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儂とアヤツと何処ぞの世界  作者: シマタロウ
3章:儂とアヤツと望みの形
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1-6:アヤツとアヤツの夢 これが最後の機会だとしても



 階段を降りるたびに攻略部隊の人数が減って行く。

 55層の中ボス以降は大した敵は出て来ていない。

 でも、溜まった疲労が、折れた心が、皆の足を引っ張っている。


 後衛の魔術師が援護射撃のタイミングを間違え攻撃の機会を棒に振る。前衛が敵の攻撃を支えきれず紙防御の後衛が蹴散らされる。


 端的に言えば、そんなバカげたミスの繰り返し。


 でも、それでも、攻略は進む。


「じゃ、少し休憩したら次の階層に降りますよ。今までと同じように負傷した人は申し訳ないけど自力の帰還でよろしく」


 結局は私だけがいれば攻略は進む。最後のボスでは苦戦するのだろうけど、それまでは難度的に詰む事は無い。だって、ここは『そんな風に作られている』のだから。


 周囲を置き去りにするかのようにして59層までを駆け抜けて来た。本来なら途中で一晩休憩を挟むべきかとも思ったけど、それすら省略してのスピード攻略。


 だって、ここまで来てるのだもの。あと少しなんだもの。


 そんな事を考えていると、ふらりと副長が寄って来た。思い詰めたような疲れた顔で。


「なぁ、隊長、もう残すは最後の階層だけだ。どうせ55層目みたいな大型のボスがいるに決まってる。

 だからさ、最後の休憩は長めにしてもらって良いか?そろそろ仮眠も入れてやらないとアイツらだって」


 表情を曇らせている副長の目線、その先にはへたり込む前衛部隊の面々。

 面々と言っても、ここまで付いてこられたのは残念ながら6名だけ。

 既に後方部隊は全員戦闘不能か撤退済みなので比較すれば優秀と言えない事も・・・


「そうですね。物資はまだありますし、食事と仮眠を取ってからにしましょうか。

 あと一階層だけですから、そこまで急がなくても大丈夫としましょうか」


「おぉ!そうか!ありがとう!隊長!!アイツらも喜ぶよ!」


 そう言うなり副長は隊員の元へと駆けて行った。

 この攻略の間に私は皆から随分と距離を置かれてしまいましたが、副長は逆に信頼を集めたようです。


 私の人望の無さか、それとも死地に追い込んでいく私の立場のせいか。


 まぁ、たぶん前者でしょうね。王都ダンジョン、つまり世界の底に近づいてしまえば、私にだって感じるものはありますもの。流石に今の状態では普通に探索を楽しむ事も仲間の事を思いやる事も出来そうにありません。


 これもアリスちゃんのところに到着するまでの話だとは思うのですが・・・問題は『この影響』が『いつから』『何処まで』及んでいるかという事で・・・場合によっては・・・


 自分でも意味を明確にする事が出来ない思索に耽りながら貯め込んでいた物資をパラパラと解放して行く。


 とりあえず、最後の食事は煮込みにしましょうか。煮込んだ物を鍋ごと謎空間に放り込んであるので温めるだけで食べられますし。


 簡易煮炊きセットをドーン、燃料をドーン、そして最後に鍋をドーンと出して魔術で着火して終了です。


 このダンジョンは全体的に妙に寒いですから温かい物は最高でしょう。


 作業は無言でテキパキとやったのですけど、何故でしょうか?皆さん少し驚いた顔。



 おぉ、スゲェ、隊長ありがとう



 誰かが呟く声が聴こえた。そう言えば、このダンジョンに入ってからは食事の用意とかしてませんでしたね。外でギルドの人達と動いていた時はよくしてたのに。


 ・・・ついでですし、お米も炊いてみますか。アリスちゃん程には上手に出来ないと思うけど。


「手伝いますよ、俺も野外での活動には慣れてるんで」


「そう、ありがとう」


 皆で作って皆で食べる食事は実に美味しいものでした、そう言えば。


 そんな気持ちを思い出させてくれた事には感謝しないといけませんね、これが最後の機会だとしても。


 食事と仮眠を取り、全員の用意が終わった事を確認し、私達は50層目への階段を降り始めた。


 それは壊れた建物の中にある普通の階段だった。最終階層へ至る道だからといって装飾があるわけでもなく、ただシンプルで質素で暗がりへと続くだけの長い階段。


 そして・・・


「あー、なるほど。こんな演出ですか」


 いつの間にか到着した50層目は、まるで円形闘技場のよう。何の障害物もなく、無数の観客席に囲まれた巨大な広場、そのど真ん中に私達は唐突に出現していた。


 空は曇天で薄暗く、無人で不気味な変な場所。


 そんな場所にいるのは私と副長、それに盾を持った近接部隊が6人だけ。


 相対するのは・・・・


 いつぞやに出会った黒い鎧姿の何物か。


 宙から滲み出て来たかのように、異常な存在感を持つ巨体が音も無く現れた。


「なるほど、これが最終試験ってわけですかね?」


 黒い鎧は登場時点で既にあちこちを欠けさせていた。左腕は無いし、右腕に持つ刀も半ばからポッキリ折れている。全身満遍なくベコベコで、何と言うか満身創痍。


 これぐらいが私には丁度良いって事なのでしょうね?アリスちゃんから見れば。


 ・・・まぁ、期待に応えられるようには頑張らさせてもらいますよ。


今週も読んでくれてありがとう!お盆休みです!休みです!やっと真面に時間が取れますよ!!

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