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縁無の学校  作者: PEN
承ノ章
38/78

27話・反射


 翌日。オレは、授業中に隙を見つけては、昨日メモをしていた一枚の紙を見ていた。

 そこに書かれているのは、刺客の疑いがある者達の名前。3年生、2年生の生徒の名前は両手で数えられる程度しか書かれていないが、1年生だけは、30人は書かれていた。

 その紙をさっと見て、見覚えのある名前をピックアップする。


(2年生で顔と名前が一致するのは、(さかき)ぐらいだな。1年生だと、天鳴(てんめい)藤垣(ふじがき)(やなぎ)千羽(せんば)風見屋(かざみや)。3年生に至っては、誰1人として分からんな……)


 情報の更新がされてなかったのか、1年のH、I、J組の生徒の名前もあった。


(それよりも、天鳴(てんめい)も刺客の可能性があるのか……)


 今日の昼休みにでも、少し探りを入れてみる事にした。


******************************


 午前中の授業の終わりの告げるチャイムが鳴ると、オレは机に出していた教材をカバンに適当に入れて、天鳴のもとに向かおうとした。

 ちょうどそのタイミングで、千羽(せんば)がオレの前に立ち塞がった。


「あの、なんか用ですか? オレ、結構急いでんだけど?」

「急いでるかどうかは俺には関係無い。話がしたいんだがいいか?」

「急いでいるって言ったよな? 話はできない。またの機会にしようぜ。というか、せっかく連絡先登録してるんだから、そっちで話をしたらいいだろ?」

「話がしたい」

「いや、だか────


 あまりのしつこさに声を荒らげようとしたが、千羽が耳元囁いた言葉は無視できる物では無かった。


「前の自習室での件だ」


 これを言われると、大人しく従うしか無かった。


「分かったよ。少しだけなら付き合うよ」


******************************


「あの日、俺はお前からこのメッセージを受け取った」


 そこに書かれているのは、"放課後に2階の自習室に来てくれ"といった意味の物。


「そして、いざそこに行ってみると、J組の風見屋(かざみや)がいて、俺はそいつにボコされた。正直に言って、万全の状態でも勝てる気がしない相手だった」

「……」

「お前に聞きたいのは1つだけだ。あの時、なぜ、お前は俺を呼び出した」


 それに疑問を抱くのは当たり前だろう。

 用件を伝えられずに、場所と時間だけを伝えられ、いざそこに向かったら風見屋がいた。

 別に隠す意味も無いので、正直に話す事にした。


「あれは、ど───」


 しかし。


「あ?」


 話が途切れたオレに、不機嫌そうな目を向けられたが、そんな事にいちいち構っていられなかった。


(今のって……)


 視線の先。千羽の後ろを横切った人影に、オレの全関心が向けられた。

 気が付くと体が動いていた。


(なぜ……!?)


 背後から聞こえる呼び止める声を無視して、オレはその人影を追いかけていた。



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