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炎の錬金術師ッ!!・・・だったはずでは?  作者: みたらし
第一章 プロローグ
2/8

第二話 神父の名前

2020年1月3日、軽く修正。

 

 ロイが何処で生を授かったについては、ロイはおろか誰も知る由もない。なにせ、ロイは孤児院の扉の前に置かれていたのだから。ただ、ロイが物心ついた頃から今まで一度も、王国の王都 ソフィアには、来たことはなかった。


 神父が操る馬車に、ゆらゆらと揺られながら外の風景をぽけー…と呆けながら眺めるロイは(いやー…昔から、なんでも出来ちゃう神父様って、凄いなぁ…)と、見事な手捌きで馬を操っている、そんな神父を心の中でロイは称賛していた。そんなロイから、称賛されてる神父はというと、ジッ…と何故かロイの事を見ていた。


 ふと、神父からの視線に気づいたロイは(……?…神父様、なにか用かな…?)と、ロイは内心思いながら神父を見つめ返す。神父はそんなロイと目が合うとフィッ…と視線をそらした。

 ロイは、んん?と疑問に思い首を捻りながら、神父から見られていたことは別にどうでもいいか…と、ロイはひと息つくと王都である、ソフィアの街並みを眺めることにした…



 ブルガ王国の王都であるソフィアの街には、いろんな人がいる。

 青果店の店主と思われる男性と、談笑している笑顔の中年女性

 かけっこでもしてるのだろうか?走り回っている子どもたち

 店に陳列された商品を手に取って、商品を眺めている男性


 ロイは今まで住んでいた、リガルの街の雰囲気についてしか知らないロイは、王都に住んでいる人の多さにとても驚く。ロイが住んでいたリガルは、王都であるソフィアと比べるまでもなく小さかったみたいだ。神父の話や本などで、ロイはソフィアについて知識は得ていたのだが、実際に自分の目で見て感じるソフィアの広大さにロイは驚いた。


 実際にブルガ王国の王都だけあり、ソフィアの外周をぐるりと周るだけで馬車で数日かかるだけの大きさを誇っている。

 街中の交通手段として、馬車での移動を推奨される程に…



 ソフィア内にある建物の中で、より一段と広い敷地を所有している建物の前で神父は馬車を止めた。


「……ロイ、到着だ…"王立アカデミー学園"に…ついてこい…」

 神父は馬車の中から、ロイの荷物を取り出して右肩へ担ぐと、学園の門へと向かって神父は歩き出した。神父は学園の門にたどり着くやいなや、地面へおもむろに手をついた。神父の白い手袋に描かれている錬成陣が、銀色に輝き錬金術が発動した。


「……えっ!?…し、神父様!?…いったい何を!!?」

 ロイは神父様()()の行動を、理解することが出来ないでいた。


 神父は、直径2メートル程あるかと思われる鉄球を、手袋で地面から錬成させたかと思うと、その鉄球を軽々と左手で持ち上げておもむろに学園に向かって投球した。

 神父が投げた鉄球の先には…()()()()()()女性が立っていた…


 その女性は、神父が投げた鉄球に対し右拳をググ…っと構え

「…セィ…!」と正拳突きで、鉄球を()()()した…


「…久しいな、サラ…」

「そうね、()()()…♡」


(神父様って、ナナシっていう名前なのかっ…!!初めて知った…!!)

