「うん。
ウクライナ軍の反攻作戦が失敗した動画。
ドイツ製のレオパルド2っていう戦車が攻撃されてる様子。」
『これ、かなりの台数が破壊されたんじゃないですか?』
「ウクライナに供与された18台全てが大破。
問題はレオパルド2が旧ソ連兵器対策として配備されたNATOの主力戦車だということ。
西側首脳・マスコミはレオパルド2さえ提供すれば戦況が一変すると考えていた…」
『それがこんなに簡単に負けちゃったと言う事は…』
「うん、ロシアメディアは大喜びで戦果を報道している。
2つ目のURLがその動画。
プーチン大統領がこんなに安堵している表情は久しぶりに見たよ。
当然、西側諸国はお通夜モード。
特にポーランドがウクライナへの武器供与停止を宣言してしまった。
…これはかなりヤバい状況。」
『そうですか。
それは周辺諸国がロシアの勝利を前提に動き出しているということですよね?』
「その通り。
スロバキアの統一選挙でも対露制裁反対派が支持を伸ばしている。
恐らく第一党となるだろう。」
『…。』
「リン君、ここからが本題なんだ。
恐らくはこの局地的勝利に連動したものだと思うけど。
昨夜未明、ロシア系のハッカー集団Black Suitが西側諸国に対して攻撃宣言を大々的に行った。
当然、この中には我が国も含まれている。」
『恐ろしい話です。
ただ、サイバー攻撃自体はこれまでも日常的に行われてましたよね?
宣言があったからと言って、そこまで大規模な変化があるのでしょうか?』
「いや、今回は明らかにロシア政府の意向で彼らが動いている。
現に彼らは我が国に対してはこんな声明を出しているんだ。
《サイバー攻撃をやめて欲しければ、千島列島の領有権を永久放棄する宣言をせよ》
ってね。
ちなみに一応Black Suitはロシア政府と一切無関係の非合法集団という触れ込みなんだけど。
今回の声明に対してロシア大使館がいいね・RTしている。」
『国策である事を隠すつもりも無いのでしょうね。』
「その方が恫喝効果高いしね。
彼らはこうも言っている。
《日本最大かつ中心的である企業のデータを全て入手した。
我々はいつでも日本経済を破壊可能である事を忘れるな。》
ってね。」
『我が国で最大と言いますと、やはり…』
『うん、普通はトヨタ自動車を連想するよね?
実際、投資家たちはそう判断したらしくて、外資のトヨタ売りが加速している。
1日で8%の下落。
当然、関連銘柄も全て下落。
デンソー、愛三工業辺りがダメージデカいかな…
ちょっと洒落にならない。
現地に居るから分かることだけど、名古屋の社長さん達の危機感凄いよ?』
『最近の戦争って、こういう形で行われるんですね。』
「そうだね。
直接戦闘が無くとも、こういう経済テロでガンガン相手の国力を削っていく。
我が国も無縁ではいられないということさ。」
飯田清磨がこういう報告をして来たという事は、彼はウクライナ戦争の我が国への更なる波及を予見しているのだ。
そして、俺に対して対策を求めている。
『私に何が出来ますか?』
「物流網やインフラへの攻撃は慢性化すると思う。
少なくとも中京圏の財界人や各商社はそう予測し、怯えている。
…そこら辺をケアして貰えないかな?」
初めて会った時。
飯田清磨は完全なノンポリ人間だった。
彼は政治や経済の知識は備えているものの、興味を持っていなかった。
陽気で遊び好きなお兄さんという印象しか持っていなかった。
だが今は違う。
沈痛な表情をする事が多くなった。
俺が彼に多くを任せた引き換えに、彼も俺に多くを望むようになった。
『私に出来る事は限られてますが、小麦と原油。
この確保と増産を急ぎます。
大量の資源は国際的発言力にも繋がりますので。』
「もう一声お願い出来ないかな?」
『…具体的には、私に何が出来ますか?』
「…リン君は公安やら警察と仲がいいでしょ。」
口調は柔らかいがモニターの中の飯田の目は笑っていない。
確かに、対岸に中露を見据える我が国としては他人事ではないよな。
最悪の事態は想定しておくべきだろう。
そして飯田はその最悪を発生させない為の予防策を俺に取らせたがっている。
『先日出来た防諜機関とのパイプ。
より積極的な財政支援を行うことを約束します。
防衛省・公安庁・警察庁が予算不足で悩まずに済むようなケア体制を整えます。
それも大急ぎで。』
「リン君。
君が汎人類的な視点に立っている事は知っている。
それはとても素晴らしいことだと思う。」
『いえ。』
「ただ、せめて今は何も言わずに日本国の側に立ってくれないか。
まだ出資者としての俺の権利は残ってる?」
『清磨さんは永久欠番ですよ。
貴方の願いであれば、喜んで聞き入れます。
わかりました。
日本人としてのポジションを取ります。』
「…お願いばかりしちゃってゴメンね。」
俺が飯田清磨を信頼し敬愛するのは、その才幹を常に自分以外の誰かの為に用いる人間だからである。
勿論、彼の判断全てが正しいとまでは思わない。
それでも、彼が常に太陽の下に在ることを俺は知っている。
飯田との通信が終わった後も、俺は無言でモニターを睨み続けていた。
俺に何が出来る?
…カネしかない事はわかってるんだ。
そう、俺にはカネしかない。
なら…
幾らカネを集めればいい?
いつまでに工面しておけばいい?
いや、集めるのはカネでいいのか?
ドルを刷るか…
国際社会がギリギリ潰れない金額でドルを増産、それも禁じ手のレバレッジ取引…
駄目だ。
俺がそれをすれば、すぐに現行の金融システムが破壊されてしまう。
…いや、俺の目的は資本主義社会の粉砕だ。
では金融システムの破壊は寧ろ喜ばしいことではないのか?
違うな。
現在の社会制度で金融破壊が起これば、真っ先に無辜の人民が被害を受けるだろう。
それは本意ではない。
俺は拳を強く握り締める。
これをどこに振り下ろせば、より多くの人民が救済されるのだろうか?
その犠牲が少なくて済むのだろうか。
誰かを救うために誰かを傷つけるなんて間違っている。
全ての人類は平等に救済されるべきなのだ。
社会とは、誰かが流した血や涙を前提に構築してはならないのだ。
政治とは万民の笑顔こそを守る為のものなのだから。
現在の地球人口は81億人。
何としても死者は端数の1億人以内に収めると決意している。
夢物語と笑う者もいるかも知れないが…
あらゆる艱難に見舞われたとしても、断じて俺は1億人以上を殺さない。
これは誓いなのだ。
人類は等しく救済されなくてはならない。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
通話が終わり、後藤と2人で朝の牛窓を散歩。
内海ということもあり、外房や遠州でみた海よりも波が低い。
今日がたまたまそういう天候なのかも知れないが、まるで湖面のように静かである。
父の故郷と同じ風景。
残念ながら嫌な記憶が懐かしさを上回ってしまう。
きっと俺に故郷はないのだ。
ヨットハーバーで朝市が開催されていたので2人で覗いてみる。
後藤がトマトを買ってくれたので、港沿いの縁石に座って無言で貪る。
「俺の上の世代の人らがHUNTER×HUNTERの再開を心待ちにしてるんです。
兄貴も冨樫先生の大ファンで、コミックスは全部揃えてます。
だから七感さんの話したら、予想外に喜んでしもうて。
今日、千林に遊びに行くそうですよ。」
『偽物じゃないですか。
集英社さんに申し訳ないですよ。』
「ええんちゃいます、パチモンでも。
それで救われるモンがおるんなら、それはそれで素晴らしい事やとは思います。」
『確かに、ちょっとした娯楽が励みになる事ってありますよね。』
「トイチさんも励みとかあったんですか?」
『そりゃあ、励みが無ければ貧乏人やってられませんよ。
うーん、私達の場合は担任ですかね。』
「え? 松村さん?」
『ほら、あの人美人じゃないですか?
