【転移122日目】 所持金8垓5860京6121兆4970億9294万ウェン 「俺の福利だ」
深夜、ピット会長が魔王城にやって来る。
若い俺でも徹夜はキツイのに、この年寄りはタフだよな。
「ま、魔王様。
この様な夜更けに申し訳御座いません。」
『あ、いえ。
お構いなく。』
「しゃ、謝罪に参りました。」
『え?
謝罪、と申しますと?』
「…先程、金融法107条を発動。
ミスリル貨の流通を緊急停止しました。」
『はぁ。』
「お、お怒りは御尤もかと思いますが…
何卒何卒!」
『いや、別に怒ってないですよ?』
「…でも少しはお怒りですよね?」
『いや、そういう法律があるのなら、別にいいんじゃないですか?』
「…た、大変申し訳ないのですが。
今回は、やや正規の法運用を逸脱したといいますか。
超法規的に拡大解釈を重ねたといいますか…」
『合法なら別にいいんじゃないですか?』
「いや、厳密に申し上げますと
極めて違法性が高い立ち回りをしてしまったので…」
『はあ。』
「それで、まずは魔王様…
いえ、大魔王様に急ぎ謝罪を、と思いまして。」
『いやー、俺に謝られましても。』
「しかし、この世界はもはや大魔王様のものでございます。
にも関わらず、この愚老の独断専行。
何とお詫びして宜しいのか…」
『…そんなに心苦しく思われるのなら
その分社会に私財を還元すればいいんじゃないですか?』
一瞬だけ、会長の身体がビクッとなる。
ああ、この爺さんにとって一番言われたくなかった事なんだろうな。
「は、はい!
積極的に寄付・ボランティア行為に励みます!」
『ちなみにお幾ら億ウェンくらい申し訳ないと思ってます?』
「え!?
…あー、いやー。
とても申し訳ないと!
極めて申し訳ないと!
海より深く山より高く猛省しております!!」
その後も色々話題を振ってみるが、具体的な金額は一切出なかった。
正直、感心する。
金持ちはガードが堅いから金持ちなのだ。
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『皆さん、申し訳ありません。
幾らなんでも幼稚過ぎました。』
俺は四天王に頭を下げて詫びる。
無論、先程のピット会長に対する態度についてである。
「いや、大魔王様は大人の対応をされたと思いますよ?
幼稚な専制君主は気分で相手を処刑したりするので。
…感情的にならない所が素晴らしいですね。」
とのドナルドのコメント。
『感情的にならない、と言えば聞こえはいいのですが。
いやー、何と申しましょうか…』
「大魔王様は、もうこちらの世界への興味が薄れておられるのですね?」
『ええ、まあ、否定は出来ません。
興味云々以前に、余所者の俺が干渉し過ぎているかな、と。』
「…本来、異世界からの内政干渉は好ましくないのですが
大魔王様には、これだけの金銭を寄贈して頂いている訳ですし。
我々としては不平を言える立場でもないのですよ。」
それな。
ここまでの大金を受け取ってしまったら。
そりゃあ、物も言えなくなるよな。
俺だってカネをくれた相手には絶対に意見しないと思う。
(次のカネが貰えなくなっちゃうからね。)
つくづくカネって卑怯だよな。
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午後になって、状況が明らかになる。
昨夜、ミスリル貨の使用を緊急停止する布告が出されたのだ。
(当然、俺や四天王の署名は入っていない。)
会長達が必死になるのは理解出来る。
経済バランスは崩れるからな。
(つまり、金持ちの貧民に対する優位が無くなる。)
これに対し、早速街中で暴動が開始。
産団連(日本における経団連みたいな組織)の所属企業が焼き討ちに遭っているらしい。
何人かの財界人がリンチ殺人に遭ったそうだ。
折角貰った10億が無効化されたら、そりゃあ殺すよな。
これを受けてヒルダ派とコレット派は停戦。
俺にはよく解らないのだが、
《殿方の暴動を女の内戦如きで邪魔するのは言語道断。》
という理屈に基づいているらしい。
なるほど、わからん。
何度説明を受けてもさっぱり理解出来なかったのだが両派の士官が真顔でそう言っているのだから、女の世界というのはそういう風に動いているのだろう。
尚、コレットはどさくさに紛れてヒルダ・コリンズへの死刑判決を布告した。
血も涙も無い女だが、世間の評判は比較的良い。
強い独裁者は社会に安定をもたらすからである。
母娘の共通の仲間であるエルデフリダや女銀行家が調停を続けているが、コレットは一切攻撃の手を緩めない。
「当たり前でしょ?
