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炎の錬金術師ッ!!・・・だったはずでは?  作者: みたらし
第一章 プロローグ
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第一話 プロローグ


初めて書いた小説の修正版です。

よろしくお願いします。

2020年1月3日に軽く修正

 

 ……私はロイ……孤児だ……



 私は産まれて間もない頃、網カゴへ毛布に包まれた状態で孤児院の門戸の前へと、置かれていたらしい……


 らしい。というのは私が小さい頃、神父様に聞いたところそうだったと、簡単にではあるが教えてもらっていたからだ



 私は孤児院に対して、不平や不満等といった感情については特に何も思い浮かんでこない。両親が不要な私を捨ておいて、孤児院へと放置したことに対しても、私はなんとも思わない。

 孤児院で、今日に至るこれまでの日々を過ごし、むしろここまで私のことを育ててくれた事に、私はとても感謝さえしている



 私は私のことを産んでくれた母親や、父親の顔を見てみたい……などと、今まで生活してきた中で、一度も私は思ったことはない。私にとって、親と呼べる人物は神父様だけなのだ。


 私を孤児院へと捨てることになってしまった経緯について、両親へ問いただしたいと思わない。むしろこんな私に、生を与え産んでくれた事について私は感謝している…

 教会と孤児院を両立させている神父様から、子どもを産む際の辛さや命の大切さについて、私は神父様に教えてもらっているから……






 …さて……前置きは、これくらいで……いい、かな……?


「……なぜ、こう…なってしまったんだ…??」

 小言と過去の走馬灯が、つい漏れ出てしまったことに私は仕方がないと思っている。

 だって…目の前が……この辺り一帯が……………




 火の海なんだもの。。。。。



 ()()実験が失敗に終わってしまった…


 私は頭を抱えその場でうずくまった

(私は、悪くない…はずッ! むしろ、この向上心を、褒めて、欲しいッ! 人というのは、好奇心ッ!という名の、魅力には、抗えぬ…はずッ! だって、人は、失敗から、学ぶッ! と、私は神父様から学んでいるのだ…ッ!)


 ちなみに今回、ロイが実験と称して行った行為は、火の錬金術の()()の掛け合わせを実行した結果による



 ちなみに、錬成陣の掛け合わせを行うコトなど誰もやろうとはしない。構築が複雑になり膨大な知識が必要になるため。

 ロイは独学の為、そんなことは知りもしないが…



「……はぁ。…片づけるか……」

 ロイはため息をつきながら、ガックリ…と絵に描いた様に肩を落として、火の海へと変貌してしまった場所を片づけるため、消火作業へ取り掛かる


 今回ロイが、実験と称して行った行為の場所の周りには、草や木といった、燃え広がるものが辺りにあまり見当たらない、ただの荒地で実験したのが火の手があまり広がらなかった、せめてもの救いであろう……


 ここなら、誰もこないと思っているロイの実験場ではあるが…



 ロイは気乗りしないながらも、火の海を対象に定め錬成を行う。すると、ロイの両手から紅い光が迸り(ほとばしり)火の海が、ロイの錬成によって淡く紅く光り輝きだす。

 火の海がロイの錬成に反応して、効果を発揮すると火の勢いは時間の経過と共に急激に弱くなり、火の海は鎮静化していった…



「……ふぅ。これで大丈夫…ッ!」

 火の海への錬成に成功したことで、今現在の火の海は、荒れ地で白い煙をモクモクとあげるだけのみとなっていた。



 全力で完璧に擬装するつもりならば、ロイの実力なら白い煙も消すことは可能だったりする。



「これ絶対、バレるよなぁ……んー…」

 どう誤魔化したらいいものか…と、ロイは悪知恵で頭を悩ませる。ロイは神父に怒られるというコトが…非常に、()()()、怖く…とても恐れている……


 怒った際の神父のしつけという名の罰が、ロイは昔からもの凄くトラウマであった。

 孤児院の庭に、立派な大木が生い茂っていて、そんな大木へロイを縛り括り付けたり、荒縄でロイの体を縛って大木に吊るしたのちにそのまま放置したり。尻をむき出しにした状態での、しなるムチによる百叩きをしたりなどなど…挙げたらキリがない程、ロイはいろいろと神父から罰として罰せられていた…


 ※あくまで、ロイに対する神父なりのシツケであり、決っして虐待ではない。神父はロイの事を、自分の子供として愛してます!



