【転移123日目】 所持金13垓6518京3733兆4970万9294ウェン 「金持ちが憎くて憎くて仕方ない。」
最初、クュという老医師をそこまで信用していなかった。
ただ、魔界の顔を立てる意味と、何よりコボルトという犬頭の種族に対する好奇心から、侍医の立場を与えていた。
(母娘の妊娠経過も診断させていたので、この世界で最もコリンズファミリーに近いのが彼である。)
話せば話す程、優秀で篤実な人物である事がわかり、いつのまにかリハビリ関係は全てクュ医師の方針に従うようになっていた。
医学的には相当なレベルにあるとされているマーティンが太鼓判を押してくれたのも大きい。
結果、帰還寸前になったが、補助があれば起立出来るレベルまで下半身を回復させてくれた。
「…大魔王様、見事で御座います。」
『いやあ、驚きました。
実は内心諦めていたので。』
「大魔王様、一旦車椅子に。」
『改めて御礼申し上げます。
クュ医師が寄り添ってくれたから、形だけとは言え立ち上がる事が出来ました。』
「いえ、大魔王様自身の御力で御座いますよ。
完治まで後一息です。
リハビリを続けて参りましょう。」
『…何か御礼をさせて頂けませんか?』
「もう十分過ぎる程頂きました。
この老骨はもとよりの事…
つい数か月前まで滅びかけていた魔界を大魔王様が救って下さいました。」
『単なる巡り合わせですよ。』
「…それでもです。
では1つだけ、褒美を望ませて下され。」
『何なりと。』
「…王太后殿下の助命について。」
ヒルダ包囲網は徐々に縮まっている。
そのシンパも大半が投降するか殺されるかしたとのこと。
『…承知しました。
コレット、俺からも頼む。』
「却下。
但し、アレが死ぬまでに子を産み、更には生まれた子が女子であったのなら
グランツ家の監視下においてのみ生存を認める。
その場合の名はカズコと命名し、コリンズ家の準一門衆としての身分を与える。
以上!」
真意を察したのかクュ医師は深く一礼し去った。
彼には座れと指示されたが、久しぶりの起立感覚が心地良かったので、瞑目して快感を味わう。
「リン。
ピットが来たけどどうする?」
『あれ?
アポは明日じゃなかった?
まあ、一応入って貰って。』
コレットが無言で手を上げるとフェルナンが上品に一礼した。
『フェルナンさん、ちゃんと休憩とって下さいね。』
俺が慌てて声を掛けるが、彼は優美に微笑むだけだった。
「だ、大魔王様ーーー!!!」
ピット会長が泣きながら転がり込んで来る。
付き添い(?)の荒木が俺に軽く手を振る。
『会長、時間も時間ですので、もう少しトーンを落として。』
「あ、あ、あ、あ、あぁーーーー…」
『ポールさん、何か落ち着いて貰えるようなもの、持ってます?』
「んーーー。
チョコ干し柿ならあるけど。」
この人、おっさんの癖にガキみたいなモンばっかり喰ってるな。
『お年寄りにチョコはキツイですよー。
何か飲み物とかありません?』
「あーーー。
さっきの羊クズ乳、あげていい?」
…俺が明日の朝飲むつもりだったんだが。
異世界は結構美味が充実してていいよな。
『どうぞ。』
「(ごくごく)
…大魔王様、貴方は本当に恐ろしいお方です。」
『はい?』
「…私は全てを失いました。」
『え?
全て、とおっしゃいますと?
ミスリルでの資産が無効化されたとは言え、会長にはキャッシュも不動産もあるでしょう。
艦隊までお持ちなのだから。』
「…いえ、そう考えていた時期もありました。
今はただ、己の認識の甘さを痛感しております。」
『え?
ミスリル以外に、何か損害が?』
「…使用人に全員逃げられました。」
『え?
全員?
いや、だってあんなに居たじゃないですか?
幾らなんでも全員というのは。』
「本当に全員なんです。
少なくとも執事団・秘書団・幕僚団の中枢スタッフが全員姿を消してしまいました。
連絡が取れないんです。
いや、皆に連絡を取る専門の係の者が、いつの間にか姿を消しており…
見覚えのある私的な側近も次々に口頭で退職を申し出て…
気が付けば馬車に1人で放置されていたのです。
御者もいつの間にか消えていて。」
『えー、じゃあ御自分で馬車を運転してここまで来られたのですか?』
「いえ、4頭立ての馬車なんて私如きに動かせる筈も無く、たまたま近くにおられた荒木様にここまでの保護をお願いしてきました。」
『え?