私は凡人なんだから。
ベストを尽くさざるを得ないのよ。」
コレット・コリンズが母ヒルダとの抗争に勝利したのは、ある意味必然である。
ひたすら自身を凡人としてキャラ付けし続ける非凡さ。
この一点で味方を増やしたからだ。
世の大抵の人間は凡庸なので、コレットの凡人アピールが刺さった。
逆に天才肌のヒルダはこれまでの奇策縦横が災いして、周囲から内心脅威に思われていたのだ。
なので母娘対決という差別化要素の少ない者同士の抗争が発生した瞬間、シンパシーを感じさせ易いコレットに支持が集中した。
もはや、ヒルダを弁護しているのは数少ない天才型女性達しか居ない。
ヒルダ・コリンズは外洋に追いやられ、海賊行為くらいでしか補給が出来ない状況まで追い込まれているらしい。
勿論、コレットが包囲網を緩める気配はない。
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四天王に許可を取って、オーラロードとやらの見物に向かう。
コレット隊が護衛(監視)してくれている所為か、道を塞ぐ者はいない。
「結局、リゾートハーバーに設置したのですね。」
マスコミ対応を終えたフェルナンが合流して、巨大なオーラロードを見上げる。
荒木達は既に何度か見ているらしく、表情に驚きはない。
地球への転移装置はリゾートハーバーのマリーナを潰して設置された。
(係留されたヨットは何故かコレット軍に接収され、対ヒルダ艦戦用のデコイに転用されている。)
本当に異世界人共が仕事をしていた事に、俺は内心驚く。
『…これがオーラロードか。』
砂浜の上に不思議空間が広がっており、その奥にはくっきりと地球が見えている。
…美しい。
やはり俺の故郷は、あの青く輝く惑星なのだ。
思わず安堵の溜息が漏れる。
「何?
遠市はまだ見てなかったの?」
『色々忙しくてな。』
「あっそ。
もう帰るの?」
『帰るに決まってるだろ?
安全性のチェックを済ませたら、即座に飛び込むよ。
オマエはどうするの?』
「ドワーフ領に地下鉄網を提供する約束をしている。
それを果たして、まだオーラロードが使える状態ならば…
帰りたいな。」
『荒木って結構男気あるよな。』
「オマエと一緒で頑固なだけだよ。」
『頑固?
俺は頭が悪いだけだよ。』
「…怖い怖い。
こんな奴が地球に帰っちまうんだからな。
何度も蒸し返して申し訳ないんだけどさ。
オマエ、ここに骨を埋める気はない?」
『ない。
俺は地球に帰る。』
「何の為に?」
『無論、正義を執行する為だ。』
「…悪魔め。」
俺と荒木が軽口を叩き合いながらポールに貰った駄菓子を食べていると、興津と女がやって来る。
『誰?』
「鹿内だよ。
昨日葬式に居ただろ?」
『ふーん。』
俺と目が合うなり女が凄い剣幕で捲し立てて来たので、コレット親衛隊に頼んで排除して貰う。
「話くらい聞いてやれよ。」
『いや、流石にいきなり怒鳴って来るような相手とは…』
「それもそうか。
鹿内の奴もそうだけど、クラスの女子は転移してからずっとあの調子だったからな。
まともなのは和田さんのグループくらいのものだったよ。」
『そんな事よりさ。
俺の他に帰りたい奴って、どれくらい居るの?』
「オマエってマジモンのサイコパスだよな。
…取り敢えず、俺と興津は確定。
但し、さっきも言ったけど俺はドワーフ族としての使命を果たしてから帰る。」
『あれ?
