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儂とアヤツと何処ぞの世界  作者: シマタロウ
3章:儂とアヤツと望みの形
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3-1:儂たちと黒猫の箱庭 要件定義がちゃんと出来てないの


「・・・コーラフロートはやり過ぎじゃろ?一応中世っぽい世界観でやっととるのにコーラとアイスが出て来るのはいかんじゃろ?

 この世界は冷たい飲み物だけでも魔術頼りなんじゃぞ?我慢とか自重とか知らんのかえ?」


 謎の金髪に連れて来られた謎の喫茶店。そこは現代日本の飲食物を提供する謎な場所じゃった。


「って、他の村人が入って来たらどうするつもりなんじゃ?」


「大丈夫よ。そうはならないように作り込んであるから。

 ほら、さっさと飲みなさいな。溶け切ったら美味しくないわよ」


 ぐぬぬ。それは確かに一理ある。儂も『こちら』に来てからアイスなんて食べる事は出来なんだし、炭酸飲料なんて作れる気もせなんだ。その両方が目の前にある状況で


「おいしーです!!」


「そう、気に入ってくれて良かったわ」


 一足先にルカがコラーとアイスの誘惑に負けておった。ま、しゃーなしじゃの。ルカは認識の軸足を『この世界』に置いておるからの。そりゃ、魅力的過ぎて抗う事なんて出来るはずもないわな。


「・・・はぁ」


 ルカはノリノリじゃし、儂だけ意地を張っていても仕方が無い。


 まずは溶けて形を崩しつつあるアイスの表面を軽く削って口に含む。

 想定外。頭を強く目覚めさせるのは冷たさではなく甘さ。

 そうか、儂もこの世界にすっかり馴染んでしまって気付いておらんかった、強い甘さに触れる機会なんて、ほんに無かったものな。

 そして、次はストローでゆっくりとコーラを口に含む。覚悟はしていても、想像以上の刺激に脳が揺さぶられる。


 これは良い。最高じゃ。空調が利いて快適な店内。シックな木彫で落ち着いた空間、そこでゆったり味わえる現代日本のメニュー。


「ね?良い店でしょ?」


「・・・あぁ、そじゃな。それはその通りじゃ」


「役得みたいなものと思って納得してくれるかしら?」


「役得?そう言えばオヌシはどんな役割をしておったんじゃ?」


 そんな儂の言葉に謎の金髪は即答せずカラカラとグラスに残った氷をかき混ぜておる。


 ちなみにルカは既にアイスも食い尽くしコーラは飲み干し、氷も噛み砕き終わって物欲しそうな目をしておった。


「・・・儂のをやるから、話はちゃんと聞いておくのじゃぞ?」


 無言でウンウン頷き、ルカは儂のグラスを大層な勢いで奪っていった。


「すまんの、話の腰を折って」


「ええ、いいのよ。で、わたしの役割だけど・・・アリスなら少し考えれば分かると思うのだけど?ヒントは沢山あるでしょ?この世界の成り立ちとか、最近までわたしが姿を見せなかった理由とか」


「ヒント?と言うか、なんでいきなり呼び捨てなんじゃ?知り合いでも無かろうに」


 そんな儂の真っ当な問いかけに対し謎金髪は


「店員さーん、こっちに同じ物を3つ下さいなー」


 なんじゃ、儂の事は無視して追加注文なんぞしおって・・・うん、ルカの顔が満面の笑みじゃ。


 仕方ないの。ルカの笑顔に免じて少し考えてやるか。


 世界の成り立ち。基本的にはサヤカ殿の妄想ベースじゃの。そして足らずの部分を儂の知識やら考えで埋めておると。魔術を欲しがったのはサヤカ殿で、その稼働原理やらは儂に由来するもので、みたいな感じじゃの。

 で、この謎金髪が最近まで出て来なかった理由?知った事では無いが・・・ん?最近?コヤツが儂の前から消えたタイミングは儂が管理者権限に手を入れて、ルカの機能や世界の加速度合いを調整した時・・・という事は


「オヌシが世界の構築作業をしてくれてたんかえ?」


「そう、それが正解。夢の世界の外側から作業してたから参加するのが遅れたのよ」


 なるほどの。まぁ、確かにサヤカ殿も儂もネタの提供元に過ぎんから、誰かが手を動かしてたに決まってるものな。あとは・・・


「なんで急に呼び捨てなんじゃ?儂の断片的な記憶によるとオヌシみたいな知り合いおらんかったはずなんじゃが?」


「はい!私も知らないです!!」


 コヤツ・・・何も言わぬままに儂の分のコーラフロート(お代わり)まで飲み尽くしよったわ!


「寂しいけど、それはそうよ。わたしは貴方の事をよく知ってるけど、貴方は本来ならアリスと呼ばれる事なんて無かったはずの可能性なんだもの」


 それは、つまり、コヤツは


「そう。わたし達は『金髪の吸血鬼がアリスって言う古臭い女性名で呼ばれるようになった世界』で出会うのよ。

 わたしは世界の観測装置であり、魔術で作られたシステム。そして、それと同時にサヤカちゃんの脳裏にインストールされたハイパーな使い魔でもあるの」


「おぉ、情報が多過ぎてサッパリ付いていけん」


 謎金髪がフフンと笑う。


「ついでに言えば、アリスはわたしの後輩よ。同じマスターに仕える者として敬意を払ってくれても良いのよ?」


「すまん!ちょっと待っとくれ!儂の記憶の中におる主殿は実在の人物なんか?!儂という人格を形作るための荒唐無稽な虚像かと思っておったんじゃが」 


「大丈夫よ。わたし達のマスターはちゃんと存在してるわ。破天荒で支離滅裂に思えるでしょうけど、それは間違いじゃないわ」


「・・・そうか、それは良かったのじゃ」


 あぁ、良かった。儂の思い出は儂のものでは無いが、儂と主殿が一緒にいた可能性は何処かにあるって事なんじゃな。

 なら、それで十分じゃ。思い出は偽物かも知れんが、儂の思いが偽物でないのなら、儂は・・・


「それはそれとして『この世界』を構築した作業者として言うのだけど、そろそろリセットしない?」


「は?」


「この世界ってグチャグチャなのよ。何をしたいか分からないまま要望だけを突っ込んだから要件定義がちゃんと出来てないの」


「・・・完成品が動いとるのに、そんなに問題があるんか?」


「すんごい手戻りは発生するけど、やり直し致し方なしってぐらいには駄目ね」


 なんじゃ、この金髪、目滅茶苦茶言いよるぞ。


今週も読んでくれてありがとう!そろそろ終わりなのだけど、書く時間が取れなくて絶賛遅延中!みたいな状況です!

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