表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
157/289

【降臨32日目】 所持金3億3889万7210円 「あのレベルの害悪は漫画の中にも居ない。」

深夜0時過ぎと言っても繁華街なので人通りは途切れない。

道頓堀沿いに居酒屋がひしめいているので、日付が変わっているとは思えないくらいだ。

更に民度は低くなっている気もするが、皆が楽しそうにしているのは俺も嬉しい。


弾き語りのお兄さんが、こちらを一瞥してからギターケースを開いた。

どうやら鷹見の配信が終わるのを待っていてくれたらしい。

…悪い事をしてしまったかもな。

俺は近くの自動販売機でペットボトルのお茶を買って彼のギターケースの脇に置いた。

曲のリクエストを尋ねられるが、俺には全く嗜みがない。



「スマホに入ってる曲でいいですよ?

大抵歌えますんで。」



『ごめんなさい。

スマホ持って無くて。』



「oh…

こちらこそ、スミマセン。」



しまった、また余計な恐縮をさせてしまった。

そろそろスマホ買わないと、周囲に申し訳ないな。

エモやんは、まだ俺より音楽の話が出来るらしくお兄さんと談笑を始めた。




結局、三橋は配信が終わっても帰らなかった。

近所に住んでいるので終電を気にしなくていいらしい。



「どうせ帰宅してもアニメ見てゲームやって寝るだけだから。

ガルパン君は、普段何してるの?」



『あー、いや。

前までは宅建の勉強してました。

合格してからはカネを数えてる事が多いです。』



「あははw

見た目に寄らず意識高い系だね。」



『私、スペックが低いんですよ。

せめて意識くらいは高めに保たないと。』



「おお、凄い。

僕も見習うよ。

何かおススメの資格とかある?」



『え?

何ですかね。

三橋さんは良い大学出ておられるんだから

専攻に沿ったキャリア構築を目指されるべきなのでは?』



「僕は情報工学。

基本情報とITパスポートなら持ってるんだけど。」



『それでしたら、就活困らないんじゃないですか?』



「僕、コミュ障なんだよ。

人前だと何も喋れなくなっちゃうの。

そもそも就職向いてない。」



『そうっすか?

配信の後、ギャラリーの人と楽しそうに話してたじゃないですか?』



「アレは…

憧れのルナルナさんのオッパイを吸ってハイになってたんだよ。

なんかゴメンね、彼氏の前でする話じゃないよね。」



『あ、いえ。

鷹見も三橋さんのこと、結構気に入ってるみたいなんで、仲良くしてやって下さい。』



「はは、お世辞でも嬉しいよ。

でも、僕じゃ駄目だね。」



『え?

そうなんですか?』



「だってルナルナさんもガルパン君も…

今や世界的なインフルエンサーでしょ?

僕なんか釣り合わないよ。」



『アイツ、そんなに凄いんですかね?

今も、皆から握手を求められてますし。

何であんなに人が集まるのか分からないんです。』



「そりゃあ、害悪界のスーパースターだからね。

ミナミは大阪でもヤンチャな奴が集まる場所だし、人気者になるのは当然だよ。

君もさっき写メに応じてたでしょ?」



『驚きましたよ。

私にまで2ショット撮る為に並ぶ奴が居るんですから。』



「そう。

そこなんだよ。

ルナルナさんや君と撮りたがる人間はいっぱい居るのに

僕は誰からも求められなかったでしょ?

これが《格》って奴だよ。」



『ふーーむ。

やっぱり知名度なんですかね?』



「そりゃあ、このネット時代だもん。

再生数とフォロワー数が全てだよ?

だからルナルナ最強説が根強い訳でw」



『いやいや。

流石に最強は言い過ぎでしょう?

だって、アイツただの犯罪者じゃないですか。』



「わかってないなあ。

この現代では犯罪しようが何しようが、バズった奴が偉いんだよ。

現にガルパン君にもファンが付いた訳だし。

毎日配信しているルナルナさんが最強なのも当然でしょ?」



『ああ、そんなモンなんですねえ。』



「ガルパン君、今はもう令和だよ?

アップデートして行こう!」



『は、はい。』



うーん、色々釈然としないのだが。

IT系の資格を色々持ってる人に言われると、何かそんな気もしてきたな。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




皆が《グリ下》と連呼するから何のことかと思ったのだが、《グリコ社の看板の下》という意味らしい。

戎橋の階段を降りると、東横っぽいグループが居た。

というより、向こうで仲良くしてくれた男が混じっていたので、抱き合って再会を喜ぶ。



「おう、久しぶり。

jetから聞いてるよ。

子供食堂始めたんだろ?」



『うん。

子供食堂って名前嫌だから

もっと別の名前にして欲しいけど。』



「え?

そんなに変な名前じゃないだろ?」



『なんか、子供扱いされてるみたいで、ヤダ。』



「ははは、発想がガキだなあ。

俺らは食えれば何でもいいけどな。


あ、そうだ。

大阪でもやってくれよ。

jetのインスタで見たぞ。

鰻丼祭り!

俺ももう少し東京に居ればよかったよ。」



『ゴメンてw

丁度入れ違いだったな。』



「こっちでも鰻丼祭りやってくれーw

それも今喰いたいw」



『この時間に鰻の店なんて空いてないだろw』



「じゃあもう牛丼でもいいやw」



『お、いいね。


あ、でも牛丼はやめた方がいいかも。

さっき、鷹見が《牛丼屋にテロする》って息巻いてたから。』



「アイツ、マジ害悪だな。」



『だよね。

あのレベルの害悪は漫画の中にも居ないよ。』



「リンが責任を持って鎮圧しとけよな。」



『ゴメン無理、朝もワンパンでKOされた。

多分、この鼻折れてる。』



「マジか?

まあ、アイツ理不尽に喧嘩強いからな。

殺されないように気を付けろよ。」



『なーんか、俺を殺すのアイツっぽいんだよねーw』



「じゃあオマエのラスボスは奴だな。

きっちり倒せよーw」



『えーーw

指相撲でも勝つ自信ないってw』



「男なんだから、それ位は気合入れろよーww」



『「あっはっはw」』




結局、鰻丼の代わりに牛丼を振舞う事になった。

鷹見にも言い聞かせる。



「ハア!?

ウ↑チ↓、今から紅ショウガの一気飲み配信をする予定なんスけど?」



『だから…

そういう事したら店の人が可哀想だろう。』



「あのねえ。

ウ↑チ↓はダーリン様の為にやってあげてるんスよ?」



『え!?

何で俺!?』



「だってアンタ。

いつも《資本家の打倒》って言ってるじゃないッスか?

寿司チェーンも牛丼チェーンも、主要株主はファンドでしょ?

ゴリゴリの資本家じゃないっスか?

そいつらの資産をウ↑チ↓が徒手空拳で数%引き下げてやったんだから

寧ろ褒めて欲しいくらいッス。」



『オマエってマジモンのテロリストだよな。

怖いわー。』



「じゃあ、ダーリン様は何をするんスか?」



『いやいや。

俺は正義に基づいて真の平等社会を作るだけだよ。

一切後ろめたい事はしない。』



「怖ッ! マジ怖ッ!


…ウ↑チ↓、ダーリン様にだけはマジでビビッてますからね?

みんなスルーしてるから敢えてウ↑チ↓が指摘しますけど。

理想を語る時のダーリン様って、洒落にならないマジキチスマイルしてますよ?」



『はははw

鷹見は大袈裟だなあw』



「…まあ、忠告はしたッスから。」



そんな遣り取りがあって、牛丼祭りを開催。

近くにあった吉野家で牛丼を買い続けて配るだけ。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


2億5004万8500円

  ↓

2億5001万5750円

  ↓

2億5001万4790円


※吉野家御堂筋店にて牛丼大盛(税込655円)50杯を32750円で購入

※ファミリーマート 戎橋店にて45Lのポリ袋(税込192円)5個を960円で購入



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「なあ、リン。」



『んー?』



「ありがたいんだけどさ。

これ、オマエにとって何の得になる訳?」



『得にはならんけど。

鷹見が暴れずに済めば、世界と俺の日常が少しだけ平穏になる。』



「もうアイツ殺せよ。」



『不意打ち闇討ちを駆使しても返り討ちにされそう。』



「だな。

そんな感じするわ。


…なあ、俺も何かしようか?」



『じゃあ、別の牛丼屋で大量購入してくんない?』



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


【所持金】


2億5001万4790円

  ↓

2億4996万0000円

  ↓

2億4991万0000円


※jetの友人・村主健也に代理購入資金として5万4790円を贈呈

※江本昴流に代理購入資金として5万0000円を贈呈


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「おいおい、《レシートもいらない》って…

俺、カネに汚いからな。

絶対中抜きするぞ?」



『いいじゃん。

いつも中抜きされてんだから

たまにはする方に回れよ。』



「リンって本当に口が回るよな。

次の衆議院選挙出ろよ。

東京1区w 東京1区w」



村主のウーバー仲間が協力してあちこちの24時間牛丼屋に散っていく。

未成年っぽい男女とか、ホームレスのおじいさんやらに無造作に牛丼を配り、空き容器をゴミ袋に回収していく。

江本の提案で仲良くなった居酒屋にゴミの処理(当然謝礼は払う)をお願い出来る事になった。

俺も遣り取りを見学させて貰ったが、町中華の息子だけあって飲食業の勘所を押さえるのが上手い。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【ショート動画】 牛丼オフ会(チーズ抜き) 



「はい、こんばんわー。

告知も兼ねてショート動画撮りまーす。

相模の獅子こと、ルナルナ@貫通済でーす♪


今、大阪に居るんで。

今夜は21時から!

大阪城公園のどこかで!

配信しまーす♪


えっとねえ。

このタイトルはねえ。


ほら、ウ↑チ↓が牛丼屋に凸る話してたでしょ?

ダーリン様に紅ショウガ一気飲みが却下されちゃって

いや、これはノロケッスけどww

それで何か牛丼配るんだってさ。


はい、今回のゲストは。

折角の面白アイデアをぶち壊しにしてくれたダーリン様です。

せめて何か面白い事言って下さいねー。」



  『えっと、えっと。』



「はい、おもんなーい。

ダーリン様の発言権没収ねー。」



  『あ、ちょっと待って。

  子供食堂の宣伝したいんだけど?』



「はーい、後10秒でーす。」



 『ちょ、待てって。

  えっと、えっと。』



「はいしゅーりょーw

みんなー、大阪城公園きてねー♪」



※Twitterアカウント「ルナルナ@告知用」にアップロード。


運用名義人:三橋真也



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



むう。

いきなりカメラ向けられても喋れないって。



「あのねー。

宣伝なんて幾らでもさせてあげるんで。

せめて子供食堂が何かから、説明して行きましょうよ。」



『いや。

実は俺も定義とか理解して無くて。』



「マジかー。

それでよくドヤ顔で演説出来ますねー。。


おい、三橋ぃー。

オマエ子供食堂のこと…

何か知ってるかぁー?」



  「あ、はい。

  社会活動の総称ですね。

  子どもに無料とか低額で食事を提供する活動なんです。

  親御さんの家事負担とかも減るんで、結構歓迎されてるかな、と。」



『うん、それそれ。

それが言いたかった。』

 


「で?

牛丼配るのと何の関係がある訳なんスか?」



『えっと。

1人10億円配る話ってしたっけ?』



「は!?

え!?」



『ああ、鷹見にはまだ言ってなかったか。

俺は人類1人あたりに10億円配る予定なのね?』



「え? あ、はい。」



『えっと…

三橋さん、10億円を70億人に配る為には幾らくらい掛かるんですか?』



  「えーっと

  スマホで計算するね。

  そういう桁の大きい計算できるサイトってあるかなあ。

  700京?」



『あ!

そんなのでいいんだ!

