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外話6・とある男の独り言
目が覚めたら、そこにあったのは、知らない天井だった。
まるで、フィクションの世界のような話だが、これは現実の世界の話。
3ヶ月程前。私は、自分が理事長を務める"教育研究高等学校"の入学式に出席するために理事長室を出た。
その直後の出来事だった。
電気が迸るよう奇怪な音が聞こえたと同時に、首元に激しい痛みを感じた。
(スタ、……ンガン?)
護身用に持っていた時期もあったため、自分を襲ってきた物の正体は一瞬で看破できた。
あとは、誰が襲ってきたのかを確認するだけ。
私は、薄れ行く意識の中。必死に首を回して、自分を襲った者を確認しようとした。
そこにいたのは。
「……、杏だと!?」
私の実の孫だった。