卜部君は?』
「葬式終わったら帰ったよ。
子供を捨てるような人でなしと話す事はこれ以上ないんだってさ。」
『彼、見た目に寄らず意志が強いよね。
俺、あっちに居る時にもっと卜部君と仲良くしてれば良かった。』
「卜部は、本当の意味で強い男だと思う。
こっちの世界に来て、アイツのハートの強さを何度も見た。
俺は尊敬している。」
『…彼のお店が上手く行くように口添えしていいかな?』
「それ、絶対嫌がられるぞ。」
『じゃあ、彼が危害を加えられないようにコレットに頼むのは?』
「…そんなもん、オマエん家の都合なんだから、勝手に夫婦で話し合えよ。」
『だな。』
離れた場所で控えていたコレットを呼び、卜部に手を出させないように約束させる。
秘書らしい少女がさらさらと速記していたので、そのポーズを信じる事とする。
…死ぬなよ、卜部。
オマエの様に気高い男には少しでも長く生きて欲しい。
『他、帰りたい奴は居る?』
「さあ。
帰りたけりゃ、こっちまで来るんじゃないか?」
『だな。
じゃあ、俺と荒木と興津。
後、さっきの女だな。』
「クラス減ったなあ。」
『クラスか…
なあ、担任ってどうしてるんだろうな?
あの人もこっちにくれば被害者になれたのに。』
「それな。
来てないって事は地球に居るんじゃないか?
まあ普通に懲戒免職じゃね?」
『…教師ってマジでブラック職場だよな。』
「ウチの担任、大学時代に成績悪かったから就活落ちまくったらしいぜ。
それで泣く泣く教師になったって言ってた。」
『へえ、可哀想に。』
「あんな人でも同情はするよな。
ウチみたいな底辺校に赴任させられて、オマケに担任している生徒が全員クラス転移だろ?
俺があの人なら自殺しちゃうね。」
『…俺、地球に帰ったら教師の待遇を改善出来ないか試みてみるよ。』
「オマエのそういう点は評価出来るんだがな…。」
『他の点も評価してくれよ。』
「99%は評価してるよ。
悪人とは99%の善意と1%の独善で構成されている生き物だからな。」
『俺、そんなに独善かなあ。』
「人間なんてみんなそうだけどな。
オマエはかなりマシな方だと思うぞ?
カネを持ち過ぎてるから許せないだけで。」
『やっぱり特定個人がカネを持ち過ぎるのは駄目だな。』
「駄目だな。
税率はもっと累進性高くしないと。」
『俺10割払うよ?』
「はい独善発動~。」
『どうしろと。』
「オマエ極端なんだよ。
周りが困るからマジでやめろし。」
『なあ、カネを配るのも周りを困らせてるか?』
「うーん。
こっちの連中が相当喜んでるからな。
金持ち以外は全員オマエを支持してるんじゃないか?」
『今日、更に派手に配るんだけど。』
「昨日配ったばっかりだろう?」
『いや、配ったカネをピット会長に無効化されちゃったじゃない?
ミスリル貨はもう使えないみたいだからさ。』
「まあ、貧民に10億ずつとか配ったら…
カネ持ちが今まで蓄えた貯金が無意味化しちまうからな。」
『でな?
実は今日からが本番なんだ。』
「ふーん。」
『幾らか謝礼を払うから手伝ってくれない?』
「手伝ってはやるが、謝礼はいらん。」
『随分、廉潔なんだな。』
「ドワーフ族の掟でな?
悪人と取引する事は禁止されている。」
『あっそ。
でも手伝ってくれるんだ。』
「掟は他にもあってな?
