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儂とアヤツと何処ぞの世界  作者: シマタロウ
2章:儂とアヤツと世界の仕組み
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1-3:儂と混乱する王都 儂、なんかやってしまったかの?

何時の間にやらブックマークもポイントも頂いてますね!ありがとうございます!拙作は皆さまの応援を原動力にしております!


「アリスちゃん、言われた物は大体揃って来たと思いますけど、どうするんですか?こんなに沢山。人を雇わないと持ち込むの無理ですよ」


 荷物置き用の天幕の中は既に荷物でいっぱいです。寝具に着替えに食べ物色々、それに各種魔術の媒体も。


「あぁ、大丈夫じゃよ。最近は色々と使える魔術も増えておっての。それぐらいの量なら普通に持ち運べる」


 そんな事をおっしゃるアリスちゃんは空中に何枚もの半透明な大きな板のような物を浮かせて作業に没頭している。いまも話をしている私の方を見ないまま、浮いた板の上を流れる無数の文字列に目を向けて・・・


「って、そんなに沢山の文字を同時に読めなくないです?」


 文字がズラズラ流れているのが4枚、よく分からない図形のような物を表示しているのが3枚、何をやってるんでしょうね?これ?


「意外と大丈夫なもんじゃよ、意識領域を分割して処理しとるから。

 とは言え、もうちょいでキリが良いところまで行くから、しばし待っておってくれ」


 そして沈黙が降りてしまえば、私に出来る事はアリスちゃんを後ろから眺める事だけです。


 私達がいるのは王都ダンジョンの入口だった場所。ギルドマンの皆が毎日のように使っていた王都中央にある『大きな扉型の転送装置』の前にアリスちゃんは作業場所を構えています。


 アリスちゃん曰く、この扉は王都ダンジョンへの正規ルートではなく、正面入り口をパスして王都ダンジョンの中へと侵入者を送り込む裏口のような物だった、との事。


 今となっては本来の入口も何処かに生れ出ているのでしょうけど・・・


「おし!まずはこんなところじゃな!」


 空中に浮かぶ沢山の板がパッと消えました。私にはよく分からないですけど、役目を終えたという事なのでしょうか?


「お疲れ様です、アリスちゃん」


「ルカも買い出しお疲れさんじゃったな。大変じゃっただろ?こんな混乱の最中じゃと」


「いえ、そうでも無かったですよ。役所と各ギルドの人達が情報の共有をしてくれてるみたいで。

 実際、反発もそんなに無くて、ほとんど普通に買い物して来ただけ、みたいな感じでしたし」


「そんなに、ほとんど・・・まぁ、仕方ないかの」


 すいとアリスちゃんが空を眺めるように視線を上げた。

 そこに見えるのは小さな煙が幾つか。魔術が使えなくなったから外で火を起こしているのでしょう。煮炊きのためか、あるいはゴミか何かを焼き捨てるためか。

 

「衛生状態も考えると、そんなに長くは持たんかも知れんな。この町は石造りが中心じゃし、汚物を流して捨てる仕組みも無いしの」


「はい、役所には清浄化の魔術だけでも使えるようにしてくれないかとの申し入れが沢山来ているそうです」


「はぁ・・・そりゃそうじゃよなぁ。ずっと慣れ親しんで来た魔術が原因で『魔物になるかも知れん』とか言われてもピンと来るわきゃ無いものなぁ。こりゃ、急がんと魔術封じの隙を突かれたりしかれんの」


「そこまでしちゃいますかね?」


「するんじゃないかの?人は快適さのためなら自殺をする事さえ厭わん場合があったりするからの。油断大敵じゃ」


 んじゃ、サクサク進めるか。ちょっとは休憩もしたいんじゃが。そんな事をボソボソしゃべりながらアリスちゃんは荷物置き場へ。


 天幕の下で手を掲げ


「あー、いけるいける。思っていたより随分と余裕じゃ」


 緑色の光の線が荷物を囲うように発生し、大きな箱のような形になったかと思うと


「そいや!」


 スパンと音を立て荷物ごと消え去った?!


「「は?!」」


 偶々天幕の傍にいた役所の人と私の声がハモる。


「なんじゃ、そんなに驚いて。ギルドマンもダンジョンに入る時は凄く入る鞄とか使っとるんじゃろ?それと同じ理屈を魔術で再現しただけじゃよ」


 だけって・・・魔法の鞄の仕組みって解析出来てないんですけど。あれ、とてつも無い高級品なんですよ。


 役所の人がヤベェものを見た的な顔をしながら、そっと離れて行く。


「おっ、儂、なんかやってしまったかの?」


「・・・いえ、大丈夫ですよ。ところで、何時の間にこんな事が出来るようになったんです?

 ここまで沢山の物を収容するとか無理でしたよね?」


「うん、そうじゃの」


 何故そこで恥ずかしそうな顔をするのか。


「仕事が休みの日にこっそり異界を潰しに行っておっての。それでパワーアップしたんじゃ」


 そんな簡単に言われても。


「と言うか元々の儂は出来てたようでの。記憶と能力を取り戻したって感じじゃの。あと新しいレシピも増えたが海鮮系の素材が足らんので大半はお預け中じゃ」


 あー、料理屋さんに提供してるレシピって開発してるんじゃなくて記憶から発掘された物だったんですね。どうにもペースが速いと思ってました。どんどん新しいレシピが届くから料理人達から天才と思われちゃってますよ。


「さっきまでやっておったゲートへのハッキングも記憶の中にあった手法、というか概念での。元々設定されておった途中離脱と再参加の仕組みを弄る事で大幅なショートカットを実現しようって試みなんじゃ。

 うまく行けば用意してもらった潜るための備えも随分と余らせる事が出来るやも知れん」


 はっきんぐ?よく分からないですけど


「50層を潜るのに、どれぐらいの期間が必要になる見込みなんですか?」


「そもそも50層も潜らん。10層毎に用意されておる転移の仕組みを無理矢理相互に接続したからの。儂らが探索するのは実質5層だけじゃ。

 と言っても、既にダンジョンの扉は開いてしまっておるでな。恐らくは10層毎にボスみたいなのが配置されとるじゃろう。じゃから、一日で全部制覇じゃ!とかは出来んからの」


 ほんにゲーム的な仕組みじゃの、そんな事を呟きながらアリスちゃんはハッキングとやらの作業に戻って行きました。


 ・・・サラッと言ってましたけど


「5層だけ攻略したら終わりって・・・こんなの他の人に知られたら不味いですよ」


 何十年もかけて地道に攻略して来たのは一体何だったのでしょう?

 皆の努力が報われ無さ過ぎて、私、少し悲しくなって来ました。



今日も読んでくれてありがとう!うちのは素直にダンジョン攻略なんかしないぜ!

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