荒木、そうなの?』
「こんな時間に老人を放置も出来ないだろう。
知らない仲でもないし。」
荒木は四天王の席まで進むと彼らに状況の説明を始めた。
雰囲気的に自由都市人であるドナルドとポールが事後処理を行うのだろう。
『でも会長。
探せば末端の兵士さん位は居たのではないですか?』
「…いえ、部隊の統率は各隊長に任せていたので
そもそも指揮官以外の顔や名前までは把握出来ていないのです。
私兵団だけではなく、全ての部署においてそうなので…
完全に孤立してしまった状況です。」
『ああ、なるほど。
一旦、御屋敷に送迎しましょうか?』
「あ、いえ。
送られた所で、ボディーガードも誰も残ってないので…
丸腰で屋敷に戻ったところで…
いや、その…」
『…退職した部下の方が襲撃してくるかも知れない?』
「あ、いや。
…はい。
そこまで恨みを買うような雇い主では無かったと自負しているのですが。」
小一時間、会長の話に耳を傾ける。
以下は、あくまで俺の解釈による要約。
◇ ◇ ◇
・世界の裏ボスたるピット会長は部下に世界最高水準の給与を支払っていた。
・結果、会長の組織は優秀な人材のみで構成されていた。
・ところが俺が派手にカネをバラ撒いた所為で、彼らは生涯年収の何十倍もの金額を入手してしまった。
(ピット会長が割と俺に密着状態だったので、その部下も距離的に俺に近い場所に居た。)
・労働意欲を喪失した彼らは気の合う仲間と共に徒党を組んで去って行ってしまった。
何せ優秀な人材揃いなので、全員ツブシが効く上に生活力が高い。
※特に会長が「南洋に逃れたい」との意向を漏らしたのが致命的であったらしい。
会長は自覚していなかったのだが、南洋勤務は従業員達にとって苦痛以外の何物でも無く
今までは莫大な《長期出張手当》が与えられていたから我慢していたのだが、俺の側でカネ拾いに精を出した方がどう考えても経済的である。
◇ ◇ ◇
『そりゃあ、他人の巨大ハーレムの世話なんか…
大金貰って、ようやく我慢出来るか否かでしょ?』
「…そういう視点で物を考えたことがなかったのです。」
『まあ、会長は生まれながらの神ですから。
天国の舞台裏なんて知らなくて当然ではありますよね。』
「それに… 南洋航路はヒル… 海賊に封鎖されてるらしいので。」
『あー確かに。
絶対に襲撃して来るでしょうね。
一生分のキャッシュ持った状態で殺し合いなんて
アホらしくて、やってられないですよね。』
「…だ、大魔王様。
ひ、庇護を…」
『ええ、ああ、まあ。
コレット、いいか?』
「リンがこの人を活用したいなら私に預けなさい。
誰よりも上手く活用する自信があるから。」
なるほど。
こういう僅かな気遣いが、この女の勝因か。
『ポールさーん。』
「はーい。」
『ピット会長の件、お任せします。』
「リン君も、丸投げが上手くなったねー。」
『人を見る目が出来てきただけでーす。
会長、コレットかポールソンか、好きな方を選んで頂いて結構ですよ?』
「…じゃあポールソン四天王で。
あ! いえ! 王妃殿下が不服な訳ではありませんからね!!!
私は王妃殿下に絶対の忠誠を誓っておりますからね!!」
『コレットも会長には手を出すな。
彼の名誉が守られるよう配慮を。
いいな?』
「まずは妻の名誉を守りなさいよ。」
『確かにな。
猛省しよう。』
会長は相当疲労しているようだったので、俺のベッドを使わせてやることにした。
倒れ込むなり苦しそうに寝息を立て始める様はどこまでも痛々しい。
『いやあ、同情するよ。
可哀想になあ。』
「なあ、遠市。
前から薄々思っていたが、オマエは血も涙も無い奴だ。」
『そう?』
「あの人にとっちゃ、残りの人生地獄だぞ。」
『だが、そのおかげで。
彼の部下が解放された。』
「…これがオマエが地球に帰って成し遂げたい事なんだな。」
『ああ。
たったの一度でいい。
人類史に前例を作るんだ。』
「オマエが一番分かっていると思うが
地球は異世界ほど甘くはないぞ?」
『だろうな。
荒木。
俺に出来ないと思うか?』
「いや。
地球でのオマエは…
この異世界でほど甘くは振舞わないだろう。」
『ここじゃあ、所詮お客さんだからな。』
「ここでのオマエの勝因は、その他人事な姿勢だ。
程よく肩の力が抜けていた。
だが。
地球に帰ったオマエは、本性を剥き出しにして感情的に暴走するだろう。
それが敗因になる。」
『…御親切にどうも。
もっとも、俺の地球での死因はオマエになると踏んでいるんだがな。』
「…俺にそういう馬鹿なことはさせるなよ?」
『…地球に言えよ。』
「そっか。」
『まあ、いいさ。
今日は下がれ。
話は終わりだ。』
「…遠市。」
『ん?』
「脚、良かったな。」
『ありがとう。
今、立ち上がれた意味をもう一度考えてみるよ。』
「…おやすみ。」
『おやすみ。』
と言った所で、荒木も俺もやる事が多い。
仮眠をとる時間もない。
そもそも日々の報告を聞き取るだけで眠る暇が無くなるのである。
これに加えて最近は、後事の調整を始めているので、余分な時間は全くない。
