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儂とアヤツと何処ぞの世界  作者: シマタロウ
1章:儂とアヤツと旅の始まり
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3-2:儂と秘密の調べもの 残念ながら単発ガチャしか無いんじゃ



 夜を駆ける。


 寝静まった静かな王都を儂は独り駆け抜けていく。


 今回の目的地はいつもより少し離れておる。休みは明日一日だけ。そりゃ夜を徹して走るしか無いわなと。


 この世界にはバイコーン(デカい馬の化け物)より速く移動出来る手段は無い。つまり、儂とルカにとっては走った方が乗り物よりも速い。

 もちろん、ルカには持久力という問題があるが、儂にはそんな問題はあってないようなもの。数日程度走り続ける程度なら余裕じゃやからな。辛いからやらんけど。


 小道をすり抜け、塀を飛び越え、あっという間に王都を守る城壁へと行きついた。


「術式展開」


 あえて文言を口に出して宣言する。


 主殿の拙い真似事ではあるけれど、それでも儂にとっては制御も難しく、そして特別なものであるからして。


 まっ、要は気合を入れたわけじゃな。


 身体そのものを主殿を真似る形で最適化し、次いで強化術式の強度を上げる。


 視界が広がり、音が消え、空気の粘土が増し、世界の解像度が跳ね上がる。


 頭に大量の情報がぶち込まれ、どう動けば何が出来るのか、まるで未来予知でもしているかのように全てが分かるようになる。


 そして意味不明な万能感と共に身体の制御難度が爆上げ。


 思考と動きの差が極限まで圧縮され、正直、近接戦闘を苦手とする儂では少し気を抜いた瞬間に暴発待った無しじゃ。じゃが・・・


 儂の身体は音の一つも立てずに城壁を駆けあがり、そのまま外側へとスルリと飛び降りた。


 マジで性能が半端無いんじゃよな、主殿の真似してると。

 身体の強化をしてるだけなのに垂直の壁を走って登ったからの。どないなっとるんじゃ?


 着地すると同時に引き続き全力で疾走し王都から距離を取る。夜警に熱心でない国とは言え、見つかる可能性を無視出来る程には楽観出来んからの。


 しばらく走り、安全を確認した後、集中を解く。

 強化魔術の出力を落とし、頭と身体を平常状態へと戻して、やっとこさ一息じゃ。


「あぁ、気分悪いの。頭がパンパンになるし、身体の制御はピーキーになるし、マジで主殿はちょっとおかしいんと違うけ?」


 独りそんな事を呟きながら深夜の街道をひた走る。


 ルカには伝えておらぬが、今も儂は役所からの仕事を受け続けておる。その内容は異界の破壊。柱か扉かを問わず、手つかずになっている案件を儂がコッソリ処分する、そんな仕事じゃ。


 目的は二つ。まず一つ目は『向こう側』におった『儂のような何か』に再度出会って情報を得る事。

 そして、もう一つは『異界の実体』を掴む事。


 前者については、それ自体の重要度は微妙な感じではあるのじゃが、後者については深刻じゃ。

 仮に『異界から発生する呪いが魔術を介して感染する』という仮説が間違っておれば、王都におるルカも巻き込まれる可能性があるやも知れんのだから。


 まぁ、そんな事を言ったところで何も掴めてはおらんのだけどの。

 分かったのは『異界』の実態が異世界とかではなく、単純に『この大地の下にある何か』である事と、柱と扉には2つの種類がある事だけじゃ。


 通常の柱は発生から時間をかけて自然に扉へと変異を遂げる。外からちょっかいをかけた程度で柱が急に扉になったりはしない。


 じゃが、イレギュラーなパターンは・・・


 丁度そんな事を考えておると目標の『柱』が目に入った。


 枯れた森の中央にポツンと佇む大きな柱。


 資源回収に来ておった商会の部隊が丸ごと行方不明になった事から発見された柱。


 まだ扉にはなっていない。そして行方不明者が出ている時点で汚染を撒き散らしている事は確定済みと。


 今までの反省を活かして作成した障壁を展開しつつ、儂は柱に向けて突っ込んで行く。


 ここ最近は外れの異界ばかりじゃったが、今回は当たりを引いたか。


 柱に近づくと同時に地面が消える。


「ほれの、また同じパターンじゃ」


 障壁で身を守りつつ、ゆっくり地下へと降下して行く。


「来ると分かっとりゃ、こんなもんどうって事ないんよなぁ」


 障壁にばっこんばっこん見えない衝撃波的なものが衝突しておる。地下にあるヤバげなものと地上を仕分けるためのフィルターみたいな物なんじゃろな、これは。


「ほい、白い世界に到着じゃ。で、今回も」


 魔力を流して亀裂を作れば出て来るのは毎度馴染みのコインロッカー。


「一回で複数体が出て来てくれたら楽なんじゃがの」


 今回も扉が閉まっているのは一か所だけ。


「ほれ、出て来い。力はともかく記憶を寄こせ、記憶を」


 扉の中の闇に手を突っ込み、儂の断片を回収する。最初は色々とビビったが、今となっては慣れたもんよ。


「・・・ふむふむ。弟子の記憶追加分とレシピがいくつか手に入ったの。これは和食か、なかなか良いの。で、この世界については・・・駄目じゃ。何の情報も無い」


 ハズレじゃ。


 世界の外に儂の断片がおるなら絶対に何か知っておると思うんじゃけどなぁ。少なくとも儂が『この世界』に来る事になった理由は知らないはずも無いじゃろうし。


「・・・ヒントになるのが外にある儂の記憶しか思い当たらん以上はガチャを回し続けるしか無いんじゃが。徒労感が強いのぅ」


 これ何回ぐらい続けたら良いんじゃろな?『地面の下にある物の正体』ぐらいは早めに確認しておかんと不安でたまらんのじゃよ。


 こんな時に主殿なら・・・


「あかん。連続でガチャを回しとる姿しか思いつかん。何の参考にもならん」


 最適解とか全然考えん人じゃからの。


「この世界の役所のもんが何か見つけてくれてたらええんじゃけど」


 なんか行き詰まりかけとる気がするのぅ。ルカが地下への興味を抑えられとるうちに当たりを引けたらえんじゃが。



今日も読んでくれてありがとう!4日連続の更新です!筆者を褒めてやろうと言う方がいればブックマークとかポイントとかを頂けると嬉しいですね!

では、また明日!

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