那由多とか阿僧祇とか出て来たらどうしようかと思いましたよ。

ははは。』



「…ははは、じゃねーッスよ。

そんなカネ配ったら世界はどーなるんスか?」



『いや、人類史に前例が無いからわからんけど。

三橋さん、わかります?』



  「え?

  どうだろ?

  いや、普通インフレになるんじゃない?」

 


『あー、やっぱりインフレになりますかあ。』



  「ってか普通に世界滅ぶんじゃない?」



『はっはっは、参ったなー。

なるべく世界を滅ぼさないように着地させたいんですけどw

難しいっすねーw』



「…このレベルの害悪は漫画でも見たこと無いッス。」



  「ガルパン君。

  世界滅ぼしちゃ駄目だよ!

  皆が困るんだからね!」



『あ、はい。

じゃあ、三橋さんが無難な手法を考えておいて下さい。』



  「えー、僕?」



『だって私、数字が苦手なんですよ。

金額が膨れたら、パニックになっちゃうんです。

三橋さん、いい大学出ておられるし、何かこう上手いアイデアあるでしょ?』



  「いやいや。

  どうかなー。

  僕の専攻は情報だからねー。

  いや、確かに仕事で巨大数を扱う事はあるよ?

  10の冪乗って習わなかった?

  でも、おカネとは無縁の人生だからねえ。」



『よくわからんけど、凄い。

すごいからすごい。』



  「あ、君いま思考を放棄したでしょ。

  駄目だよー、その年齢から横着してたら。」



『えへへ。

まあいいや。

10億の件、三橋さんにお任せしますよ。』



  「えー、ガルパン君も結構押しが強いねぇ。

  まあいいや。

  ちょっと考えておくよ。

  でも、あくまで机上の計算だからね?」



『じゃあ上手く配れたら、三橋さんには礼金として1兆払います!』



  「全員10億持った世界での1兆って…

  現在の貨幣価格で幾らくらいするんだろ?」



『うーーん。

まあ10万円分くらいの価値はあるんじゃないっすか?』



  「えー、10万。

  参ったなー、そんな低単価で案件受けないんだけど。

  まあいいや、さっき牛丼奢って貰ったから1兆円で引き受けてあげるよ。」



『やったぜ!』



「…ダーリン様。

チー牛同士のキチガイトークに少し体調が悪くなって来たんスけど。

そもそもアンタ、幾らくらい持ってるんスか?」



『ゴメン、まだ2億チョイしか手元にないんだ。』



「…妙にリアリティあって凄みのある数字ッスね。

その2億でウ↑チ↓と楽隠居してくれる気はないんスね?」



『隠居も何も、年内には決着を付けるつもりだからな。

全人類に10億配るか、或いはその前に俺が死ぬか。』



「お、おう。

人類の終焉は2023年っスか。

ノストラダムスの奴、4半世紀も計算ミスりやがって。」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



そろそろ早朝3時。

喧騒は収まらない

ただでさえ五月蠅いのに、予想外の騒音が1つ増える。



「おーう、トイチぃー。

オメー、恩師ちゃんにも何か食わせろや。」



『あ、先生。

居たんですか?』



「毎回毎回その塩対応やめろニャ!」



『あ、配り忘れてて冷めた牛丼が一個余ってるんですけど。

食べます?

まだ2時間くらいしか経ってないんで、普通に食べれますよ。』



「この扱いよ…

恩師不敬罪で死刑ニャ。

おい、腹が減ったからどっか居酒屋でも連れてけニャ。」



『いえ、我々は別件ありますので、これで失礼します。

機会があれば、またお目に掛かれるといいですね。


あ、三橋さん。

今から居酒屋でもどうっすか?

一杯だけ♪ 一杯だけ♪

健也も来いよ、今日は無茶振りしてゴメンなー。』



「オマエ、ちょっと待てニャー!!!」



『は?』



「は、じゃねーニャ!!

この恩師不孝者!!


夜の街で女キャラと偶然出逢ったら!

そこからチョイエロイベントを発生させて

恋愛フラグを構築するのが全男子生徒の責務ニャ!」



『参ったなー。

私、貴方と違って忙しいんですけどね。』



「どっか遊びに連れてけニャ!

ルナお姉様だって、そう思うよニャ?」



  「まあねえ。

  少しはミクロにも目を向けて欲しいかな。」



「オイ、トイチ。

妾と遊ぶのも男の甲斐性だぞニャ。」



…やっぱり側室邪魔だよな。

俺、時間盗まれたくないんだよな。




『はあ、まあ… 幾らか小遣い渡すんで

始発まで好きな店で遊んでおいて下さい。』



「鬼かテメー。

なんか、もうちょっと手心とかないニャ?

遊び!遊び!」



『いやあ、恥ずかしながら私。

夜遊びとか経験ないんですよ。

何していいか想像も付かず。』



「あー、オマエそういうの如何にも疎そうだニャ。

じゃあ、さっきまで恩師ちゃんが遊んでたクラブに行くニャ。」



『クラブ?』



「音楽とダンスを楽しむ建前で男女がパコりまくる場所ニャ。」



『いや、東京でも誘われたのですけど。

そういう猥雑な場所は苦手なんですよ。』



「バカモニョ!

クラブは、ライトな縁結びという重要極まりない機能を担ってるからこそ、全世界に設置されてる人類の基幹インフラだニャ!

少子化問題をドータラコータラ! セックス&バイオレンース&ドラーッグ♪

社会科教師としての命令ニャ! 来いニャ!」



『あ、はあ。

まあ、そこまで仰られるのでしたら。』



…俺、中退してるから、この女に従う義理もないんだけどな。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



恩師の先導で宗右衛門町なる繁華街を歩く。

キャッチのお兄さん(下手をすると俺より年下かも知れない。)が何人か声を掛けて来る。



「お兄さん! お兄さん!

今日は何お探しっすか!?

ヘルス、キャバクラ何でも揃ってますよ!」



『ゴメン。

今からクラブに連れて行かれるんだ。

正直、行きたくないんだけど。』



「お!

わかります!

クラブって全然ヤレないっすもんね。

オッパブありますよ!

爆乳揃ってます!

オッパブどうっすか!?」



『あーゴメン。

女はもういいや。』



「あはは

余裕ありますねw

呑むだけでもどうっすか?

落ち着いたキャバもありますよ。」



『女連れの私にまで声掛けるなんて…

キャッチって結構苛酷な仕事なんですか?』



「…そうですねえ。

客を捕まえて初めて生活出来るレベルになるので。

人と話してナンボみたいな商売ですよ。

上司からも《手当たり次第に声を掛けろ》って命令されてますし。」



『何かゴメンなさいね。

あ、良かったらコレ、取っておいて下さい。』



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


【所持金】


2億4991万0000円

  ↓

2億4990万0000円


※キャッチにチップとして1万円贈呈


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「えー、ちょ!

ちょ! ちょ! 悪いですよ!

何も提供出来て無いのに、こんなに貰っちゃ申し訳ないですよ!

えっと、俺、風俗情報くらいしか提供出来ないんですけど

何かお役に立てないですか?」



『あ、じゃあ。

私、大阪来たばかりで、土地勘全然無いんですよ。

ここら辺の事情教えてくれません?

グリ下の話題とか。』



「グリ下っすか。

週末にあちこちから子供が湧いて来ますよ?

普通にP活とかやってますし。

営業妨害なんで勘弁して欲しいんですけどね。

私服刑事も週末は多いっす。」



『へえ、やっぱり商売敵なんですか?』



「そりゃあ、ヤルことは一緒っすから。」



聞けば、佐賀から大阪にやって来て2か月目のキャッチらしい。

スーツのサイズが合ってないし、俺から見ても芋臭い。

そんな新米に紹介して貰っても仕方ないよな…


でも、遣り取り自体は面白かったので、今度はもう少し賢そうなキャッチのお兄さんに自分から話し掛けてみる。



「いや!

気持ちは嬉しいんですけど

現金はマジで困ります。

ウチの会社、社長が滅茶苦茶怖い人なんですよ。」



『あ、そうなんですね。

ヤクザとか?』



「いや、ちょ! やめ!

ノーコメントでオナシャス。」



『あースミマセンスミマセン。』



「タバコ、買って貰えませんか?

一緒にコンビニ入って。」



『ああ、そんな手もあるんですね!

あ、これは発見かも!』



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


【所持金】


2億4990万0000円

  ↓

2億4989万9410円


※キャッチ(二人目)の煙草を代理購入


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



…いや。

シンプルだが、足の付きにくいカネの渡し方だ。

金額を抑えれば、公務員相手にも使えるかも知れない。

いい勉強になった。



「情報ってほどじゃ無いんですけど。

この難波で一番上手くやってるのがスパイダーマンです。」



『スパイダーマン?

アメリカの映画に出て来る?』



「そのコスプレしてる奴が戎橋でバズってるんスよ。

ガイジンが常に群がってます。

今ってインバウンドが凄いじゃないですか?

だから、言語関係なく理解出来るビジネスは大阪で儲かりまくってます。

スパイダー野郎が一番コスパいいかもです。」



『はええ。

色々な人が居られるんですねえ。』



雑談しているとそのキャッチも神奈川人と判明。

偶然の同郷人との出会いに熱く抱擁して互いの幸運を祈り合う。




「…おう、トイチ。」



『あ、先生。

スミマセン。

折角遊びに誘って下さっているのに。』



「いや、さっきの遣り取り見せて貰ったけど。

オマエ、最上級者ニャ。

…褒美に現代社会科目の免許皆伝を授けてやるニャ。」



『あ、ども。』



「もしもこの先、高校中退で引け目を感じる事があったら…

この免許皆伝を思い出してメンタルを安定させろニャ。」



『あ、頑張ります。』



「よーし、他のメンバーを先に入らせたから来いニャ。

ちなみにこの箱はネンカクが無いので素晴らしいニャ。」



『はええ。』



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


2億4989万9410円

  ↓

2億4989万8410円


※ナイトクラブ入場料として1000円支払い



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




フロアには鷹見・江本・三橋・村主・村主の彼女がグラス片手に談笑している。



『先生、私こういう人の多い場所苦手なんですよ。

先月まで車椅子生活でしたし、立ちっぱなしが辛い。』



「この弱男が。

情けねー奴ニャ。

座りたかったら、あそこのVIP席を買うしか…」



『ああ、カネで済むんですね。

助かった。


あ、店員さーん!

VIP席お願いしまーす!』



「こ、コイツ…

テツ君と一緒でカネが有効な範囲では無敵ニャ。」




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


2億4989万8410円

  ↓

2億4971万8410円

  ↓

2億4961万8410円


※2階VIP席料金として18万円支払い。 

(4時間6万円×3席)

※飲食代として10万円をVIP係に支払い。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



一々注文するのが面倒なので、10万円を先に渡しておく。

高そうな酒やフルーツ盛りがテーブルに山ほど置かれる。




「おい、トイチ。

下のフロアでダンスをだニャ…」



『あー、スミマセン。

疲れたので寝ます。

時間になったら起こして下さい。』



「二十歳にしてこの老人みたいな遊び方ぁ!!

…オマエ、部分部分で無駄に遊び慣れてるニャ。」



『いやあ、どうっすかねえ。

たまたま周りに遊び慣れた人が多くて

見よう見真似ですね。』



「例の異世界ニャ?」



『そんなトコっす。』



「異世界にもクラブはあったニャ?」



『私は行かなかったんですけど。

ソドムタウンにはいっぱいありましたね。

地球と違うのは、どこの飲食店にも大抵VIP席があったんですよ。

汚い居酒屋にもありましたから。』



「へえ、貧富の差?」



『普通に貴族とか居ましたから。』



「で、オメーはそこで成り上がったから

恩師様に生意気な口を利くようになったニャ?」



『えー、私生意気ですかー?』



「今が昭和なら竹刀で体罰地獄してやる位には生意気ニャ!」



『昭和怖いっすねえ。』



「…あんまりクラブ連れて来た意味もなかったニャ。

オメーが周りに女を恵む為に必死だったからVIP遊びを教えてやろうと思ってたニャ。

その様子だと、ちゃんと価値を理解してるニャ。」



そりゃあ、コレットや平原との馴れ初めが王都のVIP席だからな。

怖さも価値も重々承知だよ。



『先生。

この際、教えて欲しいんですけど。

男の仲間に彼女なりセックスフレンドを分配する方法ってありますか?』



「10万円ニャ。」




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


2億4961万8410円

  ↓

2億4951万8410円


※恩師に授業料として10万円を支払い



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「毎度ありニャ♪」



『どもです。』



「…安宅でしょ?