ベッドを会長に譲ってしまったので、余ったスペースに大の字になって寝転がる。
気が付くと四天王も同じように寝転がっていた。
「リン、この旅はどうだった?」
カインが呟く。
『…次の旅の糧となりました。』
強く手を握られる。
「どうか命を大切にして欲しい。
君はまだまだ若いのだから。」
『俺なりに大事にしてますよ。』
「時間が経てば…
荒木君とも妥協点を探せるようになるよ。」
『…ダグラスさんと貴方がそうだったのですか。』
「ああ、とても長い時間を掛けて…
何度もぶつかり合いながら、それでも前に進めた。」
『俺は…
そんな風に大人にはなれないかもです。』
「なれるよ。
いや、あの頃の我々に比べれば、君達の方がよっぽど建設的だ。
例え袂を別つことになったとしても、リンと荒木君なら道を探す事を諦めないと信じている。」
『買い被りですよ。
アイツは兎も角、俺は幼稚な人間です。』
「ふふっ、彼も全く同じことを言っていた。
ねえ、リン。
何も政治だけの話をしている訳じゃない。
どうか、個人的な人生も楽しんでくれ。
私が君の歳の頃は、世界や社会はおろか家庭すら顧みずに
ただ己の事のみを考えていた。
君にはもっと月並みな幸福を享受して欲しい。
それだけが私の望みだ。」
『…ありがとうございます。』
「40歳までなら遊んでいいよー。」
「じゃあ、オマエはもう遊ぶの禁止な。」
皆でクスクス笑っているうちに、光がゆっくりと差した。
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こんな風に俺と四天王はしんみりと涙ながらに別れの挨拶を交わしていたのだが、内戦中のコレットはそうもいかないらしく、朝っぱらからエンジン全開だった。
物凄い剣幕で、ヒルダとの和解を求める女銀行家と怒鳴り合っている。
幾つかの死体が周囲に転がっている上に、親衛隊が全員抜刀しており洒落にならない雰囲気である。
『あの、ここ通っていいですか。』
等と言い出す勇気もなく、気配を殺して事態の収拾を待つ。
女銀行家はポールの知り合いらしく、果断にも彼女はコレットに単身接近し助命を嘆願し始めた。
更に激論が交わされた。
「ドランッ!!! 来いッ!!!」
突如、女銀行家が絶叫したかと思うと、次の瞬間に騎馬が飛び込んで来る。
皆が一瞬判断に迷った隙を突いて、馬上にいたスキンヘッドの老人は女銀行家を抱えて駆け去ってしまった。
何射かが放たれたが、老人は器用にマントを広げて防ぎ切った。
『ポールさんの知り合い?』
「そんなとこ。」
ポールは天を仰いで溜息を吐いた。
『なあ、コレット。
ポールの知り合いみたいだし、許してやってくれない?
コレットをあれだけハッキリ敵に回した以上、あの眼鏡の人には勝ち筋が無いし
命だけでも助けてあげたらどうかな?』
「はあ?
馬に乗った男が危機を助けてくれてる時点で
あの女は世界一の勝ち組なんだけど?」
『なるほど。
女バトルは採点が難しいな。』
「ちなみに、世界一の負け犬は
妊娠状態で旦那様に捨てられるこの私だから。」
『捨てるつもりはないのだけど…
色々とやらなければならない事が多くてね。』
「ヤリ捨て男は皆そう言うのよ。」
…あー、世の屑男さんは如何にも言ってそう。
心の底から軽蔑するよな。
「モローは追うな。
議論が白熱しただけだ。」
周囲に聞こえるようにコレットがそう宣言した事により、部隊の戦闘態勢が解除される。
「私がヒルダ・コリンズに殺されたら、モローに縋れ。
そういう事だ。」
納得した訳でもないのだろうが、女共の殺気も徐々に鎮まっていった。
あの女から父さんと共に捨てられた時、俺は12歳だった。
まだ同じ年齢の彼女は、腹の子共々俺に捨てられながらも母親との戦争を堂々と進めている。
12の俺はただ驚き泣きじゃくるしか出来なかったというのに
これが持って生まれた器量の差なのだろうか。
誰もがコレットの猜疑心に怯えながらも、その王器に対する疑義は誰からも呈されていない。
それが答えだ。
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オーラロードの前にたむろしていた群衆は早々に解散させられていた。
警告を無視してしつこく居座った一群に対して騎馬隊が突撃して、その大半が突き殺された。
生き残った者たちは「どこのカフェも空いてないんだけどなー。」とぼやきながら逃げ去って行く。
文章に起こせば残酷極まりない光景なのだが、一切の悲壮感はない。
答えは明白、連日に渡って大金がばらまかれているからだ。
カネの存在感は本当に恐ろしい。
手元にカネがあると言うだけで、世界の終焉すらも眩しく輝いて見えるのだから。
不意に大金が配布された事で、まず経済活動が停止した。
労働者達が職場を放棄し始めているからだ。
特に馬丁・鳶土工・店員・女中・娼婦・雑工といった連中が、安らいだ表情で道具も持たずにブラブラと散策している。
彼らを搾取していた側は大変だろうが、彼らは例え一瞬の奇跡だとしても自由を得た。
「大魔王様ーー!!!
