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儂とアヤツと何処ぞの世界  作者: シマタロウ
2章:儂とアヤツと世界の仕組み
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1-5:儂と混乱する王都 さよなら探索者のロマンよ



「おぉ、思ってたより凄いですね、これがダンジョンの中?」


「そうじゃ、10層目じゃ。従来なら広間と階段しか無いフロアじゃったが、今は本来の姿に戻っておる。つまり、この広大な空間はボスの住処になっておるというわけじゃ」


 儂らが突っ立っておるのは広大な草原のど真ん中。空は快晴で遠くには森も見える。じゃが、ここはダンジョンの中なんじゃ。


「ダンジョンと言っても、あくまで異界の一種、先ほどまで儂らがいたところとは『ズレた』場所であるわけじゃな。色々と調べておる役所の者達も儂も『実際に異界がどこにあるのか』は分からんままなのじゃ。

 まぁ、その辺りの探求は事態が落ち着いてからじゃの。気になるところではあるが」

 

 そんな事をルカに語りつつ儂は仕込んでおった魔術を展開する。周囲に浮かび上がるのは『紙粘土を捏ねて作ったような白くて不格好な何か』


「ほれ、とんでけー」


 30個程の変な見かけの何かがダンジョンの四方八方へと高速でカッ飛んで行った。達者での。


「ねぇ、アリスちゃん。なんです、さっきの気持ち悪いの」


「・・・変な見た目ではあるが、気持ち悪いって程でも無かろ?」


「白くてヌルッとしてそうで、ちょっと駄目な感じでしたよ?」


「あー・・・生き物ではなく陶器とか人形とかに近い物と捉えてくれたら助かるんじゃが」


 そんな儂の説得にもルカは不満顔。やっぱ見た目は改善の余地ありかの。


「すまんの。利便性だけを考えた術式じゃから見た目は二の次になっておるんじゃ。開発者の思想の癖が強くての。使い勝手はやたらええんじゃが」


「開発者?アリスちゃんが作ったんじゃないんですか?」


「あぁ、あれは儂の主殿の奥方が作った術式じゃ。目標を自動で探し回って、見つけたら突撃からの自爆で教えてくれる便利な奴じゃよ。

 ちょっと前に取り戻した記憶の中にあったんじゃ。ええじゃろ?」


「・・・その術式があったら草原タイプのフロア攻略は楽勝ですね。と言うか台無しですね」


「そうじゃの。興ざめって感じじゃの。さよなら探索者のロマンよ、みたいな」


 普通に考えると、やったらいかん感じじゃの。じゃが、それはそれとして


「でな、ボス探索の待ち時間の間に説明させてもらうの、この王都ダンジョンの事」


「ダンジョンの事ですか?でも異変の原因は良く分からないって」


「そこは確かに分からんの。正直なところ、行ってみたら何かが見つかるのかの?って感じじゃ。

 じゃがの、それ以前に王都ダンジョンが『何のために用意されておるか』を聞いておらんと『着地点』を考える事も出来んようになるでの」


「用意されている?!このダンジョンって誰かが作ったものなんですか?!」


「少なくとも王都ダンジョンはそうじゃな。

 と言うか、作成者はサヤカ様とやらで間違いないと儂は思うておる。

 この国を成り立たせるためのリソース源、井戸か何かのように地下深くから資源を組み上げる存在、それが王都ダンジョンじゃ。

 その井戸を安定させるために柱も使われておるんじゃろうが、メカニズムまでは分からん」


「な、なるほど、一理ありますね。でも、資源ってドロップアイテムとかですか?食べ物や金属もあるから大事だとは思いますけど、そこまでとは・・・」


「それもあるんじゃがな。もっと大事な物があるんじゃ」


 この国、いや下手をすれば『この世界』を支えておる可能性もある根源的な資源。


「魔力じゃよ。王都ダンジョンは地下への大穴そのものであり、この世界に魔力を満たすために存在しておるんじゃろう。

 ほれ、この世界の者って魔術を使うのに魔力を消費しとらんじゃろ?本来な、魔術ってのは、ルカの強化魔術がそうであるように、術式を展開する際には自分の中の力を消費するもんなんじゃ。

 じゃが、この世界の者は何処からともなく送られてくる術式を読み込むだけで魔術が使えてしまう。つまり、術式とセットで稼働に必要な力も送られて来とると考えるのが自然なんじゃ」


「えと・・・本当はほとんどの人は魔術を使えないはず?魔力を持っていないから」


「そうじゃ。この世界は魔術を使えない人間でも魔術を使えるように調整してあるんじゃ。

 そして、それを前提として人の生活、国の形がデザインされておる」


 ルカがポカンと口を開けておる。


 いかんの。話について来れておらん。もう結論に行った方がええの。


「異界は潰すと消えてしまう。調査の時に見つけた『柱の地下の謎空間』も、何の痕跡も残さず『ただの地面』に戻ってしもうた。

 恐らくこれは王都ダンジョンでも同じ。儂らが50層のボスを倒してしまえば、王都にある巨大な井戸は枯れ、魔術を使用するための燃料が失われる事になる」


 もちろん、魔力の井戸が一つとは限らん。じゃが地下50層にも及ぶ巨大な井戸がいくつも設けてあるとは儂には思えんのじゃ。

 他のダンジョン型の異界が深くても10層までという事を考えると、この王都ダンジョンは明らかに異質なのじゃから。


「分かったかの?儂らはこのダンジョンをクリアしに来たんではない。

 目標は再封印じゃ。50層の異変を確認し、その上で柱を正常化するなりして王都ダンジョンを封印された状態に戻す、それが儂らのミッションなんじゃ。

 どうじゃ?長引きそうじゃろ?荷物の用意をしてもらった理由も分かったじゃろ?」


「5層しか攻略しないのに天幕いっぱいの物資って事に違和感はありましたけど」


「運が良ければ5日ぐらいで終わるかも知れんけどの」


 その時、何処か遠くで爆発音が響き渡った。


「最初のボスが見つかったようじゃの。んじゃ、ちゃきちゃき進めて行くとするかの。

 行くぞ、ルカ!ダンジョン攻略開始じゃ!」


「えぇ?こんなの絶対に攻略じゃないですって」


 何故かゲンナリした様子のルカと共に儂は走り出した。


 効率的で良いと儂は思うんじゃけどな?



今日も読んでくれてありがとう!なぜか新作の投稿をすると前作のPVが伸びるのが不思議ですが、あまり気にせず安定したペースで投稿しますね!

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