可哀想な奴は助けてやらなくちゃいけないんだよ。」
『あっそ。
じゃあ、帰ったら担任を助けてやれよ。』
「そうだな。
奮発して郵便ポストに5000円札を入れとくよ。
オマエは1万円ノルマなー。」
『マジ?
ウェンじゃ駄目?』
「恩師(笑)だろ。
ちゃんと日本の通貨で払ってやれ。」
『まあ、仕方ないか。
恩師(笑)だしなあ。
あんな人に1万円はあげすぎだと思うけどなぁ。』
そんな会話を交わしながら荒木と暴動の激しい地区まで移動する。
(ソドムタウンで最も治安が悪いのがこの工業区。)
コレットの武装馬車は平然と人を轢殺する事で有名らしいので、誰一人道を塞ぐ者は居ない。
「何?
オマエ、ここでばら撒くの?」
『あのな、荒木。
余ったカネ、オマエのスキルで他の国でも配り歩いてくれない?』
「オイオーイ!
一番危険度高いミッション押し付けるんじゃねーよ。」
『花咲かジーサンみたいにカネを撒きながら電車で疾走してくれるだけでいいからさ。』
「それ、絶対途中で襲われて殺されるだろ。」
『連邦ルートで北上してくれない?』
「ガチの野蛮国じゃねーか!!」
『貧乏だから民度が低いんだよ。
ウチの地元と同じだよ。』
「あんな低民度地帯と同じ所を通らせるな!!」
『前から試してみたかったんだよね。
貧困地区で大金配ったらどうなるのかなって?』
「セルシオの売れ行きが伸びるんじゃね?」
『荒木は夢が無いなぁ。
まあ、きっとそうなるんだけどさ。』
俺は住んでいた団地の住民達の卑しい顔つきを思い出してみる。
…さぞかしセルシオ売れるだろうなあ。
『コレット。
ピット会長達は?』
「途中まで追いかけてたけど。
工業区には入って来てない。
ミスリル貨を廃止した張本人と思われてるからね。」
『あの人、ステルスしてたんじゃないの?』
「はァ?
ステルスなんて許す訳ないでしょ。
全員、私と一緒に地獄に落ちて貰うから。」
どうやらコレット隊が全世界の政財界人の資産状況を暴いて回っているらしい。
ここ数百年で確立させたピット家のステルス態勢は完全粉砕されたとのこと。
鬼だなコイツラ。
「大魔王は無欲で庶民の味方。
財界人は強欲な老害で抵抗勢力。
この構図で行くって決めたから。
別にいいでしょ?
嘘じゃないんだから。」
『そんな構図作ったら、会長達殺されるぞ?』
「この構図をキープしないと私が殺されるの。
自己防衛くらいはさせてよね。」
世界ってとことんゼロサムだよなあ。
俺、とてもじゃないがカネ抜きで生き残る自信がないわ。
工業区では幾つもの死体がそこらに吊るされている。
金持ちが手当たり次第に家族ごと殺されているらしい。
よし、仮説は当たったな。
後は地球でどれだけ再現出来るかだ。
『どうもー、コリンズでーす♪』
俺がコレット隊の拡声スキルで叫ぶと群衆が驚いた顔で振り向く。
『どもどもどもー♪』
群衆は困った様に顔を見合わせていたが、何人かが前に進み出てミスリル貨無効化への不満を述べた。
「大魔王様! 折角頂いたカネが無効化されちまったんですよ!」
「俺! 家を買いたいと思ったのに取引を断られちゃって!」
「ムカついたんで金持ちをぶっ殺してました!」
大体、予想通りの反応である。
『じゃあ、今から面白いことしまーす♪』
実はミスリル貨の廃止は早くから予想していた。
と言うより政治局から内々にミスリル貨廃止についての相談を受けていた。
俺にとっては極めて都合が良い。
地球に10億などという高額通貨は存在しないので、ミスリル貨をどれだけ配っても予行演習にならないのだ。
『はーい、皆さん危ないから下がって下さいねー。
いつもより危ないので、いつも以上に下がって下さいねー。』
俺がそう宣言すると、一瞬で群衆が期待の笑みを顔に張り付けたまま静まり返る。
「恩寵の儀!?」
「大魔王様ーーーー♪」
「うおー! うおー!」
「カネが出るんやぁ!!」
「恩寵の儀!!!」
「え? カネ? え? カネ?」
「え!? 今日もくれるの!?」
「恩寵の儀!!」
「うおー! うおー!」
「オンチョウノギーーーーーー」
コレット隊に頼んでいつも以上に距離を取らせる。
『もう時間がない!!!
