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儂とアヤツと何処ぞの世界  作者: シマタロウ
3章:儂とアヤツと望みの形
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3-3:儂たちと黒猫の箱庭 神様がくれた奇跡


「美味しかったです!お肉以外に旨味がこんなにあるなんて思いもしませんでした!」


「そうでしょ、海鮮も結構いけるのよ。わたし自身はシンプルな方が好きなんだけど、たまにはガッツリ調理したのもありかと思ったのよ」


「ねぇねぇ、アリスちゃん、海鮮系でメニューのバリエーション増やしましょうよ!」


「・・・気持ちは分かるんじゃが、素材確保のためにドロップアイテムの一覧を更新せんとあかんわけでな」


 要は『今のまま』では無理なんじゃよ。


 じゃが、言い淀む儂を尻目に謎金髪が儂の言葉を引き継ぎよった。


「・・・少し準備は必要だけど、それが終わったらアリスに作ってもらうと良いわ。魚介類があれば調味料も増やせるから、それこそアリス得意の中華料理にも本格的に手を出せるようになると思うし」


「え?・・・つまり、それってアリスちゃんはまだ本当の力を出していなかった?」


 本当の力って。まぁ、確かに一番得意で好きなのは中華料理ではあるが


「一応ずっと本気で取り組んではおったぞ?ただ手に入る物が限られておったから、必然的に手が届かん範囲もあっただけの話で」


「三人一緒ならもっと色々な事が出来るようになるんですよね?」


「それは・・・あぁ、そうじゃろうな」


 横目で見ると謎金髪は何故か妙に穏やかな目でルカを眺めておった。


「そうよ、これからはアリスとルカとわたしの三人で楽しく過ごせるように頑張りましょうね」


「はい!それは楽しみです・・・」


 そんな言葉を言い終わると同時、まるでスイッチが切れたようにルカは眠りに落ちた。


「限界が来たみたいね」


「世界を維持する負荷の限界って事かの?」


「ええ、この喫茶店の中に入った時点で外の世界の描画は止めてあるのだけど、それでもこれ以上続けるのはもう無理みたい」


 そっか。思ってたより限界が近かったって事なんかの?儂が介入せず素朴な異世界ファンタジーを続けておれば、あるいは・・・


「計算負荷が低くて単調な世界なら続ける事も出来たでしょうけど、それこそ無駄だと思わない?せっかくの死の間際の自由時間、楽しく過ごせた方が良いに決まってるじゃないの」


「・・・あぁ、そじゃな。それはその通りじゃ。この奇跡みたいな時間は大事にしてやらんと」


「そうね、神様がくれた奇跡だものね」


 そんな言葉とともに世界が白く白く消えていく。


 音が消え、喫茶店が消え、座っていた椅子も消え、そしてルカの姿も同じように消える。


「これで世界のリセットは完了。わたしも元の姿に戻らせてもらうわよ」


 そして、最後に謎金髪の姿も消え、現れたのは・・・


「おぉ、マジで黒猫じゃ!しかもやたらプリプリで可愛らしい!!」


 小太りの猫って最高じゃろ?!


「素敵でしょ?その時のマスターの嗜好やら気分で年齢や体型は変わっちゃうけど」


「そうなんか!それは便利じゃのう!!・・・なぁ、少しだけ触らせてもらってもええかの?」


「もちろん、良いわよ」


 儂の足元へ寄り添うクロ先輩。

 真っ黒で艶々で尻尾がにょろにょろしておって。


「おぉぉぉ」


 触ってみれば短めの体毛は予想外にフワフワとした感触を返し、それでいてスベスベで。

「凄い!凄すぎるじゃろ?!!」


「・・・次の世界では、わたし以外にも猫を作るようにしましょうか?」


 なに?!先輩以外にも?!


「是非!是非に頼むぞ!!」


「・・・そんなに必死に言われると少し引くわね」


「気まぐれな先輩も良いもんじゃ!」


「・・・・・・ま、良いわ。じゃ、早速だけど世界の再構成を始めるわよ。小さく必要最小限に、あの子の負荷が高くなり過ぎないように、この奇跡を少しでも長く楽しめるように」


 そんなクロ先輩の声に導かれるようにして、儂も自らの姿を解体し情報の塊としての有り様へと戻る。


 今の儂はクロ先輩と同じく『サヤカ殿の頭の片隅に住む居候』に過ぎない。

 じゃが、その機能の殆どを失い夢を見るだけとなったサヤカ殿の力をコントロール出来るのは儂らだけ。


「アリスとルカの新しい世界、うまく出来ると良いわね」


 クロ先輩の言葉はとても優しく、それでいて何かを願うような、そんな響きじゃった。



今日も読んでくれてありがとう!終わりに向けて淡々と。ここまで来れば作品のテーマも明白ではありますが、まぁ、サラサラと。

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