それで、かなり色々な服を持ってたので
ホームルーム始まる前に男子みんなで
《今日はどんな服着て来るのかな?》
とか
《ミニスカだと嬉しいな》
とか、そんな話してました。』
「うわっ、それ意外です。
トイチさんもそういう話しはるんですね。」
『しますよお。
男子ですもの。』
「ちなみに、松村さんの服装では何が一番好きやったんですか?」
『えっと。
あの人、何を着てもサマになる人なんですけど。
セーター? 縦長?
なんか、そういう流行りのファッションで出勤してきたことがあって。
その時は《この人って本当に美人だな》って見とれてました。』
「えっと、縦セタブーム?」
『あー、それかも知れないです。』
「これは俺のとっておきの奥義なんですけど。
それを女性陣に伝えるだけで、色々な話が劇的に丸く収まりますよ?」
『ええ、まさかーw』
「いや、ホンマホンマw
女子勢にファッションの話を振るだけでええんです。
着てるモンを褒めてあげるだけの話です。」
『うーん、じゃあ、今度振ってみます。
但し、後藤さんが側に居てくれる時にですけど。
私、恥ずかしながらファッション関係疎いんですよ。
専門用語とか全然知らなくて、いつも笑いものになってます。』
「これから知っていけばいいじゃないですか。
一緒にお洒落していきましょう。
恥を忍んで言いますけどね。
俺もファッションとかまるでわからんのです。
野球しか知らん人間やから。
だから、これから、そういう面も楽しんで行きましょう。
それくらいええでしょ?
神聖教の教義を聞く限り、禁欲そのものが目的ではないように感じるんです。」
『でしょうね。
事跡から見るに、御開祖様は他罰的な方ではなかったようなので。』
「トイチさん。
楽しみましょう、貴方も。」
『…。』
しばらく取り留めのない話をしているうちにこの男が俺達をクールダウンさせたいということが理解出来た。
『そんなに必死な顔をしてしまっておりましたか。』
「マジになればなるほど、人が遠のきます。
トイチさんも飯田さんも魅力的な方なのですから、皆の為にもリラックスしてあげて下さい。」
『…。』
それから少し海岸線を歩いて
《いつかヨット遊びするのもいいね》とか
《別荘に綺麗所を集めてコンパしたいね》とか
《一緒にジェットスキーに乗ろう》とか
そんな話をしながら宿に帰った。
そりゃあね。
叶えないと決めている夢なら、幾らでも広げられるよね。
この男の配慮にはいつも助けられる。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「大都会学園マタギ部」
10年ほど前にかなり流行ったアニメらしい。
放映後、狩猟免許取得希望者が倍増したというからかなりのものである。
浜松の鈴木が原作コミックスを贈ってくれたが、後藤も江本も見覚えはないと言っていた。
ただ安宅や鳩野がその話題で盛り上がっていたので、1世代前のブームと言うのは本当なのだろう。
なので、そこそこ儲かったらしい。
「岡山市内に雑居ビルを買える位には儲かりました!
それも大雲寺ですよ!」
口ぶりからして凄いことなのだろう。
俺も笑顔で話を合わせる。
堀内堅造。
世間では、ほりけん@のペンネームで親しまれている。
エッセイスト・漫画原作者・講演家・居酒屋経営・不動産大家。
様々な肩書の書かれた名刺。
恐らくはブランド物であろうジャケットとピカピカの革靴。
腕利きの猟師であった名残は感じない。
いや、現場に戻る気がないのだろう。
セリフの端々から、狩猟作業への嫌悪感が伝わってきた。
『堀内社長。
お声を掛けて下さってから、到着が遅れた事をお詫びさせて下さい。』
「いえいえ!
遠市さんのような…
いえ、猊下とお呼びするべきですね。
猊下の様な有名人がこんな田舎に来て下さるなんて。
本来なら私の方から御挨拶に伺うべきでした!」
互いに「いえいえ」を連呼しながら、しばらく頭を下げ合う。
贈答品交換も含め、そういう儀礼をちゃんと済ませてから、ようやく本題。
『まずは謝罪させて下さい。
狩猟についてです。
この重要性が私の中でかなり下がってしまいました。
ですので、メッセージでも申し上げた事ですが…
狩猟現場の見学・レクチャーの件は終了とさせて下さい。』
「いえいえ!
私は現場から遠ざかって久しいので!
声を掛けていた従兄弟にもその旨を伝えておきます。」
『確か信彦様ですよね?
こちらつまらないものですが、信彦様の分も持参して参りました。
堀内社長の方からお渡し頂ければ幸いです。』
「おお!
何から何まで恐縮です。
アイツも猊下やルナルナ配信のファンですので、きっと喜びますよ!
いやあ、何の貢献も出来ていないのに申し訳ないです。」
『いえいえ!』
「いえいえ!」
『ただ、獣害対策の重要性に関しては各地を回っていて痛感しております。
私で皆様のお役に立てる事があれば、気軽に申し付けて頂ければありがたいです。』
「ええ、それには皆驚いているんですよ。
箱罠やクレーンを各地に寄贈されておられますよね。
松永さんや宇田川さんみたいな有名人もプロジェクトに関与されておられて
本当は我々の様な狩猟従事者がもっと頑張るべきなのですが…」
『堀内社長の影響で狩猟人口が増えたと伺っております。
素晴らしい御活動ですよ。』
「ははは、ブームの頃は地元から褒めて貰えていたのですが
…正直に申し上げますね。
今は、美作に帰りにくい雰囲気なんです。
裏切者扱いされていて。」
『え!?
裏切る?』
「電通さんに案件色々貰って、都内で講演をハシゴして…
分不相応な貯金が出来ました。
それで岡山市内に拠点を移して、娘も聖心に入れて。
わかるでしょ、田舎の人間から見たら、それがどう映るのかを。」
『まあ、仰る事は何となく。』
「岡山北部なんて、ただの山ですからね。
昔は街道すら通ってなくて、ずっと高瀬舟が命綱だったんです。
それを私だけが脱出に成功しちゃって。
岡山ローカルでレギュラーまで持っちゃって…
地元ではかなり色々言われてます。」
『きっと褒めておられる方もいっぱい居られますよ。』
「ははは、そういう土地柄かなあ。
そうなら良かったんでしょうけど。
山の人間は…
ははは。」
『…。』
「アニメでも散々ネタにしていましたが
あれでもオブラートに包んでる方なんです。
本当に何も無いところですよ。
いや、そんな事言ったら
《修験道の聖地じゃないか!》
って老人達がムキになって怒鳴り込んで来るんですけどw」
『え?
修験道?』
「ほら、私のアニメにも登場させたでしょ。
山伏とかホラ貝とか。」
『ああ、あの!
ええ、わかります。』
「役行者っていう妖怪退治? 呪術家?
その人が生まれたか住んでたか、そういう山の麓の出身なんです、私。
なーんで、こんな田舎に生まれたんだろって。
中学の頃は毎日親と喧嘩してました。」
『あの、無知で恐縮なんですけど。
修験道って仏教か何かですか?』
「え?
どうなんだろう?
宗教かな? え? え?
