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私達は校舎の影から彼らの様子を確認していた。
縄を巻かれた藤垣の回りにいるのは5人。3年生の雷と花網。2年生の山城。1年生の琉田。そして、秋川校長先生。
どうやら秋川達は、藤垣を説得して、他の刺客達の名前。つまり、私達が誰なのかを聞こうとしているようだった。
私達、『裏政府』側の敗北条件は、誰が刺客なのか当てられる事。
もし、彼がここで私達が誰なのか言ってしまうと、それだけでアウトだ。
仮に彼が口を割ってしまった場合はどうしようか、そう考えている時だった。
同じように様子を伺っていたもう1人の刺客が、肩を軽く叩いてきた。
そして、秋川らの遠く向こうに指をさした。
「あれって、八木山教頭よね?」
彼は黙って頷いた。
そんな彼を見て、若干私は不機嫌になる。彼は、私より優秀な遺伝子の筈なのに、コミュニケーション能力の部分だけがとても劣っている。
そんな奴に、データ的には負けているのがとても腹立たしい。
「教頭は何をする気なのかしら?」
どうせ言葉では返事をしない彼に言葉を投げかけた。
やはり返事は無い。何だか独り言を話している気分になった。
(まぁ、こんな事でイライラする必要は無いか……)
そう思い、再び彼らの会話に耳を向ける。
ちょうど、秋川らが八木山教頭に気づいたタイミングだった。