これでやっと親の顔が見れまーーーす!!!」
遠くからそんな風に謝辞を述べて来る一団が居たので手を振り返す。
服装からして工員か何かだろうか?
似たような年恰好の若者グループが、軽やかな足取りでソドムタウンの外門に歩いている。
その背後のグループは廃業した娼婦達であろうか、俺と目が合うと照れたように手を上げた。
動作や表情に色気が含まれていない所を見ると、彼女達は真に解放されたのかも知れなかった。
『結構、出て行く人も多いんだな。』
「皆が皆、好きで都会に出て来る訳じゃないから。
私は、自分の意志でここに来たけどね。」
『ゴメンな、コレット。』
「もう一度言うね。
私は自分の意志でここに来た。」
『…そうか。
俺、もっと君に相応しい男になるよ。』
「あら、偶然ね。
奥様、似たような事を言っておられたわよ。」
『そのままでいいのに。
…いや。
きっと、その人も同じ事を思っていたのだろうな。』
オーラロードにくっきりと浮かんだ地球を見据えながら俺は呟く。
「青い光が… 見えるわ。」
『ああ、あれが俺の故郷だ。
地球、俺の帰るべき場所。』
「いよいよ凱旋ね。」
『挑戦するんだ。
また1歩目から。』
「こっちの世界は4か月も経たずに征服した訳だけど。
チキューの征圧にはどれくらい掛かるの?」
『多分、途中で殺される。
だから、短期決戦で刺し違えなければならない。』
「ねえ、こっちに帰って来なさい。
玉座は空けておくわ。」
『…日当たりのいい部屋がいいな。』
「?」
『掃除の行き届いた客室で…
そこにはとても笑顔の眩しい女の子が居て
何も知らない俺に色々教えてくれるんだ。
ちょっと無茶をすると、ムキになって怒るんだぜ。
可愛いと思わないか?』
「鉄貨はもう無い。」
『そうだな。』
「首長国はアンリでいいのね?」
『ああ、そうあるべきだと思う。』
「南洋に関しては時間を掛けて真相を発表して行く。
ピット家にはソフトランディングを協力させ…
なるべく身の安全は保障する。
但し、コリンズ家との婚姻同盟に関しては私の権限において拒否する。
あくまで国際社会の要請があれば検討ということで。」
『前から思ってたんだけど。
そういう判断ってヒルダに仕込まれたのか?』
「?
私は政治なんか全然わからないわよ?
公事に関しては、リンが私の立場だったら取るであろう選択を続けているだけ。
エルデフリダさんとハロルド君となら、ハロルド君が皇帝になった方がいいでしょ?」
『そりゃあ、まあ、普通にハロルド君だろう。』
「私はそういうリンの感性での《普通》を淡々と繰り返しているだけ。
酷いと思う場面があったら、自分の胸に聞いてねー?」
『なるほど、自山の石としよう。』
俺がオーラロードの様子を探っていると、背後から役人や学者が寄って来る。
コイツラもカネは拾っている筈なのだが、やはりステータスと直結した職場に居る連中は殆ど退職しないらしい。
「大魔王様!
もう少し、もう少しだけ滞在して頂けませんでしょうか?
全ての人民が大魔王様の永遠の統治を望んでおります!」
…そりゃあ、毎日カネをくれる為政者がいたらな、俺でも引き止めるわ。
『以後の統治は摂政に就任したコレットが行います。』
コレットという単語を聞いた瞬間にその場に居た全員が怯えたような表情で下を向いてしまった。
…そりゃあ、毎日殺し続けている為政者なんかな、俺でも嫌だわ。
『…俺、もう帰るんで。
後は皆さんで頑張って下さい。』
「…あ、でも大魔王様!!
オーラロードを使用するのは難しいかも知れません!」
俺が話を打ち切ろうとすると、研究部門長が食い下がってくる。
『え?
使えるって言ったじゃないですか。』
「いやー、ははは!
非常に残念なのですが、オーラロードの使用は身体に重大な負荷を掛けるようなのです!
常人が飛び込めば圧力に負けて爆散してしまうとか!
シミュレートの結果!
オーラロードの圧力に耐えるには、ななななーんと50ものレベルが必要とされるようなのです!
いやー、残念ですなー!
我々も大魔王様の御帰郷をお助けしたかったのですが。
ははは、50なんて特殊部隊の隊員でもなかなかww」
『御心配なく。
俺のレベル58なんで。
今日は59に到達します。』
「え?
