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【転移110日目】 所持金686京1879兆7250億9294万ウェン  「待つのも結構大変なんですよ?」

音楽祭が終わった途端に、学会の重鎮たちが招致に応じ始めた。



「いやあ、アカデミーもゴタゴタしておりまして。」



嘘つけ、君が昨日まで中央公会堂隣の高級ホテルで長期滞在していた話は知っているんだからな。



『…お忙しい所をお呼び立てしてしまい恐縮です。』



向こうも音楽祭にかまけていた負い目があるのか、各学派から最精鋭の研究者を派遣してくれる。

数学関連、物理関連、魔法関連、召喚関連、この辺りのトップ研究者が入れ替わり挨拶をしてくれて、プロジェクトチームも起ち上がった。

召喚学の権威であるドルチェノフ博士の講義をマンツーマンで受講し、地球帰還について俺も本音を打ち明けた。

あくまで博士の談であるが、4割位の成功率で良ければ既存のリソースで逆召喚可能らしい。



必要な材料は全て買えるので遠慮なく提示して貰う。

脳内で何度か見積もりするが、MAXまでカネを掛けてもせいぜい1000兆ウェン弱で済む。

そこまでハードルは高くない。


…とりあえず地球への逆召喚は可能だ。



==========================



珍しく空いた時間があったので、四天王に岸壁に連れて行って貰う。

特に何もしない。

4人の雑談をBGM代わりに頭を空っぽにして口をポカーンと空けておく。


今、俺は通常の冒険ラノベと真逆の行動を取っている。

他のラノベ主人公達はゴールする為に必要なリソースを拾い集める為の旅をするのだが…

俺は主人公たちの拾い集めたリソースを購入する為にゴール地点で待たなければならない。

(ゴールがウロチョロしたら皆が怒るだろう?)



俺と共に転移してきた級友の生き残り、俺が国債を購入したエルフ族、そして竜素材。

皆の冒険が俺に届く日をひたすら待つ。




「若いリンにはもどかしいのではないですか?」



『自分は何もしていないというのが心苦しいです。』



「逆ですね。

リンが一番仕事をしています。」



『カネを出しているだけです。』



「でも、カネを出さない決断も結構しているでしょう?

最近はミスリル貯蔵に専念しておられるでしょう?」




そうなんだよな。

最近、大きい出費に関してはピット会長に話を通してから行う癖を付けている。

当然、首長国のルイ陛下にも伝書鷹で緊密に連絡し合っている。

(フェルナン殿下の赦免申請はスルーされているが。)


この世界のラスボス連中と巡り合ってから、カネの使い方のステージが劇的に変わった。

上手く言えないが中央銀行にでもなった気分だ。



で、そのラスボスが俺の隣にゲルを据えた。



『会長。

流石に会長をこのような所に住ませるのは申し訳ないですよ。』



「私は南洋に居る時は洞窟や樹上小屋でも寝ますよ?」



『神様なのにそんな所で泊まるんですか?』



「でも、もてなすのは女性達です。」




上品に微笑みながら会長が言う。

なるほど。

どんな粗末な環境でも、女が居れば男は文句言わないよな。



しばらく雑談混じりに会長とランチを取った後。

地球帰還計画で余ったミスリルを公的機関に寄付してくれ、との打診が来たので快諾する。



「対価に欲しいものはありますか?」



『…自由とか。』



「私も持っていないのは支払いようがありません。」




あっさり断られた。

そりゃあ、手持ちが無いんじゃ仕方ないよね。



「いや、本当ですよ?

私が若い頃なんか、言われるままに南洋各地を行脚しながら

言われるままにセックスし続けていました。」




…あれ?

何か、俺と会長では不自由の種類が微妙に異なる気がするのだが。



『会長、一日だけ立場チェンジしてみませんか?』



「ははは

コリンズさんには素敵な奥様がおられるじゃないですか。」




…まあ、断られるよな。




俺からすれば息苦しい母娘だが社会からは歓迎されている。

コリンズ家の現在の一夫二妻体制は、非常にお家騒動が起こりにくい。


ただでさえ車椅子を手放せない俺は思ったように女遊びを出来ない。

加えて、皆から恐れられているヒルダが厳重に監視している所為で、他の女が物理的にも精神的にも政治的にも一切俺に近づけないのだ。

なので、コリンズ家で継承争いが発生する可能性が他王朝に比べて少ない。



俺は今まで色々なハーレムラノベを読んできたが…

2代目継承時のお家騒動とか全然考慮されてないよな。



「リン。

私もコレットも私利私欲の為に申しているのではありません。


貴方は史上に類を見ない至尊の王です。

そんな王の子達が継承争いが起こしたらどうしますか?


きっと天下万民が甚大な被害を受けてしまうことでしょう。

私は、リンが悲しむようなそんな未来を生み出したくないのです。」



『うむ。』




「私達はリンを監禁している訳ではありません。

今まさに未来の平和を維持しているのです!」



…物は言いようだな。




「女として、最愛の人を取られたくないというのが本音なのですが。」




…寛猛自在とはよく言ったものである。




==========================




地竜が討伐された、そんな話が入って来た。



「流石にコリンズさんも行くべきなのでは?」



ピット会長に言われたら赴かざるを得ない。

何故かこの人は俺のゲルに居座っている。



『あ、はい。』



「せっかくだから一緒に行きましょうよ。」



70過ぎている癖にフットワーク軽い老人だな。

会長はあちこちにメッセンジャーを飛ばし政財界の大物OB達と地竜討伐記念ツアーを即興で組んでしまう。


さして状況がわからないまま、外出用の車椅子に油を差す。

大名行列だが、外に出れるのは嬉しい。




…え?

