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【降臨日23目】 所持金4669万5219円 「例えこれが最後でも悔いはない。」

早朝6時。

不思議と目が覚めた。

睡眠時間はいつもより短い筈なのに、寝不足は感じない。



何故だろう?

真面目に考え込む。



あ、そうか!

鷹見が居ないからだ!

しかも冷静に考えれば平原猛人の姿も見当たらない。



あー、そうかー。

身近に犯罪者が居ないだけで、QOLってこんなに向上するんだ…

我が国の警察機構の勤勉さに感謝しなくちゃな。




ストレッチ体操をしていた後藤に声を掛けられたので、2人で早朝の浜名湖畔を散歩する。

湖を照らす朝日はどこまでも神々しく、低俗な配信文化に汚された俺の心を爽やかに洗い流してくれた。




「トイチさん、重大ニュースです。

この近くのホテルで、鰻の食べ放題があるそうです!」



『ええ!?

鰻の食べ放題!?』



「はい。

俺も昨日猟師さんから教えて貰ったんですが。

地元の方も結構食べに行ってるみたいで。


浜松餃子とかも出るんですけど

みんな、狂ったように鰻をかき込むそうです!

味変でひつまぶしをゴクゴク飲むように食べるとか!」



『ゴクゴク!?


おお!

マジっスかー!!

行きましょう!

是非行きましょう!

今日、皆で行きましょう!』



「ですよね!

実は俺、浜松に行くって聞いた時から

鰻尽くしを夢見てたんです!


勿論、和牛もありがたいんですけど。

一度、鰻丼を腹いっぱい食べるのが夢やったんです!」




後藤とアスリートの食事事情で盛り上がりながら1時間ほど浜名湖沿いを散歩。




『あー、この辺

アサリの養殖も盛んなんですね。』



「ああ、ホンマや。

潮干狩り遊漁組合って書いてますわ。」



『じゃあ、鰻の後はアサリのグルメも探さなきゃですね。』



「いやあ、こんなに楽しい毎日は生まれて初めてですわ!」




2人で肩を並べて笑い合う。

美しい景色、数々のグルメ、掛け替えのない友。

うーん、最高っすね。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




キャンプに帰り、早速皆に鰻食べ放題情報を伝える。

予想に違わず、皆が目を輝かせる。

そりゃあね、浜松と言えば鰻でしょう♪


寺之庄が調べてくれた所によると、ここから30分程の距離に、そのホテルがあるという。

早速予約してディナーバイキングを楽しむことに決めた。


朝一で帰還した安宅を労いつつ、カプセルテントに集まって皆でニヤニヤしながら夜を待つ。

鰻を腹一杯食べる為に、食事は最小限しか摂らない。

俺は朝から水しか飲んでいない。

当然、物凄い空腹感である。

だが、この飢餓がディナーバイキングへの期待をそそるのだ。



話題は鰻から、精力の話に移る。

男同士の会話なので、当然に下ネタに走る。


「男は幾つまで勃起出来るのか?」

「鰻やスッポンは女の性欲も向上させるのか?」

「鰻を毎日食べればペ●スは肥大化するのか?」


真顔で熱く議論を交わした。

職業柄、医療・栄養知識に詳しい飯田がEDと食事の関連性を説明してくれる。

高カロリー・高脂質・高塩分は男性器機能を著しく損なうとのこと。



「ええ!?

私、脂物大好きですよ。

あれってEDの原因だったんですか。」



安宅が眉間に皺を寄せて大袈裟に嘆く。



「安宅さん。

大丈夫です。

牡蠣やマグロはEDに効くので

これからはそちらの比率を高めて行きましょう!」



「おお、海鮮も好物ですよ!」



「静岡名物の《しらす》《えび》そして今夜食べる《鰻》も!

血行や免疫力に正の作用を与えるアルギニンが豊富に含まれております!

今日はガッツリ食べて精力UPしましょう!」



「はい!

食べます!!


…それにしてもマグロも勃起にいいんですね?」



「安宅さん、朗報です。

我々が滞在しているこの静岡県は、マグロの漁獲量日本一ですから!」



「ええ、そうなんですか?」



「考えてもみて下さい。

太平洋に面した海岸線の長い、この静岡!

焼津や清水といった、古来よりの名港が無数に存在します!

ちなみにマグロの水揚げシェアは9割近いですよ。」



「えええ!?

それは初耳です!!!」



「どうです?

鰻を喰い尽くしたら、次は駿河方面でマグロを攻めるのは?」



「むほほーーーーww」




こんな感じでワチャワチャ盛り上がる。

メシの話って万人受けするから最高だよね。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




鰻を食べる為に腹を減らしておく話の流れになり、皆で車を洗車することにした。

寺之庄のキャンピングカーに積まれていた洗車セットで、皆の車をゴシゴシ。

浜名湖の高い空に舞ったシャボンが太陽に照らされ美しい。

エモい風景だったので、皆で並び笑顔で記念撮影。

飯田のインスタにアップする。



「あれ?

平原さんの車ないですね?