投資家の。」



『あ、いや、はい。』



「アンタ、結構いいセン行ってるわ。

特にインスタの運用。

寺之庄君だっけ?

あのイケメンに持ち上げさせてるのは上手いと思った。」



『ありがとうございます。』



「ただね。

あの人、基本はナードでしょ?

だから、イケメン路線でPRするのは難しいのよ。

だってそうでしょ?

インスタ上にはガチのイケメンがひしめいてるから。

安宅をどれだけチューンしても、メンズモデルとかホストの足元にも及ばない。

それはわかるよね?」



『ええ、私も驚いたんですよ。

TVドラマに出てるような俳優さんが、普通にコメントでファンの方に返信していて。

SNS特有の距離感の近さっていうんですかね。』



「お、本質掴んでるじゃない。

異世界行って多少は知能上がったねえ。

先生嬉しいわぁ。


で、話戻すね?

安宅を爽やか路線で持ち上げるのはコスパ悪い。

寺之庄君や後藤君なら、女が喜んで食いつくんだけどね。」



『うーん、やっぱり無理がありましたか。』



「いや、着眼点はいいんだよ?

女はBBQとか魚解体とか出来る男に魅力感じるから。

理由分かるよね?」



『生活力・生存力のPRになるからですか?』



「そう。

女は食わせてくれる男を探す生き物だからね。

それにBBQって陽キャ属性の趣味なのよ。

だから、アンタの戦略は正しい。

ただ、微妙にズレがあるのね?」



『ズレ、ですか?』



「安宅は東大出身の投資家でしょ?

もっとそこを前面に出さなきゃ。

勿体ないでしょ。」



『あ、いや。

検索したら連載コラムとかすぐに出て来るから…

そこまで書いたら逆に厭味かな、と。』



「女は投資雑誌とか読まないでしょ。

芙美香とかヒルダは娯楽として東洋経済読んでるけど。

あんなのは異例中の異例だからね。

ヤリ用の女なんて、馬鹿ばっかりだから難しい事を言っても仕方ないのよ。


《東大》《著書》《TV出演》《タワマン高層階》


そういうチンパンでも理解出来るキーワードをガンガン散りばめるだけでいいの。

で、後藤や寺之庄のアカウントからそこに言及させる。

画像には金持ち自慢もさらっと混ぜさせること。


ここのVIPシート、内装悪くないでしょ?

ほら、このフルーツボール。

スワロフスキーだよ?」



…帝国四諸侯勢力にそんな名前の軍人居たなぁ。

俺が資金援助断ったら泣きながら帰って行ったっけか。

異世界と地球で同じ苗字使うの、紛らわしいから止めて欲しいんだけどな。



『はぁ。

皿なんて、見分けつかないでしょ。』



「女は付くの。」



『マジっすか?』



「マジよー。

だからモテたきゃハイブランドで固めなさい。

女の脳味噌は価格表がデフォルトで内蔵されてるから。」



『…怖。』



「うん、そーゆー怖い生き物を狩るんだから。

ちゃんと弱点攻めろって話。


安宅にはもっと露骨にブランドで固めさせなさい。

アイツ、オタクの延長線上にいるネット成金でしょ?

女はそういうタイプの金持ち、一番馬鹿にしてるから。

だって、そうだよね?

オスの強さと無関係な部分での成功なんだから。


でも、学歴や社会的成功に惹かれる女は多い。

安宅はそこをピンポイントで狙うべき。

陽キャ演出は、あくまで足切りラインを越える為って理解しておかなきゃ徒労になるよ?」



『ええ、仰る事はわかります。』



「アンタの基本方針は正しいから、自信持ちなさい。

私も夜色もそこは絶賛してるし、尊敬もしている。


後は戦術的な微調整。

今のアンタ。

遊びで勝ちたいから、遊び慣れてる男友達の手口をトレースしてるんだよね?

BBQとかもそうでしょ?


じゃあ、女遊びで勝ちたいなら?

遊び慣れてる女に手口を相談しなさい。」



『…勉強になります。』



「安宅のインスタ。

BBQ的な陽系の投稿を3回したら…

こういうゴージャス夜遊び系の画像をたまにアップさせなさい。


それとTV出演の経歴を活かさないのはあまりに惜しい。

もっと強調させなさい。

レギュラー持ってるレベルの芸人とか、フェス出るレベルのシンガーとかでも

200万出せば一緒に呑めるから。


そいつらに持ち上げさせなさい。」



『私、芸人とか嫌いなんですよ。』



「踏み台の柄には目を瞑りなさい。

高ければそれでいいの。」



『…。』



「不満だったら、アンタが良き踏み台になればいいだけ。

それが出来ないから悩んでるんでしょ?

今のアンタ、何かを成し遂げるには知名度全然足りてないから。」



『国連総会で私の映像使われてるんですけどね。』



「それ、モテる文脈の知名度じゃないよね?

アンタ、そこまで馬鹿じゃないでしょ?

文脈、わかる?

モテの世界じゃ一番重要だよ。」



『はあ、まあ何となく。』



「例えば、下のフロアで回してる《DJ斬馬》クン。

あの子は女受けマックスなのよ。

ほら、インスタアカウント見てみ?

フォロワー3万1千ってあるでしょ?

コメント欄、女比率の高さ、わかるよね?」



『あ、凄い。

女子ファンがコメント付けまくってる。』



「うん。

モテるってこういうこと。

で、誰かをモテさせたかったら

最低でも、このランクの子と親交あった方がいい。」



『へえ。』




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


2億4951万8410円

  ↓

2億4950万8410円

  ↓

2億4940万8410円


※VIP係にチップ1万円を支払い

※VIP係にDJ斬馬へのチップ10万円贈呈を依頼



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




『先生、色々とありがとうございました。

自分の中で少しだけ道が見えて参りました。』



「…ねえ。

道の先には何があるの?

私の生徒の中でアンタが一番終わってるんだけど?」



『進んだ先に決着があります。』



「誰と? 何と?」



『さあ。』



「荒木君?」



『まあ、アイツもそこに居るんじゃないですか?

敵か味方かまでは知りませんけど。』



「あっそ。

あの子も似たようなこと言ってたわ。」



『そうですか。』



「忠告しとくねー。

アンタのやってること。

オトコノコの戦争ゴッコ政治ゴッコに過ぎないから。

迷惑、ウザい、笑えない。

女子は全員言ってるよー。」



授業は終わったらしいので、お互い無言で杯を呷る。

何度か恩師が俺の鼻先にグラスを付き出して来たので、黙って注ぐ。

この女なりに酒の上の作法を教えてくれているらしい。

父親が飲まない人だったので、こういうレクチャーは助かる。


途中、凄いドレッドヘアのお兄さんが乱入して来たのでやや驚くが、DJ斬馬だった。

チップの礼を述べに来たらしい。

こんなにタトゥー盛り盛りのお兄さんと話すのは緊張するのだが、向こうもこちらに対して相当緊張しているらしく、冷や汗を流しながら俺に酌をしてくれた。


10分程雑談して、DJ事情やクラブの四方山話を聞かせて貰う。



『え!?

DJって、そんなにギャラが安いんですか?

斬馬さんは人気DJでしょ!?』



「いやー、日本じゃこんなモンですよ。

DJだけで喰えてる人間って殆どいませんもの。

俺は結構イベント集客とか頑張ってるつもりなんですけど、ギャラは殆ど上がらないっす。


…あの、遠市社長ってBBQイベントとか主催されておられるんですよね?」



『あ、はい。

主催という程大した事ではないんですけど。

規模は広げて行こうかな、と。』



「そ、それでしたら!

もしも音楽が絡むイベントでしたら!

お、俺も呼んで頂けませんか!

関西では! それなりに名の通っている部類だと自負しております!

日当2万頂けたら、全力出しますんで!!!」



『いやあ、貴方ほどの方が2万と言うのは…

知名度からして10万スタートが妥当なんじゃないですかね?

さっきSNSを拝見させて頂きましたけど

斬馬さんは、投稿にあたってゲストや店のオーナーをアゲる事に専心されておられますよね?

DJさんによっては自分の話しかしてない方も多かったので、そこが気になったんです。

ああ、勿論スタイルは人それぞれですけど。

私の中で斬馬さんの評価が高い理由はそれもありますね。』



「おお!

そ、そこに目を向けて頂けたのは初めてですよ!!!」



『きっと私が音楽に疎いから、そこに目が行ったのでしょう。

是非、懇意にさせて下さい。』



俺は斬馬と熱く抱き合い、江本を紹介して連絡先を交換し合った。

支配人が話に入りたそうだったので、ついでに江本と交換させる。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




午前7時。

さて、一日が始まる。

今日も頑張ろう。


手筈通り、御堂筋には寺之庄車両が既に停車していた。

江本と共に乗り込む。



別れ際、三橋がバイトを今日辞めることを宣言する。



「クラブに行って人生観が変わったよ。

同じエネルギーを注ぐなら、当然あっちだよね。

VIP席、誘ってくれてありがとう。

一生の思い出にするよ。」



村主とも連絡先を交換。

今回の牛丼祭りの反響調査を依頼する。



「面白いイベントだったよ。

ただな?

オマエも気付いてるだろうけど。

感謝の《か》の字も無い連中だからなあ。

どこまで効果あるかは謎だぞ?

反響と言うか、今回のイベントの印象度だな。

皆に聞き取っておくから。」



鷹見と恩師は大阪城公園での配信までホテルで仮眠を取るらしい。



「大阪城配信は来てくれないんスか?」



『えっとねえ。

その時間帯には名古屋城に居ると思う。』



「は!?

聞いてないっスよ!」



『俺も今聞いたばかりなんだよ。

先生、鷹見をお願いします。』



「おい、トイチー。

オメー、何か大切なモノを忘れてるニャ。

人にお願いごとをする時は何が必要だったかニャ?」




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


2億4940万8410円

  ↓

2億4930万8410円


※恩師に側室介助謝礼として10万円を支払い



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「ニャンニャン♥

恩師ちゃん、物分かりの良い生徒は性的な意味で大好きニャン♥」



『じゃ、我々はこれで。』



朝の御堂筋は混んでいるので、無駄話をせずに発進。

人通りは多かったが、鷹見と恩師はフォルムが独特なので案外しばらく眺めていられた。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「トイチ君。

やっぱり徹夜?」



『ええ、少しだけウトウトしましたけど。』



「江本君は、どう?」



  「あー、俺は結構騒いだんですけど。

  まだイケますね。」



「よし、2人共聞いて下さい。」



『はい。』



  「はい。」



「今日、僕はトイチレベリングRTAをして遊びます!」



『マジっすかw』



  「狂気ですねw」



「トイチ君に効率的に殺させる策をコッソリ練ってました。

あ、2人共人間は殺しちゃ駄目だよ?」



『善処します。』



  「善処します。」

 


「我々の現在の狩猟可能地は西から順に、篠山・米原・下呂・浜松の4カ所。

そうだよね?」



『ええ。

あの4人の猟師と出逢えてほっとしてます。』



「まずはもっと協力者を増やそう。

そして毎日4か所を回ろう!」



『ええ!?

マジっすか?