…え。?」
『いやあ、御教示感謝しますよ。
貴方のおかげで踏ん切りが付いた。』
「え?
なんで?
大魔王様は …軍隊経験がないって仰られてたじゃないですか。
え? え? なんで58?
58ーーーッ?」
『コレット、俺はアカデミーの功績を高く評価している。
これからも学術の振興を支援して欲しい。』
「御意のままに。」
よし。
最低限の安全性も確認出来た。
盤石だな。
『クラスの連中だが…
50を越えてそうな奴は居るのかな?』
「大魔王様、荒木君は越えていると推測します。」
猛者のカインの見立てならそうなのだろう。
まあ、荒木の奴はドラゴンの討伐に成功したくらいだしな。
「逆に、先日葬儀に出席して下さった卜部君は20にも満たないでしょう。
興津君で30前後といった所でしょうか。」
カインは鑑定スキルを持っている訳ではないのだが、冒険者兼カネ貸しだったので、冒険者のレベルは概ね当てられるらしい。
(カネを貸し続けていると、相手のレベルなんて嫌でも分かるようになるらしい。)
『では、今後帰りたがる奴が居たら、その旨を警告してやって下さい。
…レベル50に到達って、やはり難しいんですか?』
「…まあ、軍人として最前線を10年も転戦すれば
…いずれは。」
…余程素養のあるもの以外は無理だな。
さあ、どうする?
俺だけ帰還する事は、得なのか? 損なのか?
常識的に考えれば秘密を知る者など生かしておく訳にはいかないのだが。
クラスで俺だけが生き残ってしまった場合、俺が犯罪者扱いされるんじゃないか?
『ねえ所長。
オーラロードの固定は不可能と仰ってましたが…
何年くらい維持できるものですか?』
「これだけのオーラ量を保っていられるのは
2か月が限界かと。」
…じゃあ俺以外で帰れるのは、やはり荒木くらいだな。
アイツ、多分俺とは口裏を合わせてくれないだろうな。
駄目元で頼んでみるか。
今帰れたとしても…
4か月行方不明だったから、留年は確定だな。
…家賃とか補助金とかどうなるんだろう。
胃が痛いな。
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マネーベルトには無印の1グラム金塊を200個仕込み、それとは別にピット会長に用意して貰った黄金のベストを羽織る。
1グラムの純金リングを1000個繋げた換金特化肌着。
実際、この異世界でも王侯貴族は似たようなものを所持しているケースが多いらしい。
ドナルドによると、カネを持ち逃げする為に液化した金を大量に飲んでから亡命する貴族も実際居たらしい。
(その者は国境に辿り着く前に苦しみ抜いて死んだそうだ。)
『俺、カネを持って逃げる事ばかり考えてます。』
ドナルドとこっそり苦笑し合う。
「生きて下さい。
何としても。
君が無事なら、他の事なんかどうだっていい。」
『ありがとうございます。
ドナルドさんも、どうか御無事で。』
「嫁も息子も私を恨んでますからねw
私もまた旅に出ようかなww」
遠い目で空を見上げる彼だが、二度と旅に出る事は無いだろう。
四天王に加えて膨大な数の役職を兼任している彼はもう身動きが出来ない。
こればかりは仕方がないのだ。
世界を股に掛けて不動産業を営んでいたドナルドの人脈は極めて膨大であり、それを手繰っての陳情を捌いているだけでも、幾ら時間があっても足りないのだから。
忙しいと言えばフェルナンも同様。
『フェルナンさんには、本当に申し訳が無いと感じております。
貴方には色々と押し付けてしまって。』
「大魔王様に拾われた命ですよ。
むしろ、使い道を与えて下さって感謝しております。」
語弊はあるが、拾い物だった。
世界屈指のエッセイストでイケメン、スピーチが得意。
報道陣の対応は全て彼が担当した。
俺が誰からも殺されなかったのは、彼が親コリンズ的な世論を醸成してくれたおかげであると、俺は信じている。
そりゃあね。
いきなり振って湧いて出た《魔王》なんて訳の分からん存在は普通は受け入れられないよ。
だが、トップセレブの彼が政権の看板を務めてくれたから、一応皆が耳を傾けてくれた。
あまりに都合の良いタイミングで都合良く彼を幕下に招けたので、今でもルイ18世陛下の策略を疑っている。
そう伝えると彼は苦笑してから
「父王陛下なら、やりかねません。
ただ残念ながら、もし潜入させるなら別の王族を陛下は選ぶでしょう。」
と寂しそうに話を締めくくった。
ここまでが策だとしたら、俺如きには対処のし様がないので割り切って諦める。
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俺がオーラロード前に居る話が広まったのか群衆が集まって来る。
昨日あれだけ死んだというのに、みな無警戒にニコニコしながら近寄って来た。
『危ないですよー。
昨日もかなりの数がカネに圧し潰されて死にました!』
勿論、群衆は警告にひるまない。
虚ろな笑顔を浮かべながら口々に「オンチョーノギ」を連呼している。
『参ったな。
ここで事故が起きたら帰還の支障となる。』
苦慮しているとコレットが背後から声を掛けてくる。
「ねえ、リン。
昨日の金貨、まだ大量に馬車に積んだままなのよ。
それを郊外で配らせるから、交通の邪魔にならない所でやってくれない?
