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儂とアヤツと何処ぞの世界  作者: シマタロウ
1章:儂とアヤツと旅の始まり
20/66

1-10:儂と田舎の小さな異変 この思いは間違えておらぬはずじゃ

本日から水星の魔女の後半がスタートですね!(普通に忘れてましたがリアルタイムでは無く配信で見る人なので問題ありません!)


「ルカよ、戻ったぞ。いやはや今回は結構大変じゃったわ。デカい蛇みたいなのが三匹もおってな。まぁ、3つの扉の先のが一つの異界に繋がっておったのは、ある意味では楽であったんじゃが。

 で、どうしたんじゃ?漏れ出た敵の迎撃はうまくやれたようじゃが、何故そんなところで俯いておる?」


 異界を潰し、少しばかりの『力と記憶』を取り戻した儂の前におったのは黒い泥にまみれたルカ。


 儂が異界の蛇にかまけておる間にギルドの者を守って戦っておったのじゃろう。せっかく新調した槍がまたズタボロになってしもうておるし、旅装も返り血?的なものが染み付いておってドロドロ。まさに激戦の結果って感じじゃ。


「そういやギルドの者はある程度は回復したんかえ?あまり時間も経っておらぬのに。

 儂の見立て違いじゃったかの?結構ヤバそうな感じじゃと思ったんじゃが」


 ここに残っておるのは殿を務めておったルカ一人のみ。遺体の一つも残っておらぬ事からして皆は逃げ延びたと、そう思っておったのじゃが・・・



 ルカはまだ一人で俯いておる。



 違うんか?皆は逃げ延びたのではなく・・・


「すまん。儂の察しが悪かった。ひとまずは、ここを離れようかの。荷馬車までいけば着替えも水もあるんじゃから」


 言いたい事も考えるべき事もあるとは思うが、どん底の精神状態でやる必要も無かろう。


「・・・大丈夫です、アリスちゃん。私は大丈夫」


 顔も見せぬまま、そんな事を言われても大丈夫な気がせんのじゃよ。

 主殿達はこんな事で悩んだりせんタイプじゃったし、儂としては対処に困る感じじゃ。


「分かってるんです。理屈でも体感でも。魔物に代わってしまった生き物なんて処分してしまうしか無いって。

 実際、私だって罪悪感は思ってたより全然無くて。別に仕方が無いよねって思ってしまえる自分の方が気持ち悪いぐらいで」


 なんじゃ?ショックを受けたりしとるわけでは無いんか?

 ・・・ルカはちょっと主殿に似てるかもの。儂が好む人間はそんなんばっかりなんかも知れんが、妙に非情なところがあるというか、芯が強いと言うか。


 まぁ、それはそれとして


「疲れとるんじゃよ、詳しくは後でええんからの」


「・・・はい、でも詳しい事なんて私全然分かりませんでした。いつの間にか皆が苦しみだして、全身に黒い『模様』みたいなのが浮き出て、それが広がって蹲ったと思うと、そこにいたのは扉の向こうから来る『魔物』の姿で」


「・・・ここに来る時にルカにも話をしたが、魔物の材料には核になる生き物が必要じゃっていう儂の仮説が当たりのようだの。

 てっきり扉に取り込まれて変換されるみたいな仕組みかと思っておったのじゃが、実際は『異界』からもたらされる『何か』が魔術の情報と同じルートで流れ込んで来るってのが正解じゃったのかな?

 そうなると、トカゲや牛はどうなっとるんじゃって話も出て来るが」


 情報が足りなさ過ぎて分からんの。


「・・・報告しましょう。柱や扉の近くで魔術を使ったら駄目だって。もし、この村みたいに水場の近くに出てきたら」


 水場?水場だと何か問題が・・・


「あぁ、清浄化の魔術か。確かにの。誰でも使えて毎日何回も使うからリスクが盛り盛りなわけか」


 何日か放置しとけば小さな村なら魔物で溢れかえるの。んで、このざまか。村は無人になって、調査隊はほぼ壊滅と。


「異界が恐れられるわけじゃ」


 被害は甚大。今回はよく分からんモノを遺しはしたが・・・ここまで被害が大きければ何を得られたところで釣り合う事は無かろうな。


「早期発見、早期駆除が大事じゃな」


 ルカの村はラッキーじゃったんだの。


 となると儂はもっと褒め称えられても良いような気がするんじゃが・・・なんか扱いが適当じゃったような?


