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儂とアヤツと何処ぞの世界  作者: シマタロウ
3章:儂とアヤツと望みの形
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1-7:アヤツとアヤツの夢 高難度の戦い


 ボス戦でも基本的な戦略はいつもと同じ。テンプレ戦法はテンプレになるだけの理由があるのだから。


 大きな黒い鎧姿の何かに向け副長が全速で突撃を行った。


 複数の敵であれば前衛部隊が足並みを揃えてぶつかる、単独の場合は機動力のある副長が襲い掛かっているうちに、他の隊員で包囲し動きの幅を抑えにかかる。それがこの攻略部隊の戦闘方法のテンプレ。


 人数は随分と減っちゃってますけど、後方から大砲をぶっぱする役割は私一人だけでもどうにかなりますからね。十分に使える戦法です。


 そんな事を考えているうちに副長さんは黒いのに接敵。


 直線の瞬間スピードなら今の私にも匹敵しそうなぐらいの速攻です。これこそが彼女が男ばかりの攻略部隊で副長という役割を背負っている理由。誰よりも速く敵に喰らい付き、その動きを抑え、戦い方を曝け出させる。確固たる実力のある熟練にしか出来ない役割。


 ちなみに59層目までのセオリーに従い私が用意しているのは電撃の魔術です。あの黒い鎧はどう見ても機械系では無いのですが、一応ここまでの流れを踏襲するという事で。副長が隙を作ってくれれば一発ぶち込む予定です。


 うまく行くと良いのですけど。


 黒いのは副長さんのチャージを紙一重で躱し、続く肘やら石突きやらの連撃で小突かれている最中です。


 ・・・抑えている、と言えばその通りなのですが


 見た目の損傷度合いのわりに黒い鎧の動きが良いように思えます。

 力強さや速さは無いものの、最小限の動きで必要十分な成果を出すベテランの戦士のような?


 その時


「クソがぁぁぁぁ!」


 突然の副長の叫び。

 何かがひしゃげる鈍い音。

 そして硬い地面を打ち鳴らす黒い鎧の激しすぎる踏み込み。


 私が咄嗟に出来たのは蹴り飛ばされた副長を受け止める事だけ。流石に前衛部隊のカバーまでは無理でした。残念ながら彼らが黒い鎧の縦横無尽の槍裁きで蹴散らされるのを見ているだけ。


 そう、黒い鎧は副長の槍を奪って戦っています。よく考えれば当たり前。自分の得物がダメにされているなら敵のを奪えば良いだけなのだから。


 これはアリスちゃんの設定ミスでしょうね。攻略難度急上昇です。


 それはそれとして副長の腕を治療してあげましょう。出来るのは止血ぐらいのものですが。私の魔術では肘から下を千切られた腕を復活させるとか無理ですもの。


 にしても副長は利き手である右腕を失い、前衛部隊は総崩れ。要するにラスボス戦は『予定通りに』一対一で戦うしか無いという事ですか。


「・・・すまない。少しぐらいは役に立てるかと思っていたんだが。思い上がりだった」


「仕方ないですよ。あれは相手が悪かったですって」


 とりあえず発動待機状態のまま放置していた電撃の魔術をホイッと。


 空気が弾け、雷光が煌めき、黒い鎧が何かを打ち払って、うん、それだけです。遠距離攻撃は無駄ですね。


「じゃ、頑張って逃げて下さいな、余裕があれば前衛の人達も拾って。私も出来る限り遠くの方に釣ってみますから」


「すまない」


 さて、今からが本番です。


 私の魔術を受けて黒い鎧は絶賛警戒中。まぁ、攻めるにしても遠距離攻撃や搦手はきっと通用しないのでしょうね。


 愛用の槍を除き全ての荷物をその場に捨てる、空間魔術に入れていた物も全て。


 徹底的に身軽に、魔力のキャパも全て戦闘に回せるように。


 最初から強化魔術を全開にする。全身と槍にも魔力を循環させスペックの底上げを図る。


 きっと無茶な戦力差では無いはず。いえ、もっとハッキリ言えばクリア出来るレベルに調整されているはず。

 懸念点と言えば黒い鎧が副長の槍を手に入れてしまった事・・・折れた剣から槍に代わった事で何処まで戦力が向上したのか。


 その確認のためにも先手を取る。強化された脚力で黒い鎧に向け大きく踏み込んだ。


 意識が加速し過ぎて身体の動きが重い。粘つく空気に抑えつけられているかのような違和感を覚えながらも距離を詰める。


 最初の攻撃は槍の強みを活かしたチャージ。


 今までの様子を見る限りではスピードは私が上、戦闘技能では恐らく黒い鎧が上。だから私がスマートに勝つには速攻を仕掛けるしか無い。


 瞬く間に黒い鎧との距離が縮む。それは加速した意識でも一瞬の事。


 槍を前へ構え、全身を捻り、力を溜める。


 集中し過ぎた意識が世界の解像度を上げる。

 音が消え、視界が極端に狭まり、自分と黒い鎧の動き以外の全てが思考から消えた。


 行ける。


 そう確信しながら全身の運動エネルギーの全てを槍に込め突き出した。


 これは既に私の知っている距離。外す事など有り得ない。


 音が消えた世界の中、蒼い魔力の光をまとった槍が黒い鎧に吸い込まれるように・・・


 違和感があった。


 なぜ黒い鎧は何の反応もしない?私の速度に付いてこれなかった?さっきは副長を簡単にあしらって武器まで奪えたのに?


 そんな疑問は次の瞬間に氷解した。黒い鎧は私の槍を欠損した左腕で受けようとしている。これは・・・肘から先を失い戦力にならない左腕を有効活用する気だ。


 だが今更気が付いても遅い。

 

 加速し切った私の槍は黒い鎧の左肩へと吸い込まれ、そして予定調和であったかのように絡めとられ、私の手から奪われた。


 黒い鎧の上半身を捩じる動きに合わせ、後方へと放り投げられる私の槍。


 恐らくは左肩に魔術で細工をして刺さった槍が抜けないようにしていたのでしょう・・・まさか初手から捨て身で来るとは。


「・・・魔術戦は得意じゃないんですけどね」


 速攻で武器を奪いに来るとか、アリスちゃん、難易度設定マジで間違えたでしょ?



今日も読んでくれてありがとう!サクサク進むね!毎日投稿が続けば、もうすぐで最後半ですよ!(さぁ、毎日続くかな?どうかな?)

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