おカネの所為で部隊が展開出来ないの。」
『わかった。
今日湧いたカネは海に沈める。
念の為に付近の航行をストップさせてくれ。』
「了解。」
結局。
異世界で最後のカネはコリンズ湾に沈める事に決める。
「あーあー、テステス。
本日の《恩寵の儀》はソドムタウン北門を出た所にて開催します。
魔王様本人は欠席しますが、王妃殿下の親衛車両が福祉予算の配付を行います。」
以上のアナウンスが街中に響くと、大地を揺るがすような轟音と共に群衆が北門に去って行った。
殆どの者が俺に対して一礼すらしなかった。
まあ、皆が欲しいのはカネであって俺ではないからね。
当然のリアクションだよね。
長身のカインに肩車されて街の様子を見回す。
膨大な数の人間が北に向けて疾走しており、各所で将棋倒し事故が発生していた。
相当数が死んでいる筈だが、救護活動に当たっている者の姿は1人も見つけられなかった。
かろうじて、神聖教団の法衣を着た一団が負傷者の治療に回っているのが確認出来たので、マーティンに頼んで、そういう利他的な連中が円滑に活動出来る環境作りを託す。
「いえ、予算は不要です。」
『?
いやいや、予算が付かなきゃ活動出来ないでしょう。』
「…本音で話しますね。
予算が付けば付くほど、その部署には分配金目当ての腐敗した人材が集まります。
敢えて《予算が付いてない事》を強調させて下さい。
きっと大魔王猊下の理想に最も近い活動がなされる事でしょう。」
『せめて、住居くらいは支援させて欲しいです。』
「では猊下の名を伏せて宿所をお与え下さい。」
『俺の名は出さない方が良いですか?』
「はい。
売名目的の連中が寄って来てしまいますので。
十中八九、そういう連中の目的は名を売ってから猟官する事です。
一番タチが悪いので恐ろしいです。」
『勉強になります。』
こういう遣り取りがあったので、ドナルドとベーカー社長に後事を託す。
特に苦労人のベーカーはかなり積極的に賛同してくれたので、彼に万事を任せることに決めた。
『ベーカー社長には何もかも丸投げしてしまって。』
「いえ。
まさか、巨大企業を丸々プレゼントされるなんて想像もしておりませんでした。」
今では㈱エナドリはベーカーが差配している。
彼は人生の大半を清掃会社の中間管理職として過ごした男である。
なので経営に関しては素人だったし、それを理由に後釜として売り込んだ者も大勢いたが、人格的に彼より優った者が絶無だったので交代は一度も考えなかった。
当初、心無い者達はベーカーの無学や経験不足を指摘していたが、最近そういう声は聞こえない。
きっと彼は適応したのだろう。
『貴方がこちらの意を汲んで動いて下さったおかげで、魔王職に専念出来ました。
後はポールソン四天王と上手くやって下さい。』
ポールは過度にフランクな男だが、ベーカーに対してだけは必要以上に恭謙に振舞っている。
ベーカーはこれまで通り、使用人としての態度を貫いている。
これが㈱エナドリを俺が心置きなく手放せた理由である。
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俺が魔王城前に戻ると、ピット会長が必死に大男に縋りついていた。
どこかで見た顔だと思ったら、専属ピエロのアッチソン氏だった。
前に妙芸の数々を披露してくれた事がある。
『会長、何かあったのですか?』
「ああ、大魔王様!
ボディーガードが退職届を持って来たので
何とか引き留めようとしたのですが!」
『ええ覚えてます
アッチソンさんですよね?
トランプを使った手品の数々素晴らしかったです。』
「あ、大魔王様。
あの時はどうも。」
『退職されるんですか?』
「ええ、10年田舎に帰れてなかったので
両親の墓参りもしたいですし。」
アッチソン氏は申し訳なさそうにピット会長を見た。
「アッチソン君、君だけでも残ってくれんかね。」
「すみません。
もう勘弁して下さい。」
ピット会長は泣き顔で「…給与かね?」と喉の奥から絞り出した。
「いえ、会長ほど高給を払って下さる方は居ないと思いますよ。
私の一族が借金を完済できたのも会長に雇って頂けたおかげですし。
妹も無事にちゃんとした家に嫁がせる事が出来ました。」
「じゃあ、私の何が不満だったんだ!」
「…今だから言えますけど
みんな大魔王様を羨ましがっていたのです。」
そう言ってアッチソン氏は俺を振り返る。
「いや!
