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儂とアヤツと何処ぞの世界  作者: シマタロウ
1章:儂とアヤツと旅の始まり
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3-4:儂と秘密の調べもの 異なる視点と新たな気付き



「ほれ、さっさと用件を頼むぞ。午後からはルカと遊びに行くんでの」


「・・・一応、私ってエライ人なんだけど?」


「役所の階級の話とかは儂は分からんぞ。それに前に来た時は沢山おったのに、今回はオヌシ一人。儂としては実に気楽な気分でおるんじゃが」


「なるほどね。そう捉えられるとは思わなかったわ。ごめんなさいね」


 役所の偉い人とか言う中年女性が頭を下げた。と言っても、大きなソファーに座ったままじゃし、顔は半笑いじゃし、何処まで真剣かは分からんけどの。

 ちなみに言えば、儂も向かい合う配置でどっかり座ったままじゃから相手の事をどうこうは言えん。


 互いに敬意とか無い感じで実に雑じゃの。


「で、今日はなんで儂を呼び出したんじゃ?新しい発見とかは特に無いぞ。提出しとる報告書の通りじゃ」


 まだガチャは当たっておらん。レシピはいくつか回収出来たが成果はその程度のもんじゃ。あとは儂の郷愁の気持ちが若干向上した程度のものかの?


「それはそうなんでしょうけどね。私もそこは疑ってないわ。

 でも一つだけ確認したい事があるのよ。あなた、ギルドで請け負う仕事の範囲を明確に絞ってるわよね?」


「結構好き嫌いしとるぞ?最近は面白そうか、ルカの修行になりそうなもんかしか受けておらんし」 


 いやの、収入という意味では食堂が異常にヒットしとるから相当に余裕があるんじゃ。儂らの宿泊費と食費ぐらいなら、店さえ開けとれば余裕綽々での。


「なるほどね。隠しているわけじゃないと。ねぇ、なんで地下に向かう仕事は受けないの?異界はもちろん王都地下のダンジョンも避けてるわよね」


「あー、そじゃの。確かに地下は避けとる。儂だけならともかくルカを危険かも知れんもんに近づけるのは嫌でな」


 儂に依頼が来た分はダンジョン型の異界もちゃんと潰しとるからの。


「それは何故なの?理由を教えてもらえる?」


 理由かぁ。ハッキリせんから説明するのも難しいのぅ。今となっては『儂ではない儂』がおるってのも怖い原因でも無いし、強いて言えば・・・


「この世界の下方向って何に繋がっとるんじゃろうな?」


「下方向?それは地下に何かがあるって事?」


「いんや、そうとも限らん。穴を掘ったら到達する場所ってわけでは無いやも知れん。ほれ、異界のダンジョンだって実際に地面に埋まっとるわけじゃないじゃろ?

 じゃがの、地下には何かありそうなんじゃ」


 自分でもよー分からんが・・・コヤツに調べておいてもらうのも良いかも知れんの。


「まだ異界を形成する前の『柱』に突っ込んだ時にな、儂は真っ白な世界に落とされたんじゃ。

 この辺りの出来事は報告に書いた通りなんじゃがな、よく考えると壊そうとして『向こう側』が覗くとかヤバげじゃろ?

 下方向の果てと、異界と、世界の『向こう側』、これ何も関係が無いと思うの無理があるじゃろ?

 ダンジョン型の異界でも階層が深い物の場合、ひょっとしたら『境界』に辿り着いてしまうんと違うか?」


 儂にも分からんから物言いが適当になってしまっておるんじゃが、聞いとるコヤツの顔がなんか深刻でウケる。


「王都ダンジョンの到達度は昨日時点で地下31階。大丈夫なのかしら?」


「全然分からんのー。そもそも異界が何かすら分かっとらんし。

 あぁ、そう言えばの、未構築の異界に落とされた時『足元に星空』が見えたんじゃ。ボスがおるタイプの異界も『足場の下は空』じゃったわ。

 案外、地下を進んで行けば空に落ちるのかも知れんな!」


 ハッハハーと意味なく笑い声を上げる。

 まぁ、サッパリ分からんのじゃよ、儂にも。笑うしかないんじゃ。


「ねぇ、貴方は『異界はこの世界の一部』だと思ってるのね。他の何処か遠くの場所にあるのではなくて」


 ふむ。そう言えばそうじゃの。儂が違う世界から来たのに疑いは無いが、それを前提にしても異界がこの世界と別の世界とは思っとらんな。


「つまり、貴方の考えをまとめると、ここであれ異界であれ、地下を進み続けると世界の『外側』に触れられる可能性があると、そう言いたいのね?」


「あー、そうなんかの?」


 自分でもよく分からんが


「これは凄いわ。貴方、最高よ、ええ最高よ」


 おぉ、不気味な笑みじゃの。どうした?何があった?


「これは与えられた知識しか持たない私達が一歩進めるチャンスなのよ!私達だけでは、こんな事に気が付くはずはなかった!」


 役人の女性はソファーからやおら立ち上がり、両手を万歳、顔は大きく笑みを浮かべて天井を仰ぐ。そして応接室に響く哄笑。


 超怖い。もう帰ってええかの。


「あぁ、ごめんなさいね。少し興奮してしまったわ」


 少し?


「貴重な報告と知見をありがとうございます。

 これからも引き続きお願いするわね」


「お、おぅ、儂に任せとけ。では、すまんが、儂はこれで失礼するぞ」


「ええ、またいらして下さいね。いつでも歓迎しますわ」


 もう出来る限りここには来んぞ。


 そんな訳で儂は逃げるようにして役所から去り、この日の事は思い出さんようにした。


 後々考えると、この時に儂が持っておる危機感みたいなのを、ちゃんと伝えなかった事が敗因になったわけじゃな。


 まぁ、後悔先に立たずってやつじゃ。あるいはシンプルに後の祭りか。




今日も読んでくれてありがとう!GW6日連続の更新ですよ!

こっそりコツコツ話は進む!

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