 神父改めナナシは、ロイに名前を教えようとしなかった…



 ちなちに、この時ナナシが投擲した鉄球は総重量50キロを余裕で超える重さだったりする。



 神父もまた、孤児だった…


 生まれて間もない頃、ロイと同じくナナシも孤児院の扉の前に捨てられていた。当時の孤児院の神父の()()()()でナナシと名付けられた。

 当時の孤児院の神父は、酔っていたりしていなかったり。

 後に、ナナシが名前の由来を聞いた時の状況は、推して知るべし…

 ロイから名前について聞かれることはなかったというのもあるが…



 ナナシは驚いた表情をしているロイを放置。


「……サラ、こいつがロイだ…よろしく頼む…」

 ナナシはロイを指差しながら紹介する。


「はいはい、了解。 ねぇ?…あなた、まだ神父なんか続けるつもりなの?」

「…ああ…俺の使命だからな…」


「……もったいない人」

 サラと呼ばれた女性は非常に残念そうに呟いた。


「…サラ…あとは任せた…」

 ナナシは馬車の操手席に颯爽と飛び乗ると、ロイと王都に来た時よりも速い速度で逃げる様に去って行く…


「もぅ…照れ屋なんだから…」

 サラは小さく呟くと、ナナシの操る馬車が見えなくなるまでずっと馬車を見つめ続けていた…



 ロイはサラのコトを、驚きと賞賛の眼差しで観察する。

 あのナナシが逃げる様に去っていったのと、ナナシとの応対した手腕、サラの容姿がどうしても20代後半くらいにみえるのだ。

 あのナナシが40代後半ぐらいかなぁと思っていたというのに

(しかし、お世辞抜きで…とても綺麗な人だなぁ…)


「…ふふふっ…お世辞でも、嬉しいわ…」

 サラは妖艶な笑みと雰囲気を醸し出してロイへ微笑む


(…ッ!?…えっ!?…心、読まれた…!?)

「…ロイ君、だっけ?…読むつもりも、なにも声、出てるわよ…?」

 サラに呆れられながら、きっぱりと言い切られてしまった…



 《ロイの心に50のダメージ!》



「ロイ君?…ちょっと、きてもらっていい…?」

 精神にダメージを受け、放心状態のままのロイの手を半ば強引に引いて、サラによってロイは連行されていく…


「はい、到着!」

 部屋の中央に巨大な水晶だけが、堂々と鎮座する広間へロイは連行された


「ロイ君、ロイ君!…コレって見たことある?」

 サラはその巨大な水晶を、指差してロイへ聞く


「……はい。えっと…測定が出来るん、でしたっけ?」

 やっと放心状態から立ち直ったロイはサラの質問に答える


「そんな感じの理解でOK!…さっそくだけどコレに触れてもらえる?」

「……はぁ。…」

 サラに言われ、わかり切ったことなのに?と、疑問に思いながらも、渋々ロイは水晶へ触れる



 この世界の住人は錬金術について、適性があるかないかを王立学園に置かれている、この水晶【ハンテイシチャウゾー】で一生に一度は測定を行っている。

 大抵の場合、幼い頃に親に連れられ、測定出来る場所で測定を行う。錬金術の能力適性のあるなしで、おおまかな教育方針を決めたりする。物覚えつく幼い頃、ロイもナナシに連れられ、リガルの街に置かれている劣化版水晶【ハンテイシチャウゾー(仮)】で測定したことがあった。


 学園に存在する水晶【ハンテイシチャウゾー】は、生徒の教育方針を決める為や、錬金術の適性を詳細に見れる水晶なのだ。各街にはこの学園にある水晶の、劣化版である劣化版水晶【ハンテイシチャウゾー(仮)】が、街ごとにだいたい置かれている。人数が少ない街には置かれないこともあるが…

 劣化版では、詳しく能力判定することは出来ない。街の住人にとって、劣化版で簡易的に自分に適性や、能力の有無があるのかについてさえわかればいい。学びの意欲ある者だけが、王都にあるこの王立学園で錬金術を修得し、錬金術の能力を伸ばせばいいという考えのもと、各街には劣化水晶が置かれている。