世界の統治者たる大魔王様と比べられたら
誰も勝てないよ!」
「ああ、そうじゃないんです。
大魔王様が御即位される前です。
キャラバンを組んでおられた頃の話ですよ。」
『え?
キャラバンの頃?』
「はい。
魔王様はキャラバンの護衛1人1人に話しかけて
不足や不満が無いかをヒアリングして下さったと。
それをグリーブ隊の皆さんが誇らしげに話しておられて
どうして経済人の皆さんがこの話に鈍感なのかはわからなかったのですが
自由都市に入国された時から、業界の人間はみんな大魔王様をお慕いしておりました。」
『あ、いや。
御言葉はありがたいんですけど。
俺、全然大した事はしてやれなくて。」
「傭兵業界では有名ですよ。
コリンズ・キャラバンが娼館を貸し切って下さって、全員が3P出来たって。」
「下らない!!
娼婦を買うくらいの報酬は私だってちゃんと払った!!」
『アッチソンさん。
会長の仰る通りです。
単に報酬を弾んだだけですよ。
それも自分が無事に到着したい一心でそうした事なので…
結局は保身の為です。』
「いや、大魔王様もピット会長も…
話はここからなんです。」
『?』
「大魔王様は奥様と一緒の馬車で移動されておられたとの事ですが…
20日程の旅路で一度もセックスをなさらなかったと。」
「え?」
『ああ、そのことですか。』
「どうしてセックスなさらなかったのですか?」
『いや、どうしても何も
護衛の人が命を懸けて働いてくれてる時に
荷主がのん気に嫁と抱き合ってたら、士気が落ちるでしょう?
俺が護衛なら、あまりいい気はしないと思いますし。』
「え!? 大魔王様、そうなんですか!?」
「我々、戦闘者の世界では…
大魔王様のこういう振舞が当初から絶賛されておりました。
だから、御即位が決まった時は、…皆が我が事のように喜んでおりました。
大魔王様、貴方はいつも《カネを持ってるだけ》と自嘲しておられますが
我々はそれ以外の多くをお慕いしておりました。
どうか胸を張って下さい!」
「…。」
「会長。
それだけじゃないんですよ。
大魔王様はキャラバンに居た時、笑い声1つ上げず
少しでも護衛の気が散らないように声を押し殺して、ずっと配慮して下さったと。
にも関わらず賊の襲撃等のトラブルが発生した時は、深夜早朝でも飛び起きて的確な判断を下さったと。」
「あああ…」
「大魔王様の存在を知った後で、会長に御同行するのは…
正直しんどいです。
ハーレムを見せつけられて、美食を見せつけられて…
いや、給料が良い事は理解してるんです。
頭では理解出来てるんです。
…それでも、もう疲れました。
勘弁して下さい。」
「おおおおおおお…
そ、そんな…
大魔王様がそんな統率をしているなんて…
誰も教えてくれなかったじゃないか!
報告書のどこにも書いてなかった!!」
「…言える訳ないじゃないですか。
そんな当てつけみたいな報告。」
「わ、私は…
大魔王様の事を恐ろしい恐ろしいと言いつつ…
何一つ理解出来ていなかった!!!」
『あー、何かスミマセン。
アッチソンさんも、多分言いにくいことを仰って下さったのでしょう。
…後、会長。
誰も会長を責めてる訳ではないので、あまり落ち込まないで。
御存知の通り、俺は貧しい生まれの人間です。
だから今でも、金持ちが憎くて憎くて仕方ない。
恐らく、そういう価値観が会長にとって不利な行動に繋がってしまったのでしょう。
繰り返しますが、誰も貴方を責めておりません。
俺も一切貴方に含むところはありません。
尊敬すらしております。』
俺達は会長を慰めようとしたが、抜け殻のようにぐったりしてしまい、その目に光は戻らなかった。
まあ、気持ちは分からんでもない。
彼の絶望は悲劇以外の何物でもないが、その数百・数千の部下が久々の帰省を楽しめる事を思えば、十分許容内である。
その後、アッチソン氏にピット家消滅の顛末を念入りに教えて貰う。
特に、労働者が資本家を見限る心理に関しては、何度も掘り下げて尋ねた。
コレットに頼み込んで彼にチップを渡す。
冗談めかした表情でアッチソン氏がトランプを使った奥義の数々を見せてくれる。
「カード・ハリケーン!」
トランプで的当て。
「ライジング・カード!」
飛ぶ鳥を落とす。
「グランド・スライサー!!!」
投げたカードに飛び乗って地面を高速滑走。
『うおおおおお!!!!
す、すげええ!!!!!』
「いやはやお恥ずかしい。
大魔王様にお喜び頂けた事、末代までの誉れと致します。」
『いえいえいえ!
俺、こういうスタイリッシュな技、ずっと憧れてたんです!!』
帰り際であるが、最高の異世界土産が出来た。
俺、この感激を一生胸に刻もう。
『じゃあ、アッチソンさん。
そろそろ例の時間なので。』
「あ!