「そうですよ・・・教えてあげないと。速く教えてあげないと。でないと皆が」


 それだけ言うとルカの身体は力なく揺らめいて・・・


「おっと!やっぱ限界じゃったか」


 受け止めたルカの身体は戦士とは思えん程にちっこくて軽く、そして幼く思えた。


「向こうの世界なら学生やって勉強に悩んだりしとるような年頃じゃもんなぁ。そりゃストレスで潰れもするわ」


 発狂したり討ち取られたりしとらんかっただけで上等じゃ。

 お疲れさん、よー頑張ったの、後は儂に任せて寝とるが良いぞ。


「と言っても、もうここでやるべき事は何も残っとらんが」


 調査隊は装備品ごと『向こう側』に持っていかれたから遺品集めも出来んし、村には遺体さえ残っておらんし、異界の残置物は既に回収済みじゃし。


「・・・とりあえず荷馬車まで戻って考えるかの」


 魔力でルカを良い感じに固めてから肩の上にのせ、ゆっくりと歩き出す。

 重さはどうって事ないんじゃが、身体のサイズがなぁ。不便じゃ。いっそ大人モードになっても良いんじゃが・・・ずっと封じて来た手前、何だか簡単に自分の形を変えるのに抵抗がある。


 ルカを運びながらも独りになった儂の頭は無意味に回る。


 柱と扉が他の世界へと繋がっている事は確定じゃ。空ばかりの浮島のような場所、まるで天国か何かのような場所、あれが通常の『理』の世界とは思えん。


 じゃが、魔術の通り道からやってきた『汚染』、それって一体なんじゃ?


 あの天国のような意味不明な場所、あそこには『黒くて人を侵すようなモノ』なんぞ何もありゃせんかった。むしろ、あそこは何の穢れも無いような『清浄過ぎる』場所、儂はそんな印象を持っておる。


 つまり『汚染源』は何じゃ?何処に人を化け物に変えてしまうような穢れがあると言うんじゃ?


「情報が足りん過ぎて何も分からんわ」


 とは言え、人の戦闘力の中核を握る魔術が柱や扉の近くで使えん事は確実。となると対処方は扉が開くまで待って精鋭を送り込むしかない。仮に柱の段階で人を動かそうと思えば


「この世界の魔術を使わない戦力しか無いと」


 ルカが一生懸命教えても今のところ他のギルドマンが強化魔術を使える事は無かった。ひょっとすれば、遠隔起動方式の魔術を使うためには『魔力回路の調整』が必要になるのやも?ルカがそれから漏れておる理由は分からんが想定以上に希少な存在の可能性も


「・・・儂は単に昆布の事が気になっておっただけなんじゃがな」


 大変な事に気が付いてしまったのぅ。

 出来ればルカには苦労なんてして欲しくは無いんじゃが。


 ・・・異界による浸食から『人』を守る事を考えるとルカの戦力は重要じゃ。他に同じような者を探すにしても、その数が少ない事は確実。ここは『誰でも簡単に魔術が使える世界』なのじゃからして。


 それに、きっとルカは『人』を守ろうとするのじゃろうし。


「なら儂がコヤツを守ってやれば良いだけの事よな」


 使い道の無い儂の力も、ルカの役に立つのなら、それはそれで価値がある。


 儂はそう思うし、この思いは間違えておらぬはずじゃ。






儂と田舎の小さな異変 完


今日も読んでくれてありがとう!なんかありそうな感じですよね。もちろん、あるんです。『 』の中身とかね。んじゃ、また来週お会いしましょう!

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