 ロイは、水晶に触れたが疑問顔。水晶は()()で輝いているのだが…

 とても()()()()()()で、見様によっては()()に見えなくはない。幼い時は()()だったはずなのだが…


「…ロイ君って、こう…凄いね!」

「水晶って、色が変わるもの…なんですか…?」

「んー…街にあるのは、劣化版だし…とりあえず挑戦してみよっか!」

「えーっ…と?」

「そうだねぇ…えっと、ここ! ここに火を出してみて!」

 サラは何もない空間へ、錬成して火を出すようにロイに懇願する。


 ロイは長年の鍛練で、火を出現させるのは寝ていても出来るほど得意中の得意。ぱぱっと、ロイは頭の中に簡単な錬成陣を思い描き、指先へと発動させる。ぽぅ…と、小さな火がロイの指先に出現した。


「ロイ君、凄いね!…錬成陣なしかぁ…」

 ロイの実力に対し、サラは歓声を送るとロイは照れた


「…錬金術は得意なので…頭の中で錬成陣を、構築しただけですよ。流石に錬成陣がないと、錬成なんて出来ないですよ…?」

 ロイは照れながらもサラの言葉に謙遜する。


「いやいや、充分凄いよ!ロイ君はほんとっ!素質が凄いね!」

「あ、ありがとうございます…」

 サラが純粋に褒めてくれるので素直にロイは照れる。


「次…水とか、出来ない、かな?」

 サラは少し思案しながらロイへ聞く


「…水? です、か?…火の錬成しか、私には無理ですよ?」

 サラの提案にロイはひどく困惑する。


「挑戦してみようよ!!もしかしたら、ロイ君なら出来るかも!!」

 サラはとても楽しそうに、ロイへ水の錬成への挑戦を勧めてきた。



 この世界の火の錬金術師には、水の錬成なんて出来はしない。超理論ならば火で水を作ることは可能かもしれないが、術式が高難易度、複雑怪奇でほぼほぼ実現は不可能だ。



(水の錬成なんて、出来ないと思うけどなぁ…まぁ、サラさんが期待してるから、挑戦だけしてみるか……そういえば、神父様って錬成出来たのかぁ……ほんと、なんでも出来るなぁ…神父様。 あれ?…神父様の錬成陣の色…銀色だったよな?…サラさんの錬成陣も、色が違ったりするんだろうか…?)


 しばらくロイは、心ここに在らずといった感じだったが…水の錬成に挑戦する途中だった事をロイはふと思い出し、今まで頭の中で考えていた感想を頭の隅へ追いやり集中し始めた。



 火の錬金術をロイは、実験と称した数々の危険な行為で学んでいった。他の属性について、基礎的な術式だけならばロイは少し覚えていたりする。

 ロイがなぜ覚えていたかというと、火の錬成陣の術式に、他の属性の錬成陣の術式を組み合わせて転用が出来ないか?といった発想によるものだったりする。


 その発想によって、ロイは火を()()()()という術式を独学で発見していた…

 通常はその発想には至らない。火は基本的に、全てを燃やし尽くす"のみ"。それが常識や固定概念として広く知られている。


 ロイは幼い頃に遭遇した火事の事へ思い至り、微力ながら自分が火を操れれば!とその意思のみで、ロイはその発想へと至った。ただ他の属性の術式を、一部転用するというのは複雑で難易度が一段グンッと上がる、なかなかの高等技術だったりするのだが、ロイにはなぜか理解やその理論も把握出来ていたりする…



 集中出来てきた!

 ロイはごく簡単な、初歩中の初歩で習う水の術式を頭の中に思い描き構築していく。

 ロイは火の錬金術の要領で、水の錬金術式を展開して床に手をついて錬成陣を発動!


 すると、ロイの手から()()の光が迸った…


 ロイはほんの少し動揺したが、集中が乱れると失敗するからと気にせずに錬成を続けた。



 そしてついに、ロイは床へ簡単な水たまりを出現させることに成功したのだった…



軽く加筆&修正しました。

次の話から本格的に加筆していくと思います。


旧の話から大筋で変更はしませんので話のネタバレ?が読みたい方がいましたら、旧を読んでいただければ幸いです。


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