全員俺から離れろォーーーー!!!!!!!』
叫んだ所で、群衆は俺から離れない。
虚ろな目で口元をだらしなく半開きにしながら、カネを拾う構えを取っている。
よく見るとザルやカゴを持参して来ている者まで居る。
馬鹿な奴らだ。
【複利】?
違うね。
俺はそんな下らない物が欲しかった訳じゃない。
ようやく理解した。
俺が求めていたのはカネではなく、カネを含めた社会全体が正義によって運用される状況なのだ。
最強は俺が最善を執行する為の手段に過ぎなかったのだ。
父さん、見ていてくれ。
貴方の想いをようやく言語化出来たよ。
『父さん!
これがっ!
俺の【福利】だぁッ!』
ドゴオオオ《4垓97オオオオおおおおおおお!!!!!!
ゴおおおおお99京1おおおおおおおおおおお!!!!!!
ドゴオオオオオオオオオ55オオオおおおお!!!!!!
ゴおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!
ドゴオオオオオオオおおおおおおおおおお!!!!!!
ゴおおおおおおおおお1兆ウおおおおおおお!!!!!!
ブジャアアアアアアアアアアアアアあああ!!!!!!!
ブジャアアアアアアアアアアアアアあああ!!!!!!!
ブジャアアアアアアアアアアアアアあああ!!!!!!!
ブジャアアアアアアアアアアアアアあああ!!!!!!!
ブジャアアアアアアアアアアアアアあああ!!!!!!!
ブジャアアアアアアアアアアアアアあああ!!!!!!!
ブジャアアアアアアアアアアアアアあああ!!!!!!!
ブジャアアアアアアアアアアアアアあああ!!!!!!!
ブジャアアアアアアアアアアアアアあああ!!!!!!!
ブジャアアアアアアアアアアアアアあああ!!!!!!!
ブジャアアアアアアアアアアアアアあああ!!!!!!!
ブジャアアアアアアアアアアアアアあああ!!!!!!!
ドジャラアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ドジャラアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ドジャラアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ドジャラアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ドジャラアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ドジャラアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ドジャラアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ドジャラアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ドジャラアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ドジャラアアェンの配アアアアアアア!!!!!!!
ドジャラアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ドジャラアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ドジャラアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ドジャラアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ドジャラアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ドジャラアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ドジャ当が支ラアアアアアアアアアア!!!!!!!
ドジャラアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ドジャラアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ドジャラアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ドジャラアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ドジャラアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ドジャラアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ドジャラアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ジャラアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ジャラアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ジャラアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ジャラアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ジャラアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ジャラアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ジャラアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
ジャジャヤジャジャジャヤアアガガガガ!!!!!!
ジャジャヤジ払われまャジャジャヤアガ!!!!!!
ジャジャヤジャジャジャヤアアガガガガ!!!!!!
ジャジャヤジャジャジャヤアアガガガガ!!!!!!
ジャジャヤジャジャジャヤアアガガガガ!!!!!!
ジャジャヤジャジャジャヤアアガガガガ!!!!!!