俺はヒルダの部隊の馬車で移動するのか?

聞いて無いぞ?


いや、魔王+四天王馬車で小旅行を楽しめると思っていたのだが…

な、なんか女軍人が周囲を取り巻いているし…



「リン、新婚旅行みたいだね♪」



『う、うむ。』



…俺には囚人護送シフトにしか見えないのだが。




==========================




自由都市の北部の穀倉地帯。

その更に北部の自然公園(単なる荒野だ)の中に有名な巨大地下ダンジョンがあり、その最奥に君臨する地竜の牙を取得する事に成功した冒険者パーティーが現れたという話。


賞金を懸けたのが俺なので、一応その州に出向いて州政府の面子を立てておかないと、後々話がこじれるらしいので赴く。


自由都市は首長国同様に首都ソドムタウンに殆どのリソースを投入する首都集中型の国家である。

故に都鄙の格差が大きく住民感情の対立が激しい。



なので、地方州の人間が功績を立てた場合は、極力大袈裟に称賛し可能な限り中央の人間が出向いた方が良い。

過去、それを怠って幾つかの緊張状態が発生したケースがある。

なので首都エリートの暗黙の了解として、極力地方人の面子を立てることになっている。

俺も1人のソドムタウンの住民として、不文律は守らなくてはならない。



地方人を巧妙に手懐けているピット会長が諸事万端整えてくれたので、特に問題なく移動出来た。

何故か馬車に窓が無かったので、一切の旅情は無かった。



「リン、怒ってない?」



『…ふむ。』



「あ~、やっぱり怒ってるでしょう♪


違うの、これはリンの為なのよ?

この辺の地方の人って教育レベルが低くて何をするかわからないから

こうやってリンがどこにいるか分からないようにしているの。


これはリンを護る為なんだからね♪」



『ふむ。』



「あ、大変!

リン、そろそろ時間よ。


一旦外に出ましょう。

大丈夫よ安心して。

ブラインドフォーメーションは万全だから!」



『うむ。』




《231京7592兆ウェンの配当が支払われました。》



「リン、悪いんだけど

おしっこもそこで済ませておいて。」




『うむ。』




何十本のホースにエナドリが吸い込まれる音で、俺が旅行用オマルに用を足す音はかき消される。

これだけ莫大な量のミスリル貨をどう処理しているのか理解の範疇を越えているのだが、そう難しい原理ではないらしい。

要は物品運搬に適したスキル使いにその場で無限のミスリルを供給可能なので、何の問題もないらしい。



驚くべき事にピット会長の隠し玉であるジョナサン・ブッシュ氏は空間を歪めるスキルを保有しており。

山の様なミスリル貨をほぼ独力で貯蔵場まで移動させてしまった。



『たった10兆ウェン分のミスリル貨であの質量を移動させた!?

ブッシュさん、貴方恐ろしい方ですね!?』



「…あ、いえ。

10兆ウェンを《たった》と言い切る魔王様の方が恐ろしいです。」



…そりゃあね。

人間自分が持たない能力は巨大に映るんだよ。




ここで一泊し、明日の午前に州都を訪問。

地竜の牙を拾ってきた人達に賞金と表彰状を授与してソドムタウンに即帰還する段取りである。

エルフキャラバンは既に連邦に入国したらしいからな。




『待つのも結構大変なんですよ?』



と周囲に連呼してたら、寝入り際にヒルダに


「女の気持ちがわかりましたか?」


と言われる。



…小癪な女だ。

俺にとって最も必要なだけに、特にそう感じる。


【名前】


リン・コリンズ




【職業】


魔王

神聖教団大主教


(株)エナドリ 創業オーナー

世界冒険者ギルド 永世名誉理事




【称号】


魔王




【ステータス】 


《LV》  51


《HP》  (6/6)

《MP》  (6/6)


《腕力》 3

《速度》 3

《器用》 3

《魔力》 2

《知性》 7

《精神》 10

《幸運》 1


《経験》9558兆2349億4356万7579ポイント


次のレベルまで残り4079兆3666億4109万0396ポイント



【スキル】 


「複利」


※日利51%  

 下12桁切上




【所持金】


686京1879兆7250億9294万ウェン


※今回ジョナサン・ブッシュ氏に10兆ウェン譲渡




※バベル銀行の8兆8167億8740万ウェン預入証書保有

※国際産業道路98号線交通債100億ウェン分を保有

※第11次魔族領戦時国債200億ウェン分を保有

※第4次帝国インフラ債550億ウェン分を保有

※帝国総合プランテーション債230億ウェン分を保有

※自由都市海洋開拓債1000億ウェン分を保有

※第2次自由都市未来テック債1000億ウェン分を保有

※首長国臨時戦時国債1100億ウェン分を保有

※自由都市国庫短期証券4000億ウェン分を保有。




【配給薬品在庫】 


エナドリ940044ℓ


※配給薬品351273ℓを補充

※神聖教団救済部会へ100000ℓをエリクサーとして納品

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― 新着の感想 ―
じわじわ伸びるステが唯一の楽しみやね 自由なくて辛い
[良い点] 初期の炸裂してるとき。 以降無し。 [気になる点] 地球に帰る帰る言ってるけど、その状態(下半身不随)で帰るの? それで私怨は果たされるの? 仮に果たせたとして、果たした後は空虚になって死…
[良い点] なし [気になる点] きもちわるい [一言] 母娘が×、主人公が×
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