すみません、それこそ信彦の奴なら詳しいんですけど。
アイツ、地元の資料館とも仲がいいですし。」
『…しゅげんどう、か。』
「あの、猊下。
差し出がましいようですが、もしご興味がおありでしたら。」
『…いや、率直に申しますね。
別に修行僧になりたい訳ではないのですが…
あ、ここだけの話ですけど。
ドレスコードをちゃんとしたいんです。
ほら、私って宗教家を名乗ってる癖に、こんな服装じゃないですか?
ちょっとカジュアル過ぎるかなと。』
「ええ、東横ですよね。
炊き出し動画も好評ですよ。
えっと、もう少し宗教っぽい服装をしたいという事ですよね?」
『はい。
皆様が正装で訪問して下さっているのに、私がパーカー姿では
流石に申し訳ないかなと。
それで、もしも修験道の制服? 法衣?
そう言ったものを部外者が着ても差し支えないなら、何着か購入させて頂けないかと。
いや、勿論寄付金は支払います!』
「ああ、なるほど。
寄付金の受付とかあるのかな?
信彦を呼びましょうか?
90分もあれば岡山市内に来れますし。」
『ええ、90分も!?
それは申し訳ないです。』
「いえいえ違います違います。
我々田舎者にとって車で90分って寧ろ近場。
風俗行く時は姫路で遊ぶんですけど。
ちゃんとした集まりの時は岡山市内ですね。
ほら、私の場合市内に幾つか物件持ってるから身内はタダで泊めてやってるんです。
礼の一言もありませんけどw」
岡山市内から牛窓まで40分程で帰って来れるらしいので、ほりけん@の持ちビルを訪問する流れになる。
幸い、従兄弟の信彦氏が買い物帰りで高速道路上に居たらしいので、そのまま岡山市内に進路を取ってくれた。
俺は恐縮したのだが、通話口の先の信彦氏がかなり喜んでくれていたので、内心安堵する。
「だって、娯楽のないド田舎ですもの。
猊下みたいな有名人と逢えるなんて、それだけで人生の一大イベントですよ。」
『いやいや、私如きが恐縮です。』
サービスも兼ねて俺と光戦士が堀内の車両に乗り込む。
寺之庄・後藤は来客に備えて宿所で待機。
坊門や宇田川がこちらに向かっているそうなので酒と肉で歓待させる。
江本が単独行動の許可を求めて来たので、気が進まないながらも許可する。
「悪巧みに決まってるやないですか♪」
アスリートだけあって、笑顔が眩しい。
そりゃあ野球出身者は就活無双するよな。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「じゃーん、ここが牛窓の名所!
鹿忍です!」
余所者の俺を楽しませようと気を遣ってくれているのだろう。
おどけた素振りで堀内が車を停車させる。
『ここは?
沼地? 池? ですか?』
「ここはですねー。
かつて塩田だったんですよ。
で、台湾塩の流入とかイオン膜製法とか色々あって
塩田なんて誰もやらなくなって、ペンション村を作ったんです。
でも、まあ、元が塩田なんで、沈んじゃいました。
田舎者ってバカでしょー。」
『いえ。』
「岡山って田舎者の集まりだから
ネットでも大都会とか馬鹿にされて
年配の人間の中には揶揄されてる事にすら気付かない奴まで居て…
嫌になりますよ、ホント。」
『そうですか。』
「でもまあ、たまにね。
廃墟マニアの連中が鹿忍まで遊びに来て…
インスタとかTwitterにアップして…
あいつらカネは殆ど落とさないんだけど、自動販売機でジュースくらいは買ってくれます。
すみません、盛り上げるつもりで、愚痴ばっかり言っちゃって。」
『いえ、景色を見るのが好きなので…
大切な想い出にさせて頂きます。』
「猊下はお歳の割に人間が出来ておられますね。
ウチの馬鹿息子も、せめて猊下の1割ほどの思慮があれば良かったのですが。
ああ、親がこんなだから、あんなアホに育っちゃったのかぁ…」
『私は堀内社長のこと好きですよ。
色々考えておられますし。
丁寧なお気遣いも、見習いたいと思いました。』
「ははは、必死で背伸びしているだけです。
少しでもマシな自分を見て貰いたいじゃないですか。」
池に沈んだ廃墟群を見終えて車内に戻る。
光戦士が動画撮影の許可を堀内に求め、1秒だけ迷ってから彼は許可を下した。
勿論、そんな権限はこの男にない。
それでも生きている限り、人間はありもしない権能を少しでも正しい方向に発揮する事を求められるのだ。
何人もこの責務から背を向ける事は許されない。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
幾つかの集落を抜けると突然平野が広がる。
見渡す限りの田地。
きっと岡山市内に入っているのだろう。
この道の名はブルーラインというらしいが、秋になれば両側に黄金の稲穂が果てしなく広がるらしい。
堀内にとっては田園地帯は後進性の象徴のように感じるらしいのだが、俺と光戦士は飽きもせずにただ車窓を眺めていた。
「旭川を越えます。」
きっと、それが彼らにとっての都鄙の境界なのだろう。
いつの間にか市街地に入っていた。
30分も掛からず、路面電車まで走っている巨大な交差点に到着する。
無言で隣から光戦士がスマホ地図を見せて来る。
なるほど、この大雲寺交差点こそは間違いなく岡山市の中心、ド真ん中。
ここに7階建ての雑居ビルを保有している堀内は名士を名乗る資格はあるだろう。
故郷から強く嫉妬されているという言葉にも頷ける。
いや、嫉妬などという生やさしい感情である筈がないのだろう。
「どうぞどうぞ。
ここもウチの敷地なんで、そのまま停めれるんです。
光戦士君はジュースが好きなんだよね?
何か飲みたいものはある?」
「え、じゃあ岡山でしか飲めないジュースが飲みたいのだ。」
「お安い御用だよ!
今、出前持って来させるね!
大丈夫、2階の喫茶店は身内みたいなものだから!」
他人の事なので深くはツッコまなかったが、愛人に喫茶店?スナック?を経営させているらしい。
岐阜の松永も名古屋で似たようなことをさせていたので、女に小商いをやらせるというのは、男としてのゴールの1つなのかも知れないな。
俺?
しないよそんなこと。
する訳ないだろう。
君だって胡桃亭2号店なんか地球に作られたら困るだろ?
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【大都会w】 案件! ステマ配信なのだ♥ 【ご当地w】
「ボクの名前はずんだもん!
枝豆の妖精を自称している哀しき不登校少年なのだ。
精神鑑定はノーセンキュー。
カエルの子がカエルである事は自分が一番理解しているのだ。
はい、今は大都会岡山に来ております!
ネタにしてやろうかと思ってキョロキョロしてるんですけど。
平凡な地方都市っすね。
特に弄る部分ないのだ。
はい、という訳で今日は突発案件をやります!
名付けて、大都会ステマ配信~、ぱちぱちぱちなのだー♪
はい、ここに並んだジュース。
確かにボクはジュースを飲みたいとリクエストしました。
それはね?
あっちのコンビニで買ってこいや、というニュアンスだったんですけど。
見て下さい、この真横に並べられたご当地ジュースの容器。
ちなみに自分で並べた訳じゃないです。
はい、賢いボクは空気を読みました。
これはご当地商品を紹介しろという、田舎者特有のプレッシャーですね。
ちなみに今のところ、ギャラの打診はないっす。
あ、睨まれたww
じゃあ、ボクも忙しいので手短に!
岡山突発ステマレビュー配信~♪
おかやまおかやまwww
精々頑張って広島市さんと競って下さいなのだw
それでは最初は《備前名物・桃太郎ジュース》
はい、単なる桃ジュースですねw
うーん、ゴキュゴキュ♥
桃の味がするのだ♪
以上!
