2-4:儂とアヤツと地下迷宮 落下攻撃って何ですか?
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今日もゴトゴト荷馬車が揺れる。
いえ、荷馬車じゃありません。馬車でした。・・・馬じゃないからゴーレム車?ゴーレム神輿?まぁ、そんな感じの不思議なサムシングです。ちなみに呼び名がどうあれ私が荷物という事に変わりは有りません。
「ねぇ、アリスちゃん、30層のボスは見つかりましたか?」
「いんや、今のところ全然反応無いの。20層のはデカい蛇じゃったから痕跡があちこちに残っておって追跡も簡単だったのじゃが・・・ここのボスは自分の巣でジッと待ち構えているタイプなのやも知れんの」
「なるほど。階段前でジッとしているタイプですね」
「このフロア自体が山登り体験型のステージになっておる事から考えると、恐らくは山頂におるんじゃろうな。儂らは神輿に乗っておるから楽々じゃけど、荷物を背負うて山登りした後にボス戦開始とか、そりゃもう滅茶苦茶しんどいじゃろうな」
「クリアさせる気ないでしょ?って感じですよね」
「ホンマの」
山のそこそこ急な斜面でもグイグイ昇って行くゴーレム神輿、これが無ければ私達も攻略は無理だったでしょう。有難きはアリスちゃんの謎技術です。
でも、よく考えると
「このダンジョンって地下?から力を汲み上げるための通路?か井戸?みたいなものなんですよね?だとしたらクリア出来ないように作られてるのかも?
ここが消えたら王都から魔力が無くなっちゃうんですよね?」
「・・・・・・」
アリスちゃんが珍しく真剣な顔、まるで新メニューの試作をしている時のような。
「そうじゃな。言われたら、その通りじゃ。万全の状態となった王都ダンジョンはクリアされてしまうわけにはいかんのじゃ。
10層は単純な力押し、20層は本来なら足場の悪さが探索者の力を削ぐ構図。なら30層はなんじゃ?山登りをした後に何が出て来るのが不味い?何で儂らの力を削ごうとしてくるんじゃ?・・・ちと待てよ。そろそろ山頂も近いと言うのに何故ボスの姿を捉える事が出来ておらんのじゃ?」
あぁ、嫌な予感がしますね。頭の良いアリスちゃんの懸念が当たらないはずが無いんですよ。
取り急ぎ余裕をかまして楽しんでいた焼き菓子を箱に戻しておきましょう。慌てて食べるのも勿体ないですし、引っ繰り返したら嫌ですし。もちろん、床に落とした程度で捨てたりはしませんけど。
「・・・そうじゃ。ドローンの索敵範囲に問題があるんじゃ。次層への階段と周囲を探るために見下ろして探索しておるが、もしや」
アリスちゃんは深刻なお顔をしながら中空に手をシュパシュパと走らせています。
きっと私の目には見えない何かを確認しつつ、あの白くて変な飛んでいる物の操作をしているのでしょう。
あぁ、そうですね。一応家具類も壁の方に寄せておきますか。敷物と座卓ぐらいしか出していないですが、もし何かあれば・・・
「クソ!やはり上じゃったか!」
叫ぶアリスちゃんを尻目に、私はスライディングで彼女の足元へと飛び込みます。
ほら、自力で未知の脅威から身を守れるなんて思ってないですから。
破れる神輿の天井。飛び込んでくる赤色の何かと、それを受け止めるアリスちゃんの障壁。
少し前まで平穏だった神輿の中が破砕音と点滅を繰り返す障壁の光で満たされています。
そして、アリスちゃんの障壁を揺るがす程の力を『赤い何か』が発揮しているという事は
「歯を食いしばれぇ!落ちるぞ!!」
障壁が床板を砕き、私達はあえなく落下です。
そらそうですよ。土台はゴーレム三体ですけど、神輿部分はダンジョン産とは言え普通に木製なんですもの。
意識を加速させ落下ダメージのコントロールをしようと思いましたが、そこはアリスちゃんの方が先手でした。
気が付いたら首根っこを掴まれてアリスちゃんと一緒に横っ飛び。
高速で揺れ動く視界に写るのは極彩色で流線形の何かが神輿を粉砕して行く様子。
神輿の壁をぶち破りアリスちゃんは外へと緊急避難。私は未だ彼女の手にぶら下げられたお荷物状態。
いえね。ちょっとは強くなったつもりですけど、いきなりの怪獣大決戦みたいなのには付いて行けませんって。
「高高度からの落下攻撃か。このフロアは横では無く縦に広がっておったと、そう言うわけか」
もう探索とか、そんなレベルじゃないですよね、それ。高高度からとか、どうしようもないじゃないですか?
それに天から降って来た何者かのビジュアルも変ですし。真っ赤とか紫とかで目がチカチカします。
そして思考停止中の私が眺めているうちにサイケデリックカラーな流線形の卵がヒュッと細長く変形し、スルリと解け、なんだか虫の羽みたいなのが何枚も生えた意味不明な物に成り果てました。
もう全然意味分かんないです。元の卵は私と同じぐらいの大きさだったのに、開くと何倍もの巨体になってますし。
「いかん?!羽ばたく気か?!あのナリで飛べるとか反則じゃろ?!
行くぞ!ルカよ!!アヤツを飛ばすな!流石の儂も落下攻撃を何回も防ぐとか無理じゃからの!」
「え?!アッ、はい!!」
私はいつの間にか手の中に現れていた槍を握り条件反射で返事をした。
何をしたら良いのかさえ分からないけど、魔術で投影した槍を持たせてくれたって事は、私にも仕事があるって事だから。
今日も読んでくれてありがとう!30層のボスのイメージは例のアレですね。フィールドを全開で受け止めるやつです。サラッと行きますけど。