結構距離ありますよ?』



「トイチくーん。

ガチのビジネスマンなんて、1日に何か国も回ることあるよ?

そこは見習おうよ♪」



『うははw』



「まあ、君は唸る程カネを持ってるから…

向こうに持って来させればいいよ。

例えば浜松の鈴木さんと下呂の松永さん、米原の宮田さんも…

大型トラックで名古屋に持って来させればいいよね?」



『いやいや、下呂から名古屋は、相当距離がありますよ。』



「でも、日当を弾めば

喜んで来るんじゃない?

君も10万20万を惜しむ気はないでしょ?」



『ま、それで経験値を買えるなら…

幾らでも払いますけど。』



「で、僕も地元カードを切ります!

福井の谷口翁。

実家から30分程の距離に住んでる。

土地勘もあるし、多分交渉出来ると思う。

今まで黙っててゴメンね。」



『いや、ヒロノリさんが地元に帰るの嫌がってたんで…

それとなく谷口さんの誘いは躱してたんです。』



「そういう遠慮はなし。

仲間だろ?」



『…はい。』



「トイチ君はレベリングしたいんだよね?

結構、本気で。」



『ええ、実は異世界では転移して1ヶ月経過した頃には20レベル前後だったんですよ。

この地球では…

結構頑張ってるんですけど、まだ8レベルまでしか行ってなくて…

ちょっと焦ってるって言うか。』



「焦る必要はないよ。

もう軌道に乗ってるんだから、後は仕組みを整備するだけでいい。」



『軌道に乗ってるんですかね?』



「おいおい。

君はたったの一ヶ月で2億円以上稼いだんだよ?

つまり年収にすると24億円を越えている。

わかる?

この数字?

メジャーで無双してる大谷選手でも去年は6億。

君は、まだ二十歳なのにその4倍稼いでるんだよ?

軌道なんてチャチなものじゃないよ。」



『ああ、そっかぁ。

そういう視点では自分を見ていませんでした。』



「これからも払い出し率は上がるんでしょ?」



『まあ、レベリングさえさせてくれれば。』



「ははは、順風満帆じゃないw

安心して、君はちゃんと前進してるから。

異世界は異世界、地球は地球。

切り替えて行こう!」



『はい!!』



「じゃあ、話を戻すね。

次のレベルまではイノシシを何匹殺せばいいの?」



『ざっくり計算して25匹です。』



「楽勝楽勝ww

よし、今日レベル上げちゃおう。」



『ええ!?

いや、嬉しいですけど。

今日ですか?

出来ますかねえ。』



「まず各地の猟師がストックしてるイノシシ。

…多分、違法なんだろうけど。

篠山に2匹・米原に2匹・下呂に3匹・浜松に5匹」



『ええ、それは先程も伺いました。

12匹全部に止め刺しをしても、半分ですよね?』



「これに谷口翁の2匹が加わる。

イノシシは、計14匹。」



『おお…

一日で回れますか?』



「これにさ?

九州の浦上工務店さんも立候補してるし

十和田の毛内さんも会いたがってるでしょ?


それに各地のツキノワグマとかシカとかを加えたら…

イノシシ24匹分は余裕だよ。

十分、1日で殺し切れるんじゃないか?」



『あ、いや。

そりゃあ理論値はそうですけど。』



「江本君。

宮田・鈴木の両名に交渉してみて。

箱罠3基はかなりの大きさだけど

極端な話、大型トラックに載せれば何とかなるでしょ?」



  「了解。

  メッセージ送ります。」



『おお…

ヒロノリさん、何か凄い。』



「ゲームはやり込む主義なんだ。

折角、こんな面白いキャラを動かせるんだから

僕も全力を出さなきゃね♪」



なるほど。

確かに人間をゲームの駒に見立てたら、俺を操縦するのって最高だろうな。

毎日カネも湧くし。



『あ、じゃあ。

今日、頑張ります。』



「よーし、それじゃあ

ベッドでゆっくり寝転んでみよう。」



『え、いや。』



「はい、そのまま目を閉じてー。」



『いやいや、高速走行中に眠れる訳が…

むにゃむにゃ。』




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「宮田社長、申し訳ありません!」



  「江本さん、どもです!

  こちらの方こそ、小刻みにDM送ってしまって恐縮です。

  まずは箱罠の中の2匹。

  ただ、先程確認した所、一匹ウリボウが混じってるんです。

  こちらの個体がメスなので箱罠に一緒に入ったのではないかと。」



「お心遣いありがとうございます。

ヒロノリさん!

そのままバックで付けて下さい。


オーライオーライ、OK!!」



  「トイチさんは中ですか?」



「ええ、昨日忙しかったので仮眠を取って貰ってます。」




意識が…

戻って来る。

あれ?

牛丼? クラブ?

俺、何してたっけ。



「トイチ君。

到着だよ。」



『あ!

スミマセン!

熟睡してたかも!』



「ははは、寧ろちゃんと寝てくれて嬉しいよ。


さて、現在時刻は9時19分!

場所は米原!

宮田社長はもうスタンバイしてくれてる。」



『え? え?』



「大丈夫!

大阪土産もちゃんと渡してるし。

さあ、まずは起きて挨拶だ。

快活にね!」



『はい!』



寺之庄、楽しんでるなあ。

凄くありがたいんだけどさ。

せめて彼にとって快適なゲームキャラであろう。



『宮田社長!

おはようございます!』



「遠市さん!

こちらこそ御足労に感謝します!

大阪土産もありがとうございました!」




箱罠2基。

両方ともメーカー・型式が宮田のものとは大きく異なる。

尋ねると信頼できる仲間から購入したらしい。


但し、絶対に内密にして欲しいとのこと。

…そうだな、俺達全員危ない橋を渡っている。

ちゃんと自覚しなきゃ。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


2億4930万8410円

  ↓

2億4850万8410円


※宮田大輝に80万円を支払い。

(日当20万円+イノシシ捕獲褒賞60万円)



【推定経験値】


イノシシ3匹

40×3=120(?)


《経験》 1543→1663


本日取得 120 (?)

本日利息 未取得


※レベル9到達まで合計2550ポイント必要

※3匹のうち1体がうり坊と呼称される幼獣形態なので取得経験値は不明。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「いや!

貰い過ぎですよ!

日当は10万って言ったじゃないですか!」



『申し訳ありません。

勝手に値上げしてしまいました!』



「えー、そんな…

突然言われても困りますよぉ。」



『申し訳御座いません!

この埋め合わせは後日必ずや!

それでは出発!!』



「あ! ちょ!!」



ゴメンね、宮田社長。

今日は寺之庄のタイムアタックに付き合うって決めてるんだ。




「トイチさん。

ちょっとええですか?」



『はい。』



「猪の幼児?のうり坊。

アレも1匹とカウントしてええんですか?

それなら、かなりレベリングの幅が広がると思うんですけど。」



『今日・明日、次第ですね。

確かに、イノシシは子だくさんですから。

もしも成獣と同等のレベルが貰えるなら…

妊婦を殺す時がボーナスになります。』



「要検証ですね。

あの、俺もちゃんと使って下さいね?」



『ええ。

エモやんさんの検証能力は頼りにしてます。』



  「じゃあ、次は江本君。

  ベッドでゴロンと。」



「え? 俺ですか?

いやあ、ベッドはトイチさんにお譲りするべきかと。」



  「大丈夫。  

  トイチ君のHP管理はちゃんと配慮してるから。」



「うおお。

完全にゲーム脳に切り替わりましたね。

じゃあ、駒に徹します。

ムニャムニャ。」



『あれ?

エモやんさん?』



「むにゃーむにゃー。」



  「彼は逸材だよね。

  毎回驚かされるよ。

  じゃ、トイチ君もお手洗いと水分補給済ませといてね。」



そう言うと寺之庄は北に進路を取る。

聞けば、実家をスルーして近郊に住む谷口翁を訪ねるらしい。

俺は指示に従い、後部座席で谷口翁と通話挨拶。



『朝早くから申し訳ありません。』



  「ははは、野良仕事は全部終わりましたから。」



映像を見ると谷口翁は余所行きの小奇麗なポロシャツを着用していた。

朝の仕事はとっくに終わりシャワーまで済ませているのだろう。



  「今、どの辺ですかー?」



『丁度、姉川橋?

って言う橋を越えました。』



  「おっ、近づきましたねー。

  谷口家が山奥の猟師なんぞやる羽目になった因縁の地です。

  わっはっはw」



背後を振り向き英霊達に一礼。

その様子が面白かったのか、谷口翁は腹を抱えて笑う。



  「メッセージ見ましたよーw

  今日はタイムアタックをされるんですって?」



『ご迷惑をお掛けします。

先程、米原の宮田さんを訪ねておりました。』



  「ははは、若いうちはそれ位が一番ですよ。

  我々が現役の頃はねぇ。

  《24時間戦えますか?》

  なんて無茶なキャッチコピーがまかり通ってましたから。」



『私は軟弱者なので14時間くらいに留めておきます。』



  「あはは、遠市さんは昭和の才能ありますよ。


  でもね?

  今は我々の様な老人でもタイムパフォーマンス重視。

  何せもう令和ですからね。

  アップデートして行きましょう!」



『あ、はい。』



谷口翁はネットショップで名を成した男だけあって、極めて話の進め方がスムーズである。

無駄がない。

特にGoogleMapの座標URLを幾つか送って来て、今庄ICを降りてからの段取りを指示してくれた。

この車両の位置もリアルタイムで把握してくれている。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



10時55分。

谷口翁の敷地に到着。

全ての話は付いており、奥様と寺之庄が贈答品を交換し合っている。

俺が殺している間、車両に給水をさせて貰う段取りも決まっており、全てがスムーズだ。



「はい、挨拶はさっきZOOMでしたよね?

鼻括り固定完了済だから、槍で刺して!

ズブっと! ズブっと!」



渡された槍のスイッチを探してから、電極が付いていない方が一般的である事を思い出す。

じゃあ、刺すか。



「おお、電気槍しか使った事が無いって言ってたけど…

遠市さん殺し慣れてるねー。

流石はDV界の超新星だ。」



『やだなー。

女性を殺した経験なんて殆どないですよ。』




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


2億4850万8410円

  ↓

2億4790万8410円


※谷口一晃に60万円を支払い。

(日当20万円+イノシシ捕獲褒賞40万円)



【推定経験値】


イノシシ2匹

40×2=80


《経験》 1663→1743


本日取得 200 (?)

本日利息 未取得


※レベル9到達まで合計2550ポイント必要

※3匹のうち1体がうり坊と呼称される幼獣形態なので取得経験値は不明。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「…日当は10万の約束でしょ?

駄目ですよー、おカネの契約を勝手にズラしちゃうのは。

まあいいや、この話は後ほどチャットでさせて。


はい、話を切り替えます。


朝も少し報告しましたけど。

囲い罠に鹿が数匹掛かっています。

トレイルの映像じゃわかりにくいんだけど、目視で6匹は確実。

ここから片道20分だけど、行きます?」



『お願いします!』



「GOOD!!

道が狭いので、私のバンで行きますよー。」




15分掛からずに着いた。

揺れ具合からして普段より飛ばしてくれたのだろう。

果樹園(?)の脇に張り巡らされた巨大な網の中に鹿が6… 7… 

いや、8匹居るぞ!



『最初の一匹はエモやんさんが殺して下さい。

私の測定の参考にします。』 



「了解。

分銅を使います。」



例によって江本が謎のロープアクションで鹿を容赦なく絡めとって行く。

老練の谷口翁も流石に驚いたのか、必死でツッコミを噛み殺している。

そして謎の華麗フォームで鹿を一匹殺害。



『彼はアンダースローを5分で体得した天才なんです。』



  「ああ、そりゃあ鹿くらいは殺すね。」



天才って説明が面倒な時に便利な横着ワードだよな。

さて、鹿たちはロープで四肢を絡められたまま藻掻いていたのだが、江本と谷口翁が器用に踏みつけて、俺が刺しやすい角度に転がしてくれる。

鈍臭い俺は2人の指示に従うマシーンと化す。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


2億4790万8410円

  ↓

2億4710万8410円


※谷口一晃にシカ捕獲褒賞80万円を支払い。

(10万円×8匹)



【推定経験値】


シカ7匹

20×7=140(?)



