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儂とアヤツと何処ぞの世界  作者: シマタロウ
1章:儂とアヤツと旅の始まり
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2-5:儂と王都と違和感と コインロッカー



 目を覚ますと、そこは真っ白な場所じゃった。


 見上げる空は何処までも白く何も無い。

 背中に当たる感触も硬いのか柔らかいのかさえハッキリとしない。


 ・・・うん、あれじゃ、なんか未設定の世界って感じの場所じゃな、これ。


「なんでじゃ」


 さっきまで儂はルカと一緒に柱の調査をしとったはずじゃ。それで・・・


「あぁ、なるほどの。ここは落ちた先と言う事か」


 ぐるっと周囲を見渡してみる。


 右も


 左も


 上も


 下も


 見事に何も無く真っ白。全てにおいて空白の場所。


「いやいや、上から落ちて来たのに上側に何も無いのはおかしいじゃろ?」


 もちろん、そんな文句に誰かが反応するわけもない。とは言え、黙ってジッとしているわけにもいかん、ルカが待っとるでな。


「よし!いっちょ壊してみるか!」


 恐らくここは複数の柱が作った異界。扉が開く前に儂がなんか知らんが侵入してしまった・・・って感じなんじゃないかの?知らんけど。

 とすればじゃ、異界が壊れた時と同じような反応を起こしてやれば扉が生まれる前に異界を潰す事も可能なんじゃないかと


「・・・たまたまじゃが役所の要求にもバッチリ回答出来とるの」


 恐ろしいの。運まで味方につけてしまう自分の才覚が。


「あーして、こーして、こうじゃ!!」


 既に二回も目にした異界崩壊時の魔力の流れ。それを人工的に再現する事なぞ超ベテラン魔術師である儂の手にかかればチョチョイのチョイじゃ!


「さぁ、待っておれ、ルカよ!すぐに儂が戻るからの!!」


 白い空間に紫電が飛び回る。

 儂の放出した魔力の流れが白い世界を侵食し、崩し始めている。


 ピシリと音が響き、近くの空間に亀裂が生じた。罅割れの奥に覗くのは、いつか見た星空。そして、その瞬間。


「なんじゃぁぁぁぁぁあ!!!」


 罅割れから噴き出した何物かに吹っ飛ばされる儂。ウエイトが無いからの。不意の吹き飛ばし攻撃にはメチャ弱なんよ。


 ゴロリゴロリと白い地面を何度も転がりコロコロしてから立ち上がる。周囲に敵とかおらんで良かったわ。一人で転がっとるぶんには何の問題も無いけど隙だらけじゃからの。


「で、これは何じゃい?」


 亀裂があった場所に何か壁のようなモノが鎮座していた。厚みがあって、金属質な見た目で大きな棚のような?


 妙な既視感に囚われ、儂はそれに近づいた。


 いま見えているのは、きっと裏側じゃからして


 ・・・は?


「なんでじゃ。なんで、こんなモノがこの世界にあるんじゃ。おかしいじゃろ」


 そこにあったのはコインロッカーじゃった。


 真っ白な世界に駅にあるようなコインロッカーが鎮座しておった。


 ここは儂の世界とは違う場所では無いんか?

 こんなモンがあって良いわけは無いじゃろ?


 不思議とソレから目を逸らす事が出来なかった。儂は・・・多分コレがここにある理由を知っておる、よく分からんがそんな気がした。


 何列も並ぶ棚の中、一番端っこにある大型荷物を入れるスペースの一つ、そこだけ扉が閉まっておった。


 つまり、何かが入っておるわけじゃ。罅割れの向こうの夜空から来た何かが。


 鍵はかかっておったが何故か扉はスルリと開いた。


 その中には闇が広がっておる。不自然に真っ暗で扉を開けても中を見通す事は出来やしない。


 じゃから儂は闇へと手を伸ばした。


 よく分からんが恐怖はある。手を伸ばす必要なんて無いじゃろ?そんな言葉が心の中に浮かび上がる。


 じゃが儂はここで止まるわけにはいかん。上でルカが待っておる。アヤツを独りにするわけにはいかんのじゃ。


 闇の中へ手を突き込んだ。


「・・・誰じゃ?」


 誰かが儂の手を握っておる。


 ゆっくりと腕を引く。


 引き摺られるように現れたのは小さくて白い腕、そして・・・


「儂・・・なんか?」


 少なくとも見た目は儂そのもの。昔の儂の姿ではなく、主殿の従僕としての少女の儂。


 無表情で冷たい瞳が儂の事を見つめておる。


「何故じゃ。何故そんな目で儂の事を見るんじゃ!!」


 まるで憐れむような、そんな


 そして、その瞬間、もう一人の儂は何処かに溶け込むようにして姿を消した。


 いや自分を欺く必要なんぞ無いの。儂に吸い込まれてアヤツは消えた。この不可解な現象と同時に儂の中の『力と記憶』が増した事からもアヤツを儂が吸収したのは確実。


「どういう事じゃ?」


 儂は以前に異界を壊した時も同じ事をしたんか?


 じゃが、儂もルカももう一人の儂なんざ見てはおらん。何故じゃ?もう一人の儂は異界の何処かに溶け込んでおったとでも言うんか?


 周囲に異界が消滅する時と同じようなエフェクトが発生し始めた。

 キラキラと眩い光が白い空間のそこかしこから溢れ始めておる。


「この光は異界の素材が分解された物とかではなく、単なる演出じゃったわけか」


 この白い空間には舞台も何も無いが帰還用のエフェクトだけは発生させてくれたと。


「ほんに良い気遣いじゃな」


 誰が作った仕組みなんじゃろうな?


 なんで白い世界の向こう側から儂の似姿が現れたんじゃろうな?


「儂は・・・主殿達と暮らしておって、目覚めたら急に知らん場所におった。そのはずじゃ。儂は・・・」


 何なんじゃろうな?


 なんで『この世界』の外側に儂の力と記憶がおるんじゃろうな?


 誰か儂に教えてくれ。


 ここは何処で儂は誰なんじゃ?






儂と王都と違和感と 完



GWの投稿2日目!今日も読んでくれてありがとう!ちょっと夕方以降に時間が取れそうに無いので早めの更新です!

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