トイチ君。

あの人、帰ったのかな?」




『いや…

まだテントに荷物ありましたよ?』




あれ?

一昨日は一緒に起きて…

そうそう二日酔いだった。

あの後…



「じゃあ、電話してみようか?

…うーーーん、電源切れてるね?」



『え?

あの人

《不動産屋はいつでも電話を取れなきゃいけない》

って言ってましたけど?』



「何かあったのかな?

事故?」




一応、皆でテントをチェック。

平原猛人の荷物は丸々残っている。

飯田と江本が車を出して周辺を捜索に行く。



『あ、ノートPCが置きっ放しだ。』



「枕元に名刺入れもあるね。

戻って来るつもりなのかな?


ん? このスマホは?」



『あの人、スマホ3台くらい持ってますよ。

複数台持ってれば、盗まれたり無くした時に、すぐに探せて便利らしいです。』



「ふーーん。

それも一理あるか。」



『あの、何かピカピカ光ってるんですけど。』



「ああ、電話が掛かって来てるっぽいね。」



『へえ。

まあ、あの人も社長だから忙しいんでしょう。』




その後も寺之庄と共に平原の荷物をチェック。

洗濯物が放置されていたので洗ってやることにする。

オッサンの癖に派手なパンツ履いてやがる。




「うーーん、ずっと着信止まらないね。」



『え?

そうなんですか?』



「この電話に誰かが掛け続けている。

それにしても異常だな…

平原さんかな?」



『あ、なるほど。

予備のスマホから掛けてるのかも。』



「ゴメン。

念の為、応答するね?

事件や事故の可能性もあるから。」



『はい、お願いします!』




「もしもし、平原さんですか?」




寺之庄がスピーカーホンに切り替えて、俺に聞かせる。




  「失礼、警察の方でしょうか?」



「は?

いえ、我々は平原さんの友人で

一緒にキャンプに来ております。」



  「ああ、大変失礼しました!

  私、平原不動産の法務顧問を務めております

  倉沢正彦と申します。

  倉沢弁護士事務所の代表です。」



「ああ、話は伺っております。

腕の良い弁護士がバックに付いていると仰ってました。」



  「ははは、恐縮です。」



「あの?

平原さんに何か?」



  「え、いや、あの。」



「ああ、失礼しました。

私は寺之庄煕規と申します。

残念ながら平原さんとは共通の友人の紹介であり

最近お目に掛かっただけなので

詮索するつもりはありません。」



  「共通の…  友人?


  あの、大変失礼ですが…

  遠市厘様の関係者の方ですか?」




「え?」



寺之庄が横目で俺に確認を取る。



『ヒロノリさん。

代わって下さい。』



「倉沢先生、丁度ここに本人が居られるのですが

代わって宜しいでしょうか?」



  「え!?

  あ、ありがとうございます!

  是非、お願い致します。」



『代わりました。

遠市厘で御座います。

平原社長から倉沢先生のお名前を何度か伺っております。

御家族ぐるみで交際されておられるとか。』



  「おお!

  遠市さん!! 

  私も最近、貴方のお名前ばかり聞かされておりました。

  あの、隼人君のクラスの…」




『ええ、平原隼人は大切な友人です。』



  「ああ… 良かった。


  あの、状況をご説明しますね?

  現在、平原社長は静岡県警に逮捕拘留されています。」



『え!?

何で?』



  「昨日、煽り運転で逮捕された所、指名手配中であったようで

  そのまま浜松西警察署に連行されました。」




『ああ、あの人の運転滅茶苦茶だから。


…って、指名手配?

あの人、何をやらかしてたんですか?』




  「あ、いや。

  ちょっと罪状に関しては…」



『まあいいや。

法を犯したのなら、罰則を受けるべきでしょう。

煽り運転は重罪ですからね。』



  「…遠市さん。」



『はい?』



  「これも何かの御縁だと思いお願いしたいのですが…

   遠市さんに平原社長の身元引受人をお願い出来ないでしょうか?」



『え?

身元?』



  「いえ!  勿論、駄目元でのお願いなのですが。

  平原社長は身寄りも友人もなく。」



『そりゃ、あの性格だから友達は当然いないでしょうが…


あ! あの人奥さんが居られます!

離婚したそうですが、今でも連絡を取り合っているみたいで。』




  「…申し上げにくいことですが。」



『はい?』



  「平原社長を刑事告訴しているのが…

  奥様の千紘さんです。

  

  罪状は… 強制性交等罪。

  かつては強姦罪と呼称されていました。」



『あ!

そうだった!』



  「その反応からすると、ある程度御事情は御存じなのですね?」



『…奥様とヨリを戻す事を提案したのが、私です。』



  「え!?

  そうだったんですか!?


