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儂とアヤツと何処ぞの世界  作者: シマタロウ
3章:儂とアヤツと望みの形
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1-4:アヤツとアヤツの夢 意図が分からないんですよね、意図が



「■■■ッ■■■■!!!」 


 奇声かあるいは機械の動作音か、よく分からない音が私達の陣地に響き渡る。


「退けぇ!!」


 副長が長い髪を靡かせ必死の形相で遠くで叫ぶ。。


 でも、退けと言われたところで簡単に退けるはずも無いんですよ。


 だって相手はこちらの想定を上回る挙動で後衛にまで攻め込んで来ているのですから。


 この45層目のボスは機械で出来た巨大ムカデ。全長は馬車4つか5つ分?それぐらいに非常識な大きさの金属ムカデ。

 私達は遠目にその存在を確認し、基本的な戦術、つまり『前衛が抑えて後衛が後ろから撃つ』そんな当たり前の戦法で攻略を開始する事にした。


 その結果がコレ。


 前衛部隊と斬り結んでいる最中、ムカデはさしたる兆候もなく唐突に地に潜った。


 黒くて硬くて穴を掘る事なんて真面に出来るはずもない地面、そんな中へと一瞬で姿を消し、距離を無視したかのように唐突に後方へと現れた。

 まずは魔術師部隊を食い荒らし、続いて非戦闘員と補給物資が瞬く間に破壊された。


 とんだ番狂わせ。まるで「後ろから大砲を撃ってるだけじゃ、オヌシもつまらんじゃろ?」そんな事を言われているみたい。


 逃げ惑う人の群れの中、私は独り。


 私の性能を考えるなら、私は『前』にいるべき。でも、色々なしがらみのせいで、私はムカデが与し易いと判断した後方集団の中にいた、最大火力である大砲役として。



 これは、ある意味では幸いな事



 私は槍を構え、そして全身に魔力を通す。


 ぐるりぐるりと循環する魔力が私の身体を変質させる。


 逃げ惑う人達を蹂躙していたムカデが私の存在に気付く。


「■■■■■■■■■!!」


 異音と共に迫る金属製の咢。大きな口腔が私を飲み込もうと迫り来る。


 大量の足がある事に加え、魔力か何かを推進力にする事でムカデは見た目のイメージに反し異常な加速力を獲得している。それこそ近接部隊のメンバーでギリギリ対応出来るかどうかぐらいには速い。


 でも、まぁ・・・


 正直、全然大した事、無いんですよね。

 

 アリスちゃんと一緒に退治した30層のボスだって、もっとスピード感ありましたし。


 魔力で強化した穂先でムカデの顔面を斜めに大きく切り裂き、その勢いのままムカデの左側へと数歩踏み込んだ。


 斬撃の衝撃で怯むムカデ。その顔面に溜め無しの雷撃魔術。

 軽く閃光が煌めき、ムカデが大きく仰け反った。

 機械系の相手には相変わらず良く効く事。

 ・・・これ、攻略のための糸口って事なのでしょうね。


 斬撃と雷撃に怯み、地面へ倒れ込もうとするムカデ。倒れ込む。つまり、それは身体を無防備に敵へと晒す事に他ならないわけで。


 槍を正面へと構え、上半身を大きく捻る。それこそ半ば後ろを向くぐらいに思いっきり。


 一瞬だけ力を溜め、そして解き放つ。


 引き戻した上半身。更に前方へと踏み込んだ下半身。そして、何より瞬間的にバカみたいに出力を高めた強化魔術。


 全ての力を槍の最大の攻撃であるチャージに込める。


 力を解き放った瞬間は世界から音さえ消えたようだった。まるで速すぎる槍の動きが全てを置き去りにしたみたいに。


 そして、その結果、さして手応えさえなくムカデの横っ腹に穴が空いていた。

 いえ、より正確にはムカデは頭の少し下あたりから千切れ飛んでますね。


 やっぱりね。見た目は怖いけどボスキャラとは大違い。全然大したこと無い。


 轟音とともに硬い地面に落下し痙攣するムカデの下半分。そして・・・頭と極一部の身体だけで私に飛び掛かって来るムカデ?!


「あぁ、もう!!」


 謎の苛立ちと共に槍を大きく振り払う。


 平常心を欠いた槍の一撃はムカデを打つも切り裂くには至らない。

 軌道は少しずれたが、ムカデの首は宙を舞い私に向け元気に突き進む。


「ちっ!」


 本格的に集中し感覚を加速させる。世界の解像度が上がり、時の流れが遅くなり、思考がクリアになった。


 ムカデの首の動きが分かる。どう動きたいかも、何処を潰せば良いのかも。

 正解さえ分かれば、こんなの全然大した敵じゃない。


 ムカデが私の間合いに入る手前、少しタイミングをずらすようにして一歩軽く踏み込み、そして槍を掬い上げるように振り抜いた。


 それで終わり。ちょっと本気でやれば、この程度。


 力を無くしたムカデの頭が落下し地面を削りながら転がって行った。

 最後の一押しをしただけではあるのだけど・・・ここまで滅茶苦茶をやってくれた敵の最後としては呆気ない。


 そんな事を考えながら私は槍の汚れを簡単に拭き取り、戦闘の後片付けを始めた。まだ5階層もありますから。片付けと用意はちゃんとしておかないと。


「・・・おい、隊長。大丈夫・・・なのか?」


「あら、副長、そちらこそ大丈夫ですか?随分と苦戦してたようですけど」


「あぁ、わたし達は大丈夫だ。いや、それより後方部隊の損耗が酷い。どうする?」


 どうする??


「あぁ、物資なら私の空間魔術に格納してある物が沢山あるので大丈夫ですよ」


 あと5層ぐらいなら余裕でしょうね。50層のボスまで、また普通の敵しか出て来ないのでしょうし。


「・・・続ければ更に損耗が出るぞ。それに既に戦闘要員以外に」


「先に地上に帰ってもらいましょう。何人か警護を付けても良いですし」


 この程度の障害で止まる事に意味は無いですもの。


「・・・分かった。それで動く」


 副長さんは少しご機嫌斜めです。まぁ、無理を言って付いて来たのに、このざまではね。


「それにしても、アリスちゃんは何故こんな事をしているのでしょうか?ここまで来れば、私にもなんとなく仕込みの内容は分かりますけど・・・」


 意図が分からないんですよね、意図が。


今週も読んでくれてありがとう!サクサク進むよサクサク!!

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