ズササササササササササササササササササぁぁ………
ズササササササササササササササササササぁぁ………
ズササササササササササササササササササぁぁ………
ズササササササササササササササササササぁぁ………
ズササササササササササササササササササぁぁ………
ズササササササササササササササササササぁぁ………
ズササササササササササササササササササぁぁ………
ズササササササササした。》ササササササぁぁ………
ズササササササササササササササササササぁぁ………
ズササササササササササササササササササぁぁ………
ミスリル貨が廃止されたので、大白金貨(1000万ウェン硬貨)が俺の全身から吹き上がり洪水となる。
警告を無視して接近をやめなかった愚民共は全てどこかに押し流されていった。
吊るされた金持ちの死体も、吊るした側の愚民の群れも…
共に貨幣の濁流に流されて消える。
ああ、やはり命は平等だったのだ。
個々の命などには等しく価値がない。
周囲には金属音が響き渡り続けていた。
背後を見ればコレット隊はとっくに安全地帯に退避済である。
どうやら一部の賢者以外は鉄屑の下敷きになったらしい。
「遠市ッ!!! キサマーーーー!!!!!!」
俺の放った無限の鉄屑を無数の鉄線が留めていた。
バリケード状に組み上げられた線路が数十名を鉄屑の洪水から守っている。
成程。
【鉄道】とはよく言ったものだ。
「キサマ!!
今、何人殺したのか分かっているのか!!!!」
『殺した?
俺は救済しただけだが?』
「ふざけるなッ!!!
今、人が死んだんだぞ!!!
何を笑っている!!!
何がおかしい!!!
こんなに多くの人間をオマエは殺したんだぞ!!!!!」
『なあ荒木、オマエは何か誤解しているようだ。
足元に転がってる連中の表情を見てみろよ。
喜びに満ち溢れているじゃあないか?
逆だよ。
こんなに多くの人間を救うことが出来たんだ。
俺は誇らしい。
やっと父さんに胸を張れる。
ああ、今わかったよ。
きっと天国ってこういう風景なんだ。
皆が心から笑える世界。
俺には天国を築き上げる義務があるんだよ。』
俺はゆっくりと周囲を眺める。
笑顔・笑顔・笑顔・笑顔・笑顔・笑顔。
まるで菩薩のように安らかな笑顔で皆が天を仰いでいる。
口から臓腑と金貨をゆっくり吐き出しながら、喜悦の笑みで天国へと駆け上がっているのだ。
父さん。
一度でいいから貴方にこんな笑顔をさせてあげたかった。
「天国だとッ!?
ふざけるな!!!!
こんなやり方があるか!!!
キサマはただの人殺しだ!!!!
頭のおかしい人殺しだ!!!
救済ってそういうことじゃないだろう!!
社会ってそういうものじゃないだろう!!
誰かの独善が世の中を変えちゃいけないんだよ!!
皆の意見を擦り合わせながら一歩一歩改善するべきんだ!!
世の中はッ!!!」
『…ああ、オマエが鉄道を好きな理由はきっとそれなんだな。
地に足が着いてて好感が持てる。』
「生存者の救助を行うッ!!
遠市!!
すぐにこのカネをどかせろッ!!!!」
『なあ、よく見てみろよ。
頭に血が上ると周りが見えなくなるのはオマエの悪い癖だぞ?
ほら、すぐに生き残りが湧いて来た。
みんな喜んでカネを拾い集めている。
これらはすぐに消えるよ。
まあ、見たところ…
オマエ以外は誰一人として救命なんて興味すらなさそうだが?』
コレット隊が無言で貨幣回収用のホースで貨幣を回収し始める。
何人か全身から発光している隊員もいたので、救命やら修繕のスキルを持った者も在籍しているのだろう。
『みなさーーん。
どうしますーーー?