 どうやって神父様に言い訳しようか…など、ロイは頭を悩ませながら、肩をガクリと落としてリガルの街へと向かってトボトボ…と歩きだす


 ロイが住む孤児院は、リガルという街の中に存在する。リガルは、ブルガ王国のリガル領内にある住人2000人程が住む、のどかでこじんまりとした街である



 とうとうリガルの街へとたどり着いてしまったロイは、非常に重い足取りで牛歩作戦を実行すべく、ゆっくりと孤児院へ向かって歩いた。ロイが孤児院へ嫌々ながらも向かっている理由は、神父に実験の失敗をしてしまったことについて懺悔する為だ。


 過去に一度、ロイは神父から叱られることを恐れ、孤児院には帰らず野宿を敢行したことがあった。しかしなぜか、その野宿先が神父には筒抜けであった。その野宿を敢行した、当時のロイが酷い目にあったとだけ、記載しておく。



 ただ……

(懺悔とか、正直、超ッ! したくないッ! ものすごく、ものすごく、したくなんかないッ! なんで、懺悔なんて、しなければ、いけないんだッ! むしろ、懺悔しようと、ほんの少しだけ、思っている、私のッ! このッ! 心を! 褒めてくれッ! 私は、悪くなんて、ないッ! 全て、好奇心が、悪いッ!)

 …などと、ロイは心の中でブツブツ…と呟いているうちに、ロイはとうとう孤児院へとたどり着いてしまった…



 教会に勤めている歴代神父の申し送り事項として、孤児院の管理を代々任されている。その為管理し易い様に、教会の隣に孤児院が建てられている。

 孤児院の外観はかなり年季が入っていて、古くからリガルの街に現存している。リガルの街中の、他に建っている家などと比べると、孤児院の年季が相当なモノだと一目でわかる。しかし手入れだけは事欠かさないように、丁寧に隅々まで手入れが行き届いて孤児院は管理されている。


 その手入れも、ロイが罰としてたまに貢献していたりする。



 ロイは孤児院や教会の辺りをキョロキョロと見渡して

(よしッ! 神父様、いつもこの時間帯なら教会の方にいるはず…!)

 とこの時、神父にだけは会いたくないロイは、孤児院の扉に手を掛けて、静かにそー…っと扉を、1秒間に1ミリぐらいの感じでゆっくりと開ける。


「………おかえり…ロイ…」

 しかし! 孤児院の扉を開けたロイの目に飛び込んできたものは…!

 分厚い胸筋の前で、両腕をガッチリと組んだ仁王立ち、しかしその容姿は神父服を着ていないと、数々の修羅場を潜り抜けてきた極道かな?と思えてしまうガチムチの神父様。そんな神父は笑顔を浮かべてはいるが、しかし()()()は笑っていない神父が…何故か扉の先に立っていた……


「……ただいま…帰りました。神父様……?」

 ロイ自慢のポーカーフェイス?で神父へ、ロイはとりあえず返事できたと思った。

 しかし神父の目は誤魔化せず、ロイの目元が僅かにピクピクと引き攣っている。そんな様子を、神父は無言の笑顔で静かにロイを見つめ続ける。しかし不動の仁王立ちで。


 ロイの体感時間で数分から数十分間、実際は約1分弱。神父と見つめ合っていた、ロイの額から冷や汗が一筋、ツーっ…と垂れた頃

 神父の無言の圧力ッ! という名の説教に屈して、とうとう観念したロイは神父が何も言わずとも、自ら進んでその場へ正座した。正座したロイを無言でジッ…と、成り行きを静かに静観していた神父は、ただ淡々とロイへと尋ねる


「……怪我は…?」

「ありませんッ!」

「……そうか…言いたいことは…?」

「ありませんッ!」


「……そうか…()()()()()()()()

