2-8:儂とアヤツと地下迷宮 ライブ感が与えてくれるもんってバカに出来んのじゃぞー
ログハウスに屋外炊事場が増設されました。
「ええの!実にええの!仕事から解放された後の料理は最高じゃ!保存しとる分はまだまだあるが、やっぱ自分で作った出来立ての料理を食わんと調子が出んからの!」
大きな丸い鉄の鍋を振り回しながらアリスちゃんはご満悦。
「これじゃ!この火力じゃ!!強い火が無いと!温度差が無いと!美味いチャーハンは出来んのじゃ!
分かるか、ルカよ!我が弟子よ!食感は強火で無いと手に入らんが、味は冷えた時こそ米に馴染むんじゃ!それを両立させるための手法こそがコレじゃ!!」
鍋が振るわれ、米が宙を舞う。
小さな女の子が鉄の重い鍋を振り回しまくっている不思議な光景。
「うん、アリスちゃんは凄いですね」
「そうじゃろ!そうじゃろ!!褒めてくれ!儂をもっと褒めてくれ!!」
やっぱりストレスと疲れでちょっとおかしくなってるじゃないですか。可哀想に。・・・私が賞賛する事で少しでも楽になるのなら。
「こんな訳の分からない状態のダンジョンを攻略するなんて凄いです。普通の人なら勝てるはずも無いボスを倒して、挙句の果てにはボスも敵も存在しないフロアを塗りつぶしてスキップしちゃうなんてアリスちゃん以外の誰にも出来なかったと思います。まさに偉業です。きっと戻ったら王都の人達みんなで歓迎のパレードですよ。楽しみですね!」
「・・・あぁ、うん、そうじゃな」
あれ?!リアクション薄いですね???
「まぁ、あれじゃ、儂が魔術に詳しいのは当たり前じゃし、この程度の障害なら主殿と奥方がおれば一瞬で何もかもぶっ壊して解決しとるはずでな。なんとか出来たは出来たんじゃが、時間がかかり過ぎたのは大きなマイナスポイントじゃって事は自覚があるわけで、とりあえず料理を褒めて欲しいんじゃ」
苦笑いを浮かべながら鍋の中身を皿に移してくれるネガティブな感じのアリスちゃん。
まぁ、それはそれとして、香ばしく柔らかな香りが食欲をくすぐります。
「凄いですね!保存してあるのも状態が悪くなっているわけでは無いのに、やっぱり出来立ては何かが違います!」
「そじゃろー。ライブ感が与えてくれるもんってバカに出来んのじゃぞー?ほれ、温かいうちに頂こうぞ?」
アリスちゃんが作ってくれた料理は大変美味しかったです。それこそダンジョンの中で作られたとは思えない程に。そして、そんな事を少し大げさに伝えているとアリスちゃんの様子はいつも通りに戻りました。
これだけの仕事を成し遂げたってのに、どこに卑屈になる要素があったのか私にはちっとも分かりません。不思議な人です。
で、その日はゆっくりお風呂に入ってグッスリ眠って営業終了です。ええ、他には何もしませんでした。
ひょっとしたら明日で全てが終わるかも知れないから。
もしかすると王都で起こった異変の原因を明日中に突き止める事が出来るかも知れないから。
だから今日は最後の休息です。
きっとスムーズに何もかもが終わる事なんて無いでしょうけど。きっと、まだ最後に何かがあるのでしょうけど。
でも、だからこそ今日だけはゆっくりとアリスちゃんを寝かせてあげたくて。
彼女が行ったのは40階層目を30階層目の要素で塗りつぶす事。敵もボスも無く、ただフロアだけがあった40層だからこそ出来た裏技。
アリスちゃん曰く、ダンジョンの仕組み上、空白だった40層を30層ボス(絶賛氷漬け)の管理下に置いたとの事。
そして40層目に手が届いたという事は、そこから更に50層目へと手を伸ばせるという事。
そうです。もう既に50層目への道筋は確保出来ています。後はもう行くだけ。
ちなみに残念ながら50層の様子をここから見る事は叶いませんでした。アリスちゃんによると、最終層だけあって『今までとは構造が違う』らしいです。私には分かりませんでしたが『ルールどころか言語が違う』と、そんな事をストレス全開のお顔で呟いていました。
「でも、十分じゃないですか」
まるで子供のように眠るアリスちゃんを見ていたら私はそうとしか思えません。
元々ダンジョンなんて探検なんて未知とぶつかるのが当たり前なんです。むしろ、それを望んでいる節すらあるのが実態なんです。
だから『先の事が不明瞭』なんて気に病む要素じゃ無いんです。当たり前の事なんです。
それに・・・50層目に着けば、それで全て分かってしまうはずなんだから。
今日も読んでくれてありがとう!時間無くてマジでヤバいっすね!でも書いたよ!明日はどうかなぁ?まだ分かんないや。