もうおカネを出すのはやめましょうかーー?』
同胞の死体を踏みつけながら満面の笑みでカネを回収している群衆に叫ぶ。
「そんな殺生な!」
「大魔王様! もう一声!」
「もっとおカネ下さいよーーー!!!」
「貴方様に永遠の忠誠を誓います!!!」
「大魔王様ー!! お慕いしております!!」
「うおーー! うおーー!!」
「行かないでーーーーーーー!!!!!!」
「僕達を見捨てないでーーーーー!!!!」
「帰っちゃイヤーーーーーーー!!!」
「おカネまだまだ欲しいのおおおお!!!!」
うーーーん。
少なくとも、この現場での支持率は100%。
きっと死んでいった連中も概ね俺を支持してくれているだろう。
ほら、あそこに転がっている死体の表情。
至福とはああいう顔付きを指すのだろう。
一度でいいから、俺もあんな心境に至ってみたいものだ。
『荒木。
これが民意だ。
人間の総意なんだよ。』
「今はな!
熱狂している今はそうかもな!!
厳密な総意は歴史の審判に聞け!」
面白い事を言う奴だ。
俺が救いたいのは、歴史を記す側に立てなかった99.99999%の連中なのだが。
今が救済されなくてはならないというのに。
どうしても、そこが伝わらないらしい。
『なあ荒木。
俺、どうして電車が嫌いかわかったよ。
電車に乗ってる連中ってさ。
皆、凄く苦しそうな顔をしているんだ。
当たり前だよな。
他人と一緒にあんな鉄の箱に押し込められてさ。
通勤地獄、なんて言葉もあるくらいだもんな。』
「…。」
『そういう人間個々の気持ちに全く配慮もせず!
ただ写真を撮ったりグッズを買い漁るオマエらッ!!
恥を知れ!
オマエ、俺を屑だと言ったな?
その言葉、そのまま返してやるよ!!!
鉄道なんて社会を運営する為の一手段に過ぎない!
その手段の鑑賞を喜び目的とするオマエラ!!
最低のゴミだね!!
荒木…
俺はオマエなんかと違う。
俺は全てのリソースを人類の幸福の為に捧げる!!!
社会は人間の為のものだ!!!
俺はッ!!
万民が笑顔で暮らせる社会を必ずや築いてみせる!!!
如何なる犠牲を払ってでも
地球に正義をもたらしてみせる!!!
それが! 俺の福利だ!!!!』
「…御高説どうも。
オマエ、カネが尽きたらラノベ作家にでもなれよ。
キチガイの書く文章って差別化要素あるから固定ファン付くだろうよ。
それより生き残った奴を治療してやりたい。
オマエの嫁が持ってる医薬品を譲ってくれないか?」
コレットが側近達に目線で合図して、医薬品が放出された。
近辺の医療部隊もこちらに向かっているらしい。
==========================
馬車の中でコレットから回収した貨幣の所有権について尋ねられる。
考えようとしたが、どうしても興味が湧かなかったので彼女に一任する。
「万民が笑顔で暮らせる社会、ね。」
『何だよ。』
「旦那様がそんな事に熱中している家の女はみんな泣いてるんだよ?」
『…。』
コレットはこれ見よがしに大きな腹をさすりながら「酷いパパでちゅねー。」と優しく声を掛け続けていた。
産まれてくる子にも、少しは気を遣えということだ。
どうしても興味が湧かなかったので彼女に一任する。
==========================
魔王城に戻る途中、ピット会長の土下座バリケードに行く手を遮られる。
馬車を降りるのも面倒だったので、会長もこちらの馬車に同乗して貰うことにした。
「だ、大魔王様…」
『あ、はい。』
「お、恩寵の儀では…
み、ミスリル貨以外の貨幣も…」
『ああ、言ってませんでしたか?
別に俺のスキルはミスリル限定ではないですよ?』
「…あ、あ、あ、あ。
申し訳ありません、どう対処してよいか
全く理解が追い付かず。」
『大白金貨を廃止して下さっても構いませんが。
今日以上の被害が出ますよ?
ソドムタウン、物理的に潰れるかもですね。』
「…こ、コリンズタウンが潰れる!?」
『そりゃあ、この調子でカネが増えれば
いずれは世界全てがカネに押し流されるんじゃないですか?』
「あ、あ、あ、あ…」
『安心して下さい。
会長の妨害さえなければ、俺は退去しますので。
そうはなりませんよ。』
「あ!
