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一 全ての始まり ~その二〜

 まずは皆様。閲覧ありがとうございます。suryu-と申します。

 ゆっくりと更新する二話ですが、普段とは違う形で書いているから、書きなれないこともしばしば。まだまだ始まったばかりですが、試行錯誤です。

 この小説は、色々な歴史が織り交ざっているのですが、自分の知識がどこまで合っているか。とか。本やらなんやら、色んなもので得た知識は正解なのか。とか、色々悩むこともありますが、付き合ってくださると幸いです。

 それでは、若干軍師チートな二話目ですが、ごゆるりとなさってくださいな。

 因みに一回消えてコピペミスって致命的な矛盾してたのは内緒。

「……それで、どうやって誘い込むんですか? そう簡単にはいかないはずですが……」


 優希はあれから、孔明と一緒に話をしていたのた。どのような策略を普段は使うのか、どんな策略を知っているのか。とか、そんなことを沢山聞かれていた。

 策略に関しては既に考えていたのだが、念の為に頭の中でさらに思考を重ねて、その結果を今から話す所だったのだ。


「既に策は考えてある。それを実行に移してもらうのだから、ちゃんと、説明はさせてもらうだけです」


「……なんと言うか。さすが。ですね」


「私の記憶が正しければ、水鏡先生と呼ばれる人の所で学んだ名高き軍師。諸葛亮孔明に言われても、困りますよ」


 孔明の相槌に、優希は孔明の名前を引き合いに出してやれやれと頭を振るう。だが。孔明自体はその発言の後、少しばかり沈黙してしまう。

 どういう事か。と問いかけようにも、孔明の視線などがぶれていることから、話題を別のものに帰るべきか。とすぐさま判断をすれば、声色を変える。


「そうだ。この城には孔明さん以外に誰がいるんですか? ……そこら辺の説明も。そもそも私がなぜ、左慈という人物のお告げに出てきて、軍師に求められた。とか、色々な事がまだ分かっていないので」


 武将については、彼は一人は確信を持っていたが、とりあえず。ということで現在の状況についての情報収集をする。

 確信がある。というのは、青龍偃月刀を見た時のこと。間違いでなければ関羽という、有名な武将だと気づいていた。

 その答えがあっているかは分からないが、とりあえず、今は口には出さず、孔明の答えを待つ。


「……この城の名前は襄陽城。私と関羽さん。周倉さんという方が守っています。そして、あなたが軍師に求められる理由ですが……」


「ですが?」


 やはりというか、先程の女性は関羽だったんだな。と思いつつも、知識が外れなかったことに安堵する。だが、気になることはまだある。

 孔明は、なんとも迷っているかのように視線を泳がせる。どうやら、話に関しては信憑性が微妙なのかもしれない。と優希は理解する。だが、それでも聞いてみようと考えるのは、そう時間はかからなかった。


「……その左慈という人は、仙人らしくて。たとえば袖に書いた龍の肝を取り出したり、帰りは鶴になって飛んでいったりしたんです」


「なるほど。普通なら、信じ難い話だな。まぁ、孔明さんの言うことだから嘘ではなさそうですが」


 優希は、左慈という言葉を頭の中で復唱する。左慈。というのは、知らない訳では無い。三国志において、仙人という立ち位置で、英傑達の前に現れた。というのは、本で見た知識だ。と、頭の中で、彼はどのように関わったのかを気にした。が、今は話の続きだと、頭から一度切り離す。


「あ、今更ですが、その。敬語はいりませんよ。竹中さん」


「……む、そう。か?」


「はい。良ければ。ですが、これから仲間になるんですから」


「まぁ、身よりもないしそうなるだろうが……分かった。そうした方がいいなら、敬語を外すさ」


 とりあえずは、孔明の言葉を彼は受け入れる事にする。と、そこで孔明が苦笑いして、「すいません。話題を戻します」と言うと、羽扇を軽く振るった。


「それで、ですけども。左慈という方は、こう言ったんです」


”この国に、救世主が降り立つ。軍師においてとても優秀な男で、これから起きる戦乱を止め、国を発展させていくだろう”


