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プロローグ
横断歩道を渡る前、正之清静は暗い顔で赤信号を見つめていた。
しばらくして信号が青に変わり、周りの者達は横断歩道を渡って行く。
青になるのを待っているはずなのに
渡ることができるのを待っているはずなのに
清静はそれを望んでいなかったような足取りで歩み出した。
その瞬間、あまりにも黒い影が清静の全身を覆った。
そして先程までは無かったはずの奇妙なヒビが信号に入っている。
薄気味悪いうめき声までもが背後から聞こえてくる。
先程居たはずの人間までもがこの奇妙な現象が現れると同時に消え去った。