続いては《はれのくに・鮮烈ピオーネ》
ピオーネっていうのは岡山の葡萄?
そういう銘柄?
はーい、ゴキュゴキュ♥
葡萄の味がするのだ♪
以上!
そして最初から気になってました!
《飲むきび団子》
え? これはきび団子を溶かしてるんすかね?
喉につっかえない?
もんもん。
よーし、ゴキュゴキュ…
団子は固形で食わせろ♪
以上!
そして、《幻の足守メロンジュース》
何か高級っぽいっすね。
足守って地名?
はーい、ゴキュゴキュ♥
メロンの味がするのだ♪
以上!
え?
《岡山シャインスパークマスカットジュース》を飲め?
いや、葡萄はさっき飲んだし。
大体、そんなジュースばっかり連続で飲めるわけないのだ。
え?
地元の議員さんの親族が経営してる会社の商品?
出たー、田舎特有の村秩序ゴリ押し。
シティボーイのボクとしては一番辛いんすよねー。
大阪のド真ん中に千林商店街っていうメガロポリスがあって、ボクはそこで生まれた貴公子なんすよ。
え?
イントネーションが関西人ではない?
ウチ毒親っすからね。
友達出来なかったんすよ。
そういう奴は大抵方言を身に着ける機会がないのだ。
近所の子は
《金本さんちの息子さんとは遊んじゃ駄目》
って言われて育つそうっすよ。
最近、近所の子にコメ欄経由で教わりました。
ああ、ゴメンなのだ。
話が脱線したっすね。
はいはい、大人のボクは田舎の忖度文化にも付き合いますよ。
《岡山シャインスパークマスカットジュース》
はーい、ゴキュゴキュ♥
人工甘味料の味がするのだ♪
以上!
それじゃあ、みんな。
URL貼っておくから欲しけりゃ買うのだ。
但しタワマンに住んでる奴はダース注文禁止。
特に
《岡山シャインスパークマスカットジュース》
はかなり箱重量あるから、配達員さん泣かせなのだ。
いいな?
マンション住んでる奴は絶対に
《岡山シャインスパークマスカットジュース》
を置き配指定しちゃ駄目なのだ!
それじゃあ皆様♪
まったねーなのだ♪
ちゃんちゃん♥」
【この配信は終了しました。】
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「何から何までありがとうございます。」
『いえいえ、彼が自分で判断したことなので、礼は本人に言ってあげて下さい。
私も少しでも堀内社長の御地元の商品が売れる事を願っております。』
こんな動画一つで商品の売れ行きが劇的に改善する訳がない。
それでも、現在名産品と呼ばれ定着している商品は、こういう地道な宣伝活動を積み重ねてマーケットの支持を獲得しているのだ。
《飲むきび団子》
これなんかはインバウンド向け商材としては最適だと思うがな…
いや、勿論個人的には固形で食べたいんだけどさ。
雑居ビルの最上階フロアが堀内の住処であるらしい。
巨大なソファー、壁面を目一杯に使ったスクリーン、barに置いてあるようなお洒落なミニ冷蔵庫、曇りガラスで隔てられただけの浴室。
恐らくは女と住む為の部屋なのだろう。
光戦士も気付いているようだが、ちゃんと知らん顔をしてくれている。
「こういう雑誌に載ってるような部屋にずっと憧れていて。
あのソファーもわざわざ横浜まで行って選んだんです。
だから、神奈川には秘かな愛着もあって。
それで猊下にも勝手に親近感を持ってました。
スラムダンクの踏切も行って来ましたよ。
あれ、格好いいですね。
中国からの観光客も大はしゃぎしてました。」
『…地元に帰ったら。』
「はい。」
『岡山のことも宣伝させて下さい。』
「見るものなんて何も無いですよ。」
『私は好きですよ。
海も、さっき通った田園地帯も、とても綺麗でした。』
「これで人の心も綺麗なら、どれほど良かったことかw」
『ふふふ、浜松で鈴木社長に同じことを言われましたw』
「ええ? そうなんですか?」
『それぞれの故郷を良い場所にして行きたいですね。』
「………。
はい!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
堀内堅造の従兄弟・堀内信彦。
ほりけん@が原作監修したエッセイ漫画にも頻繁に登場する人物。
下手をすれば日本一有名な猟師かもしれない。
先程急いで目を通したコミックスでもそうであったが、訥弁な男である。
酒乱の描写が何カ所かあったので、酒は勧めないと決めている。
「あ、遠市さん、コレ、良かったら。」
「ノブ! 猊下な、猊下。」
「あ、スミマセン。
猊下、修験道の装束一式持って来ました。」
『突然無理を言って申し訳御座いません。
あの後、探して下さったのでしょうか?』
「あ、って言うか。
ツレが役職に就いてまして。
電話したらくれるって言うから。」
『ありがとうございます。
お心遣いに深く感謝申し上げます。
ご友人様にも何卒良しなにお伝え下さい。』
「あ、はい。
どもです。」
堀内信彦が持参したのは修験道の衣装。
こちらのサイズが分からなかったので、箱ごと大量に持って来てくれたらしい。
頭巾、結袈裟、手甲、脚絆、鈴懸袴。
色々オプションがあったが、着用は辞退。
白装束だけを着せてもらう。
装飾は不要。
何の知識も修行経験もない俺が修験者かのように振舞うのは、修験道に対してあまりに非礼である。
「あ、あの、猊下。
それでは体験入門の初心者の様に見えてしまうので
せめて結袈裟だけでも纏って頂けませんか?」
『私は無知無学の初心者です。
そう見えるのが当然ですし、衣装の力で自分を大きく見せるつもりもありません。
えっと、それではこの衣装を購入させて頂く形で宜しいでしょうか?』
「ああ、いえいえ!
そんな! おカネなんてとんでもないです!」
『いえいえ、こうしてわざわざ届けて下さったのですから。
ただ働きという訳にはいきません。』
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
65億8448万0000円
↓
65億6448万0000円
※堀内兄弟に謝礼として2000万円を贈呈
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「いやいや!
流石にマズいですよ!
そんな、だってこんな、我々何もしてませんし。
衣装だって原価は安いものですよ!」
堀内兄弟の恐縮は理解出来る。
確かに法外ではあるのだ。
しばらく静かに押し問答をした後で、堀内堅造がゆっくりと口を開く。
「何か我々で出来る事はありますか?」
流石に世慣れているだけあって、こちらが何かをさせたがっている事はとっくに見抜いているのだ。
俺はさも今考え付いたような表情を作って、子供食堂への支援計画を打ち明けた。
予想通り協力を取り付ける事が出来る。
そして流れでフリーペーパーの件も話す。
メディア関係に強い堀内なら積極的に乗ってくれるという計算もあった。
案の定、「岡山市内でならスポンサーを取る自信はあります」との回答。
やはり聡いな。
こちらのニーズを的確に汲んでくれる。
正直、ありがたい。
話題の雰囲気は、相談というより取引の様相を呈して来たので、2人からの要望も念を入れて聞き取っておく。
協力体制を作るなら盤石にしておきたい。
「えっと、つまらんことなんですけど。
家畜泥棒が増えて困ってるというか。」
『え? 岡山でもなんですか!?』
「最初は関東限定の話かと思ってたんです。
作州の中でもウチは更に山奥だから。
でも、近所で一番デカい厩舎から牛がごっそりやられちゃって。
いや、俺の同級生が経営してたんですけど…
そいつ首括っちゃって。
もうね、残された奥さんとか息子さんとか…
ホント酷い話ですよ。」
『和牛泥棒ですね?』
「はい、賞をとるような超高級畜牛です。
畜産の世界では、結構有名人だったんですよ、そいつ。
丁度新しい設備も入れて、これからって時に…」
『信彦さん。
和牛泥棒、やはり多いですか?』
「全国的に凄い被害が出てます。
警察や政治家は全然動いてくれないし…
やってられないですよ。」
『わかりました。
実はこの件は、警視庁経由で捜査を依頼しております。』
「おお!
