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一 全ての始まり 〜その三〜

 さてさて、今回も閲覧ありがとうございます。どうも、suryu-です?


 なろうに入って漸く三話目。なんとなくで書き始めたのに、意外と書けるもんですね。

 普段はオリジナルはあまり書かないのですが、こうして書いていると、なかなかに楽しいものです。

 そんな感じで私はやってますが、感想やらなんやら、あったりすると嬉しいです。

 それでは、今回もごゆるりとなさってくださいな。

「報告! 此度の匈奴達は完全壊滅! 我々の勝利との事!」


「ほ、本当にそこまで……」


 城の中。孔明は兵たちの報告を受けて、驚いていた。俺。竹中優希は、その戦果に安心しつつも、これで信頼してもらえるだろう。と感じた。

 そもそも、何故言葉が通じるのか。とか、もしや三国が敵対してないのでは。とか、気になることは、幾つもあるが、とりあえず。目の前の勝利を喜ぶことは、忘れてはいない。

 しかし、関羽さんはとても上手くやってくれた。素直に指示に従ってくれた、その勇気はとても凄いと思う。

 普通。知らない男が軍師なんてやっていたら、信頼も何も無いだろう。だが、それでも実行した関羽さんは、尊敬に値する。


「竹中さん。私、その。驚きました。本当に全部、思い通りになってて……」


「よしてくれ、孔明。……推測はただの推測だ。上手くやってくれた兵や、将の功には負けるさ」


「竹中さん……」


 孔明は、きらきらとした目で自分を見る。実際、自分の考えていることはこんなものだ。戦いにおいて、指示を出すことは出来ても、功績をあげるのは兵士なのだから、自分が自分が。と前に出るのは、良いことではない。

 それにしても、この状況は未だに謎なことが多い。例えば、最初こそ気にしていなかったものの、何故か言葉が通じている。とか。話を聞く限り、三国が戦っている様子もない。

 それどころか、協力して今回の敵を退けた。と言うふうにも見える。一体、何がどうなっているのかさっぱり分からない。

 だが、軍師として招かれたからには、何らかの意味がある筈だ。左慈……仙人が、何故か自分を指名したのは、きっと理由があるのだ。


「そういえば、孔明様」


「どうしました?」


「その、周瑜様が竹中様に会いたいと……」


 と、そこでさらに頭を悩ませる発言を、耳に聞きいれてしまった。周瑜公瑾。三国の呉において、その頭脳を生かし、軍師として活躍した。と記憶している。

 全くもって、俺は平凡な男性だったはずなのだが。と、なんとも言えない感覚に襲われた。

 だが、何時までもその事に悩んでいても、仕方が無いだろう。と思えば、出す答えは一つだ。


「周瑜さんに、会ってみるか」


「え? い、いいんですか? 竹中さん」


「良いも何も、これで何も言わなかったら、向こうからくるさ。だから、その前にこちらから行く」


「……なるほど」


 孔明は、俺の言葉を聞くとすぐさまに頷いた。まぁ、そうだろうなとは思う。厄介事は得てして、向こう側からやってくる。というのは、どの場所に置いても共通しているだろう。

 そんな俺の思考を読んだのか、孔明は俺の事を撫でようとして、足りない背を伸ばして、頭を触ろうとする。が、届かない。


「……なんだこの可愛い生物は」


「む、むぅ……届かないです。やっぱり、竹中さん背が高いんですよ。身長欲しいです」


 やばい、孔明が物凄く可愛らしい。見た目幼女にはあまり興味がなかったが、ここまでの破壊力があるとは思わなかった。

 幼子が大きな人を、撫でようとする。その姿はなんとも、今までにない新たな発見だった。


「……竹中さん。変なこと、考えてません?」


 とかなんとか考えていると、孔明がジト目を向けて来たことから、少しは自重する事にする。そうでなきゃ、多分怒るだろう。間違いなく。そうなると、色々処理が面倒……もとい、大変なことになるから、話題を変えることにした。