  …私が幾ら促しても聞き入れて下さらなかったのに。」



『申し訳ありません。

彼に余計な発言をしてしまったかも知れません。』



  「…あの、一点確認しておきたいのですが

  もしかして社長と一緒に鎌倉に行ったのって遠市さん?」



『ええ、先日ドライブに誘われまして。』



  「ああ。そうだったのですね。


  余程、信頼されているのでしょう。

  私、鎌倉の別荘はお願いしたのですが、まだ見せて貰ってませんから。」



『え? そうなんですか?』



  「妻が、鎌倉に憧れがあって。

  それで一度拝見したいとお願いしたのですが

  《プライベートだから》とあっさり断られてしまって。」



『そうだったのですね。』



  「遠市さん。

  本来は弁護士の私が身元引受人になるべきなのですが

  あいにく、同居している両親と平原社長が憎み合っておりまして。」



『あ、それ絶対平原さんの方に落ち度があるパターンですね。』



  「ははは、私の口からは何とも(笑)」



『まあ、平原隼人への供養と思えば…

本来は身元の引受くらいは…』



  「え!?

  じゃ、じゃあやっぱり隼人君は!?」



『…。

今、申し上げた通りです。』



  「そうですか。

  …そうですかぁ。」



『申し訳ありません。』



  「…御遺体は  その…

  もしかして異世界?」



『私はその場を見ておりませんが…

地球にない事は確かです。』



  「御遺骨や御遺髪は…」



『申し訳ありません。』



  「いや、取り乱してしまって申し訳ありません。

  今は目の前の問題に取り組ませて下さい。

  では、身元引受人をお願いして宜しいでしょうか?」



『あの、申し上げにくいのですが

私も指名手配中でして。』



  「え!?

  ええええええ!!!!!!???」




百戦錬磨の弁護士がここまで驚くという事は、やはりレアケースなのだろう。



  「いやいや! 

  別々の事件で指名手配された者同士が一緒にキャンプとか!

  私もこの業界長いですけど、特異極まりないケースですよ!」



更に鷹見の件を告げると、倉沢弁護士は絶句。



  「す、寿司ペロ少女まで…

  え!? え!? え!?

  指名手配犯3人でキャンプ!?

  今時暴力団事務所でも、3人指名手配なんて中々ありませんよ!」



『誠に申し訳御座いません。』



メンバーの許可を取ってから倉沢弁護士に歌舞伎町事情を説明。

水岡からの連絡あり次第、倉沢に動いて貰うこととなる。




  「いや!

  この状況で弁護士報酬は…

  流石に受け取れませんよ。

  それも隼人君のご友人から。」




『いえ、高校在学中であればお言葉に甘えたかも知れませんが。

もう私も成人しておりますし


…それに法律周りをお任せできる人材を探していたのです。

これも何かの縁だと思って、歌舞伎町の件…

お願いさせて頂けませんか?』



  「ああ、ですが

  正式な依頼となりますと

  

  弁護士を1日拘束しようと思えば

  …3万くらいは掛かりますよ?」



『倉沢先生。

御厚意はありがたいのですが

今、拝見させて頂いている御事務所のサイトには

日当10万円と記載されています。

正規の料金でお願いさせて頂けませんか?』



  「え、サイト? 

  あ!


  …参ったなぁ。

  あれはあくまで定価であって」



『先生。

私への指名手配が解除されましたら

平原社長の身元引受人となりますので。

定価で報酬を支払わせて下さい。』



  「…遠市さんにメリットがないでしょう。」



『平原隼人は損得で動く男ではありませんでした。

私は彼のそういう部分を尊敬し、少しでも近づきたいと考えております。


隼人君が今の私の立場でも、きっと義侠心を発揮したと思います。』




それで話は終わり。

後は水岡次第。

幸い、順調に事態が推移している。

先日鷹見が送った偽メールに伊東が激しく反応し、歌舞伎町に向かって来ているからだ。


jetと連絡を取って、伊東が新宿入りした事を確認する。

水岡の部下が伊東確保の為に広場に到着したということ。


スマホ越しに水岡の部下の印西広志に礼を述べる。

約束通り、佐々木の年齢確認はスルー。


印西刑事から状況の説明を受ける。

水岡が逮捕状請求の取り下げの為に精力的に動いてくれているとのこと。。




 「発行された逮捕状の1%くらいは、捜査機関が自発的に取り下げてますよ。」




『結構、レアケースなんですね。』




  「ええ、やはり国民の身体財産を拘束するというのは重大な権限ですから

  我々警察だって慎重に捜査して確信を得てからではないと逮捕状を請求してません。」



『ああ、そういう背景があるんですね。』



  「遠市さんのケースに関しては、埼玉県警さんの判断なので

  どうしてこうなっているかは分かりません。

  個人的には勇み足だったのではないかと思います。

  ただ、上の人同士で話は円滑に進んでいるようです。


  あの遠市さん…

  ややセンシティブな話になるのですが…

  警察庁も最近失点が続いておりまして。

  特に冤罪関連はマスコミさんが…」



『御安心下さい。

水岡警部にもお伝えした通り、この件で騒ぐ気はありません。

また、出頭命令や協力要請があれば、これに従うつもりです。』



  「ありがとうございます。

  …正直、助かります。

  

  あ、来た?