《経験》 1743→1883


本日取得 340 (?)

本日利息 未取得


※レベル9到達まで合計2550ポイント必要

※3匹のうち1体がうり坊と呼称される幼獣形態なので取得経験値は不明。

※シカの経験値が20というのは現段階では仮説

※シカ殺害歩合に関しては、今後無くなる可能性を伝達。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「はい!

残る議論はチャットで!

ほらほら、タイムアタックでしょ!

戻りますよ!

ほら、ハリーハリー!」



『あ、はい!』



谷口翁の拠点に戻ると寺之庄車両のドアが既に空いており、挨拶する間もなく放り込まれてしまう。

俺が非力な所為もあるが、まったくもってパワフルな老人である。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



11:40分出発。

当然、寺之庄は実家をスルー。

俺は谷口翁にチャットでお礼。

《さっきは急かしちゃってゴメンね》

というテキストの後に可愛らしい絵文字が添えられている。


…俺もアップデートしなきゃだな。




「トイチ君。

北海道にはヒグマが出るみたいだよ?

日本最強の生物。

勝負! 勝負!」



『いやあ、ヒグマはちょっと。』



「猪の経験値が40なんでしょ?

ヒグマはどれくらいありそう?」



『資料見る限り、あれはもう化け物ですからね。

カバと並んで最強陸上生物候補でしょ?

あれに勝てる人間が居たら、師匠として崇め奉りますよ。


まあ最低でも100ポイントはないと割に合わないですよ。

1000ポイントくれれば頑張りますけど…』



「鹿で20は確定?」



『エモやんさんの身体測定次第ですね。

もし仮説通り20だったら、まだ身体能力は向上していないでしょう。

そして次の1匹で目に見えて向上する筈です。

どうですー?』



握力計を弄っている江本に声を掛ける。



  「うーん。

  こっちは簡易測定ですからね。

  体感では微増してるんですけど。

  殺生直後でアドレナリンも出てますからね。

  変化…  してるような、してないような…

 

  うーん。

  拠点に戻ってから響さんと一緒に厳密な測定をさせて下さい。

  それまで返答は保留ということで。」



『了解。

何か人体実験みたいでゴメンなさいねw』



  「最終的にどこまでエスカレートしはるんですか?」



『…ヒグマ?』



  「マッドサイエンティストやーーwwww

  俺、絶対この人に殺されるわーーwww」



『任意w 任意w

あくまで任意の実験ですからw』



3人で爆笑しながら北陸自動車道を南下する。

同時に、松永も車両3台を使って美濃加茂ICまで南下してくれている。




  「スミマセン!

  本当は名古屋まで運ぶべきなのでしょうが…

  県境を跨ぐのは、どうしても怖くて。」



『いえいえ!

松永社長のお心遣い、非常に助かります!

あの!

手当は存分に払いますので!』



  「後の2台は遠縁ながらも一族です。

  秘密は必ず守らせますので!」



どう考えても捕獲害獣を移動なんてさせて良い訳ないよな。

発覚すれば違反者達の狩猟免許が剥奪されるくらいでは済まないだろう。

みんなヤバい橋を渡ってくれている。

俺にはカネしかないが、誠実に支払うことで彼らに報いたい。


松永の焦りは理解出来る。

下呂のあまりの遠さに対する俺の辟易が伝わっているのだ。

浜松・米原は東海道沿いなので非常に快適。

でも中山道はなぁ…

俺のその心理が見えているから、岐阜県のギリギリまで南下するという無茶にも応じてくれるのだ。

当然、報酬は弾む。

向こうに損をさせるつもりはない。



『ちゃんと遠距離手当を払います。

経費が掛かってるなら教えて下さいね?』



  「それは大丈夫!

  3台とも弊社所有の車両ですので。」



13時35分。

美濃加茂ICで下車。

松永の猟友会の後輩(ヤンチャ系)が近所の調整池の畔に案内してくれる。

このオジサンも奥様の親族らしい。



『エモやんさん!

支払いはお願いします!』



  「ええ、お任せ下さい!」



非礼を金品で補えるとも思わないのだが、無造作に積み込んで来た大阪土産と、先程谷口翁から預かった罠具を贈る。

それ以外に詫びる術がないのだ。


そして。

ヤンチャ系オジサンの手引きで電気槍を構える。

見た事のない型番だが、俺のやった事は体重を掛けただけなので無問題。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


2億4710万8410円

  ↓

2億4600万8410円


※松永一族にイノシシ捕獲褒賞110万円を支払い。

(遠方手当30万円+日当20万円+イノシシ捕獲褒賞60万円)



【推定経験値】


イノシシ3匹

40×3=120



《経験》 1883→2003


本日取得 460 (?)

本日利息 未取得


※レベル9到達まで合計2550ポイント必要

※3匹のうち1体がうり坊と呼称される幼獣形態なので取得経験値は不明。

※シカの経験値が20というのは現段階では仮説



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




『挨拶も無しに申し訳御座いません!』



車の窓を全開にして叫ぶ。



「貴方が一番気を遣ってくれてます!!

今日が私のバブルです!!!」



走りながら手を振る松永一族に、俺達も大声で感謝を叫んで返す。

名古屋で飲む時は松永の愛人スナックを使う事を3人で固く誓い合う。



所要時間19分!

この短さに感動し、松永にお礼メッセージを長文で送る。

《かなりの距離を走らせてしまったが、貴方を軽んずる意図は断じてない》

と丁寧に伝える。


通話に切り替えて雑談にも応じる。

イチゴ園でパートさんの不倫が発覚して大揉めしている話。

飛騨牛が大量盗難に遭い、近隣の業者が泣く泣く廃業に追い込まれた話。

マルチ商法にハマったチーママを解雇した話。

地熱発電の誘致を巡って町が割れかけている話。


松永は《こんな話は退屈なのではないか?》と半ば不安そうだったのだが、俺は聞いていて楽しいと伝えた。

俺は出来るオッサンの話を聞くのが好きなのだ。

何より仕事以外のケアをする事こそが仕事の神髄なのだとも内心考えている。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「よし、トイチ君!

通話、完了したね?

じゃあベッド。


浜松西には後1時間で到着する。

それまで目を瞑って体力を回復させておくこと。」



『あ、はい。』



「江本君、ちゃんと食事・水分の補給はしてる?

君もちゃんと自分を労わらなきゃ駄目だよ。」



  「いや、俺はちゃんと休ませて貰ってるんですが。

  ヒロノリさんは大丈夫なんですか?

  ずっと運転してるでしょ?」



「これが仕事だったら地獄だけど

好きなゲームだからね。

丸一日没頭出来て楽しい!」



  「なるほど。」



前方から江本が鈴木とオンライン通話する声が聞こえる。

俺も挨拶を、と思ったのだが、ついウトウトしてしまってPCに向かえない。


…マズいな、冷淡な態度を取ってると思われたくない。

こちらがカネを持ってるからこそ、皆に丁寧に接さなくてはならないのだ。

恐ろしいのは一にも二にも些細なヒューマンエラー。

気を抜いていい相手など存在しない。

それが例え2か月目のキャッチが相手でも油断してはならないのだ。


…眠ってる場合ではない。

挨拶せねば。



『あ、あ…

 す、鈴木しゃ…

  おせわに…』



力を振り絞って起き上がると、目の前には驚きの表情で俺を覗いている鈴木が居た。

あれ?

PC画面から出て来た?



  「トイチさん。

  浜松到着です。

  熟睡されておられたので、先に贈答品の交換を行っておりました。」



江本が耳元に素早く囁いた事で状況を把握出来た。

どうやら寝ている間に到着して…

寝顔を鈴木本人に見られてしまったらしい。



『あ、社長。

お見苦しい所を見せてしまいました

お詫び致します。』



「い、いえ。

まさか夢の中でまで気を遣って下さるとは思いもよらず…

少し感動しております。」



まあな。

俺、鈴木へのケアは結構日常的に考えてるからな。

寝言で名前を呼んでも不思議ではないだろう。



俺も鈴木も互いに深く恐縮しながらペコペコと頭を下げ合って、彼のジムニーに乗り込む。

5頭のイノシシを2カ所に固めてくれているので話は早い。

井伊谷と都田、地図で見る限り互いの距離も離れていない。

…15時過ぎ。

寺之庄のおかげで、帰還以来初めて有意義に時間を使えた気がする。

但し、1人1人を短時間で済ませてしまっている非礼に関しては、強く戒め続けなければならない。



『鈴木さん。』



「はい。」



『来週、名古屋でBBQイベントするんです。

もしも御予定が空いていれば、そこで特別配信されます?

勿論、出演料払いますよ。』



「いやあ、お気持ちは嬉しいのですが。

私、ルナルナさんと違って全然数字持ってないので。」



『でも中身はあります。

少なくとも他人様に迷惑掛けてる奴なんかより

貴方の方がよっぽど価値がありますよ。』



「その御言葉だけでも嬉しいです。

さあ、井伊谷に入りますよ。」




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


2億4600万8410円

  ↓

2億4480万8410円


※鈴木翔にイノシシ捕獲褒賞120万円を支払い。

(日当20万円+イノシシ捕獲褒賞100万円)



【推定経験値】


イノシシ5匹

40×5=200



《経験》 1983→2203


本日取得 660 (?)

本日利息 未取得


※レベル9到達まで合計2550ポイント必要

※3匹のうち1体がうり坊と呼称される幼獣形態なので取得経験値は不明。

※シカの経験値が20というのは現段階では仮説



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



『ふう。

私、何にもしてないのに疲れちゃいましたw』



「仕方ないですよ。

朝からあちこち走り回ってるんですよね?

殺生は精神的負担も掛かりますし。」



『どうもお疲れ様でした。

鈴木社長のおかげで助かりました。』



「いやいや、助けられてるのはこちらですよ。

報酬も引き上げて下さりましたし。


私、駆除隊の飲み会にも顔を出すようになったんです。

今までの人生、ちょっとコネとか縁を粗末にし過ぎていたかな、と。

センパイ達には、色々厭味は言われましたけど。

ちょっとでもチャンスを掴めればな、と。」



『私、酒の席が苦手なんですけど。

やっぱり飲み会って重要ですか?』



「うーーん。

酒の場でしか自己開示しないタイプの人って多いですからね。

トイチさんと出会ってから、まだ2回しか出席してないんですけど。

メンバー全員とLINE交換出来ましたし、これまで口も利かなかった相手とお互いの家業を手伝いし合う事にもなりましたからね。

アルハラに厳しいこの時代だからこそ、逆に出席するべきかな、と。」



『そうですか。

いや、私も極力意識してみます。』



「あ、そうだ!

LINEグループにトイチさんの旨、送っていいですか?

遠州支部の猟師が200名以上。

勿論、LINEの使い方があまりわかっていない爺さんも多いですが。」



『…ありがとうございます!