恩寵の儀ですか!」
『ええ、今頃北門で配布を開始しているのですが。
本命はこの湾に流し込もうと思ってます。
謝礼をお支払いしますので、野次馬が殺到しないようにして下さりませんか?』
「あ、じゃあ近くに信頼できる先輩達が居るので手を借りましょうか?
10人程なら集められますが?」
『ありがとうございます。
お願いします。』
コレット隊だけも護衛は可能だが、彼女達はヒルダの乾坤一擲に意識の大半を向けている。
なのであまり群衆整理には親身になってくれないのだ。
『ゴメンな、勝手に人員を増やして。』
「どうして謝るの?
旦那様の判断なら従うに決まってるでしょう。
人手は多いに越したことはないし、元ピット隊なら能力的にも人格的にも歓迎よ。」
幸いなことに、魔王城前には大した数はおらず、アッチソン氏が連れて来た数名の護衛団が目を光らせてくれた事で実に円滑に移動が出来た。
『じゃあ、最後に出しますか。
フェルナンさーん、報道陣をもう少し下がらせて下さーい。
コレット、一応馬車でブラインド作って。』
《5垓0657京7612兆ウェンの配当が支払われました。》
俺は、いや俺達は海の底から溢れ続ける無限の泡をいつまでも見つめていた。
海中で反射するプラチナはどこまでも不気味に輝き、耳障りな金属音を鳴らし続けていた。
『じゃあ、ポールさん。
ここからは手筈通り。』
報道陣が目を凝らす中、俺は四天王ポールソンを財務官に任命する。
フェルナンが辞令書を広げ、大音声で詳細を解説した。
「要は、海に沈めたこのおカネの管理でしょ?」
『ポールさんって何でも消せるんでしょ?』
「何でもは消せないよ。
俺が要らないって思ったものだけ。」
『じゃあ、通貨量は調整出来ますね?』
「こんな膨大な量には対応出来ないけど。
人類がこのカネで苦しみ始めたら、程よく消して安心感を与えるよ。」
『お任せします。』
横から見ていたドナルドが優しく微笑んでいる。
『ドナルドさん。
これでご満足ですか?』
「申し訳ありません。
私の勝手な構想に付き合って頂いて。」
無限に生み出す俺と何でも消してしまうポール。
恐らく、彼の中では俺達2人は最初から一対の存在だったのだろう。
で、思った通りのエンディングが訪れて、ドナルドは今パズルをクリアしたような快感に浸っている。
『貴方は相当緻密な方ですが…
全部計算通り?』
「いえ、全然w
大魔王様の征圧速度早すぎですw
まさかこんなに手早く天下を平定してしまうなんて思いもよりませんでしたよ。
…まだ出会ってから4か月ですよ!
酷いじゃないですか!
こんなにもあっさり話を終わらせてしまって…
もっとリンと一緒に居たかった!
いつか冒険しようって約束したじゃないですか!!!
楽しみにしていたのに
それだけが心の支えだったのに…
…寂しいじゃないですか。」
ドナルドは嗚咽し、本心からの感情を俺にぶつけた。
そうなんだよな、この人って結構子供っぽいところあるよな。
『貴方は父と同年代なのですが…
実の兄貴分のように思っておりました。』
気が付けば、俺も涙が止まらなくなっていた。
最後に四天王と固く抱き合ってこれまでの感謝を述べた。
「大魔王様は人民を慈しみて
憐憫の涙をドータラコータラ。」
背後ではコレットが即興で政治的美談を報道陣に騙っていた。
大魔王への就任は決して本意ではなかったが、公私ともに恵まれた治世であったと断言出来る。
君達にとってもそうであれば、心から嬉しい。
【名前】
リン・コリンズ
【職業】
大魔王
神聖教団大主教
【称号】
大魔王
【ステータス】
《LV》 59
《HP》 (7/7)
《MP》 (6/6)
《腕力》 3
《速度》 3
《器用》 4
《魔力》 2
《知性》 8
《精神》 13
《幸運》 1
《経験》175京4647兆1426億1110万0436ポイント
次のレベルまで残り179京1936兆5006億3846万6026ポイント
【スキル】
「複利」 (リン・コリンズは福利と呼称。)
※日利59%
下12桁切上
【所持金】
所持金13垓6518京3733兆4970万9294ウェン
※コリンズ銀行(旧バベル銀行)の8兆8167億8740万ウェン預入証書保有
※国際産業道路98号線交通債100億ウェン分を保有
※第11次魔族領戦時国債200億ウェン分を保有
※第4次帝国インフラ債550億ウェン分を保有
※帝国総合プランテーション債230億ウェン分を保有
※自由都市海洋開拓債1000億ウェン分を保有
※第2次自由都市未来テック債1000億ウェン分を保有
※首長国臨時戦時国債1100億ウェン分を保有
※自由都市国庫短期証券4000億ウェン分を保有。