「で、だ。周瑜殿はどうして俺に会いたがっているんだ?」


「た、確かにそうですね。どうしてなんですか?」


 孔明がジト目をやめて、兵士に問いかけると「あー、それは、ですね」と少しばかり言い淀んでから、悩んだ末に、彼は言うことにしたようだ。


「”軍師としてとても優秀で、一度軍略を話したい。そして、良ければ呉に良い遺伝子を残したいものだ”……だ、そうでして」


「……えっ?」


「はぁ……?」


 が、その答えは、俺が考える限りでは、とんでもなく面倒な話にも見えた。そもそもなんだ。遺伝子を残したいって。とか、軍略談義ついでに、何か企んでないか。とか、ツッコミをしたら、キリがなさそうな気がした。

 まぁ、とはいえ行くと決めたんだから、やることはやらねばならない。周瑜その人に会うしかないのだから、ゴタゴタ言うのはやめにした。


「それでは、周瑜殿に会いにいくとするか。兵士さん。案内してくれ」


「はっ。分かりました。竹中様!」



■■■



「さて、噂の竹中殿はやって来る。か。とても気になるものだな。いったい、どのような殿方か」


 私。周瑜公瑾は、柄にもなく興奮している。あれほどの策略を見せた、名軍師。竹中優希殿は、私が求めるような男かもしれない。

 今までに男に言い寄られた数は、数えるのは無駄なくらいだ。だが、どの男も頼り甲斐など無く、知識も私に勝ることがない。それ故に、男は皆馬鹿だ。と偏見を持ったこともある。

 だが、竹中優希という男の話を聞いた時。私は、とても燃え上がる感覚を得た。男ながらに軍師を、務めているという事で。そしてその才能を、私は目の当たりにした。策略がひとつも外れること無く、匈奴を全て捕らえるか潰すことに、成功したのだ。


「……それ程の男が、今から私のもとに来る。か。ふ、ふふ……待ち遠しい」


 さぁ、早く来てくれ。竹中優希。私の思った通りならば、きっと。きっと……求めた通り、私の渇きを満たしてくれるはず。


「失礼します」


 そこで扉を叩く音がして、ゆっくりと開かれる。扉の先から現れたのは、優しげな雰囲気を醸し出す青年で、顔はよく、黒髪と黒い瞳が私を見つめる。意思の篭っている、真っ直ぐな瞳だ。私の瞳にも、おそらく熱が浮き出ているかもしれない。


「お初にお目にかかります。竹中優希と申します。自分の事をお呼びした。と聞きまして」


「周瑜公瑾だ。竹中殿。宜しく頼む。さぁ、まずは座ってくれ。ゆっくりと話をしようじゃないか」


「お気遣いありがとうございます。周瑜殿」


 私の前にある椅子に座れば、私の事をどんな人物かと見定めようと、彼の目は私の至る所を一瞬で見る。ジロジロと、ではないのがまた好印象だ。

 女であるからには、男からそういう目で見られることはわかっていたが、それを許せるかは別だ。が、彼なら許せるかもしれない。なんて、考えてもいる。感じるのだ。なんとも強い、意志を。力を。


「それにしても、名軍師周瑜殿が、私みたいな一介の男にどのようなご要件で?」


「まぁまぁ、そんな謙遜なさるな。我々が手を焼いてきた奴らを、ああも簡単に策略で退けたのは、貴殿が初めてだ。竹中殿」


「そうなのですか? それならそれで、喜ばしいことではありますが」


 それにしても、まだこの男は仮面を被っている。私がどのような女か、まだ検討がついていないのだろう。それならば、好機。押し込むことが出来る。


「それにしても、この部屋は暑いものだな。密閉しているからかもしれんが……竹中殿は、そう思わないか?」


「え? どうでしょう……って、周瑜……殿?」


 私がつぷり、つぷりと胸元のボタンを外し弛めた事で、少しばかり驚いた表情を見せる。ふふ、案外初心なのかもしれないな。嗜虐的な、楽しさを覚える。さて、次はどんな表情を見せるか。腰衣を少しずらしてみる。狼狽えが、見え隠れする。