猊下は警察ともコネがあるんですね!
いやあ、心強いです。」
『いえ、コネと言いましても現時点では現場レベルですので。
力不足で申し訳ありません。
改めて上層部とのパイプ作りの重要性を痛感しております。
和牛泥棒の件、当局に対して再度強く申し入れる事を約束致します。』
「いえいえ!
猊下くらいのものですよ。
我々の話に耳を傾けて下さるのは!
政治家の奴らは選挙の時だけいい顔しやがって
こういう事があっても、言い分を聞くことすらしてくれないのに。
猊下は都会の方なのに、ちゃんと事件を知っていて下さって
それだけでも嬉しいです。」
期せずして、地方の悩み相談みたいな話の流れになったので、ついでに全て聞いておく。
と言っても飛騨下呂や越前今庄で聞いた話とそこまで変わらない。
現金収入の乏しさ。
農業従事者の高齢化。
空き家問題。
稲作農家の苦境。
ガソリンスタンドの閉鎖。
光戦士にスマホアプリでメモを取らせながら、1点1点を理解出来るまで掘り下げて質問する。
俺が概要を把握し切れない状態でカネだけ配っても逆効果になる可能性すらあるからな。
出資者には誰よりも出資先について学ぶ義務があるのだ。
『お米ってそんなに経営苦しいですか?
私の友人の定食屋さんは、コメ価格が上がってると言っていたのですけど。』
「確かに単価は上がってるんですよ。
でもそれは肥料代・燃料費の値上がりが反映されたものなんで。
ほら、今ってロシアが戦争してるじゃないですか?
日本は肥料全部輸入だから。
どこも経営キツイですよ。
それとは別に需要が下がってますしね。
最近の人はお米を全然食べてくれないんで。
特に女性に嫌がられてるんですよ。
《米を食べると太る》って。」
『太るんですか?』
「そりゃあ、現代人は運動しないから。」
『ああ、確かに。』
そういう話の流れだったので、俺が農家から高めに購入したコメを子供食堂の経営者に配布する案を提案して、岡山でも実験することで決まる。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
65億6448万0000円
↓
64億6448万0000円
※堀内兄弟に対岡山県工作費用として1億円を支給
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
他に知り合いもいないので、堀内兄弟に何もかも丸投げ。
そっか、残りは46都道府県か。
あ、やっぱりこのスキーム行けるな。
このまま地方を回ろう。
仮に1県10億を配ったとしても500億掛からない。
かなりコスパが良い手法だ。
トンカツラーメンなる名前そのままのご当地ラーメンを出前で取って貰ったので、皆で啜る。
光戦士の偏食が心配だったが、こういう味の解りやすいものは受け入れられるらしく、喜んで食べていた。
結構腹に来る。
話は付いたので、牛窓まで送迎して貰う。
帰りの車内では「大都会学園マタギ部」の主題歌が大音量で流れる。
こういう滅茶苦茶な曲を電波ソングというらしい。
「店もねえ♪
仕事もねえ♪
予算も議席もねえ♪
何より人の心がまるでねえ♪」
光戦士は余程気に入ったのか、爆笑しながら放歌していた。
このアニメが当たった理由と堀内が地元に嫌われている理由が想像出来る。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
牛窓に戻ると、坊門・宇田川が既に訪れており、ラフな服装でくつろいでいた。
聞けば、坊門の財界仲間も付近に分宿しているらしい。
後ほど挨拶させて欲しいとのこと。
更には、公安(?)の小牧と数名も背後に控えてる。
役人ってカネが貰える時は行動早いよな。
皆に堀内兄弟を紹介して、岡山土産をそれぞれの車両に分配する。
特に美作名物の「干し肉」は家畜盗難事件の解説に絡めてプッシュしておく。
事件解決の秘訣は1にも2にも情報共有の徹底だからな。
俺がパラソルの下のベンチに座ると、それを合図と解釈した小牧が近寄って来る。
『小牧さん、こんな所までわざわざ来なくても。』
「いや、それは猊下が!」
何かを言い掛けた小牧が隣の男に睨まれて黙る。
すまじきものは宮仕えかな。
「いつも小牧が御迷惑をお掛けしております。
上司の時任と申します。」
『ああ、これはこれは御丁寧に。
遠市厘で御座います。』
「まずは、猊下には先日のお礼を述べさせて下さい。」
『礼、ですか?』
「ご浄財の件です。」
『ああ、あれですか。
どうかお気遣いなく。』
忘れてた。
確かに小牧に1億ほど支給したか。
いや1000万だったか?
駄目だ、金額が思い出せない。
まあ幾らでもいいさ。
防諜機関の管理職が御礼言上に訪問する程度の金額ではあったのだろう。
時任は上目遣いでこちらをチラチラ見ながら、俺のイベントや神聖教の教義を褒めている。
不覚にも真意がすぐに分からなかったのだが、数分経ってからようやくカネの無心をされている事に気付く。
『時任部長。
予算配分の話ですよね?』
「あ、いえ、はい、いえ!」
『あの、私はちゃんと織り込んでおりますので。
そこは安心して下さい。』
「ああ、いえいえ!」
『ただ、現時点で60億チョイしか手元に無いんです。
速やかに増やしますので、分配はそれからで大丈夫ですか?』
「いえいえいえ!
そのお言葉を頂戴出来ただけでも感無量で御座います。」
『えっと今日はお車で来られたのですよね?
1棟提供しますので、まずはご休憩下さい。
後ほど食事も提供致します。』
「ああ、これはこれは。
何と申し上げてよいのやら。」
時任という男があまりに抽象的な発言しかしないので、《流石は防諜畑だな》と感心していたのだが、棟まで送る際にペラペラと部署の内情等を打ち明けて来る。
次に更迭される米国閣僚とか、来年の都知事選の裏事情とか。
『私にそんなことまで話しては駄目でしょう!
特に同盟国の人事は流石に…』
「霞が関では、比較的公知に近い情報ですので…
猊下に誠意をと思いまして。」
「いやいやいや、私は御存知の通り無位無官の身です。
幾らなんでも、勇み足ではないのでしょうか?」
「ああ! 大変申し訳御座いません!」
時任は恐懼しているが、これは試験か何かであろうか?
口の軽重を問われている?
わからない。
ただ、防諜方面で管理職まで昇進する人間に馬鹿はいないだろう。
…いないよな?
頼むぞ。
とりあえず役人は雰囲気を壊しがちなので、コテージに押し込んでしまう。
駄目元で和牛盗難事件の解決を相談するが
「いや、それは警察庁さんの管轄ですから。」
と真顔で返されてしまう。
なるほど、管轄外に誠意を発揮しない訓練に関しては万全らしい。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
時任達を押し込めると、釣り道具やバトミントンセットを抱えた坊門が笑顔で近づいて来る。
元気な爺さんだな。
「いやあ、見事に関西の有徳人が集まりましたな。
ここより派手に人を集めてるのは、胡桃倶楽部さんくらいのモンでっせ。」
『…胡桃倶楽部?』
一瞬、心臓を掴まれるような恐怖を感じる。
「おや、御存知ありませんでしたか。
いわば婚活付き経団連ですわw
一瞬で守成クラブとかBNIを越えてまいました。
あの着眼点は面白いわぁw」
『そ、そんなに凄い団体なのですか?』
「ん?
