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儂とアヤツと何処ぞの世界  作者: シマタロウ
3章:儂とアヤツと望みの形
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2-4:儂とアヤツの話 名前を付けるという事



「で、結局のところ、不純物?になってるアリスちゃんの?残りカス?って何処にいるか見当はついてるんですか?」


 お洒落な机に項垂れたままアリスちゃんは無念な感じに答えを絞り出しました。


「分からん。予想もつかん。

 最初は稼働中の世界の『裏側』に潜んでおると思っておったんじゃ。やけに魔力の濃度が高いのは儂の残滓が垂れ流しておるに違いない、そう当たりを付けての。

 じゃが、何度探しても何も見つからんし、誰もおらなんだ。あるのは壊れた何かの残骸ばかり。

 で、次は今の世界と前の世界の『隙間』を探ってみたんじゃ。要は『異界』が置いてあるところじゃな。あれは世界を固定しておる軸がズレた際に『前の世界の残滓』が流入して生まれるみたいなんでな・・・」


 アリスちゃんの後頭部。

 流れるような金色の髪が綺麗ですね。


「隙間もハズレ、裏もハズレ。となると、稼働中の世界の何処かにおるわけじゃが、そんなもんどうやって探せば良いんじゃ?

 夢の世界は無駄に広くて雑多で魔力の反応なんか探りようもない程に多種多様じゃ。

 住人達は自由意志で世界中を好き勝手に動き回っとるから、魔力の反応も混ざりに混ざってワケわからん。それこそ儂自身の残滓もあちこちにわるわけで」


 分かんないものは仕方ないですよね。分かんないんですし。

 とりあえず、お疲れ様の気持ちを込めてアリスちゃんの後頭部を撫でてあげましょう。


「・・・スベスベで艶々で良いですね」


「オヌシ、結構余裕あるのぅ」


「そうでしょうか?・・・強いて言えば現実感が無いのだと思いますよ。私からすれば本体があそこにいる半死半生のサヤカ様であっても、過ごした世界が夢の世界でも、私自身の自己認識や問題意識が何か変わるわけでは無いですし。

 それこそ、そんな事を考えるぐらいならアリスちゃんの綺麗な金髪を堪能してた方が有意義な時間の使い方かなって?」


 アリスちゃんがムクリと顔を上げた、何故か私から目を逸らしつつ。


「あのな、ルカよ。今の儂の姿もな、多分本来の儂のものじゃないんじゃ。

 あの薄汚れて目つきの悪い金髪の痩せぎすの女、あっちが儂なんじゃ。

 今の儂は奥方が何かの気まぐれで作ったものであって、恐らくは他人の姿、最悪は存在すらしない架空の人物の可能性すら・・・」


 そんな事を気にしてたんですか。


「大丈夫ですよ。私の前にいるアリスちゃんがアリスちゃんなんですから。それに、そんな事を言い出したら私なんて完全に架空の存在ですよ?サヤカ様が思い描いた理想の姿か何かなのですから?」


 それにしては、ちょっと普通過ぎますけどね?絶世の美女とか、そんな感じの設定でも良かった気はします。せっかくの夢の世界なんですから。


「ルカは強いのぅ。儂は・・・管理権限を得て事実を知ってしまった時、普通に凹んだけどの、二日程」


「凹み方が微妙な感じの期間ですね」


「やるべき事もあるし、誰もいないとこでウジウジしとっても仕方ないと思うて」


「その通りです!何も悩む必要なんて無いんです!」


 過去に囚われて二人で楽しく過ごせるはずの時間を無為に過ごしてしまうなんて勿体ないですもの!


 ちなみに私はいま『素晴らしいドヤ顔』をしている事でしょう。良い事を言ったつもりですので当然です。


「そうか、そうじゃな。・・・あるいは、その思いこそがサヤカ殿の最後の願いやも知れぬものな」


 とは言え、わざわざ幼女の姿にされたのは意図が良く分からんのじゃよなぁ。


 アリスちゃんはそんな事をボソリと呟いていますが・・・ひょっとすると、それは私の嗜好に奥方さんとやらが合わせてくれただけかも知れないのでスルー推奨です。


「じゃがのぅ、精神状態が前向きになったところで出来る事が無いんじゃよなぁ。

 儂の残滓が何処におるかなんて分かるわけもないし、行動パターンが読めるわけでもない。そもそも、なんでウロウロしとるかさえ分からん」


「ヒントが無いってわけじゃないですよ」


「おっ、何か気が付いた事があるんかえ?」


「少し話を聞いただけなので間違いかも知れませんが違和感があります。この世界が私とアリスちゃんのために作られたモノとして考えればですけど」


 思考の制約が取れた事で初めて気が付いた違和感。


「この世界って異常に固有名詞が少ないじゃないですか?これって私とアリスちゃんの思考が反映されてるんだと思うんですけど、合ってますか?」


「おぉ、たぶん、そうじゃな。儂らの意識が十分に向かない限り『名前』は与えられんはずじゃ」


「なら、私の想像で合ってます。私とアリスちゃんの両方が意識していないのに『名前』があった場所。つまり、そこは」


「なるほど!第三者が介入しておる可能性が高いという事か?!」


「ええ、たぶんですけどね」


 でも、そう考えると、この『白い場所』に初めて来た時、アリスちゃん大人版(仮)と出会ったのが意味不明なんですよね?


 実際に行った事も過ごした事も無いのに思いを馳せて『名前』まで与えた?


 何かまだ情報が足りていないような、そんな予感がします。


今週も読んでくれてありがとう!引き続きクソ忙しいので一話だけの更新です!

ちなみに、もうちょっとで終わりですよ。

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