  伊東来ました!!」



そこからはスマホ越しの風景。

印西刑事と制服警官が伊東の肩を押さえて確保。

そのままパトカーに乗せられる。


他人事みたいに言っちゃ駄目なんだろうけど…

刑事ドラマみたいでドキドキした。

寺之庄が倉沢と色々と調整してくれている。




『jet、佐々木さん。

今回はありがとうございました。』



  「いや、リンは無事なんだな?」



『おう、無事無事。

今、浜松で鰻を喰う相談をしてた(笑)』



  「ははは、オマエもっと緊張感持てよぉ(笑)」



『ゴメンゴメンw


あ、佐々木さん。

今回はありがとうございました。

貴女のお陰で何とか窮地を脱せました。』



  「いえ、元は伊東が原因でしたから。

  それと、報酬は貰い過ぎだと思うのですが…」



『いえ、あれはこちらの定価です。

余れば、まあ伊東さんとでも旨いものでも食べに行って下さい。』



  「…いえ、伊東とも顔を合わせにくいので。」



『じゃあ、後は江本さんと代わりますね。』



  「え!?」



『歌舞伎町に関しては、江本さんに担当して貰ってるんですよ。』



俺なりの友情。

ちょっとわざとらしかったかな。

エモやんをテントに残して寺之庄と表に出る。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



水岡が上司を動かしてくれたらしい。

警視庁経由で埼玉県警に働きかけてくれた。

曰く、明日には逮捕状請求の取り下げが行われ、指名手配も自動的に消滅するとのこと。


倉沢には確認の為に動いて貰う。

言を左右にして振込口座を教えてくれなかったので、どうやら報酬を渡すのは別の機会になりそうである。




『はい、皆さん。

指名手配犯3人態勢は解除されそうです。』




俺が宣言するとメンバーが可笑しそうに肩を揺すった。

平原猛人・鷹見夜色・そして俺。

まさか手配犯が3人で肉を食ってるなんてな。


そして指名手配が解除され次第、平原猛人の身元引受人になることを皆に宣言。

当然賛成されなかったものの、強い反対もなかった。



なあ平原。

俺達の付き合い、オマエが死んでからの方が長くなっちまったな。


…ごめんな。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




鰻は配当を払い終わってから食べに行く。

当たり前だろう?

食べてる最中にカネが吹きだしたら、鰻に集中出来ないじゃないか。


皆で寺之庄のキャンピングカーに固まる。

エモやんが何気なく車でブラインドを作ってくれた。

つくづく気の回る男である。



「リン君。

そろそろおカネの保管場所…

狭くなってきたね。」



『清磨さんは、何かアイデアあります?』



「今がベターだからね。

これ以上の状況が思いつかない。」



『え?

ベターですか?』



「まずこのグランピング場の立地。

庄内半島の先端だから、部外者の接近を素早く察知出来る。


あの人がトレイルカメラで監視してくれてるし。」




…なるほど、それで関羽は静岡県警の到来を知れたのか。




「そして寺之庄さんのこの車。

味方車両で周囲を囲んでるから、盗むのが難しい。」




まあ盗まれる時は盗まれるし、カネを派手に使っていれば強盗に遭う事もあるだろう。

その場合抵抗しないでくれ、と一同に伝える。

車内に積んでいるカネは、たかが数億。

近いうちに端数になる。




「何より楽しい。」




飯田の言葉に思わず笑みがこぼれてしまう。

そうなのだ、現金はどこに隠そうが

結局は何らかのリスクを伴う。


なら、楽しいに越した事はないじゃないか。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


3165万1219円

  ↓

2億6165万1219円



※出資金2億3000万円を預かり



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




『安宅さん。

5000万も引き出せるものなんですか?』



「200万を越えると本人確認書類が必要になってきます。

…あの、あと2億くらい預けても大丈夫ですか?

少し時間は掛かります、投げ売りとは言えタワマンもすぐに現金化出来る訳ではありませんし。

タイのオンショア口座は引き出しにコツがいるので。」



『安宅さんの金額は突出しているので…

多めに日利を払わせて下さい。』



「…いえ!

皆と一緒で!」



『そうですか。

では、皆さん…

ああ、私の言う《皆》とは

今から鰻を食べに行く初期メンバーを指すのですが

皆さんの配当を引き上げれる様に精進します。』




このメンバーにしても、偶然出会っただけの関係だ。

まだ一月すらも付き合いはない。

大切な事は、まだ俺の態勢が整う前に信頼関係を築けた。

これが大きい。

何より、この面子は概ね有能で誠実である。

俺としても是非、繋ぎ止めておきたい。



《1569万9100円の配当が支払われました。》



頭の中で何度も計算を試みる。

間違いない、6%!

やはり異世界同様、経験値にも利息が発生する!

そしてイノシシの経験値は40で間違いない。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


2億6165万1219円

 ↓

2億7735万0319円


※配当1569万9100円を取得



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



しかも、これ端数の切り上げが始まってないか?

異世界でも下2桁切り上げ機能が途中から発現した。

今回も同様?

念の為、小銭を集め始めておくか?