 ロイが隠そうとしているのが筒抜けで、すべて丸わかりな神父は再度、語気を強めてロイへ問うた


「…以後気をつけますッ!」

 ロイはたじろぎながら少し間を置いて、神父にそう答えた


「……はぁぁぁ…ロイ、お前が無事ならいい。…今回は不問にするが、無茶だけはするな……わかったか?」

 神父は右手で顔を覆って、溜め息を吐きながら告げる


「はいッ!神に誓ってッ!」

 ロイは正座のまま、清々しいほどキリッとした表情を浮かべて神父に返事をする


 やれやれ…といった感じで、神父はロイを孤児院に手招きして中へ入るように促す。神父の許可を得て無事、孤児院に入り込めたロイは、そのまま孤児院内にある自室へ脇目も振らずに直行。そのままベットへ倒れこむように、ロイはうつ伏せに倒れこむ。ロイはベットでうつ伏せになりながら、なぜ神父様にバレてしまったのか、とロイは不思議だなと考える。

(ポーカーフェイスには結構自信があるのになぁ…)

 頭の中でぐるぐると、ロイは次の実験は何をしようかなどと、いろいろと考えているうち瞼が重くなってきたのか、ロイはそのまま静かに眠りについた…



 神父は、ロイが自室に素直に入っていったのを見届けた後、腹を空かせているであろうロイの為に、食事の支度に神父は取り掛かった。

 大鍋をかき混ぜるながら煮込んでいる最中、神父は手が空いた合間にふと…窓から見える景色を眺める。荒れ地の方向から白い煙が、モクモクと上へ上へと昇っているそんな景色を…



 ロイは自分の空腹の音で目が覚めた。

 陽が落ちた部屋は、すっかり暗くなっていた。


「……明かり…明かり、っと…」

 ロイは頭の中で錬成陣を思い描き、火の錬金術を発動する。

 空気中に存在する物質を対価に、ロイは錬成陣を構成した。なのでロイが意識的に消そうとするか、もしくはロイの周りから空気自体がなくならない限り、半永久的に錬成した火は消えることはない。ロイは部屋に置いてあるランプへ、錬成した火で点灯させる。ロイは点灯させたランプを片手に、自室を出ると食卓の方へ向かった


「……起きたか、ロイ…後で話がある…」

 部屋へ入ってきたロイに気がついた神父は、食事を支度をしながら静かにそう呟いた


「…はい、神父様…」と、ロイは返事をして席に着く

 ロイは昼間の事か…と、肩を落とし落ち込む。神父がまだ引きずっていて、怒っているのかと憂鬱になりながら……



 〜孤児院のご飯事情について軽く説明〜

 街の住民の方から教会へ食材やお布施など、寄付として分けてもらっていたりしているので、食材の数が少なくいつも質素になりがちだ。質素になってしまうと、材料が足りないから普通は美味しくはない。なのだが…神父様の料理の腕がいいのか、味に不満はない…むしろ美味い!?

(街で定食屋を開けば、神父様の腕ならそれなりに繁盛して儲かるんじゃ…?)など、ロイは毎回思いながら神父が作ってくれたご飯を食べている。



 ロイが、神父とご飯を食べ終えひと息ついていた頃に…


「…さて、ロイ…突然だが、学園に行け…」

「…エッ!?……い、いきなりですね…神父様?」

 神父からの突然告知された提案にロイは驚いた


「…ロイ、錬金術が楽しいのだろ?…学園ならば、錬金術について学べることは多いだろう…」

 確かにここ最近、ロイは錬成が楽しくて楽しくて実験と称して色々と…やらかしていた。


「…ロイ、楽しいというのは別によい。…だが、錬金術には常に危険が孕んでいる。…その危険性を、学園で学んでこい…いつまで孤児院にいるつもりだ…?」

 神父様は優しい人だ…私のことを思い言ってくれている。

 神父に今まで育ててくれた恩返しがしたくて、神父の力になりたくてロイは錬金術を身につけてきた。

 最近は火の扱いについては、だいぶ慣れてきたつもりだ。昼間の惨事はまぁ…引き起こしてしまったが……

 火の錬金術については、だいぶマスターしてきていると自負しているつもりだ。だが錬金術について、確かに学ぶことがあるのも確かだ。今以上に火の錬金術を扱うことが出来れば、もし仮に孤児院が火事になったとしても自分の力で鎮火出来ると思う…