是非、お願いさせて下さい。』



津々崎の白山神社で合流し、寺之庄に文章を推敲して貰う。

テキストは簡単に流出する為、第三者に見られた時に違法性が指摘される文面では駄目なのだ。



結局。

《農村支援の活動をしている遠市厘氏が獣害の実態調査の為に浜松を訪問されております。

謝礼を支払うので、今イノシシを捕獲している方が居られれば挙手して下さい。》

という無難なメッセージになった。


ネットワークとは恐ろしいもので、30秒も掛からず十数件の返信通知が来る。

勿論、そんなに多くの獲物がある訳ではない。

《ゴメン、今は無い》

《昨日止め刺しした。》

《え? あの国連の子?》

のような返信が大半である。


実際、止め刺しがまだなのは3件。

ありがたい事に、どれも遠くない場所である。



『食いつきいいですね。』



「ひょっとすると、私の羽振りが良いのが原因かも知れません。

飲み会でも《儲かる副業あるんなら紹介しろよ》みたいな事をセンパイ達に言われたので。」



『ああ、なるほど。』



「すみません。

カネの話はしてないんですけど。

ルナルナ配信に私が出演した話。

地元では有名になってるんです。

それで皆、カネの臭いを嗅ぎつけたというか…

いや、服とか新しいのを買った所為もあるかもです。」




16時20分。

三ケ日のゴルフ場脇。

アタリを引いたかも知れない。

大きな囲い罠。

イノシシは1頭だけだが、うり坊がチョロチョロ走り回っている。

恐らくは母子。



鈴木が罠主に笑顔で現金を渡している。

そりゃあ笑顔にもなるだろう。

彼には中抜き権を与えているのだから。


罠主は俺を見て少し警戒心を浮かべるが、寺之庄が親し気に大阪土産を手渡すと相当態度を軟化させてくれた。

…イケメンって強いよな。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


2億4480万8410円

  ↓

2億4320万8410円



※鈴木翔にイノシシ捕獲紹介料160万円を支払い。

(イノシシ8頭×20万円)

※鈴木の罠主への分配額に関しては非干渉とする。



【推定経験値】


イノシシ8匹

40×8=320



《経験》 2203→2523


本日取得 980 (?)

本日利息 未取得


※レベル9到達まで合計2550ポイント必要

※8匹のうち7体がうり坊と呼称される幼獣形態なので取得経験値は不明。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




脳内で何度も計算する。

もしも、シカの経験値が20ポイント以上あり、うり坊も成獣イノシシ同様に40ポイントの経験値があった場合…

利息でレベルアップする。



俺は車両に戻り【複利】の発動に備える。

鈴木は罠主へのケアを丁寧に行ってくれている。

まあね、ここで機嫌を損ねたら次から中抜きさせて貰えなくなる可能性があるからね。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


2億4320万8410円

  ↓

13億4320万8410円


※出資金11億円を預かり



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「申し訳ありません。

トイチさんが10億きっちりを預かりたい気持ちはわかるのですが…」



『いえいえ。』



「我々も欲が深いので…」



『いえいえいえ。』



まあな。

彼らには日利2%を支払っている。

つまり1億の違いは日収200万円の違い。

そりゃあ、彼らにしても押して来る場面だろう。



「カネカネカネナンマイダー。」



江本が人事天命モードに入る。

祈る表情は清らかだが、横目で金地金を捉え続けている。

そりゃあね。

金板が貰えるんだから真剣にもなるよね。



「カネカネカネナンマ…

あと30秒でーす!」



…コイツ、データ投法の使い手だけあって時報能力も完璧だな。

今度、江本がモデルになったキャラが出て来る野球漫画を見せて貰おう。



《1億2088万8800円の配当が支払われました。》



『あっ!』



思わず声が漏れる。

俺は数字が苦手なので本当に苦痛なのだが…

いや、カネ勘定は脳が気持ちいいのだが…



『レベル…

上がってます…』



「トイチさん!

金地金の増え方からも明らかです!

9%到達おめでとうございます!」



うん、エモやんが言うなら上がったんだろうね。

もう計算放棄して、コイツに全部任せるわ。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


13億5320万8410円

  ↓

14億6409万7210円

  ↓

14億4209万7210円

  ↓

3億4209万7210円


※配当1億2178万8800円を取得

※配当金2200万円を出資者に支払い

※出資金11億円を別に保管


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




マズいな。

こうして数字で見ると、俺とメンバーの資産額の乖離が大きくなって来ている。

もう少し配当率を増やすか…


だがレベルアップの度に配当を引き上げていれば意味はないか…

現金の比率はそのままで貴金属をボーナス分配する?

いや、俺をそう誘導したいから江本は金地金を持参したのだろうか?


…正解がわからない。

まったく、カネというものは、持てば持つほど悩みが増えるものだ。




「…イチさん、トイチさん!」



『え、ああ。

何ですか?』



「到着です!

猟師さんも待っておられますよ。」



あ、そうか。

LINEで挙手してくれた猟師だな。

括り罠のイノシシ。


大きな獲物である事を猟師は愛想良くPRして来る。

確かに、こんな巨大なイノシシは俺も初めて見た。

ただ、うり坊も大柄なオスも同じ経験値なら、俺は無抵抗なうり坊を安全に殺したい。


皆が斜面を駆け回りながら鼻を固定する。

醒めているつもりではあったが、俺にも野生の本能が宿っていたのだろう。

皆と同じく咆哮しながら駆けて、気が付くと猪を滅多刺しにしていた。



  「お見事です。」



周囲はそう声を掛けてくれたが、まあ気休めだろう。

思い返すと醜態であった。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


3億4209万7210円

  ↓

3億4189万7210円



※鈴木翔にイノシシ捕獲紹介料20万円を支払い。

※鈴木の罠主への分配額に関しては非干渉とする。




【推定経験値】


イノシシ1匹

40×1=40



《経験》 2523→2725→2765


本日取得 1020 (?)

本日利息 202


※レベル10到達まで合計5110ポイント必要



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



寺之庄がシャワーを浴びている。

今日のMVPはどう考えても彼だからな。

一体何キロ走ったのだろうか?


その間、俺達は名古屋の飯田と通話。

互いに簡単に近況報告して、名古屋城での合流を約束する。

寺之庄の疲労を鑑みて、今夜は名古屋市内で宿泊する案を出した。

シャワーを終えた寺之庄も賛同し、キャンピングカーを収容可能なインバウンド向け物件をネットで予約した。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


3億4189万7210円

  ↓

3億4039万7210円


※寺之庄煕規に宿泊・交通費・その他諸々として150万円を支払い



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




『ヒロノリさーん。

レベル9です!

到達しちゃいました!!』



「よっし!!!」



珍しく破顔した寺之庄と熱く抱き合う!

この男、凄いなあ。

宣言通り結果を出して来た。



『まさか本当にレベルが上がるとは思いませんでしたよ。』



「ふふっ、足掻けば成果は出るんだよ。

特に金持ちが足掻いていると、僕を含めて皆が必死に恩を売りに来る。」



…まあな。

俺だって金持ちが困ってたら、チャンス感じちゃうからな。



『でも、正直疲れました。

運転するのはもっと疲れるでしょ?』



「うん、次から電車で済ませようか?」



皆で笑い合う。

だが、鈴木のLINEグループの件で分かった…

カネさえ出せば、周囲が勝手に仕組みを作ってくれるな。

それこそ、東京や大阪の市街地でのんびり暮らしながら、止め刺しの為だけに新幹線に乗る選択肢もある訳だ。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



名古屋市中区での宿所。

完全にインバウンド旅行客向けの物件だった。

1泊9万。

ベッドルームが3室、ベッドは計10台。

縦列駐車だが車も2台停められる。

当然キャンピングカーを奥に、飯田車を手前に駐車。

門扉がアコーディオン式なのはやや不満だが、概ね良物件だと思う。


やはり疲労もあるのか寺之庄は服を脱ぎ捨てるとベッドに倒れ込んで眠ってしまった。

流石に申し訳なくなる。

江本も風呂に入りたいようだった。


なので結局、名古屋城には飯田と2人で下見に行く事にした。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「牛丼動画、結構バズってるよ?」



『え?

そうなんですか?

鷹見ですか?』



「いや、地元の子だと思う。

ほら、このアカウント。」



『ああ、こんな子も居ましたね。

グリ下キッズ。』



「君のファンだろ?

もっと優しくしてあげなよw

ほら、《実物のガルパンに逢えて感激》って書いてるじゃない。」



『えー。

俺が牛丼配ってた時は、別にそんな雰囲気も無かったですけどね。』



「照れてるんだよw

年頃の女の子なんてそんなもんでしょw」



『そうなんですかねえw

恥ずかしながら私、清磨さんみたいに空気読めないんです。』



「モテる男の余裕w?」



『そんなんじゃないっすよーw』



2人で笑いながら巨大な商店街を歩く。

大須と言って、名古屋で一番大きな商店街らしい。



『へえ、色々な国のレストランがありますね。

ベトナム、メキシコ、ブラジル、トルコ…

あれは台湾茶かな?』



「ん?

気に入った?」



『いえ、海外勢が多く入店している地域ってオープンな気風があるのかなって。』



「ああ、リン君はやっぱりそういう視点で街を見るんだ。

拠点探し的な?」



『ええ、いつまでも転々としてられませんし。

幾つか拠点は必要になって来ると思います。

《荷物》も随分重くなってしまいましたし。』



「確かに。

《荷物》の仕舞い場所は必要だね。」



『若しくは…』



「うん。」



『ノーガードでバラマキ続けるかw』



「あはははw

結論出てるのに、《若しく》はとか言うなよーww」



『レベル20まで上げさせて下さい。

今よりもっと面白いことします!』



「お?

バズるつもりだなーw?」



『ええ、そろそろガルパンから脱却したいですしねw

私もどんどんアップデートして行きますよ!』



「あっはっはっはw


…鷹見さんに、勝てる?」



『…いえ。

一蹴されるでしょうね。

アイツはマジモンの化け物ですよ。』



「OK、それが解かってれば十分だよ。

何も怪物に対抗する為に怪物になる必要はない。

君は君のやり方で本懐を遂げればいいさ。」



「ですね。」



地下鉄で辿り着いた名古屋城は巨大だった。

ライトアップされた白い城塞は荘厳さとどこか場違いな滑稽さを併せ持っていて、俺の好みだった。



「リン君、BBQの大盤振舞い…

舞台を名古屋城にしたのは正解だったかも。」



『?』



「享保の改革のアンチテーゼであった徳川宗春公。

不景気の享保年間だったからこそ、異様な人気を誇った。」



『ああ、なるほど。』



「君は緊縮財政と積極財政だったら…」



『当然、後者です。

まあ能力ありきですけど。』



「そこまで意識して名古屋を選んだの?」



『まさか。

活動範囲の真ん中にあったからですよ。』



「折角だから騙っとくかい?」



『ですね。

宗春公が何をした人かあまり知りませんけど。』



「こういう時スマホだよ。

ほら、検索してみ。」



『うーん、結構難しい。』



「もう令和だからね。

お互いアップデートして行こう。」



『はい!


えっと、積極財政で名古屋の繁栄の基礎を築いたが…

反面、大幅な赤字転落を招いた。』



「なーんか君の未来を暗示してそうで怖いなぁw」



『わかります。

一瞬、身体がビクっとしましたもん。』



「だから、そこは逆手に取ろう。」



『と言いますと?』



「名古屋で大盤振舞いをする時は

《但し破綻はしないように細心の注意は払う》

みたいな注意書きを加えよう。


お、リン君。

wikiのここ見て。

ほら読んで御覧。」



『えっと。

《社会的な弱者を大切にした。》

ああ、死刑反対派だったんですね、この人。

いや、私はゴリゴリの積極派なんですけど。』



「当たり障りのない所だけ引用すればいいんだよ。

子供食堂の話題に触れる時だけ

《宗春公は福祉に熱心だったようで素晴らしい》

みたいに一言だけ触れる。

これが一番無難。」



『おお、流石。』



「要するに君のやりたい事って重福祉による格差是正でしょ?