主要経済誌に派手に広告出してはるやないですか?
去年くらいからかなあ。
今、車に積んでまっせ。
お、あったあった。
ほら、ここですわ。」
『…明治神宮を貸し切り!?』
「え?
御存知ありませんでしたか?
有名な話ですよ?
いやあ、あそこは凄いですなあ。
鳥飼洋行の息子を結婚させたんでしょ?
あんな中年コミュ障が20代の嫁さん貰ったって
ウチの甥っ子も入らせようかなって思ってるんですよ。」
『そ、そんなに凄い団体だったのですね。』
「そらあ猊下w
あそこはカネの使い方が別格ですもん。
頭の出来が違いますわww
近いうちに経団連越えるでしょ。
関西にも支部作ってくれたらワシも入るんですけど♪」
ヒルダ…
アイツ無敵か…
片頭痛を堪えながら、胡桃倶楽部の詳細を皆に教わる。
っていうか、普通に日経新聞にコラム欄持ってるのか…
ん? 代表はヒルダじゃないのか…
どれどれ、胡桃倶楽部新代表…
渋川薫子。
あれ?
この写真って…
どこかで…
あ!
寺之庄の婚約者!?
あ!
ヤバいヤバいヤバい!!
上手く言語化出来ないが、この流れはマズい気がする。
娼婦師団の悪夢再び!
…ヒルダ・コリンズ、アイツ化け物か?
何でこんなにスムーズにシンパを増やして、組織化出来るんだ?
異常だぞ、アイツ。
あの女にとって地球はアウェイだろ?
こんなの絶対おかしいよ!
慌てて寺之庄を呼び確認。
愕然とした表情を見るに何も聞かされていなかったらしい。
(と言うより婚約者の存在を失念していたようである、酷い男だ。)
急ぎ後藤も呼び情報共有。
ヒルダと胡桃倶楽部の情報を知り得る限り話す。
「いや、トイチ君。
そんな大事な話をどうして黙ってたの。」
『申し訳ありません。
うっかり忘れてました。』
「君も酷い男だねー。」
『いやはや何とも。』
3人で頭を抱える。
『あの、渋川さんってどんな女性なんですか?
政治的な傾向だけでも教えて頂きたいのですが。』
「え? さあ。」
『いやいや!
ヒロノリさんの婚約者さんでしょう。
普段どんな話をしてるんですか?』
キョトンした表情で見返される。
あっ、コイツ微塵も渋川薫子に興味を持って無いな。
『貴方も酷い人ですねー。』
「そうかなあ。」
寺之庄に食い下がり、渋川薫子のプロファイリングを試みるが…
判明するのは寺之庄の酷薄さばかり。
コイツ人間の心がないのかな?
「ヒルダさんは何か言ってたの?」
『あ、いえ。
あの女とは仕事の話しないので。』
「でも概要位は聞かされてるでしょう。」
『ああ、機会があればその話もするつもりだったのですけど。
アイツって今、どの辺に居るんですかね?』
「うわあ、君には人の心がないのかな?」
寺之庄が当てにならないので、備え付けのPCで《渋川薫子》と検索してみる。
どうやら国粋系リバタリアンとして同性の支持を昔から集めているらしい。
(日本国には強固な保守性を要求するが、自分は好き勝手に遊ぶという平凡な思想。)
『へえ、婚約者さんって
テーブル式の茶道を推進されてるみたいですね。
ん? 簡略化和服の発案者とも書かれてる。
業界では結構有名な方らしいですよ。』
「へー。
あ、トンカツラーメンどうだった?」
『アレは肉体労働の後に食べるものですね。
個人的には好きなんですけど、トンカツとラーメンは別々に食べたいです。』
「今、イギリスでカツカレーが流行ってるからさ。
意外にトンカツラーメンもアピール材料になるんじゃないかな?
岡山県さんもインバウンドは欲しがってるんでしょ?」
『さっき、念の為光戦士に動画撮らせたんです。
ガイジン向けに紹介動画作れないですかね。』
「Googleなら普通に英語字幕作れると思うよ。
漢語に関しては微博の方が精度高いと思うけど。」
『はええ、Googleって万能ですね。』
「うん、ウチの教授も調べ物はほぼGoogle。
トイチ君も使い慣れといた方がいいよ。」
『はい!
えっと、じゃあ念の為に
《ヒルダ・コリンズ》と。』
「うわ!
凄い、ヒルダさんのなろう小説!
コミックス化されてる!!
先月刊行の2巻が重版!!」
マジかぁ。
アイツがAIに執筆させた《正直婚活仲人》
漫画になっとるーーーーー!!!
いや、驚くのはそこじゃない。
なろう以外の情報が全然出て来ないんだが。
あ!
ひょっとして検索対策で小説を書いたのか!?
いや、まさか。
本当に何なんだよあの女。
《Hilda Collins》
《Хильда Коллинз》
《Хільда Коллінз》
英語、ロシア語、ウクライナ語で調べるも、俺達の検索能力が低いのかあの女の情報にはたどり着かない。
同名の歌手がワルシャワで活動しているが…
後、エストニアの大工さんの奥さん。
どうやら両名共にヒルダ(異)とは無関係っぽい。
胃が痛くなってくる。
あの女は何を考えているのだろう。
わからん。
「ねえトイチ君。
直接聞いてみたら?」
『えー、連絡先知らないですしねえ。
ヒロノリさんから、渋川さんに聞いてみて下さいよ。』
「えー、連絡先は知ってるけど。
そういう話をしたことないからなあ。」
『いや、普段はどんなメッセージをやり取りされてるんですか?』
「んー、どれどれ。
あ、ゴメン。
一度も連絡取ったことないみたいだね。
ほら。」
『うわあ、酷いなあ。』
「あ、いいこと思いついた!
真姫に連絡したら、薫子さんに繋いでくれるんじゃないかな?」
『ええ!? それって
余計に話がこじれないですか?
知らんけど。』
「ああ、駄目かなあ。
僕、こういう人間関係的なこと昔から疎いんだよね。」
ふむ、完璧に見えるこの男にも、苦手はあったのだ。
そりゃあね、1つ位は短所を持ってくれないと、俺の劣等感がヤバいからね。
あ、ちなみに俺も人間関係は大の苦手だ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
結局。
推移を慎重に見守ることに決めた。
うむ、ヒルダ対策は明日考えよう。
渋川対策を寺之庄に考えさせてから、連動してヒルダ対策を練ることを決意する。
「トイチ君がヒルダさんへの対策を考えてから、薫子さんの事を考えるよ。」
さっきから寺之庄はGoogleに《婚約 解消》《民法 婚約》《人間関係 清算》と尋ねている。
表情を見るに天下のGoogleと言えど万能ではないらしい。
まあ、所詮は外国企業だしな。
福井の濃密な人間関係・政治力学を紐解ける訳もないか。
『あのー、お2人共。
そろそろ恩寵の儀なんですけど。
今日はやる気出ないんですよねー。』
「トイチさーん。
たまには休憩してもええんちゃいます?」
『いや、休憩って言っても。
もうすぐ出る物が出ちゃいますし。』
「あ、じゃあ俺らが集計とか全部やっときましょうか?」
『その間、私は何をすれば…』
「うちわあるけど、使っときはりますw」
『うーーーん。
真面目にやりますw』
「流石トイチさん
信じてましたよーw」
そんな会話をするうちに17時。
《85億1038万3000円の配当が支払われました。》
『あれ?