「不思議な話ですが、私達はそれを信じました。そして、降りてくる場所を聞いていたので、関羽さんが貴方を連れてきたんです」


「なるほど。そんな事があったのか」


 それはとても、興味深いな。と彼は呟きながらも、城の中を歩く。これから戦場に向かう兵士達に、策略を伝える為だ。孔明が手を引いて、城の中を案内する。

 すれ違う人々は、奇異なものを見たという目。あるいは、好奇心を含んだ眼差しで、優希の事を見ている。

 そもそも孔明が、こうして男と歩いていることも少ないんだろうな。なんて考察をしながら、優希は手を引かれるがままに歩いた。そして、とある部屋の前に着くと、孔明は手を握った。


「竹中さん。この中に、今回戦う武将の一人。関羽さんが居ます。貴方を連れてきた人だから、貴方のことを知っているし、話はすぐに纏まるでしょう」


「ふむ、そうか。……ならばそいつは重畳。入らせてもらう」


「はいっ」


 そうして、彼が孔明と共に部屋に入ると、優希を城に連れてきた人物がそこに居た。関羽だ。確信を持っていたとはいえ、やはりというか武将が女であることに、少しばかり頭を悩ませる。

 孔明も女であるし、関羽も女。軒並み知っている武将が女になっているのだと思えば、どこまで知識が通じるかわからない。

 とはいえ、黙っていては話が進まない。ということから、問いかける事にした。


「貴方が関羽さん。ですね?」


「あぁ、そうだ。……貴殿を連れてくる時は、とてもいきなりで済まなかった。だが、我等にとっては死活問題だったのだ」


 そう言うと頭を下げそうな関羽に、大丈夫ですよと声をかけながら優希は止める。

 義理に厚い人。というのが、彼の中での関羽のイメージだが、違いそうにないな。と彼は考えれば、不義理なことをしないようにしよう。と心に決めた。

 それと同時に、本来の目的のことも果たすため、一瞬彼は目を閉じた後、ゆっくりと開いた。


「さて、関羽さん。早速だけど、今回これから伝える策略……成し遂げていただけますか?」


「うむ、もちろんだ」


「それじゃあ、これから言う事を頼みます」


 そう言うと、孔明に策略の方針を決めたことを告げた時に見た地図を広げれば、地形を指さす。


「丁度、良い地形を見つけた。この左手に山。右手に林の地形を生かしたい。挟み込んで追い込み、ここで火計を行う」


「ふむ、だが。どうやって誘い込む? 貴殿の策略は、そう簡単な話ではないぞ?」


 関羽の指摘に、孔明も頷く。容易な策では、敵は寄り付かないだろう。だが、優希は不敵な笑みを浮かべる。それに続けて、彼はさらなる計略を述べた。


「物資を沢山用意した、人の少ない陣をこの道の目の前に作ればいいのさ」


「……え?」


「なに?」



■■■



「……しかしまぁ、どうにも。竹中殿の策略とは、イマイチ分からんな」


 関羽は、戦の地で竹中に言われた事を思い出しながらも、少しばかり悩ましい顔つきをしていた。


”まずは、その陣にいる人たちは敵が来たら逃げてください。ただし、最初から逃げるのではなく、少し戦ってから。そして、こちらの兵が逃げたところで、彼らは陣で食事をとるでしょう”


「なぜ食事をとる。という所まで、予測出来るのだろうか。……竹中殿は、確信を持っていたが」


 そう言いながらも、彼女は陣の様子を見る。まだ、どこにも動きは見られない。本当に、指示通りのようにいくのだろうか。そんな悩ましい思考回路を回していると、白と青の水兵服を着た新着百六十五センチより少し高い、流麗な身のこなしの女性が現れた。