でも、それに近い主張は色々な人がしてるからね。

分り易い活動しないと誰も見てくれないよ。」



…そう、誰かが人民に分け与えなくてはならないのだ。

宗春公の寛治を旨とした政治姿勢を顕彰する事は、俺の活動の一助となる可能性が高い。



名古屋城公園に併設されたBBQ場を横目で見学しながら2人で歩く。

とりあえず見学を申し込みに受付場所を訪れると、代表者的な人が居たのでその場で区画を申し込む。

直前にキャンセルが出ていた150人分(学生団体のコンパが流れた?)のエリアを予約しイベント扱いして貰える事になった。

但し、キャンセルの穴埋めなので6日後である。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


3億4039万7210円

  ↓

3億3889万7210円


※名古屋城BBQ場管理部にイベント使用料として150万円を支払い


17:00~22:00 BBQセット+食べ飲み放題

(特例として客の入れ替え可)



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




『…いきなり借りてしまいました。』



「いや、結構埋まってたからね。

どうせなら前倒しで実績作った方がいいよ?」



『ですね。

私もあまり時間を掛ける気がないので。』



「まずはリン君の構想通り無料で振舞ってみよう。

それで近隣の子供食堂を宣伝してあげればいいんだね?」



『ええ、制度の周知や普及が目的なので。』



「試す価値はあるよね。

俺は面白いと思う。

もしも広めたいなら、後は目的の明確化かな。


ねえ、リン君の目的はなんだい?」



『はい!

私の目的は皆が幸せに暮らせる平等な社会を作ることです!』




子供の頃、本当に貧乏だったからな。

肉とか全然喰えなかったよ。

ずっと肉を喰いたかった気がする。

焼肉とかステーキとか…

夢のまた夢だったよ。

…食えてもたまにハムエッグとかな。

俺の身長が低いのって、多分必要な栄養が足りてなかったからなんだろうな。



もしも、皆が平等に食事を摂れる社会だったら…

青木明菜は父と俺を捨てなかったのだろうか?

俺は、ただそれが知りたい。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【大阪夜の陣】 ルナルナの勝手に大阪万博 [雑談]


※この配信では「たぬきの葉っぱ」で匿名コメントができます




「どうもー。

税金を使わない方の大阪万博を開催しま~す♪


FANZAアダルト動画ランキング1位女優!

相模の獅子こと、ルナルナ@貫通済でーーす!!!」



「どうもニャー♥

いつもナンパされまくって歩けニャイ♪


令和の逆モーゼ!清純女教師!

正義のオマ●コ二毛作、奈々ちゃんだニャ―♥」




「「いえーーーーーい!!!」」



「はい、と言う訳で同接凄いことになってますねー。」



「初動5000はレジェント配信者ニャ♥」



「これねー、朝のラブホtweetがバズったのが原因だわ。」



「陰キャはレズネタ大好物ニャ。

ちょっとラブホ写真アップしたらブヒブヒ鳴いてたニャw」



「ウ↑チ↓ら寝るとこなかったんだよ。

ダーリン様がさあ。

朝のミナミにいきなり放り出すんだぜ?」



「トイチはマジモンの屑ニャ。」



「そう。

そういう経緯があったから、オールして眠かったし。

奈々とラブホに泊まったんだよ。

いや、ヤッてねーしw」



「2回ずつイカセ合っただけニャ♥」



「ヤメロ馬鹿ww

童貞共がスタンバイしちゃっただろうがww

おいゴミ共ー、真に受けるなよー。」



「しかしあの百合営業動画…

まさかの4000RTはドン引きニャ。

そりゃあ同接増えるニャンよ。」



「それとさあ。

《麗脚崇拝総集編》がランキング入りしてから、一気に加速した。」



「過去作に負けたBBA女優のみなさーんww

御感想はどうニャーw?」



「煽るなww

狭い業界なんだよw

大抵ケツ持ちが同じ組なんだよww」



「にゃはははww」



「奈々、そろそろ始めるぞ。

解説しろ。」



「はいニャ♥


今この大阪城公園には!

無数の陰キャが集まってるニャー♥

もうねー、凄いエロい目で奈々ちゃんを視姦してるニャ♪」



「オラ、陰キャ共!

何か声出せ!!!」



「んー?

声が聞こえないニャ?」



「うっは、キメエww」



「キモ面は声までキモいニャww」



「はい。

という訳でですね。

本日は、大阪城公園で公開配信イベントしてます。

ウ↑チ↓も来るのは初めてなんスけど…

花見にBBQと大阪の憩いの場って感じだよな。

路上ライブも盛んっぽい。」



「はーい♥

それじゃあ、ルナお姉様が進行してる間にぃ♪

コメ欄を読み上げていくニャ♥


《イチゴフラッペ》さん、岡山まで来て下さい!

出た、大都会ww 

キビ団子で動くのは犬コロだけニャww

《アバ茶》さん、麗脚崇拝買いました!

ざーんねん、AVって売れたところで

女優にバックが無いんだニャ~♪

《ランチパック上級大将》さん、百合営業もっと見たい!

えへへー、どうしよっかニャーw 投げ銭次第ニャww

《たぬき13号》さん、応援してます。

オマエ、もっと気の利いたコメント書けにゃww

《増税虫眼鏡》さん、貢ぎマゾプランってどんな内容ですか?

いや、内容あるのかな? 後で聞いておくニャ。

《シクラメン》さん、浜松プレゼントに入ってたストッキングって…

ふふふー、さああの黒ストはどっちのもニョかなニャ?

ヒントはルナお姉様がリリースする次のAVニャ♥」




「はい、じゃあ今日はしばらく奈々がコメント対応かな。

ウ↑チ↓はぁ、目の前のキモオタ共を泣かせて遊びまーすww


オイオイ、嬉しそうな顔すんなw

マジでキモいなオマエラw

あのねー、マジで揃いも揃ってチー牛顔w

ウ↑チ↓のファンってねえ。

チビ率が異常に高いんだわ。


白雪姫って話あるじゃん?

あの話って、絶対に長身系メンヘラの姫プだわ。

いや、マジで。


…。

…。

…今、卑屈な書き込みがいっぱい流れてんな。


オマエら相手の配信イベント。

舞台を大阪城にしたのは、運命だったのかもな。



いいんだよ!

陰キャで!

ブサメンで!

チビで!

そこは誰も責めてねーよ。


あのなあ。

オマエラ、少しマジな話するぞ。


この大阪城!

建てたのは誰だ!?」



  「大工さんニャ!」

 


「そうだな。

豊臣秀吉だな。

猿とかハゲネズミとか、そういうエグイあだ名が残ってる男だ。


ウ↑チ↓さあ、オマエラの卑屈な顔を見るまで秀吉なんて全然意識してなかったのね?

でも、オマエラのその表情を見た瞬間に…

これだけは伝えようと思った。


殺せやあ!!!

スペック低いからなんだよ!

自分よりデカい奴皆殺しにすりゃあ、オマエはチビじゃねだろうが!

出刃一本で済む話をウジウジ引きずるな。


いいかオマエラ。

弱い奴、醜い奴、貧しい奴。

他の誰が笑ってもウ↑チ↓は笑わねえよ。

でも、戦わない奴は軽蔑する。

戦わない奴は男じゃねえ、人間じゃねえ!


現に豊臣秀吉は逆らう奴を片っ端から粛清して天下獲った訳だ。

糞チビだったみたいだぞ?

便所の汲み取り係だったそうだ。

随分、禿げてたらしいな。

でも天下を獲った。


女の目的はなあ!

そういう覇者の子を産んでソイツが奪った天下を奪うことだ!

ただ勝つこと!!!

それが女の幸せなんだ!!


勝て!!!  殺せ!!!!  奪え!!!!

それを成し遂げた時、オマエが犯した女は幸福になれる!

その馬鹿が絶望した所で、次の代で幸福になれる!


オマエもそうなれ!

勝てば!

女なんか幾らでも抱けるよ。


女にも世界にもオマエが思ってるほどの価値はねえ。


ウ↑チ↓が言いたかったのはそれだけ。

後はそれぞれが考えろ、意味を。



…はい、マジな話終わり。

後は適当なエロイベにしまーすww


おい、そこのオマエ。

それ何のTシャツ?

赤いシャツのオマエだよ、どうせそれアニメのTシャツでしょ?

何てタイトル?

ん?

たいまにん?

何、そういうアニメがあるの?

どーせエロい奴だろ?

オマエ、こっち来いw

関西人ノリいいなあww


はい、君のコードネームは

タイマニンです。

おい、タイマニン。

オマエ、ウ↑チ↓と奈々どっちが好き?」



  「あ、ルナルナさん… っていうか…」



「聞こえねーよww

もっと腹から声出せwww」



  「ルナルナ命でーーーす!!」



「嘘くさいなーw

関西人はチー牛でも嘘上手いからな。


まあいいや。

騙されてやんよ。

おいタイマニン、隣に座れ胸に顔を埋めていいぞ…


ってコイツ迷いなく股に顔www

絵面がキモイから30秒後に画角から捨てまーすww

臭うなしww」




「アイテム、ありがとニャ♥

ゴメン、花火多くて誰が上げてるのかわからないニャ。

画面落ちる画面落ちる。

さっきのルナお姉様の煽動演説がチー牛の負け犬根性に火を付けたニャww


はい!

コメント読み切れないから、名前だけ読み上げて行くニャーー!!!

《ウンコ太郎》さん!

《壊滅装置》さん!

《たぬき11号》さん!

《あっくん》さん!

《天草四郎童貞》さん!

《ルナルナ信者》さん!

《たぬき40号》さん!

《キン肉マンコロー》さん!

《うわらば》さん!

《執行猶予中》さん!

《たぬき蕎麦》さん!

《抹茶パブロン》さん!

《終わりなき離婚調停》さん!

《セルフ調教》さん!

《誰でもいいからセックスしたい》さん!

《たぬきつね》さん!

《山田ァ》さん!

《ゴンザレス》さん!


名前読めなかった人もゴメンねー!!!

みんな、ありがとニャ―!!!」



「うおー。

同接凄いことなってんな。

コレ、サーバー落ちるかもな。


ああ、ゴメン。

まあ、そういう訳で大阪来てます。

今はねー、箕面ってトコに泊まってるー。


アソコって兵庫県?

ああ、ギリギリ大阪なんだ。


いや、その箕面のホテルでさあ。

姑にボコられてたんだわ。

いやマジマジ。

ワンパンで壁にめり込まされた。


あはははw

いやー、ダーリン様がムカついたから

ちょっくら殺してやろうと思ったんスよ。

そしたらBBAがしゃしゃり出て来て

このザマッスww


いや、嫁姑戦争とかじゃねーからw

竹槍とB29の方がまだオッズ公平だよw

あのBBA、無駄にガタイが凄いんだよ。

そこらの陰キャはデコピンで殺されるレベルやぞ?

ホントホントw


ああ、それでね。

壁を壊したお詫び?

いや弁償はちゃんとしたんだよ、ダーリン様が。

でもなんか、施設の宣伝させられる事になってさ。

とりあえず、そこのフリースペースでファン感謝祭する事に決めたの。


うん、さっき電話して。

いや、姑にもちゃんと許可取ったよ。

あのBBAウルサイもんww


え?

うん、そう。

ほら、《主観フェチ動画 黒スト天国》がリリースされるでしょ?

リリイベはしたいとは思ってたんだよ。


それで堀内カントクもリリース日なら来れるって言うからさ。

その日のイベント決めたの。

引退したAV女優さんもゲストとして連れて来てくれるんだって。

《安寿りりな》とか《エリザベータ舞桜》って人、有名なの?


へー。

そうなんだ。

結構有名人なんだね。

いや、ウ↑チ↓は女だしなー。

本当にわからないんだって。


あっそ。

まあ、オマエラが喜んでくれるならいんじゃない?


リリース日まで時間もねーしさ、後でダーリン様に報告しなきゃな。

おう6日後。

予定空けとけよー。

プレゼント禁止なー、全てキャッシュで寄越せ。


だってプレゼント可にしたらオマエラ白いジャムばっかり送ってくるだろ

今、ウチの股に顔を突っ込んでる奴とかも、その口だろうな。


はーい、タイマニン。

じかんしゅーりょー、幸せそうな顔すんなwww

オラ、あっち行けww


次にサドルに転生したい奴ー。

早い者勝ちだぞー。

その無価値な個人情報晒せよー。

一生消えないデジタルタトゥーにしてやるからな。


はい、そこのお父さん!