まあいい。

順調、今のところ概ね計算通りに推移している。



よし…

個人商店の段階は脱した。

規模を事業の域まで広げるのは、そう難しくないのだが…

今はもう少しレベリングに専念したい。

社会的地位が上がってしまったら、狩猟なんて周囲全員から反対されてしまうからな。



とは言え。

スキルの取得額と彼らへの配当が徐々に均衡しなくなっている。

俺の取り分だけが増えるのは、彼らの精神衛生上好ましくないか。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


2億7735万0319円

  ↓

2億7689万0319円

  ↓

4689万0319円



※配当金460万円を出資者に支払い

※出資金2億3000万円を別に保管



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「いや、トイチさん。

計算、違いますよ。」



『えっと。

払い出し日利は1%のままなんですが。

初期メンバーに関しては倍の2%を適用しようかな、と。』



「え? いや。」



『この先、規模が巨大化する可能性が高いです。

金額が大きくなれば人は自然に寄って来ますし

私自身がポリティカルな人間なので。


皆さんは、単に出資者ではなく

実作業面でも貢献して下さっている訳でしょ?


私の初期構想とは少し異なってるんです。

当初はもっとドライな貸借関係を想定していたので。


出資面以上、今こうやって脇を固めて下さっている事が助かってるんです。

そもそも私1人では、こんな所まで来れなかった訳じゃないですか?


なので日利は1%。

働いてくれている、この初期メンバーへの日当として更に1%。

それで計2%です。』




飯田・後藤・江本・寺之庄・安宅。

五者五様に聡い。

ソフトな物腰とは裏腹に、言葉の裏を敏感に読み取って来る。

なので、俺のこの提案の行間を読んでくれた。



「ああ、なるほどぉ。

預金と作業は…

確かに…  

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()




この後藤の台詞が全てである。

俺は《中抜きを許可するからカネを集めてくれないか?》と暗に持ち掛けているのだ。

そして、俺の側で作業する権利も贈呈すると言っている。

(この特権がどう考えても一番旨味がある。)

裏返せば、彼らが甲斐甲斐しく動いてくれるならコアメンバーは積極的に増やさない、という意図だ。



一括して配当を払わせて貰えるなら、出資者は5人でも5000人でも手間は同じである。

5000人とカネの遣り取りをしてくれるのなら、配当が1%上がるくらいは、どうと言うこともない。


手間だけはない。

彼らにも纏まったカネを持って貰わねば困る。

俺だけ金持ちになっても仕方ないのだ。

大切な事は、俺のシンパがそれぞれに資本を保有することである。


例えば、異世界ではその役割をドナルドとカインに担って貰っていた。

元々富裕層だった彼らはカネの使い方を熟知していたし、そういう前半生を送っていた彼らだからこそ、天文学的な金額を与えても一切心の均衡が崩れる事は無かった。

2人は手にした膨大なカネで俺を援護射撃し続けてくれた。

どこぞの母娘と違って、口論1つ起こさなかったのも非常にありがたかった。

彼らには幾ら感謝してもしたりない。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




「いやあ、壮観だねえ。」



飯田が頬を大きく緩める。

無造作に盛ったセルフ鰻丼。



「じゃあ、今日の乾杯は鰻丼で行きましょう!」



後藤の提案に皆が笑って同意する。



「トイチ先生、音頭を。」



安宅に促され、俺は鰻丼を掲げた。




『皆様に助けられて、鰻丼を食べられるようになりました。

ただただ感謝しかありません。


それでは皆さん!

今日は腹一杯鰻を貪って精を付けて下さい!


かんぱーーーーーい!!!』




「「「「「かんぱーーーーーーい!!!」」」」」




メンバー全員で力強くどんぶりを合わせて気勢を上げた。




『さあ、喰うぞ。』




無心に鰻を掻き込む。

タレの付いた白飯が心地良い。

最初の一杯を瞬時に食べ終わり、二杯目の鰻丼を盛りに行って貪る。

腹にドカドカ溜まる衝撃に酔う。

二杯目を喰い終わり、ようやく水分を取っていない事に気付いたので、店長さんっぽい人に鰻に合う酒を尋ねる。



「サラっとした辛口の日本酒が合いますね。

…私がおススメしているのが、この浜松の地酒【出世城】です!」



『おお、素晴らしい!

あのテーブルで皆と楽しみたいので一本頂けますか?』



「え?

テーブルでですか?

あー、いや。」




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


【所持金】


4689万0319円

  ↓

4688万0319円


※チップとして1万円支払い


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




『皆さん。

鰻に合う酒を仕入れて参りました。』



「おお!

出世城!!

縁起がええですね!」



皆は遠慮したが、1人1人に注いで回らせて貰う。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



『安宅さん。


どうです?

