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儂とアヤツと何処ぞの世界  作者: シマタロウ
1章:儂とアヤツと旅の始まり
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3-1:儂と秘密の調べもの 地下はあかんぞ地下は


「ねぇ、この仕事を受けません?短期間だし危険も無さそうだし」


「ん?王都ダンジョン5層調査の護衛・・・微妙なところじゃが・・・うん、止めじゃな。地下は何が起こるか分からん。浅いとは言え駄目じゃ」


「えぇ、私だって随分と強くなったんだし大丈夫ですよぉ」


 先月にCランクに昇格だってしましたし。アリスちゃんの教育のおかげではありますけど。


「いんや、こういうのは強さの問題じゃないんじゃ。それに武器が良いものになった事を強くなったとは言わんぞ?」


「武器の強さも私の強さのうちです!」


「なんじゃ、儂が地下に消えとる間にベソかいてたくせに偉そうじゃの?」


「・・・ちょっと調子に乗りました」


 いきなりの痛い指摘は勘弁して下さい。


「すまんすまん、言い過ぎた。凹まんでええぞ、強くなったんはホンマじゃしな。とは言え、経験不足なのも事実じゃし、そこは急いでどうにかなるもんでもないからの」


 ゆっくりやれば良いんじゃ、そう言いながらアリスちゃんは近場の討伐依頼を指さす。


「今日は軽くで済ませてくれんかの。明日はちょっと用事があるでな」


 悪戯好きの子供のような顔で彼女は笑う。私を気遣ってくれての事なのでしょうけど


「了解です。それにしましょうか、アリス師匠」


「おぉ、いきなり師匠呼びされると小っ恥ずかしいの」


「もぅ、自分で師匠って呼べって言ってたのに」


 笑い合いながら私達はギルドを後にした。


 今日もいつものように安全マージンをしっかり取った安定したお仕事になるのでしょう。


 あれから、あの9本の柱に対峙してから、私達は平穏に暮らしています。もう少し細かく言えば、あそこで何かを見たアリスちゃんが徹底して私を危険から遠ざけています。


 強い魔物が出るであろう依頼には複数チームで対応する事。

 拘束期間が長期になる依頼は避ける事。

 アリスちゃんと一緒に動ける仕事以外は最初から考慮に入れない事。


 そして、地下深くには何があっても近づかない事。


 アリスちゃんは、独りで地下に落とされた時に何を見たのでしょうか?


 私は、あの時、唐突にアリスちゃんが虚空に飲まれ、追いかける事さえ出来なった時、ただ泣く事しか出来なかった。


 でも、彼女は9本の柱が生み出した異界を片付け、何食わぬ顔をして無事に戻って来てくれた。

 そして、その時に彼女は見つけたのだろう『汚染』の原因か、あるいはそれに類するような何かを。


 もちろん依頼主への報告内容には私も目を通している。そこには『自分達が近づくと柱は異界を急速に形成した。恐らくは通常の魔術以外の手段で柱を打ち壊す可能性がある自分達を脅威と判定したのだろう』という事が丁寧に記載されていた。


 それだけだった。


 地下の事なんて一言も書かれていない。


 でも、アリスちゃんは私を地下に向かわせないようにしている。この王都で最も仕事が豊富なダンジョンの仕事、それこそ駆け出しのギルドマンでさえ足しげく通うのが当たり前のダンジョン、その上層部分にさえ向かわせようとはしない。


 きっと報告に書けないような『何か』にアリスちゃんは気が付いたんだ。


 仕事を休みにした日、週に一回か二回のペースでアリスちゃんは何処かに消える。今の私でも後を追う事さえ出来ないレベルの猛スピードで何処かに消える。


 私にも秘密のままアリスちゃんは何かを調べている。あるいは、もっと先の何かに取り組んでいる。


 私は今も何も知らないまま。


「なぁ、ルカや。今日の仕事場の牧場な。あれ、疑問なんじゃがドロップ品があるのに、なんでわざわざ手間暇をかけて飼育もしとるんじゃ?」


「私も詳しくはありませんけど、多分ドロップアイテムだけじゃ需要を満たせないんじゃないです?

 王都だけでも沢山の人が住んでるし、魔物と戦える人もそれほど多くはないですし。

 いくらお肉や乳製品が弱い魔物からドロップすると言っても流石に数が」


「あー、そんなもんか。ここの住人は魔術が使えても戦う事に忌避感がある者が多いものな。ルカみたいに素養がある者は貴重じゃったな、そう言えば」


「いえいえ、私なんてまだまだですよ。予想外の事態があったら足が竦んで何も出来ませんし。

 魔術が使えるようになっても、戦い方を学んでも、何と言うか自分の本質的なところは変わってないんだなぁって」


 ずっと私は願ってきた、魔術を使えるようになりたいって。でも、本当は、本当に私が願っていたのは『もっと強くなりたい』って事。


「・・・オヌシは十分に強い子じゃと思うよ。焦らずに経験を積んで、ゆっくり成長すれば良いんじゃ、それまで儂がしっかりと守ってやるから」


「・・・強くなるまでと言わずに、ずっと守って欲しいですね。あと、ついでにご飯も作り続けて欲しいです」


「ふふっ、そうかそうか。ずっとか。それは実に良いの」


 アリスちゃんは楽しそうに笑っていた。


 でも、私はいつか独りになるんじゃないかと、何時かアリスちゃんは私をおいて何処かに行ってしまうんじゃないかと、そんな不安を感じていた。


今日も読んでくれてありがとう!三日連続の更新ですよぉ。この調子で休みの間は毎日続けたいものですねぇ。

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