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儂とアヤツと何処ぞの世界  作者: シマタロウ
1章:儂とアヤツと旅の始まり
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3-5:儂と秘密の調べもの どうしたらええんじゃ、この状況


 事が起こったのは儂とルカがちょうど王都に戻ってきた時の事じゃった。祭りの気配に少し浮かれておった夕暮れの王都。そこから一連の事態は始まったんじゃ。



「なんか街中がそわそわしとる感じじゃが、祭りか何かかえ?」


 夕暮れ時でいつもなら既に撤収準備に入っとるはずのギルド、なのに人の動きがどうにも忙しない。

 遠征帰りの儂らが塞いでしまっておるカウンター前でさえ浮ついておるような慌ただしいような妙な雰囲気。


「どうでしょう?この中途半端な季節に祭りとかは無いと思いますがけど。

 でも王都だし何か新しいイベントが突発的に生まれていても不思議は無いのかも?」


「そんなもんかのぅ。じゃが儂らが王都を出発したのって二週間ぐらい前の話じゃろ?そんな唐突に祭りが生えたりするんか?」


「普通はしないですよね。でも都会ですからね、何が起こるか分かりませんよ。田舎では有り得ない潤沢な資金と人材が溢れているわけで」


「そんなもんかの」


「そんなものですよ。ほら、アリスちゃんが作ったレストランが大当たりした時も軽いお祭りが続いてたようなものだったじゃないですか。

 結局は国から出店規制が出るまで延々と屋台やら出店が増え続けて通りを圧迫したり」


「あー、そうじゃったなぁ。あれは面白かった。

 で、それはそれとしてじゃ、久しぶりに戻って来た事だし、さっそく店に顔を出さんか?そろそろ新メニューも出来とる頃合いじゃろうし」


「え?そんな予定ありましたっけ?」


「いんや。じゃがの、料理人が見た事も無い新手法に囲まれとる状況で、何も新しい事をしとらんとか有り得んからの」


 儂じゃったらやりたい放題しとるぞ!


「それじゃ、手続きが終わったら一度宿に戻って荷物をおいて、それから向かうとしましょうか」


「えー、すぐに行くんじゃないのか?魔術で清潔になっとるし、別に問題無いじゃろ?」


「他のお客さんから見たら良い気分しないでしょ?飲食店は雰囲気も大事ですよ」


「ごもっとも!しゃーなしじゃの」


 そんなわけで儂は大人しく受付スペースの椅子に座りに行った。手続きは全部ルカがやってくれるんじゃ。儂は邪魔せんように大人しくしておるだけで十分だそうな。


 とは言えじゃ、暇なんでギルドの中をキョロキョロ観察したりはする。王都を留守にしておる間に何か珍しい事件とか新しいネタとかが生えて来とるやも知れんからの。


 依頼は・・・まぁ、代わり映えせんの。肉系のドロップアイテムの収集依頼が多いぐらいかの?

 この世界の畜産の肉は時代背景通りにワイルドな感じなんじゃ。ぶっちゃけ煮込まんと真面には食えん。じゃが、ドロップアイテムは日本の和牛みたいなノリの謎肉なんじゃ。

 恐らくは日本生まれであるでサヤカ様(笑)の意向が色濃く反映されておるのじゃろう。

 せめて低温調理が安定して使えれば、この世界の肉も食えん事は無いんじゃが・・・儂が現れるまではそんな発想は無かったみたいじゃし、まぁ、たぶん肉汁溢れるステーキとか食いたかったんじゃろうな。


「おっ、この依頼は祭りの手伝いの人夫募集か。人数無制限とか気合が凄いの」


 大通りの飾りつけに、式典会場造りに、振る舞いの料理と酒の用意か。凄いの。気合が凄い。


 にしても、そんな祝うようなネタがあったかの?この国にはもう王族とかもおらんし冠婚葬祭ネタで無い事は確かなんじゃが。


「のぅ、職員の方よ、いま用意しとる祭りは何の祭りなんじゃ?えらい楽しそうじゃから気になるんじゃが」


 疑問を持ったら即質問じゃ。窓口のお姉さんよ、よろしく頼むぞ。


「あら、誰かのお子さんかしら。えとね、今回のお祭りは王都ダンジョンの50層到達祝いよ。国が沢山資金を出して色々な人をダンジョンに送り込んだの。これで新しい種類のドロップアイテムも増えるだろうって、みんな大喜びなわけ」


 なぬ?50層じゃと


「ちょっと前まで30層って言っておったのに」


「すごいわよねぇ。沢山の人が意識を揃えた時の成果ってバカにならないのよねぇ。そもそもギルドって言うのも・・・」


 50層か。それぐらいなら大丈夫なんかの?

 

 いや、そもそも地下に何らかのリスクがある可能性というのも儂の勘でしか無いか。

 じゃが、あまりに速すぎるんと違うか?王国が出来て今までで30層、二週間で追加の20層、こんな事が・・・あぁ、アイツか!あの役人か?!前にあった時に態度がおかしいとは思っておったが


「ねぇ、聞いてるの?」


「おっ、すまん。ちと気になる事があっての。悪いが細かい説明は次に来た時に」


 その時だった、ゾッとするような濃密な魔力の気配が吹き荒れた。


 儂はギルドから飛び出すと同時、周囲に感覚を広げ情報を集めようとするが


「なんじゃこれは?!魔力の流れがグチャグチャじゃ!これは・・・何処かから大量の魔力が噴き出しとるんか?」


「アリスちゃん!これは一体?まさか魔物の襲撃?!」


「いや王都の魔物避けの結界は今も動作しておる。じゃが、結界の内で魔力が吹き荒れておって」


 夕日が影を落とす王都、その中で刻一刻と密度を上げつつある魔力。そんな訳の分からぬ現象を引き起こす可能性があるんは・・・


 肉体を強化しギルドの石壁を蹴り、屋根へと飛び上がる。

 木製の屋根が軋み妙な音を立てるが、そのおかげで街の様子を観察する事が出来た。


「クソが。やっぱり地下はあかんかったやないか!」


 王都に生えておる『四本の柱』、それが伸びておった。

 天を突くかのように長く長く、今もその長さを伸ばし続けておる。


「どうしたらええんじゃ、この状況」


 何も分からん。何も分からんが、ひたすらに嫌な予感ばかりが込み上げてくる。


 もう少し早く起こってくれていれば、あるいは、もう少し遅く帰って来ていれば


 そうしたらルカだけは逃がす事が出来たのに


 そんな思考が儂の頭の中を飛び交っておった。






儂と秘密の調べもの 完


今日も読んでくれてありがとう!第一章完!明日から二章が始まりますが。

と言うわけで、明日と明後日もよろしく!

あぁ、あと気が向いたらブックマークとかポイント評価で筆者を応援しよう!(筆者が喜ぶよ)

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