秘密結社SKRコントロール
雪深い森の中、内側が空洞になっている山の中に、その秘密結社があった。
「推進装置の改良は終わったのか? 」
「ええ、なんとか。しかし、これは反動が凄まじいですよ。本当に良かったのですか? 」
「仕方あるまい。最近は各国の軍隊が我々を補足しようとしているからな」
彼等は今、最後の追い込み作業をしている。この一年の集大成となるのが今日の一夜なのだ。
「それにしても今年はギリギリでしたね。TBがこんなにも手強くなるとは想定外でした」
「TBか……。あのハイエナ共め! 」
「奴等と取引するという案もあったと聞きますが……」
「ハッ! あり得ないな! 奴等は世界の敵だ! 我々からすれば悪魔よりも質が悪い!! 」
吐き捨てる様に語る司令の姿に、部下は苦笑した。
「だが、それに負けなかった我がSKRのエージェント達は流石だ。ともすればTB共と同一視されかねないミッションを、よく達成してくれた」
「ええ、彼等は我々の誇りです」
司令と部下が頷き合っていると、準備が整ったとの連絡が入った。ついに、この時が来たのだ。
「ミッションコード、オールグリーン! 射出口、開きます! 」
多くの部下達の視線が、一段高い場所に立つ司令に集まった。
「皆、今日までの一年、良く頑張ってくれた。我らの肩に掛かる全世界の期待は重い。しかし、我らは一度たりとも負けなかった! これからもそうだ! 」
「はい! 決して負けません! 」
「全ては、子供達の笑顔の為に!! 」
部下達の言葉に司令は笑顔で頷き、高らかに上げた拳を、発射ボタンに叩きつけた!
「TB(転売ヤー)共よ! 我々の勝ちだ!! 」
ボタンが押されると同時に『シャン、シャン、シャン』と鈴の音が響き渡り、山の外にまで伸びたカタパルトによって、ソリが射出された。
『フォッフォッフォーー』
そして、オーロラもかかる満点の星空を、ソリを引いたトナカイが走り、SKRの笑い声が響き渡った。
基地内を埋め尽くす歓声。しかし司令は激を飛ばす。
「まだだ、サポートを徹底しろ。世界中の子供達が笑顔になるまでが仕事だ! 」
だが、そんな司令の顔は笑っている。その手にあるグラスには、シャンメリーが注がれていた。
「だがまずは、成功を祝おう! メリークリスマス! 」
「「メリークリスマス!! 」」