いえ!
妨害とか! そんな!
とんでもない!!!」
『俺は暴力には反対です。
人間は動物じゃないんだ。
本来、社会は理性と善性によって運営されるべきなんです。
そう思いませんか?』
「も、勿論です!
私は大魔王様の御意見を全面的に支持しております!!!」
第三工区への入り口、女が梟首されている。
確か鹿内とかいう名だったか。
…まったく。
コレットにも困ったものだ。
一体、暴力が何を産むというのだろう。
『じゃあ、俺に協力して頂けますね?
ポーズではなく。』
「…はい。」
『幾ら俺が安堵状を発行した所で、民意を敵に回してしまえば
会長の安全が脅かされるでしょう。
勿論、この世界の大半を支配しておられる会長は盤石だとは信じてますが。』
盤石な訳がない。
この老人はよほど上手く立ち回らないと民意によって惨殺されるだろう。
ピット家から多くの郎党・従業員が出奔した情報は入手済である。
何せ高給で雇われていた連中である。
生涯年俸を越える臨時収入を得てしまえば、労働を続ける意味も無くなるのだ。
コレットが、まるで宿屋の看板娘のような天真爛漫な笑顔でピット会長の部下達に大金を配り切ったのだ。
それがピット会長の優位を完全に覆した。
彼女は、己の部下にもちゃんとカネを配っている。
それも5代は遊んで暮らせる金額をだ。
(但しインフレを考慮しないものとする)
無論、少なくない将兵が帰郷した。
コレットもヒルダも、そういうフィルタリングを経て残った者を率いて世界に挑んでいる。
恐れられるのは当然なのだ。
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魔王城に帰還すると、ちゃんと四天王は叱ってくれた。
人民の殺害は為政者として最も恥ずべき暴挙なのだそうだ。
俺が荒木の言葉を紹介すると、皆がこれを絶賛し「彼の者の諫言こそ容れるべし!」と強く俺に迫った。
やはりアイツに妥協すべきか、と思案し始めたタイミングである。
突如、城外から大地を揺るがすような轟音が鳴り響き始めた。
最初はヒルダが大量破壊兵器を使用したのかと思った。
だが、違った。
轟音の正体は群衆の歓呼だったのだ。
どうやら大魔王コリンズの文字通りのバラマキ政策が広く伝わったらしい。
ソドムタウンでは俺に感謝する大魔王支持デモが自然発生したとのこと。
喜んでくれて何よりだ。
俺も我がことのように嬉しい。
全ての人民にッ!
救済あれ!
安寧あれ!
歓喜あれ!
…そして地球よ。
安心してくれて構わない。
俺は必ず帰還する。
【名前】
リン・コリンズ
【職業】
大魔王
神聖教団大主教
【称号】
大魔王
【ステータス】
《LV》 58
《HP》 (6/6)
《MP》 (4/6)
《腕力》 3
《速度》 3
《器用》 4
《魔力》 2
《知性》 8
《精神》 13
《幸運》 1
《経験》111京0536兆1662億0955万7238ポイント
次のレベルまで残り29京0702兆0512億0980万8904ポイント
【スキル】
「複利」 (リン・コリンズは福利と呼称。)
※日利58%
下12桁切上
【所持金】
所持金8垓5860京6121兆4970億9294万ウェン
☆4垓9799京1551兆ウェンを人民に分配
※コリンズ銀行(旧バベル銀行)の8兆8167億8740万ウェン預入証書保有
※国際産業道路98号線交通債100億ウェン分を保有
※第11次魔族領戦時国債200億ウェン分を保有
※第4次帝国インフラ債550億ウェン分を保有
※帝国総合プランテーション債230億ウェン分を保有
※自由都市海洋開拓債1000億ウェン分を保有
※第2次自由都市未来テック債1000億ウェン分を保有
※首長国臨時戦時国債1100億ウェン分を保有
※自由都市国庫短期証券4000億ウェン分を保有。