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儂とアヤツと何処ぞの世界  作者: シマタロウ
2章:儂とアヤツと世界の仕組み
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2-10:儂とアヤツと地下迷宮 私の初めての探索


 階段を降りた先は真っ白な場所でした。


「着いたぞ。ここが今回の儂たちの目的地、王都ダンジョンの最下層『兼』世界の外との境目じゃ」


 外?境目???


「そして、アレが魔力に混ざる汚染の原因。この世界にとっての異物。その本体じゃ」


 アリスちゃんが真っ白な世界の何処かを指し示す。


「・・・ねぇ、アリスちゃん。頭がおかしくなりそうに真っ白な世界が広がるばかりで何も無いのですけど」


「・・・・・・」


「アリスちゃんってば」


「すまん。忘れておった。ピント合わせもせんと見る事が出来るのは儂だけじゃった」 


 あら、珍しい。アリスちゃんが照れてます。


「えぇい!ニマニマするでないわ!儂じゃってポカをする事ぐらいあるんじゃ!」


 あぁ、クソ、シリアスな雰囲気が台無しになってもうたわ、そんな事を呟きながらアリスちゃんは何かの魔術を組み立てています。


「・・・あー、ここで時間をかけるのも何じゃし、簡単に視界をハックするだけにしとくぞ。とりあえず見えたら話を進める事は出来るし」


 ああして、こうして・・・こんな感じかの?


 そして目の前にチラつく金色の光。


「その光を通して見れば、この世界上には無いはずの物が見えるようになるぞ。効果時間は一時間も無いじゃろうし、ピントが正確に合うわけでも無いがの」


 なるほど。アリスちゃんの言う事は相変わらず良く分かりませんね。


「では、儂の右手の方向をご覧下され。素早く動くと視界が追従し切れないので出来る限りゆっくりの動きでよろしゅう」


 言葉に従い身体ごとのんびり旋回し、アリスちゃんが指す方に視界を向ける・・・けど何も見えない。


「じっと目を凝らす感じじゃ。そうすれば、焦点を当てられるようになる・・・はずじゃ、たぶん」


 なんか曖昧ですね?あー、でも、そう言えば何かが見えて来たような?そうでも無いような?

 真っ白な世界に薄っすらとシミがあるような?無いような?


「・・・ヒント無しでは辛いもんなんかの?儂も初めての術式なんで分からんのじゃが。

 あれじゃ、うまく行った場合は『人の姿』が見えるはずなんじゃよ。背が高くてスラッとしてて、そして莫大な魔力を秘めていて」



 どうじゃ?見えたかの?



「あ、あれは・・・あれは何?」


「本来の儂の姿じゃ。まぁ、つまりは幼女に変身する前の儂じゃな。なかなかに綺麗なもんじゃろ?

 恐らくは、この世界に引き込まれた際に『何らかの原因』で境目に引っ掛かったんじゃろうな。大部分の力と肉体本体を『外』において、わずかな力と精神のみが『この世界』に取り込まれたと。

 そして不運な事に、この世界の魔術は『外』から力を引っ張り込んで燃料にしておったわけじゃ。世界の境目に儂の身体が引っ掛かっておる以上、儂の要素が取り込んだ力に混ざる事は避けようが無い。それが汚染の正体と言うわけじゃな」


「・・・違う。そうじゃ無くて」


 あれがアリスちゃんなのは何となく分かる。あんな綺麗な金色の髪、見間違えるはずなんて無いですもの。だから、私が言っているのは・・・


「あれは、あの黒い鎧は何?

 アリスちゃんの後ろにいる大きな鎧姿は」


「なんじゃと?!」


 そう言うや否やアリスちゃんが私の頭を鷲掴みする。


「同調させてもらうぞ!お主の視界が捉えている層と同じところを儂の視界にも映るように。少し乱暴じゃが我慢しとくれ!」


 揺れる視界。明滅する光。そして・・・


「あれは奥方の・・・奥方の使い魔?何故じゃ?儂をここに放り込んだのはアレか?じゃが、一体何のために?」


 黒い鎧姿の何かは彫像か何かのように微動だにしない。


「ねぇ、アリスちゃん。私、少しも事情が分からないのだけど、あの黒いのが、アレが魔術をおかしくているの?アリスちゃんの本当の身体を、ここに抑えつけているから?

 それに・・・あの後ろの女の人は・・・」


 俯くアリスちゃんの本当の身体、その後ろに立つ黒い鎧姿の何か。


 そして・・・少し離れたところにいる・・・あれは・・・あの女の人は・・・


「おい、ちょっと待ってくれ、ルカ。お主、まだ他に誰かの姿が見えておるのか?!」


 え?いるじゃないですか?あそこに疲れた様子の人が。

 アリスちゃんの方をじっと見つめていて。

 真っ白な世界の中、あの人の周りだけ妙にくすんで汚れていて。

 それなのにアリスちゃんの事を熱心に見つめていて。


「・・・まさか?!ルカ!見るな!そやつを視界に入れるな!見てはならん!」


 くすんだ女の人が顔をこちらに向けた。


 たぶん、私が見ていた事に気が付いたんだ。

 

 何故か私はそんな風に確信した。


 黒い髪に隠された彼女の目線、それが私の事を捉えた。


 顔はよく見えないけど知っている。


 私は彼女の事をよく知っている。


 だって、私は・・・私は彼女の・・・



 そこで、唐突に私の探索は終わった。



 私は意識を失った状態で王都の広場に倒れていたそうだ。


 私には何の記憶も無い。50層の下の真っ白な空間で何が起こったのか、私は何も分かっていない。


 でも、王都の人達は魔術を取り戻していた。私とアリスちゃんの探索の結果、全ては元通りになっていた。


 私は何も分かっていないのに。


 そして、肝心のアリスちゃんは今も戻って来ていない。ギルドにも役所にも私達の店にも現れていない。


 きっと彼女がどうにかしてくれたのに。


 それなのに、彼女はここにいない。

 取り戻した日常の中に彼女はいない。


 だから私は迎えに行く事にした。


 今も彼女はあそこにいるのだろう、何処か懐かしい気配のする真っ白なあの場所に。


 ここからが私の初めての探索。


 自分の力で、自分の目的のために、私はダンジョンを攻略する。


 私が自分でそう決めたから。






儂とアヤツと世界の仕組み 完

今週も読んでくれてありがとう!2章はこれで終わりですよ!一区切り一区切り。3章もよろしくね!

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