「……む、周瑜殿。如何なされた」


「ふふ、噂の軍師。竹中優希殿の仕事を見てみよう。とな。同じ軍師として、気になるのさ」


 周瑜。と呼ばれた女性は、陣の様子を遠目から眺めている。見た目は動きのない陣だが、中は警戒を続けている。なんとも不思議な光景だ。と彼女は呟いた。

 その言葉に関羽も頷いたその時、前方から馬に乗った大群がやってきた。人の少ない陣を見て、意気揚々と突っ込んでくる。


「む、来たか。匈奴達だ」


「そのようだな、関羽殿」


 匈奴。というのは、古来中国において、当時は何度も略奪を仕掛けた存在達。遊牧民族で馬の扱いが上手く、数々の国を支配したことでも有名な騎馬民族だ。

 その騎馬民族が、大量に陣に向かってやってくる。それは兵士としてはとても恐ろしい事なのだが、それでも陣に居る彼等は、目的を果たすために少しばかりの合戦を行う。


「……兵士達は指示通りにちゃんと動いているな、周瑜殿」


「そうだな、関羽殿。……お、撤退を始めたな」


 少しの合戦の後、兵士達は退き始める。それを追撃する様子は匈奴達にはなく、なんとも余裕そうな顔を浮かべている。

 そして、だ。歌い踊りだし、なんとそこにある物資で炊飯を始めたのだ。


「……竹中殿の言った通りだ。炊事の煙が上っている」


「そうだな。まさか、本当にそうなるとは……だが、それなら兵の動かし時だ」


「うむ、そのようだ」


__ジャーンジャーン!__


 二人が示し合わせたように頷けば手を振るい、銅鑼の音が鳴り響く。その音に匈奴が気づいたかはわからないが、大群が陣の両側から挟み込むように動いたために、慌て始めた。


”食事をとる最中に攻撃されれば、間違いなく敵は慌てるでしょう。その隙に追い込み漁のように、今回の策略の道へと誘導するように囲んでください。そうすれば、あとは袋小路に迷い込んだ鼠でしょう”


 関羽の中で、優希の告げたその言葉が思い出される。まさか、ここまで敵の動きを全て読んでいるとは、本当に何者なのだろうか。と考えるも、戦の途中。思考は一度放棄して、まずは敵を追い詰めることを優先とする。


「な、なんだなんだ!?」


「アイツらは逃げたんじゃないのかよ!?」


「こんなに軍が居るなんて聞いてないぞ!?」


 そして、思惑通りに、騎馬民族の象徴である馬を置いてまで、残された道に入る者達まで現れだした。全員が全員、残された道をそことしか認識できなかったのだろう。

 さぁ、ここまで来ればあとはやることは一つ。関羽はさらに指示を出した。


「さぁ! 火矢を放て! 岩を落とせ! 奴等は袋小路へと逃げ込んだ! これで終わりだ!」


”逃げ込んだ先に、進めないような壁を作っておくとなお良し。情報を持ち帰られることが、今一番まずいことなんだから、全員残さず倒すか捕縛するべき。あとは、敵に勝ち筋はもうないから、その先は任せます”


「……これが初だが、味方でよかったとつくづく思う」


 ここまで動きをすべて読んでいる軍師は、関羽の記憶の中にはそうそういない。敵でないことが本当に有難く感じられたことは、彼女の中では初めてかもしれない。

 匈奴達が山の上から落ちてきた岩に押しつぶされ、林が焼けたことにより、飛び火して火に焼かれ、関羽達の方に逃げてきた匈奴は捕縛され。

 この日匈奴に対して、初めて彼女らは圧勝と言える勝ち方をした。その話は各地に瞬く間に渡って、謎の軍師。竹中優希という噂が生まれることとなった。


「……なるほど。まさに最高の軍師だな。今度会わせてくれるかな? 関羽殿」


「勿論です。周瑜殿。我々の味方なのですから」


「ふ、そうだな。……魏の軍師も会いたがりそうだ」


 二人はそんな会話を続けると、優希の居る城へと戻り始める。多大な利益ある戦果を得て、幾許か心が少し浮かれながらも。


「楽しみだな、竹中優希殿?」

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