「あの、何を考えてるんですか? 周瑜殿」


「何って、暑いから。だ。それとも、色っぽく見えたか?」


「……周瑜殿?」


 やはりというか、面白い。これほどの男を揶揄うことが出来るのは。顔も良いから余計に、だ。私がこのような事を思っているのは、孔明でも予想出来ないだろう。そして、先程の驚いた表情から、冷静な表情へと変わった彼は、なんとも凛々しい。


「揶揄うのは、やめてくださいな。男にそのような行動はなりませぬよ、周瑜殿」


「……ふむ」


 惚れ惚れする程の顔つきに、そこで私は赤面してしまうだろう。ここまでの色仕掛けに、彼は動じなかった。いよいよこれは、本物の男なのかもしれない。とても呉に、連れていきたいものだ。


”故に”


「やはり、私の見立ては正しいようだ。呉に来てくれないか、竹中殿」


「ふむ、それが目的でしたか」


 彼はそこで思考の波に身を潜める。私の言葉を聞いて、即決もせず考えてから決める。きっちりと、軍師としての性格を持っているようだ。どのような答えが返ってくるか、私は楽しみにする。その一方で、望む答えはかえってこない気もするのだが。


「……少なくとも、今は行けません。孔明も心配するし、私はまだ敵の正体も知らない。やることが多いまま、呉には行けませんよ。……蜀にもまだ行ってませんしね」


「……む、そうか」


 思った通り、彼は私の望む答えは言わなかった。だが、いつか必ず連れていくと決めては、よし。と頷いた。


「ならば私も同行しよう。呉には、私以外にも優秀な軍師がいるからな」


「……本気ですか?」


「本気だ」


 彼の問いかけに勿論と返せば、彼は仕方ないと言った顔をして苦笑いを浮かべた。なるほど。我儘を認める程の、優しさも兼ね備えている。という事か。ふふ、こうでなくては。


「分かりました。……よろしくお願いします」


「こちらこそ、これから宜しく頼むぞ、名軍師殿」



■■■



「……で、周瑜さんも同行するんですか」


「そういうことになった。孔明」


 私。諸葛亮孔明は、竹中さんという一人の男の人によって、絶賛思考中です。周瑜さんが、どうやら私たちに着いてくるという事から、なんとも言えない気持ちを覚えています。彼が何をどうしたら、そのような結末になるのか。とか、考える事が多くて。

 でも、難しいことを考えていたら、疲れる気もするし、今はやめておこう。今は。


「それにしても、色仕掛けって周瑜さん。そんな事する人とは思いませんでしたよ」


「ふふ、孔明。予想の範疇から飛び越えるのは、軍師としては基本だろう?」


「いや、そうですけども。……あーもうっ」


 色々悩んでいる、私が悪いのだろうか。なんて、考えても仕方が無い。大体、会ってすぐに好きになった。なんてことは無いはずだ。多分。きっと。恐らく。

 でも、周瑜さんを惹き付ける竹中さんは、本物の魅了的な力を感じる。多分、これからもこうして仲間が増えるかもしれないと思うと、少しばかり楽しみだ。

 多分、こうしている間に、魏の荀彧さんも会いたがるのかも? なんて想像すると、これからどうなるか。なんて、未来に思いを馳せながらも、竹中さんの隣を歩く。きっと、竹中さんなら私たちを救ってくれる。


「ふふ、頑張らなきゃ。私も」


「ん、どうした? 孔明」


「なんでもないですよ、竹中さん」


 多分、後で気づくだろう。私たちの物語は、ここから始まったんだと。

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