挙手早かった、ほらカメラの前で挨拶ww」



  「あ、あ、あ、矢野良平と申します!」



「矢野さん、凄いハゲっぷりだけど幾つよ?」



  「51歳独身、弱者男性です!!」



「ははは、歳まで聞いてねーよ。

オラ、来い。

近こう寄れ。」



  「あの! いつも動画見てます!

  は、ハンドルネーム《よっぴー星人》です!」



「おお、よっぴー!

オマエかぁーwww

ああ、前にコメントで言ってたもんな。

ハゲに人権ないのが辛いって。」



  「え!? 覚えて下さってたんですか!?」



「いや、よっぴーインパクトあるからな。

ほら、来いよ。

遠慮しなくていいぞ。

ルナルナの貧乳に顔を埋めたーい、って前に書いてただろ?」



  「え? え? え?」



「ばーかww

胸くらい減らねーよwww

おらあw」



  「ムゴッ!」



「えっとねえ。

このオッサンはよっぴー星人ってハンドルネームの古参ファン。

youtubeでホスト狩り配信してた時には、もうコメントくれてたんじゃね?

ああ、ウ↑チ↓が世話になってた組に舐めた真似したホスクラがあったからさ。

系列の奴に因縁付けてボコりまくってた時期があるのね?

いや、盃は貰えなかったんだよ。

ウ↑チ↓の知名度が上がったのって、その辺からじゃないかな?

それでさあ、このよっぴーが薄給の癖に貢ぎまくって来たから

貢ぎ禁止にしたのね?

だってそうでしょw

手取り14万の奴の投げ銭とかキモいわwwww


うん、そう。

ウ↑チ↓のファンって、基本弱者男性しかいないのね?

いや、画面の前のオマエww

オマエもだよww

鏡を見てこいww


ん?

いや、ニートとかは少ないなあ。

これウ↑チ↓の体感だけどエンジニア率高いんじゃない。


おい三橋ー!

オマエもエンジニアだったか?」



  「はい! バックエンドのエンジニアです!」



「多分ねー。

報われなかったガリ勉君が多いんじゃない?

ウ↑チ↓がその対極にある人だから。

氷河期多いなー。

結構みんないい大学出てるんだけどなー。


ちょww

学歴コメント一気に増えたwww

違うw違うww

facebookでやれww

Fラン大学就職チャンネルでやれww


出た―、京大中退ww

出たー、阪大法学部マウントww

出たー、Marchはギリギリ高学歴ですよねコメントーww


知らんしw

年少上がりのウ↑チ↓が序列とか知ってる訳ないだろw

ハイハイ、凄いでちゅねーw


ちなみに、ウ↑チ↓はクラスメートが異世界転移しました!

生き残りのチー牛野郎と付き合ってます!

この一点でオマエラ全員にマウント取れます!


但し、姑にボコられてるけどなww


はい、学歴の話シューリョー

そういう趣旨の配信じゃないからね。


わかった!

わかった!

今度学歴配信してやる!

それで高学歴と結婚したがってる女が居たらセッティングしてやる!

いや《居たら》だぞ!? 《居たら》な!?


コラコラ、はしゃぐな京大中退ww

女は安定志向だから中退は心証悪いと思うけどなー。


ん?

なんだ?

よっぴー?

人間として最低限の羞恥心を思いだしたのか?

うん、聞いてやるから話せ。」



  「あ、あのボ、僕は!

  松本深志高校だったんですけど!

  い、イジメとかで学校行けなくなって!」



「何? ハゲって言われたの?」



  「いや、その頃はモジャモジャで苛められてました。」



「そっかー。

ウ↑チ↓も天パ激しいから気持ちわかるわー。

舐めた口利いた奴は徹底的にヤキ入れてやって来たけど。」



  「あ、あ、あ。

  …ま、松本」



「ん?

ウ↑チ↓はその学校知らんのだけどさ。

ひょっとしていい学校なの?

おう、三橋ぃ知ってるかー?」



  「あ、はい!

  長野県の有名進学校です!

  毎年東大合格者を輩出してます!」



「へえ、よっぴーやるじゃん。

頑張ったんだな。

偉いぞー、頭ナデナデー。

ハゲだけどナデナデーww


おいコメント欄ww

荒ぶるなww

わかったわかったww

阪大法学部は日本で三番目に偉いんだなww

はいはいw


オマエなー、男なら1番だって言いきれよww

東大? 知るか馬鹿ww

今日の配信タイトル見てねーのかよ


はい、お墨付き出します!

阪大法学部は世界一チイイイイ!!


はい、今日の阪大供養終了。

はい、そこ一橋って書かない。

チクチク言葉を言っていいのは配信者だけです。

リスナー諸君はどうせ負け犬なので、ちゃんと傷を舐め合って下さい。


奈々ぁー、ファンサ終わったかー?

そろそろ締めるぞー。

いやマ●コの話じゃねーよw


ああ、リスナーには見えてないか?

今、この正面でねえ奈々がファンとチェキ会してる。

最初諭吉って言ってたんだけど、大切なウ↑チ↓の養分共だからな。

野口で妥協させた。


オラ、奈々。

後でやれww

コラ、チー牛を蹴るなww

リスナーイジメていいのはウ↑チ↓だけだww」



「ニャンニャーン♥

ただいニャーー♥」



「おかえりー。

じゃあ、配信締めるぞ。

奈々、告知。」



「はいニャ♥


さーて、世界100億人の弱者男性諸君♪

ルナお姉様が主演・監修した

《主観フェチ動画 黒スト天国》

いよいよ6日後リリースニャーー!!!


そして!

お姉様のファンティアの貢ぎマゾプランに入ってくれてる人限定で!

な、な、ななーーーーんと!!!

主観寿司ペロ動画、プレゼントするニャー!!!!


それくらい気合入った企画ニャ!


タイトル繰り返すニャ!!!


《主観フェチ動画 黒スト天国》


お気に入り登録したか?

サンプル動画でシコったか?

いいねはRTは?

カネがねー奴は100万回RTしろニャー!!!!!!」



「オマエ飛ばし過ぎww」



「それで急遽!

6日後のリリイベを大阪で開催することになったニャ!!


会場は!

北大阪急行電鉄、箕面萱野駅徒歩2分の!

《リバティ空間北摂》様ですニャ!!!


ゲストには孤高のAV職人!

マグナム堀内!


元祖爆乳女優の安寿りりな!

カリスマ・ヤマンバことエリザベータ舞桜!


そして司会進行は当然!

この奈々ちゃんですニャン♥


6日後だぞー、ちゃんと予定空けとけよー。」




「うん?

勿論茶は出ないから近くの自動販売機で何か買って来い。

え?

プレゼント?

荷物になるんだよなー。


まあいいや!

今回プレゼント解禁とします!!

オラ、貢ぎマゾ共!!

ウ↑チ↓の養分になって死ぬ権利をくれてやる!!!


ぶっ殺してやるよwwww」




「はい、という訳で。

そろそろ時間となりましたニャ。

ほら、キモオタ共。

例のコールやれニャ♪」



「はい♪

今来たばっかり、頂きました。」



「催促されて言ってるようじゃ

まだまだ魂のカースト低いニャ。」



「はい、それでは。」



「はいニャ♥」



「この配信は、相模の獅子ことルナルナ@貫通済と!」



「百合営業が少し本気になって来た清純恩師の奈々ちゃんが!」



「「お送りいたしましたーーー♪」」



「それじゃあ屑共!!」



「それじゃあみんニャ♪」



「「まったねー♥」」




【この配信は終了しました】

【名前】


遠市 †まぢ闇† 厘




【職業】


東横キッズ

詐欺師

自称コンサルタント

祈り手




【称号】


女の敵




【ステータス】 (地球上にステータス閲覧手段無し)


《LV》 9

《HP》 鼻骨骨折疑惑

《MP》 強い

《力》  女と小動物なら殴れる

《速度》 小走り不可

《器用》 使えない先輩

《魔力》 ?

《知性》 悪魔

《精神》 女しか殴れない屑

《幸運》 的盧


《経験》 2765


本日取得 1020 (?)

本日利息 202


次のレベルまでの必要経験値2345


※レベル10到達まで合計5110ポイント必要

※キョンの経験値を1と断定

※イノシシの経験値を40と断定

※うり坊(イノシシの幼獣)の経験値を成獣並みと仮定

※経験値計算は全て仮説




【スキル】


「複利」 


※日利9%

下2桁切り上げ 




【所持金】


3億3889万7210円




【所持品】


jet病みパーカー

エモやんシャツ

エモやんデニム

エモやんシューズ

エモやんリュック

エモやんアンダーシャツ 

寺之庄コインケース

奇跡箱          

コンサル看板 




【約束】


 古屋正興     「異世界に飛ばして欲しい。」

 飯田清麿     「結婚式へ出席して欲しい。」

〇         「同年代の友達を作って欲しい。」

          「100倍デーの開催!」

          「一般回線で異世界の話をするな。」

〇後藤響      「今度居酒屋に付き合って下さい(但しワリカン)」

          「大阪を滅ぼさないで下さい!!!」

 江本昴流     「後藤響を護って下さい。」

×弓長真姫     「二度と女性を殴らないこと!」

×         「女性を大切にして!」   

〇寺之庄煕規    「今度都内でメシでも行きましょう。」

×森芙美香     「我ら三人、生まれ(拒否)」

×中矢遼介     「ホストになったら遼介派に加入してよ。」

          「今度、焼肉でも行こうぜ!」

〇藤田勇作     「日当3万円。」

〇堀田源      「トイレコインの使い方を皆に教えておいて。」

〇山田典弘     「一緒にイケてる動画を撮ろう。」

〇          「お土産を郵送してくれ。」

 楢崎龍虎     「いつかまた、上で会おう!」

 警視庁有志一同  「オマエだけは絶対に逃さん!」

×国連人権委員会  「全ての女性が安全で健(以下略)」

〇安宅一冬     「浅草寺周辺を一緒に散策しましょう。」

 水岡一郎     「タックスヘイブンの利用・移住をしないこと。」

×平原猛人     「殺す。」

          「鹿児島旅行に一緒に行く。」

 車坂聖夜Mk-II   「世界中の皆が笑顔で暮らせる、優しい世界を築く」

 今井透      「原油価格の引き下げ。」

 荒木鉄男     「伊藤教諭の墓参りに行く。」

 鈴木翔      「配信に出演して。」 

×遠藤恭平     「ハーレム製造装置を下さい。」

〇         「子ども食堂を起ち上げる。」

 田名部淳     「全財産を預けさせて下さい!」

 三橋真也     「実は配信者になりたいので相談に乗って下さい。」 

 DJ斬馬      「音楽を絡めたイベントを開催する際、日当10万で雇用する。」



〇木下樹理奈    「一緒に住ませて」


×松村奈々     「二度と靴は舐めないにゃ♥」

〇         「仲間を売るから私は許して♥」


〇鷹見夜色     「ウ↑チ↓を護って。」

〇         「カノジョさんに挨拶させて。」

〇         「責任をもって養ってくれるんスよね?」


×ヒルダ・コリンズ 「芋羊羹…。」

          「王国の酒…。」

          「表参道のスイーツ…。」 

×         「ポン酢で寿司を喰いに行く。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] Xデイは6日後…!
[良い点] 矢野良平キタ〜、名前カッコイイ。 トイチBBQでルナのコーナーに来ないかな〜、って思っていたら、まさかのフライング。 トイチの側近入りを夢見てたけど、今回の感じでは、かけらも無さそうで悲し…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