3-2:儂たちと黒猫の箱庭 憧れの黒猫先輩
「この世界ね、あまりに無駄が大き過ぎるのよ」
「そうかの?街も人も少ないし計算リソースをそこまで使っとるわけじゃなかろ?各種資源も魔物からドロップしたりダンジョンから湧いたりしとるわけじゃし」
「そうね、そこはゲームっぽい仕組みをパクる・・・いえ、参考にする事でうまく出来ていると思うわ、そこだけはね」
謎金髪はちらりとルカに目をやった。
まぁ、氷をガリガリ噛み砕く事に熱心なコヤツを眺めたところで意味は無いと思うのじゃが。
「でもね、そもそも世界が広すぎるのよ」
「・・・あー、前の世界が裏返しで引っ付いておるからの」
「構築に失敗した最初の世界、そこに似非ファンタジー風な世界を上乗せ、魔術を実現するリソースは2つの世界で共通、しかも、リソースの通り道をダンジョンにして世界同士を繋げて・・・」
「そうやって聞くと実装がグチャグチャじゃの」
「こんな構成になってるのは、あんた達二人のせいだけどね」
「はい!私は全然知らないです!!」
氷まで食い終わったルカが勢いよく戦線離脱。
「・・・無理矢理動くようにしてしまった責任はわたしにあるし、これからの事を考えましょうか」
「サヤカ殿の試行の記憶はルカは覚えとらんし、儂はそもそも知らんからの。そこを掘っても得る物は無さそうじゃ。前向きに行くのがええわな」
謎金髪が胡乱な目で見て来るが知らんもんは知らんのじゃ。
溜息とかつかれたところで儂は何もしてやれんのじゃ!
「・・・せっかくだし、現世の美味しいものでも食べながら、今後の話し合いをしましょうか。どうせスグに終わるって事も無いのだし」
「なるほど!ところでお品書きは何処ですか?」
キョロキョロと周囲を見渡すルカ。
この店に入ってからコヤツ完全にポンコツ化しとるの。
「ここでは私達の記憶からダイレクトに食べ物を生成してるからメニューとかは無いの。
と言うか、普通に作ってるなら炭酸もアイスも提供出来るわけないでしょ?」
「そりゃ、そじゃの。炭酸飲料なんて料理ではなく工業製品って感じじゃものな。
で、何を食いたいかリクエストしてもええんかの?」
「そうね、今回はわたしに任せてくれるかしら?今の姿でいるうちに優先して食べたい物があるのよ」
金髪が軽く手をかざせば店の者が音も無く寄って来おった。コヤツは自意識がある登場人物なのか、それとも料理を出すための『装置』に過ぎないのか。
「オムライスを三つ、具材はシーフードでお願いね」
「ねぇ、アリスちゃん、それって王都で出してましたよね?」
「ん?そじゃな、向こうではメジャーな料理じゃったからの。食材も近場のドロップ品で揃っておったし・・・ドロップ品のラインナップは儂の嗜好が反映されておっただけじゃとは思うが」
「でも、アリスの嗜好だとシーフードのは無かったでしょ?」
「儂は肉系の方が好きじゃからの」
「だからこそね。それに多分ルカもサヤカも食べた事が無いと思うから」
「そうなんか?」
「言われてもサヤカ様の事は分かりませんよ。私について言えばアリスちゃんが作ってくれた物しか食べた事は無いですけど」
そんなルカの様子を謎金髪は悲しそうな目で・・・
「あまり良い物を食べられるような生き方では無かったと聞いているわ。その意味では、この世界に来たのが食欲旺盛なアリスだったのは幸いだったわね」
「ええ!アリスちゃんには美味しい物を色々と作って頂きました!」
ルカってこんなんじゃったかなぁ?
なんか秘境の現地住人を餌付けした、みたいな感じになっとらんか?
ま、それはそれとしてじゃ。
「質問なんじゃが、オヌシの元の姿ってどんななんじゃ?『今の姿で食べられる物』としてオムライスをあげたって事は、人間型の生き物では無いんか?」
「あー、そうでしたね。私も少し気になります。使い魔って言ってましたし、カラスとかですか?」
「あら、おしい。わたしの本当の姿は猫よ、黒猫。魔女の使い魔の定番でしょ?」
「・・・儂の先輩とか言っておったよな?」
「そうよ?アリスはクロ先輩って呼んでくれてたわよ」
・・・童女の姿に成り果て先輩は猫か。
なんか今の儂の可能性って、思ってたよりカオスな状況で生まれたみたいじゃな。
今週も読んでくれてありがとう!忙しさの山を過ぎたので通常運行です。




