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儂とアヤツと何処ぞの世界  作者: シマタロウ
3章:儂とアヤツと望みの形
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2-3:儂とアヤツの話 私の中身が誰であれ私は私ですし?


 お茶をしばらく楽しんでいると頭の中がスッキリしてきました。

 アリスちゃんが何処からともなく出してくれたお菓子は甘くて美味しいですし、お茶の苦味とも合いますし、心を落ち着かせる効果バッチリって感じです。


「この黒くて甘いの何って名前なんですか?」


「羊羹じゃよ。この世界には小豆が無いから普通に作る事は出来んのじゃが・・・って菓子の前に気にすべき事があるんじゃないか?」


「・・・いえ、特には」


 だって今までと何も変わりませんし?私の中身が誰であれ私は私ですし?アリスちゃんとも再開出来ましたし。それで何の問題もありませんもの。あっ、でも


「本体が死にかけって事は、この世界も私もそれほど長くは無いって事でしょうか?」


「そうそう、まずそんな感じの事を聞いて欲しかったんじゃよ」


 ニコニコ顔のアリスちゃん。良い光景です。


「結論から言えば大丈夫じゃ。サヤカ殿は極局所的な強化魔術を使って頭の働きを超加速しておる。死に向かう一瞬の時を引き延ばして夢の世界を作っておる感じじゃな」


「なるほど、なるほど。つまり、時間は十分に有りそうな感じなんですね」


「とりあえずはの。とは言え、ちと問題があるんじゃ。

 時間の加速に傾斜をかけて、この場所以外の時の流れを遅くしているうちにサクサク解決しようと思っておったわけじゃが・・・解決の前にルカが到着してもうての!」


 間に合わんかったわ!そんな事をアリスちゃんは半笑いで口走っている。


「私をほったらかしにして何をしているかと思えば、一人でそんな事を。ところで傾斜ってどれぐらいかけていたんですか?」


「大体5倍ぐらいじゃな。その間に夢の世界と黒いアヤツの管理権を手中におさめて、何やかんやしとったわけじゃ」


「ちょっと待って!5倍って事はアリスちゃんは10年以上も独りでここに?!」


「ある意味で4人って感じじゃったぞ。途中から減ってもうたけどな。それに時々ルカの様子も見ておったからの。儂は大丈夫じゃ。

 そうじゃ、そうじゃ、思い出した。魔術を使えるようになってみて、どうじゃった?楽しかったか?ずっと魔術を使えるようになりたかったんじゃろ?」


 あ、そう言えばそうでしたね。


「まぁ、楽しかったと言えば楽しかったですけど・・・」


「微妙じゃったか?」


 アリスちゃん、ショボーン。


「私は多分魔術を使いたかったというより、魔術を使って誰かと何かをしたかった、一緒の場所と時間を過ごしたかっただけだと思うんですよ。

 正直、色々な魔術が使えるようになってギルドで活躍している時より、アリスちゃんと一緒に暮らしたり宿場町で暴れたりしてた時の方がずっと・・・幸せでしたし」


 これは、きっとフヨフヨと漂うばかりの本体が思っていた事と同じ。



 魔術も真面に使えない魔法使いの出来損ない、そんな私の願い。それは私を遠巻きにする皆の輪の中に入りたかった事。ただ、それだけ。でも、それはもう叶わない。その機会は永遠に失われてしまった。なら、せめて『私と共に世界を去る事になる哀れな使い魔』を私の世界、私だけの世界に・・・



「おい、どしたんじゃ?」


「・・・大丈夫です。一瞬意識が飛んでただけです」


「それは大丈夫なんけ?」


「疲れてるだけだと思いますよ。わりと衝撃的な展開が続いてますし」


「そうかねぇ、話の内容自体はサラリと流しとるようにしか見えんかったが」


 大正解です。ですので話題転換をして誤魔化しましょう。


「ところで、こんなところに独りで籠ってまで何をしてたんですか?何か問題でも?」


「おっ、そうなんじゃ。ちょっとばかし不味い事があっての。

 まぁ、要はあれじゃ、夢の世界に取り込んでしもうた『不純物』が問題を起こしておるんじゃ。基本的には魔力が汚染されておったのと同じ事ではあるんじゃが」


「夢の中のトラブルなら後で一括で修正すれば良くないです?」


「それがのぅ、訳わからんイレギュラーのせいで夢の維持に必要な計算量が増大しとるようで」


「それは、つまり?」


「サヤカ殿が死に至るまでの時間の短縮じゃ」


「・・・えらい事じゃないですか。

 あれ?でも、さっき死ぬまでの一瞬を超引き延ばしてるって」


「そうじゃの。だからこそ外の世界の1秒の希少さが~みたいな話になるわけじゃ」


 なるほど。早めに不純物をどうにかしないと駄目なわけですね、この夢の世界を壊さないために。・・・あれ?


「素朴な疑問なのですけど、中と外の時間の流れに凄い差があるのに、アリスちゃんの主さん?奥方さん?ってどうやって干渉したんですか?」


「それは考えるだけ無駄じゃよ。あの方は儂らの理解の外におる。なんだって出来るし、何をしてくるか分からん。

 それこそ、ここにひょっこり顔を出したとしても儂は驚きもせんよ」


「はぁ、そうですか」


 世の中には理解を超越した領域もあるんですねぇ。私はアリスちゃんの事も大概だと思ってますけど。


「でも、そんなに凄い人なら不純物とやらの掃除もしていってくれたら良かったのに?」


 夢の世界の再構築を行ってくれたのなら初回メンテも合わせてお願いしたかったです。


「あー、それなんじゃけど・・・」


 おや、アリスちゃんの様子がおかしいですぞ?なんで急にオドオド?


「実はの、不純物って儂の本体の残りカスでの?たぶん外から見ても区別が付かないって言うかなんというか」


 は?


「しかも夢の世界を稼働させる魔力源でもあるから、美味い事コントールしてあげんといかん、みたいな?感じでの?」


 ふむふむ。状況が理解出来ました。


「ついで言えば、儂が接触を図った途端に逃げ出してしもうての。今は世界の何処に隠れておるかも分からん状態なんじゃ」


 ハハハ、困ったもんじゃのぅ・・・


 アリスちゃんのテンションが地に落ちている。


 ネタバレは大した事が無かったですけど、足元の問題はヤバいっすね。



今日も読んでくれてありがとう!8日連続の投稿ですよ!!明日もたぶん書けると思うからよろしくね!

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