金額増えてません?』
「いや、そんなこと俺に言われても。」
『えーっと、ここまで急激に金額が膨れるのは
流石に不自然ではないですか?』
「うーーん。
そもそもカネが降って来ている現状が不自然ですからね。」
『…確かに。』
客観的な助言ってありがたいよな。
皆で這いつくばって紙幣を拾い集める。
途中、爪の隙間を紙幣で切ってしまい、俺はリタイア。
地味に痛いので泣いてしまう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
64億6448万0000円
↓
654億6448万0000円
↓
739億7486万3000円
↓
149億7486万3000円
↓
137億9486万3000円
※合計590億円を預託との報告
※配当85億1038万3000円を取得
※元本590億の確認。
※配当用の11億8000万円を別途保管
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「だ、大丈夫ですか!?」
『いたたたた。
おカネをくれるのは嬉しいんですけど。
せめて帯封で貰えませんかね?』
「えーー、流石にそこまで要求するのは…」
『罰当たりですかね?』
「うーーん。
貰えるだけでも感謝せなアカンと思いますよ。」
『ですよねー。
猛省しておきます。
猛省しつつも善後策を練ります!』
「お! 流石はトイチさん!」
Googleに対策を聞こうとするが、指が痛いので寺之庄に代わりに尋ねて貰う。
『へえ、全自動紙幣札束機かあ。
インターネッツには何でもありますね。』
「これでも表のネットですからね。
ダークウェブって裏のネットでは人身売買とか武器密輸とかも行われるみたいですよ。」
『うわあ、怖いなあ。』
「ちなみに一番ヤバいのは勝手にHUNTER×HUNTERの続きを連載している人ですね。」
『いやあ、ホントにアレはヤバいですよねー。』
「プルトニウムを密売している連中がダブルハンター。
HUNTER×HUNTERを無断連載している七感さんはトリプルハンターらしいですよ。」
『冨樫先生のサインまで偽装するのは、犯罪以外の何物でもないですからね。』
そんな話で盛り上がりながら、全自動紙幣札束機の入手を決意。
足の付かない入手ルートを検討する。
『あ、すみません。
小牧さん達を呼んで貰えます?』
防諜畑に居る位だから体力も人よりあるだろう。
そう思って、2人を呼ぶ。
「あの猊下、我々が何か…」
『いえいえ、時任部長。
クレームとかではないんです。』
「ああ、良かった。」
『折角来て頂いて手ぶらで帰すのもなんですし。
これ、お納めください。』
「え?」
『いや、あの車大きいですし…
300㌔くらいなら積めるでしょ?』
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【所持金】
137億9486万3000円
↓
107億9486万3000円
※内閣国際連絡局に30億円を予算分配
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ああ、いえ!
いえ!
本日はあくまでご挨拶だけで!
そのような意図は一切御座いませんので!!!」
『まあ、そうは仰られましても
来年度の予算削減は覆せないんですよね?』
「ええ、はい。
財務省にも確認を取ったのですが…
あれほど厳しい応対をされるとは思いもよらず。」
『じゃあ、まあ。
取り合えず、当面の資金ということで。
釈迦に説法かとは思いますが、スペシャリストは絶対に手放さないように。
特に語学とIT!
約束して頂けますね?』
「はい!
勿論です!!」
『では託します。
後は皆様の御裁量で。
別に報告とかは不要ですので、本分を全うなさってください。』
「え!?
報告も免除で宜しいんですか!?」
『いや、機密漏洩の確率は1%でも下げるべきですよ。
だって私素人ですし、拉致されて拷問とかされたらペラペラ喋っちゃいますよ?』
「あ、いえ、いや、あの、はい、いえ!」
『ああ、それと。
これらの資金は約束とは別口です。
1000億は別途工面しますので、御安心下さい。』
「あ、ああ、あああああ、あ…」
『じゃ、そういうことで。
これ、岡山名物の《飲むきびだんご》です。
部署の皆様でご賞味下さい。』
「ああ、あ、あああ、ああああ…
げ、げ、げ、げげげげ!!!
猊下ァあああああああああああ!!!!!
うおー! うおー!」
さて、メシ食って寝るか。
光戦士にも歯を磨かせなきゃな。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【判決死刑】 またまた騙されました(冷静です) [雑談]
※この配信では「たぬきの葉っぱ」で匿名コメントができます
「どうもー。
夜猫@の夜更かし担当!
相模の獅子ッ!!
ルナルナ@貫通済でーーす♥
昨日の深夜ライブ来てくれた人ありがとーー!!!
アンプ壊してごめんなさーーーい!!!」
「どもニャー♪
夜猫@のニャンニャン担当!
仰げば尊と恩師ッ!
奈々ちゃんでーーす♪
満員御礼ニャニャニャニャーン♪
手料理差入キモキモニャ―ンww」
「はい、奴にはまたも騙されました!」
「だから言ったニャ。」
「奴はねー。
ウ↑チ↓には《大阪に居る》って言ったんですよ。
ねえ、画面の前のみんなも聞いてたよねえ?
いや、それでね?
妻としてね?
サプライズ夜這いに来たんスよ。
そしたらアナタ。
あの配信の時には既に岡山県に居たって言うじゃないですか。
なーんで、嘘吐くかな。
女かな?
やっぱり女か?
ねえ、絶対女関連でしょ!?
ホモのフリをして女を連れ歩いてる可能性が濃厚。
それ以外に考えられない。」
「悪い事は言わないから別れろニャ。」
「うーーーーーん。
コンコルド効果って使い方合ってる?」
「的外れではないニャ。」
「うーーーーーん。
今日は本気で怒ってます。」
「その割に口調が冷静ニャ。」
「いや、奴を殺した後に裁判で殺意の有無を問われると思うから。
配信で殺意を出すのは不利かな、と。」
「被告人、殺意はありましたかニャ?」
「いいえ、ありません。
よし、これで情状酌量は勝ち取れるな。」
「司法舐めすぎニャw
お姉様はやらかしまくってるからマ●コ割引が効かない可能性あるニャ。」
「司法キビシーーー。」
「いや、甘すぎる位ニャ。」
「ねえ。」
「駄目ニャ。」
「まだ何も言ってないだろ。」
「どうせ岡山行きたいニャ?」
「…逢いたい。」
「色ボケー。」
「ゴメン。」
「せめて通話で我慢しとけニャ。」
「抱かれたいのよー。
セックスがしたいのね。
そしてそれを全世界に配信したい。」
「多分、何らかの法律に抵触するニャ。」
「するかなー?」
「たまにFC2でバカップルが逮捕されてるニャ。」
「あんな連中と一緒にされるのはキツイわー。」
「じゃあ、百歩譲ってセックスまでは許可を出すニャ。」
「あざっす。」
「でも配信はなし。」
「何でよー。」
「デジタルタトゥーになるでしょー。
スミ入れるのは身体だけにしときニャー。」
「ねえ。」
「何ニャ?」
「別れた方がいい?」
「だーかーらー!