精は付きそうですか?』



「相手が居ませんよぉw」



『安宅さんなら普通にモテるでしょ?』



「いやいや、私がカネカネで生きて来た人間なので

そういうカネカネした女としか接点が無かったんですよ。」



『え? やっぱりそういうものなんですか?』



「私、大学在学中に大金を手にしてしまって。

その頃は若かったから、ヒルズ族にも可愛がられて

馬鹿な遊びをしてしまいました。


今思えば、私も軽薄でしたし、そんな私に群がる女も軽薄でしたね。」



『そういう女性はあまり好きではない?』



「女と夜の女は別物ですね。

あの時は気付きませんでしたけど。」



『名言ですね。

肝に銘じます。


あの、安宅さんってどんな女性が好みなんですか?』



「うーーん。

私を好きになってくれる人、ですかね。

月並みですけど。」



『あ、それわかります。

好感持たれちゃうと、愛着湧きますよね。』



「鷹見さんのことですかw?」



『あははw

最初は叩き殺してやろうかと思ってたのですけど。

今は、面倒くらいは見てやってもいいかな、って思ってしまってます。』



「落とされちゃいましたねーw」



『私、チョロイんですよw』



「男はみんなそうですよーww」




安宅と肩を叩き合って笑う。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



『ヒロノリさん。

もう一杯お注ぎしますね。』



「あー、スミマセンスミマセンw

おっとっと。」



『あの日、貴方に会ってなかったら

一生、キャンプとかしてなかったかもです。』



「またまたぁw

トイチ君は大袈裟なんだからぁww」



『いやいや、ホントですよぉw

友達同士でキャンピングカー遊びするっていうのが

私にとっては未知の世界で。

強烈に憧れましたね。』



「あはは。

じゃあ、一緒に来れて良かった。」



『はい、楽しいです!』



「僕もね?

毎日事件が起こるからドキドキしてる。」



『捕まってるだけじゃないですかww』



「あはははww

犯罪者率高過ぎだよねww


でも、自分が刑事ドラマの登場人物になったみたいだよ。

昨日の鷹見さんの逮捕劇!

人間がパトカーに放り込まれるシーンなんて、まるでアクション映画だった。


実はね?

昨日は興奮してあまり眠れなかったんだ。


トイチ君、ありがとね。

君が声を掛けてくれたから、僕…

今凄く充実している!」



『じゃあ、このドラマを悲劇にしないように頑張ります。』



「あははーww

でもトイチ君はバッドエンドとか結構好きでしょ♪

なんか星新一みたいなオチがありそうww」



『バレたかーーww』



寺之庄は自分の皿に盛っていた卵焼きを口に運んでくれる。



『え? これ、中に鰻が入ってます?』



「うん、これが《う巻き》。

トイチ君、気付いてないみたいだったから。

お酒のツマミとしても人気あるよ♪」



はええ、この人には多くを教わる。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




『エモやんさん。

やっぱり見た目以上に食べますね。』



「ははは、痩せの大食いって地元では笑われてました。」



『野球やってる人は運動量が凄いから。

今日、何杯目ですか?』



「これで5杯目です。

出汁を掛けてるから、ぶっ掛け鰻丼ですけど。


あ、俺からも酌をさせて下さい。」



『あー、どもども!

頂きます!』



「トイチさんって、結構コミュ力ありますよね?」



『え、そうですか?

自分では内向きの陰キャ野郎だって思ってるんですけど。』



「いや、俺なんか身内としか付き合いない人間ですからね。

ほら、野球やってる奴って、野球部同士で固まってるでしょ?


俺はああいう風潮嫌いやったんですけど。

トイチさん見てたら、自分自身がそういう面強いって自覚させられて…

ええ勉強させて貰ってます。」



『エモやんも、誰とでもやれるタイプでしょ?』



「ははは。

それはトイチさんを見習って

同じように振舞ってるだけですよ。

心の中では緊張してます。

佐々木と話すのも緊張してるんですよ?」



『え?

そうなんですか?

いや、とても堂々とされておられたから。』



「俺、女と縁のない人生でしたもん。

ああいう美人と通話してるだけで、緊張しますわ。」




『意外です。

野球で活躍してたらファンとか多そうなのに。』




「なんJでは批判的な文脈で話題にされてたんですけどね。」



『え? そうなんですか?』



「アンダーとオーバーを織り交ぜてたのが、邪道と見られてたみたいですね。」



『1人の打席に?』



「ええ、サイド・オーバー・アンダー・オーバーとかで配球組み立ててました。

それが保守的な野球ファンの皆様を刺激してしまったようで。

甲子園でも普通に野次飛ばされましたよ。」



『野球漫画みたいww』



「それ、皆から言われますww」



『大学野球編はないんですね?』



「…もう無いですね。

俺如きが生意気なんですけど、やり切った感はあるんです。


野球以外で生計を立てようと模索してた矢先ですよ。

トイチさんにお逢い出来たのは。」



『生計と言っても、随分変則的になってしまいましたけど。』



「そんなん俺なんか変則王ですやん。

お役に立たせて下さいよ。」



『頼りにしております!』



再度、2人で盃を合わせる。

この反則染みたチートキャラと出逢えたのは、鷹見を相殺する幸運である。

今はただ感謝しよう。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




『鰻、最高です。

後藤さんが教えて下さったおかげですよ。』



「あはは、お役に立てたようで何よりです。」



『今日は何杯鰻丼を食べましたか?』



「鰻丼は最初の一杯だけで。

後は、鰻だけを食べてます。


白焼きというのは初めて食べたんですけど。

これ、美味しいですわ。

食べます?」



『あ、じゃあちょっとだけ。』



後藤が器用に箸で口に運んでくれる。

相変わらず動作に一切ブレがなく、正確に俺の口に白焼きが入った。

まさしく精密機械である。



『あ、さっぱりしてる!

