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儂とアヤツと何処ぞの世界  作者: シマタロウ
2章:儂とアヤツと世界の仕組み
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2-2:儂とアヤツと地下迷宮 場合によっては順延じゃ!


「今日も快晴ですね」


「ダンジョンの中じゃけどな」


「意味分かんないから晴れって事にしましょうよ」


「そじゃな。ダンジョンの事は儂でも少し考えた程度ではよー分からんしの・・・あー、にしても眠いわ。なんか少し気が抜けたやも知れん」


「まだ入って2日目の朝なのに?」


「そりゃのぅ、解析はしとったが、のんびり飯を食べて、早めに寝て、ゆっくり起きて、綺麗な空を二人で眺めて・・・これほぼ休暇じゃろ?乱れた王都からの逃避行じゃ」


「ですね」


 少し戦闘もしましたけど、それも30秒ぐらいの出来事ですし。


「とりあえず身支度と朝飯の用意でもするかの。と言っても、今日は空間収納に放り込んだ出来合いの物じゃけどな。混乱に陥っとる最中の王都産だから品質には期待出来んやも知れんが」


 常日頃から買い込んでおくべきじゃった、そんな事を呟きながらもアリスちゃんは洗面用具をポコポコと生み出していきます。収納にしろ、物を作る魔術にしろ、相変わらず便利過ぎるにも程があります。ギルドの仕事とかは抜きにしても、いつか私も使えるようになりたいところです。


 そして私達は不自然に焼き立てなパンと謎に瑞々しい果物の朝食を済ませ、今日のお仕事に取り掛かりました。


 アリスちゃんは氷の塊みたいになった岩巨人の前で宙に浮いた板に表示される大量の文字を見ながら何か難しい事をやっています。その一方で私は・・・


「そいや!!」


 昨日に続き氷砕きを頑張ってます。予備の剣を魔力で強化しカンカン氷を叩くだけの簡単なお仕事です。


「力任せにやるんじゃのうて、封印に流れておる魔力の流れに沿って叩くんじゃぞー。ええ練習になるから頑張れー」


「はーい」


 時間があるし修行の一環って事なのでしょうね。暇だから探検してきます!とかより随分と良いですけど、単調な作業の繰り返しで少し大変です。

 そもそも私には魔力の流れって言うのがよく分からないんですよね。なんとなく感じるものはあるんですけど、明確じゃない、あるような無いような、みたいな。


 頭を捻り、目を凝らしつつ、氷を叩く。


 綺麗な青空の下、カーンカーンと氷を打つ音だけが響き続ける。

 

 ふと思ったのですが、こんなに綺麗で自然そのものな場所なのに動物とか虫って全然いないんですね。なぜでしょうか?


 そんな事を昼食時にアリスちゃんに聞いてみたところ


「恐らくは作成者の想像力の限界じゃの。この異界は儂のおった世界を元に想像された環境っぽいんじゃ。それこそ儂にとっては植生すら馴染みのある感じじゃの。

 じゃが、見た目だけなんじゃ。季節設定も曖昧じゃし、それを支える小さな生き物も存在せん。資料かイメージから起こしただけの上っ面の世界。それがこの異界じゃの。

 ま、虫やら何やらが存在せんのは快適で良いし、清浄化の魔術と合わせると綺麗なキャンプみたいで楽しいしの!」


 分かったような、分からないような。

 それにしても


「ダンジョンの中では魔術が使えて良かったですよね。清浄化が使えないと毎日水浴びするしか無かったですし」


「・・・あれじゃよ、清浄化が使えないなら毎日風呂って発想、かなりイカレとるからの。無理じゃよ、そんなん」


「ええ?!それなら旅とか無理じゃないですか?!」


「うむ、産まれた時から便利な魔術と一緒だったからしゃーなしじゃが、清潔を保つってのは難しいもんなんじゃよ。

 と言うか、あの魔術ってかなり高度な事をやっとるんじゃが、この世界の者は気が付いとらんのかの?あれ、どんな攻撃魔術より複雑な術式じゃよ。完全自動化されとるだけで」


「え?子供にだって使えるのに?」


「そら、起動術式を呼び出すだけだからの。この世界の者が持っとる刻印に意思だけで動くようにセットされとるわけで・・・

 いやの、そもそもの話なんじゃが、清浄化の術式って別に綺麗にしとるわけじゃないんじゃ。儂も完全には解読出来ておらんのじゃが、どうも『あるべき状態に戻す』みたいなロジックが組まれておるようで、わりと大魔術っぽい感じの事をやっとるようなんじゃ。

 サヤカ様とやらがおった時代に疫病でも流行ったんかも知れんが、そこまで拘っとる理由はわりと意味不明じゃの」


「へぇ、凄かったんですね。全然知りませんでした。さて、そろそろ午後の部を始めましょうか」


 お昼はパンとスープで軽めに頂きましたが、お腹が膨れたおかげで元気が出て来ました。

 と言うわけで元気に槍を掘りおこしましょう!


「それなんじゃがな、こっちの作業はそろそろ目途が付きそうなんで野営セットの片づけをやっといてくれんかの」


「・・・思いの外、終わるのが早いですね」


「まぁ、一層目じゃからの。二層目以降は早く出来るかどうかは分からんぞ」


 そんな事を言いながらもアリスちゃんは槍を氷から引き抜きました。ヌルッとさっくりと。私の努力は何だったのでしょうか?


「そうじゃなぁ、せっかくじゃし、次の階層・・・次って言っても間はスキップするから20層じゃが、ちょっと覗いてみるかの。

 事前情報によると草原の次は森って話じゃったが」


「はい、どこまでも森が続く階層で敵は小人タイプや猿みたいなのが中心なはずです」


「樹木タイプの敵が出て来んってのが不思議よな。・・・よし、取り急ぎ小さな穴を開けれるようにしたぞ!」


 アリスちゃんの傍に現れた黒い靄のようなモノ、その中から漂うのは・・・これは湿気??


「なんでじゃ、次の階層は森とちゃうんか?」


 その穴から見えたのは湿原でした。

 いえ湿原の森ですね、この光景は。


 足元は沼地のようですが、木々もそれなりに茂っています。今までは封印の影響で湿原部分が現れていなかった、そう言う事なのでしょうか?


「・・・あー、これは一旦進行中止じゃ。湿原の中で拠点を構える方法を用意するまで10層目で待機じゃな」


 足元が安定しない状況では流石のアリスちゃんでも危ないですよね、やっぱり。


「あんな湿気とる空気の中で飯なんか食っとられんからの。何か考えんと。どうにかして、外の環境と切り離す方法を実現せんと」


 あー、そっちでしたか。魔物とかボスとかが脅威になるとか、そんな事は無いわけですね。


「ルカよ!ムカつくから今日は焼肉じゃ!どうせ次の階層では火なんて起こせそうにないしの!!」


「そうですね。ついでに魚も焼いちゃいましょうよ」


「任せとけ!今日は贅沢に行って、準備が出来ておったら明日の朝一で出発じゃ!準備が出来て無かったら順延じゃ!!」


 ・・・良いんですかね?王都は今も絶賛混乱中だと思いますけど。

 いえ、私もその気持ちは分かりますよ、気持ちは。


今日も読んでくれてありがとう!今日は夜に時間が取れないので早めの更新です!

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