100万回以上そう言ってるニャ!」
「でも、ちゅきー♥」
「キモイからやめーニャ。」
「ねえ、ダーリン様のどこが駄目なの?」
「全部。」
「うお、キッツw」
「先回りして忠告しておくニャ。
アイツ、カネだけは持ってるけど
下手すりゃ嫁さんに1円も出さないタイプだニャ。」
「えー、でもスシローの賠償金払ってくれたよ。
向こうの弁護士もドン引きしてたじゃん。」
「だーかーらー。
アイツの中ではトイチ・スシロー間の問題になってるの。
そこにアンタは入って無いの。
トイチの脳内では雑貨屋で子供が割ったグラスを親が弁償している構図なの。」
「うーーん、そうっスね。
認めたくはないけど、ダーリン様ってそういう人。
そういう硬派な所がちゅき♥」
「後、反トイチデモも激化してるから止めとけニャ。」
「なんかスペインで騒いでるらしいね。」
「今のところ、マドリードとオタワだけだけど。
すぐに広がるニャ。
《レズは死刑発言》が尾びれついて全世界に拡散されてるニャ。
三橋ー、画面出せニャー。」
「左のモニターに出しまーす!」
「ああ、本当だ。
ダーリン様の写真が焼かれてるーーww。」
「ビアン界にとっては文字通り生き死にが掛かった状態ニャ。
さっきもフェミ団体っぽい所からメール来てたしニャー。
よっぴー、翻訳終わったニャ?」
「結論から言うと、公開質問状です。
《何故あなた方は同志を裏切り男性社会の手先になるのか?》
だそうです。
送信元は国際レズビアン血盟団、本拠はアムステルダム。
国連人権委員会とも密接な協力関係にありますね。」
「どうするニャ?」
「きっしょ。」
「敵を増やすニャww」
「ウ↑チ↓はチ●ポが好きでーすwww
レズ死ね、ばかばかばーかwww
腋毛臭いんだよ、死ねブス!!
よっぴー、この文面で返信しといて。」
「うっわー、360度喧嘩売ってくスタイルだニャ。
何?
そんニャに同性が嫌いニャの?
奈々ちゃんには結構甘えてくるのニャ?」
「奈々はねえ。
唯一チ●ポの代用品として機能する。」
「え? DISってる?
恩師侮辱罪は死刑だニャ?」
「愛♪」
「雑!
最近言い訳が雑!」
「それくらい奈々がちゅきー♥」
「はい、鷹見さん。
先生と遠市君ではどち「ダーリン様でーす♥」
「アイツ以下とか屈辱でしかないニャ!!」
「わっはっはww
大丈夫、奈々はマ●コ部門で好感度1位だから。」
「ちなみに2位は誰ニャ?」
「えっと、じゃあヒルダでいいや。」
「マ●コ部門雑すぎいいい!!!!」
「優勝おめでとーww」
「あ、レズデモの続報入ってるニャ。」
「んー?」
「ああ、大丈夫大丈夫。
大規模な反日運動に発展したって書いてるだけニャ。
現地の日本大使館に火炎瓶が投げ込まれただけニャ。」
「へー。
それより大阪で何喰う?」
「お好みニャきー!」
「お、いいね。
おーい。
三橋ー、よっぴー、車両スタッフのゲンさんも。
皆でお好み焼き喰いに行こうぜー。
食事配信する?」
「えー、歯に青海苔が挟まったスクショが出回る未来が目に見えてるニャ。」
「あるある。
女って、そういう粗探しされるから損だよなー。」
「おまけにレズるとトイチに処刑されちゃうニャww」
「あっはっはっはw
今晩も処刑されとく?」
「何なら毎朝処刑され兼ねんニャww」
「「ぎゃっはっはっはっはwww」」
「それじゃあみんニャ♪」
「養分乙~♥」
「今からお好みニャきー♪」
「まったねー♪」
「まったニャー♥」
【この配信は終了しました】
【名前】
遠市・コリンズ・厘
【職業】
神聖教団 大主教
東横キッズ
詐欺師
【称号】
女の敵
【ステータス】 (地球上にステータス閲覧手段無し)
《LV》 13
《HP》 慢性的満身創痍 (爪の間を負傷)
《MP》 万全
《力》 女と小動物なら殴れる
《速度》 小走り不可
《器用》 使えない先輩
《魔力》 ?
《知性》 悪魔
《精神》 吐き気を催す邪悪
《幸運》 的盧
《経験》 41248
本日取得 0
本日利息 4419
次のレベルまでの必要経験値40662
※レベル14到達まで合計81910ポイント必要
※キョンの経験値を1と断定
※イノシシの経験値を40と断定
※うり坊(イノシシの幼獣)の経験値を成獣並みと断定
※クジラの経験値を13000と仮定
※経験値計算は全て仮説
【スキル】
「複利」
※日利13%
下3桁切り上げ
【所持金】
107億9486万3000円
【所持品】
jet病みパーカー
エモやんシャツ
エモやんデニム
エモやんシューズ
エモやんリュック
エモやんアンダーシャツ
寺之庄コインケース
奇跡箱
コンサル看板
荒木のカバン
天空院翔真写真集vol.4
白装束 ←new
【約束】
古屋正興 「異世界に飛ばして欲しい。」
飯田清麿 「結婚式へ出席して欲しい。」
〇 「同年代の友達を作って欲しい。」
「100倍デーの開催!」
× 「一般回線で異世界の話をするな。」
「世襲政権の誕生阻止。」
〇後藤響 「今度居酒屋に付き合って下さい(但しワリカン)」
「大阪を滅ぼさないで下さい!!!」
「空飛ぶ車を運転します!」
江本昴流 「後藤響を護って下さい。」
「遠市王朝の建国阻止。」
×弓長真姫 「二度と女性を殴らないこと!」
× 「女性を大切にして!」
〇寺之庄煕規 「今度都内でメシでも行きましょう。」
×森芙美香 「我ら三人、生まれ(拒否)」
×中矢遼介 「ホストになったら遼介派に加入してよ。」
「今度、焼肉でも行こうぜ!」
〇藤田勇作 「日当3万円。」
〇堀田源 「トイレコインの使い方を皆に教えておいて。」
〇山田典弘 「一緒にイケてる動画を撮ろう。」
〇 「お土産を郵送してくれ。」
「月刊東京の編集長に就任する。」
楢崎龍虎 「いつかまた、上で会おう!」
警視庁有志一同 「オマエだけは絶対に逃さん!」
×国連人権委員会 「全ての女性が安全で健(以下略)」
〇安宅一冬 「浅草寺周辺を一緒に散策しましょう。」
水岡一郎 「タックスヘイブンの利用・移住をしないこと。」
×平原猛人 「殺す。」
「鹿児島旅行に一緒に行く。」
「一緒にかすうどんを食べる」
車坂聖夜Mk-II 「世界中の皆が笑顔で暮らせる、優しい世界を築く」
今井透 「原油価格の引き下げ。」
〇荒木鉄男 「伊藤教諭の墓参りに行く。」
鈴木翔 「配信に出演して。」
×遠藤恭平 「ハーレム製造装置を下さい。」
〇 「子ども食堂を起ち上げる。」
〇田名部淳 「全財産を預けさせて下さい!」
三橋真也 「実は配信者になりたいので相談に乗って下さい。」
DJ斬馬 「音楽を絡めたイベントを開催する際、日当10万で雇用する。」
金本宇宙 「異世界に飛ばして欲しい。」
金本聖衣 「同上。」
天空院翔真 「ポンジ勝負で再戦しろ!」
小牧某 「我が国の防諜機関への予算配分」
阿閉圭祐 「日本国の赤化防止」
坊門万太郎 「天空院写真集を献納します!」
宋鳳国 「全人類救済計画に協力します!」
堀内信彦 「和牛盗難事件の解決をお願いします!」
内閣国際連絡局 「予算1000億円の確保をお願いします!」
〇木下樹理奈 「一緒に住ませて」
×松村奈々 「二度と靴は舐めないにゃ♥」
〇 「仲間を売るから私は許して♥」
〇鷹見夜色 「ウ↑チ↓を護って。」
〇 「カノジョさんに挨拶させて。」
〇 「責任をもって養ってくれるんスよね?」
×ヒルダ・コリンズ 「芋羊羹…。」
「王国の酒…。」
「表参道のスイーツ…。」
× 「ポン酢で寿司を喰いに行く。」