味変味変♪』



「これを塩で食べると、酒のツマミに良さそうです。

今はねぇ、蒲焼と白焼きを交互に食べてました。


…幸せ過ぎて怖いですw」



『オチがありそうですよねw』



「不吉なこと言わんとってーーww」



後藤が三ケ日サワーなる果実酒を勧めてくれたので、一口だけ…

旨ぁい!



「レベリングは一段落ですか?」



『そうですね。

地球での法則がようやく見えて来たので。』



「トイチさん、アウトーww

《地球での》とか言っちゃ駄目ですよww」



『あ、スミマセン

後藤さんはもう身内なので、思わず。』



「…トイチさんって人たらしですよね。」



『そうですか?

自分では人間関係不器用だと思ってるんですけど。』



「いや、逆w逆w

器用過ぎてコンプレックス感じてますもん。」



『え? ホントに?』



「トイチさんって、鈴木さんとか刑事さんとか。

年長者相手にスルスル懐に入っていくでしょ?

そこが凄いですわ。

一番驚かされたのが、平原さんといつの間にか仲良くなってる事ですね。」



『ああ、平原社長は…

息子との義理があるので付き合ってますけど。

本来、苦手なタイプですよ。』



「そうですか?

軽々捌いているように見えますけど。」




『でも、後藤さんも年長の方から気に入られるタイプでしょ?』



「うーーん。

ソルジャーとしての気に入られ方ですね。

穿った見方かもですけど。」



『いや、観察力のある後藤さんがそう仰るのでしたら

そういう側面もあるんでしょう。

勿論、周囲の方々に悪気はないのでしょうけど。』




「それ以上の何かになれないか?

今の俺の課題です。」



『後藤さんは個として優秀過ぎるから、周りがついつい甘えてしまうのでしょう。

私も…

悪いと思いつつ、後藤さんにそういう部分を期待しちゃってる時があるので。』



「そこまで汲んで下さったのはトイチさんが初めてですわ。」



『これからもっと多くの人が後藤さんの真価を知りますよ。』



「…舞台、大きくなりますか?」



『そりゃあ、大阪編が始まりますものww』



「うわあww

あの話、まだ続いてたんやーーww」




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




『清磨さん。

もうデザートですか?』



「蜜柑を一切れ食べてから、鰻に戻るよ。」



『食べ方に性格出ますね。

清磨さんは意外に理詰め型。』



「あははは、分析されちゃったね。

確かに、割と理屈で動くかな。

例えば、この肝焼き。」



『あ、それ肝だったんですね?』



「そうそう、低カロリーで栄養豊富。

おススメだよ?」



『あ、そう言われると

妙に魅力的に見えて来ました。』



「ほら、口に突っ込むよ。

串の先端に気を付けて。」



『もーーい(はーーい)♪』



「どう?」



『苦いッすw』



「薬だからねえ。

リン君、それならこっちは?」



『ん?

これは何ですか?』



「肝吸い。

うな重とセットで出される事が多いんだ。」



『あ、これなら!

コリコリしてて気持ちいいです。』



「じゃあ、こっちもチャレンジしてみよう。」



『キュウリ?』



「うざくー。

キュウリと鰻の肝を酢で和えてるの。」



『あ、こっちは好き!』



「ははは、世界は広がった?」



『はい! 

勿論ですよ!』



「俺が君にしてあげられるのは、これ位しかないからね。」



『いやいや!

そんなこと無いですよ、清磨さんには色々助けられてます。』



「ふふふ、俺は無能の怠け者だからね。

負担の無い範囲で頑張るフリをさせて貰うよ。」




怠け者?

違うよ、この男は必死ぶらないだけだ。

他のメンバーからも、飯田がこっそり動いてくれていた話はちょくちょく聞かされている。

世の中には自分を大きく見せる事を好まず、微塵も功を誇らないタイプの人間がいる。

飯田清磨はまさしくそれであり、油断していると単なる寄食者にすら映ってしまうから要注意だ。

俺に課せられた義務は、この手の人材の功績や尽力を把握する事に努めることである。


無能というのはもっと嘘。

関羽みたいな上昇志向の強い女が能力の欠けた男に執着する訳がない。

寧ろ、能力>自意識のお得感を楽しんでいたのだろう。




「リン君は、この後どうするの?」



『狂ったようにイノシシを殺して回ります。』



「あはははww

既に目が狂気だww」



『酒が入ってるからですよぉww』



「怪我だけはしないようにね。」



『電気槍のスイッチ押すだけなので無問題♪』



「ある意味勇者だよ、君ww

一切、見栄を張らない怖さがある。」



『清磨さんも見栄は張らないでしょ?』



「どうかなー?