 ロイが物覚えつく幼い頃、街に火事が発生した…


 火事が起こっている建物に向かって、女の人が泣き叫ぶ。他の住民は、女の人が火事が起きている建物の元へ行かないように抑えているが、女の人は誰かの事を必死に泣き叫びながら建物に向かおうともがき暴れている…


 今でもその光景をロイは夢でたまにみる……

 火の手がどんどんと広がり街を火の海へと変貌させていく、その勢いは火事を物見遊山として見物していた野次馬的な人も、次第に火の手が街を飲み込むその速さに恐れをなす。火の手が広がるのを防ぐ為に、住民は力を合わせ街の中に流れ込んでいる川から水を汲んでは火事の消火を試みている。しかし火の手は、焼け石に水の如く火の手が弱まることはない。

 住民の根気強い頑張りにより、ようやく火の手が弱くなってきたその時、国から街へ配属されてる騎士団が火の手が弱くなった、その時を見計らったかのように駆けつけた。騎士団に所属している、水や土の錬金術師が連携して火事を消火して街の火事は鎮火していった。しかし建物に向かって、泣き叫んでいた女の人の、大事にしていた人は火事によって帰らぬ人になっていた…


 幼いながらその時に何も出来なかった、そんな無力な自分が悔しかったのを、ロイは今でも夢でみる…



「…学園に、入りたいです」

「……そうか。…学園の学長には、話をつけておこう…今日はもう早く寝なさい」


「はい、神父様……おやすみなさい」

 神父に一礼して、ロイは自室へ戻った


 ロイはベットの淵へもたれかかり、神父のツテやその交友関係が広いことに改めて驚いていた

(神父様っていったい何者なんだろ…?)


 しばらくぽけー…っとしたあとロイは、ベットに為すがままに倒れ込んで寝た…



 ロイが寝たのを確認した神父は、孤児院の外へと出た。

 神父はおもむろに、地面へ複雑な錬成陣を書き入れる。その描いた錬成陣へ、手をついた神父は錬金術を発動させた。錬成陣が銀色に輝き迸ると、錬成陣内の描かれている地面から何かが浮かび上がってきた。

 神父は地面から錬成した、鉄で出来ている無線機の様な何かを手にした神父は、小声でその無線機の様な何かで誰かと会話していた……




 翌朝ロイが起きて目を開けると、ロイの自室に神父が何故かいた


(……ん?…寝ぼけてるのかな…?)

 ロイは重い瞼をぐりぐり擦る。もう一度ロイが部屋を確認する。ロイの自室にはなぜか神父様がいた。


「…おはようございます…神父様?」

「……い、おはよう…ロイ…」

「…何故、部屋に…?」


「……朝ご飯食べたら、学園へ向かうぞ」

 ロイの疑問には、神父答えずご飯を食べるように促す

(……!?…えっ、早くね!?…神父様、いったい何者!?)


「…学園について、心配か…?」

 神父はロイの動揺を、学園についての心配によるものだと勘違い


「……は、はい……あ、あの、入学金?などのお金は…そ、その…大丈夫、なのですか…?」

 ロイは神父の顔色を伺うように、歯切れ悪く途切れ途切れに尋ねる


 ロイの寝起きでついた寝癖を、神父はわしゃわしゃと撫でて

「…ロイ、心配なぞいらん…学園には、奨学金制度という制度がある…」

「そうなの、ですか…」


 ベットから起きあがり、ロイは洗面台へ向かい水で顔など洗い食卓へと移動した。ロイが顔を洗っている間に、神父が食事の準備をしてくれていたので、朝ご飯を神父と一緒に食べた。

 朝ごはんのあと、孤児院の外へロイが出ると、馬車は既に待ち構えていた。

(これも、神父様の手配…?)


「さてロイ、学園へと向かうか…」

 神父は馬車へ、ロイの荷物を積み込む


「神父様、馬車を扱ったことなんてあるんですか…?」

 馬車の操手に誰も見当たらなく、馬車の周りには誰もいないのでロイは神父に質問した


「……昔に少し、な…」

 神父は遠くを見ながら遠い目で呟いた


 馬車の客室へロイが座ると、神父は操手席の方へ座る。神父は、王国一を誇る学園へ向けて馬車を走り始めた…



旧のヤツから大筋は変更しません。

もしよろしければ、旧のヤツもみていただければ幸いです。

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