カネの掛かる子と付き合ってる時点で

かなりの見栄だと思うよーw」



『もう森さんの経費はヒルダに出させましょうよw』



「後が怖いww」



2人で手を叩いて笑い合う。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




ビッフェ会場には刺身や肉もあったが、ひたすら鰻を食べた。

ひつまぶしで〆る。




ムシャムシャむしゃむしゃムシャムシャ!!!!


ガツガツガツガツガツガツガツガツガツ!!!!


モグモグモグモグもぐもぐもぐもぐモグ!!!!




『ぷはぁ。』




散っていった者達よ、スマンな。

本当はオマエ達にこそ、こういう美膳を振舞ってやるべきだった。


…これから振舞の範囲を積極的に広げて行く。

それこそが俺なりのオマエ達への供養だ。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


4688万0319円

  ↓

4670万5119円

  ↓

4669万5319円


※ディナーバイキングプランとして17万5200円を支払い

3名(8万7600円)×2部屋

※運転代行費用として9800円を支払い



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇




皆で膨れた腹をさすりながらキャンプに戻る。

今まで以上に、メンバー全員との親睦が深まった気がする。

最高の晩餐だった。

例えこれが最後でも悔いはない。




帰り道、三ケ日みかんの無人販売所があったので、女共に土産を買ってやることにした。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



【所持金】


4669万5319円

  ↓

4669万5219円


※みかん1袋を100円で購入。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



キャンプに帰ると、すぐにベッドに倒れ込む。

実に気分よく眠りにつけた。

【名前】


遠市 †まぢ闇† 厘




【職業】


東横キッズ

詐欺師

自称コンサルタント

祈り手




【称号】


GIRLS und PUNCHER




【ステータス】 (地球上にステータス閲覧手段無し)


《LV》  6

《HP》 おなかパンパン

《MP》 絶好調!

《力》  女と小動物なら殴れる

《速度》 小走り不可

《器用》 使えない先輩

《魔力》 ?

《知性》 悪魔

《精神》 女しか殴れない屑

《幸運》 的盧


《経験》 313


本日取得 0

本日利息 15


次のレベルまでの必要経験値317


※レベル7到達まで合計630ポイント必要

※キョンの経験値を1と断定

※イノシシの経験値を40と断定

※経験値計算は全て仮説




【スキル】


「複利」 


※日利6%

下2桁切り上げ (要検証)




【所持金】


4669万5219円




【所持品】


jet病みパーカー

エモやんシャツ

エモやんデニム

エモやんシューズ

エモやんリュック

エモやんアンダーシャツ 

寺之庄コインケース

奇跡箱          

コンサル看板 

鷹見のスマホ      ← new




【約束】


 古屋正興     「異世界に飛ばして欲しい。」

 飯田清麿     「結婚式へ出席して欲しい。」

〇         「同年代の友達を作って欲しい。」

          「100倍デーの開催!」

          「一般回線で異世界の話をするな。」

〇後藤響      「今度居酒屋に付き合って下さい(但しワリカン)」

          「大阪を滅ぼさないで下さい!!!」

 江本昴流     「後藤響を護って下さい。」

×弓長真姫     「二度と女性を殴らないこと!」

×         「女性を大切にして!」   

〇寺之庄煕規    「今度都内でメシでも行きましょう。」

×森芙美香     「我ら三人、生まれ(拒否)」

×中矢遼介     「ホストになったら遼介派に加入してよ。」

          「今度、焼肉でも行こうぜ!」

 藤田勇作     「日当3万円。」

〇堀田源      「トイレコインの使い方を皆に教えておいて。」

〇山田典弘     「一緒にイケてる動画を撮ろう。」

          「お土産を郵送してくれ。」

 楢崎龍虎     「いつかまた、上で会おう!」

 警視庁有志一同  「オマエだけは絶対に逃さん!」

×国連人権委員会  「全ての女性が安全で健(以下略)」

〇安宅一冬     「浅草寺周辺を一緒に散策しましょう。」

 水岡一郎     「タックスヘイブンの利用・移住をしないこと。」

×平原猛人     「殺す。」

          「鹿児島旅行に一緒に行く。」

 車坂聖夜Mk-II   「世界中の皆が笑顔で暮らせる、優しい世界を築く」

 今井透      「原油価格の引き下げ。」

 荒木鉄男     「伊藤教諭の墓参りに行く。」

 鈴木翔      「配信に出演して。」 


 木下樹理奈    「一緒に住ませて」


〇鷹見夜色     「ウ↑チ↓を護って。」

〇         「カノジョさんに挨拶させて。」

          「責任をもって養ってくれるんスよね?」


×ヒルダ・コリンズ 「芋羊羹…。」

          「王国の酒…。」

          「表参道のスイーツ…。」 

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >当初はもっとドライな賃借関係を想定していたので。  ここは文意と彼我の関係からすると賃借ではなく貸借の方がしっくりくると思われます。
2024/05/31 20:03 退会済み
管理
[一言] 話のタイトルといい、内容といい、作者の返信コメントといい この後の展開に不吉な物しか感じませんね…
[良い点] 女と権力者が出なければホント平和 [一言] 白焼きを口に運ぶ精密機械がどうでもよすぎて笑う
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